JPH06330897A - 圧縮機の可変入口案内翼 - Google Patents

圧縮機の可変入口案内翼

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JPH06330897A
JPH06330897A JP5124240A JP12424093A JPH06330897A JP H06330897 A JPH06330897 A JP H06330897A JP 5124240 A JP5124240 A JP 5124240A JP 12424093 A JP12424093 A JP 12424093A JP H06330897 A JPH06330897 A JP H06330897A
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vane
movable vane
compressor
vanes
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可動ベーンの間隔および回転範囲を規制する
ことなく、異音の発生を防止する圧縮機の可変入口案内
翼を提供する。 【構成】 圧縮機1の羽根車2に吸気を導入する入口流
路3に可動ベーン4を環状に並んで配設し、各可動ベー
ン4を回転させる機構としてレバー6,7およびリング
9等を設け、各レバー6,7の長さを相違させて特定の
可動ベーン4の設定角度を他の可動ベーン4の設定角度
と相違させ構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧縮機の可変入口案内
翼の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用ガスタービンエンジン
は、広い運転領域をもっており、アイドル状態から発進
加速性を確保するために、アイドル回転数をできるだけ
高くしたいという要求がある。この対策として、圧縮機
の羽根車に流入する吸気に対して羽根車の回転方向に予
旋回を与える可変入口案内翼を設け、圧縮機の駆動馬力
を小さく抑えながら、アイドル回転数を高く保ち、燃費
の改善と加速性の向上を両立させられることが知られて
いる(参考資料…「NASA CR−18089
1」)。
【0003】従来のガスタービンエンジンに備えられる
圧縮機の可変入口案内翼として、例えば図13、図14
に示すように、圧縮機31の羽根車32に導入する入口
流路33に複数の可動ベーン(静翼)34が環状に配設
されたものがある。
【0004】各可動ベーン34の角度は運転状態に応じ
て調節され、アイドル時に各可動ベーン34は図14に
2点鎖線で示すように傾けられ、各可動ベーン34を通
過する吸気に対して羽根車32の回転方向に予旋回を与
えるようになっている。
【0005】ところが、各可動ベーン34が図14に2
点鎖線で示すように大きく傾けられる運転状態で、各可
動ベーン34から700〜750Hzの周波数をもつ異
音が発生することがある。
【0006】可動ベーン34から異音が発生する運転域
は、図15に示すように、ある一定以上の流量で各可動
ベーン34の設定角度が一定角度以上の運転域となって
いる。可動ベーン34から発生する異音は、各可動ベー
ン34の後端から無秩序な位相で発生するカルマン渦が
ある条件のもとで位相統制され、音響定在波が存在する
ためと考えられる。
【0007】各可動ベーン34から異音が発生すること
を防止するために、図16に示すように、特定の可動ベ
ーン34に隣接して平板状のタブ(邪魔板)35を取付
けられたものがある。
【0008】タブ35が設けられることにより、タブ3
5に隣接する可動ベーン34から発生するカルマン渦を
乱し、カルマン渦が位相統合して音響定在波となって異
音が発生することを防止するようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来構造にあっては、図17に示すように、各可動
ベーン34の間隔を狭くすると、吸気に強い予旋回を付
与する際に、タブ35に隣り合う可動ベーン34がタブ
35に当たるために、各可動ベーン34の間隔が制約さ
