JPH0640003Y2 - 車両の冷気案内装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、車体の上部を構成するルーフパネルの幅方向
側部の下方に配置され、かつ車体に固定された天井内板
と、同じく車体に固定され、前記天井内板の下方に配置
されたダクト部材とを具備し、該ダクト部材と天井内板
とによって、車体の前後方向に延びる冷気ダクトを区画
し、該ダクトを通して冷房装置からの冷気を車室内の所
定個所に導く車両の冷気案内装置に関するものである。

従来技術 バス、トラックあるいは乗用車等の各種車両に上記形式
の冷気案内装置を設け、冷気を車室内の所定個所に導き
得るように構成することは従来より周知である。

従来の冷気案内装置は、そのダクト部材がねじによって
車体に固定されているが、ダクト部材の近傍には多数の
車両部品が入り組んで位置しているため、ダクト部材を
ねじで固定する方法を採用すると、そのねじ止め作業を
狭い場所で行わなければならず、作業性が低下する。ま
た、螺着後のねじが車室内から見えると、車室内の美観
を損ねるため、通常はねじの頭をモールで隠蔽してい
る。ところが、このようにすると、ねじ止め作業の他に
モールの取付作業を必要とし、その全作業が著しく煩雑
となる。

一方、車体には窓ガラスが付設され、その車内側には通
常、日よけ用のカーテンが設けられている。このカーテ
ンの上端縁には複数のカーテン用スライダが取付けら
れ、これらのカーテン用スライダが車体に固定されたカ
ーテンレールに摺動自在に嵌合し、かかるスライダをカ
ーテンレールに対して摺動させながら、カーテンを開閉
できるように構成されている。

ところが、このようなカーテンレールを車体に設けと、
車両の部品点数が増大し、その構造が複雑化し、かつそ
のコストが上昇する。また車両の製造時にカーテンレー
ルを車体に取付ける作業が必要となり、作業が煩雑化す
る欠点も免れない。

目的 本考案は、上述した新規な認識に基づきなされたもので
あり、その目的とするところは、ダクト部材を簡単に車
体に固定でき、しかもその見栄えを向上させることがで
き、かつカーテンレールを独立した部材として構成する
必要のない車両の冷気案内装置を提供することにある。

構成 本考案は上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式
の冷気案内装置において、ルーフパネルの幅方向側縁が
固着されている車体の骨格に基端部が固着された取付板
と、ダクト部材の車体中心と反対側の側縁を前記取付板
に固定連結するためのクリップとを具備し、該クリップ
が、ほぼ水平に位置する基部と、該基部の上面に一体に
突設された立壁部と、該立壁部から車体中心側に突出
し、前記基部と協働してダクト部材の車体中心と反対側
の側縁を係止する係止溝を形成する舌部と、前記立壁部
から車体中心と反対側に突出し、前記基部と協働して、
前記取付板の基端部から車体中心側に突出した突出部が
係合する固定溝を形成する耳部と、前記基部の下面から
下方に一体に突出し、当該基部と協働して、カーテン用
スライダが摺動自在に嵌合するガイド溝を形成する複数
の突壁とを有し、前記基部、立壁部、舌部、耳部、及び
突壁が一体に成形されている構成を提案する。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に従って説明する。

第１図は車両の一例としてバスを示した側面図であり、
第２図は第１図のII−II線断面図である。これらの図に
おいて、１は車体２の上部を構成するルーフパネル、３
は同じく車体の一部を構成する骨格であって、この骨格
３は車体２の前後方向に長く延び、ルーフパネル１はそ
の幅方向側縁40が車体の骨格３に溶接によって固着され
ている。骨格３の下方に窓ガラス４が位置している。

第２図から判るように、ルーフパネル１の下方には車室
空間の上部を区画する天井板５が配設され、ルーフパネ
ル１の幅方向側部の下方には天井内板６が配置されてい
る。さらに天井内板６の下方にはダクト部材７が配置さ
れ、天井内板６とダクト部材７は後述する態様で車体２
にそれぞれ固定されている。

天井内板６とダクト部位７とによって冷気ダクト８が区
画され、該ダクト８は車体２の前後方向に長く延びてい
て、このダクト８を通して図示していない冷房装置から
の冷気が車室内の所定個所、図の例では車室内の各座席
（図示せず）に導かれる。即ち、ダクト部材７には各座
席に向けて開口する複数の吹き出し部材（図示せず）が
接続され、冷気ダクト８を通った冷気が吹き出し部材を
通してそれぞれの座席に吹き出される。

上述のようにして、天井内板６とダクト部材７とによっ
て区画される冷気ダクト８を通して冷房装置からの冷気
を車室内の所定個所に導く冷気案内装置が構成されてい
る。

なお、図示したダクト部材７は、金属又は硬質合成樹脂
等から成る高剛性の基板９と、これに接合された発泡材
よりなる断熱材10とから構成され、断熱材10によって断
熱効果の他、遮音効果も得られる。

