JPH06345433A - フォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物およびその製造方法 - Google Patents

フォトクロミック性を有する酸化チタン系化合物およびその製造方法

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JPH06345433A
JPH06345433A JP5140527A JP14052793A JPH06345433A JP H06345433 A JPH06345433 A JP H06345433A JP 5140527 A JP5140527 A JP 5140527A JP 14052793 A JP14052793 A JP 14052793A JP H06345433 A JPH06345433 A JP H06345433A
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metal
titanium oxide
titanium
sodium
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JP5140527A
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Kazuo Yamamoto
和夫 山本
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G23/00Compounds of titanium
    • C01G23/003Titanates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01PINDEXING SCHEME RELATING TO STRUCTURAL AND PHYSICAL ASPECTS OF SOLID INORGANIC COMPOUNDS
    • C01P2006/00Physical properties of inorganic compounds
    • C01P2006/60Optical properties, e.g. expressed in CIELAB-values
    • C01P2006/62L* (lightness axis)

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 チタン化合物を酸化チタン換算で85.0〜
99.7重量%、ナトリウム化合物を酸化ナトリウム換
算で0.1〜7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッケ
ル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミニウ
ム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジルコニウムおよび
銀の少なくとも一種より成る金属化合物を金属酸化物換
算で0.2〜8.0重量%よりなる酸化チタン系化合物
にハメットのδ値が0.3〜0.9の芳香族化合物を
0.1〜3.0重量%混合して成るフォトクロミック性
を有する酸化チタン系化合物。 【効果】 フォトクロミック特性に優れた酸化チタン系
化合物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒子状、板状あるいは
薄片状等の種々の形状と同時にフォトクロミック性とい
う演色効果をも有する塗料、印刷、樹脂着色、化粧料、
光メモリーなどの分野に適した酸化チタン系化合物およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、サングラスに代表されるように、
光の強度により可逆的に色が変化するフォトクロミズム
という特異な機能の利用が行われている。フォトクロミ
ズムを発現する化学物質としては、既にハロゲン化銀
類、スピロピラン系有機化合物が知られている。酸化チ
タンについては鉄、クロム、マンガンなどの金属類の存
在下でフォトクロミズムを示すことが知られており、例
えば特開昭63−132811号公報や国際公開特許W
O−89/12084号公報に開示されている。しかし
ながら上記特許に開示されているように、酸化チタンに
フォトクロミック性を付与する金属粉自体あるいはその
硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩などの金属塩や酸化
物、水酸化物を単に混合し焼成しただけでは、その発現
するフォトクロミズムの程度は弱いものであり、実際こ
の程度の色度の変化では、各種用途において他の構成成
分と混合使用した場合には、その効果が希釈されるため
色調変化が認められ難く、実用面からの利用価値は低い
ものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情を鑑み、本
発明者は粒子状、板状あるいは薄片状などの種々の形状
と同時に実用レベルに供し得るフォトクロミック性を有
する酸化チタンを得るべく鋭意検討した結果、酸化チタ
ンに特定量のフォトクロミック性を付与する金属あるい
はその金属化合物に特定量の酸化ナトリウムを存在させ
る場合には、従来品に比較し優れたフォトクロミック性
を発揮することを見出し先に出願した(特開平05−0
51209号公報等)が、さらにフォトクロミック性を
改良すべく鋭意継続検討した結果、本発明を完成するに
至った
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はチタ
ン化合物を酸化チタン換算で85.0〜99.7重量
%、ナトリウム化合物を酸化ナトリウム換算で0.1〜
7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウ
ム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、セリウ
ム、コバルト、ニオブ、ジルコニウムおよび銀の少なく
とも一種より成る金属化合物を金属酸化物換算で0.2
〜8.0重量%よりなる酸化チタン系化合物にハメット
のσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物を0.1〜3.
