JPH0633033Y2 - スタンド式削孔機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は削孔機さらに詳細には、深礎基礎工事等におけ
る岩盤破砕火薬挿入孔の削孔等に好適なスタンド式削孔
機に関するものである。

〔従来の技術とその技術的課題〕

深礎基礎工事たとえば送電線鉄塔建設の基礎工事におい
て、交互法の毎発破工法が汎用されている。この工法
は、火薬挿入孔の削孔、発破、ずり出しの後、直ちに掘
削した部分の覆工を行うことを繰り返す工法である。

この工法において、火薬挿入孔の削孔は非常に重要であ
り、できるだけ短時間に、岩盤の状況に応じて多数の孔
を所定の間隔と角度で削孔することが望まれ、特に、一
回の発破で破砕されるズリの量を増加させる点から、深
い削孔を形成できることが望まれている。

しかしながら従来では、この削孔を機械支持式に行える
ものがなく、専ら手持ち式さく岩機により削孔してい
た。このため、作業環境が粉塵、振動、騒音という劣悪
は条件となり、安全管理上きわめて大きな問題となつて
いた。また、人力削孔のため、非能率であるばかりか、
熟練度による個人差が大きく現われ、発破孔が短く不均
等になったり、ジャミングと称する事故が多発するとい
う問題があった。

本考案は前記のような問題点を解消するために考案され
たもので、その目的とするところは、たとえば掘削断面
径が２．５〜３．５ｍφというような深礎基礎工事での
岩盤破砕火薬挿入孔またはこれに類する深い削孔を、安
全かつ簡単に能率よく行うことができ、しかも、機械幅
が小さいため、ズリ出し用ケーシング内を通して搬出入
し得る移動性のよいこの種のスタンド式削孔機を提供す
ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため本考案は、アウトリガーとこれ
を屈伸する油圧シリンダを備えた下部スタンドに対し、
これと相対回転可能に上部スタンドを設け、上部スタン
ドにはスライドブームシリンダおよびこれを傾動させる
油圧シリンダを設け、スライドブームシリンダの作動ロ
ッドにはドリフターとこれを移動させるエアアクチュエ
ータを備えたガイドシェルを取付け、前記下部スタンド
には、オイルタンクとエアモータおよびこれにより駆動
され、圧油を前記油圧スライドブームと傾動用油圧シリ
ンダおよびアウトリガー用油圧シリンダに供給する油圧
ポンプを含む油圧ユニットを設け、上部スタンドには圧
縮エアを前記エアモータとドリフター側のエアアクチュ
エータに選択的に接続する切換弁を設けたものである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を添付図面に基いて説明する。

第１図ないし第４図は本考案によるスタンド式削孔機の
一実施例を示しており、本体１と、ガイドシェル２およ
びドリフター３からなっている。

本体１は、筒状の下部スタンド１ａと、これと旋回用ス
イベル１ｃにより相対回転可能に連結された上部スタン
ド１ｂを有している。前記下部スタンド１ａは、外周下
部に等間隔でアウトリガー４の主脚４ａ基端が枢着され
る一方、対応する上側位置にはアウトリガー用油圧シリ
ンダ５が枢着され、それら、アウトリガー用油圧シリン
ダ５の作動ロッドが主脚４ａの適所に連結されており、
主脚４ａの先端には節ピンにより接地脚４ｂが枢着され
ている。

前記上部スタンド１ｂは、テーブル部１０と斜め上方に
延びる二又状ブーム１１を有しており、この二又状ブー
ム１１の自由端にスライドブームシリンダ６の後端が枢
軸６０を介して支持され、さらに、二又状ブーム１１の
下部ないしテーブル部１０にはブラケット１２を介して
傾動用油圧シリンダ１３が設けられ、該傾動用油圧シリ
ンダ１３の作動ロッド１３０がスライドブームシリンダ
６の下側に連結されている。

ガイドシエル２は形鋼の如きからなり、長手方向に沿っ
てエンドレスチェーンによる送り機構が配置され、上端
部にはスプロケットを回転駆動するフイードエアモータ
１４が搭載されている。そしてガイドシェル２の中間部
には前記スライドブームシリンダ６の作動ロッド６１の
先端が連結金具２０により連結されている。好ましく
は、連結位置をピンジョイント等により可変とする。

ドリフター３は、スライドベース３０によりガイドシェ
ル２に移動自在に搭載され、ロッド３１とこれを回転す
るためのエアモータ３２を有している。ロッド３１の先
端にはビット３３が取付けられている。