れるという問題点がある。
【0010】また、羽根車に流入する吸気に各可動ベー
ン34によって羽根車32と逆方向の旋回を付与しよう
とする場合、タブ35に隣接する可動ベーン34はタブ
35に当たってその回転範囲が規制されるという問題点
がある。
【0011】本発明は上記の問題点に着目し、可動ベー
ンの間隔および回転範囲を規制することなく、異音の発
生を防止する可変案内翼を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
圧縮機の羽根車に吸気を導入する入口流路に環状に並ん
で配設される複数の可動ベーンと、各可動ベーンを回転
させる機構とを備える圧縮機の可変入口案内翼におい
て、特定の可動ベーンの設定角度を他の可動ベーンの設
定角度と相違させる手段を備える。
【0013】請求項2記載の発明は、圧縮機の羽根車に
吸気を導入する入口流路に環状に並んで配設される複数
の可動ベーンと、各可動ベーンを同期して回転させる機
構とを備える圧縮機の可変入口案内翼において、特定の
可動ベーンの翼弦長を他の可動ベーンの翼弦長より所定
の比率で長く形成する。
【0014】請求項3記載の発明は、圧縮機の羽根車に
吸気を導入する入口流路に環状に並んで配設される複数
の可動ベーンと、各可動ベーンを同期して回転させる機
構とを備える圧縮機の可変入口案内翼において、入口流
路の可動ベーンより下流側に可動ベーンから離れて突出
するタブを備える。
【0015】
【作用】請求項1記載の発明においては、設定角度が他
の可動ベーンと相違する特定の可動ベーンが各可動ベー
ンから発生するカルマン渦を乱す、いわゆる邪魔板の機
能を果たし、カルマン渦が位相統合して音響定在波とな
って異音が発生することを防止する。
【0016】特定の可動ベーンも他の可動ベーンと同方
向に回転することにより、各可動ベーンの間隔を十分に
狭めても、吸気に強い予旋回を付与する際に、特定の可
動ベーンが隣り合うベーンに当たることを回避できる。
【0017】また、前記従来装置のように可動ベーンに
隣接したタブを設ける必要がないため、タブによって各
可動ベーンの回転範囲が規制されることがなく、吸気に
羽根車と逆方向の旋回を付与することができる。
【0018】請求項2記載の発明においては、特定の可
動ベーンの翼弦長を他の可動ベーンの翼弦長より所定の
比率で長く形成することにより、特定の可動ベーンが他
の可動ベーンより半径方向に突出して、各可動ベーンか
ら発生するカルマン渦を乱す邪魔板の機能を果たし、カ
ルマン渦が位相統合して音響定在波となって異音が発生
することを防止する。
【0019】請求項3記載の発明においては、特定の可
動ベーンの下流側にタブが配設されることにより、タブ
が各可動ベーンから発生するカルマン渦を乱す邪魔板の
機能を果たし、カルマン渦が位相統合して音響定在波と
なって異音が発生することを防止する。
【0020】また、タブが可動ベーンから離して設けら
れることにより、前記従来装置のようにタブによって各
可動ベーンの回転範囲が規制されることがなく、吸気に
羽根車と逆方向の旋回を付与することができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明をガスタービンエンジンの圧縮
機に適用した実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0022】図2に示すように、回転軸11には圧縮機
1の羽根車2が連結されるとともに、圧縮機駆動用ター
ビン15が連結されている。圧縮機1で圧縮された吸気
が燃焼器に送られ、燃焼器において燃料を燃焼させ、燃
焼器から排出される燃焼ガスによりタービン15と図示
しない出力タービンがそれぞれ回転駆動される。
【0023】羽根車2が回転すると、入口流路3から流
入する吸気は各翼14の間の流路に吸い込まれ、半径方
向に向きを変えながら遠心力により圧縮されると同時
に、羽根車2の外周端から拡がるディフューザ13を介
して相対速度が減少することによって圧力回復がなされ
る。
【0024】圧縮機1の可変入口案内翼として、圧縮機
1の入口流路3には複数の固定ベーン16と可動ベーン
