JPH06327470A - ヒト表皮細胞培養用培地 - Google Patents

ヒト表皮細胞培養用培地

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JPH06327470A
JPH06327470A JP5123725A JP12372593A JPH06327470A JP H06327470 A JPH06327470 A JP H06327470A JP 5123725 A JP5123725 A JP 5123725A JP 12372593 A JP12372593 A JP 12372593A JP H06327470 A JPH06327470 A JP H06327470A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、組織培養用のMCDB153基礎
培地において、ヒスチジンを約3倍、イソロイシンを約
50〜100倍、メチオニンを約6〜12倍、フェニル
アラニンを約6〜12倍、トリプトファンを約3〜6倍
及びチロシンを約10〜20倍の配合となるように改変
したヒト表皮細胞培養用基礎培地、これに更にヒト表皮
細胞の増殖支持に有効量の成長促進物質及び薬理有効量
の抗生物質を含むヒト表皮細胞増殖用培地並びにヒト表
皮細胞の増殖方法を提供する。 【効果】 本発明培地は、ヒト表皮細胞の増殖に有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は細胞培養用培地、特にヒ
ト表皮細胞の培養に適した基礎培地及びこれから調製さ
れるヒト表皮細胞増殖用培地に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚は生体表面に位置し、表皮層と真皮
層とから構成されており、生体内の保護と外部からの異
物の侵入を防止する上で重要な役割を担っている。従っ
て、皮膚に損傷等が発生した個体は、体液の漏出や細菌
感染等の危険にさらされることとなり、特に重度の熱傷
や火傷等により皮膚損傷が深く広範囲に及ぶ場合には、
生体内に異常をもたらし、場合によっては死に至ること
となる。
【0003】かかる皮膚損傷の対処法の一つとして、従
来より皮膚移植が知られており、近年特に培養表皮細胞
を利用した培養皮膚移植が注目を集めている〔石倉直敬
他、日形会誌(J.Jpn.P.R.S.),,10
86−1093(1987);熊谷憲夫他、日形会誌
(J.Jpn.P.R.S.),,574−585
(1988);熊谷憲夫、皮膚病診療,10(12)
1088−1093(1988);黒柳能光,蛋白質核
酸酵素,36(7),1443−1449(199
1);H.グリーン,日経サイエンス,1992年1月
号,84−92頁等参照〕。
【0004】上記培養皮膚移植は、既に臨床の場におい
てその有用性が確認されてはいるものの、移植に利用す
るヒト表皮細胞の培養技術については未だ数種の問題点
が残されている。
【0005】即ち、上記ヒト表皮細胞の培養方法として
は、例えばピテルコウ等の報告〔Arch. Dermatol., 12
3, p.1541a, Nov., 1987 〕が参照される。ヒト表皮細
胞が初めてインビトロ(in vitro)で連続培養可能となっ
たのは、グリーン等による方法が発表された1975年
であり、該方法は、放射線処理により増殖を制御したマ
ウス3T3繊維芽細胞をヒト表皮細胞のフィーダーレイ
ヤー(支持細胞層)として用いることを特徴としている
〔特開昭52−87291号公報参照〕。この培養系へ
の表皮増殖因子EGFの添加によれば、培養細胞寿命を
50から140細胞世代へと伸ばし得ることが示され、
またその培地は現在では更に改良化されている。
【0006】一方、培地の改良検討化により、フィーダ
ーレイヤーの使用が必須ではないことが報告され、ヒト
表皮細胞培養用の基礎培地MCDB153が発表され、
該基礎培地からなるヒト表皮細胞の増殖用に調整された
