JPH06349401A - Sc系含浸形カソード及びその製造方法並びに電子管 - Google Patents

Sc系含浸形カソード及びその製造方法並びに電子管

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JPH06349401A
JPH06349401A JP14174993A JP14174993A JPH06349401A JP H06349401 A JPH06349401 A JP H06349401A JP 14174993 A JP14174993 A JP 14174993A JP 14174993 A JP14174993 A JP 14174993A JP H06349401 A JPH06349401 A JP H06349401A
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oxide
impregnated
film
electron
cathode
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JP14174993A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Aida
敏之 会田
Susumu Sasaki
進 佐々木
Tadashi Narisei
正 成清
Emiko Yamada
絵実子 山田
Tomio Yaguchi
富雄 矢口
Mutsuzou Suzuki
睦三 鈴木
Toshiaki Kusunoki
敏明 楠
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 イオン衝撃に強いSc系含浸形カソード及び
その製造方法並びに電子管を提供する。 【構成】 バリウム(Ba)酸化物、アルミニウム(A
l)酸化物、カルシウム(Ca)酸化物およびスカンジ
ウム(Sc)酸化物を電子放出物質2として多孔質タン
グステン(W)1中に含浸させ、かつその表面にScを
含む膜4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は含浸形カソードおよびこ
れを用いた電子管、さらに詳しくいえば表示管、ブラウ
ン管、撮像管、等の電子管に用いられる、とくに高電流
密度で、イオン衝撃に強く、かつ電子放出分布の良いS
c系含浸形カソードに係る。
【0002】
【従来の技術】含浸形カソードは高電流密度が得られる
ため、大型CPT,高精細ブラウン管に有望視されてい
る。従来の含浸形カソードは図2に示すように、Wから
なる耐熱多孔質体1にBaを含む酸化物、通常はBa
O、CaOとAl23からなる混合物2を含浸させたも
のを基本としているが、カソード表面にW金属とSc酸
化物(Sc23)の混合膜もしくはW金属とSc23
12からなる混合膜3を被覆することによって、電子放出
特性が向上することが知られている。例えば文献として
テレビジョン学会技術報告第14巻(1990年)第1
3頁から第18頁が上げられる。Sc系含浸形カソード
関連の特許としては特開昭61−91821号公報があ
る。
【0003】Sc系含浸形カソードは低仕事関数の表面
をもつが、これは下地基体の内部で、W多孔質体とエミ
ッターの反応で生じたBaと表面にあるSc,Oからな
る単原子層の働きによるといわれている。10A/cm
2の電流密度が得られるカソード温度をカソードの動作
温度と定義すると、基本型含浸形カソードの仕事関数は
約2.0eV,動作温度は1100〜1200℃とな
る。これに対して、Sc系含浸形カソードの仕事関数は
1.2eVで、動作温度は850〜900℃の低温であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のSc系含浸
形カソードには、イオン衝撃に弱いという問題がある。
すなわち、ブラウン管にカソードを実装し、TV動作さ
せると、管内の雰囲気ガスは電子線衝撃で、イオン化さ
れる。成分としてはArの正イオンが多い。これらの正
イオンは電界強度勾配に沿って、カソード方向に向か
い、真空中でSc系含浸形カソードを加熱すると表面に
形成する(Ba,Sc,W,O)単原子層を破壊する。
