JPH06343456A - 細胞培養支持体および骨芽細胞の培養方法 - Google Patents
細胞培養支持体および骨芽細胞の培養方法Info
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- JPH06343456A JPH06343456A JP5165106A JP16510693A JPH06343456A JP H06343456 A JPH06343456 A JP H06343456A JP 5165106 A JP5165106 A JP 5165106A JP 16510693 A JP16510693 A JP 16510693A JP H06343456 A JPH06343456 A JP H06343456A
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- Japan
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- calcium phosphate
- osteoblasts
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- Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 骨の育成を活発にして、骨粗鬆症などの治
療を可能にする。 【構成】 100〜300μm径の気孔が50〜80
%の気孔率で形成された燐酸カルシウム製の細胞培養支
持体。さらにこれを顆粒体とするのが望ましい。 【効果】 骨髄細胞の中でも骨芽細胞が特に活発に増
殖し、さらに、この細胞を分離して安全に体内に戻すこ
とができる。
療を可能にする。 【構成】 100〜300μm径の気孔が50〜80
%の気孔率で形成された燐酸カルシウム製の細胞培養支
持体。さらにこれを顆粒体とするのが望ましい。 【効果】 骨髄細胞の中でも骨芽細胞が特に活発に増
殖し、さらに、この細胞を分離して安全に体内に戻すこ
とができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、体内における骨形成
細胞の活性化を図るために用いられる細胞培養支持体お
よび骨芽細胞の培養方法に関するものである。
細胞の活性化を図るために用いられる細胞培養支持体お
よび骨芽細胞の培養方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
疾病、事故、手術などによって生じた骨の欠損部や空隙
に対しては、他部から採取した自家骨や人工骨、骨補填
材料を充填する方法が行われている。ところが、骨粗鬆
症のように、骨が次第に脆くなっていく場合には、上記
方法では問題を解決することはできないので、体内にお
ける骨を形成する細胞の活性化が重要な課題となる。
疾病、事故、手術などによって生じた骨の欠損部や空隙
に対しては、他部から採取した自家骨や人工骨、骨補填
材料を充填する方法が行われている。ところが、骨粗鬆
症のように、骨が次第に脆くなっていく場合には、上記
方法では問題を解決することはできないので、体内にお
ける骨を形成する細胞の活性化が重要な課題となる。
【0003】この課題を解決する方法として、骨髄を患
者の体内から取り出し、この骨髄を人為的に培養するこ
とによって骨芽細胞を十分に増殖させた後に、再び体内
に戻すことにより、免疫反応を生じることなく骨の形成
を活性化させる方法が考えられる。この考えは、全く新
しいものであり、従来の方法には該当するものがない。
この方法を実現するためには、in vitro(インビトロ)
で骨芽細胞を活発に増殖させることが必要となる。この
発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、体
内から取り出した骨髄細胞を十分に増殖させて、この細
胞を安全に体内に戻すことができる細胞培養支持体およ
び骨芽細胞の培養方法を提供するものである。
者の体内から取り出し、この骨髄を人為的に培養するこ
とによって骨芽細胞を十分に増殖させた後に、再び体内
に戻すことにより、免疫反応を生じることなく骨の形成
を活性化させる方法が考えられる。この考えは、全く新
しいものであり、従来の方法には該当するものがない。
この方法を実現するためには、in vitro(インビトロ)
で骨芽細胞を活発に増殖させることが必要となる。この
