JPH0640718B2 - 回転電機のラジアルクランプ組立体及びその形成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、ステータの端部巻線に使用するクランプ組立
体を備えた回転電機に関する。

（従来の技術） 過度の振動、コイル絶縁体の摩耗及び直列の銅製素線相
接続部の疲労割れについては、かなりの改良が進んでい
るが、これらを最小にするため、大型タービン発電機の
ような回転電機の端部巻線に更に良好な補強を行いたい
という要望が引続いて存在する。このような組立体は、
米国特許第3,949,256号及び第3,949,257号明細書に開示
されるように公知である。

頂部コイル層と底部コイル層を、相対的に永続的な堅締
組立体を形成するように半径方向にクランプすることに
より、頂部コイル層と底部コイル層との間の耐張ブロッ
クのゆるみを防止することが望ましい。このようにクラ
ンプを行うと、コイルと耐張ブロックとの間に圧力接触
関係が維持されコイル端部のバスケット全体に対する個
々のコイルの振動が除去されるはずである。

（発明が解決しようとする課題） 本発明による回転電機は、スロットを有するステータコ
アと、これら各スロットに収容され前記コアの端部から
延びる頂部及び底部コイルと、一対の隣接する頂部コイ
ルを一対の隣接する底部コイルと共に固定するラジアル
クランプであって、前記対の頂部コイルの半径方向外側
の頂部支持ブロック及び前記対の底部コイルの半径方向
内側の底部支持ブロックより成り、前記支持ブロックの
各々が回転電機の軸に対して実質的に半径方向のライン
上にある中心孔を有するラジアルクランプと、前記ブロ
ックの中心孔を貫通し樹脂を含浸したバンド材料より成
る半径方向に延びる硬化され予め張力が与えられたルー
プと、前記各支持ブロックの上に設けられた横方向に延
びるピンとより成り、前記ループの端部が前記各ピンの
上にあって、前記ピンを前記支持ブロック及び前記コイ
ルと堅く係合するように保持することを特徴とする。

好ましくは、ラジアルクランプを、端部巻線の中間回旋
領域、即ちコアとコイル端のほぼ中間点に位置させて、
先にコイル端においてガラス繊維で補強したリングによ
り得られていたようなバスケットの構造的一体性をこの
領域で得る。ゆるみを確実に防止できる，元の製造工場
と同じように現場でも容易に実施可能な組立法によりこ
のようなラジアルクランプを提供することが望まれる。

本発明による、ラジアルクランプ組立体を形成する方法
は、２つの隣接する頂部コイル端部巻線に支持ブロック
を置くと共に２つの隣接する底部コイル端部巻線に別の
支持ブロックを置くステップを含み、支持ブロックの各
々は２つの頂部コイルと２つの底部コイルの間を通過す
るライン上にある孔を有し、バンド材料のループを支持
ブロック内の孔及びコイル間の空間を通し、このバンド
ループは、支持ブロックの各々を越えて延びる程度の余
分な長さを有する。バンドループの各端部の中にピンを
挿入し、これらピンの少なくとも一つを回転してバンド
ループをねじると、ループ内のたるみが取れ、ピンは半
締まり状態の組立体の隣接支持ブロックに押し付けられ
る。次にバンドに含浸する樹脂を高温気流により硬化さ
せる。

バンドを位置決めして硬化が終了した後に、液圧ジャッ
キのような装置を使用してピンの少なくとも一方をコイ
ルから離間するように半径方向に引っ張る。これにより
バンド材料のループは伸張し、張力が更に加わる。次に
引っ張り装置を解放してもバンドが張力状態にあるよう
に、ピンと隣接ブロックの間にシムを入れる。

ブロックを所定位置に置いたとき、頂部支持ブロック及
び底部支持ブロックの各々とそれに隣接するコイルとの
間に樹脂含浸された順応性材料の層を置くと更に好まし
い。順応性材料の層内の樹脂は、バンド材料の樹脂と共
に硬化させる。

