JPH0634185U - ローラポンプのロータ構成 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】血液、補液等の薬液を給送するローラポンプに
関し、特にロータ構成を提供する。 【構成】上下ロータ板は回転軸４を中心とする同心円上
に等間隔に複数の空所１ｄを開けることによりその外周
縁の一部を残して弾性支持部１ｃを夫々形成してなり、
これらの各中央位置にローラ２を軸設したもので、弾性
支持部１ｃの夫々に回転軸に対向する突出片１ｆを形成
し、ロータ１の各空所１ｄに突出片１ｆに対接するクッ
ション材１１を介挿した構成することにより、弾性支持
部１ｃ自体に弾性力を持たすことができ、ローラポンプ
の構造上の誤差或はチューブ径の誤差等によるステータ
５とロータ１間にて圧縮されたチューブ径の誤差を吸収
して送液量を一定にすることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば血液、補液等の薬液を給送するローラポンプに関し、特にこ のポンプのロータ構成に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来から臨床治療において血液、補液等の薬液を給送するのに使用されている ローラポンプは、電動モータ等により回転するロータの回転軸を中心とする同心 円上に複数のローラを一定間隔で配設し、これらローラの外周に軟質性のチュー ブを装着し、該チューブを側方から囲繞するステータにより圧迫した状態で回転 体を送液方向に回転することによってローラのチューブに対する圧迫位置を移動 し、チューブ内の薬液を給送するように構成してある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このようなローラポンプにおいては、チューブに対する各ローラの 押圧力は固定されたステータに対するローラの最小離間幅によるが、ローラの回 転クリアランスや加工精度、また支持軸周辺およびローラ外周等の摩耗によって ステータとローラ間の離間幅が変化し、その結果ステータとローラ間に装着され てローラにより圧迫されたチューブの圧縮径に誤差が生じ、これによりローラの チューブに対する押圧力に変化が生じて送液量が不均一となるという不都合があ った。また送液に使用するチューブの径は一応規格化されてはいるものの、温度 変化や加工精度によって微妙に異なるものであり、このチューブ径の不均一もチ ューブの圧縮径に誤差を生じる原因となっていた。

【０００４】 そこで、従来からこのような不都合を回避するロータ構成として、図５に示す ように、ローラ２２を支持軸２３に軸設されたローラ支持アーム２６を介してモ ータ回転軸２４の回りに複数個配設し、各ローラ支持アーム２６をバネ２５を介 して弾性保持することにチューブに対するローラ２２の押圧力に弾性をもたせた 構成のロータ２１があるが、このようなロータでは構造上複雑となってバネ部材 ２５やローラ支持アーム２６等の各部材の取り付けに手間がかかるという不都合 がある。

【０００５】 その他のロータ構成としては、偏芯カムを用いてローラを支持した構成、また は外周にウレタンラバー等のクッション材を取付けたローラをロータに直に軸支 した構成等があるが、上記同様に構造上複雑でり、またローラ外周にクッション 材を取付けたものはこのクッション材が摩耗してローラ外径が経年的に変化する という不都合があった。

【０００６】 本考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、ローラポンプの構造上の 誤差或はチューブ径の誤差等によるステータとローラ間にて圧縮されたチューブ 径の誤差を吸収して送液量を一定にし、また製造コストの低減を図り、従来のロ ーラポンプにも支障なく使用でき、経年変化のない簡単かつコンパクトな構造の ロータ構成を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決する本考案のローラポンプのロータ構成は、モータ３の回転 軸４の上下に固着されたロータ板１ａ、１ｂ間に複数のローラ２、２…を配設し てなるロータ１の外周にチューブ１０を添設し、該チューブ１０を側方から囲繞 するステータ５により圧迫した状態でロータ１を回転して前記ローラ２、２…の 前記チューブ１０に対する圧迫位置を移動するようにしたローラポンプにおいて 、前記上下ロータ板１ａ、１ｂは前記回転軸４を中心とする同心円上に等間隔に 複数の空所１ｄを開けることによりその外周縁の一部を残して上下対向位置に弾 性支持部１ｃを夫々形成してなり、これら上下の弾性支持部１ｃの各中央位置に ローラ２を軸設したことを特徴とする。