4が環状に所定の等間隔で並んで配設される。各固定ベ
ーン16は羽根車2の回転中心線Oについて放射状に配
置される。各可動ベーン4は固定ベーン16の後端から
下流側に延び、運転条件に応じて固定ベーン16に対し
て曲折することにより、図中矢印で示すように各固定ベ
ーン16および可動ベーン4を通過する吸気に対して予
旋回を与えるようになっている。なお、固定ベーン16
を廃止してもよい。
【0025】各可動ベーン4を同期して回転させる機構
として、図1にも示すように、各可動ベーン4の回転軸
5にはレバー6または7が連結され、各レバー6,7の
先端部はピン8を介してリング9に連結される。各ピン
8はその一端が各レバー6,7に固着され、他端がリン
グ9に形成された各ガイド溝10に係合している。
【0026】上記構成により、図示しないアクチュエー
タにより一つの回転軸5が回転駆動されることにより、
リング9を介して各可動ベーン4が同期して回転するよ
うになっている。
【0027】特定の可動ベーン4の設定角度を他の可動
ベーン4の設定角度と相違させる手段として、一枚の可
動ベーン4に連結されたレバー7の長さRlが他の可動
ベーン4に連結されたレバー6の長さRsより所定の比
率で長く形成される。これにより、特定の可動ベーン4
の設定角度が他の各可動ベーン4の設定角度の半分程度
となるようにする。
【0028】回転軸5が配置されるピッチ円半径をR
r、リング9がある角度θだけ回転する前と後でリング
9の回転中心Oと回転軸5の回転中心を結ぶ線に対して
レバー6が傾斜する角度をθ1、θ2とすると、レバー6
に対して、 Rx1 2=Rr2+Rs2−2×Rr×Rs×cos(180°−θ1)…(1) Rs2=Rx2+Rr2−2×Rx×Rr×cosθx…(2) Δθ=│θ−θx│…(3) Rs2=Rx2 2+Rr2−2×Rx2×Rr×cosΔθ…(4) Rx2 2=Rs2+Rr2−2×Rs×Rr×cos(180°−θ2)…(5) 以上の式が成立し、レバー6の設定角度(=可動ベーン
4の設定角度)は、θ>θxならθ1+θ2、θ<θxな
らθ1−θ2として表される。
【0029】リング9がある角度θだけ回転する前と後
でリング9の回転中心Oと回転軸5の回転中心を結ぶ線
に対してレバー7が傾斜する角度をθ3、θ4とすると、
レバー7に対して Rx1 2=Rr2+Rl2−2×Rr×Rl×cos(180°−θ3)…(6) Rl2=Rx2+Rr2−2×Rx×Rr×cosθx…(7) Δθ=│θ−θx│…(8) Rl2=Rx2 2+Rr2−2×Rx2×Rr×cosΔθ…(9) Rx2 2=Rl2+Rr2−2×Rl×Rr×cos(180°−θ4)…(10) 以上の式が成立し、レバー7の設定角度(=可動ベーン
4の設定角度)は、θ>θxならθ3+θ4、θ<θxな
らθ3−θ4として表される。
【0030】θ1,θ3,Rs,Rl,Rrの値は可変入
口案内翼のレイアウトによって変化する値であり、θ1
=30°、θ3=15°、Rs=15mm、Rl=30
mm、Rr=74mmに設定され、リング9の設定角度
θが10°の場合、レバー6の設定角度θ1+θ2は6
0.9°となり、レバー7の設定角度θ3+θ4は34.
6°となる。
【0031】次に、作用について説明する。
【0032】特定の可動ベーン4の設定角度が他の可動
ベーン4と相違することにより、特定の可動ベーン4が
各可動ベーン4から発生するカルマン渦を乱す邪魔板の
機能を果たし、カルマン渦が位相統合して音響定在波と
なって異音が発生することを防止する。
【0033】図3は、レバー6の長さRrを固定して、
レバー7の長さRlを変化させて異音が発生するかどう
かを判定した実験結果を示している。この実験結果か
ら、特定の可動ベーン4の設定角度を0°から大きくし
ていくに従って、異音が発生しない領域が狭まる。例え
ば特定の可動ベーン4の設定角度を0°にした場合に他
の各可動ベーン4を51°まで傾斜させても異音が発生
せず、また特定の可動ベーン4の設定角度を10°にし
た場合に他の各可動ベーン4を45°まで傾斜させても
異音が発生しない。
【0034】したがって、他の各可動ベーン4の設定角