この中で、BaとOに比べて、Scの補給速度は遅いた
め、従来のSc系含浸形カソードは一度イオン衝撃を受
けると、なかなかエミッションが回復しない問題があ
る。
【0005】本発明の第1の目的はイオン衝撃にも強い
Sc系含浸形カソードを提供することにある。第2の目
的はその製造方法を提供することにある。第3の目的は
イオン衝撃にも強いSc系含浸形カソードを用いた電子
管を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、バリ
ウム(Ba)酸化物、アルミニウム(Al)酸化物、カ
ルシウム(Ca)酸化物およびスカンジウム(Sc)酸
化物を電子放出物質として用いて含浸形基体を形成し、
かつその表面にScを含む膜を形成することにより達成
できる。
【0007】Scを含む膜としては、ScとWを金属成
分とする酸化膜を用いることができる。この場合、酸化
膜は含浸形基体の電子放出表面に存在するW粒子を介し
て電子放出表面上に形成する。
【0008】また、酸化膜を構成するW粒子の大きさp
を0.5≦p≦2μmにすることにより電子放出の不均
一分布を減少できる。ここで、W粒子は通常球体として
取り扱われ、その大きさpは、酸化膜を構成するW粒子
の平均直径を表す。
【0009】また、酸化膜のWとScの原子組成比(W
/W+Sc)=xを0.2≦x≦0.7とし、酸化膜の
厚さtを5≦t≦50nmとすることにより、高い放出
電流が得られる。
【0010】上記第2の目的は、タングステン(W)を
主成分とする多孔質基体の細孔部にバリウム(Ba)酸
化物、アルミニウム(Al)酸化物、カルシウム(C
a)酸化物およびスカンジウム(Sc)酸化物を電子放
出物質として含浸させ、多孔質基体の表面近傍の上記電
子放出物質を除去した後、除去した後に残るW粒子の表
面にSc23を付着してSc23膜を形成する。その
後、W粒子の一部を酸化してWの酸化物を形成し、この
Wの酸化物とSc23膜とを真空熱処理により反応させ
て、ScとWを金属成分とする酸化膜に変換し、W粒子
の表面に酸化膜を形成することにより達成できる。
【0011】上記第3の目的は、上記Sc系含浸形カソ
ードを用いることにより達成できる。
【0012】
【作用】Sc系含浸形カソードにおいて、電子放出能力
を高めるには含浸形基体表面に均一な(Ba,Sc,
W,O)単原子層、とくに均一なBaとSc単原子層が
必要である。本発明によれば、イオン衝撃により単原子
層が破損されても、BaとScが絶えず補給されるので
単原子層の再生が可能である。
【0013】なぜならば、本発明では、従来から電子放
出物質として用いているBaO等のBa酸化物等の他
に、Sc23等のSc酸化物を電子放出物質として含浸
形基体に含浸させているからである。Baは、BaOと
基体材料であるWの還元反応で生じ、含浸形基体表面に
間断なく補給される。また、Scは、Sc23とWの還
元反応で生じ、含浸形基体表面に間断なく補給される。
【0014】また、酸化膜を構成するW粒子の大きさp
を2μmと小さくすることにより、その含浸形基体表面
内分布を均一にすることができ、含浸形基体表面に補給
されるBaとScの面内分布均一性が良くなる。その結
果、電子放出の面内不均一分布を改善できる。ただし、
W粒子の大きさpが0.5μmより小さいと、酸化の影
響が大きく、一部のみを酸化することが難しくなるので
好ましくない。
【0015】また、上記第2の目的の達成手段を用いれ
ば、このような効果を有するSc系含浸形カソードを確
実に提供できる。
【0016】
【実施例】
実施例1 下地含浸形カソードは、粒径5μmのW粉を用いて、プ
レス成型、水素中仮焼結、真空中焼結によって作製し
た。多孔質W体の空孔率は28%である。次いで、水素
雰囲気中で、4BaO・CaO・Al23の組成比から
なる電子放出物質を1800℃で3分間加熱溶融して含
浸し、下地含浸形カソードを作製した。カソード表面の
余分な電子放出物質は純水中で約5分間超音波洗浄する
ことで化学的に溶融除去した。表面から約20μmの深
さで電子放出物質が除去された。その様子は図1に示し
た。
【0017】(Sc、W)酸化膜は、高周波マグネトロ
ンスパッタ装置を使用し、各種組成のSc23とWO3