天井内板６は、車体中心側の一方の側縁11がルーフパネ
ル１に固着された取付ブラケット12に、ねじ13によって
固定され、車体中心と反対側の他方の側縁14は、基端部
41が骨格３に固着された取付板15と骨格３との間に挟み
付けられ、これによって天井内板６が車体２に固定され
ている（第３図及び第４図も参照）。

他方、ダクト部材７も車体２に固定されているが、先に
も説明したように、従来はねじによってダクト部材を車
体に固定していたため、その組付時の作業性が悪く、結
局車両のコストを高める結果となつていた。

そこで本例では、第２図に示すように、ダクト部材７が
車体の前後方向に長く延びた第１及び第２のクリップ1
6,17によって車体２に固定されている。第１のクリップ
16は、第３図に示すように係止溝18を有し、この溝18に
前述の取付ブラケット12の先端が嵌合し、これによって
第１のクリップ16が車体２に固定されている。その際、
この係止溝18には、ダクト部材７の基板９の一方の側縁
19、即ちダクト部材７の車体中心側の側縁19も差し込ま
れて係止され、該側縁19が第１のクリップ16を介して車
体２に固定されている。

また図示した例では、保持板20が、前述のねじ13によっ
て天井内板６と共に取付ブラケット12に固定され、ダク
ト部材７における断熱材10の一方の縁21が、第１のクリ
ップ16と保持板20とに強固に挟持されている。

第２のクリップ17は、ダクト部材７の車体中心と反対側
の側縁25を前述の取付板15に固定連結するものであり、
これによりダクト部材７の側縁25が車体２に対して固定
される。かかる第２のクリップ17は、第４図に明示する
ように、ほぼ水平に位置する基部42と、この基部42の上
面に一体に突設された立壁部43と、この立壁部43から車
体中心側に突出した舌部44とを有し、この舌部44は基部
42と協働してダクト部材７の車体中心と反対側の側縁25
を係止する係止溝24を形成している。

また第２のクリップ17は、前述の立壁部43から車体中心
と反対側に突出する耳部45を有し、かかる耳部45は、基
部42と協働して、取付板15の基端部41から車体中心側に
突出した突出部23が係合する固定溝22を形成している。
このように、車体２の骨格３に固着された取付板15の突
出部23が第２のクリップ17の固定溝22に嵌合することに
よって、第２のクリップ17が車体２に固定され、かかる
クリップ17の係止溝24にダクト部材17の側縁25が嵌着保
持される。このようにして側縁25が車体２に固定連結さ
れるのである。

上述のように、本例における車両の冷気案内装置は、天
井内板６と、ダクト部材７と、取付ブラケット12と、取
付板15と、第１及び第２のクリップ16,17とを具備し、
ダクト部材７は、車体２に取付けられた第１及び第２の
クリップ16,17に、その各側縁19,25が係止されることに
より、車体２に固定されている。このようにダクト部材
７を車体２に固定するために、ねじは全く用いられてお
らず、各クリップ16,17にダクト部材７を差し込むとい
う極く簡単な操作でダクト部材７を車体２に固定するこ
とができる。その作業性を高めることができ、ダクト部
材７の近傍に、各種の車両部材が近接して位置していて
も、簡単にその取付作業を遂行できる。

またねじを用いないため、車室内から見たダクト部材７
の外観が向上し、よってこの取付部をモール等によって
隠蔽する必要はなく、ダクト部材７の取付作業工数を低
減できる。

さらに、ダクト部材７の各側縁19,25は、クリップ16,17
の係止溝18,24に強固に係止されているので、ダクト部
材７が不本意に外れる恐れもない。第２のクリップ17の
係止溝24には、ダクト部材７の側縁25の基板９と断熱材
10が共に挟み込まれているが、このようにすると、発泡
材よりなる断熱材10が挟み付け力によって圧縮され、そ
の弾性によって側縁25の固定保持力を高めることができ
る。しかも断熱材10の圧縮変形によって、この個所にお
けるシール性が高められ、冷気ダクト８内の冷気の漏出
をより確実に阻止できる。

ここで、第２のクリップ17は、ダクト部材７を固定する
働きの他、カーテンレールとしての働きもなすように構
成されている。即ち、第４図に示すように、第２のクリ
ップ17は、その基部42の下面から下方に一体に突出する
複数の突壁46を有し、これらの突壁46は、基部42と協働
してカーテン用スライダ35が摺動自在に嵌合するガイド
溝30を形成している。第２図に示した窓ガラス４の車内
側にはカーテン（図示せず）が垂下され、これを日よけ
として使用しているが、このカーテンの上端縁に上述し
た複数のカーテン用スライダ35が取付けられ、これらの
スライダ35が第２のクリップ17に形成されたカーテンレ
ールのガイド溝30に摺動自在に嵌合しているのである。
カーテンを引くとき、これらのカーテン用スライダ35を
カーテンレールのガイド溝30中にてスライドさせる。