発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、体
内から取り出した骨髄細胞を十分に増殖させて、この細
胞を安全に体内に戻すことができる細胞培養支持体およ
び骨芽細胞の培養方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明の細胞培養支持体は、燐酸カルシウムで構
成された成形体であって、100〜300μm径の大き
さを有する気孔が50〜80%の気孔率で形成されてい
ることを特徴とする。また、第2の発明の細胞培養支持
体は、粒径が300〜1000μmの燐酸カルシウム粒
子で構成された顆粒体であって、前記粒子内に100〜
300μm径の大きさを有する気孔が50〜80%の気
孔率で形成されていることを特徴とする。 さらに、本
願発明の骨芽細胞の培養方法は、骨髄細胞を、多孔質燐
酸カルシウム材に接触させた状態で培養し、その後、増
殖した骨芽細胞を多孔質燐酸カルシウム材から分離する
ことを特徴とする。
め、本願発明の細胞培養支持体は、燐酸カルシウムで構
成された成形体であって、100〜300μm径の大き
さを有する気孔が50〜80%の気孔率で形成されてい
ることを特徴とする。また、第2の発明の細胞培養支持
体は、粒径が300〜1000μmの燐酸カルシウム粒
子で構成された顆粒体であって、前記粒子内に100〜
300μm径の大きさを有する気孔が50〜80%の気
孔率で形成されていることを特徴とする。 さらに、本
願発明の骨芽細胞の培養方法は、骨髄細胞を、多孔質燐
酸カルシウム材に接触させた状態で培養し、その後、増
殖した骨芽細胞を多孔質燐酸カルシウム材から分離する
ことを特徴とする。
【0005】上記した燐酸カルシウムに形成されている
気孔は、上記範囲内で均一の径を有し、さらに真球状の
形状からなるのが望ましく、また三次元的に連続してい
るのが望ましい。なお、上記した燐酸カルシウムとして
は、ヒドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(O
H)2]単相を用いるのが望ましく、乾式法、湿式法な
どの方法で合成することができる。ヒドロキシアパタイ
トは、天然の骨の無機質成分と同じ組成を有し、生体内
での骨形成が速い。しかし、CaとPの比がCa/P=
1.67からずれた非化学量論比組成のヒドロキシアパ
タイトを熱処理した場合や1300℃以上の高温で熱処
理を行った場合には、分解によりリン酸三カルシウムや
リン酸四カルシウムが現れる。これらの分解生成物は容
易に溶解するため、支持体周囲のpHが上昇し、骨芽細
胞の増殖が遅れる。したがって、ヒドロキシアパタイト
は焼結後においても分解生成物のない単相のものがよ
い。
気孔は、上記範囲内で均一の径を有し、さらに真球状の
形状からなるのが望ましく、また三次元的に連続してい
るのが望ましい。なお、上記した燐酸カルシウムとして
は、ヒドロキシアパタイト[Ca10(PO4)6(O
H)2]単相を用いるのが望ましく、乾式法、湿式法な
どの方法で合成することができる。ヒドロキシアパタイ
トは、天然の骨の無機質成分と同じ組成を有し、生体内
での骨形成が速い。しかし、CaとPの比がCa/P=
1.67からずれた非化学量論比組成のヒドロキシアパ
タイトを熱処理した場合や1300℃以上の高温で熱処
理を行った場合には、分解によりリン酸三カルシウムや
リン酸四カルシウムが現れる。これらの分解生成物は容
易に溶解するため、支持体周囲のpHが上昇し、骨芽細
胞の増殖が遅れる。したがって、ヒドロキシアパタイト
は焼結後においても分解生成物のない単相のものがよ
い。
【0006】本発明で用いる燐酸カルシウムの製造方法
は特に限定されないが、例えば、湿式法により合成した
ヒドロキシアパタイト粉末を、熱分解が可能な有機物や
カーボンなどからなる真球状の気孔形成材と所定の割合
で混合し、金型によるプレス成形および等方靜水圧プレ
スによる緻密化を行った後、窒素などの不活性ガス雰囲
気下あるいは大気中で加熱して気孔形成材を燃焼除去
し、さらに大気中で焼結することにより作成できる。顆
粒状粉末の場合は、等方靜水圧プレス後、あるいは焼結
後に粉砕し、フルイ分けすることで所定の粒径の多孔質
顆粒体を得ることができる。このときに用いるヒドロキ
シアパタイト粉末に数〜数十μmの大きさのものを使用
すると、プレスにより球形の気孔形成材に密着するとき
