JPH06347770A - 液晶素子およびそれに用いるオリゴマー - Google Patents

液晶素子およびそれに用いるオリゴマー

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JPH06347770A
JPH06347770A JP14090393A JP14090393A JPH06347770A JP H06347770 A JPH06347770 A JP H06347770A JP 14090393 A JP14090393 A JP 14090393A JP 14090393 A JP14090393 A JP 14090393A JP H06347770 A JPH06347770 A JP H06347770A
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JP
Japan
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liquid crystal
oligomer
group
mixed film
liquid crystalline
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JP14090393A
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English (en)
Inventor
Kayoko Morikawa
佳代子 森川
Junichi Ono
純一 小野
Koji Hara
浩二 原
Toru Kashiwagi
亨 柏木
Yasushi Saito
寧 齋藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 応答速度の速い液晶素子を提供する。 【構成】 液晶性高分子の一部を、主鎖の1個所のみ
に、側鎖として、柔軟なスペーサ部とメソゲン基とから
なる液晶性基を結合したオリゴマーで置き換えた高分子
液晶/低分子液晶混合膜1を、一対の基材2で挟持し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、TV画面や一般OA機
器、自動車に搭載して地図表示、案内表示等の情報を運
転者に提供する車載ナビゲーション等のディスプレイ画
面に好適に使用される液晶素子と、それに用いられるオ
リゴマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常の液晶素子は、数μmの間隔に固定
した一対の基材間に、低分子量の液晶材料を注入するこ
とで形成される。ところがこのような構成では、大面積
のディスプレイの作製が困難である。また液晶を封入し
た一対の基材には、それぞれ素子の動作原理上、一対の
偏光板を、その偏光軸を互いに直交させた状態で取り付
ける必要があり、画面の明るさや視野角等が不十分にな
るという問題がある。
【0003】また従来の液晶素子は、強誘電性液晶を用
いる場合を除き、配向状態にメモリー性がないため、大
画素数の表示画面用には、製造歩留りの悪いTFT等を
用いたアクティブマトリクス駆動が必要となり、故障等
が発生しやすく信頼性が低い、素子が高価になる、等の
問題も生じる。強誘電性液晶を使用すればアクティブマ
トリクス駆動は不要になるが、1〜2μmという極めて
薄いセルギャップ制御と液晶の均一な配向制御が必要な
ため、実用化には程遠く、小面積ですら満足な表示を得
られないのが現状である。
【0004】低分子の液晶材料のコア部の化学構造に相
当する基(メソゲン基)と、このメソゲン基を主鎖と繋
ぐ柔軟な屈曲鎖(スペーサ部)とからなる液晶性基を、
側鎖として、高分子の骨格鎖(主鎖)に結合した側鎖型
液晶性高分子を、通常の低分子量の液晶材料と混合し、
それを、一定間隔に配置された一対の基材間に挟持して
高分子液晶/低分子液晶混合膜を形成してなる液晶素子
が、九州大学の梶山千里教授らのグループによって開発
された〔特開平2−193115号公報、特開平2−1
27494号公報、Chem. Lett., 817 (1989) 〕。
【0005】この液晶素子は、上記混合膜に印加される
電場の周波数により、白濁あるいは透明の何れかの状態