前記下部スタンド１ａは、第２図のように下半部がオイ
ルタンク７となっており、このオイルタンク７の上部に
油圧ポンプ８が取付けられている。さらに、下部スタン
ド１ａの上半部の空室には油圧ポンプ８を駆動するため
のエアモータ９が内蔵固定され、その出力軸がカップリ
ング９０により油圧ポンプ８と連結されている。

そして、下部スタンド１ａの外周には、アウトリガー用
のコントロールバルブアツセンブリ１６ａと、傾動用油
圧シリンダ１３とスライドブームシリンダ６を制御する
コントロールバルブアツセンブリ１６ｂとが取付けられ
ている。前記コントロールバルブアッセンブリ１６ａ，
１６ｂは、第３図で例示する如く３位置方向切換弁を含
むパラレル回路から構成され、キャリオーバーポートに
より接続され、タンクポートは前記オイルタンク７に導
かれている。

一方、上部スタンド１ｂには、図示しない外部の圧縮エ
ア供給源と接続したルブリケータ１５が設けられてお
り、このルブリケータ１５とエアモータ９を結ぶ配管１
８には２方切換弁１７を介して分岐配管１８′が設けら
れ、この分岐配管１８′は操作弁１９，２０を介してホ
ースにより前記フイードエアモータ１４とロッド回転用
エアモータ３２に接続されている。

その他図面において、２１はロッド３１の先端を囲む集
塵パッドであり、削孔時のダストをスライドブームシリ
ンダ６に搭載した集塵機２２を介して坑外に排出するよ
うになっている。２３はスライドブームシリンダ６また
は上部スタンド１ｂに設けた吊り金具、２４はガイドシ
ェル２の先端部に設けたセントライザである。

なお、実施例では上部スタンド１ｂの旋回を手動式とし
ているが、油圧アクチュエータによる自動式としてもよ
いことは勿論である。また、コントロールバルブアッセ
ンブリ１６ａ，１６ｂや２方切換弁１７、操作弁１９，
２０を遠隔操作形式のバルブとしてもよいことはいうま
でもない。

〔実施例の作用〕

次に実施例の動作と作用を説明する。

圧縮エア供給源から圧縮エアを送り、２方切換弁１７に
より分岐配管１８′側のポートを遮断すれば、圧縮エア
供給源からルブリケータ１５を通った圧縮エアはエアモ
ータ９に送られ、油圧ポンプ８が駆動される。これによ
りオイルタンク７から吸い込まれた作動油は第３図の回
路によりコントロールバルブアツセンブリ１６ａ，１６
ｂに送られる。

まず、コントロールバルブアツセンブリ１６ａを操作
し、アウトリガー用油圧シリンダ５，５のロツド側に圧
油を送れば、アウトリガー４の主脚４ａは上向きに畳ま
れ、接地脚４ｂが節点を支点として鉛直状になる。ま
た、コントロールバルブアツセンブリ１６ｂを操作し
て、傾動用油圧シリンダ１３のピストン側に圧油を送れ
ば、作動ロッド１３０が伸長するためスライドブームシ
リンダ６は後端の枢軸６０を支点として斜め上方に傾転
する。これによりガイドシェル２は本体１に近接するよ
うに鉛直状に保持される。このため、第４図のように機
械幅を非常に小さくすることができ、しかも、オイルタ
ンク７が下部スタンド１ａに設けられているため重心が
低く、したがって、山岳工事に適した良好な移動性と姿
勢の安定性を持たせることができる。

岩盤破砕火薬挿入孔の削孔に使用する場合には、吊り金
具２３を地上のクレーンからの吊り索ａに連結して吊り
揚げ、坑底ｂに降ろす。このときに前記のように機械幅
が小さく、かつホースは圧縮エアホースだけであるた
め、ズリ出し用ケーシングｃ内を通して搬入することが
できる。すなわち、ズリ出し用ケーシングｃの分解等前
後の特別な作業を全く必要としない。

坑底ｂに着底したならば、コントロールバルブアッセン
ブリ１６ａによりアウトリガー用油圧シリンダ５，５の
ピストン側に圧油を送ってアウトリガー４を立脚させる
が、オイルタンク７、油圧ポンプ８、エアモータ９など
のユニットが中心の下部スタンド１ａに設けられている
ため重心が低くかつそれが中心に集り、したがって本体
１は安定性よく据付けられる。