度が最大でも60°程度である場合、特定の可動ベーン
4の設定角度を他の可動ベーン4に対して半分程度にな
るように各部の寸法を設定することにより、異音の発生
を防止しつつ特定の可動ベーン4の設定角度を他の可動
ベーン4に近づけることにより、可能なかぎり圧力損失
を低減するとともに、吸気に付与する予旋回の勢力を強
化することができる。
【0035】この実施例では、設定角度の相違する特定
の可動ベーン4の数を1枚としたが、可動ベーン4の数
を2枚、3枚と増やすことにより、圧力損失が増大する
反面、異音の発生を防止する効果を高められる。
【0036】特定の可動ベーン4も他の可動ベーン4と
同方向に回転するため、各可動ベーン4の間隔を十分に
狭めても、吸気に強い予旋回を付与する際に、特定の可
動ベーン4が隣り合うベーン4に当たることがない。
【0037】また、前記従来装置のタブを廃止すること
により、タブによって各可動ベーン4の回転範囲が規制
されることがなく、吸気に羽根車と逆方向の旋回を付与
することができる。
【0038】次に、図4に示した他の実施例は、各可動
ベーン4の設定角度を同一とし、一枚の特定の可動ベー
ン4の翼弦長Llを他の可動ベーン4の翼弦長Lsより
所定の比率で長く形成するものである。なお、図2との
対応部分には同一符号を付して示すことにする。
【0039】特定の可動ベーン4を他の各可動ベーン4
に対して半径方向に最大で40%程度突出させるよう
に、各部の寸法を設定する。
【0040】次に、作用について説明する。
【0041】特定の可動ベーン4の後端が他の可動ベー
ン4より半径方向に突出することにより、特定の可動ベ
ーン4が各可動ベーン4から発生するカルマン渦を乱す
邪魔板の機能を果たし、カルマン渦が位相統合して音響
定在波となって異音が発生することを防止する。
【0042】図1に示した実施例において、特定の可動
ベーン4の設定角度をθ6、他の各可動ベーン4の設定
角度をθ5、各可動ベーン4の翼弦長をLs、特定の可
動ベーン4の他の各可動ベーン4に対する半径方向への
突出量をΔrとすると、特定の可動ベーン4の半径方向
への突出率は次式で表される。
【0043】 Δr/Ls=cosθ6−cosθ5…(11) 図5は、上式に基づいて図3に示した実験結果を、特定
の可動ベーン4の半径方向への突出率Δr/Lsを変化
させて異音が発生するかどうかを判定したデータを示し
ている。このデータから、他の各可動ベーン4の設定角
度θが最大でも45°程度である場合、特定の可動ベー
ン4を他の各可動ベーン4に対して半径方向に40%程
度突出させることにより、異音の発生を防止できること
がわかる。したがって、特定の可動ベーン4の突出量を
他の可動ベーン4に対して半径方向に最大で40%程度
突出させるように設定することにより、圧力損失を低減
するとともに、吸気に付与する予旋回の勢力を強化す
る。
【0044】この実施例では、突出量の相違する特定の
可動ベーン4の数を1枚としたが、突出量の相違する可
動ベーン4の数を2枚、3枚と増やすことにより、圧力
損失が増大する反面、異音の発生を防止する効果を高め
られる。
【0045】特定の可動ベーン4も他の可動ベーン4と
同方向に回転するため、各可動ベーン4の間隔を十分に
狭めても、吸気に強い予旋回を付与する際に、特定の可
動ベーン4が隣り合うベーン4に当たることがない。
【0046】また、前記従来装置のタブを廃止すること
により、タブによって各可動ベーン4の回転範囲が規制
されることがなく、吸気に羽根車と逆方向の旋回を付与
することができる。
【0047】次に、図6に示した他の実施例は、各可動
ベーン4の設定角度を同一とし、一枚の特定の可動ベー
ン4の後端に補助翼17が固着されるものである。な
お、図2との対応部分には同一符号を付して示すことに
する。
【0048】補助翼17は所定角度で曲折して形成さ
れ、各可動ベーン4が所定の角度だけ回転した状態で他
の可動ベーン4より半径方向に所定量だけ突出するよう
になっている。
【0049】この場合も、特定の可動ベーン4に固着さ
れた補助翼17が他の可動ベーン4より半径方向に突出
することにより、特定の可動ベーン4が各可動ベーン4
