JPH0632842Y2 - 背負動力散布機の散布剤残量検出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、作業者の背中に背負われて固体又は液体の
散布剤を散布する背負動力散布機の散布剤残量検出装置
に係り、詳しくは圧力媒体の圧力から散布剤残量を検出
する背負動力散布機の散布剤残量検出装置に関するもの
である。

〔従来の技術〕

実公昭６１−４５９００号公報等は、圧力媒体の圧力を
利用して、散布剤タンク内の散布剤の残量を検出する散
布剤残量検出装置を開示する。すなわち、シリンダ及び
ピストンが散布機本体の下部に配設され、シリンダの圧
力室内の圧力媒体に散布機本体の重量に応じた圧力をか
け、荷重検出部の圧力に基づいて散布剤タンク内の散布
剤の残量を表示している。

〔考案が解決しようとする課題〕

散布機本体は、一般に複数個の個所で背負枠に支持され
ており、散布機本体の重量を正確に表示するには、各支
持個所にシリンダ及びピストンを取付け、各圧力室内の
圧力媒体の圧力の和ないし平均を検出する必要がある。
このために各室を共通の圧力計に接続した場合に、散布
機本体の重量がアンバランスで、各支持個所におけるピ
ストン及びシリンダにかかる荷重に差があると、従来の
散布剤残量検出装置では、荷重の大きい方の荷重検出部
が縮小して、その荷重検出部におけるピストンがシリン
ダの端面に当接して、圧力媒体に荷重に対応する圧力が
かからなくなり、正確な残量表示が困難になる。

この考案の目的は、背負枠への散布機本体の支持個所に
おける荷重にアンバランスが生じても、散布剤の正確な
残量表示を行うことができる背負動力散布機の散布剤残
量検出装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案を、実施例に対応する図面の符号を使用して説
明する。

この考案による背負動力散布機(10)の散布剤残量検出装
置では、散布剤タンク(30)を含む散布機本体(20)は、背
負枠(12)に載設されて、複数個の個所において背負枠(1
2)に支持される。複数個の荷重検出部(32)は背負枠(12)
における散布機本体(20)の支持個所に介在し、各荷重検
出部(32)は、散布機本体(20)からの重量によりたわむ第
１のダイヤフラム(56)と、この第１のダイヤフラム(56)
により区画され圧力媒体(60)を収容する第１の圧力室(4
6)とを有している。また、１個の圧力検出部(36)は、各
荷重検出部(32)の第１の圧力室(46)へ共通に連通する第
２の圧力室(66)と、この第２の圧力室(66)を区画する第
２のダイヤフラム(62)と、この第２のダイヤフラム(62)
の歪を検出する歪検出器(70)とを有している。表示器(4
0)が、作業者から視認可能な位置に配置されて、歪検出
器(70)の検出値の対応値を表示する。

〔作用〕

散布機本体(20)の重量は背負枠(12)への散布機本体(20)
の複数個の支持個所を介して背負枠(12)に受けられる。
荷重検出部(32)は、それが配設されている支持個所にお
ける荷重を受け、第１のダイヤフラム(56)をたわませ
る。圧力検出部(36)において、第２の圧力室(66)内に
は、各荷重検出部(32)からの圧力媒体(60)が集り、第２
の圧力室(66)内の圧力媒体(60)は各荷重検出部(32)の荷
重の合計に対応した値となる。第２のダイヤフラム(62)
は第２の圧力室(66)内の圧力媒体(60)の圧力に関係して
たわみ、このたわみに伴う歪は歪検出器(70)により検出
される。歪検出器(70)の検出値は表示器(40)へ送られ
て、表示器(40)において散布機本体(20)の重量に関係す
る表示が行われる。

〔実施例〕 以下、この考案を図面の実施例について説明する。

第４図及び第５図は背負動力散布機10を後方及び側方か
ら見た図である。背負枠12は、作業者側において背当て
14を固定され鉛直方向へ延びる鉛直部16と、この鉛直部
16の下端部から鉛直部16に対してほぼ直角に水平方向へ
張り出す水平部18とを有している。散布機本体20は、搬
送風を生成する送風機22と、この送風機22を駆動するエ
ンジン24と、このエンジン24の燃料を貯蔵する燃料タン
ク26と、送風機22の上側に取付けられ内部に例えば肥
料、薬剤及び種子等の散布物28を収容する散布物タンク
30とを有している。散布機本体20は側部及び下部の左右
２個所において背負枠12の鉛直部16及び水平部18に取付
け、支持されており、各支持個所には散布機本体20側及
び背負枠12側にそれぞれ防振ゴム31及び荷重検出部32が
介在している。操作部34は、散布機本体20の下端部の側
方に配設され、エンジン24のスロットル開度及び散布物
タンク30からの散布物28の導出量を制御するレバーを備
える。曲り管35は、ほぼ水平方向の向きを調整自在に送
風機22の出口に接続され、各種の噴頭を接続される。圧
力検出部36は、送風機22の鉛直部16側の下部に取付けら
れ、連通管38を介して各荷重検出部32へ接続されてい
る。表示器40は、信号線42を介して圧力検出部36へ接続
され、背負動力散布機10を背負った作業者により視認可
能な位置、例えば噴頭の基端部等に取付けられる。