この状態で傾動用油圧シリンダ１３のロッド側に圧油を
送れば、作動ロッド１３０の後退によりスライドブーム
シリンダ６が水平状に変位する。これによりガイドシェ
ルル２が坑底ｂに接近するため、スライドブームシリン
ダ６のピストン側に圧油を送ることで、作動ロッド６１
を伸縮させてビット３３を所要の削孔位置にセットでき
る。また、ガイドシェル２をセントライザ２４で接地さ
せた状態で、スライドブームシリンダ６を作動させるこ
とにより削孔角度も自在に設定できる。

こうしてセットが完了したならば、２方切換弁１７を操
作して圧縮エアの流れを分岐配管１８′に切り替える。
これによりエアモータ９の駆動が止まるため、油圧回路
は作動が停止される。操作弁１９，２０を操作すれば、
圧縮エアは配管とホースを介してフィードモータ１４と
ロッド回転用エアモータ３２に送られ、ドリフター３が
ガイドシェル２に沿って推進されるとともに、ロッド３
１が回転して削孔が開始される。ドリフター３の操作は
スタンド位置で行えるため無振動で容易であり、ドリフ
ター３が機械支持式のため、深い削孔を迅速に形成する
ことができる。

さらに、上部スタンド１ｂがスイベル１ｃにより下部ス
タンド１ａに対し３６０度相対回転自在であるため、本
体１を深礎の中心に設置し、上部スタンド１ｂを順次所
要回転角で旋回することにより同一円周上に必要数の削
孔を能率よく施工できる。そして、当該円周上の削孔が
完了したならば、２方切換弁１７を操作して再び油圧回
路を動かし、スライドブームシリンダ６等を作動させて
位置決めし、２方切換弁１７と操作弁１９，２０を操作
することで内側円周上の各削孔を行える。また、油圧ユ
ニットとオイルタンクが下部スタンド１ａに配置されて
いるため、ホースの数が少なくて済む。したがって、削
孔した孔を潰すようなことがない。

削孔作業が終了したならば、再び第４図のように折畳
み、搬出すればよい。

なお、本考案は深礎基礎工事における岩盤破砕火薬挿入
孔の削孔に好適であるほか、拡底基礎工事における斜孔
削孔等にも使用できることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によるときには、掘削断面径の小さ
な工事での岩盤破砕火薬挿入孔や、これに類する垂直、
斜めの削孔作業を、簡単な段取りで安全に、能率良く行
うことができる。しかも、本体内にオイルタンクと油圧
ユニツトを内蔵させるため、構造を簡単化できるととも
に、重心を低く安定した設置状態にすることができる。
さらに、エネルギー源が圧縮エアだけで足り、これを切
換え操作して位置制御用の油圧アクチュエータとエア駆
動ドリフターを選択作動させるため、ホースなどの付帯
機器や機材も山岳工事に適した簡易なものにすることが
できるなどのすぐれた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるスタンド式削孔機の一実施例を示
す側面図、第２図は本体の部分切欠側面図、第３図は本
考案における作動回路の一例を示す回路図、第４図は搬
出入状態の側面図である。 １ａ……下部スタンド、１ｂ……上部スタンド、２……
ガイドシェル、３……ドリフター、４……アウトリガ
ー、５……アウトリガー用油圧シリンダ、６……スライ
ドブームシリンダ、７……オイルタンク、９……エアモ
ータ、１３……傾動用油圧シリンダ、１４……フイード
エアモータ、１７……２方切換弁、３２……ロッド回転
用エアモータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アウトリガーとこれを屈伸する油圧シリン
   ダを備えた下部スタンドに対し相対回転可能に上部スタ
   ンドを設け、上部スタンドにはスライドブームシリンダ
   およびこれを傾動させる油圧シリンダを設け、スライド
   ブームシリンダの作動ロッドにドリフターとこれを移動
   させるエアアクチュエータを備えたガイドシェルを取付
   け、前記下部スンタドには、オイルタンクとエアモータ
   およびこれにより駆動され、圧油を前記油圧スライドブ
   ームと傾動用油圧シリンダおよびアウトリガー用油圧シ
   リンダに供給する油圧ポンプを含む油圧ユニットを設
   け、上部スタンドには圧縮エアを前記エアモータとドリ
   フター側のエアアクチュエータに選択的に接続する切換
   弁を設けたことを特徴とするスタンド式削孔機。