JPH0631900U - 河川の水浄化装置 - Google Patents

河川の水浄化装置

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JPH0631900U
JPH0631900U JP074921U JP7492192U JPH0631900U JP H0631900 U JPH0631900 U JP H0631900U JP 074921 U JP074921 U JP 074921U JP 7492192 U JP7492192 U JP 7492192U JP H0631900 U JPH0631900 U JP H0631900U
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tank
water
biofilm
biofilm tank
river
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善樹 滝
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株式会社ビー・バイ・ビー
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    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Abstract

(57)【要約】 【構成】河川1の水中に好気的微生物環境を有する第1
の生物膜槽3を形成するとともに、川床を含む水中に嫌
気的微生物環境を有する第2の生物膜槽4を上記第1の
生物膜槽3の下部に連続して形成し、さらに第2の生物
膜槽4の下流側に嫌気的微生物環境を有する第3の生物
膜槽5を連続して形成した。 【効果】好気性と嫌気性の人工的微生物環境を河川とい
う自然環境をうまく利用して構成することにより、格別
の陸上施設を要することなく、自然の生化学反応を効率
的に利用して河川水の汚濁物質から脱炭素、脱窒素及び
脱リンを効率的に実現できる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は河川の汚濁原因物質を生化学反応を利用した生物膜槽によって浄化す る装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
最近、下水処理施設や合併浄化槽等が設置されていない地方都市では生活排水 が小さな川や用水路に流入することによってこれらが流れ込む河川の富栄養化が 促進されて水質が汚濁し、環境を汚染することが問題になっている。汚濁物質に は過剰な窒素、リン等の無機塩類や有機物質が含まれる。特に、生物にとって不 可欠な微量元素のうち最大のものであるリンは、炭素や窒素と異なり、ガス化し て水圏から大気圏に還元されることがなく、リン酸塩としてイオン化して水に溶 解した状態で水圏に留まる。したがって、これを物理的に除去することは非常に 困難であるとともに、AlやCaと化学反応させて凝集させたり固定化させたり しても、水底に堆積するから、水環境によっては厄介なだけであり、根本的な解 決にはならない。リンが過剰に河川に流入すると、水草や藻の生産活動が突出す るため、表層水によって光線が遮られると、底生の水草類が成長できず、らん藻 や緑藻類のような植物プランクトンが水の表面を覆い、湖沼等の水圏全域の生態 系で生産ー消費ー分解(還元)のサイクルの調和が壊れ、自浄作用が失われて水 質の汚濁がどんどん進行することになる。
【0003】 これに対し、浄化槽や池、沼等のように閉鎖された水系の水を浄化する装置は いろいろと開発されているが、河川の水域は非常に広いので、本格的な装置を設 置しようとすると大掛かりになり装置自体に多大な費用がかかるほか、メインテ ナンスのコストもかなりの負担になる。このため、従来は川床を浚渫したり、礫 間で濾過処理したりすることより浄化していた。しかしながら、前者では効率が 悪く、後者ではリンや窒素は除去されないという欠点があった。
【0004】
【考案の目的】
本考案は前記事情に鑑みて成立したもので、設置費用も維持費用も低く、しか も浄化効率が大幅に向上する河川の水浄化装置を提供することをその目的とする 。
【0005】