別の特徴は、ピンの一つと隣接ブロックの間にスプリン
グ、例えばスプリングワッシャまたはスプリング板を設
けること、また引っ張り装置及び他方のピンにシムを使
用することにある。

上記方法によれば、一対の頂部コイル及び一対の底部コ
イルを間にクランプする２つの支持ブロックからなる、
ステータコイル端部巻線、特に端部巻線の中間回旋領域
用の改良型ラジアルクランプ装置が得られる。この支持
ブロックは、ねじられ、硬化され、予め張力が加えられ
るバンド材料のループを有し、このループをブロックの
中心にある孔及び隣接コイルの間の間隙を通過させる。
ループの各端部は、支持ブロックの一方に載る横断ピン
に巻かれるため、クランプ装置によりコイルが相対的に
永続的に緊締され、コイルの振動防止のため元の製造工
場のみならず現場でも容易に実施できて有利である。

以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明
する。

（実施例） 第１図はラジアルクランプ装置を具備する回転電機を図
示し、スロット12を有するステータの鉄心10を備えた、
タービン発動機の端部巻線部を示す。これらのスロット
12はスロットの頂部及び底部に属する頂部コイル14及び
底部コイル16から成るコイルを収容し、これらコイルは
鉄心10を越えて回転電機の端部曲がり領域まで延びてい
る。更にこれらのコイル14及び16は、本例では端部巻線
部上を延びる多数のブレース18と、鉄心10のみならずブ
レースにも取付けられたブラケット20を含む構造体によ
り支持されている。

他のコイル支持部材には、多数のリング17、19、21及び2
2、及び頂部コイル14と底部コイル16との間の多数の耐
張ブロック23がある。

ラジアルクランプ40は端部巻線の軸方向端部と鉄心との
間の中間回旋領域に使用されている。このラジアルクラ
ンプ40は、ここでは主として組合わせ全体の内の大体の
位置を示すよう図示されており、第２図及び第３図では
より詳細に示されている。「ラジアル」クランプと称し
た理由は、このクランプが回転電機の軸（第１図の水平
線）に対して実質的に半径方向に延びているからであ
る。しかしながら、このクランプ40は、頂部及び底部コ
イル14及び16の外方へ傾斜しているためその半径（第１
図にて垂直）に対して所定の角度をなしている。

端部巻線は、図示するようにまっすぐ軸方向に延長しな
いで実際は回転電機の軸を通る平面の内外に湾曲してい
る。これらの頂部コイル及び底部コイルは通常互いに逆
の方向に湾曲し、それぞれ別のスロットからの別の底部
コイル及び頂部コイルと接合されている。従って、ラジ
アルクランプ40は、２つの平行な頂部コイル及び２つの
平行な底部コイルを共にクランプするが、端部巻線の中
間回旋領域にある頂部コイル及び底部コイルは互いに平
行でなくてほとんど垂直になっている。頂部コイルと底
部コイルの相対角度は、ラジアルクランプ40の有用性に
影響を与えるものではない。

端部巻線の中間回旋位置の種々の場所には耐張ブロック
23があり、頂部コイル14と底部コイル16との間の支持体
となっている。ラジアルクランプ40は隣接する頂部コイ
ルの間及び隣接する底部コイルの間を通っているので、
耐張ブロック23を貫通する必要はない。

第２図及び第３図に示すように、一つの支持ブロック42
が２つの底部コイル16a及び16bと、また他方のブロック
43が２つの頂部コイル14a及び14bと接触するようにし
て、これらの支持ブロック42及び43がそれぞれ端部巻線
の隣接する対の半径方向下方及び上方に配置されてい
る。

