JPH06315751A - 金型局部冷却装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望の箇所を効率的に冷却可能な金型局部冷
却装置を提供すること。 【構成】 金型部材１の所望箇所に冷却用穴２が形成さ
れ、該穴に冷却用パイプ３が挿入される。該冷却用パイ
プは有底筒状をなしその軸方向に複数のノズル孔３ａが
並んで配列形成されている。冷却用パイプの内周面は往
路２ａをなし、外周面は復路２ｂをなす。 【効果】 それぞれのノズル孔より冷却剤が吐出するの
で、冷却用穴の軸方向全体に亘って均一に冷却が行われ
ると共に、エアーギャップ、水垢の発生が生じず冷却効
率が高められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は金型局部冷却装置に関
し、特にダイカスト、スクイズキャスト、低圧鋳造、重
力金型鋳造等の金型鋳造法において、局部的に加熱され
易い部分例えばキャビティ部の入子やコアピン等を冷却
するための金型局部冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の金型冷却方法では冷却剤として
水、空気その他のガス、油及びその他の冷媒等が用いら
れている。そして金型の冷却方式としては金型内部より
冷却するライン冷却方式や部分冷却方式、更に直接ミス
ト方式がある。ここでライン冷却は冷却を必要としない
箇所も冷却する点で不利であり、必要箇所のみを冷却す
る部分冷却方式が好ましい。特に金型形状が複雑化して
くると部分冷却の効果は大きい。

【０００３】特開昭５７−１７７８７０号公報記載の発
明では、鋳抜きピンを鋳造サイクル間で冷却するため
に、鋳物取出し時に上型が下型から離反したとき、両型
間に冷却板を位置させている。該冷却板には冷却液通路
が形成され、また該冷却液通路に連通する複数のミスト
噴射ノズルが形成された冷却筒が冷却板に一体に設けら
れている。該冷却筒が鋳抜きピンを同軸的に取り囲み、
鋳抜きピンの外周に冷却液をミスト状に噴射して該ピン
を冷却している。

【０００４】次に入子やコアピンの冷却のため冷却パイ
プを使用した従来方法を図９に示す。入子又はコアピン
１には冷却用穴２が刻設され、該穴２には冷却用パイプ
３が挿入されている。冷却用パイプ３の一端３ｘは入子
１に固定されたホルダ７に固定され、他端３ｙは冷却用
穴２の底部付近に延びて開口している。ホルダ７には冷
却用パイプの一端３ｘに接続される往路用配管８と、冷
却用穴２の開口部と連通する復路用配管９とが接続され
ている。往路用配管８から供給された冷却液は、冷却用
パイプ３内を往路２ａとして通り、他端３ｙから吐出し
て反転し冷却用パイプ３と冷却用穴２との間で画成され
た環状の復路通路２ｂを通過して復路用配管９から排出
される。このような冷却液の流れによって入子１の局部
的な冷却がなされる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記特開昭５７−１７
７８７０号公報記載の発明では過熱状態となる部分に直
接ミストを噴射して冷却する方法であるので一時的な冷
却能力は高いが、過冷状態になり易いため初期溶湯が湯
回り不良や湯境等の鋳造欠陥を生じ易い。また入子やコ
アーピンに関しては、それらが溶湯で鋳包まれて溶湯温
度による熱伝導にて順次温度上昇すると、冷却能力が低
下しカジリや鋳巣が発生し易い。更に鋳造サイクル毎に
高温になった部分に直接ミストを噴射して冷却するた
め、金型が急冷されるので熱疲労による金型の割れいわ
ゆるヒートチェックが発生し易く入子やコアーピンの寿
命が短くなる。加えて粉体離型剤を用いた場合には、離
型剤の飛散を防止するため外部より直接ミスト噴射を実
行できなくなるという欠点がある。

【０００６】また図９に示される従来の冷却方法による
と、冷却用穴２の底部付近は往路における冷却液による
冷却がなされ冷却用パイプ３は入子とは離間しているの
で該底部付近では充分な冷却が可能である。しかし復路
２ｂ側では、入子（又はコアピン）１の温度上昇により
ミストが蒸発し易くその蒸気圧が高くなりその箇所にミ
ストが行き渡らなくなっていわゆるエアーギャップが発
生する。するとその箇所での冷却能力が低下し入子又は
コアピン１の特にＡ又はＢの部分の冷却が不十分とな
る。

【０００７】更に冷却液として水を用いた場合には、エ
アーギャップが発生した場合にそのの部分への水の還流
が不十分となるので、水垢が附着し金型温度上昇により
炭酸カルシウム等が生成蓄積されて、Ａ又はＢの部分に
対する冷却能力が更に低下する。また蓄積された炭酸カ
ルシウムが硬化すればそれを取除くことは困難である。