【０００８】 また、前記弾性支持部１ｃの夫々に前記回転軸４に対向する突出片１ｆを形成 し、前記ロータ１の各空所１ｄに前記突出片１ｆに対接するクッション材１１を 介挿した構成とするか、前記弾性支持部１ｃの夫々に前記回転軸４に対向する突 出片１ｆを形成し、前記空所１ｄに前記突出片１ｆに係合する弾性線材２０を張 設した構成とすることができる。

【０００９】

【作用】

上記のロータを構成する上下ロータ板１ａ、１ｂの夫々の外周縁に空所１ｄを 開けることにより形成した弾性支持部１ｃを配設し、この弾性支持部１ｃにロー ラを軸支した構成により、弾性支持部１ｃ自体に弾性力を持たすことができ、ロ ーラポンプの構造上の誤差或はチューブ径の誤差等によるステータとローラ間に て圧縮されたチューブ径の誤差を吸収して送液量を一定にすることができる。

【００１０】 また、弾性支持部１ｃの夫々に回転軸４に対向する突出片１ｆを形成してロー タ１の各空所１ｄに突出片１ｆに対接するクッション材１１を介挿した構成、或 は空所１ｄに突出片１ｆに係合する弾性線材２０を張設した構成とした場合、弾 性支持部１ｃはローラの回転軸２ａを支持しうるだけの最小幅でよくなり、弾性 支持部１ｃを柔軟に形成して自由度を向上することができる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照しながら説明する。

【００１２】 図１は本考案に係るローラポンプの平面図であり、(a) は、蓋７を開けた状態 を示す図、(b) は蓋７を閉じた状態を示す図である。図２は、図１に示すローラ ポンプの縦断面図であり、図中２点鎖線を境に右方に蓋７の支持回転体５を通っ て切断した側方付近の断面を示し、左方にロータ１の中央付近における断面を示 す。図３は図１に示すローラポンプの背面図であり、図中２点鎖線を境に右方に 外見図を示し、左方に支持回転体８を通って切断した図を示す。図４は本考案の 他の実施例のロータ構成を示す平面図である。

【００１３】 本実施例のローラポンプは、モータ３を固定した支持ベース６にモータ回転軸 ４を突出して該回転軸４にロータ１を固着する一方、ロータ１を覆う蓋７をステ ータ５の両側に支持回転体８を介して軸支し、この支持回転体８と支持ベース６ とを歯付ベルト９により係合してなるものである。

【００１４】 このようなローラポンプにおいて、ロータ１は、合成樹脂によるロータ板１ａ 、１ｂをモータ３の回転軸４に一定間隔を開けて固着し、各ロータ板１ａ、１ｂ はモータ回転軸４を中心とする同心円上に等間隔に数箇所の空所１ｄを開けるこ とによりその外周縁の一部を残して形成した弾性支持部１ｃを形成してあり、各 弾性支持部１ｃの中央位置には金属や硬質性合成樹脂よりなるローラ２をロータ 板１ａ、１ｂ間にモータ回転軸４と平行に軸２ａで支持してある。

【００１５】 このロータ板１ａ、１ｂの双方には、図１に示すように、各空所１ｄにはモー タ回転軸４側に凹所１ｅを夫々形成する一方、各弾性支持部１ｃには凹所１ｅに 向けて突出片１ｆを形成してあり、凹所１ｅにウレタンラバー、弾性ゴム等のク ッション材１１を夫々介挿してクッション材１１を突出片１ｆに対接することに より、弾性支持部１ｃ自体に弾性力を持たせた構成としてある。

【００１６】 凹所１ｅは、クッション材１１の位置決めとして機能するものであるが、空所 １ｄのモータ回転軸４側ではなく突出片１ｆの先端側縁に設けてもよいし、空所 １ｄのモータ回転軸４側と突出片１ｆ側の双方に設けても良い。