を示すように動作する。つまり混合膜に低周波または直
流の電場を印加すると、当該膜内で電場に付随してイオ
ンが移動し、側鎖型液晶性高分子の主鎖に衝突して液晶
の配列が乱されるため、素子は入射光が散乱されて不透
明な白濁状態になる。一方、混合膜に高周波の電場を印
加すると、当該膜内の液晶分子が電場方向にホメオトロ
ピック配向して、入射光が散乱されずに透過できるよう
になるため、素子は透明状態になる。
【0006】また混合膜はスメクチック相構造を形成す
るため、上記液晶素子は透明、白濁の両状態ともに、電
場印加停止後も安定に保持されるいわゆるメモリー性を
有する。したがって上記高分子液晶/低分子液晶混合膜
を用いた液晶素子では、そのメモリー性のためにアクテ
ィブマトリクス駆動が不要になる。またこの混合膜は高
分子を含有するものゆえ、それ自身が自己支持性を有し
ており、強誘電性液晶のような厳密なセルギャップ制御
を必要としない。しかも上記駆動機構からもわかるよう
に、混合膜は液晶の均一な配向制御も必要としない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記高分子
液晶/低分子液晶混合膜を用いた液晶素子は、液晶性高
分子の粘性が高いため、透明から白濁および白濁から透
明への転換の応答速度が遅いという問題がある。混合膜
中の液晶性高分子の比率を下げるか、または液晶性高分
子の重合度(分子量)を下げることで混合膜の粘性を低
下させれば、素子の応答速度が速くなるように考えられ
るが、実際には、逆に応答速度、とくに透明から白濁へ
の転換の応答速度が極めて遅くなるか、または全く転換
しなくなるという問題が生じる。
【0008】この原因は、前記のように液晶性高分子の
主鎖が、透明から白濁への転換に関与しているためであ
ると考えられる。つまり液晶性高分子の比率や重合度が
低いと、電場に付随して移動したイオンが液晶性高分子
の主鎖に衝突する確率が小さくなり、液晶配列の乱れが
十分に起こらないため、透明から白濁への転換が悪化す
るのである。
【0009】また、上記のように液晶性高分子の比率や
重合度を下げると、混合膜の自己支持性が低下するとい
う問題も生じる。そこで本発明者らは、先に、主鎖を架
橋した液晶性高分子を使用することを提案した(特願平
3−327725号)。この構造では、架橋構造ゆえ混
合膜の自己支持性の向上が可能になるとともに、イオン
の衝突によって生じた液晶配列の乱れが、架橋を通じ
て、混合膜の広範囲にわたって迅速に伝わることから、
応答性の改善が期待された。
【0010】しかし液晶性高分子を架橋すると、その分
子量が大きくなって混合膜の粘性が高くなり、応答速度
が遅くなる場合があった。本発明は、以上の事情に鑑み
てなされたものであって、応答速度の速い液晶素子と、
それに用いられるオリゴマーを提供することを目的とし
ている。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するためには、白濁度が良好なままで混合膜全体の粘
性を下げることが必要と本発明者らは考え、それを実現
するために必要な混合膜の配合および構造について種々
検討を行った。その結果、混合膜を構成する液晶性高分
子の一部を、主鎖の1個所のみに、側鎖として、柔軟な
スペーサ部とメソゲン基とからなる液晶性基を結合した
オリゴマーで置き換えると、白濁時の白濁度を維持しつ
つ混合膜全体の粘性を下げて、素子の応答速度を向上で
きるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明の液晶素子は、混合膜を構
成する液晶性高分子の一部を、上記オリゴマーで置き換
えたことを特徴とする。また上記本発明の液晶素子に好
適に用いられる、本発明のオリゴマーは、一般式(1) :
【0013】
【化5】
【0014】〔式中Aはスペーサ部、Xはメソゲン基を
示し、k,m,nおよびpは、同一または異なって1〜
5の整数を示す。〕で表されることを特徴とする。混合
膜の動作のうち透明から白濁への転換においては、液晶
性高分子の運動性がその速度を律し、白濁から透明への
転換は、液晶性基の配向性がその速度を律している。
【0015】液晶性高分子の一部を、より分子量が小さ
くかつ液晶性基の数が少ない上記オリゴマーで置き換え