【０００８】そこで本発明は上記従来の欠点に鑑み、入
子やコアピン等の金型局部を冷却する際にこれらの温度
に応じて所望の箇所を選択的に冷却することが可能であ
るとともに、エアーギャップの発生や水垢の付着がなく
冷却効果が高く製品の焼付やカジリを防止でき金型寿命
を延ばすことが可能な金型局部冷却装置を提供すること
を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は金型部材の所望箇所に形成された冷却用穴に
冷却用パイプを挿入し該冷却用パイプに冷却剤を供給し
て金型を冷却する金型局部冷却装置において、該冷却用
パイプは有底筒状をなしその軸方向に沿って複数のノズ
ル孔が配列されている金型冷却装置を提供している。

【００１０】好ましい態様として、本発明は冷却用パイ
プの外周面に各々の該ノズル孔を挟んで複数のフィンが
該パイプ半径方向外方突出し互いに該冷却用パイプの軸
方向に離間して設けられている金型局部冷却装置を提供
している。

【００１１】更に好ましい態様として、本発明は該冷却
用パイプの外周面が冷却用穴６の内周面に当接状態にて
挿入されており、該冷却用パイプの外周面には各々の該
ノズル孔に対応して該ノズルに連通する複数の環状溝
と、隣接する該環状溝を互いに連通するための連通溝が
形成されている金型局部冷却装置を提供している。

【００１２】

【作用】上記構成を有する本発明の金型局部冷却装置で
は、金型部材の冷却を必要とする所望箇所に形成された
冷却用穴に冷却用パイプが挿入されて、該冷却用パイプ
内に冷却剤が供給されると、該冷却剤は複数のノズル孔
から噴出する。よって、冷却用穴全体に均等に冷却剤が
分散する。又該フィンを設ければ、冷却箇所の区画化が
なされ噴射方向が安定するので、結果として冷却用穴は
軸方向に均一に冷却される。加えて、冷却用穴と冷却用
パイプとを密着させ、環状溝を形成している場合にも、
同様な効果が得られると共に、連通溝の形成により冷却
液が確実に循環される。

【００１３】

【実施例】本発明の第１実施例による金型局部冷却装置
について図１、図２に基づき説明する。図１、図２にお
いて、入子１の所望箇所を冷却するために入子１内に冷
却用穴２が形成され、冷却用穴２の開口部にはホルダ７
が固定されている。冷却用穴２内には略同軸的に有底筒
状の冷却用パイプ３が設けられ、その開口端は該ホルダ
７に形成された往路配管８に接続されている。また冷却
用穴２の開口部はホルダ７に接続された復路用配管９と
接続されている。冷却用パイプ３の内周側は水、エア
ー、ガス、油及びその他の冷媒等の冷却剤の往路２ａと
なり、該パイプ３と冷却用穴２との間の環状空間が復路
２ｂとなる。

【００１４】冷却用パイプ３には複数のノズル孔３ａが
略同一直線上にかつ該パイプ３の軸方向に沿って穿設配
置されている。ここでノズル孔３ａは入子１のうち最も
冷却を必要とする部分に指向して配列されている。例え
ば図２によれば、湯口ゲートＧを通過して溶湯が充填さ
れ鋳造品Ｐが鋳造されるとき入子１の湯口ゲートＧ側が
特に高温になる（図２のオーバーヒート部Ｈ参照）。よ
って、複数のノズル孔３ａは該オーバーヒート部分Ｈに
対して冷却剤を噴射するよう指向している。

【００１５】以上構成により、加圧された冷却剤が往路
配管８より往路２ａに注入されると、複数のノズル孔３
ａより加圧冷却剤が噴射される。ノズル孔３ａは冷却用
パイプ３の軸方向に並んで配列しているので、冷却用穴
２の長手方向全てに均等に冷却剤が噴射されることとな
り、所望冷却箇所全てが冷却可能となる。噴射された冷
却剤は、冷却用穴２の内周側面及び背面を通り適度の冷
却を行ないながら復路２ｂから復路配管９に排出され
る。

【００１６】本発明の第２実施例による金型局部冷却装
置について図３、図４に基づき説明する。ここで第１実
施例と同一の部材には同一の番号を付し説明を省略す
る。ホルダ７に連結された有底筒状の冷却用パイプ３Ａ
には複数のフィン３ｂが軸方向に所定間隔にて並んで設
けられている。そして隣接するフィン３ｂ、３ｂの間に
上記複数のノズル孔３ａが穿設されている。よって加圧
された冷却剤を往路配管８より往路２ａに注入させると
複数のノズル孔３ａより加圧冷却剤が噴射される。噴射
された冷却剤は複数のフイン３ｂに案内されて冷却用穴
２の内周側面を通り背面より適度の冷却を行いながら復
路２ｂより復路配管９にて排出される。第１の実施例の
冷却装置に更にフィン３ｂが追加されているので、冷却
剤の噴射方向が安定化し、所望箇所の冷却効率が高めら
れる。

