JPH0631234B2 - 新規生理活性物質ナグスタチン及びその製造法 - Google Patents

新規生理活性物質ナグスタチン及びその製造法

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JPH0631234B2
JPH0631234B2 JP63119257A JP11925788A JPH0631234B2 JP H0631234 B2 JPH0631234 B2 JP H0631234B2 JP 63119257 A JP63119257 A JP 63119257A JP 11925788 A JP11925788 A JP 11925788A JP H0631234 B2 JPH0631234 B2 JP H0631234B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は抗N−アセチルグルコサミニダーゼ活性を有す
る新規生理活性物質ナグスタチン及びその製造法に関す
るものである。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
これまで微生物培養液中より多くの生理活性物質が発見
されてきている。なかでも細胞膜に存在する酵素や細胞
膜上に結合している糖鎖を切断する酵素の阻害物質は免
疫調節作用を有する可能性があることが認められてい
る。また、癌、老化等の状態に免疫増強剤の投与が有効
であることは周知の事実であり、強力かつ有効な免疫増
強剤を提供することは常に要望されている。
本発明者らはこれらの点に着目し、細胞膜上に結合して
いる糖鎖をN−アセチルグルコサミンの位置で切断する
酵素、N−アセチルグルコサミニダーゼの阻害物質とし
て作用する新規生理活性物質を提供することによつてこ
れを解決しようとするものである。
〔問題点を解決するための手段及び作用〕
本発明者らは上述の要望に応えるべくN−アセチルグル
コサミニダーゼに対する阻害活性を有する物質の探索を
続けていたところ、ストレプトミセス(Streptomyces)
属に属するある菌株の培養物中にN−アセチルグルコサ
ミニダーゼに対する強い阻害作用を有する物質が生産さ
れていることを見出し、有効物質ナグスタチンを単離し
てその理化学的性状及び生物学的特性を確定することに
より本発明を完成した。
したがつて第一の本発明は、下記の式を有する新規生理
活性物質ナグスタチンを提供するものである。
さらに第二の本発明は、ストレプトミセス属に属するナ
グスタチン生産菌を培養し、その培養物からナグスタチ
ンを採取することを特徴とする生理活性物質ナグスタチ
ンの製造法を提供するものである。
本発明に使用されるナグスタチン生産菌の一例として
は、本発明者らにより微生物化学研究所構内の土壌より
新たに分離されたMG 846−fF3株がある。MG 846−fF3
株の菌学的性状はつぎのとおりである。
1.形態 MG 846−fF3株は、顕微鏡下で分枝した基中菌糸よりか
ぎ状あるいはらせん状の気菌糸を形成し、輪生糸はみと
められない。成熟した胞子鎖は20〜50個あるいはそ
れ以上の胞子の連鎖をみとめ、胞子の大きさは0.5〜0.6
×0.7〜0.8ミクロン程度で、胞子の表面は平滑である。
2.各種培地における生育状態 色の記載について〔 〕内に示す標準は、コンテイナー
・コーポレーシヨン・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニイ・マニユアル(Contaier Corporation of America
のColor harmony manual)を用いた。
(1)シユクロース・硝酸塩寒天培地(27℃培養)無色の
発育上に、明るい灰〔3fe,Silver Gray〕〜明るいオリ
ーブ灰〔 Olive〕の気菌糸をうっすらと着生し、溶解性色素はみ
とめられない。
(2)グルコース・アスパラギン寒天培地(27℃培養) 発育は貧弱で、無色〜うす黄〔1ea,Canary Yellow〕を
呈し、白〜明るい灰〔15ba,Blue Yint〕の気菌糸をわず
かに着生する。溶解性色素はみとめられない。
(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5,
27℃培養) うす黄〜うす茶〔 Antique Gold〕の発育上に、黄味灰〔2gc,Bamboo〕〜明
るい茶灰〔3fe,Silver Gray〕の気菌糸を着生し、溶解
性色素はわずかに茶色味をおびる程度である。
(4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4,27℃培
養) うす黄の発育上に白〜明るい灰〔2fe,Covert Gray〕の
