JPH0641290Y2 - 単心交流電力用水底ケ−ブル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は単心交流電力用水底ケーブルの改良に係る。

（従来技術及び解決しようとする問題点） 一般に電力用水底ケーブルの外装としては次のような構
成のものが用いられる。

ケーブル鉛被上にポリエチレン等の防食層を有し、そ
の外側に鉄線、銅線等の巻回による鎧装を具えたもの。

ケーブル鉛被上に銅、アルミニウム等の電気導体によ
る帰路導体及びポリエチレン等の防食層を有し、その外
側に鉄線、銅線等の巻回による鎧装を具えたもの。

鎧装として上記鉄線、銅線等の代りに繊維強化プラス
チックを用いたもの 等がある。

一方、単心の交流電力用水底ケーブルでは、鎧装線の両
端を接地すること及び線間に距離をおいて布設されるこ
とにより鎧装線に電磁誘導による導体と等しい程度の帰
路電流が流れること、及び超高圧になる程増加する充電
電流がジョイント部での金属シースと鎧装線とのボンデ
イングワイヤーを通して鎧装線に流れ込む等のため、帰
路電流回路をいかに構成して帰路電流によるジュール発
熱損失を少なくするかが重要な問題となる。

しかして、前述の構造のうち少くとも鎧装線として鉄線
あるいは銅線を用いたものは、前記帰路電流を鎧装線に
も流し得るので単心の交流電力用水底ケーブルとして適
用できるが、このような金属線鎧装の水底ケーブルは重
量が大きいこと及び鎧装線や帰路導体が電食により腐食
しやすいという問題がある。

一方、鎧装線としてアラミド繊維、ガラス繊維もしくは
カーボン繊維等による繊維強化プラスチックを用いたも
のは、金属線鎧装と異なり重量が軽く例えばガラス繊維
強化プラスチックでは鉄に比して比重で約1/4であり、
電食の心配はなく、引張り強さも例えばガラス繊維強化
プラスチックで鉄に比して1.5〜２倍と大きく、又海水
に対する腐食にも強いので鎧装線としては極めて好まし
いものである。しかし絶縁性で帰路電流を低ロスで通過
させることができないために、帰路電流はすべてケーブ
ルの金属シースである鉛被に集中して流れ、大きなロス
を生じてケーブルの許容電流を大幅に低減するという問
題点を解決することができず、単心の交流電力用水底ケ
ーブルとして用いられるに至っていないのが実情であ
る。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上述の鎧装線としての繊維強化プラスチックの
唯一の欠点を解消し、そのすぐれた特性を発揮せしめた
単心交流電力用水底ケーブルを提供するもので、その特
徴は、ケーブル鉛被の外側に電気用導体の多数本を巻回
した帰路導体とその上に繊維強化プラスチック鎧装を具
えており、上記繊維強化プラスチック鎧装の中に帰路導
体と同一材料又は帰路導体より貴なる材料の少くとも１
本の電気用導体を有し、かつ繊維強化プラスチック鎧装
と帰路導体の撚ピッチが異なるか撚り方向が異なり繊維
強化プラスチック鎧装中の電気用導体が帰路導体と電気
的に接続していることにある。

上述の構成によって、鎧装の目的であるケーブルの引張
り張力や引き揚げ時の張力分担及び外傷防止を繊維強化
プラスチックでなし遂げ、この場合の許容電流の低下を
帰路導体で防ぎ、さらに帰路導体上に上記繊維強化プラ
スチック鎧装を設けていることにより布設後の鎧装不良
が万一生じた場合の帰路導体の局所的集中腐食を防ぎ、
許容電流上安定して信頼性が高い単心交流電力用水底ケ
ーブルを実現するものである。

（実施例） 第１図は本考案に係る単心電力用水底ケーブルの実施例
の横断面図である。図面において、（１）は内部に絶縁
油通路（３）を有する導体（２）上に油浸絶縁層（４）
を有する電力ケーブルコア、（５）は鉛被、（６）は鉛
被（５）上にポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラス
チック材料を押出し成形した防食層である。上記防食層
（６）の上にはサービング層（７）を介して帰路導体
（８）及び繊維強化プラスチック鎧装（９）を具えてい
る。

