JPH0634271A - 粉粒体の乾燥方法と粉粒体の乾燥装置 - Google Patents

粉粒体の乾燥方法と粉粒体の乾燥装置

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JPH0634271A
JPH0634271A JP4193852A JP19385292A JPH0634271A JP H0634271 A JPH0634271 A JP H0634271A JP 4193852 A JP4193852 A JP 4193852A JP 19385292 A JP19385292 A JP 19385292A JP H0634271 A JPH0634271 A JP H0634271A
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temperature
dryer
drying
carbon black
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JP4193852A
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Iori Hashimoto
伊織 橋本
Motomiki Numata
元幹 沼田
Atsushi Nishizawa
淳 西澤
Tomiyuki Kamata
富行 鎌田
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Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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    • F26B11/02Machines or apparatus for drying solid materials or objects with movement which is non-progressive in moving drums or other mainly-closed receptacles
    • F26B11/028Arrangements for the supply or exhaust of gaseous drying medium for direct heat transfer, e.g. perforated tubes, annular passages, burner arrangements, dust separation, combined direct and indirect heating
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カーボンブラックなどの粉粒体製品の品質を
希望する値にするための乾燥機内の温度分布制御方法の
開発および乾燥機の温度分布を長時間にわたり安定に運
転できる乾燥方法および装置を提供すること。 【構成】 カーボンブラックは入口1から、水は入口2
からそれぞれ造粒機3に供給され、造粒されたカーボン
ブラックはライン4より円筒回転型乾燥機5で乾燥さ
れ、製品カーボンブラックはライン6から排出される。
複数の温度計10で測定された乾燥機5内の温度を基
に、燃焼制御装置13で演算処理し、粉粒体が恒率乾燥
から減率乾燥に移る変化時点を算出し、該変化時点と、
乾燥機出口の粉粒体温度を被制御変数とし、ライン7、
8から乾燥機5のそれぞれ乾燥機前半用と後半用バーナ
9に供給された燃料流量を制御して熱量を調節して乾燥
機5内の粉粒体の温度分布を長時間に亙り安定させて運
転ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉粒体の乾燥方法と装
置に関するものである。詳しくは、乾燥機内の温度分布
を安定してカーボンブラックなどの粉粒体を乾燥する方