【目的を達成するための手段】
前記目的を達成するため、本考案に係る河川の水浄化装置は、河川の水中に好 気的微生物環境を有する第1の生物膜槽を形成するとともに、川床を含む水中に 嫌気的微生物環境を有する第2の生物膜槽を上記第1の生物膜槽の下部に連続し て形成し、さらに第2の生物膜槽の下流側に嫌気的微生物環境を有する第3の生 物膜槽を連続して形成したことを特徴とする。
【0006】 なお、前記第1の生物膜槽を川床に下部を埋設した篭状の槽の上部に形成し、 前記第2の生物膜槽をその下部に形成し、前記第3の生物膜槽を川床面より下部 に埋設された導水管に形成してもよい。
【0007】 また、前記第1の生物膜槽及び第2の生物膜槽はそれぞれ川床の下部を埋設し た篭状の槽の上下部に形成され、前記第3の生物膜槽は第2の生物膜槽に接続す る導水管に形成してもよい。
【0008】 なお、前記第1の生物膜槽は前記篭状の槽の内部にブロック状の微生物接触材 を充填してなり、前記第2の生物膜槽は前記篭状の槽の内部に紐状の微生物吸着 不織布を多数配設してなり、さらに前記第3の生物膜槽は前記導水管内に紐状の 微生物吸着布を装着してなるものであるのが好ましい。
【0009】
【考案の作用、効果】
前記構成によれば、本考案に係る水浄化装置は、河川の水中に好気的微生物環 境を有する第1の生物膜槽を形成するとともに、川床を含む水中に嫌気的微生物 環境を有する第2の生物膜槽を上記第1の生物膜槽の下部に連続して形成し、さ らに第2の生物膜槽の下流側に嫌気的微生物環境を有する第3の生物膜槽を連続 して形成したものであるから、好気性と嫌気性の人工的微生物環境を自然環境を うまく利用して構成することができる。そして、多種多様な微生物が活性となる 生態系が形成されて生化学反応が促進され、効率的な脱炭素、脱窒素が図られる とともに、汚泥とともにリンを効率的に水圏から除去することができ、河川水を 良好に浄化することができる。また、上記微生物環境では共生、寄生、捕食とい った長い食物連鎖によって有機物質がエネルギー化され、浄化効率が非常に高く なり汚泥の量が少なくなるから、管理が非常に楽である。したがって、特に上記 水浄化装置を汚濁発生源に近い、地方都市の小川や用水路等に設置することによ り、河川の富栄養化や汚濁を有効に予防することが可能となる。
【0010】 また、上記水浄化装置は河川に堰状に設置されるので、大型の陸上施設やその 設置場所が不要であり、ばっ気、ポンピング、加熱、保温等の電気エネルギー等 のランニングコストを要せず、汚泥処理もほとんど不要であり、化学薬品による 滅菌等も行なわないので、維持管理が楽で、低コストで省力的な浄化を実現する ことができる。しかも、水浄化装置は河川水中に設置されているから、景観を損 なうことがないほか、洪水等の場合も増水は装置を越流するので、治水上の支障 はない。また、川床から突出するのは多くても第1の生物膜槽だけであり、水浄 化装置は全体としては突起部分が少ないので、河川管理が楽である。
【0011】 なお、第1の生物膜槽は川床に下部を埋設した篭状の槽の上部に形成し、上記 第2の生物膜槽をその下部に形成し、上記第3の生物膜槽は川床面より下部に埋 設された導水管に形成したことにより、好気性、嫌気性の微生物環境をより一層 能率的に作り出すことができるとともに、嫌気性の微生物環境が優勢となるので 、特に脱窒をより効率的に行なうことができる。ちなみに、礫間濾過法は使用面 積が大きくなるほか、窒素、リンはほとんど除去しない。
【0012】 また、前記第1の生物膜槽及び第2の生物膜槽を川床の下部を埋設した篭状の 槽の上下部に形成し、前記第3の生物膜槽を第2の生物膜槽に接続する導水管に 形成したときは、水浄化装置は全く川床面上に突出しないので、河川管理が非常 に容易になる。
【0013】 なお、第1の生物膜槽が上記篭状の槽の内部にブロック状の微生物接触材を充 填してなり、上記第2の生物膜槽は上記篭状の槽の内部には紐状の微生物吸着布 を多数配設してなり、さらに上記第3の生物膜槽は上記導水管内に紐状の微生物 吸着不織布を装着してなるように構成したときは、現在考えられる最良の人工的 微生物環境を作り出すことができる。
【0014】
【実施例】