0重量%混合して成るフォトクロミック性を有する酸化
チタン系化合物を提供するにある。
【0005】また、本発明はチタニアゾルに鉄、クロ
ム、銅、ニッケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜
鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジル
コニウムおよび銀の少なくとも一種より成る金属あるい
は金属化合物を混合し、ナトリウム化合物の存在下で焼
成後、ハメットのσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物
を混合することを特徴とするフォトクロミック性を有す
る酸化チタン系化合物の製造方法を提供するにある。
【0006】更に本発明は有機チタン化合物に鉄、クロ
ム、銅、ニッケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜
鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジル
コニウムおよび銀の少なくとも一種より成る金属あるい
は金属化合物を混合し、ナトリウム化合物の存在下で焼
成後、ハメットのσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物
を混合することを特徴とするフォトクロミック性を有す
る酸化チタン系化合物の製造方法を提供するものであ
る。
【0007】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明の酸化チタン系化合物は、チタン化合物を酸化チタン
換算で85.0〜99.7重量%、ナトリウム化合物を
酸化ナトリウム換算で0.1〜7.0重量%、鉄、クロ
ム、銅、ニッケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜
鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジル
コニウムおよび銀の少なくとも一種より成る金属化合物
を金属酸化物換算で0.2〜8.0重量%よりなる酸化
チタン系化合物に、約0.1〜約3.0重量%、好まし
くは約0.2〜約2.0重量%のハメットのσ値が0.
3〜0.9の芳香族化合物を混合して成る。
【0008】芳香族化合物と混合する酸化チタン系化合
物中に鉄、クロムなどの上記金属化合物が金属酸化物換
算で0.2重量%未満の場合にはフォトクロミック性の
発現が乏しく、他方8.0重量%を越えても存在量に見
合うフォトクロミック性の発現効果はなく、添加金属自
体の色による着色が大きくなり、フォトクロミズムによ
る変色度合が相対的に小さくなる。また酸化ナトリウム
の存在量が0.1重量%未満の場合にはフォトクロミッ
ク性の発現が乏しく、他方存在量が7.0重量%を越え
る場合には得られる酸化チタン系化合物がアルカリ性を
呈するので使用に制限を受けるようになる。また、上記
組成の酸化チタン系化合物と混合する芳香族化合物の混
合量が約0.1重量%未満の場合にはフォトクロミック
性改良の発現が乏しく、他方存在量が約3.0重量%を
越えても存在量に見合うフォトクロミック性改良の発現
効果はない。
【0009】本発明において、上記組成を有する酸化チ
タン系化合物は特にその形状を限定されるものではな
く、各用途において粉状、粒子状、板状または薄片状な
どの形状に製造し使用される。例えば、粉状、粒子状の
ものは塗料、印刷、樹脂着色などの分野に、一方、板状
または薄片状のものは、酸素や水の透過を遮断する機能
を生かした防錆塗料分野、光の反射や干渉機能を生かし
た真珠光沢顔料による塗料、樹脂着色および印刷分野、
更には薄片の付着性、展延性という機能を生かした化粧
料分野などに適している。
【0010】またフォトクロミック性という演色効果
は、黒化度が高くかつ退色性が良い場合は塗料、印刷、
樹脂着色、化粧料などの分野に適しており、一方、黒化
度が高くかつ退色性が悪い場合はセンサー、光メモリー
などの分野に適している。それゆえ、各用途において最
良のフォトクロミック性および形状を選択し適用すれば
よい。
【0011】以下に本発明の酸化チタン系化合物の製造