法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、カーボンブラックなどの粉粒体
を連続的に乾燥する場合、得られるカーボンブラックの
物性値は乾燥条件に左右されるので、常に一定の乾燥条
件で乾燥することが要求される。従来、粉粒体の代表例
であるカーボンブラックの乾燥機としては、例えば、乾
燥機内の搬送路の前半用と後半用とに分割された複数の
熱源を有する円筒回転型乾燥機が用いられている。前記
乾燥機の熱源の熱量の制御は乾燥機に供給される、水を
含んだカーボンブラックの熱容量を予め算出し、前半熱
源用燃料流量は前記熱容量と同等の熱量を与えるように
調節し、後半熱源用熱量流量は、乾燥機出口カーボンブ
ラック温度に応じて調節していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記円筒回転型乾燥機
の燃焼制御方法によるときは、乾燥機出口カーボンブラ
ック温度だけにフィードバック制御をかけることによっ
て、該温度だけは希望する温度に制御される。ところ
が、製品カーボンブラックの品質の指標となる製品中の
水分量および酸化度は、出口温度だけでなくカーボンブ
ラックがどのような経緯で加熱されたか、すなわち、乾
燥機内の温度分布に大きく影響される。なぜなら、一定
した含水量のカーボンブラックを乾燥機に供給している
つもりでも、実際の工業操作ではカーボンブラックの含
水量や供給速度が微妙に変化し、その結果、乾燥により
回収されるカーボンブラックの物性値も微妙に変動する
ものである。したがって、この方法によるときには、出
口温度は希望する温度になっても、カーボンブラックの
品質の指標である製品中の水分量、酸化度は希望する値
になるかどうかは不明である。また、乾燥機に供給され
る、水を含んだカーボンブラック量に応じて前半熱源の
熱量を調節するときには、該熱量の影響が出口温度にま
で及ぶため出口温度が変動してしまう。
【0004】そこで、本発明の目的は、カーボンブラッ
クなどの粉粒体製品の品質を希望する値にするための乾
燥機内の温度分布制御方法の開発および乾燥機の温度分
布を長時間にわたり安定に運転できる乾燥方法および装
置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは粉粒体の乾
燥法につき鋭意研究を重ねた結果、乾燥機内に設置した
複数の温度計によって測定した温度を演算処理し、粉粒
体が恒率乾燥から減率乾燥に移る変化時点を算出し、該
変化時点と、乾燥機出口の粉粒体温度を被制御変数と
し、乾燥機前半熱源用燃料流量と後半熱源用燃料流量を
操作変数とする多変数制御システムを設計し、演算処理
によって操作変数である燃料流量を決定する時は、乾燥
機内の粉粒体の温度分布を長時間に亙り安定させて運転
ができることを確認して本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は次の構成からなるもの
である。 (1)粉粒体を複数に分割された熱源を有する乾燥機の
一端から導入し、他端から排出するまでの間に乾燥する
粉粒体の乾燥方法において、乾燥機内の粉粒体の温度を
測定し、前記温度測定結果と乾燥機出口における粉粒体
の温度をベースとして、粉粒体の乾燥状態が恒率乾燥か
ら減率乾燥に移る変化時点を演算により推定し、前記粉
粒体の乾燥状態の変化時点の推定結果を基に、複数の熱
源の熱量をそれぞれ独立に操作して、乾燥機出口の粉粒
体の温度および前記変化時点を制御する粉粒体の乾燥方
法。 (2)一端の粉粒体入口と他端の粉粒体出口とを結ぶ粉
粒体流路を持つ乾燥機内に配置される複数に分割された
熱源により粉粒体を乾燥する粉粒体乾燥装置において、
乾燥機内の複数の粉粒体流路領域で粉粒体の温度をそれ
ぞれ測定するための粉粒体温度手段と、該各温度測定手
段の粉粒体測定結果をベースとして、粉粒体の乾燥状態
が恒率乾燥から減率乾燥に移る変化時点を演算により推
定する乾燥状態変化時点推定手段と、乾燥機出口の粉粒
体の温度および前記変化時点を制御するために、前記粉