ると、混合膜全体の平均分子量が下がり、またその粘度
も低くなることから、白濁→透明の転換時には、液晶性
基が配向しやすくなって、その転換速度が向上する。ま
たオリゴマーは、液晶性高分子と同様に主鎖構造を有す
るため、単に液晶性高分子の比率を下げたときのよう
に、混合膜全体の主鎖濃度は低下しない。よって、イオ
ンの主鎖への衝突頻度も低下しないので、透明→白濁の
転換速度が低下するおそれはない。のみならず、上記オ
リゴマーは分子量が小さいので、イオンの衝突が強く伝
わって主鎖が乱れやすいことが予想され、混合膜全体の
粘度が低くなって、液晶性高分子の主鎖が動きやすくな
ることと相俟って、透明→白濁の転換速度は向上する。
【0016】また混合膜は液晶性高分子を混在している
ので、良好な白濁度を維持することができる。以下に本
発明を説明する。本発明の液晶素子は、少なくとも一方
の表面に電極層を形成した、一定の距離に配置された一
対の基材間に、上記オリゴマーと、通常の液晶性高分子
と、低分子の液晶材料と、電解質とを含有する高分子液
晶/低分子液晶混合膜を挟持することで構成される。
【0017】オリゴマーとしては、前記のように主鎖の
1個所のみに、側鎖として、柔軟なスペーサ部とメソゲ
ン基とからなる液晶性基を結合した、種々の化合物が使
用可能であるが、とくに、下記一般式(1) :
【0018】
【化6】
【0019】〔式中Aはスペーサ部、Xはメソゲン基を
示し、k,m,nおよびpは、同一または異なって1〜
5の整数を示す。〕で表される本発明のオリゴマーが好
適に使用される。また上記以外のオリゴマーとしては、
一般式(2) :
【0020】
【化7】
【0021】〔式中Aはスペーサ部、Xはメソゲン基、
Bはメチル基または下記式(3) :
【0022】
【化8】
【0023】で表される基を示し、q,rは、同一また
は異なって1〜5の整数を示す。〕で表されるオリゴマ
ーも好適に使用される。上記両式中のAに相当するスペ
ーサ部としては、たとえばアルキレン鎖(メチレン鎖
等)、オキシアルキレン鎖、シロキサン鎖、エステル
鎖、エーテル鎖、オキセタン鎖、ブタジエン鎖等を使用
することができる。
【0024】またXに相当するメソゲン基としては、た
とえば下記一般式(4) 〜(11):
【0025】
【化9】
【0026】〔式中Yは電子吸引性基またはアルコキシ
基を示す。〕で表される基等、通常の液晶材料のコア部
の化学構造に相当する従来公知の種々のメソゲン基を、
任意に採用することができる。前記一般式(1) で表され
る本発明のオリゴマーの好適な例としては、下記一般式
(1a):
【0027】
【化10】
【0028】〔式中sは1〜10の整数を示す。〕で表
される化合物があげられる。また一般式(2) で表される
オリゴマーの好適な例としては、下記一般式(2a):
【0029】
【化11】
【0030】〔式中tは3〜22の整数を示す。〕で表
される化合物があげられる。上記一般式(1a)で表される
本発明のオリゴマーを合成するには、まず下記反応式に
示すように、主鎖に相当するオリゴマー(12)と、スペー
サ部に相当する分子鎖を有する化合物(13)とを反応させ
て中間生成物(14)を合成する。
【0031】
【化12】
【0032】〔式中s前記と同様である。〕 つぎに下記反応式に示すように、上記中間生成物(14)
と、メソゲン基に相当する部分を有する化合物(15)とを
反応させると、前記一般式(1a)で表されるオリゴマーが
得られる。
【0033】
【化13】
【0034】〔式中sは前記と同様である。〕 一方、一般式(2a)で表されるオリゴマーを合成するに
は、下記反応式に示すように、主鎖に相当するオリゴマ
ー(16)と、液晶性基に相当する化合物(17)とを反応させ
ればよい。
【0035】
【化14】
【0036】〔式中tは前記と同様である。〕 上記オリゴマーと液晶性高分子との配合割合は、本発明
ではとくに限定されないが、重量比で(オリゴマー)/
(液晶性高分子)=1/9〜8/2程度が好ましい。オ
リゴマーの割合が上記範囲より少ないと、混合膜の粘性
を下げる効果があまり得られず、逆にオリゴマーの割合
が上記範囲より多いと、混合膜の白濁時の白濁度が不十
分になるおそれがある。
【0037】かかるオリゴマーは1種類を単独で使用し
てもよく、2種以上を併用してもよい。上記オリゴマー