方法を詳述するが、粉状、粒子状物は上記組成の混合物
を乾燥(静置乾燥、ドラム乾燥、スプレードライなどを
も含む)、焼成、必要に応じて粉砕などによる公知の製
法が容易に考慮し得るので、ここでは板状または薄片状
の酸化チタン系化合物の製造例を挙げる。
【0012】本発明方法の実施に際し、使用する有機チ
タン化合物は一般式、 TiO2-X (OX)l (OR)m (OH)n (但し、OXはアシルオキシ基、ORはアルコキシ基を
表し、x=l +m+nであり、xおよびmは>0〜<2
の正数、lおよびnは0〜<2の零を含む正数である)
で表され、就中、TiO2 1モルに対しOXを約0.3
〜0.6モル、ORを約0.05〜0.15モル有する
有機チタン化合物であり、特開昭60−176906号
公報による公知の方法で製造したものが使用できる。
【0013】例えば、チタンのアルコキシド類、特に部
分アシルオキシ化されたチタンアルコキシド類を単独あ
るいは有機溶剤に希釈後、支持基材上に所望の厚みに塗
布し液体の薄膜を形成し、次いで該液体中より溶剤を蒸
発させた後、更に水蒸気と接触させることにより部分加
水分解を行い有機チタン化合物の薄片を形成し、この薄
片を適当な掻き取り操作により掻き取ることができる。
【0014】薄片形成に用いられるチタンのアルコキシ
ド類としては炭素数1〜17のアルコールとのアルコキ
シド類、特に工業的にはテトラ−i−プロポキシチタ
ン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エ
チルヘキソキシ)チタン、テトラステアロキシチタンな
どが市販されており、中でもテトラ−i−プロポキシチ
タンは経済性から好ましい。またこれらのアルコキシド
類は予め加水分解を行い、オリゴマー、トリマー、テト
ラマーなどの状態で使用することができる。
【0015】部分アシルオキシ基の存在は、形成された
薄膜の支持基材からの剥離性、得られる薄片の形状の制
御性更には薄片の平滑性に効果を与える。
【0016】液膜形成のため使用する有機溶剤は、上記
チタンのアルコキシド類あるいは部分アシルオキシ化さ
れたチタンアルコキシド類を溶解するものであればよい
が、液膜形成における作業性および蒸発除去の点より7
0〜150℃程度の沸点範囲の溶剤が好ましい。このよ
うな有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ヘ
プタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類やエタノー
ル、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類を単
独あるいは混合して使用できる。工業的にはアルコキシ
ドと同一のアルコールを使用すれば、回収した溶剤の分
離精製が不要で有利である。
【0017】膜を形成させる支持基材は平板でもよい
が、工業的規模での連続生産を行うにはドラムフレーカ
ーやベルト状に加工したエンドレス板が使用される。基
材の材質はガラス、クロム、ニッケルなどの金属類、ア
ルミナ、タングステンカーバイドなどのセラミックス、
不飽和ポリエステル、テフロンなどの樹脂などが使用で
きる。これらの材質の選定に当たっては、形成した薄膜
の剥離性と剥離手段、使用原料の物性より一義的ではな
いが、一般的には金属ドラム、耐薬品性や耐摩耗性を重
要視するならばアルミナ溶射ドラムが好ましい。
【0018】基材上に形成された液膜は、加熱処理によ
り液膜より溶剤を蒸発除去する。液膜からの溶剤の蒸発
除去は、支持基材を内部から加熱する方法、液膜表面に
温風を吹き付ける方法あるいはこれらの併用の何れでも
よいが、過大な加熱は溶剤の沸騰を招き薄片形成を阻害
するので、加熱は液膜を構成する溶剤組成の沸点以下、
温風を使用する場合には吹き付け風量により液膜表面が
平滑性を損わない量で実施することが均一な厚みの薄片
を得る上で好ましい。
【0019】溶剤を加熱除去した支持基材上の液膜は、
次いでスチームなどの加湿空気により強制的に加水分解
し支持基材上で固体膜を形成させる。形成された固体膜
は加水分解の進行に伴い、体積収縮を生じ薄膜にヒビ割
れを生じ薄片化する。
【0020】支持基材上に形成された薄片状物質の基材
からの剥離方法としては、通常スクレパーなどで機械的
