JPH0635063B2 - チタンの高能率溶接方法 - Google Patents

チタンの高能率溶接方法

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JPH0635063B2 JP24424586A JP24424586A JPH0635063B2 JP H0635063 B2 JPH0635063 B2 JP H0635063B2 JP 24424586 A JP24424586 A JP 24424586A JP 24424586 A JP24424586 A JP 24424586A JP H0635063 B2 JPH0635063 B2 JP H0635063B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はチタン及びチタン合金の高能率な多電極TIG
溶接方法に関する。
[従来の技術] チタン及びチタン合金の溶接としては、現在、実用的な
方法として、TIG溶接やMIG溶接のようなイナート
ガスアーク溶接が採用され、特にTIG溶接が主として
おこなわれている。
チタン及びチタン合金の溶接で問題となるのは、大気に
よる汚染とブローホール及びアンダーカット等の発生で
ある。
大気による汚染はチタンが活性なる金属なため、大気中
で400℃以上に加熱されると酸化及び窒化が容易に起
り、硬く脆くなり、材質特性を著しく劣化させる現象
で、これを防ぐため、アルゴンガス、ヘリウムガス等の
イナートガスで十分なシールをする必要があるため、そ
の溶接には難しさがある。
又ブローホール等は不適当な溶接条件、溶接操作、開先
形状、開先面の清浄化等により発生し、ブローホールの
発生により溶接継手特性は劣化する。また溶接能率を向
上させるため入熱量を増大させ溶け込み量の増加を図る
と、ビード形状が悪くなるばかりでなく、アンダーカッ
ト等の欠陥が発生し易くなるため、入熱量を抑えて溶接
するため、極端に能率が低下する。
このため厚手材の溶接は施行コストが著しく高くなって
いるのが実態で、チタンの用途拡大の阻害因子の一つと
なっていると云っても過言でない。
これを解決する手段として特開昭56−84172号公
報は、2電極に交互に溶接電流を切換えて流し溶接する
方法で、1プール/2電極による高速溶接方法が記載さ
れている。しかしこの方法は切換タイミングの調整、電
極間のアーク干渉への対応等の高度な技術を要する共に
溶接設備も複雑・高価である。
又特開昭53−56138号公報は、1プール/2電極
にするとともに後行電極によるアークを先行電極による
アーク力とバランスさせて、溶接池を安定化させ、溶接
速度を向上させる方法である。この方法も、技術的には
可能であるが、現場施行等の実態を考えると、実現は必
ずしも容易ではない。
また、従来から溶接作業の効率改善のため、多電極化技
術が出されている。これは2プール/2電極方式によ
り、先行電極による予熱で後行電極による溶け込みが深
くなって多少溶接速度は速くなし得るが、その効果は小
さい。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は厚手のチタン及びチタン合金を溶接する多電極
TIG溶接法であって、従来、時として見られたやじり
状の波打模様やブローホール、アンダーカット等の溶接
欠陥を著しく軽減ないし解消するとともに、パス当りの
溶着量の増加による作業効率を向上させるチタンの高能
率溶接方法に関する。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、チタン及びチタン合金の溶接に際し、多電極
TIG溶接を採用し、後行電極にナメ付溶接の役割を持
たせて、先行電極でフィラー添加溶接したビードの形状
を修正する機能を持たせることによって、先行電極によ
る溶接時の規制条件を緩和する方法であって、又プラズ
マによる予熱を併せ行うことにより、深い溶け込みを可
能ならしめる高能率な多電極TIG溶接法を提供するも
のであり、下記をその要旨とするものである。即ち(1)
チタンのTIG溶接に於いて、先行電極でフィラー添加
溶接し後行電極でナメ付溶接することを特徴とする多電
極TIG溶接によるチタンの高能率溶接方法であり、又
(2)先行電極が複数の先行電極である前記(1)に記載のチ
タンの高能率溶接方法であり、又(3)先行電極の更に先
にプラズマトーチを有しプラズマ予熱することを特徴と
する前記(1)及び(2)に記載のチタンの高能率溶接方法で
ある。
[作用、実施例] 第11図はチタン板1を、電極2がフィラーワイヤー4
を用いて溶融接合する、通常使われている単電極TIG
溶接の概略図である。単電極で通常の溶接速度に於いて
は良形状のビードが得られるが、溶接速度を増加すると
溶け込みが浅くなり溶融不安定となり、その結果不整ビ
ードを形成するとともに、ブローホール等の溶接欠陥の
存在もX線透過試験で確認される。
第12図〜第14図は上記課題の改善策として従来報告
されているもので、第12図は通常のTIG溶接電極2
の前に先行TIG電極6を設け、予熱することにより溶
け込み深さを増大しようとするものであり、又第13図
は2プール2電極方式で、先行電極による予熱効果とと
もに溶着量の増加が期待できる。第12図および第13
図の方法は、多少溶接速度は速くなし得るが、さらに、
溶接速度を上昇すると不整ビードが発生し、後行アーク
によるビード形状の改善は全く期待できず、溶接部の品
質上、高速化は不可能であった。第14図は1プール2
電極方式で、溶け込み深さは深くでき高速化も理論的に
は可能な方法である。しかしアーク干渉等種々の技術的
課題があり、現場施行の実態を考えると実現性は必ずし
も高いとは言えない。
本発明者等は種々の面から検討を加え、現場適用が容易
であり且つ高能率、無欠陥の溶接が可能な多電極TIG