とともに混合膜を構成する液晶性高分子としては、高分
子の主鎖に、スペーサ部とメソゲン基とからなる側鎖液
晶性基をグラフトした側鎖型のものが好適に使用され
る。
【0038】側鎖型液晶性高分子の主鎖としては、ポリ
シロキサン主鎖、ポリオキシエチレン主鎖、ポリアクリ
レート主鎖、ポリメタクリレート主鎖、ポリエステル主
鎖、ポリオキセタン主鎖など種々のものがあげられる
が、ポリシロキサン主鎖またはポリオキセタン主鎖、と
りわけトリメチレンオキシド(オキセタン)の開環重合
物であるポリオキセタン主鎖のものが室温付近で液晶相
を示し、液晶基の応答性がよいので好ましい。とくに上
記ポリオキセタン主鎖を架橋したもの(特願平4−27
2060号記載のもの)が、最も好適に使用される。
【0039】側鎖型液晶性高分子の側鎖液晶性基を構成
するスペーサ部およびメソゲン基としては、前記オリゴ
マーの説明中で例示したものなどが好適に使用される。
側鎖液晶性基のグラフト率は任意に設定される。液晶性
高分子の構造、平均分子量、分子量分布等の条件は、素
子の特性に重大な影響を及ぼすので、これらの条件は、
要求される素子の特性に合わせて適宜設定するのがよ
い。かかる液晶性高分子は、1種類を単独で使用しても
よく、2種以上を併用してもよい。
【0040】液晶性高分子とともに混合膜を構成する低
分子の(ここでいう「低分子の」とは、液晶性高分子の
ような主鎖構造、側鎖構造を有しないということを表
し、決して分子量で規定しているのではない。)液晶材
料としては、主鎖型あるいは側鎖型の液晶性高分子を除
外した、通常用いられる市販あるいは公知で、かつ単成
分もしくは複数成分からなる種々の液晶材料(たとえば
ネマチック液晶、スメクチック液晶、カイラルスメクチ
ック液晶など)を使用することができる。
【0041】低分子の液晶材料の物性としては、誘電率
異方性Δεが大きいもの、屈折率異方性Δnが大きいも
のが好ましい。またとくに重要な要素として、液晶性高
分子と混合した際に、素子の使用温度領域でスメクチッ
ク相を示すことがあげられる。これにより混合膜は、前
述したようなメモリー性を有するものとなる。かかる液
晶材料は、1種類を単独で使用しても、2種以上を併用
してもよい。
【0042】低分子の液晶材料の配合比率はとくに限定
されないが、重量比で、(オリゴマー+液晶性高分子)
/(低分子の液晶材料)=0.5/9.5〜6/4程度
が好ましい。低分子の液晶材料の割合が上記範囲未満で
は、素子の応答速度が遅くなるおそれがあり、逆に低分
子の液晶材料の割合が上記範囲を超えた場合には、主鎖
にイオンが衝突する確率が小さくなって、透明から白濁
への転換が起こりにくくなるおそれがあるとともに、混
合膜の自己支持性が不十分となって、とくにフレキシブ
ルな基材を用いた屈曲性のある大面積の液晶素子を構成
できなくなるおそれがある。
【0043】混合膜には、微小量の電解質が配合され
る。電解質としては、塗布液に溶解するものであればい
ずれも使用することができ、たとえば一般式(18):
【0044】
【化15】
【0045】(式中R1 ,R2 ,R3 ,R4 は同一また
は異なって、直鎖のまたは分岐した炭素数1〜6のアル
キル基を示し、YoはF、Cl、Br、I、ClO4 、P
4 、BF 4 等を示す。)で表される4級アンモニウム
塩が好適なものとしてあげられる。電解質の添加量は、
混合膜の総量に対して0.05〜1重量%程度が好まし
い。かかる電解質は、1種類を単独で使用しても、2種
以上を併用してもよい。
【0046】上記各成分からなる混合膜には、表示をカ
ラー化するために、従来公知の各種2色性色素を配合す
ることもできる。また混合膜には、その特性を損なわな
い範囲で、各種添加物や非液晶性化合物等を混合して特
性を調整することもできる。また混合膜には、当該混合
膜を挟持する一対の基材間の間隔を一定に保つべく、シ
リカ製、ガラスファイバー製または樹脂製で、かつ粒
状、針状等の任意の形状のスペーサ材を混入、分散させ
ることもできる。スペーサ材の粒径は、所望する基材間
の距離(すなわち混合膜の膜厚)に合わせて設定され
る。スペーサ材の混合割合は、これに限定されるもので
はないが、液晶面積1mm2 当り10〜300個程度であ
るのが望ましい。
【0047】混合膜の材料として使用される、上記各成