図1、図2において符号1は河川1であり、2はその浄化装置を示す。この浄 化装置2は第1の生物膜槽3と第2の生物膜槽4と第3の生物膜槽5とから構成 されている。第1の生物膜槽3と第2の生物膜槽4は川床を横断するように掘り 下げ、そこに下部を埋設した篭状の槽6の上部及び下部に形成され、第3の生物 膜槽5は川床面aより下部に埋設された導水管7に形成されている。なお、水浄 化装置2を設置する河川の流速は3〜10cm/sec程度が好ましい。
【0015】 槽6は水の出入りが自由な篭状に形成されているもので、格子状のガラス繊維 製のネフマック(ネフコム株式会社の商品名)をステンレス製の結束リングによ り結束して篭状に形成するのが好ましい。これは耐候性、耐薬品性、耐腐食性に 優れ、鉄筋の数倍の強度で数分の1の重量を有するものである。上記槽6は流さ れないようにロープ等で固定される。
【0016】 第1の生物膜槽3は、上記篭状の槽6の上部に形成され、内部にはブロック状 の微生物接触材9が充填されている。ブロック状の微生物接触材9としては、空 隙率と微生物の吸着率が高いものが好ましく、例えばバイオス(日南産業株式会 社製の商品名)等が適する。バイオスは板状体を組み合わせて直径が100〜1 50mm程度の球状ブロック体として形成したもので、空隙率が97パーセント もあるから、好気性の環境ができるとともに、表面積が60m2 /m3と大きい ので、水に含まれる有機物、SS物質、BOD(COD)物質、栄養塩類等の水 質汚濁物がよく吸着され、好気性の微生物が活性化できる生活環境が形成される 。
【0017】 第2の生物膜槽4は上記篭状の槽6の下部の、第1の生物膜槽3の下方に連続 して形成され、内部には紐状の微生物吸着布10が多数配設されている。微生物 吸着不織布10は図のように篭状の槽6内にノレン状に吊下げてもよいが、水の 流れに沿って張設してもよい。
【0018】 紐状の微生物吸着布10は、微生物吸着機能をもった布材を紐状に切ったもの を使用すればよい。このような布材としては、例えばACF(大阪ガスの商品名 )やPーCーXがある。ACFは炭素繊維からなり、またPーCーXはピリジニ ウム基を有し、かつ水に不溶又は難溶の微生物吸着樹脂を多孔質基材表面に付着 したもので、多孔質基材としてはレーヨン、コットン、ポリエチレン、ポリプロ ピレンなどの繊維よりなる不織布、織物或いは編物や、ポリエチレン、ポリ塩化 ビニル等の多孔質な合成樹脂フィルムであって、水中を流れにとともに浮かび漂 うことができるよう帯状、紐状などの水の抵抗を受け易い形態としたものがよい 。微生物吸着樹脂としてはハロゲン化されたピリジニウム基を分子内に有し、か つ水に不溶又は難溶のものであればどんなものであってもよい。例えば、特開平 3−174419号公報に示された4−ビニルピリジンとモノビニルモノマーと を共重合し、ハロゲン化物により4級処理することにより得られる高分子化合物 や、多孔質基材表面に4−ビニルピリジンと架橋性ジビニル系単量体とを付着し た後これらを共重合させ4級化処理したもの等を挙げることができる。これらの 微生物吸着樹脂における微生物吸着能は、該樹脂が分子内に有するところのピリ ジニウム基が正に帯電しており、一般に微生物の細胞表面は負に帯電しているこ とから、これらピリジニウム基と微生物との間の電気的な相互作用によって発現 されるものと推定される。PーCーXは通常の接触基材と異なり、100〜10 00倍の微生物吸着能力をもつとともに、吸着した微生物を放逸しない特性を有 する。したがって、上記微生物吸着布10は微生物を高密度で吸着させる。
【0019】 なお、上記吸着布10の下方には適宜第1の生物膜槽3から落下した汚泥を溜 めるスペース11を形成するのが好ましい。
【0020】 次に、第3の生物膜槽5は第2の生物膜槽4の下流側に配置された導水管7内 に紐状の微生物吸着不織布10を装着してなるものである。導水管7の上流側の 開口端は第2の生物膜槽4に開口している。導水管7として土木暗渠用配管を用 い、かつ下流側に長く配置することにより、第1の生物膜槽3からの越流水の一 部も配管に吸い込まれる。また、導水管7を河川1の流れと非平行に設置して水 の流入量や流速を調整するように構成してもよい。なお、導水管7には図1及び 図3に示されるように抜き管14を貫通させ、これらの引き抜き管14をポンプ 15によって駆動するようにするのが好ましい。このような引き抜き管は第2の 生物膜槽4の下部スペースにも設けるのが望ましい。