にその表面に凹凸が生じやすく、焼結処理後もその凹凸
形状が維持される。
は特に限定されないが、例えば、湿式法により合成した
ヒドロキシアパタイト粉末を、熱分解が可能な有機物や
カーボンなどからなる真球状の気孔形成材と所定の割合
で混合し、金型によるプレス成形および等方靜水圧プレ
スによる緻密化を行った後、窒素などの不活性ガス雰囲
気下あるいは大気中で加熱して気孔形成材を燃焼除去
し、さらに大気中で焼結することにより作成できる。顆
粒状粉末の場合は、等方靜水圧プレス後、あるいは焼結
後に粉砕し、フルイ分けすることで所定の粒径の多孔質
顆粒体を得ることができる。このときに用いるヒドロキ
シアパタイト粉末に数〜数十μmの大きさのものを使用
すると、プレスにより球形の気孔形成材に密着するとき
にその表面に凹凸が生じやすく、焼結処理後もその凹凸
形状が維持される。
【0007】
【作用】すなわち本願発明によれば、気孔の存在などに
より、骨髄細胞中の骨芽細胞は、燐酸カルシウム材によ
く付着するため、骨髄細胞が盛んに増殖し、その中でも
骨芽細胞は燐酸カルシウム成分によって分化が進行して
活発に増殖する。なお、燐酸カルシウム材を顆粒体にす
れば、骨髄細胞との接触はより効率的になり、骨芽細胞
の増殖もより活発になる。骨芽細胞が十分に増殖した後
は、骨髄細胞と燐酸カルシウム材とを分離し、これを再
び体内に戻せば、免疫反応を生じることなく骨形成を活
発化させることができる。しかも、本発明で用いる燐酸
カルシウム材は、体内の骨細胞の組成に近く、特にヒド
ロキシアパタイトは同一の組成からなるので、分離後の
骨髄細胞を体内に戻す際の安全性も高い。
より、骨髄細胞中の骨芽細胞は、燐酸カルシウム材によ
く付着するため、骨髄細胞が盛んに増殖し、その中でも
骨芽細胞は燐酸カルシウム成分によって分化が進行して
活発に増殖する。なお、燐酸カルシウム材を顆粒体にす
れば、骨髄細胞との接触はより効率的になり、骨芽細胞
の増殖もより活発になる。骨芽細胞が十分に増殖した後
は、骨髄細胞と燐酸カルシウム材とを分離し、これを再
び体内に戻せば、免疫反応を生じることなく骨形成を活
発化させることができる。しかも、本発明で用いる燐酸
カルシウム材は、体内の骨細胞の組成に近く、特にヒド
ロキシアパタイトは同一の組成からなるので、分離後の
骨髄細胞を体内に戻す際の安全性も高い。
【0008】以下に詳細な作用とともに、具体的な構成
限定理由を述べる。本願発明のカルシウム材は多孔体か
らなるが、これは生体中に存在する骨芽細胞を支持体内
部に効果的に導入して、細胞の増殖を促進するためのも
のである。したがって、約10μmの骨芽細胞を安定に
保持し、効率的に増殖させるためには、気孔径としては
100〜300μmであることが必要である。気孔径が
100μm未満の場合には骨芽細胞が気孔内に侵入する
することができず、また、300μmを越えると、細胞
が気孔から容易に流出してしまうので、上記範囲に限定
した。
限定理由を述べる。本願発明のカルシウム材は多孔体か
らなるが、これは生体中に存在する骨芽細胞を支持体内
部に効果的に導入して、細胞の増殖を促進するためのも
のである。したがって、約10μmの骨芽細胞を安定に
保持し、効率的に増殖させるためには、気孔径としては
100〜300μmであることが必要である。気孔径が
100μm未満の場合には骨芽細胞が気孔内に侵入する
することができず、また、300μmを越えると、細胞
が気孔から容易に流出してしまうので、上記範囲に限定
した。
【0009】またカルシウム材内部まで細胞が侵入し、
十分な湿潤性を維持するためには気孔が連続しているの
が望ましい。異方性のない三次元的な気孔の連続性を持
たせるためには、真球状の気孔形状が最適である。さら
には、多孔体全体に均一に細胞を侵入させるためには、
気孔径ができるかぎり均一であることが望ましい。この
気孔率が50%未満の場合には、形成される気孔の連続
性が低下し、独立した閉じた気孔が生成されてしまうた
め、細胞の侵入が行えなくなってしまう。また、均一径
の球の最密充填の場合に、球の占める体積は74%であ
り、燐酸カルシウムの微細な気孔を考慮するば、80%
を越えると気孔形成材間に燐酸カルシウム粉末が十分な
量まで充填されない状態となり、等方靜水圧プレスによ
っても緻密化が達成されないので上記範囲とする。
十分な湿潤性を維持するためには気孔が連続しているの