からなるターゲットを作製して、4PaのAr雰囲気下
で上記下地カソードの表面に厚さ20nmの薄膜を付着
させて作製した。
【0018】以上のようにして作製した本発明の含浸形
カソードを、超高真空容器内に、設置し、1150℃で
2時間の活性化処理を行った後、850℃に加熱しなが
ら放出電流を測定した。放出電流はカソードの前面に7
mm離して、Moのアノード板を置き、アノードに7k
Vのパルス電圧(パルス巾10μs,周波数50Hz)
を印加した時に、カソードを通りぬける電流を抵抗体に
発生する電圧で読み取って求めた。図3は被覆膜中のW
とScの原子比率xと放出電流値の関係を示す。0.2
≦x≦0.7の範囲で放出電流値が高くなる。なお、被
覆膜の厚さtに関しては5≦t≦50nmの範囲で放出
電流値が高くなり、それ以外では放出電流値の低下が見
られた。
【0019】実施例2 図4はスパッタターゲットにSc23単体を用いて、実
施例1に記載のカソード表面にSc23膜を20nm被
覆した後、大気中で酸化処理をして、実施例1と同種の
方法で放出電流を測定し、酸化温度の影響を調べた結果
である。酸化時間は10分である。酸化温度200から
500℃で放出電流値の向上が見られる。これはW表面
の一部を大気酸化し、そののち真空熱処理することで、
実施例1記載の(Sc、W)酸化膜を自然に形成するこ
とが出来るものと考えられる。
【0020】実施例3 図5はカソード表面の最表面を、単原子層程度アルゴン
イオン銃で除去した後、カソードを900℃に加熱し
て、放出電流の回復過程を調べたものである。従来のW
金属とSc酸化物(Sc23)の混合膜を200nmと
厚く被覆したSc系カソード5は放出電流の回復が遅
い。これに対して、実施例1と実施例2で作製した本発
明のカソード6は放出電流の回復が著しく改善されてい
る。AESによる表面分析によると、Sc元素の早い回
復と同期している。また、電子放出物質の中にSc成分
を6BaO・CaO・Al23・Sc23の比率で加
え、さらに実施例1で作製した膜にBaO成分を10原
子%加えたカソード7は放出電流の回復過程がさらに早
くなっている。このカソードはイオン衝撃を受けても、
(Ba,Sc,W,O)単原子層の早期形成が可能なた
めである。
【0021】実施例4 実施例1、2、3ではカソード基体のW多孔質体に平均
粒径5μmのW粉を用いた。ここでは、平均粒径1μ
m、最大粒径2μm、最小粒径0.5μmの微細W粉か
らなるW多孔質体も作製した。この2種類のW多孔質体
からなる含浸形カソードの表面に実施例1の被覆膜を形
成して、850℃に加熱しながら、電子放出分布を測定
した。測定原理はカソードの前面に、300μm離し
て、25μmの小さな4角の孔を有するアノード板を置
き、カソードに対して、+300V印加し、小孔を通り
ぬけた電子流をファラデーカップで読み取った。カソー
ド表面の電子放出分布はアノード板をカソードに平行に
移動させることでもとめた。図6は平均粒径5μmのW
粉と平均粒径1μmのW粉とからなる含浸形カソードの
電子放出分布を示す。電流密度は測定した電流を小孔の
面積で割って求めた。平均粒径5μmの特性8は不均一
の電子放出分布をしているのに対して、平均粒径1μm
の特性9は電流密度が高く、しかも均一な電子放出分布
をしている。平均粒径1μmの含浸形カソードでは内部
で発生したBa蒸気が均一性良く表面に、供給出来され
るので、最表面における(Sc,W)酸化膜とBa蒸気
の還元反応がスムーズになされ、低仕事関数の(Ba,
Sc,W,O)単原子層を均一性良く形成出来る利点が
有る。しかし、0.5μm以下のW粒子を用いると、W
多孔質体の中に異常焼結したものが存在し、電子放出分
布の均一化の点で逆効果であった。
【0022】
【発明の効果】本発明の被覆膜と下地基体からなる含浸
形カソードを用いると、カソード基体内部で発生するB
a蒸気で膜が均一性良く活性化され、低仕事関数の表面
形成に必要な(Ba,Sc,W,O)単原子層を短時間
にかつ均一性良く形成できる。そのため、イオン衝撃に
強く、かつ電子放出に対しても、均一性の良いSc系含
浸形カソードが可能となる。したがって、本発明の含浸
形カソードをブラウン管や撮像管に組み込むと、従来の