粒体の乾燥状態変化時点推定手段の推定結果および乾燥
機出口の粉粒体温度を基に、複数の熱源の熱量をそれぞ
れ独立に操作する燃焼制御装置とを備えた粉粒体の乾燥
装置。
【0007】本発明で対象とする粉粒体としては、通
常、カーボンブラック、肥料、染料、顔料、ポリアミド
樹脂などからなる合成樹脂ペレットなどが挙げられる
が、特に本発明はカーボンブラックの乾燥に適したもの
である。また、これらの粉粒体に含まれる液体は水だけ
でなく、有機溶媒でも良い。
【0008】
【作用】図2は乾燥機の代表例である円筒回転型乾燥機
内部の粉粒体カーボンブラック(以下、粉粒体の典型例
であるカーボンブラックを例に説明する。)の温度分布
を示す略図である。縦軸は温度、横軸は乾燥機入口から
の距離を示している。約60℃で供給された粉粒体(カ
ーボンブラック)は加熱され、水の沸点である100℃
に至る(A点)。その後は100℃で一定の期間(恒率
乾燥期間)が続くが、やがて表面の自由水の蒸発が終了
すると減率乾燥期間に入り(B点)、温度100℃を越
えて上昇する。ここにおいて、少なくとも先頭のカーボ
ンブラック温度測定手段をB点付近に、また、最後尾の
温度測定手段を乾燥機出口(C点)に設置し、その間に
複数の温度測定手段を設置すれば良い。B点の位置につ
いては、温度測定手段の位置を実験的にずらしながら運
転することによって決定することができる。
【0009】本発明の粉粒体の乾燥法において、乾燥機
内部に設置した複数の温度測定手段によって測定した温
度から、カーボンブラックが乾燥機内で恒率乾燥から減
率乾燥に移る変化時点を推定し、その推定変化時点と乾
燥機出口の粉粒体温度により乾燥機の複数に分割された
熱源の熱量をそれぞれ操作して、乾燥機出口のカーボン
ブラックの温度および減率乾燥への変化時点を制御する
ことによって、乾燥機内の温度分布を安定させ、水分含
有量および酸化度の安定した製品カーボンブラックを取
得するものである。以下にその演算の詳細を説明する。
【0010】本発明では、乾燥機内の恒率乾燥から減率
乾燥への変化時点は、円筒回転型乾燥機の内部に設置し
た複数の温度測定手段によって測定された温度から求め
ることができる。すなわち、水を加えて造粒されたカー
ボンブラックの場合、恒率乾燥中のカーボンブラックの
温度は水の沸点である100℃であるが、減率乾燥中で
あれば100℃を越えるため、100℃を示している温
度測定手段と100℃を超えている温度測定手段の間に
減率乾燥への変化時点があるとすることができる。
【0011】したがって、温度測定手段の数は多ければ
多いほど恒率乾燥から減率乾燥への変化時点の測定精度
は上がるが、温度測定手段を支持するための支柱の強度
あるいは温度測定手段の設置コストなどの関係であまり
多くの温度測定手段を設置できない場合は、少ない温度
点数から前記変化時点を推定することもできる。
【0012】すなわち、カーボンブラックが燃焼ガスに
よって均一に加熱されているとすれば、その温度上昇は
加えた熱量の畳み込み積分で表される一次容量系とし
て、次式 t=K−B×exp(−x/T) で近似できる。ここにおいて、tは温度、xは乾燥機入
口からみて先頭の温度測定手段(少なくとも温度測定手
段は図2のB点とC点間に配置されることが条件)から
の距離、K、B、Tはそれぞれ定数である。この近似式
を得るにはK、B、Tを求める必要があるが、等間隔の
3点の温度測定点があれば3元連立方程式を解くことが
でき、この近似式と100℃との交点をもって減率乾燥
への変化時点と推定することができる。このように温度
測定信号から変化時点を算出するため、温度測定手段の
数は最低でも3個必要である。しかし、何らかの理由で
外乱を受けて先頭の温度測定手段の測定値が100℃を
超えないときは、2点の温度しか利用できないので、前
記連立方程式を解くことができないため、4点以上の温
度測定手段を設置することが望ましい。
【0013】こうして得られた変化時点と乾燥機出口カ
ーボンブラック温度を制御するには、次のような手順に