が望ましい。異方性のない三次元的な気孔の連続性を持
たせるためには、真球状の気孔形状が最適である。さら
には、多孔体全体に均一に細胞を侵入させるためには、
気孔径ができるかぎり均一であることが望ましい。この
気孔率が50%未満の場合には、形成される気孔の連続
性が低下し、独立した閉じた気孔が生成されてしまうた
め、細胞の侵入が行えなくなってしまう。また、均一径
の球の最密充填の場合に、球の占める体積は74%であ
り、燐酸カルシウムの微細な気孔を考慮するば、80%
を越えると気孔形成材間に燐酸カルシウム粉末が十分な
量まで充填されない状態となり、等方靜水圧プレスによ
っても緻密化が達成されないので上記範囲とする。
【0010】気孔内部の燐酸カルシウムの表面は、滑ら
かな状態でなく、微小な凹凸があることにより細胞の付
着がスムーズに行われ、増殖を速める要因となる。ま
た、燐酸カルシウムとしてハイドロキシアパタイト単相
を使用しても、その表面が溶出しやすく、局部的なpH
上昇を生じ骨芽細胞の侵入が遅くなる傾向があるので、
燐酸カルシウム材を生体内に充填する前に、中性の燐酸
塩緩衝溶液に浸すなどして洗浄することにより、溶出し
易い成分を予め取り去ってしまうことが望ましく、これ
によって骨芽細胞の増殖を速めることができる。また、
燐酸カルシウム材を300〜1000μmの顆粒状態で
使用すると、骨芽細胞の侵入が、燐酸カルシウム材全体
に渡って速やかに完了し、骨芽細胞とカルシウム材とが
効率的に接触することになる。なお、気孔径として10
0μm以上を確保するために、顆粒径は300μm以上
が必要であり、また、1000μmを越えるとバルクと
同様の挙動が生じ、顆粒体としての特性が失われるの
で、上記範囲とする。
かな状態でなく、微小な凹凸があることにより細胞の付
着がスムーズに行われ、増殖を速める要因となる。ま
た、燐酸カルシウムとしてハイドロキシアパタイト単相
を使用しても、その表面が溶出しやすく、局部的なpH
上昇を生じ骨芽細胞の侵入が遅くなる傾向があるので、
燐酸カルシウム材を生体内に充填する前に、中性の燐酸
塩緩衝溶液に浸すなどして洗浄することにより、溶出し
易い成分を予め取り去ってしまうことが望ましく、これ
によって骨芽細胞の増殖を速めることができる。また、
燐酸カルシウム材を300〜1000μmの顆粒状態で
使用すると、骨芽細胞の侵入が、燐酸カルシウム材全体
に渡って速やかに完了し、骨芽細胞とカルシウム材とが
効率的に接触することになる。なお、気孔径として10
0μm以上を確保するために、顆粒径は300μm以上
が必要であり、また、1000μmを越えるとバルクと
同様の挙動が生じ、顆粒体としての特性が失われるの
で、上記範囲とする。
【0011】
【実施例】リン酸水素カルシウム二水和物[CaHPO4
・2H2O]をアルカリ水溶液中で加水分解してカルシ
ウムとリンの比(Ca/P)が、1.67のヒドロキシ
アパタイト粉末(燐酸カルシウム粉末)を得た。この粉
末は、粒径が1〜120μmの範囲にあり平均粒径が1
5μmのフレーク状結晶であった。この粉末を大気中に
て800℃で3時間か焼を行った後、粒径100〜20
0μmの球状アクリル系樹脂を、容積比率で約70%添
加して混合した。この混合粉を、CIP法により3,0
00kg/cm2で加圧して、円柱形状に成形した。得
られた圧粉成形体を、窒素加圧下で加熱してアクリル系
樹脂を蒸発分離させ、さらに大気中で1200℃で1時
間の焼結を行なった。
・2H2O]をアルカリ水溶液中で加水分解してカルシ
ウムとリンの比(Ca/P)が、1.67のヒドロキシ
アパタイト粉末(燐酸カルシウム粉末)を得た。この粉
末は、粒径が1〜120μmの範囲にあり平均粒径が1
5μmのフレーク状結晶であった。この粉末を大気中に
て800℃で3時間か焼を行った後、粒径100〜20
0μmの球状アクリル系樹脂を、容積比率で約70%添
加して混合した。この混合粉を、CIP法により3,0
00kg/cm2で加圧して、円柱形状に成形した。得
られた圧粉成形体を、窒素加圧下で加熱してアクリル系
樹脂を蒸発分離させ、さらに大気中で1200℃で1時
間の焼結を行なった。
【0012】この焼結体を粉砕して、300〜500μ
mの粒径のヒドロキシアパタイト顆粒体(以下「pp−
HAP」という)をフルイ分けにより回収した。この顆
粒体には、100〜200μm径の気孔が、気孔率約7
0%で形成されており、気孔の内表面には、1μm程度