培地、即ち、インスリン5μg/ml、ハイドロコーチ
ゾン0.5μg/ml、エタノールアミン0.1mM、
ホスホエタノールアミン0.1mM、EGF10μg/
ml及び牛下垂体抽出物BPE70μg/mlを添加し
た培地が提供されている〔Journal of TissueCulture M
ethods, Vol.9 (2), p.83 (1985) 〕。
【0007】更に、ピテルコウ等は、上記MCDB15
3からなる増殖用培地において、ヒスチジンが約4倍、
イソロイシンが約51倍、メチオニンが約4倍、フェニ
ルアラニンが約4倍、トリプトファンが約4倍及びチロ
シンが約6倍となるように之等アミノ酸を添加配合した
改良培地を報告している〔Mayo Clin. Proc., 61, 771-
777 (1986)〕。
【0008】しかしながら、上記各培養培地及び之等を
利用した培養技術は、之等をヒト表皮細胞を利用した培
養皮膚移植に応用するには、尚満足できるものではな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来の技術レベルにおいて、限られた量のヒト表皮細胞
を短時間に且つ大量に培養増殖し得る培養効率の優れた
新しい方法及び該方法のための培養用培地、殊に培養皮
膚移植に充分に適用できる上記技術を提供することを目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、組織培
養用のMCDB153基礎培地において、ヒスチジンを
約3倍、イソロイシンを約50〜100倍、メチオニン
を約6〜12倍、フェニルアラニンを約6〜12倍、ト
リプトファンを約3〜6倍及びチロシンを約10〜20
倍の配合となるように改変したことを特徴とするヒト表
皮細胞培養用基礎培地、特にヒスチジンを約3倍、イソ
ロイシンを約100倍、メチオニンを約12倍、フェニ
ルアラニンを約12倍、トリプトファンを約6倍及びチ
ロシンを約20倍の配合とした上記基礎培地、ヒト表皮
細胞の増殖に適した上記培地、並びにヒト表皮細胞の増
殖支持に有効量の成長促進物質及び薬理有効量の抗生物
質を更に含む上記培地及び上記培地を用いるヒト表皮細
胞の増殖方法が提供される。
【0011】本発明の基礎培地は、組織培養用MCDB
153基礎培地を構成する特定のアミノ酸を強化した点
に特徴を有する。しかして、上記アミノ酸強化のための
MCDB153基礎培地自体は、既に知られており〔前
記ピテルコウ等の報告及びその引用文献等参照〕、市販
品としても入手可能である。その内、本発明により改変
されるべき特定のアミノ酸の組成は、ヒスチジン0.8
×10-4M、イソロイシン0.15×10-4M、メチオ
ニン0.3×10-4M、フェニルアラニン0.3×10
-4M、トリプトファン0.15×10-4M及びチロシン
0.15×10-4Mとなっている。
【0012】本明細書において、上記MCDB153基
礎培地なる語は、上記アミノ酸組成を含めて既に報告さ
れたそれと同一組成を有するものは勿論のこと、これと
実質的に同一である組成の培地をも含む総称として使用
される。即ち、例えば上記培地中のアミノ酸類、主要な
無機イオン類、ビタミン類、所定の有機化合物、微量元
素等の種類及び含有量は、それ等が前記文献に記載のM
CDB153基礎培地本来の特徴を実質的に損なわない
範囲において、適宜変更させ得る。また之等各成分は適
宜塩の形態や水和物等の形態で利用することもできる。
更に、上記培地は通常液状であるが、用時に水に溶解さ
せて利用される粉末状形態であってもよく、かかる場合
には緩衝液やpH調節剤等の成分は別途添加物として、
粉末製品より除いておくこともできる。更に、本発明者
等の研究によれば、MCDB153基礎培地に含まれる
リン酸1水素2ナトリウム及びピルビン酸ナトリウム
は、それ等の存在自体、本発明の目的には重要でないこ
とが確認された。従って、本発明培地における之等の配
合の有無及び配合する場合の配合量は任意とすることが
できる。
【0013】上記MCDB153基礎培地の具体例とし