【００１７】 また、図４に示すようにピアノ線等の弾性線材２０を使用することにより弾性 支持部１ｃの補強をなすこともできる。この場合、弾性線材２０を夫々の突出片 １ｆの先端側縁に当接した状態で空所１ｄを跨いで配し、その両側をビス１９で 固定する。このビス１９は座ぐりして弾性線材２０を係止することにより、弾性 線材２０が突出片１ｆの先端側縁の略中央に当たるようになり、ローラの回転ぶ れが生じた場合でも突出片１ｆから外れるおそれがない。また、上記クッション 材１１の場合と同様に、突出片１ｆ側に凹所１ｅ（図４には不図示）を設けてお けば、この凹所に弾性線材２０を巻回して嵌着することができ、ローラの回転ぶ れに対してより一層外れにくい構成とすることができる。

【００１８】 ステータ５にはロータ１の回転によるローラ２、２…の回転軌跡の外周に沿っ てその外周軌跡の略半分を囲繞する曲面状の壁面５ａを形成すると共に、壁面５ ａの背後の両側に空隙部５ｂ、５ｂを開放する一方、支持ベース６に各空隙部５ ｂに収嵌する固定子１６をビス６ｂにより固着し、各固定子１６に空隙部５ｂか ら突出した突出片５ｃを嵌合してステータ５をロータ１から離間接近するよう平 行にスライド移動可能としてある。そして、ステータ５の各空隙部５ｂに外周が 円形の支持回転体８を回動可能に軸８ｂで支持し、各支持回転体８にロータ１を 覆う蓋７をビス７ｂにより締結すると共に、歯付ベルト９を支持回転体８の外周 に回してその歯部９ｂを支持回転体８のギヤ部８ａに噛合し、歯付ベルト９の一 端を蓋７と支持回転体８の突出片８ｃとの間に介挿してビス７ｂにより固定し、 歯付ベルト９を支持回転体８の外周に沿って略半回転して反対外方に折曲し、そ の端部をビス６ｂにより固定子１６を介してベース６に固着してある。

【００１９】 蓋７の先端部に対応した支持ベース６には該支持ベース６から起立した壁部６ ａが形成され、この壁部６ａに弾性を有する掛止棒１３が略中央位置にてビス１ ３ｂにより固定される一方、支持ベース６の平面部から水平に突出した突子１４ をバネ１４ａを介して掛止棒１３の下端部に向け突設する。突子１４の反対端部 をソレノイド１５の端子１５ｂに係止してある。また、掛止棒１３の頂端部には 蓋７を閉じたときに該蓋７に穿孔された係止孔７ａに嵌合する凹陥部１３ａを形 成してある。このように蓋７を閉じたとき、バネ１４ａが突子１４を押圧して該 突子１４が係止棒１３の下端部を外方に押圧することによって蓋７の係止孔７ａ に嵌合した状態をロックし、このときソレノイド１５の端子１５ａが突出して突 子１４を固定するとともに、モータ３を回転可能な状態にするが、モータ回転時 に蓋７を誤って開けようとしても係止棒１３のロック機能が働いて蓋７の開動作 を防止することができる。

【００２０】 このような構成により、支持回転体８と支持ベース６とは互いに歯付ベルト９ を介して係合し、蓋７を開けば支持回転体８が軸８ｂを中心に図２において時計 回りに回動してステータ５をロータ１から離間する方向に移動し、また蓋７を閉 じれば支持回転体８が反時計回りに回動してステータ５をロータ１に接近する方 向に移動する。この移動距離は支持回転体８の半径によるものであり、図１に示 すように、蓋７を開いた際にはステータ５とロータ１との離間部１５をチューブ １０が余裕を持って装着されるようにしておくと、ロータ１とステータ５間が充 分の離間距離をもって開放され、この離間部１５にチューブ１０を初めからＵ字 状に屈曲して容易に装着でき、蓋７を閉じるとステータ５の壁面５ａがチューブ １０を圧迫方向に押圧し、しかる後モータ３を給送方向に駆動するとローラ２、 ２…が順次回転してチューブ１０に対する圧迫部１０ａの位置を給送方向に移動 してチューブ１０内の薬液を移送することができる。

