JPH0632924Y2 - 延反機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、延反機に関し、原反送り出しコンベヤの改
良に関するものである。

〔従来の技術〕

機枠に取付けたベルトコンベヤによって機枠上の原反を
延反台上に繰出しながら機枠を往復移動させ、原反を所
定長さに折曲げ或は所定長さに切断して、順次積み重ね
ていくようにした自動延反機は、従来公知である。

従来の延反機には、第９図に示すように、ベルトコンベ
ヤ１を機枠２の所定高さにおいてほぼ水平状態に支持
し、その送り出し端から垂直下方に垂らした原反３をそ
の下方に設けたテンション調整ローラ４から延反台５上
に送り出す形式のもの（以下、水平コンベヤ方式とい
う）と、第10図に示すようにベルトコンベヤ１の送り出
し端を調整ローラ４に接近するように傾斜させた形式の
もの（以下、斜めコンベヤ方式という。実公昭５８−５
１１７４号公報参照）がある。

なお、上記いずれの方式においても、原反３の生地の性
質上テンションの調整が必要でない場合は、テンション
調整ローラ４を外し、原反３をベルトコンベヤ１から直
接延反台５上に垂らすか、或いはカッターボックスを取
付け、カッターボックスの中を通して原反３を延反台５
上に垂らす方法がとられる。カッターボックスは、延反
の折返し部分で原反３を切断したり、原反３の途中に汚
れがある場合にカッターを作動させ、原反３を切断する
ために使用される。

上記の水平コンベヤ方式は、ベルトコンベヤ１の送り出
し端から延反台５上までの間隔が相当長いため、その間
で原反３が自重で垂れ下がり、シワが伸ばされる。その
ため、原反３が折り畳まれているもの、運送中や在庫時
にシワや折れ目が付き易いもの等を精度よく延反できる
利点がある。また、チューブ状の生地（例えば、メリヤ
ス）の場合は、テンション調整用ローラ４を使用し、更
に適性な生地幅を保つための金枠を設け、その金枠によ
りチューブを内側から両側方へ張り、しわなどを伸ばし
た状態で生地を送り出す方法がとられる。この場合正確
な幅出しのためには、金枠の背丈は十分に高いことが望
ましい。この点、ベルトコンベヤ１の送り出し端から延
反台５上までの間隔が長い水平コンベヤ方式においては
十分高い金枠を使用できるので有利である。

一方、垂れ下がった場合に自重で伸びるような伸縮性の
高い生地や、軽くて薄いため延反走行時に風をはらんで
膨み易い生地の原反を延反する場合、前述の水平コンベ
ヤ方式によると、ベルトコンベヤから垂れ下がる間隔が
長いので、かえって延反精度が上がらない問題がある。
このため、これらの生地からなる原反の延反には、ベル
トコンベヤ１の送り出し端とテンション調整ローラ４
（又はこれに代えて使用するカッターボックス）とが接
近した斜めコンベヤ方式が使用される。

しかし、斜めコンベヤ方式は、上記のように、ベルトコ
ンベヤ１の送り出し端とテンション調整ローラ４とが接
近しているため、チューブ状の原反の場合の幅出しに使
用される金枠の高さが十分とれず、従って延反精度が低
い欠点がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記のように、従来は原反の生地等の条件に応じて水平
コンベヤ方式の延反機と斜めコンベヤ方式の延反機を使
い分け、それぞれの特徴を生かして使用していた。

しかしながら、延反作業は、相当広い床面積を必要とす
るので、二機種の延反機を設地することは、工場敷地や
建物面積の有効利用上或いは機械の稼働率等において問
題がある。

そこで、この考案は、一台の延反機により、水平コンベ
ヤ方式と斜めコンベヤ方式の両方の機能を発揮させるよ
うにすることを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上述の問題点を解決するため、この考案は、機枠に傾斜
角度変更可能にベルトコンベヤを取付け、そのベルトコ
ンベヤの送り出し端の下方において昇降部材を取付け、
機枠の往復移動に同期して昇降部材を上昇させるように
した延反機において、上記ベルトコンベヤの送り出し側
端部を上記昇降部材に対し着脱自在に取付け、かつその
昇降部材の上方にベルトコンベヤの送り出し側端部を着
脱自在に支持する水平支持腕を設けた構成としたもので
ある。