【００１７】本発明の第３実施例による金型局部冷却装
置について図５、図６に基づき説明する。入子１の必要
とする部分に形成された冷却用穴２には、ホルダ７に連
結された有底円筒状の冷却用パイプ３Ｂの外周面は該冷
却用穴２の内周面に当接配置される。冷却用パイプ３Ｂ
の外周面には環状溝５が該パイプ５Ｂの軸方向に間隔を
隔てて複数形成されている。そして、それぞれの環状溝
５の軸方向中央位置に上記ノズル孔３ｂが形成されてい
る。各々のノズル孔３ａはオーバーヒート部Ｈの方向に
指向している。更に冷却用パイプ３Ｂの外周面３ｃには
隣接する環状溝５間を接続するための連通溝４が冷却用
パイプの軸方向に形成されている。

【００１８】加圧された冷却剤を往路配管８より往路２
ａに注入させると複数のノズル孔３ａより加圧冷却剤が
噴射される。噴射された冷却剤は環状溝５を通り、対抗
する入子部分を冷却し、更に連通溝４を通過し復路２ｂ
より復路配管９にて排出される。ここで連通溝４はノズ
ル孔３ａの位置とは冷却用パイプ３Ｂの直径方向反対側
に形成されている。従ってノズル孔３ａより吐出した冷
却液は必ず該環状溝５全体を通過してから連通溝４に至
るので冷却用穴２の周方向についても充分な冷却が可能
となる。

【００１９】以上の実施例において部材１を入子として
説明したが、コアピンや局部的な冷却を必要とするその
他の金型部材でもよい。また上記実施例においてはノズ
ル孔３ａはオーバーヒート部分Ｈを特に冷却するために
湯口ゲートＧ側に向かって形成されているが、図７に示
すように鋳造品肉厚部Ｗにオーバーヒート部Ｈが生じる
ので、この箇所に向かってノズル孔３ａを形成しても良
い。更に図８に示すように、製品肉厚部Ｗに面するコア
ピン１の肉厚ｓを薄肉とし、冷却効果を高めるようにし
てもよい。以上本発明は上記実施例に何等限定されるこ
と無く、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲
内で種々の変更、改良が可能である。

【００２０】

【発明の効果】以上詳述した本発明の金型局部冷却装置
によれば、必要とする金型局部箇所の冷却が確実に行わ
れる。確実な冷却が可能なためにエアーギャップが生じ
ず水垢の付着が少ないために冷却効率を更に高めること
が可能である。そして冷却効果が充分であるため金型の
温度上昇を防ぎ製品の焼付、カジリを防止することが出
来る。また金型の温度上昇を抑制できるため金型の寿命
を延ばすことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例による金型局部冷却装置を
示す概略断面図。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った断面図。

【図３】本発明の第２実施例による金型局部冷却装置を
示す概略断面図

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ線に沿った断面図。

【図５】本発明の第３実施例による金型局部冷却装置を
示す概略断面図。

【図６】図６のＶＩＩ−ＶＩＩ線に沿った断面図。

【図７】図２、図４、図６と同様な断面において厚肉部
を有する鋳造品に本発明（例えば図１の実施例）を適用
した断面図。

【図８】図２、図４、図６と同様な断面において、厚肉
部を有する鋳造品の鋳造に際して入子の肉厚を変化させ
て本発明を適用した断面図。

【図９】従来の金型局部冷却装置を示す概略断面図。

【符号の説明】

１ 入子又はコアピン ２ 冷却用穴 ３、３Ａ、３Ｂ 冷却用パイプ ３ａ ノズル孔 ３ｂ フィン ４ 連通溝 ５ 環状溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型部材の所望箇所に形成された冷却用
   穴に冷却用パイプを挿入し該冷却用パイプに冷却剤を供
   給して金型を冷却する金型局部冷却装置において、 該冷却用パイプは有底筒状をなしその軸方向に沿って複
   数のノズル孔が配列されていることを特徴とする金型冷
   却装置。
2. 【請求項２】 冷却用パイプの外周面には各々の該ノズ
   ル孔を挟んで複数のフィンが該パイプ半径方向外方突出
   し互いに該冷却用パイプの軸方向に離間して設けられて
   いることを特徴とする請求項１記載の金型局部冷却装
   置。
3. 【請求項３】 該冷却用パイプの外周面が冷却用穴の内
   周面に当接状態にて挿入されており、 該冷却用パイプの外周面には各々の該ノズル孔に対応し
   て該ノズルに連通する複数の環状溝と、隣接する該環状
   溝を互いに連通するための連通溝が形成されていること
   を特徴とする請求項１記載の金型局部冷却装置。