第３図は散布機本体20の下部の詳細な構造図である。防
振ゴム31及び荷重検出部32は、鉛直方向へ直列に配設さ
れ、それぞれ送風機22側及び水平部18側に固定されてい
る。防振ゴム31は、散布機本体20側のエンジン振動に伴
って弾性的に変形して、エンジン振動を吸収し、散布機
本体20側から荷重検出部32へのエンジン振動の伝達を抑
制する。これにより、荷重検出部32は、エンジン振動に
よる荷重の変動を排除して、散布機本体20の重量を検出
することができる。

第１図は荷重検出部32の構造を示す断面図である。ケー
ス44は、防振ゴム31側を開口する圧力室46を内側に有
し、防振ゴム31とは反対側に軸方向へ突出するねじ48を
有している。ねじ48は、背負枠12の所定の挿通孔へ挿通
されてから、ナットを螺合される。接続口50は、ケース
44の外部に設けられ、圧力室46へ連通し、連通管38の一
端部を接続される。パッキン52は中心にねじ54を備え、
ねじ54は防振ゴム31の端部に螺合される。ダイヤフラム
56は、防振ゴム31とパッキン52との間に介在し、防振ゴ
ム31側において防振ゴム31の面全体を当てられ、周縁部
においてねじ58によりパッキン52の周縁部と共にケース
44の上端に固定される。オイル60は圧力室46内に充填さ
れる。

第２図は圧力検出部36の構造を示す断面図である。ダイ
ヤフラム62は、ケース64内を仕切り、一方の面側におい
て圧力室66を区画している。計４個の接続口68は、ケー
ス64の外面側に設けられ、圧力室66に連通し、連通管38
の他端部を接続される。これにより、圧力室66は各荷重
検出部32の圧力室46へ連通し、圧力室46,66及び連通管3
8内にオイル60が密封状態になる。歪ゲージ70は、圧力
室66とは反対側の面においてダイヤフラム62に貼着さ
れ、ダイヤフラム62の歪を検出し、その検出値は信号変
換部72へ送られて、電気信号へ変換され、さらに信号線
42を介して表示器40へ送られる。

実施例の作用について説明する。

散布機本体20の重量は背負枠12への散布機本体20の計４
個の支持個所を介して背負枠12に受けられる。荷重検出
部32は、それが配設されている支持個所における散布機
本体20の重量に因る荷重を受ける。各荷重検出部32にお
いて、ダイヤフラム56は、荷重検出部32にかかる荷重に
応じて圧力室46側へたわみ、圧力室46内のオイル60に圧
力を付与する。圧力検出部36において、圧力室66内に
は、各荷重検出部32からのオイル60が集り、圧力室66内
のオイル60は各荷重検出部32の荷重の合計に対応した値
となる。ダイヤフラム62は圧力室66内のオイル60の圧力
に関係してたわみ、このたわみに伴う歪は歪ゲージ70に
より検出される。歪ゲージ70の検出値は信号変換部72及
び信号線42を経て表示器40へ送られて、表示器40におい
て散布機本体20の重量に関係する値が散布物タンク30内
の散布物28の残量として表示される。

図示の実施例では、背負動力散布機10は固体の散布物28
を散布するが、この考案の残量検出装置が適用される背
負動力散布機は、薬液等の散布剤を散布するものであっ
てもよい。

〔考案の効果〕

この考案では、背負枠への散布機本体の複数個の支持個
所に荷重検出部が設けられ、各支持個所における荷重が
第１のダイヤフラムのたわみに伴う第１の圧力室内の圧
力媒体の圧力を介して検出され、これら荷重検出部にお
ける圧力媒体の圧力が共通の圧力検出部の第２の圧力室
へ送られて、第２のダイヤフラムの歪を介して検出され
る。したがって、各荷重検出部における荷重にアンバラ
ンスが生じていても、各荷重検出部の荷重の合計に対応
する値が第２のダイヤフラムの歪として検出され、散布
剤タンク内の散布剤の正確な残量表示が可能になる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例に関し、第１図は荷重検出部の
構造を示す断面図、第２図は圧力検出部の構造を示す断
面図、第３図は散布機本体の下部の詳細な構造図、第４
図及び第５図は背負動力散布機を後方及び側方から見た
図である。 10……背負動力散布機、12……背負枠、20……散布機本
体、30……散布物タンク（散布剤タンク）、32……荷重
検出部、36……圧力検出部、40……表示器、46……圧力
室（第１の圧力室）、56……ダイヤフラム（第１のダイ
ヤフラム）、60……オイル（圧力媒体）、62……ダイヤ
フラム（第２のダイヤフラム）、66……圧力室（第２の
圧力室）、70……歪ゲージ（歪検出器）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】散布剤タンク(30)を含む散布機本体(20)
   が、背負枠(12)に載設されて、複数個の個所において前
   記背負枠(12)に支持され、複数個の荷重検出部(32)が前
   記背負枠(12)における前記散布機本体(20)の支持個所に
   介在し、各荷重検出部(32)が、前記散布機本体(20)から
   の重量によりたわむ第１のダイヤフラム(56)と、この第
   １のダイヤフラム(56)により区画され圧力媒体(60)を収
   容する第１の圧力室(46)とを有し、１個の圧力検出部(3
   6)が、各荷重検出部(32)の前記第１の圧力室(46)へ共通
   に連通する第２の圧力室(66)と、この第２の圧力室(66)
   を区画する第２のダイヤフラム(62)と、この第２のダイ
   ヤフラム(62)の歪を検出する歪検出器(70)とを有し、表
   示器(40)が、作業者から視認可能な位置に配置されて、
   前記歪検出器(70)の検出値の対応値を表示することを特
   徴とする背負動力散布機の散布剤残量検出装置。