よる。まず、予めプロセスのステップ応答モデルを用意
する。これは、燃料流量あるいはカーボンブラックの処
理量を単位流量変化させたときの、被制御量であるカー
ボンブラックの処理量を単位流量変化させたときの、被
制御量である変化時点と出口温度の挙動の経時変化を示
すものであり、実験によって得ることができる。すなわ
ち、まず、燃料流量およびカーボンブラックの処理量を
一定にして定常状態にする。このとき、乾燥機内の温度
は全て一定となるため、恒率乾燥から減率乾燥への変化
時点も一定となる。次に、前半用燃料流量だけを1Nm
3/hと瞬間的に増加させ、乾燥機出口温度の挙動を定
周期で記録する。同時に前記減率乾燥への変化時点も推
定し、同様に記録する。これらの処理は当然、コンピュ
ータを用いて行うのが良い。
【0014】前半用燃料流量を増加させると乾燥機内の
温度は上昇し、やがて一定値になる。このとき、前記変
化時点も一定となるがその時点で記録は終了する。この
手順を後半用燃料流量についても同様に行う。また、カ
ーボンブラック処理量についても同様に行うが、このと
きは1kg/hの瞬間的増加とする。
【0015】こうして得られた乾燥機出口温度および前
記減率乾燥への変化時点の時系列データを操作量を変化
させた時点での値をa0として古い順に並べると、つぎ
のようになる。 a0、a1、a2、……… as-1、as ここで、sは再び定常状態となった時点である。プロセ
スが線形に近いと仮定すると、時刻tにおいて△u
(t)というステップ状の入力がプロセスに加えられた
ときに時刻t+jにおけるプロセスの応答は、 y(t+j)=aj×△u(t) と表せる。
【0016】そこで現在までに行われた操作を、一定周
期で大きさの異なるステップ状の入力が順次加えられた
ものと見なすと、時刻t+jにおけるプロセスの応答は
過去のステップ状の入力の影響が加え合わされたものと
考えることができ、次の数式1のように表すことができ
る。
【0017】
【数1】
【0018】これがステップ応答モデルである。ここ
で、△u(t+j−k)はu(t+j−k)−u(t+
j−k−1)であり、一周期前の入力からの変化量を表
す。
【0019】プロセスのモデルにはステップ応答モデル
のほか、インパルス応答モデルあるいはARXモデルで
も良い。このプロセスモデルを用いることによって被制
御量の将来を予測することができる。
【0020】インパルス応答モデルはステップ応答モデ
ルと同様に実験によって求めることができる。ステップ
応答モデルを得る実験においてはステップ状の入力を与
えたが、インパルス応答モデルを求める実験においては
パルス状の入力を与える。例えば、前半用燃料流量につ
いては1Nm3/hの瞬間的増加を行った後、次の周期
が来れば元の値に戻し、同様の時系列データを得る。こ
れを並べると、 h0、h1、h2、……… hs-1、hs となる。ここで、sは再び定常状態となった時点であ
る。プロセスが線形に近いと仮定すると、時刻tにおい
て大きさu(t)というパルス状の入力がプロセスに加
えられたときに時刻t+jにおけるプロセスの応答は、 y(t+j)=hj×u(t) と表せる。
【0021】そこで現在までに行われた操作を、一定周
期で大きさの異なるパルス状の入力が順次加えられたも
のと見なすと、時刻t+jにおけるプロセスの応答は過
去のパルス状の入力の影響が加え合わされたものと考え
ることができ、次の数式2のように表すことができる。
【0022】
【数2】
【0023】これがインパルス応答モデルである。ま
た、ARXモデルとは、現時刻tのプロセスの応答y
(t)が過去のプロセスの応答y(t−1)、y(t−
2)、… と過去の操作入力u(t−1)、u(t−
2)、… の関数として決まるようなモデルであり、例
えば、 y(t)=b1×y(t−1)+b2×y(t−2)+b3×y(t−3)+ c1×u(t−1)+c2×u(t−2)+c3×u(t−3) のような構造をしている。
【0024】次に、目標となる挙動を与える。被制御量