分からなる混合物は、液晶性高分子を含有しているので
比較的粘度が高く、このため、液晶の流動によってスペ
ーサ材が局在化するおそれがない。したがってスペーサ
材は混合膜中に均一に分散され、基材の間隔を一定に保
つために十分に作用する。混合膜の膜厚は、本発明では
とくに限定されないが、コントラストや駆動電圧の点か
ら、1〜30μmであるのが好ましい。
【0048】上記混合膜を挟持する一対の基材として
は、ガラス板等の、液晶素子の基材として従来より使用
されている種々の基材が使用可能であるが、重くかつ割
れやすいというガラス板の欠点を解消して、軽量でしか
も丈夫な素子を得るには、プラスチックフィルムやプラ
スチック板が、基材として好適に使用される。プラスチ
ックフィルムとしては、たとえば耐熱性、実用的強度、
光学的均一性などにすぐれたポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フィルムやポリエーテルスルホン(PE
S)フィルム等があげられる。プラスチックフィルムの
厚みは、これに限定されるものではないが、50〜50
0μm程度が好ましい。
【0049】プラスチック板としては、たとえば各種ア
クリル樹脂板、ポリカーボネート板、ポリスチレン板等
の、光学的特性にすぐれたプラスチック板が好適に使用
される。プラスチック板の厚みは、これに限定されるも
のではないが0.5〜3mm程度が好ましい。一対の基材
のうち少なくとも一方の表面には、混合膜に電場を印加
するための電極層が形成される。透過型の素子の場合、
電極層としては、ITO(インジウム−チン−オキサイ
ド)やSnO2 等の透明導電材料からなる透明導電膜が好
適に使用される。透明導電膜は、真空蒸着法や反応性ス
パッタリング法により形成される他、上記透明導電材料
を含むインクを基材上に塗布あるいは印刷して形成する
こともできる。また本発明の液晶素子をデータ等の表示
に用いる場合、上記電極層には、エッチング等によって
所定の表示パターンを形成することもできる。
【0050】上記本発明の液晶素子は、従来公知の種々
の製造方法により製造することができる。たとえば基材
として、フィルム等の屈曲性のある基材を使用する場合
には、図1(a)(b)に示すように、上記各成分を適当な溶
媒に溶解し、かつスペーサ材sを分散した後、乾燥して
得たペースト状の混合物1′を一方の基材2上に載置
し、その上にもう一方の基材2を重ねてラミネートロー
ルr,rによってラミネート処理することで高分子液晶
/低分子液晶混合膜1を形成する、いわゆるラミネート
法が好適に採用される。
【0051】またガラス基材や硬質プラスチック基材等
の従来同様の基材を使用する際には、一定距離に保持し
た一対の基材間に上記混合物を注入して、高分子液晶/
低分子液晶混合膜を形成する方法や、あるいは一方の基
材の表面に、上記各成分を適当な溶媒に溶解した塗布液
を塗布し、乾燥固化させて高分子液晶/低分子液晶混合
膜を形成した後、もう一方の基材を重ね合わる方法等が
採用される。前者において、混合物を基材間に注入する
方法としては、混合物を毛細管現象によって基材間に含
浸させる方法や、基材間の隙間を減圧状態にして混合物
を吸い込ませる方法等があげられる。これらの方法によ
り混合物を基材間に注入する際には、その注入をスムー
ズに行わせるために、混合物を加熱して粘度を低下させ
てもよい。また同時に基材を加熱してもよい。混合物お
よび基材の加熱温度はとくに限定されず、液晶性高分子
や高分子材料等が分解したり変質したりしない温度範囲
で、かつ注入がスムーズになる温度に加熱すればよい。
【0052】また後者において、塗布液を基材の表面に
塗布する方法としては、バーコート法、スピンコート
法、スプレーコート法、ローラーコート法等の従来公知
の種々の塗布方法が採用できる。本発明の液晶素子は、
混合膜を構成する成分のうち液晶性高分子の一部が、前
記のオリゴマーによって置き換えられていること、以外
の構成についてはとくに限定されない。たとえば混合膜
を挟持する一対の基材のうち少なくとも一方の基材の外
側に、偏光板を配置してもよい。偏光板としては、フィ
ルム状、板状等の種々の形状のものが使用でき、これら
の形状を有する市販品を使用するのが簡単でよい。ま
た、一方の基材の裏面に反射膜を設ける等して反射型の