【0021】 前記構成において、第1の生物膜槽3、第2の生物膜槽4及び第3の生物膜槽 5には有用微生物を定期的に供給する。また、なお、有用微生物の働きをより活 性にするためには、エネルギー源としては水中の汚濁物質だけでは不足する。し たがって、エタノール、グルコース等の炭素源を別途補給して、微生物に安定し た生活環境を提供するのが好ましい。
【0022】 有用微生物としてはBSK菌(微生物登録済)を利用するのが好ましい。BS K菌は好気、嫌気の両環境で活性であり、高い有機物分解機能と脱窒素機能を有 するほか、リンの除去機能も有する(図4参照)ので、脱炭素、脱窒素を高効率 で行なうことが可能であるとともに、蛋白分解酵素を生産し、環境を良好に保持 する機能も併せ持っているからである。また、BSK菌はリン酸塩の取り込み、 脱臭、農薬等の化学物質の分解等にも優れている。さらに、水圏においては、有 機態窒素の無機化が先行するため、エネルギー源としての炭素供給が遅れること が予想され、有機物を迅速に分解するBSK菌の役割は大きい。
【0023】 また、脱窒菌やリン酸蓄積菌を適宜選択して供給する。代表的な脱窒菌はAc hromobacter、Alcaligenes、Bacillus、Hyp omicrobium、Hicrococcus、Paraacoccus、P seudomonas、Thibacillus等多様である。また、リン酸蓄 積菌としては、PAB6(微生物登録済)等がある。これらの脱窒菌及びリン酸 蓄積菌は種菌をカプセルに入れて供給してやればよい。
【0024】 なお、有用微生物の働きをより活性にするためには、エネルギー源としては水 中の汚濁物質だけでは不足する。したがって、エタノール、グルコース等の炭素 源を別途補給して、微生物に安定した生活環境を提供するのが好ましい。
【0025】 第1の生物膜槽3のブロック状の微生物接触材9には水が自由に通るので、閉 塞することのない好気性水圏が形成され、内部に有用微生物が供給されたとき、 これら微生物は接触材9に吸着され、河川水の汚濁物質に含まれた固形有機物、 SS物質、BOD(COD)物質や栄養塩類をエネルギー源として摂取するので 、一つの生態系を備えた生物膜が形成される。この生物膜中で有用微生物は上記 エネルギー源を多量に消費しながら活発な増殖活動を行なう。このときの生化学 反応によって汚濁有機物質は炭酸ガスと水に生分解され、汚濁物質中の炭素は炭 酸ガスとなって大気圏に除去される。
【0026】 第1の生物膜槽3で発生する微生物の死骸や難分解・未分解有機物質や剥離汚 泥は徐々に第2の生物膜槽4に沈降し堆積して再分解されるが、第2の生物膜槽 4内に設けられた紐状の微生物吸着布10上に固定された高密度の微生物のバイ オマスにより溶存酸素が消費されるため、第2の生物膜槽4は常時脱窒に適した 嫌気性微生物環境が形成される。
【0027】 脱窒菌は嫌気条件下で硝酸あるいは亜硝酸が存在し、適当な炭素源が存在すれ ば旺盛に硝酸呼吸を始め、硝酸、亜硝酸を窒素ガスにまで還元する生化学反応を 起こす。この場合、有機物が懸濁状態ではなく硝酸態及び亜硝酸態窒素が溶存さ れた溶存態に変化し、C/N比が4の割合となったときに脱窒の活性が発現する 。そして脱窒は嫌気的微生物環境と炭素源の供給が行なわれれば、瞬時に行なわ れる。したがって、第2の生物膜槽4においては、BSK菌(微生物登録済)の ように高い有機物分解能を有する菌を利用することにより、水中の有機物が溶存 態有機物質に変え、またエタノール、グルコース等の炭素源を適宜補給して、脱 窒菌の硝酸呼吸に微生物に安定した生活環境を提供するのが好ましい。脱窒素機 能を有する脱窒菌による増殖活動に伴って硝酸呼吸が盛んに行なわれ、水中の汚 濁物質に含まれた硝酸性窒素は脱窒菌の硝酸呼吸により窒素ガスに還元されて瞬 時に水圏から大気圏に除去される。水に溶けた硝酸性窒素はNO3 −N2O−N2 のように窒素をガス化して脱窒される。
【0028】 なお、BSK菌のような脱窒菌は好気、嫌気両条件下で生育できるもので、好 気、嫌気が入り混じった条件下であっても、酸素条件が1.0〜1.3g 02 ・ g COD-1 の程度ときに硝化と脱窒の両方が行なわれると確認されている。