を一定にしたいのであれば一定量を、また変化させたい
のであれば希望する値までの滑らかな曲線を算出し、目
標値軌道とする。燃焼制御装置は、ある操作を行った場
合の被制御量の将来の挙動をプロセスモデルを用いて予
測し、この予測した軌道と目標値軌道との誤差面積を最
小とするような操作量を、最小二乗法を用いて求め、得
られた値と等しくなるように前半用燃料流量および後半
用燃料流量を調節して乾燥機内の熱源の熱量を制御す
る。
【0025】この操作量の詳しい求め方を次に説明す
る。まず、将来のどの時刻から何時間の間のプロセスの
予測値と目標値軌道との誤差面積を最小にするのかを決
める。例えば、現在よりL時刻先から時間Pの間の誤差
面積を最小にするものとする。具体的には、例えばLは
プロセスの最も長い無駄時間よりも1サンプリング周期
分長い値とし、Pは6サンプリング分とすれば良い。次
にプロセスモデルを用いて現在よりL時刻先から時間P
の間のプロセスの応答を予測する。すなわち、y(t+
L)、y(t+L+1)、……、 y(t+L+P−
2)、y(t+L+P−1)を予測する。これには前述
のようにステップ応答モデル、インパルス応答モデルあ
るいはARXモデルを用いれば良い。
【0026】現在よりL時刻先から時間Pの間の目標値
軌道、すなわち、y(t+L)、y(t+L+1、)、
……、y(t+L+P−2)、y(t+L+P−1)の
算出は以下のようにする。時刻t+L−2までの操作量
を、今から求める操作量に保ち続けると仮定し、時刻t
+L−1におけるプロセスの応答y(t+L−1)を予
測する。その予測値と目標値を1−α:αに内分する点
をy(t+L)とする(αは0より大きく1より小さい
数)。y(t+L+1)は1−α2:α2に内分する点、
y(t+L+2)は1−α3:α3に内分する点というよ
うに順次求めて目標値軌道とする。
【0027】ここで、現在よりL時刻先から時間Pの間
のプロセスの予測値と目標値軌道を次のようにベクトル
で表す。 YP=[y(t+L) y(t+L+1)・・・y(t
+L+P−2) y(t+L+P−1)]T YR=[y(t+L) y(t+L+1)・・・y(t
+L+P−2) y(t+L+P−1)]T ここで添字Tはベクトルの転置を表す。YPとYRの誤
差面積を最小にするには評価関数Jを最小とするような
△u(t)を求めればよい。 J=(YR−YP)2 Jを最小とする△u(t)は、次の数式3(方程式)を
解くことによって求められる。
【0028】
【数3】
【0029】得られた△u(t)は一周期前の入力から
の変化量を表すため、前回求めた操作量に△u(t)を
加えることによって今回の操作量とすれば良い。これ
ら、恒率乾燥から減率乾燥への変化時点の決定から熱源
の熱量の調節までの一連の演算処理はコンピュータによ
って行うことができる。
【0030】
【実施例】本発明の一実施例をカーボンブラックの乾燥
方法を例にとり、図と共に説明する。 実施例1 図1は本発明の実施の態様の一例を示す概念図である。
図1において、カーボンブラックは入口1から、水は入
口2からそれぞれ造粒機3に導入され、造粒されたカー
ボンブラックはライン4から円筒回転型乾燥機5に導入
され、製品カーボンブラックはライン6から排出され
る。乾燥機前半用燃料ライン7、乾燥機後半用燃料ライ
ン8からそれぞれ乾燥機5の前半用と後半用の各々のバ
ーナ9に供給される。乾燥機5内の温度は温度計10で
測定される。温度計10は温度計の支柱11に支持さ
れ、温度信号12は燃焼制御装置13に送信され、乾燥
機5の熱源の熱量は乾燥機前半用燃料流量の制御信号1
4、乾燥機後半用燃料流量の制御信号15によりコント
ロールされる。
【0031】造粒機3には略同等量のカーボンブラック
と水が供給され造粒される。造粒機3の形式としては種
々のものが使用できるが、連続運転でカーボンブラック
を造粒するには、円筒形で撹拌ピンを植え付けた回転シ
ャフトを内部に備えたものが好適である。造粒機3で造