から発生するカルマン渦を乱す邪魔板の機能を果たし、
カルマン渦が位相統合して音響定在波となって異音が発
生することを防止する。
【0050】次に、図7に示した他の実施例は、各可動
ベーン4の形状および設定角度を同一とし、入口流路3
の可動ベーン4より下流側に可動ベーン4から離れて突
出するタブ18が配設されるものである。特定の2枚の
可動ベーン4の下流側で両者の間に位置して2枚のタブ
18が配設されている。なお、図2との対応部分には同
一符号を付して示すことにする。
【0051】図8に示すように、タブ18はハブ側壁面
21に接合して設けられる。なお、タブをチップ側壁面
25に接合して設けてもよい。
【0052】平板状のタブ18の背部に軸22が一体形
成され、軸16がハブ側壁面21に開口した穴23に圧
入され、Eリング24を介して抜け止めが行われる。
【0053】タブ18の長さLは可動ベーン4の翼弦長
0との比率L/L0が0.6程度となるように、タブ1
8の幅H0は可動ベーン4の幅Hに対する比率H/H0
0.5程度となるようにして、タブ18の面積を可動ベ
ーン4に対して30%程度に設定する。
【0054】次に、作用について説明する。
【0055】特定の可動ベーン4の下流側にタブ18が
配設されることにより、タブ18が各可動ベーン4から
発生するカルマン渦を乱す邪魔板の機能を果たし、カル
マン渦が位相統合して音響定在波となって異音が発生す
ることを防止する。
【0056】また、タブ18が可動ベーン4から離して
設けられることにより、前記従来装置のようにタブ18
によって各可動ベーン4の回転範囲が規制されることが
なく、吸気に羽根車と逆方向の旋回を付与することがで
きる。
【0057】図9は、基準半径R0からタブ18の前端
までの距離ΔRと可動ベーン4の翼弦長L0の比率ΔR
/L0を変化させるとともに、タブ18の長さLと可動
ベーン4の翼弦長L0の比率L/L0を変化させて異音が
発生するかどうかを判定した実験結果を示している。こ
の実験結果から、ΔR/L0>0.4またはL/L0
0.6の範囲では異音が発生することがわかる。
【0058】図10は、タブ18の設置角度θと可動ベ
ーン4のピッチ角度θ0の比率θ/θ0を変化させるとと
もに、タブ18の長さLと可動ベーン4の翼弦長L0
比率L/L0を変化させて異音が発生するかどうかを判
定した実験結果を示している。この実験結果からも、L
/L0<0.6の範囲で異音が発生し、タブ18の設置
角度θを変えても異音対策効果には影響がないことがわ
かる。
【0059】図11は、タブ18の幅Hと入口流路3の
流路幅H0の比率H/H0を変化させるとともに、タブ1
8の長さLと可動ベーン4の翼弦長L0の比率L/L0
変化させて異音が発生するかどうかを判定した実験結果
を示している。この実験結果から、タブ18の長さLが
大きいと必要なタブ18の幅Hは小さくなり、タブ18
の面積が略一定値を越えることにより異音が発生するこ
とがわかる。可動ベーン4の幅が流路幅H0と等しいも
のとし、タブ18の長さLが実用的な所定範囲で、タブ
18の面積を一定として、異音対策効果が得られる限界
線を近似すると、L/L0×H/H0≒0.3として表さ
れる。つまり、L/L0≒0.6〜0.8とした場合、
タブ18の面積を可動ベーン4に対して30%程度に設
定することにより異音の発生を防止することができる。
異音が発生しない範囲で可能なかぎり、タブ18の面積
を小さくすることにより、圧力損失を低減するととも
に、吸気に付与する予旋回の勢力を強化することができ
る。
【0060】この実施例では、タブ18の数を2枚とし
たが、タブ18の数を3枚、4枚と増やすことにより、
圧力損失が増大する反面、異音の発生を防止する効果を
高められる。
【0061】次に、図12に示した他の実施例は、各可
動ベーン4の形状および設定角度を同一とし、入口流路
3の可動ベーン4より下流側に可動ベーン4から離れて
突出する2枚のタブ28を配設し、各タブ28を半径方
向に対して所定角度αだけ傾斜させるものである。な
お、図7との対応部分には同一符号を付して示すことに
する。
【0062】タブ28の長さは半径方向に投影した仮想