素子とするなど、本発明の要旨を変更しない範囲で、従
来の液晶素子と同様な、種々の設計変更を施すことがで
きる。
【0053】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づき説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 *オリゴマーの合成 前記一般式(13)中のsが5である1,5−ジブロモペン
タンの140ミリモルを、45mlのヘキサンに溶解した
溶液を反応容器に入れ、そこへ前記式(12)で表されるジ
エチリンの45ミリモルを加えた。つぎに、0.75モ
ルの水酸化ナトリウムを60mlの蒸留水に溶かした溶液
を、反応容器中にゆっくり滴下した後、攪拌下、還流し
つつ80℃で24時間反応させた。反応終了後、反応液
に蒸留水を加えてヘキサン相から未反応成分を抽出除去
し、さらにヘキサン相を濃縮後、減圧蒸留して中間生成
物を得た。
【0054】得られた中間生成物を、赤外分光分析法
(IR法)により分析したところ、図2の結果が得ら
れ、前記一般式(14)で表され、式中のsが5である構造
を有することが確認された。つぎに、上記反応生成物2
0.2ミリモルを、溶媒としてのジメチルホルムアミド
(DMF)5mlに溶解して、窒素置換した反応容器に入
れた。そして、前記一般式(15)で表される4−シアノ−
4′−ヒドロキシビフェニルの14.4ミリモルを、5
mlのDMFに溶解した溶液を、上記反応容器中にゆっく
り滴下した後、室温で30分間攪拌し、さらに60℃で
30分間攪拌した。つぎに、19ミリモルのNaHを15
mlのDMFに溶解した溶液を、上記反応容器中にゆっく
り滴下した後、60℃で15時間攪拌して反応させた。
反応終了後、反応液に蒸留水とクロロホルムを加えて、
クロロホルム相から未反応成分を抽出除去し、さらにク
ロロホルム相を濃縮後、ヘキサンとジエチルエーテルの
混合物(重量比1:1)を移動相用溶媒として使用し
て、カラムクロマトグラフ法による分離精製を行い、目
的物であるオリゴマーを得た。
【0055】得られたオリゴマーを、IR法により分析
したところ、図3の結果が得られ、前記一般式(1a)で表
され、式中のsが5である構造を有することが確認され
た。 *液晶素子の作製 上記オリゴマーの製造で得られたオリゴマー10重量部
を、下記式(19):
【0056】
【化16】
【0057】で表されるウレタン架橋型のポリオキセタ
ン系側鎖型液晶性高分子(自社合成品)10重量部、低
分子の液晶材料(メルクジャパン社製のスメクチック液
晶材料、品番S2)80重量部、ならびに、上記両液晶
材料の総量に対して0.05重量%の、電解質としての
テトラエチルアンモニウムブロマイドとともに、適当量
のアセトン/ジクロロメタン混合溶媒(1/1)に溶解
し、十分に攪拌したのち乾燥させて、ペースト状の混合
物を製造した。
【0058】つぎにこの混合物を、表面にITO電極層
が形成されたPESフィルム基材2枚の間に挟み、図1
(a)(b)に示したようにラミネート処理して、膜厚10μ
mの混合膜を有する液晶素子を作製した。実施例2 *オリゴマーの合成 前記式(16)で表されるトリス(トリメチルシロキシ)シ
ランの0.00124モルと、前記一般式(17)中のt が
6である液晶材料の0.00124モルとをトルエンに
溶解した溶液を反応容器中に入れ、触媒としての塩化白
金酸を100ppm加えて、攪拌下、110℃で24時
間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮し、トルエン
で再溶解し、さらにろ過して目的物であるオリゴマーを
得た。
【0059】得られたオリゴマーを、IR法により分析
したところ、図4の結果が得られ、前記一般式(2a)で表
され、式中のtが6である構造を有することが確認され
た。 *液晶素子の作製 一般式(1a)で表されるオリゴマーに代えて、上記オリゴ
マーの製造で得られた、一般式(2a)で表されるオリゴマ
ー10重量部を使用したこと以外は、実施例1の液晶素
子の作製と同様にして、膜厚10μmの混合膜を有する
液晶素子を作製した。
【0060】実施例3 前記式(19)で表される側鎖型液晶性高分子に代えて、下
記式(20):
【0061】