粒され、水分を含んだカーボンブラックは円筒回転型乾
燥機5へ供給され、乾燥されて製品カーボンブラックと
なる。
【0032】回転円筒型乾燥機5の燃料は各種の燃焼ガ
ス、水素、メタンなどの可燃性ガス、あるいは重油、ナ
フサなどの化石燃料が用いられる。該燃料は乾燥機前半
用燃料ライン7と乾燥機後半用燃料ライン8の二つ以上
に分割されて供給され、それぞれ独立に調節される。該
燃料ラインの分割数は3以上でも良いが、多すぎると制
御装置13が複雑になりすぎるので、分割数は2ないし
3、好ましくは2が良い。
【0033】二つ以上に分割された燃料はバーナ9で燃
焼される。バーナ9は燃料ライン7、8に対し一つずつ
でも良いが、熱効率の面からは該燃料をさらに複数に分
割して複数のバーナ9で燃焼した方が良い。バーナ9で
燃焼して生じた排ガスは、廃棄しても良いが乾燥機5内
部に還流させることによって効率よく利用することがで
きる(図3参照)。
【0034】温度計10は、円筒回転型乾燥機5の内部
に設置される。設置の方法としては温度計の支柱11に
複数の温度計10を設置し、該支柱11を乾燥機5内部
に挿入して温度計10が乾燥機5内に流れるカーボンブ
ラックに接触するようにして固定すれば良い。温度計の
設置位置については本実施例の場合は図1に示す通り、
乾燥機後半用燃料ライン8のバーナ9上に配置してい
る。その理由は乾燥機前半用燃料ライン7のバーナ9は
専ら円筒回転型乾燥機5内の温度を上げるために用い、
カーボンブラックの乾燥状態が恒率乾燥から減率乾燥に
移る変化点が形成される乾燥機後半用燃料ライン8のバ
ーナ9上の温度を測定することが経済的に有利であるこ
とによる。
【0035】図3に、本実施例の水添造粒カーボンブラ
ックの円筒回転型乾燥機5の具体例を示す。図3の一点
鎖線よりも上部は乾燥機5の断面図を示し、下部は側面
図を示す。バーナ9を有する外被炉17と、その内部で
回転するステンレス製のドラム18から構成されてい
る。外被炉17の直径は3.7m、高さ5.5m、長さ
24mであり、その内部は等間隔で4個の燃焼室19に
分割されている。水添造粒カーボンブラックはドラム1
8の図面左端のカーボンブラック入口21から導入さ
れ、右端の出口22より排出される。
【0036】供給される燃料は、乾燥機の前半用ライン
7と後半用ライン8により二つに分割され、それぞれ独
立に調節される。4個の燃焼室19のうち前方2室に前
半用燃料が、後方2室に後半用燃料が供給され、それぞ
れ複数のバーナ9で燃焼される。バーナ9の数は前半用
燃料には20本、後半用燃料には12本が設置されてい
る。すなわち、4個の燃焼室19のうち、前方2室には
1室あたり10本のバーナ9が設置され、後方2室には
1室あたり6本のバーナ9が設置されている。したがっ
て、本実施例においては、前半用燃料バーナ9の20本
に供給される燃料の総流量、あるいは、後半用燃料バー
ナ9の12本に供給される燃料の総流量を独立に調節す
る。バーナ9で燃焼された燃焼ガスは、ドラム18を外
側から加熱した後、燃焼室19上部のダクト23で集合
し、該ダクト23が接続するドラム18の後方からドラ
ム18内部へ供給される。カーボンブラック入口21近
傍の排ガス出口25側に設置したブロワー(図示せず)
でドラム18内部の燃焼ガスを吸引することによって、
後方から供給された燃焼ガスは、カーボンブラックと向
流に接触して、排ガス出口25側から排出される。
【0037】燃焼ガスがカーボンブラックと接触する際
に酸化反応が生じるが、その酸化の程度は温度と密接な
関係にある。したがって、酸化度を一定にして製品カー
ボンブラックの品質を安定させるためにはドラム18内
の温度分布を一定にする必要がある。本実施例ではドラ
ム18内部を流れるカーボンブラックの温度を複数の点
で測定し、これらの温度からカーボンブラックが恒率乾
燥から減率乾燥へ移る変化時点を推定し、この推定結果
と乾燥機出口温度とをベースとして前半用燃料流量およ
び後半用燃料流量をそれぞれ独立に操作して温度分布を
制御する。