これらの支持ブロック42及び43は、順応性材料、例えば
樹脂処理されたダクロン(Dacron)のフェルト材料から成
る層44により隣接コイルから離間されている。

ピン46及び47は、コイルの延びる方向に対して横方向に
各支持ブロック42及び43をそれぞれ横断するよう配置さ
れている。バンドがピンにかかり、それによりピンが隣
接する支持ブロック及びコイルに押えつけられるよう
に、コイルの各側面においてピン46及び47のまわりで連
続ループを形成するようバンド材料48が配置されてい
る。ピン47と支持ブロック43の間にはシム50が設けら
れ、ピン46とその支持ブロック42との間にはスプリング
ワッシャあるいはスプリングプレートのようなばね52と
支持ワッシャ54が設けられている。

バンド48には予め張力を加えることが重要であり、バン
ドを樹脂を含浸した材料、たとえばガラス繊維補強エポ
キシ樹脂含浸材にすることが好ましい。

ラジアルクランプ装置40を組立てるこの方法を用いる
と、クランプ装置が緊締され、ゆるまないような保護が
与えられる。

本発明に係るラジアルクランプ組立体を形成する方法
は、２つの隣接する頂部コイルの端部巻線に支持ブロッ
クを載せ更に２つの隣接する底部コイルの端部巻線上に
別の支持ブロックを置く第１のステップを含む。支持ブ
ロックの各々は半径方向に延びる孔を有し、これらの孔
は２つの頂部コイルと２つの底部コイルの間を通るほぼ
半径方向のライン上にある。次のステップは、支持ブロ
ック内の孔及びコイル間の間隙にバンド材料のループを
通すことである。このバンドループの長さは、支持ブロ
ックの各々を越えて延びるようにある程度余分にとって
ある。バンドループの各端部内にピンを挿入し、バンド
ループをねじるようこれらピンのうちの少なくとも一方
を回転させてループのたるみを取れば、ピンは半締まり
状態の組立体の隣接支持ブロックに押し付けられる。次
にバンドに含浸した樹脂を、例えば高温の気流に露して
硬化させる。

バンドを位置決めし、硬化が終了した後に、例えば液圧
ジャッキのような装置を用いて、ピンの少なくとも一方
をコイルから離間するよう半径方向に引っ張る。これに
よりバンド材料のループが伸張し、ループに更に張力が
加わる。次に、引っ張り装置を解放してもバンドが張力
状態にあるようにピンと隣接ブロックの間にシム50を入
れる。

バンド材料48は、幅が約1.27cm（２分の１インチ）の樹
脂含浸ガラス繊維で構成でき、端部巻線の通気空間を半
径方向に貫通し、ガラス繊維の支持ブロック42、43及び
ピン46、47により定位置に保持される。バンドが硬化す
ると、液圧ジャッキにより約2.27トン（約5000lbf）の
張力が予め与えられ、所定位置にシムを入れた頑丈な剛
性の部材となる。

本発明によるラジアルクランプ組立体40は、中間回旋領
域内のコイルを実質的に緊締する。この組立体は、端部
巻線の種々の部分に使用できるが、実質的な改良を行う
ためにはそれらすべてに使用する必要はない。

本発明の特徴は、既に現場に設置された機械に使用でき
ることにある。即ち、ラジアルクランプの組立方法は、
元の製造業者の工場だけでなく現場でも容易に実施でき
る。このことは、本発明に係るラジアルクランプ装置を
使用すれば、現場における運転後元の端部巻線支持部品
にゆるみが生じた装置の性能を実質的に改善できること
を意味する。

以上、開示したクランプ装置は後でゆるみが生じても、
容易に切断して新しいものと交換できるが、この設計で
は組立体がゆるむことは予想していない。クリープ緩和
(creeprelaxation)によるゆるみはガラス繊維バンドの
ばね定数により制御され、もし所望ならスプリングワッ
シャまたはスプリングプレートを設けてゆるみに対する
保護を確実にすることができる。従って、この装置によ
り実質的に永久的なクランプが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、ラジアルクランプ組立体を備えた回転電機の
ステータコイルの端部巻線組立体の側面図、第２図は第
１図の装置への使用に適したラジアルクランプ組立体の
拡大詳細側面図、第３図は、第２図に示したラジアルク
ランプ組立体の正面図である。 10……鉄心 12……スロット 14……頂部コイル 16……底部コイル 18……ブレース 23……耐張ブロック 40……ラジアルクランプ 46、47……ピン 48……バンド材料