【0029】 このように、水中の有機物、SS物質、BOD(COD)物質、栄養塩類等の 汚濁物質の大部分は微生物の代謝エネルギー源として消化吸収され、その一部は 微生物により酸化又は還元されて脱炭素、脱窒素が行なわれ、さらに一部は汚泥 として残留する。したがって、有機物質の大部分が削減されるとともに、リンが 汚泥中に濃縮されることになる。リンは生物の増殖やエネルギー物質の生産に不 可欠な元素であるが、微生物は一般にリンを過剰摂取することが報告されている 。したがって、第1の生物膜槽3の接触材で増殖した好気性微生物がリンを摂取 するほか、従属栄養細菌である脱窒菌が上述のように接触材で増殖するに際し、 水中に含まれる物質を栄養源として炭素及びリンを取り込み、これによってリン の一部が生物体に固定される。しかも、リンを取り込んだ微生物はさらに大きな 原生動物等の栄養源となり、原生動物等はさらに大きな生物に消化吸収されると いう食物連鎖によって同化、異化される。排水に含まれるBOD物質、SS物質 等も同様である。したがって、汚泥が生じる量は非常に小さい。また、第1の生 物膜槽3及び第2の生物膜槽4より剥離して落下した汚泥にはリンが高濃度に集 積されているから、これを除去することによってリンを効率的に除去することが できる。なお、第2の生物膜槽4の下部に汚泥8をためるスペース11を設ける ことにより、汚泥8の除去作業を楽に行なうことができる。
【0030】 さらに、第2の生物膜槽4から排出された水の一部は、さらに第2の生物膜槽 4と同じ構成の第3の生物膜槽5に導水される。第2の生物膜槽4において溶存 酸素の消耗がかなり進んでおり、第3の生物膜槽5の微生物環境は十分に嫌気的 になっており、微生物吸着不織布10には嫌気性細菌である脱窒菌の豊富なバイ オマスが存在することになり、流下する水に溶けた溶存性有機物質を同化しつつ 、脱窒が容易に行なわれ、一層の水質浄化と汚泥のエネルギー化が促進される。 なお、嫌気状態の放流水には臭気が伴うのが通常であるが、第3の生物膜槽5内 の微生物脱臭菌たるBSK菌を利用することにより臭気の発生は有効に防止され 、放流後の溶存酸素の回復は自然に行なわれる。なお、第3の生物膜槽5におい ても脱窒菌等によりリンの摂取が行なわれるとともに、リンは汚泥に濃縮される から、導水管7に引き抜き管(図示せず)を貫通させ、該引き抜き管より導水管 7内の汚泥8を引き抜き管1により水圏外に引き抜くことにより、リンを除去す ることができる。
【0031】 上述の水浄化装置2による浄化プロセスを示すと、図5のようになる。
【0032】 以上のように、前記水浄化装置2は、河川1の水中に好気的微生物環境を有す る第1の生物膜槽3を形成するとともに、川床を含む水中に嫌気的微生物環境を 有する第2の生物膜槽4を上記第1の生物膜槽3の下部に連続して形成し、さら に第2の生物膜槽4の下流側に嫌気的微生物環境を有する第3の生物膜槽5を連 続して形成したものであるから、好気性と嫌気性の人工的微生物環境を自然環境 をうまく利用して構成することができる。そして、多種多様な微生物が活性とな る生態系が形成されて生化学反応が促進され、効率的な脱炭素、脱窒素が図られ るとともに、汚泥とともにリンを効率的に水圏から除去することができ、河川水 を良好に浄化することができる。また、上記微生物環境では共生、寄生、捕食と いった長い食物連鎖によって有機物質がエネルギー化され、浄化効率が非常に高 くなり汚泥の量が少なくなり、管理が非常に楽である。
【0033】 また、上記水浄化装置2は河川1に堰状に設置されるので、大型の陸上施設や その設置場所が不要であり、ばっ気、ポンピング、加熱、保温等の電気エネルギ ー等のランニングコストを要せず、汚泥処理もほとんど不要であり、化学薬品に よる滅菌等も行なわないので、維持管理が楽で、低コストで省力的な浄化を実現 することができる。しかも、水浄化装置2は河川水中に設置されているから、景 観を損なうことがないほか、洪水等の場合も増水は装置2を越流するので、治水 上の支障はない。
【0034】 なお、第1の生物膜槽3は川床に下部を埋設した篭状の槽6の上部に形成し、 上記第2の生物膜槽4をその下部に形成し、上記第3の生物膜槽5は川床面aよ り下部に埋設された導水管7に形成したことにより、好気性、嫌気性の微生物環 境をより一層能率的に作り出すことができるとともに、嫌気性の微生物環境が優 勢となるので、特に脱窒をより効率的に行なうことができる。ちなみに、礫間濾 過法は使用面積が大きくなるほか、窒素、リンはほとんど除去しない。