【0038】本実施例ではドラム18内のカーボンブラ
ックの温度は後方2室の燃焼室19に配置した4本の温
度計10によって測定した。すなわち、4本の温度計を
2.5mの等間隔で支柱(図示せず)に固定し、その支
柱をドラム18出口から挿入し固定する。
【0039】これらの温度計10によって測定された温
度は、オンラインで10分周期で制御装置13(図1)
に入力されている。一方、前半用燃料流量、後半用燃料
流量、カーボンブラックに加えられる水の流量もオンラ
インで10分周期で制御装置13に入力されるが、本実
施例では、過去に行った操作によって出口温度および恒
率乾燥から減率乾燥への変化時点が将来どのような挙動
をするかを現在値をベースとして予測するため、前半用
燃料流量、後半用燃料流量、カーボンブラックに加えら
れる水の流量は制御装置13の記憶装置(図示せず)に
保存される。
【0040】ここで、乾燥機5にかかる熱負荷はカーボ
ンブラックの処理量とそれに加えられる水の量である
が、カーボンブラックの熱容量は水の熱容量に比べて1
0分の1以下と非常に小さく無視できるため、カーボン
ブラックの処理量については考えていない。
【0041】制御装置13ではまず4点の温度から、カ
ーボンブラックが減率乾燥へ変化する点を推定する。次
に、記憶装置で保存した過去1500分間の前半用燃料
流量、後半用燃料流量、水の流量によって将来出口温度
および恒率乾燥から減率乾燥への変化時点がどのような
挙動を示すかをそれぞれの現在値をベースにしてステッ
プ応答モデルを用いて予測し、その予測値の軌道と目標
の軌道との誤差面積が最小となるような操作量、すなわ
ち、前半用燃料流量および後半用燃料流量を最小二乗法
によって決定し、それぞれの調節弁(図示せず)へ制御
信号を出力する。これらの手順は10分周期で繰り返さ
れるため、本実施例における制御周期は10分である。
【0042】本実施例においては、ファーネス法によっ
て製造したカーボンブラックに、造粒機においておおむ
ね同等量の水を加えて2.5mm以下に造粒し、円筒回
転型乾燥機5に供給する。具体的な処理量としては、カ
ーボンブラック、水ともに2000〜3000kg/h
r程度である。一方燃料としては、コーク・オーブン・
ガス(COG)を用い、前半用COGは200〜400
Nm3/h、後半用COGは100〜300Nm3/h程
度である。
【0043】本実施例で対象とした、カーボンブラック
の製品品質は、IA(よう素吸着量)60±4mg/1
00g、DBP(ジブチルフタレート)105±3ml
/100g、pH6〜9、VM(揮発分)1.1±0.
4%、水分0.7%以下である。
【0044】上記本実施例と比較例とによって温度制御
を行った場合のデータを図4〜図6に示す。なお、比較
例とは乾燥機5に供給される水添造粒カーボンブラック
の熱容量を予め算出して、前半用燃料流量は前記熱容量
と同等の熱量を与えるように調節し、後半用燃料流量は
乾燥機出口22のカーボンブラック温度に応じて操作し
た場合の例である。
【0045】図4(a)は乾燥機出口22のカーボンブ
ラック温度、図4(b)はカーボンブラックの恒率乾燥
から減率乾燥への変化時点の乾燥機入口21からの距
離、図5(a)は前半用燃料流量、図5(b)は後半用
燃料流量、図6はカーボンブラックに加えた水の量のそ
れぞれの時間変化を示す。そして図4〜図6の前半分は
比較例を後半分は本実施例を示す。
【0046】カーボンブラックに加える水の量が図6の
ように変更されるが、これによってカーボンブラックの
温度が変動しないように前半用燃料流量および後半用燃
料流量を操作してカーボンブラックに加える熱量を操作
する必要がある。本実施例と比較例とを比較すると明ら
かなように、比較例では乾燥機出口22でのカーボンブ
ラック温度(図4(a))、恒率乾燥から減率乾燥への
変化時点(図4(b))は大きく変動しているのに対し
て本実施例は安定している。
【0047】実施例2 実施例1および実施例1に記載した比較例と同様にカー