ては、例えば下記表1に記載の組成を有する培地を例示
することができる。
【0014】表1 L−アラニン 8.91mg/L L−アルギニン塩酸塩 210.67 L−アスパラギン・一水塩 15 L−アスパラギン酸 3.99 L−システイン塩酸塩・一水塩 42.15 L−グルタミン酸 14.7 L−グルタミン 876 グリシン 7.51 L−ヒスチジン塩酸塩・一水塩 16.77 L−イソロイシン 1.97 L−ロイシン 65.6 L−リジン塩酸塩 18.27 L−メチオニン 4.48 L−フェニルアラニン 4.95 L−プロリン 34.54 L−セリン 63.05 L−スレオニン 11.9 L−トリプトファン 3.06 L−チロシン 2.72 L−バリン 35.15 ビオチン 0.015 葉酸 0.8 イノシトール 21.62 ニコチン酸アミド 0.037 パントテン酸カルシウム 0.48 塩酸ピリドキシン 0.062 リボフラビン 0.038 HEPES 6700 重曹 1200 塩酸チアミン 0.34 シアノコバラミン 0.41 重酒石酸コリン 25.33 リボ酸 0.21 プトレッシン二塩酸塩 0.16 チミジン 0.73 硫酸アデニン 72.79 塩化ナトリウム 7597.2 塩化カリウム 111.84 塩化カルシウム(無水) 3.33 塩化マグネシウム(無水) 57.13 リン酸1水素2ナトリウム 283.92 (無水) ピルビン酸ナトリウム 55 ブドウ糖(無水) 1080.96 フェノールレッド 1.17 硫酸銅・5水塩 0.00275 硫酸第1鉄・7水塩 1.39 硫酸マンガン・7水塩 0.00015 モリブデン酸アンモニウム・4水塩0.00124 塩化ニッケル・6水塩 0.00012 亜セレン酸ナトリウム 0.0052 ケイ酸ナトリウム(無水) 0.061 塩化第1錫・2水塩 0.000113 バナジン酸アンモニウム 0.00058 硫酸亜鉛・7水塩 0.144。
【0015】本発明の基礎培地は、上記MCDB153
基礎培地を構成する特定アミノ酸を所定値に強化、即
ち、ヒスチジンを約3倍(重量倍、以下同じとする)、
イソロイシンを約50〜100倍、メチオニンを約6〜
12倍、フェニルアラニンを約6〜12倍、トリプトフ
ァンを約3〜6倍及びチロシンを約10〜20倍の配
合、特に好ましくはヒスチジンを約3倍、イソロイシン
を約100倍、メチオニンを約12倍、フェニルアラニ
ンを約12倍、トリプトファンを約6倍及びチロシンを
約20倍の配合、となるように改変した組成を有する点
に最大の特徴を有する。
【0016】かかる本発明の基礎培地は、上記特徴を有
することに基いて、ヒト表皮細胞の増殖用培地として非
常に好適であり、本発明はかかる基礎培地を利用したヒ
ト表皮細胞増殖用培地をも提供する。
【0017】上記本発明のヒト表皮細胞増殖用培地の調
整は、一般の細胞培養用培地と同様にして行ない得る。
即ちこれは、前記本発明基礎培地に、通常ヒト表皮細胞
の増殖支持に用いられることの知られている成長促進物
質の有効量及び抗生物質の薬理有効量を添加配合するこ
とにより調整される。
【0018】上記成長促進物質としては、特に限定はな
く、公知の各種のもののいずれでもよく、その配合量も
細胞の増殖支持に有効な範囲において任意に設定でき
る。之等の内でも特に好ましい物質としては、例えばイ
ンスリン、ハイドロコーチゾン、エタノールアミン及び
ホスホエタノールアミンからなる群から選択される成長
促進物質を例示できる。また、ヒト表皮細胞の増殖にB
PEとして知られる牛下垂体抽出物が有効であることも
知られており〔Journal of Tissue Culture Methods, V
ol.9 (2),p.83 (1985)〕、このものも上記成長促進物質
として好ましく添加配合できる。更に本発明者等の研究
によれば、該BPEはその入手に量的制限があるため、
これに代えて、より大量に入手容易な牛大脳−視床下部
抽出物(BHE)が、同様にヒト表皮細胞の増殖を良好
に支持し、長期継代培養に有効であることが確認され