の微小な凹凸が形成されていた。上記pp−HAPと、
これにコラーゲン溶液を含浸させたもの(265mgp
p−HAP+0.4%コラーゲン300μl、以下「p
p−HAP/Col」という)を実施例として用意し、
これをファルコン製のプラスチックディッシュ(35m
m径)に一層となるように敷き、α−MEM+15%F
CSを培地として、骨芽細胞の培養を行なった。培養用
の細胞には、ラット大腿骨より採取した骨髄をフラスコ
中で4日間培養し、コンフルエントに達した付着性細胞
を分離し、5×104個/ディッシュの細胞を用いた。
また、比較のため、ファルコンのプラスチックディッシ
ュ+培地のみ(対照)を比較例として用意し、同様の細
胞培養を行なった。
mの粒径のヒドロキシアパタイト顆粒体(以下「pp−
HAP」という)をフルイ分けにより回収した。この顆
粒体には、100〜200μm径の気孔が、気孔率約7
0%で形成されており、気孔の内表面には、1μm程度
の微小な凹凸が形成されていた。上記pp−HAPと、
これにコラーゲン溶液を含浸させたもの(265mgp
p−HAP+0.4%コラーゲン300μl、以下「p
p−HAP/Col」という)を実施例として用意し、
これをファルコン製のプラスチックディッシュ(35m
m径)に一層となるように敷き、α−MEM+15%F
CSを培地として、骨芽細胞の培養を行なった。培養用
の細胞には、ラット大腿骨より採取した骨髄をフラスコ
中で4日間培養し、コンフルエントに達した付着性細胞
を分離し、5×104個/ディッシュの細胞を用いた。
また、比較のため、ファルコンのプラスチックディッシ
ュ+培地のみ(対照)を比較例として用意し、同様の細
胞培養を行なった。
【0013】その結果を図1に示すと、全細胞数を示す
DNA量では、pp−HAP、pp−HAP/Colと
もに1週目では低い値を示しているが、2週目では比較
対照と同じ程度にまで達している。また、骨芽細胞のマ
ーカーであるALP量は、pp−HAP/Colでは、
対照より非常に高くなっており、また、pp−HAPの
みの場合でも対照より高い値を示しており、実施例によ
れば、全細胞の増殖の中でも骨芽細胞の増殖が顕著であ
ることが明らかである。以上から、多孔質のヒドロキシ
アパタイト顆粒体は、骨細胞の分化を促進させる効果が
あり、さらにコラーゲンを併用することにより、その効
果が一層促進される。
DNA量では、pp−HAP、pp−HAP/Colと
もに1週目では低い値を示しているが、2週目では比較
対照と同じ程度にまで達している。また、骨芽細胞のマ
ーカーであるALP量は、pp−HAP/Colでは、
対照より非常に高くなっており、また、pp−HAPの
みの場合でも対照より高い値を示しており、実施例によ
れば、全細胞の増殖の中でも骨芽細胞の増殖が顕著であ
ることが明らかである。以上から、多孔質のヒドロキシ
アパタイト顆粒体は、骨細胞の分化を促進させる効果が
あり、さらにコラーゲンを併用することにより、その効
果が一層促進される。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように本願発明によれば、
骨髄細胞中の骨芽細胞を効率よく増殖させることがで
き、さらに増殖させた細胞を安全に体内に戻すことがで
きる。また、細胞培養支持体を300〜1000μm径
の顆粒体とし、また、燐酸カルシウムをヒドロキシアパ
タイト単相とすれば、骨芽細胞の増殖を一層活発にする
ことができる。
骨髄細胞中の骨芽細胞を効率よく増殖させることがで
き、さらに増殖させた細胞を安全に体内に戻すことがで
きる。また、細胞培養支持体を300〜1000μm径
の顆粒体とし、また、燐酸カルシウムをヒドロキシアパ
タイト単相とすれば、骨芽細胞の増殖を一層活発にする
ことができる。
【図1】図1は、実施例および比較例の細胞培養試験結
果を示すグラフである。
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 智一 北海道札幌市東区北15条東1丁目238番地 7 (72)発明者 大沼 葉子 北海道札幌市北区北29条西7丁目1−23 章栄ハウス2号
Claims (4)
- 【請求項1】 燐酸カルシウムで構成された成形体であ
って、100〜300μm径の大きさを有する気孔が5
0〜80%の気孔率で形成されていることを特徴とする
細胞培養支持体 - 【請求項2】 粒径が300〜1000μmの燐酸カル