ボンブラックの乾燥を10日間連続して行い、得られた
製品カーボンブラックのVM(揮発分)およびpHにつ
いて平均値と標準偏差を求めたところ、表1に示す結果
が得られた。
【0048】
【表1】 表1に示す通り、本実施例によると比較例に比べてバラ
ツキが小さく、安定な品質のカーボンブラックが得られ
たことが分かる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、乾燥機内の温度分布を
制御することで、乾燥機内の温度分布を長時間にわたり
安定に運転でき、カーボンブラックなどの粉粒体製品の
品質のバラツキを小さく安定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の水添造粒カーボンブラッ
クの乾燥装置を示す概念図である。
【図2】 本発明の水添造粒カーボンブラックの乾燥機
内での温度分布の典型例を示す図である。
【図3】 本発明の一実施例の水添造粒カーボンブラッ
クの円筒回転型乾燥機を示す図である。
【図4】 本発明の一実施例と比較例の乾燥機出口のカ
ーボンブラック温度(a)、恒率乾燥から減率乾燥への
変化時点の乾燥機入口からの距離(b)を示す図であ
る。
【図5】 本発明の一実施例と比較例の乾燥機の前半用
燃料流量(a)、後半用燃料流量(b)を示す図であ
る。
【図6】 本発明の一実施例と比較例の乾燥機のカーボ
ンブラックに加えた水の量を示す図である。
【符号の説明】
1…カーボンブラック入口、2…水入口、3…造粒機、
4…造粒カーボンブラックライン、5…円筒回転型乾燥
機、6…製品カーボンブラックライン、7…乾燥機前半
用燃料ライン、8…乾燥機後半用燃料ライン、9…バー
ナ、10…温度計、11…温度計の支柱、12…温度信
号、13…制御装置、14…乾燥機前半用燃料流量の制
御信号、15…乾燥機後半用燃料流量の制御信号、17
…乾燥機外被炉、18…回転ドラム、19…燃焼室、2
1…カーボンブラック入口、22…カーボンブラック出
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鎌田 富行 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化成株式会社黒崎工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉粒体を複数に分割された熱源を有する
    乾燥機の一端から導入し、他端から排出するまでの間に
    乾燥する粉粒体の乾燥方法において、 乾燥機内の粉粒体の温度を測定し、前記温度測定結果と
    乾燥機出口における粉粒体の温度をベースとして、粉粒
    体の乾燥状態が恒率乾燥から減率乾燥に移る変化時点を
    演算により推定し、前記粉粒体の乾燥状態の変化時点の
    推定結果を基に、複数の熱源の熱量をそれぞれ独立に操
    作して、乾燥機出口の粉粒体の温度および前記変化時点
    を制御することを特徴とする粉粒体の乾燥方法。
  2. 【請求項2】 一端の粉粒体入口と他端の粉粒体出口と
    を結ぶ粉粒体流路を持つ乾燥機内に配置される複数に分
    割された熱源により粉粒体を乾燥する粉粒体乾燥装置に
    おいて、 乾燥機内の複数の粉粒体流路領域で粉粒体の温度をそれ
    ぞれ測定するための粉粒体温度手段と、 該各温度測定手段の粉粒体測定結果をベースとして、粉
    粒体の乾燥状態が恒率乾燥から減率乾燥に移る変化時点
    を演算により推定する乾燥状態変化時点推定手段と、 乾燥機出口の粉粒体の温度および前記変化時点を制御す
    るために、前記粉粒体の乾燥状態変化時点推定手段の推
    定結果および乾燥機出口の粉粒体温度を基に、複数の熱
    源の熱量をそれぞれ独立に操作する燃焼制御装置とを備
    えたことを特徴とする粉粒体の乾燥装置。
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