に掻き取る方法が採用されるが、空気や水の吹き付けに
よる剥離や超音波振動などでの剥離、更には基材が柔軟
性のあるときは基材を屈曲させて剥離する方法などが挙
げられる。
【0021】また本発明方法の実施に際し、酸化チタン
原料としてチタニアゾルを使用することもできる。該チ
タニアゾルとしては通常薄膜の製造に使用される公知の
ものであればよく特に制限されるものではないが、液膜
形成時の作業性または形成した液膜の乾燥における経済
的揮散分散媒量の点より、一般的には固体濃度5〜40
重量%、好ましくは10〜30重量%の水系ゾルが使用
される。
【0022】チタニアゾルを用いての薄片の製造方法
は、上述したチタンのアルコキシド類を原料とした薄片
の製造方法に準じて得ることができる。
【0023】本発明に用いるフォトクロミック性を付与
する金属あるいは金属化合物としては、鉄、クロム、
銅、ニッケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、
アルミニウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジルコニ
ウムおよび銀の少なくとも一種より成る金属あるいは金
属化合物であり、より具体的には鉄、クロム、銅、ニッ
ケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミニ
ウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジルコニウム及び
銀の金属粉、これらの金属の酸化物、水酸化物または無
定形物、またはこれら少なくとも一種の金属より成る硫
酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩などの金属塩水溶液など
または金属化合物ゾルが挙げられるが、チタン化合物と
の均一な混合可能性の点より金属塩水溶液または金属化
合物ゾルの適用が推奨される。
【0024】就中、鉄、亜鉛およびアルミニウムは重金
属でないことから用途に制限を受けないので、金属水溶
液としては硝酸鉄、硝酸亜鉛、硝酸アルミニウムのよう
な金属塩水溶液の適用が推奨される。
【0025】また、金属化合物としては、水系市販ゾル
を用い、シリカゾルではイ.アイ.デュポン(E.I.
duPont)製の商品名ルドックスHS−40、アル
ミナゾルでは触媒化成工業株式会社製のカタロイド−A
等がある。これらはこの商品に限定するものではなく水
に均一に分散するものであればよい。
【0026】チタン化合物(薄片状)に対するこれら金
属または金属化合物の配合量は、金属酸化物換算で約
0.2〜約8.0重量%、好ましくは約0.3〜約5.
0重量の範囲である。
【0027】チタン化合物と金属または金属化合物との
混合は、乾式、湿式の何れでも制限されないが、これら
混合物は続く焼成過程でナトリウム化合物の存在下で焼
成するので、先ずチタン化合物を水に分散し、次いで水
酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合
物を添加してチタン化合物上に該水溶性金属塩または金
属化合物ゾルを金属水酸化物として析出させ、これをス
ラリーのまま乾燥、焼成する方法が推奨される。
【0028】焼成に際し存在させるナトリウム化合物
は、焼成後の酸化チタン化合物中に酸化ナトリウムとし
て約0.1〜0.7重量%,好ましくは約1.0〜約
4.0重量になればよく、特にナトリウム化合物の種
類、形状、固体、液体などの性状に制限されないが、例
えば、ナトリウム化合物として水酸化ナトリウムを適用
する場合には、フォトクロミック性を付与する目的でチ
タン化合物と混合した金属または金属化合物に対して金
属換算で1〜20モル比の範囲で使用される。この場
合、水酸化ナトリウムは固体、液体の何れの形態で存在
させてもよい。
【0029】上記方法などにより調製されたチタン化合
物、フォトクロミック性を付与せしめる金属化合物およ
びナトリウム化合物より成る混合物は、次いで約500
℃〜約750℃、好ましくは約550℃〜約700℃の
温度で約1時間以上焼成される。焼成後の粉状、粒子
状、板状または薄片状のチタン化合物は、そのまままた
は必要に応じて中和処理や粉砕、篩別し所望形状に調整