気菌糸を着生し、溶解性色素はわずかに黄色味をおびる
程度である。
(5)チロシン寒天培地(ISP−培地7,27℃培養) うすオリーブ〔 Lt,Olive 〕〜うす茶の発育上に、明るいオリーブ灰〔 Putty〕の気菌糸を着生し、溶解生色素は黄色味をおび
る程度である。
(6)栄養寒天培地(27℃培養) うす茶の発育上に白の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
生色素はみとめられない。
(7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2,27℃培養) うす黄〜暗い茶〔3po,Ebony〕の発育上に、白〜明るい
茶灰〔2ig,Slate Tan〕の気菌糸を着生し、溶解性色素
は黄色味をおびる程度である。
(8)オートミール寒天培地(ISP−培地3,27℃培養) うす黄の発育上に白〜明るい茶灰〔3ih,Beige Gray〕の
気菌糸をわずかに着生し、溶解性色素はほのかに黄色味
をおびる程度である。
(9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27゜培養) うす茶の発育上に白の気菌糸を着生し、溶解性色素はわ
ずかに茶色味をおびる程度である。
(10)スターチ寒天培地(27゜培養) 無色〜うす黄の発育上に白〜明るい茶灰〔3fe,Silver G
ray〕の気菌糸を着生し、溶解性色素はわずかに黄色味
をおびる程度である。
(11)リンゴ酸石灰寒天培地(27゜培養) 無色〜うす黄の発育上に白〜明るい茶灰〔3fe,Silver G
ray〕の気菌糸を着生し、溶解性色素はみとめられな
い。
(12)セルロース(紙片添加合成液,27℃培養) 3週間観察したが、生育をみとめなかつた。
(13)ゼラチン穿刺培養 単純ゼラチン培地(20゜培養)では、発育はうす黄、気
菌糸は着生せず、溶解性色素もみとめられない。
グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(27゜培養)で
は、発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素もみ
とめられない。
(14)脱脂牛乳(37℃培養) 発育はうす黄、気菌糸は着生せず、溶解性色素もみとめ
られない。
3.生理的性質 (1)生育温度範囲 イースト・スターチ寒天(Soluble starch(小宗化学
製)1.0%,Yeast extract(大五栄養化学製)0.2%,
糸寒天3.0%,pH7.0)を用い、20℃,24℃,27℃,30
℃,37℃,50℃の各温度で試験の結果、50℃を除いてそ
のいずれの温度でも発育した。しかし、37℃での発育は
著しく強く、24°〜30℃付近が最適温度と考えられる。
(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチン,20℃培養;
グルコース・ペプトン・ゼラチン,27℃培養) 単純ゼラチン培地では、培養後3日目頃から液化が始ま
り、14〜21日目にほとんど完了した。その作用は強
い方である。
グルコース・ペプトン・ゼラチン培地では、3週間観察
したが液化作用はみとめられなかつた。
(3)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地及
びスターチ寒天培地、いずれも27℃培養) スターチ・無機塩寒天培地,スターチ寒天培地ともに培
養後3日目頃から水解性がみられ、その作用は強い方で
ある。
(4)脱脂牛乳の凝固、ペプトン化(脱脂牛乳,37℃培
養) 培養後10日目頃より凝固が始まり、直ちに完了し、ペ
プトン化が始まる。ペプトン化は培養後18日目頃に完
了する。この作用はともに中等度〜強い方である。
(5)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・ブ
ロス,ISP−培地1;ペプトン・イースト鉄寒天,ISP−
培地6;チロシン寒天,ISP−培地7;いずれも27℃培
養) トリプトン・イースト・ブロス培地,ペプトン・イース
ト・鉄寒天培地,チロシン寒天培地のいずれにおいて
も、はつきりしたメラニン様色素を観察できなかつた。
(6)炭素源の利用(プリドハム・ゴトリーブ寒天培地,I
SP−培地9;27℃培養) D−グルコース,D−キシロース,イノシトールを利用
して発育し、L−アラビノース,D−フラクトース,シ
ユクロース,L−ラムノース,ラフイノース,D−マン
ニトールを利用しない。
(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰寒天,27℃培