〔作用〕

水平コンベヤ方式として使用する場合は、ベルトコンベ
ヤの送り出し側ローラ軸を昇降部材から外し、これを水
平支持腕に取付ける。原反はベルトコンベヤの送り出し
側端部から延反台上へ送り出される。

斜めコンベヤ方式として使用する場合は、ベルトコンベ
ヤの送り出し側端を水平支持腕から外し、これを昇降部
材に取付ける。機枠の往復移動に従って昇降部材が上昇
すると、これと一体のテンション調整ローラ又はカッタ
ーボックス及びベルトコンベヤの送り出し側端部が上昇
し、ベルトコンベヤの傾斜角度が変わる。

〔実施例〕

第１図及び第２図に示すように、この考案の延反機は、
左右一対の機枠１１を複数の連結軸１２で一体化し、機
枠１１の下端に設けた車輪１３により、延反台１４のレ
ール１５上を自由に走行できるようになっている。

機枠１１の前部上方には、ベルトコンベヤ１６が設けら
れる。ベルトコンベヤ１６の後端側のローラ軸２１は、
機枠１１の上部に設けた水平方向の長いガイド穴１８に
スライド自在に嵌まっている。また、上記のガイド穴１
８の前方において、機枠１１の前方に水平支持腕１９を
突出状態に設け、その先端に設けた軸受凹所２０におい
て、ベルトコンベヤ１６の送り出し側のローラ軸１７を
支持する。軸受凹所２０の位置は、ガイド穴１８の位置
よりわずか高い位置にあるため、ベルトコンベヤ１６は
幾分前上がりの傾斜に支持される。

上記のベルトコンベヤ１６の後端側ローラ軸２１には、
くの字形に屈曲自在となる一対のリンク２２の端で連結
される。ベルトコンベヤ１６の後端側ローラ軸２１は、
ガイド穴１８に沿って前後に移動するが、その場合でも
駆動力を伝えることができるよう、各リンク２２にチェ
ーン伝動機構２３を付設している。

上記のチェーン伝動機構２３は、無段変速機２４を経て
駆動モータ２５に連結される。

機枠１１の前部には、昇降装置が設けられる。昇降装置
は、昇降用モータ２６によって駆動されるチェーン伝動
機構２７と、そのチェーン２８に取付けられ、かつ機枠
１１に設けられた上下方向のガイド穴２９に案内される
昇降部材３０とから成る。

昇降部材３０には、逆Ｌ形の下部支持腕３１が取付けら
れる。この支持腕３１は、前記の水平支持腕１９の下方
に対向状態に設けられる。その先端には、軸受凹所３２
が形成され、その軸受凹所３２にベルトコンベヤ１６の
送り出し側のローラ軸１７を支持せしめるようになって
いる（第７図参照）。昇降用モータ２６は図示省略して
いるが延反台１４に設けられたリミットスイッチに機枠
１１の一部が接触した際、一時的に駆動され、昇降部材
３０を延反の進行に応じて次第に上昇させる。

また、上記の支持腕３１の下方には、ブラケット３３が
ボルト３４により取付けられる（第４図参照）。このブ
ラケット３３には前後に並んだ２本のテンション調整ロ
ーラ３５が取付けられる。これらのローラ３５は、その
両端部に取付けられた歯車機構３６により回転される。
このうち昇降部材３０に取付けられた歯車３７がチェー
ン伝動機構３８により駆動される。チェーン伝動機構３
８は、一対のリンク３９に沿って設けられ、無段変速機
４０を経て駆動モータ２５に連結される。

なお、上記の駆動モータ２５は車輪１３のチェーン伝動
機構４１も駆動する。

また、前記のブラケット３３には、テンション調整ロー
ラ３５の上部においてこれと平行の支持バー４２が固定
され（第３図参照）、その支持バー４２に幅出し金枠４
３を着脱自在に取付けている。