される。
【0030】本発明で得られる薄片の形状は特に制限さ
れないが、通常厚さ約4μm以下、好ましくは約0.1
μm〜約3μm、大きさ約3μm〜約200μmで、ア
スペクト比(大きさ/厚さ)約5〜約50程度のものが
一般に製造される。
【0031】このようにして得られた酸化チタン系化合
物とハメットのσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物と
の混合は、乾式、湿式の何れでも制限されないが、均一
に混合されることが必要であり、一例として、該芳香族
化合物をアルコール溶液にして酸化チタン系化合物と混
合し、次いで加熱することによりアルコールを飛散させ
る方法がある。
【0032】本発明に用いる芳香族化合物としては、ハ
メットのσ値が約0.3〜約0.9のものであればよ
く、σ値が約0.3未満の場合にはフォトクロミック性
の改良効果が小さい。他方σ値の上限は特に制限されな
いが、効果の発現程度、入手容易性から決定される。こ
のような芳香族化合物としては、m位、或いはp位に置
換基として−CF3、−COCH3 、−COORCN、
−N(NH3 3 、−NO2 、−N−NC65 、−O
CF3 、−SO2 R、−SO2 NH3 、−SCF3 、−
C 、−Br、−Iおよび−B(OH)2 の一種を有す
る芳香族化合物があり、より具体的にはアセトフェノ
ン、安息香酸、ベンゾニトニル、ニトロベンゼン、フェ
ニルスルホン、水酸化トリメチルフェニルアンモニウ
ム、ヨウ化トリメチルフェニルアンモニウム、スルファ
モイル、クロロベンゼン、p−アミノ安息香酸エチルな
どの芳香族化合物が挙げられる。
【0033】本発明により得られた酸化チタン系化合物
が何故フォトクロミック性に優れているのかその理由は
詳らかでないが、一般にフォトクロミズムの発現機構
は、先ず酸化チタン結晶中に格子欠陥の存在することが
必須であり、この格子欠陥と結晶中にドープされた金属
イオンとの間で紫外線〜低波長可視光線の照射による酸
化/還元反応がフォトクロミズムを生起するとされてい
る。従来法で原料として用いられている結晶化した酸化
チタンは、格子欠陥が元々少ない上に格子欠陥の近傍に
金属イオンが存在しにくいのに対し、本発明に用いるチ
タン化合物はより多くの格子欠陥が形成されまた該欠陥
部の近傍に多くの金属イオンが存在し得るため、優れた
フォトクロミック性が発現されるのであるが、これに加
え上記酸化チタン系化合物に、ハメットのσ値が0.3
〜0.9の芳香族化合物を均一混合せしめる場合には、
酸化チタン化合物表面に付着した該芳香族化合物は酸化
チタン化合物より電子を吸引し、その結果酸化チタン表
面近傍に電位勾配が生じる。しかして紫外線〜低波長可
視光線の照射により電子とホールの対ができるが、電位
勾配があるために電子は格子欠陥にトラップされる確率
が増し、ホールと金属イオンの反応確率も増加し、その
ため更にフォトクロミック性が増すものと推測される。
【0034】本発明により得られた酸化チタン系化合物
は、他の物質と混合または希釈されて用いられても、粉
状、粒状、板状あるいは薄片状等の形態での測定に於い
ても、フォトクロミズムによる変色度合を明確に識別で
きる8以上、普通には10以上の色差△Eを有してお
り、極めて利用価値の高いものである。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように本発明により、粉
状、粒子状、板状または薄片状のフォトクロミック性を
有した酸化チタン系化合物を得ることができる。また本
発明で得られた薄片状酸化チタンは、従来の薄片状酸化
チタンの持つ白色度および隠蔽性、形状による薄片の層
状配列や付着性という機能は勿論のこと、ある種の金
属、例えば酸化鉄等を含有するものにあってはファンデ
ーションのような化粧料に適用した場合には、従来の化
粧料が呈した室内で仕上げた化粧が明るい太陽光線下で
は白さが浮き上がり過ぎるという欠点を、その優れたフ
ォトクロミック性により、室内で合わせた化粧肌の色が
太陽光線下において素早く反応変色して、戸外において
も化粧肌の色の白さが目立たず、自然で美しく見えるメ
ークアップ化粧料の提供を可能とするものである。ま
た、看板、ディスプレーなどに使用すると、照明に応じ