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スロットを有するステータコアと、 これら各スロットに収容され前記コアの端部から延びる
   頂部及び底部コイルと、 一対の隣接する頂部コイルを一対の隣接する底部コイル
   と共に固定するラジアルクランプであって、前記対の頂
   部コイルの半径方向外側の頂部支持ブロック及び前記対
   の底部コイルの半径方向内側の底部支持ブロックより成
   り、前記支持ブロックの各々が回転電機の軸に対して実
   質的に半径方向のライン上にある中心孔を有するラジア
   ルクランプと、 前記ブロックの中心孔を貫通し樹脂を含浸したバンド材
   料より成る半径方向に延びる硬化され予め張力が与えら
   れたループと、 前記各支持ブロックの上に設けられた横方向に延びるピ
   ンとより成り、 前記ループの端部が前記各ピンの上にあって、前記ピン
   を前記支持ブロック及び前記コイルと堅く係合するよう
   に保持することを特徴とする回転電機。
2. 【請求項２】前記ループの前記ピンの間にある部分がね
   じられ、一方のピンとその隣接ブロックとの間にシムが
   設けられ、他方のピンとその隣接ブロックとの間にスプ
   リングが設けられている特許請求の範囲第１項に記載の
   回転電機。
3. 【請求項３】回転電機のステータコイル端部巻線用のラ
   ジアルクランプ組立体を形成する方法において、 ２つの隣接する頂部コイルの半径方向外側に、半径方向
   に延びる孔を有する頂部支持ブロックを置くと共に前記
   頂部コイルと半径方向に整列する２つの隣接する底部コ
   イルの半径方向内側に、半径方向に延びる孔を有する底
   部支持ブロックを置き、 硬化性樹脂を含浸された可撓性バンド材料のループを前
   記支持ブロックの前記孔及び前記隣接する頂部コイルと
   底部コイルの間を通過させ、 頂部ピンを前記頂部支持ブロックの上方にあるバンド材
   料の前記ループの頂端部に挿入すると共に底部ピンを前
   記底部支持ブロックの下方にあるバンド材料の前記ルー
   プの底部端内に挿入し、 前記ピンの少なくとも一方をその上のバンド材料の前記
   ループと共に回転させて前記ループのゆるみを取り前記
   ピンの各々がそれぞれの前記支持ブロック上に押し付け
   られるように前記ループを緊締し、 前記ピンの一方または双方を回転させた後前記バンド材
   料の前記樹脂を硬化させて緊締したクランプ組立体とす
   ることを特徴とする方法。
4. 【請求項４】前記ピンを回転させ、前記樹脂を硬化させ
   た後、引張装置を用いて前記ピンのうちの少なくとも一
   方を前記コイルから離間するように半径方向に引っ張っ
   てバンド材料の前記ループを伸張させ、次に前記引張装
   置を解放したときにも前記バンドが引っ張り状態にある
   よう前記少なくとも一方のピンとこれに隣接する前記支
   持ブロックとの間にシムを挿入することを特徴とする特
   許請求の範囲第３項記載の方法。
5. 【請求項５】前記少なくとも１つのピンを回転させる前
   に前記頂部及び底部支持ブロックの各々とこれに隣接す
   るコイルとの間に樹脂含浸された順応性材料の層を配置
   し、加熱された空気を差し向けることによって前記バン
   ド材料の前記樹脂と共に順応性材料の前記層の前記材料
   を硬化させることを特徴とする特許請求の範囲題３及び
   ４項のいずれかに記載の方法。