た。従って、本発明ではかかるBHEをも上記成長促進
物質として有効に利用することができる。尚、上記BH
Eは、牛大脳−視床下部組織の水抽出物であり、これは
BPEにおける牛下垂体組織に代えて牛大脳−視床下部
組織を用いて、同様にして製造することができる。
【0019】但し、従来より上皮増殖因子(EGF)、
腫瘍増殖因子(TGF)及び肝細胞増殖因子(HGF)
として知られている各物質は、ヒト表皮細胞の増殖効果
をも有しており、本発明においても之等各因子を成長成
長促進物質として利用することはできるものの、之等の
利用は、得られる培地による培養細胞の培養皮膚移植へ
の応用を考慮すれば、一部危険性が指摘される所であ
り、事実本発明者等の研究によれば、培養細胞の形態異
常が観察される場合があるため、特に好ましいものとは
いえず、しかも本発明培地は之等の増殖因子を利用せず
とも充分に所期の増殖効果を奏し得るものであるため、
むしろ之等の添加配合は回避するのが好ましい。
【0020】特に好ましい本発明増殖用培地としては、
2×10-6Mよりも少ない量、特に約2×10-7Mのイ
ンスリン、0.1〜2.5μg/ml、特に約0.5μ
g/mlのハイドロコーチゾン、0〜500μM、特に
約100μMのエタノールアミン、0〜2500μM、
特に約100μMのホスホエタノールアミン及び25〜
150μg蛋白量/mlのBPE及び/又はBHEを添
加配合された前記MCDB153基礎培地を例示するこ
とができる。
【0021】本発明の増殖用培地に添加される抗生物質
及びその添加配合量もまた、この種分野における慣用に
従うことができる。代表的には、カナマイシンを約10
0μg/ml程度添加配合するのが好ましい。
【0022】本発明の増殖用培地は、その特徴、特にこ
れに利用する前記本発明基礎培地に特有の効果を損なわ
ない限りにおいて、この種分野で慣用される各種の他の
培地成分を添加配合したり、既に添加配合されている成
分を適宜追加することもできる。例えば本発明の基礎培
地に含まれているアミノ酸類、ビタミン類、微量元素等
は、ヒト表皮細胞の増殖用の培地の調整に特に適した組
成からなっているが、本発明基礎培地の効果を損なわな
い限り、それ等の1又は2以上を適宜追加配合してもよ
い。
【0023】以下、本発明の増殖用培地を利用してヒト
表皮細胞を培養する方法につき、詳述すれば、まず、培
養のためのヒト表皮細胞(ケラチノサイト)は、それ自
体公知の各種方法により調整することができる。その培
養は初代培養及び継代培養のいずれも、同様にして行な
うことができ、培養は、基本的には常法に従い、例えば
37℃、5%炭酸ガス気相下に実施することができる。
培養皿のサイズ、培養基材、播種時の細胞密度、培地交
換時期等にも制限はない。
【0024】より具体的には、培養は、培養基材として
のコラーゲン、特にタイプIコラーゲンがコーティング
された培養皿で、播種時の細胞密度が約2.5〜5×1
3細胞/cm2 程度となる条件下で実施されるのが好
ましく、2日に一度の培地交換により、所望の良好な細
胞増殖を行ない得る。かくして得られる増殖ヒト表皮細
胞は、該細胞の提供者の年齢や細胞の状態等により一定
ではないが、一般には約24時間の培養により約2倍の
細胞数に増加する。
【0025】本発明増殖用培地の利用によれば、上記の
通りヒト表皮細胞の優れた増殖が達成されると共に、増
殖された細胞は接着率に優れ、細胞形態に異常が認めら
れず、例えば培養皮膚移植への応用も極めて有利に行な
い得る利点がある。
【0026】この培養皮膚移植は、本発明により得られ
る増殖ヒト表皮細胞のシートを作成して行なうことがで
き、該シートは、例えば上記のようにして得られるコン
フルエント(confluent )にまで増殖した単層のヒト表
皮細胞を、重層化培地で更に培養して表皮細胞を層状に
重層化し、生体表皮と同様の組織形態に分化させて行な
い得る。該重層化培地は、本発明の基礎培地を含む通常
の基礎培地から調整でき、そのカルシウム濃度は約0.