また、第５図は、昇降部材３０にカッターボックス４４
を取付ける場合を示している。カッターボックス４４
は、機枠１１の幅方向に走行する丸刃カッター４５を設
けている。このカッター４５は、通常の機枠１１の外側
方に停止しており（第６図参照）、延反の折返し時に幅
方向に走行することにより、ボックス４４の内部を通過
している原反４６を切断する。

実施例の延反機は、以上のごときものであり、次にその
作用について説明する。

まず、水平コンベヤ方式として使用する場合は、ベルト
コンベヤ１６の送り出し側ローラ軸１７を第１図から第
３図に示すように水平支持腕１９の軸受凹所２０に掛け
る。テンション調整ローラ３５を使用する場合は、昇降
部材３０にブラケット３３を取付け、そのブラケット３
３にテンション調整ローラ３５を取付けて使用する。

原反４６がチューブ状のものである場合は、第３図に示
すように、幅出し金枠４３も取付ける。

上記の状態で駆動モータ２５を駆動すると、ベルトコン
ベヤ１６は原反４６を繰出しながら延反台１４上を往復
走行する。また昇降部材３０が延反の進行に従って次第
に上昇する。

延反の必要上カッターボックス４４を取付ける場合は、
ブラケット３３を外し、カッターボックス４４を昇降部
材３０に取付ける。

一方、斜めコンベヤ方式で使用する場合は、ベルトコン
ベヤ１６の送り出し側ローラ軸１７を下段の支持腕３１
の軸受凹所３２に掛け変える（第７図参照）。この場
合、昇降部材３０にブラケット３３を介してテンション
調整ローラ３５を取付けるか、或いはこれに代えてカッ
ターボックス４４を取付ける。駆動モータ２５を作動さ
せると前記と同様にベルトコンベヤ１６によって原反４
６を繰出しながら往復走行して延反を行う。この往復走
行に同期して昇降部材３０も上昇する。このため、昇降
部材３０と一体のテンション調整ローラ３５（又はカッ
ターボックス）並びにベルトコンベヤ１６の前端部が、
延反の進行に応じて次第に上昇する（第７図参照）。

以上述べた実施例は、水平支持腕１９及び下部支持腕３
１をいずれも固定的に構成しているが、これらを第８図
に示すように、上下方向に高さ調整できるように設けて
もよい。こうすることによって、水平コンベヤ方式、斜
めコンベヤ方式のいずれの場合もベルトコンベヤ１６の
傾斜角度をある程度変えることができる。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案はベルトコンベヤの送り出し側
端部を昇降部材に対し着脱自在に取付け、かつその昇降
部材の上方にベルトコンベヤの上記端部を着脱自在に支
持する水平支持腕を設けたことにより、１台の延反機に
より水平コンベヤ方式と斜めコンベヤ方式のいずれの方
式にも切替えて使用できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の使用状態の斜視図、第２図は同上のカ
バーを外した状態の側面図、第３図は同上の一部を示す
斜視図、第４図は同じく分解斜視図、第５図はカッター
ボックスを取付けた場合の一部を示す側面図、第６図は
カッターボックスを取付けた場合の一部を示す正面図、
第７図は斜めコンベヤ方式の一部を示す側面図、第８図
は変形例の一部を示す斜視図、第９図及び第10図は従来
例の側面図である。 １１……機枠、１６……ベルトコンベヤ、 １７……ローラ軸、１８……ガイド穴、 １９……水平支持腕、２０……軸受凹所、 ２１……ローラ軸、３０……昇降部材、 ３１……下部支持腕、３２……軸受凹所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機枠に傾斜角度変更可能にベルトコンベヤ
   を取付け、そのベルトコンベヤの送り出し端の下方にお
   いて昇降部材を取付け、機枠の往復移動に同期して昇降
   部材を上昇させるようにした延反機において、上記ベル
   トコンベヤの送り出し側端部を上記昇降部材に対し着脱
   自在に取付け、かつその昇降部材の上方にベルトコンベ
   ヤの送り出し側端部を着脱自在に支持する水平支持腕を
   設けたことを特徴とする延反機。