このように、本例の冷気案内装置においては、第２のク
リップ17の下方にカーテンが配置され点に着目し、カー
テン用スライダ35が摺動自在に嵌合するガイド溝30を第
２のクリップ17に形成し、前述の基部42、立壁部43、舌
部44、耳部45及び突壁46を一体に成形したのである。こ
れにより、第２のクリップ17とカーテンレールとを１つ
の部材により構成でき、部品点数減少とコストの低減を
図ることができる。しかも、第２のクリップ17とカーテ
ンレールを別部材とした場合に比べ、組付工数を低減す
ることが可能となる。また、第２のクリップ17の各部分
43,44,45,46が、ほぼ水平な基部42の上下に付設されて
いるので、第２図のクリップ17の全体の上下方向の高さ
を小さくでき、これをコンパクトに構成することができ
る。これにより、第２のクリップ17の製造コストを低減
でき、しかもかかるクリップ17が車室内に占めるスペー
スを小さく留めることができる。

さらに、図示した実施例では、第１のクリップ16が、ダ
クト部材７を固定する他、前述の天井板５を固定する機
能を有している。即ち、第２図及び第３図に示す如く第
１のクリップ16には、その係止溝18の他に取付溝31が形
成され、ここに天井板５の側縁が嵌着され、該天井板５
が車体２に固定されている。この構成によっても、部品
点数の減少、コストの低減並びに組付工数の減少を達成
できる。

なお、第１及び第２のクリップ16,17は金属板、合成樹
脂等の適宜な材料で構成できるが、合成樹脂製とする
と、その成形が容易となるだけでなく、ダクト部材７や
天井板５等を挟持するのに適した適度な弾性を各クリッ
プ16,17に持たせることができ有利である。

以上、バスの片側の構成についてだけ説明したが、他側
も全く同様に構成できることは当然である。また本考案
はバス以外の各種の車両に対しても適用できるものであ
る。

効果 本考案によれば、ダクト部材の車体中心と反対側の側縁
をクリップを介して簡単に車体に固定することができ、
しかもその取付部の見栄えを向上させることができる。
さらにはコストの低減を達成することも可能である。

また、カーテン用スライダが摺動自在に嵌合するガイド
溝がクリップに形成されているので、部品点数を減少で
き、その構造を簡素化でき、コストの低減を達成でき
る。カーテンレールとクリップを別々に構成する必要は
なく、これらを１つの部品として構成できるのである。
従って、クリップを車体に取付けるだけで、カーテンレ
ールを同時に車体に取付けることができ、その組付作業
を簡素化できる。

さらに、クリップの基部、立壁部、耳部、及び突壁が一
体に成形されているので、これを容易に製造でき、その
コストを低減できる。しかもほぼ水平な基部の上面側と
下面側に、立壁部、舌部及び耳部と、突壁とをそれぞれ
設けたため、クリップを小型化でき、特にその上下方向
のサイズをコンパクト化することができる。このように
してクリップの製造コストを低減できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は車両の一例としてバスを示した側面図、第２図
は第１図のII−II線拡大断面図、第３図は第２図の矢印
IIIで示した部分の拡大図、第４図は第２図の矢印IVで
示した部分の拡大図である。 １…ルーフパネル、２…車体 ３…骨格、６…天井内板 ７…ダクト部材、８…冷気ダクト 15…取付板、17…クリップ 22…固定溝、24…係止溝 25…側縁、30…ガイド溝 35…カーテン用スライダ、40…側縁 41…基端部、42…基部 43…立壁部、44…舌部 45…耳部、46…突壁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体の上部を構成するルーフパネルの幅方
   向側部の下方に配置され、かつ車体に固定された天井内
   板と、同じく車体に固定され、前記天井内板の下方に配
   置されたダクト部材とを具備し、該ダクト部材と天井内
   板とによって、車体の前後方向に延びる冷気ダクトを区
   画し、該ダクトを通して冷房装置からの冷気を車室内の
   所定個所に導く車両の冷気案内装置において、 前記ルーフパネルの幅方向側縁が固着されている車体の
   骨格に基端部が固着された取付板と、 前記ダクト部材の車体中心と反対側の側縁を前記取付板
   に固定連結するためのクリップとを具備し、 該クリップが、ほぼ水平に位置する基部と、該基部の上
   面に一体に突設された立壁部と、該立壁部から車体中心
   側に突出し、前記基部と協働してダクト部材の車体中心
   と反対側の側縁を係止する係止溝を形成する舌部と、前
   記立壁部から車体中心と反対側に突出し、前記基部と協
   働して、前記取付板の基端部から車体中心側に突出した
   突出部が係合する固定溝を形成する耳部と、前記基部の
   下面から下方に一体に突出し、当該基部と協働して、カ
   ーテン用スライダが摺動自在に嵌合するガイド溝を形成
   する複数の突壁とを有し、前記基部、立壁部、舌部、耳
   部、及び突壁が一体に成形されていることを特徴とする
   車両の冷気案内装置。