上記帰路導体（８）は銅、アルミニウムの如き電気用導
体の多数本を巻回して構成されており、電気用導体は丸
形でも平角でもよいが、丸形導体は加工性が容易であ
り、平角導体はケーブル外径が小さくなる等の利点を有
しており、必要により適宜選択して使用する。

又繊維強化プラスチック鎧装（９）はアラミド繊維ガラ
ス繊維もしくはカーボン繊維等による繊維強化プラスチ
ック線（9a）を巻回して構成されているが、少くともそ
のうちの１本は繊維強化プラスチック線（9a）と略同径
であり、下層の帰路導体（８）と同一材料又はこれより
貴なる材料、例えば銅線、アルミニウム線、鉄線等より
なる電気用導体（9b）を有している。

しかして、上記繊維強化プラスチック鎧装（９）は下層
の帰路導体（８）と撚りピッチを異ならしめるか、ある
いは撚り方向を反対方向にすることにより、繊維強化プ
ラスチック鎧装（９）中の電気用導体（9b）は帰路導体
（８）にまんべんなく電気的に接続される。

このように構成された単心交流電力用水底ケーブルで
は、繊維強化プラスチック鎧装（９）中の電気用導体
（9b）を介して帰路導体（８）がまんべんなく海水又は
海土と接触するために、海水又は海土に対する帰路導体
（８）の抵抗、即ち接地抵抗がケーブル全長で均一にな
り、海水又は海土に漏洩していく帰路導体からの電流が
一部に集中することによる局所電食が発生することを防
止することがてきる。

（考案の効果） 上述した本考案の単心交流電力用水底ケーブルによれ
ば、鎧装線として繊維強化プラスチックを用いるので、
従来の金属線鎧装に比してケーブル重量を軽減し、耐食
性が向上し、深海布設時の超大な抗張力にも耐えうるこ
とができる。

又上記繊維強化プラスチック鎧装の中に少くとも１本の
電気導体を配置し、これを下層の帰路導体に電気的に接
続しているので、帰路導体の局所的な電食を防止すると
共にサージ等に対しても異常電位を生ぜず、又許容電流
上有効な帰路電流回路を構成するので許容電流の低下を
防止することができる。

なお、帰路導体は許容電流を増加せしめる面から構成素
線の断面積を大きくしたり、二層構造として総断面積を
増大し得るのは勿論である。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案に係る単心交流電力用水底ケーブルの実
施例の横断面図を示す。 １……電力ケーブルコア、５……鉛被、６……防食層、
８……帰路導体、９……繊維強化プラスチック鎧装、9b
……電気用導体。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーブル鉛被の外側に電気用導体の多数本
   を巻回した帰路導体とその上に繊維強化プラスチック鎧
   装を具えており、上記繊維強化プラスチック鎧装の中に
   帰路導体と同一材料又は帰路導体より貴なる材料の少く
   とも１本の電気用導体を有し、かつ繊維強化プラスチッ
   ク鎧装と帰路導体の撚ピッチが異なるかあるいは撚り方
   向が異なり繊維強化プラスチック鎧装中の電気用導体が
   帰路導体と電気的に接続していることを特徴とする単心
   交流電力用水底ケーブル。
2. 【請求項２】繊維強化プラスチック鎧装の繊維がアラミ
   ド繊維、ガラス繊維もしくはカーボン繊維であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の単心交
   流電力用水底ケーブル。
3. 【請求項３】帰路導体が銅又はアルミニウムの丸形又は
   平角導体で構成されていることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の単心交流電力用水底ケーブ
   ル。
4. 【請求項４】繊維強化プラスチック鎧装中の電気用導体
   が銅、アルミニウム又は鉄であることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の単心交流電力用水底ケ
   ーブル。