【００２１】 本考案は、ローラ２がチューブ１０に対する圧迫部１０ａの位置にあるときに 機能するもので、上記したようにローラ２を支持する弾性支持部１ｃ自体に弾性 力を持たせた構成とすることにより、或はクッション材１１または弾性線材２０ の補助を介することにより、ステータ５とローラ２間にて圧縮されたチューブ径 の誤差をこれら部材の弾性力により吸収してローラ２の回動によるチューブ内液 を安定して送液するものである。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のローラポンプのロータ構成によれば、ローラポ ンプの構造上の誤差或はチューブ径の誤差等によるステータとローラ間にて圧縮 されたチューブ径の誤差をこの離間幅を調整することなく吸収して、ローラ回動 によるチューブ内液を安定して送液することができる。

【００２３】 また、本考案によるロータ構成は、ロータ板の外周縁の一部を残して空所を形 成することによりこの外周縁の一部を弾性支持部として構成しただけであるから 、各ロータ板は合成樹脂の一体成形によりローコストに製造することができ、ロ ーラはこの弾性支持部に軸支したものであるから、このローラ外周に弾性を持た せる必要がなく、ローラを金属または硬質合成樹脂により製造して耐摩耗性をは かることができ、経年変化のないロータ構成とすることができる。

【００２４】 さらに、本考案に於けるロータ構成は、弾性支持部の夫々に突出片を形成して 各空所に突出片に対接するクッション材を介挿したり、または突出片に当接する 弾性線材を張設することによって弾性支持部の補強材を介した場合、弾性支持部 はローラの回転軸を支持しうるだけの最小幅でよく、弾性支持部を柔軟に形成し て自由度を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案に係るローラポンプの平面図であ
り、図(a) は、蓋を開けた状態を示す図、図(b) は蓋を
閉じた状態を示す図である。

【図２】図２は、図１に示すローラポンプの縦断面図で
あり、図中２点鎖線を境に右方に蓋の支持回転体を通っ
て切断した側方付近の断面を示し、左方にロータの中央
付近における断面を示す。

【図３】図３は図１に示すローラポンプの背面図であ
り、図中２点鎖線を境に右方に外見図を示し、左方に支
持回転体を通って切断した図を示す。

【図４】図４は本考案の他の実施例のロータ構成を示す
平面図である。

【図５】図５は従来のロータ構成を示す平面図である。

【符合の説明】

１…ロータ、１ａ，１ｂ…ロータ板、１ｃ…弾性支持
部、１ｄ…空所、１ｅ…凹所、１ｆ…突出片、２…ロー
ラ、３…モータ、４…モータ回転軸、５…ステータ、１
０…軟質性チューブ、１１…クッション材、２０…弾性
線材。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】モータ(3) の回転軸(4) の上下に固着され
   たロータ板(1a、1b)間に複数のローラ(2、2…) を配設し
   てなるロータ(1) の外周に軟質性チューブ（10）を添設
   し、該チューブ（10）を側方から囲繞するステータ(5)
   により圧迫した状態でロータ(1) を回転して前記ローラ
   (2、2…) の前記チューブ（10）に対する圧迫位置を移動
   するようにしたローラポンプにおいて、前記上下ロータ
   板(1a、1b) は、前記回転軸(4) を中心とする同心円上に
   等間隔に複数の空所(1d)を開けることによりその外周縁
   の一部を残して上下対向位置に弾性支持部(1c)を夫々形
   成してなり、これら上下の弾性支持部(1c)の各中央位置
   にローラ(2) を軸設したことを特徴とするローラポンプ
   のロータ構成。
2. 【請求項２】前記弾性支持部(1c)の夫々に前記回転軸
   (4) に対向する突出片(1f)を形成し、前記ロータ(1) の
   各空所(1d)に前記突出片(1f)に対接するクッション材
   （11）を介挿したことを特徴とする請求項１記載のロー
   ラポンプのロータ構成。
3. 【請求項３】前記弾性支持部(1c)の夫々に前記回転軸
   (4) に対向する突出片(1f)を形成し、前記空所(1d)に前
   記突出片(1f)に係合する弾性線材（20）を張設したこと
   を特徴とする請求項１記載のローラポンプのロータ構
   成。