4〜2.0mMに調整され、また牛胎児血清(FCS)
を添加配合されるのが好ましい。上記重層化培地で1週
間程度培養することにより、表皮細胞は5〜6層に多層
化し、下層には増殖能を有する基底細胞、上層には分化
した角化細胞が観察される。このようにして作成される
ヒト表皮細胞シートは、既に知られているこの種のシー
トと同様にして培養皮膚移植に利用できる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に説明するため実
施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0028】
【実施例1】本発明基礎培地の調整 (1)極東MCDB153培地(極東製薬工業株式会社
製、その組成は前記表1に示す通りである)に、以下の
アミノ酸が下記組成となるように、各アミノ酸の所定量
(括弧内は各アミノ酸のモル濃度を示す)を追加配合し
て、本発明の基礎培地を調整した。
【0029】 L−ヒスチジン塩酸塩・1水塩 50.31mg/l(2.4×10-4M) L−イソロイシン 98.39mg/l(7.5×10-4M) L−メチオニン 26.86mg/l(1.8×10-4M) L−フェニルアラニン 29.74mg/l(1.8×10-4M) L−トリプトファン 9.19mg/l(0.45×10-4M) L−チロシン 27.18mg/l(1.5×10-4M) かくして得られた培地は用時に水に溶解し更に6700
mg/lのHEPES及び1200mg/lの重曹を添
加して使用される。以下、これを「基礎培地1」とい
う。
【0030】(2)上記と同様にして、下記アミノ酸組
成となるように各アミノ酸を追加配合して、基礎培地を
調整した。
【0031】 L−ヒスチジン塩酸塩・1水塩 50.31mg/l(2.4×10-4M) L−イソロイシン 196.78mg/l(15×10-4M) L−メチオニン 53.72mg/l(3.6×10-4M) L−フェニルアラニン 59.48mg/l(3.6×10-4M) L−トリプトファン 18.38mg/l(0.9×10-4M) L−チロシン 54.36mg/l(3.0×10-4M) かくして得られた培地は用時に水に溶解し更に6700
mg/lのHEPES及び1200mg/lの重曹を添
加して使用される。以下、これを「基礎培地2」とい
う。
【0032】
【実施例2】本発明増殖培地の調整 実施例1で調整された基礎培地1及び2のそれぞれを用
いて、次の通りヒト表皮細胞増殖用培地を調整した。
【0033】即ち6N NaOHでpH7.2に調整
後、濾過滅菌した基礎培地1及び2のそれぞれに、以下
の成長促進物質及び抗生物質を添加配合して、各増殖培
地を調整した。以下、用いた基礎培地に対応させて之等
をそれぞれ「増殖培地1」及び「増殖培地2」という。
【0034】 インスリン 2×10-7M ハイドロコーチゾン 0.5μg/ml エタノールアミン 100μM ホスホエタノールアミン 100μM BHE(参考例1にて調整) 100μg蛋白量/ml カナマイシン 0.1g/l
【0035】
【実施例3】ヒト表皮細胞の培養 後記参考例2に従い細胞濃度が1〜2×105 細胞/m
lとなるように調整されたヒト表皮細胞懸濁液5ml
を、コラーゲン(タイプI)をコーティングした6cm
径の培養皿(コーニング社製)に播種し、培養培地1及
び2のそれぞれを用いて初代培養した。該培養は37
℃、5%炭酸ガス気相下で行ない、培養開始20〜24
時間後及び以後1日おきに培地交換を行なった。表皮細
胞は12日間で培養皿一杯(コンフルエント)にまで良
好に増殖したので、次いで、継代処理を行ない、第2細
胞世代の継代培養を行なった。
【0036】継代処理は、培養液を除き、ダルベッコP