【0035】 さらに、第1の生物膜槽3は上記篭状の槽6の内部にブロック状の微生物接触 材9を充填してなり、上記第2の生物膜槽4は上記篭状の槽6の内部には紐状の 微生物吸着不織布10を多数配設してなり、さらに上記第3の生物膜槽5は上記 導水管7内に紐状の微生物吸着不織布10を装着してなるものであるから、現在 考えられる最良の人工的微生物環境を作り出すことができる。
【0036】 なお、上述の水浄化装置2を1単位とし、河川水の汚濁負荷、流速等に応じて 複数の装置2を流れに沿って配置することにより一層の浄化を促進することがで きる。
【0037】 また、水浄化装置は図6のように、第1の生物膜槽3及び第2の生物膜槽4を 川床の下部を埋設した篭状の槽6の上下部に形成し、前記第3の生物膜槽5を第 2の生物膜槽に接続する導水管に形成することもできる。この場合、河川水を水 浄化装置内に導くために、例えば槽6の後部にブロック11を設けるとか、槽6 の前に導水板12を配置するとかの導水手段を設置するのが好ましい。この水浄 化装置は全く川床面上に突出しないので、河川管理が非常に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る河川の水浄化装置の概要説明図で
ある。
【図2】図1の水浄化装置を平面から見た概要説明図で
ある。
【図3】図1の水浄化装置の第3の生物膜槽の一部の拡
大断面図である。
【図4】BSK菌の窒素、リンの除去試験データを示す
グラフである。
【図5】前記水浄化装置による浄化プロセスのブロック
図である。
【図6】水浄化装置の他の例の説明図である。
【符号の説明】
1 河川 2 水浄化装置 3 第1の生物膜槽 4 第2の生物膜槽 5 第3の生物膜槽 6 篭状の槽 7 導水管 9 微生物接触材 10 微生物吸着布

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 河川の水中に好気的微生物環境を有する
    第1の生物膜槽を形成するとともに、川床を含む水中に
    嫌気的微生物環境を有する第2の生物膜槽を上記第1の
    生物膜槽の下部に連続して形成し、さらに第2の生物膜
    槽の下流側に嫌気的微生物環境を有する第3の生物膜槽
    を連続して形成したことを特徴とする河川の水浄化装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1の生物膜槽は川床に下部を埋設
    した篭状の槽の上部に形成され、前記第2の生物膜槽は
    その下部に形成され、前記第3の生物膜槽は川床面より
    下部に埋設された導水管に形成されていることを特徴と
    する前記請求項1記載の河川の水浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の生物膜槽及び第2の生物膜槽
    はそれぞれ川床の下部を埋設した篭状の槽の上下部に形
    成され、前記第3の生物膜槽は第2の生物膜槽に接続す
    る導水管に形成されていることを特徴とする前記請求項
    1記載の河川の水浄化装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の生物膜槽は前記篭状の槽の内
    部にブロック状の微生物接触材を充填してなり、前記第
    2の生物膜槽は前記篭状の槽の内部に紐状の微生物吸着
    不織布を多数配設してなり、さらに前記第3の生物膜槽
    は前記導水管内に紐状の微生物吸着布を装着してなるも
    のであることを特徴とする前記請求項2又は3記載の河
    川の水浄化装置。
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JP2019030850A (ja) * 2017-08-09 2019-02-28 エイブル株式会社 アルカリゲネス属菌を用いた廃水処理方法

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