シウム粒子で構成された顆粒体であって、前記粒子内に
100〜300μm径の大きさを有する気孔が50〜8
0%の気孔率で形成されていることを特徴とする細胞培
養支持体 - 【請求項3】 燐酸カルシウムがヒドロキシアパタイト
[Ca10(PO4)6(OH)2]単相からなることを特徴
とする請求項1記載の細胞培養支持体 - 【請求項4】 骨髄細胞を、多孔質燐酸カルシウム材に
接触させた状態で培養し、その後、増殖した骨芽細胞を
多孔質燐酸カルシウム材から分離することを特徴とする
骨芽細胞の培養方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5165106A JPH06343456A (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 細胞培養支持体および骨芽細胞の培養方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5165106A JPH06343456A (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 細胞培養支持体および骨芽細胞の培養方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06343456A true JPH06343456A (ja) | 1994-12-20 |
Family
ID=15806015
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5165106A Pending JPH06343456A (ja) | 1993-06-10 | 1993-06-10 | 細胞培養支持体および骨芽細胞の培養方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06343456A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2348872A (en) * | 1999-04-13 | 2000-10-18 | Toshiba Ceramics Co | Calcium phosphate porous sintered body and production thereof |
JP2003093052A (ja) * | 2001-09-21 | 2003-04-02 | Mamoru Aizawa | 骨芽細胞の培養方法 |
KR100759718B1 (ko) * | 2004-12-21 | 2007-10-04 | 요업기술원 | 수열 열간 가압법을 이용한 인산칼슘계 다공체 및 그 제조방법 |
-
1993
- 1993-06-10 JP JP5165106A patent/JPH06343456A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2348872A (en) * | 1999-04-13 | 2000-10-18 | Toshiba Ceramics Co | Calcium phosphate porous sintered body and production thereof |
US6340648B1 (en) | 1999-04-13 | 2002-01-22 | Toshiba Ceramics Co., Ltd. | Calcium phosphate porous sintered body and production thereof |
GB2348872B (en) * | 1999-04-13 | 2003-03-26 | Toshiba Ceramics Co | Calcium phosphate porous sintered body and production thereof |
JP2003093052A (ja) * | 2001-09-21 | 2003-04-02 | Mamoru Aizawa | 骨芽細胞の培養方法 |
KR100759718B1 (ko) * | 2004-12-21 | 2007-10-04 | 요업기술원 | 수열 열간 가압법을 이용한 인산칼슘계 다공체 및 그 제조방법 |
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