て白さが変わり周囲との調和の取れた白さを演出できる
など、各種化粧料や塗料、樹脂充填剤などに適用可能で
あり、その工業的価値は頗る大なるものである。
【0036】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】なお、本発明におけるフォトクロミズムの
評価は、本発明法により得られた粉状、粒子状、板状ま
たは薄片状物質の酸化チタン化合物をそのまま暗所に1
2時間以上保管しフォトクロミズムが発現していない状
態にしておき、次いで2mW/cm2 の強度で紫外線を
1時間照射し、紫外線照射前後の色を測色器(日本電色
工業社製Z−1001DP)にて測定し、色差(CIE
LAB表色系による色差△E)を求めた。本発明で得ら
れた酸化チタン系化合物中の金属酸化物および酸化ナト
リウムの定量分析は、日立製作所製原子吸光度測定装置
Z−8000により測定した。また有機化合物の定量分
析は、柳本製作所製CHNコーダーMT−700により
測定した。
【0038】実施例1 500リットルのSUS槽にトルエン80kg、イソプ
ロパノール50kg、テトライソプロポキシチタン50
kgを仕込み、攪拌しながら1.6kgの水を徐々に滴
下し、テトライソプロポキシチタンをダイマーにまで縮
合し、次いで酢酸6.3kgを仕込み部分アセチル化を
行い薄片化原液を作製した。この原液を90℃に加熱し
た回転している直径1m、幅1mのクロム鍍金ドラム上
にゴムロールを介して展着させ、液膜を形成した後溶剤
を蒸発除去し、次いでスチームを接触させることにより
部分加水分解を起こさせた。液膜は固体状態に変化し、
加水分解が進行するにつれてヒビ割れが生じ薄片が形成
された。次いでドラム上の薄片は掻き取り刃により掻き
取り、このあとドラム表面に再び薄片化原液を展着し
て、連続的に薄片を生産した。得られた薄片の大きさお
よび厚さは、目標に応じて液の展着量、加水分解の程度
により制御される。得られた薄片状の有機チタン化合物
は、組成分析の結果、チタン1モルに対してアセチルオ
キシ基が約0.4モル、イソプロポキシ基が約0.1モ
ル加水分解を受けずに残っており、700℃での焼成残
量より推定すると、酸化チタンとしては65%の組成で
あった。このようにして得られた薄片状有機チタン化合
物250kgを、水580kgおよび硝酸アルミニウム
9水塩8.5kgとを混合槽に投入し攪拌混合した後、
これに15%水酸化ナトリウム水溶液45kgを攪拌し
ながら滴下し、次いでこのスラリーをそのままドラムド
ライヤーで乾燥し、更に電気炉で660℃の温度で1時
間焼成した。得られた薄片中には過剰の水酸化ナトリウ
ムが残存しているので、再度水中に分散して中和処理を
行い乾燥し、平均の大きさ5μm、平均の厚さ0.5μ
mの薄片状酸化チタン化合物を得た。次いでこの薄片状
酸化チタン化合物10g中へ、ニトロベンゼン(和光純
薬工業製、ハメットのσ値=0.71)の2重量%エタ
ノール溶液5gを加えて混合し、ホットプレート上でエ
タノールを蒸発させた。このものの色差を測定した結
果、△E12.4であった。またAl2 3 及びNa2
O含有量は、各々0.7重量%、1.5重量%であっ
た。
【0039】実施例2〜5 実施例1の方法に於いて、薄片状酸化チタン化合物10
gに添加するニトロベンゼンに代えて、アセトフェノ
ン、安息香酸、ベンゾニトリルおよびヨウ化トリメチル
フェニルアンモニウムを用いた以外は実施例1と同様の
方法で薄片状酸化チタン化合物を得、このものの△Eを
測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】比較例1 実施例1の方法で得た薄片状チタン化合物にニトロベン
ゼンを添加混合しないで、薄片状チタン化合物の△Eを
測定した。その結果、黒化度△Eは1.1であった。
【0042】比較例2 実施例1のニトロベンゼンの代わりに、p−クロロベン
ゼン(ハメットのσ値=0.23)を薄片状酸化チタン
化合物に対し1重量%、添加、混合した以外は実施例1
と同様の方法で薄片状酸化チタン化合物を得、このもの
の△Eを測定した。その結果、黒化度△Eは2.9であ
った。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン化合物を酸化チタン換算で85.