Sc系含浸形で問題であった課題が克服される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の骨子を説明するために用いたSc系含
浸形カソードの断面構造図である。
【図2】従来のSc系含浸形カソードの断面構造図であ
る。
【図3】放出電流に及ぼす被覆膜中のSc/W比率を示
す図である。
【図4】放出電流に及ぼす含浸形カソードに対する大気
酸化温度の影響の度合いを示す図である。
【図5】イオン衝撃後の放出電流の回復過程を示す図で
ある。
【図6】平均粒径5μmのW粉と平均粒径1μmのW粉
とからなる含浸形カソードの電子放出分布を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…W多孔質体、2…電子放出物質、3…W金属とSc
酸化物の混合膜、4…(Sc,W)酸化膜、5…従来の
Sc系含浸形カソード、6…本発明のSc系含浸形カソ
ード、7…本発明の被覆膜にBa成分を添加し、さらに
電子放出物質にSc成分を添加したSc系含浸形カソー
ド、8…平均粒径5μmのW粉、9…平均粒径1μmの
W粉。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 絵実子 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 矢口 富雄 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 鈴木 睦三 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 楠 敏明 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バリウム(Ba)酸化物、アルミニウム
    (Al)酸化物、カルシウム(Ca)酸化物およびスカ
    ンジウム(Sc)酸化物を電子放出物質として多孔質タ
    ングステン(W)中に含浸させた含浸形基体と、該含浸
    形基体の電子放出表面に形成されたScを含む膜を有す
    ることを特徴とするSc系含浸形カソード。
  2. 【請求項2】上記Scを含む膜はScとWを金属成分と
    する酸化膜から成り、該酸化膜の少なくとも一部分は上
    記含浸形基体の電子放出表面に存在するW粒子を介して
    上記電子放出表面に形成されている請求項1記載のSc
    系含浸形カソード。
  3. 【請求項3】上記酸化膜を構成するW粒子の大きさpは
    0.5≦p≦2μmである請求項2記載のSc系含浸形
    カソード。
  4. 【請求項4】上記酸化膜のWとScの原子組成比(W/
    W+Sc)=xは0.2≦x≦0.7であり、上記酸化
    膜の厚さtは5≦t≦50nmである請求項2または3
    に記載のSc系含浸形カソード。
  5. 【請求項5】タングステン(W)を主成分とする多孔質
    基体の細孔部にバリウム(Ba)酸化物、アルミニウム
    (Al)酸化物、カルシウム(Ca)酸化物およびスカ
    ンジウム(Sc)酸化物を電子放出物質として含浸させ
    る工程と、上記多孔質基体の表面近傍の上記電子放出物
    質を除去する工程と、上記電子放出物質の除去部に存在
    する上記多孔質基体を構成するWの表面にSc23を付
    着してSc23膜を形成する工程と、該Sc23膜が形
    成されたWの一部を酸化してWの酸化物を形成する工程
    と、上記Sc23膜と上記Wの酸化物とを真空熱処理に
    より反応させ、ScとWを金属成分とする酸化膜に変換
    する工程を有することを特徴とするSc系含浸形カソー
    ドの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至4のいずれか一項に記載の含
    浸形カソードを有することを特徴とする電子管。
JP14174993A 1993-06-14 1993-06-14 Sc系含浸形カソード及びその製造方法並びに電子管 Pending JPH06349401A (ja)

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