のタブ28aの長さがLとなるように設定することによ
り、前記図7に示した実施例と同様に、タブ28が各可
動ベーン4から発生するカルマン渦を乱す邪魔板の機能
を果たし、カルマン渦が位相統合して音響定在波となっ
て異音が発生することを防止する。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
は、圧縮機の羽根車に吸気を導入する入口流路に環状に
並んで配設される複数の可動ベーンと、各可動ベーンを
同期して回転させる機構とを備える圧縮機の可変入口案
内翼において、特定の可動ベーンの設定角度を他の可動
ベーンの設定角度と相違させる手段を備えたため、ベー
ンの間隔および回転範囲を規制することなく、異音の発
生を防止し、可動ベーンの形状を変えることなく実施で
きる。
【0064】請求項2記載の発明は、特定の可動ベーン
の翼弦長を他の可動ベーンの翼弦長より所定の比率で長
く形成したため、やはりベーンの間隔および回転範囲を
規制することなく、異音の発生を防止し、各可動ベーン
を駆動する機構を変えることなく実施できる。
【0065】請求項3記載の発明は、入口流路の可動ベ
ーンより下流側に可動ベーンから離れて突出するタブを
備えたため、やはりベーンの間隔および回転範囲を規制
することなく、異音の発生を防止し、各可動ベーンの形
状および可動ベーンを駆動する機構を変えることなく実
施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す可変案内翼の正面図。
【図2】同じく圧縮機の断面図。
【図3】同じく可動ベーンの設定角度に応じて異音が発
生しない領域を示す線図。
【図4】他の実施例を示す可変案内翼の正面図。
【図5】同じく各可動ベーンの設定角度と特定の可動ベ
ーンの突出率に応じて異音が発生しない領域を示す線
図。
【図6】さらに他の実施例を示す可変案内翼の正面図。
【図7】さらに他の実施例を示す可変案内翼の正面図。
【図8】同じく圧縮機の断面図。
【図9】同じくΔR/L0とL/L0に応じて異音が発生
しない領域を示す線図。
【図10】同じくθ/θ0とL/L0に応じて異音が発生
しない領域を示す線図。
【図11】同じくL/L0とH/H0に応じて異音が発生
しない領域を示す線図。
【図12】さらに他の実施例を示す可変案内翼の正面
図。
【図13】従来例を示す圧縮機の断面図。
【図14】同じく図12のA−A線に沿う断面図。
【図15】同じく可動ベーンの設定角度と流量に応じて
異音が発生する領域を示す線図。
【図16】従来例を示す可変案内翼の正面図。
【図17】従来例を示す可変案内翼の正面図。
【符号の説明】
1 圧縮機 2 羽根車 3 入口流路 4 可動ベーン 6 レバー 7 レバー 9 リング 18 タブ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮機の羽根車に吸気を導入する入口流
    路に環状に並んで配設される複数の可動ベーンと、各可
    動ベーンを回転させる機構とを備える圧縮機の可変入口
    案内翼において、特定の可動ベーンの設定角度を他の可
    動ベーンの設定角度と相違させる手段を備えたことを特
    徴とする圧縮機の可変入口案内翼。
  2. 【請求項2】 圧縮機の羽根車に吸気を導入する入口流
    路に環状に並んで配設される複数の可動ベーンと、各可
    動ベーンを同期して回転させる機構とを備える圧縮機の
    可変入口案内翼において、特定の可動ベーンの翼弦長を
    他の可動ベーンの翼弦長より所定の比率で長く形成した
    ことを特徴とする圧縮機の可変入口案内翼。
  3. 【請求項3】 圧縮機の羽根車に吸気を導入する入口流
    路に環状に並んで配設される複数の可動ベーンと、各可
    動ベーンを同期して回転させる機構とを備える圧縮機の
    可変入口案内翼において、入口流路の可動ベーンより下
    流側に可動ベーンから離れて突出するタブを備えたこと
    を特徴とする圧縮機の可変入口案内翼。
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