    0〜99.7重量%、ナトリウム化合物を酸化ナトリウ
    ム換算で0.1〜7.0重量%、鉄、クロム、銅、ニッ
    ケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミニ
    ウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジルコニウムおよ
    び銀の少なくとも一種より成る金属化合物を金属酸化物
    換算で0.2〜8.0重量%よりなる酸化チタン系化合
    物にハメットのσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物を
    0.1〜3.0重量%混合して成るフォトクロミック性
    を有する酸化チタン系化合物。
  2. 【請求項2】 ハメットのσ値が0.3〜0.9の芳香
    族化合物が、アセトフェノン、安息香酸、ベンゾニトニ
    ル、ニトロベンゼン、フェニルスルホン、水酸化トリメ
    チルフェニルアンモニウム、ヨウ化トリメチルフェニル
    アンモニウム、スルファモイル、クロロベンゼン、p−
    アミノ安息香酸エチルであることを特徴とする請求項1
    記載のフォトクロミック性を有する酸化チタン系化合
    物。
  3. 【請求項3】 チタニアゾルに鉄、クロム、銅、ニッケ
    ル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミニウ
    ム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジルコニウムおよび
    銀の少なくとも一種より成る金属あるいは金属化合物を
    混合し、ナトリウム化合物の存在下で焼成後、ハメット
    のσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物を混合すること
    を特徴とするフォトクロミック性を有する酸化チタン系
    化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機チタン化合物に鉄、クロム、銅、ニ
    ッケル、バナジウム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミ
    ニウム、セリウム、コバルト、ニオブ、ジルコニウムお
    よび銀の少なくとも一種より成る金属あるいは金属化合
    物を混合し、ナトリウム化合物の存在下で焼成後、ハメ
    ットのσ値が0.3〜0.9の芳香族化合物を混合する
    ことを特徴とするフォトクロミック性を有する酸化チタ
    ン系化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機チタン化合物が、アシルオキシ基を
    有するチタンアルコキシドから製造されたことを特徴と
    する請求項4記載のフォトクロミック性を有する酸化チ
    タン系化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 鉄、クロム、銅、ニッケル、バナジウ
    ム、マンガン、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、セリウ
    ム、コバルト、ニオブ、ジルコニウムおよび銀の少なく
    とも一種より成る金属あるいは金属化合物が、水溶性金
    属塩あるいは金属化合物ゾルであることを特徴とする請
    求項3および4記載のフォトクロミック性を有する酸化
    チタン系化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 フォトクロミック性を付与する金属ある
    いは金属化合物が、水溶性金属塩または金属化合物ゾル
    であることを特徴とする請求項3および4記載のフォト
    クロミック性を有する酸化チタン系化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 焼成温度が500〜750℃であること
    を特徴とする請求項3および4記載のフォトクロミック
    性を有する酸化チタン系化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0709728A4 (en) * 1994-01-24 1996-10-16 Catalysts & Chem Ind Co PHOTOCHROMIC COMPOSITE OXIDE AND COSMETICS CONTAINING PHOTOCHROMIC COMPOSITE OXIDE
US6306409B1 (en) 1998-11-02 2001-10-23 Shiseido Co., Ltd. Light-responding high color-rendering makeup cosmetic preparation

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