BS(−)(日水社製)で2回洗浄後、0.01w/v
%EDTA及び0.125%トリプシンを含むダルベッ
コPBS(−)を加え、37℃で5分間インキュベート
し、表皮細胞が培養皿から剥がれた状態であることを確
認した後、30w/v%FCS(ウシ胎児血清)を含む
DME培地(日水社製)を加え、ピペッティングにより
表皮細胞懸濁液を得、4℃、1000rpmで5分間遠
心分離して得た沈渣部を少量の培養培地1又は2に懸濁
させることにより行なった。
【0037】継代培養は、細胞濃度が3〜7×104
胞/mlになるように調整した懸濁液を用いる以外は、
上記初代培養と同様にして実施した。
【0038】表皮細胞は、1週間で培養皿一杯にまで良
好に増殖した。更に、同様にして継代処理と継代培養と
を繰返すことにより、ヒト表皮細胞を良好に増殖させる
ことができた。
【0039】尚、上記培養において、増殖培地に含まれ
る各成長促進物質の有効量を、基礎培地2を用いて検討
した結果、本明細書の開示の配合範囲内において、特に
増殖培地2で採用されている添加配合量において、殊に
好ましい増殖結果を与えることが確認された。
【0040】
【実施例4】ヒト表皮細胞の培養比較試験 実施例1及び2に従って、極東MCDB153培地又は
ピテルコウ等の報告するその改良培地〔Mayo Clin.Pro
c.,61, 771-777 (1986)〕からなる各増殖用培地を比較
用培地として調整した。以下、之等をそれぞれ「極東培
地」及び「ピテルコウ培地」という。
【0041】之等各培地と本発明の増殖培地1及び2と
の相違は、6種のアミノ酸の配合量にあり、これを極東
培地の各アミノ酸のモル濃度を基準(1)として対比す
れば、下記表2の通りである。
【0042】
【表2】
【0043】上記4種の各培地を利用して、コラーゲン
(タイプI)をコーティングした35mmの6ウェル培
養皿にて、実施例3と同様にして、それぞれヒト表皮細
胞を培養、増殖させた。尚、表皮細胞は5×104 細胞
/ウェルにて播種し、各培地を利用した1群はそれぞれ
6ウェルにて試験を行なった。
【0044】培養4日目に各群のウェルの細胞を、前記
継代培養処理に準じて処理して細胞懸濁液を得、之等の
細胞数をコールターカウンター(コールターエレクトロ
ニクス社製)にて測定した。
【0045】結果を図1に示す。
【0046】図において、縦軸は細胞数(細胞/c
2 )を、横軸は使用した各培地(:対照とする極東
培地、:本発明増殖用培地1、:本発明増殖用培地
2及び:対照とするピテルコウ培地)をそれぞれ示
す。
【0047】該図より、本発明増殖用培地1及び2は、
之等を構成する6種のアミノ酸の添加量の相違に基い
て、対照とする各培地に比較して、ヒト表皮細胞を良好
に増殖させ得、その培養効率が優れていることが明らか
である。
【0048】
【参考例1】牛大脳−視床下部抽出物BHEの調整 牛脳組織より視床下部を中心とした大脳−視床下部の組
織部位を摘出し、凝固した血液や膜成分を取り除いた
後、冷却した生理食塩水で3〜4回洗浄し、−80℃に
て凍結保存し、使用時に4℃にて解凍し、引続く操作に
供した。
【0049】解凍した約300gの上記組織を、冷却し
た生理食塩水500ml中でポリトロンホモジナイザー
(カイネティクス社製)で3〜4分間粉砕し、更にポッ
ター型テフロンホモジナイザーにて冷却しながら、1〜
2分間細かく粉砕後、4℃、38000×gで40分間
遠心分離して上清を得た。該上清に硫酸ストレプトマイ
シン(明治製菓社製)を終濃度が0.5w/v%となる
ように加え、4℃で18時間撹拌し、38000×gで
60分間遠心分離して上清を得た。
【0050】得られた上清をクリーンベンチ内でポアサ
