JPH0641631Y2 - 湿式排煙脱硫装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は灰分離方式の機能と灰混合方式の機能を兼ね備
えた湿式排煙脱硫装置に関するものである。

［従来の技術］ 排ガスのSOx含有ガスを処理する湿式排煙脱硫装置にお
けるプロセスフローとしては、排ガス中に含まれるフラ
イアッシュ等の煤塵を除塵塔にて捕集し、SOxガスを吸
収塔にて吸収除去して石膏にし、石膏と煤塵を分離して
回収する灰分離方式と、排ガス中に含まれるフライアッ
シュ等の煤塵を吸収塔でSOxと共に捕集除去し、石膏と
煤塵を混合して回収する灰混合方式とがある。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記灰分離方式の場合には、生成される石膏
の純度が高く、又、制御性が容易であるが、反面、SS
（suspended solid）濃度が高いため、灰混合方式に比
して排水処理が複雑となり排出される汚泥量が多いとい
う問題がある。一方、上記灰混合方式の場合には、SS濃
度が低いため排水処理が容易であることと、煤塵の大部
分が石膏中に排出されるので排水処理から出る汚泥量が
少ないこと、等の利点があるが、反面、生成される石膏
中に相当量の煤塵が入るので、灰分離方式に比して石膏
純度が低いという問題がある。すなわち、生成される石
膏の純度は、排ガス中のＳ分及び吸収塔入口の煤塵濃度
により変化する性質があるが、上記灰分離方式と灰混合
方式とでは相反する利点と欠点があり、いずれも単独の
フローでは運転条件に応じた運用を行うことが困難であ
った。

そこで、本考案は、運転条件に応じて灰分離方式と灰混
合方式のどちらのフローにも変更できるようにし、最適
な運用を可能とすることにより高純度の石膏が得られる
ようにしようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記課題を解決するために、除塵塔にて不純
物を除去した排ガスを吸収塔にて脱硫処理し、脱硫処理
により生成された石膏スラリーをシックナにて固液分離
して石膏を回収するようにし、上記除塵塔で捕集した不
純物を排水とともに排水処理装置へ導くようにしてある
湿式排煙脱硫装置において、上記除塵塔から排水処理装
置へ排水を送る排水管の途中と上記シックナの間に、上
記排水をシックナへ導入するための導入管を接続すると
共に、上記シックナにて処理された石膏スラリーの液
を上記排水処理装置へ送るための排送管を設け、且つ上
記排水管の途中に第１開閉弁を、導入管の途中に第２開
閉弁を、更に排送管途中に第３開閉弁をそれぞれ設けて
なる構成とする。

［作用］ 排水管の開閉弁を開き、導入管と排送管の開閉弁を閉じ
た状態にすると、灰分離方式にて運転され、一方、上記
各開閉弁の開閉状態を逆にすると、灰混合方式にて運転
される。したがって、排ガスのＳ分濃度や煤塵量に応じ
た最適な運用が可能となる。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明する。

図は本考案の一実施例を示すもので、水を母液とした洗
浄液を上部に設置したスプレーノズル18を用いて噴霧さ
せることにより下部の排ガス供給ダクト１より導入され
た排ガスを洗浄して煤塵を捕集し且つ排ガスを頂部より
排出するようにした除塵塔２と、吸収液を上部に設置し
たスプレーノズル19を用いて噴霧させることにより上記
除塵塔２から送られて来て下部より導入される排ガス中
のSOxを脱硫処理して石膏スラリーを生成するようにし
且つ脱硫処理されたガスは頂部より煙突へと導けるよう
にしてある吸収塔３とを、連絡ダクト４を介し連絡して
設置し、且つ上記除塵塔２に、煤塵を捕集した洗浄液を
排水処理するための排水処理装置５を、排水管６を介し
て接続し、更に上記吸収塔３に、生成された石膏スラリ
ーを固液分離するためのシックナ７と、脱水処理して石
膏８として回収するための脱水機９とを、移送管10と11
を介し順次接続し、又、上記シックナ７にて分離された
後の液のオーバーフロー液を上記除塵塔２と吸収塔３
へ戻せるように、上記シックナ７に一端を接続した戻し
管12の他端を分岐して除塵塔２と吸収塔３に接続し、灰
分離方式にて石膏８を生成させられるようにしてある構
成において、上記排水管６の途中とシックナ７の間に、
除塵塔２からの排水をシックナ７に導くための導入管13
を設けると共に、上記戻し管12の途中と排水処理装置５
の間に、シックナ７からの液を排水処理装置５へ送る
ための排送管14を設け、且つ上記排水管６の下流側、す
なわち、導入管13との接続部と排水処理装置５との間の
位置に第１開閉弁15を設け、更に、上記導入管13の途中
に第２開閉弁16を、又、上記排送管14の途中に第３開閉
弁17をそれぞれ設け、上記第１開閉弁15を閉じると共に
第２開閉弁16及び第３開閉弁17を開くことによりフロー
を切り換えられるようにし、除塵塔２からの排水をシッ
クナ７に供給して灰混合方式にても石膏８を生成させら
れるようにする。20,21は循環用ポンプである。