【化17】
【0062】で表される側鎖型液晶性高分子10重量部
を使用したこと以外は、実施例1の液晶素子の作製と同
様にして、膜厚10μmの混合膜を有する液晶素子を作
製した。比較例1 オリゴマーを使用せず、前記式(19)で表される側鎖型液
晶性高分子を20重量部使用したこと以外は、実施例1
の液晶素子の作製と同様にして、膜厚10μmの混合膜
を有する液晶素子を作製した。
【0063】評価試験 上記実施例、比較例の液晶素子に、室温下、1kHz、
60Vの交流を印加した時の透明→白濁の応答時間、お
よび60Vの直流を印加した時の白濁→透明の応答時間
を、He−Neレーザ光(波長633nm)で調べた。また白
濁時の白濁度を目視にて観察した。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】上記表1の結果より、実施例1〜3の液晶
素子はいずれも、比較例1の液晶素子に比べて透明→白
濁、白濁→透明の応答速度が速く、しかも比較例1と同
程度の白濁度を有することがわかった。
【0066】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の液晶素子
は、混合膜を構成する液晶性高分子の一部を、白濁時の
白濁度を維持しつつ混合膜全体の粘性を下げる機能を有
する特定構造のオリゴマーで置き換えたものゆえ、応答
速度が飛躍的に向上し応答性にすぐれている。また本発
明のオリゴマーは、上記特定構造を有するため、白濁時
の白濁度を維持しつつ混合膜全体の粘性を下げる機能を
有しており、液晶素子の応答速度を飛躍的に向上させる
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)(b)は、本発明の液晶素子をラミネート
法により製造する工程を説明する図である。
【図2】本発明の実施例1においてオリゴマーを合成す
る過程で生成した中間生成物の、赤外分光分析結果を示
すグラフである。
【図3】本発明の実施例1において合成したオリゴマー
の、赤外分光分析結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例2において合成したオリゴマー
の、赤外分光分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 高分子液晶/低分子液晶混合膜 2 基材
フロントページの続き (72)発明者 柏木 亨 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 齋藤 寧 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方の表面に電極層を形成し
    た、一定の距離に配置された一対の基材間に、液晶性高
    分子と、低分子の液晶材料と、電解質とを含有する混合
    膜を挟持した液晶素子において、上記液晶性高分子の一
    部を、主鎖の1個所のみに、側鎖として、柔軟なスペー
    サ部とメソゲン基とからなる液晶性基を結合したオリゴ
    マーで置き換えたことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】液晶性高分子の一部と置き換えられるオリ
    ゴマーが、一般式(1) : 【化1】 〔式中Aはスペーサ部、Xはメソゲン基を示し、k,
    m,nおよびpは、同一または異なって1〜5の整数を
    示す。〕、または一般式(2) : 【化2】 〔式中Aはスペーサ部、Xはメソゲン基、Bはメチル基
    または下記式(3) : 【化3】 で表される基を示し、q,rは、同一または異なって1
    〜5の整数を示す。〕で表される化合物である請求項1
    記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】請求項1記載の液晶素子に用いられるオリ
    ゴマーであって、一般式(1) : 【化4】 〔式中Aはスペーサ部、Xはメソゲン基を示し、k,
    m,nおよびpは、同一または異なって1〜5の整数を
    示す。〕で表されることを特徴とするオリゴマー。
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