イズ0.22μmの滅菌済みフィルター(ミリポア社
製)で加圧濾過滅菌し、約10mg蛋白量/mlの抽出
液を得た。これを5mlずつ分注し、−80℃にて保存
し、用時室温にて解凍し、BHEとして用いた。
【0051】
【参考例2】ヒト表皮細胞の調整 皮膚移植手術時又は皮膚組織除去手術時の不要破棄皮膚
組織片1×1cmをシャーレに移し、冷却したダルベッ
コPBS中で2〜3回洗浄後、脂肪層を切除した。これ
を0.05%グルコン酸クロルヘキシジン含有75%エ
タノール溶液に約30秒間浸漬することでその皮膚片表
面を殺菌し、更にDME培地で1〜2回洗浄した。真皮
部分を、滅菌した手術用小型ハサミにて、できるだけ取
り除き、0.2〜0.3mm×0.5mmの短冊状に切
断した。再度0.05%グルコン酸クロルヘキシジン含
有75%エタノール溶液に約20秒間浸漬する殺菌処理
を行ない、DME培地で1〜2回洗浄して前処理を終了
した。
【0052】上記で前処理した皮膚小片を250U/m
lのディスパーゼ(合同酒精社製)を含むDME培地中
に4℃で一晩(約24時間)浸漬した後、ピンセットに
て表皮層と真皮層とに分け、表皮層を0.25w/v%
トリプシン溶液(ギブコ社製)を含むダルベッコPBS
(−)に37℃、10分間浸漬し、30v/v%FCS
(ウシ胎児血清)を含むDME培地を加えピペッティン
グにより表皮細胞を分散させた細胞懸濁液を得た。これ
を4℃、1000rpmで5分間遠心分離し、沈渣部を
少量の増殖培地2に懸濁させて、ヒト表皮細胞を調整し
た。
【0053】
【参考例3】シート化細胞の調整 実施例3において、コンフルエントになった細胞を、P
BS(−)にて洗浄し、重層化用培地(10%FCS及
び3.3g/lHEPESを含むDME培地)に培地交
換した。1日おきに培地交換し、7〜8日後に重層化し
た細胞をPBS(−)及びDME培地にて各1回洗浄し
た。0.75%コラーゲナーゼを含むDME培地で37
℃下に40〜60分間、周囲が僅かに剥がれる程度ま
で、酵素処理し、PBS(−)及び保存液(L−15培
地)で各1回洗浄した。保存液を入れ、細胞シートが僅
かに浸る程度まで吸引除去し、支持体(ベスキチンW)
を載せ、一緒に剥離して細胞シートを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4に従うヒト表皮細胞増殖試験における
本発明培地のヒト表皮細胞増殖効果を示すグラフであ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織培養用のMCDB153基礎培地に
    おいて、ヒスチジンを約3倍、イソロイシンを約50〜
    100倍、メチオニンを約6〜12倍、フェニルアラニ
    ンを約6〜12倍、トリプトファンを約3〜6倍及びチ
    ロシンを約10〜20倍の配合となるように改変したこ
    とを特徴とするヒト表皮細胞培養用基礎培地。
  2. 【請求項2】 ヒスチジンを約3倍、イソロイシンを約
    100倍、メチオニンを約12倍、フェニルアラニンを
    約12倍、トリプトファンを約6倍及びチロシンを約2
    0倍の配合とした請求項1に記載の基礎培地。
  3. 【請求項3】 ヒト表皮細胞の増殖に用いられる請求項
    1又は2に記載の培地。
  4. 【請求項4】 ヒト表皮細胞の増殖支持に有効量の成長
    促進物質及び薬理有効量の抗生物質を更に含む請求項3
    に記載の培地。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の培地を用いるヒト表皮
    細胞の増殖方法。
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