溶接方法を見い出した。
第1図は本発明者等による多電極TIG溶接方法の一例
で、先行電極2による溶着金属ビード3の形状を後行電
極8により、ビード形状を9に示すようにナメ付修正す
るものであり、先行電極2は溶着金属の形状を適正にす
るための溶接条件制約が緩和されて多溶着量溶接が可能
となり、又後行電極8は溶着金属の形状や品質をナメ付
けで修正するため両電極の相互の作用により高能率で溶
接欠陥のない溶接を実現したものである。第2図及び第
3図は第1図のハ−ハ切断面図、及びニ−ニ切断面図で
あり本発明の多電極TIG溶接方法で形成されるビード
形状の例を示したもので、先行電極2で形成されるビー
ド形状が第2図の3のような不整ビードと成ると、従来
の多電極溶接の積層溶接では10の部分に融合不良等の
溶接欠陥が高頻度で発生するが、本発明では後行電極8
でビード形状をナメ付修正する事により第3図の9のよ
うにビード形状が平坦化されて溶接欠陥はない。又第4
図は本発明の別の実施態様例で、フィラーワイヤー4の
溶融溶着を単電極で行う第1図の方法では溶接条件の規
制が緩和されても溶着金属量の増には限界があるため、
先行電極を複数2,2aとし、各々でフィラーワイヤー
4,4aの溶融溶接を1プール1電極方式で行うことに
より溶着金属量を増加させ、後行電極8によるナメ付溶
接により、先行電極2aで形成されたビード3の形状を
平坦なビードに修正する事で、より高能率な溶接を可能
ならしめるものである。先行電極2および2aの溶接電
流は同一でもよいが、材料温度の関係等から2と2aの
電極では溶け込み深さが異なるため、電極2の電流値を
単電極溶接時の電流値とし、2aの電極の電流値は電極
2の1.0〜1.5倍とし多溶着溶接を行うことができ
る。
第5図〜第7図は第4図のホ−ホ、ヘ−ヘ、ト−トの各
切断面図で第4図で示した多電極TIG溶接の各電極で
形成されるビードの断面形状を示したものである。第8
図は本発明の別の構成で、プラズマトーチ11を有する
高能率溶接法である。公知の高速−高能率溶接法として
先行TIG電極に加熱機能を持たせた多電極TIG溶接
法が最近実用化されているが、TIG電極による加熱は
平面的な予熱効果はあるが加熱深さが浅く厚手材等の予
熱には適さない。しかしプラズマ加熱は大なる溶着量を
要求される厚手材の狭開先の溶接にあって、深部も予熱
されるために優位点がある。即ち第9図に示すごとく、
TIG加熱に比べ高深度で狭い範囲の加熱が出来るプラ
ズマ加熱の特性を活かし、最先行部にプラズマ加熱源を
設け、最適な予熱効果を実現せしめ、電極2による溶け
込み深さを著しく増大させ、溶接能率の向上を具現化し
たものである。
本発明の構成図で説明した各電極及びプラズマ加熱源
は、直列に配置されたもので、各電極間距離は20〜5
0mmが好ましい。
[実施例] 第1表に、チタンのTIG溶接による1パス溶接時の溶
接条件と溶接能率、溶接品質の例を、従来法と本発明で
比較して示した。開先形状は第10図とした。本発明の
溶接方法は従来の方法に比 べて溶着量(g/min)を極めて大きくする事が可能であ
り、且つ溶接欠陥がない。
[発明の効果] 本発明法の採用により、従来の単電極TIG溶接法に比
べ溶接欠陥が少なく且つ溶接能率を2〜4倍に向上させ
ることができ、又本発明は現場適用性の高い溶接法であ
り、産業上の効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明で先行電極が一本で後行電極が一本の例
を示す図。 第2図は第1図の先行電極によるビード形状を示す図。 第3図は第1図の後行電極によるナメ付溶接後のビード
形状を示す図。 第4図は本発明で先行電極が二本で後行電極が一本の例
を示す図。 第5図は第4図で最先行電極によるビード形状を示す
図。 第6図は第4図で2a電極による二層肉盛り後のビード
形状を示す図。 第7図は第4図で電極8によりナメ付溶接後のビード形
状を示す図。 第8図は本発明でプラズマトーチを有する例を示す図。 第9図はTIG電極とプラズマトーチによる加熱部の大
きさを示す図。 第10図は実施例の開先形状を示す図。 第11図は従来の実施例を示す図、第12図は従来の他
の実施例を示す図。第13図は従来の別の実施例を示す
図。第14図は従来の更に異なる実施例を示す図。であ
る。 1:チタン板、2:TIG電極、2a:TIG電極、
3:肉盛ビード、4:フィラーワイヤ、5:開先、6:
予熱用TIG電極、7:プール、8:ナメ付溶接用TI
G電極、9:ナメ付溶接で平滑化されたビード、10:
溶接欠陥の原因となる箇所、11:プラズマトーチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 添田 精一 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 近藤 正義 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタンのTIG溶接に於いて、先行電極で
    フィラー添加溶接し後行電極でナメ付溶接することを特
    徴とする多電極TIG溶接によるチタンの高能率溶接方
  2. 【請求項2】先行電極が複数の先行電極であることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載の多電極TIG溶
    接によるチタンの高能率溶接方法
  3. 【請求項3】チタンのTIG溶接に於いて、1又は2以
    上の先行電極でフィラー添加溶接し後行電極でナメ付溶
    接することを特徴とする多電極TIG溶接法にあって、
    先行電極の更に先にプラズマトーチを有し、プラズマ予
    熱することを特徴とするチタンの高能率溶接方法
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