本考案の湿式排煙脱硫装置は、上記構成としてあるの
で、運転条件に応じて灰分離方式と灰混合方式とにプロ
セスフローを切り換えることにより、最適な運用が可能
となる。

詳述すると、通常は、排水管６途中の第１開閉弁15を開
き、導入管13途中の第２開閉弁16と排送管14途中の第３
開閉弁17を閉じた状態とし、灰分離方式にて石膏８を回
収するようにする。この場合、除塵塔２内に排ガス供給
ダクト１を経て導かれたボイラからの排ガスは、除塵塔
２内を上昇するときに上部のスプレーノズル18から噴霧
される洗浄液と接触させられることにより洗浄された
後、頂部に接続された連絡ダクト４を通り吸収塔３内へ
下部より送り込まれる。吸収塔３内に送り込まれた排ガ
スは、吸収塔３内を上昇するときに上部のスプレーノズ
ル19から噴霧される吸収液と接触させられることにより
脱硫処理された後、頂部より排出されて煙突へと送られ
大気へ放出される。一方、脱硫処理により生成された石
膏スラリーは移送管10を通りシックナ７に入れられて固
液分離され、更にシックナ７で分離された固形分は移送
管11を通り脱水機９に送られて石膏８として回収され、
シックナ７で分離された液は戻し管12を介し除塵塔２
と吸収塔３へ必要に応じて供給される。又、上記除塵塔
２内で煤塵を捕集した洗浄液は排水管６を通り排水処理
装置５へ送られて処理される。したがって、通常時は、
上述した灰分離方式により運転されることによって純度
の高い石膏８が得られることになる。

上記灰分離方式による運転時に、たとえば、ボイラから
の排ガス中のＳ分濃度が高くなり、しかも煤塵量が少な
くなった場合には、排水管６途中の第１開閉弁15を閉
じ、導入管13途中の第２開閉弁16と排送管14途中の第３
開閉弁17を共に開いた状態とし、灰混合方式にて石膏８
を回収するようにする。この場合、除塵塔２内にて煤塵
を捕集した洗浄液は、排水管６から導入管13を経由して
シックナ７に導入されることになるので、脱水機９にて
得られる石膏８は煤塵が混入したものになるが、煤塵量
は少なく且つＳ分濃度は高いことから、比較的純度が高
い石膏８を回収することができる。又、シックナ７にて
石膏スラリーに洗浄液中の煤塵が混入されるため、シッ
クナ７より排送管14を通り排水処理装置５へ送られる
液には煤塵が殆ど含まれておらず、したがって、排水処
理装置５では排水処理を容易に行うことができる。

なお、本考案は上記実施例にのみ限定されるものではな
く、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更
を加え得ることは勿論である。

［考案の効果］ 以上述べた如く、本考案の湿式排煙脱硫装置によれば、
開閉弁の操作により灰分離方式と灰混合方式とのどちら
のフローにも切り換えて運転できるようにしたので、排
ガス中のＳ分濃度や煤塵量等に応じて最適な運用を行う
ことができる、という優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の湿式排煙脱硫装置の一実施例を示す概要図
である。 １……排ガス供給ダクト、２……除塵塔、３……吸収
塔、５……排水処理装置、６……排水管、７……シック
ナ、８……石膏、10……移送管、13……導入管、14……
排送管、15……第１開閉弁、16……第２開閉弁、17……
第３開閉弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】除塵塔にて不純物を除去した排ガスを吸収
   塔にて脱硫処理し、脱硫処理により生成された石膏スラ
   リーをシックナにて固液分離して石膏を回収するように
   し、上記除塵塔で捕集した不純物を排水とともに排水処
   理装置へ導くようにしてある湿式排煙脱硫装置におい
   て、上記除塵塔から排水処理装置へ排水を送る排水管の
   途中と上記シックナの間に、上記排水をシックナへ導入
   するための導入管を接続すると共に、上記シックナにて
   処理された石膏スラリーの液を上記排水処理装置へ送
   るための排送管を設け、且つ上記排水管の途中に第１開
   閉弁を、導入管の途中に第２開閉弁を、更に排送管途中
   に第３開閉弁をそれぞれ設けてなることを特徴とする湿
   式排煙脱硫装置。