養) 培養後9日目頃から発育周辺のリンゴ酸石灰を溶解し、
その作用は中等度〜強い方である。
(8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリ含有ペプトン水,
ISP−培地8;27℃培養) 陰性である。
以上の性状を要約すると、MG 846−fF3株は、胞子のう
を持たず、気菌糸はかぎ状あるいはらせん状で輪生枝は
認められない。胞子の表面は平滑である。種々の培地で
無色〜うす茶あるいはうすオリーブの発育上に、白〜明
るいオリーブ灰あるいは明るい茶灰の気菌糸を着生し、
溶解性色素はみとめられないか、わずかに黄色味をおび
るものがある。メラニン様色素は陰性、蛋白分解力は中
等度〜強い方、スターチの水解性は強い方である。
なお、全菌体中に含まれる2,6−ジアミノピメリン酸
はLL−型であつた。これらの性状より、MG 846−fF3
株はストレプトミセス(Streptomyces)属に属する放線
菌と考えられる。さらに、MG 846−fF3株に近縁の既知
菌種を検索すると、つぎの種があげられる。すなわち、
ストレプトミセス・アマクサエンシス(Streptomyces a
makusaensis,文献1) “International Journal of Systematic Bacteriolog
y”18巻,290頁,1968;文献2) Nagatsu etal,Studies on a new antibiotic,tuberin,I
V Taxonomic studies on the tuberin producing organ
isms,Streptomyces amakusaensis,"Joural of Antibiot
ics"SeriesA16巻,207−210頁,1963)である。この種
のISP菌株(当研究所保存)とMG 846−fF3株とを比較
試験し、その成績の大要をつぎに示す。
表から明らかなように、MG 846−fF3株とストレプトミ
セス・アマクサエンシスとは極めて近い性状を示してい
る。
アマクサエンシスの文献上の記載とは異なるが、実際に
比較してみて、両者が同じ結果を示したのが、ISP−培
地6でのメラニン様色素形成、単純ゼラチンの液化であ
る。比較試験で異なるのは、D−キシロースとイノシト
ールの利用であるが、文献の記載を照合して考慮すると
大きな相異点とは考えにくい。
これらのことから、MG 846−fF3株をストレプトミセス
・アマクサエンシス(Streptomyces amakusaensins)近
縁の種と同定した。
なお、MG 846−fF3株を工業技術院微生物工業技術研究
所に寄託申請し、昭和60年2月15日微工研菌寄第80
95号として受託された。
MG 846−fF3株は他の放線菌の場合に見られるようにそ
の性状が変化しやすい。MG 846−fF3株又はこの株に由
来する突然変異体、形質接合体又は遺伝子組換え体であ
つても、ナグスタチンを生産するものはすべて本発明に
使用できる。
本発明の方法では、前期の菌を通常の微生物が利用し得
る栄養物を含有する培地で培養する。栄養源としてはグ
ルコース、水あめ、デキストリン、シユクロース、でん
粉、糖みつ、動植物油等を使用できる。また窒素減とし
ては大豆粉、小麦はい芽、コーンステイープリカー、綿
実かす、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモ
ニウム、硝酸ソーダ、尿素等を使用できる。その他必要
に応じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシ
ウム、コバルト、塩素、燐酸、硫酸及びその他のイオン
を生成することができる無機塩類を添加することは有効
である。また菌の発育を助け、ナグスタチンの生産を促
進するような有機および無機物を適当に添加することが
できる。
培養法としては好気的条件での培養法、特に深部培養法
が最も適している。培養に適当な温度は15−40℃で
あるが、多くの場合26〜30℃附近で培養する。ナグ
スタチンの生産は培地や培養条件によつて異なるが、振
とう培養、タンク培養とも通常2〜10日の間でその蓄
積が最高に達する。培養液中のナグスタチンの蓄積量が
最高になつた時に培養を停止し、培養液から目的物質を
単離、精製する。
かく生産されるナグスタチンは後述する理化学的性状を
有するので、その性状に従つて溶媒物から抽出、精製す
ることが可能であるが、特に以下の方法により効率的に
抽出、精製することができる。
すなわち、有効成分を含む培養物から固形物を別した
液に活性炭もしくは合成吸着剤を加え、メタノール等
の水と自由に混和する溶媒を加えて攪拌し、有効成分を
抽出する。抽出液の溶媒を留去して得た油状物質を少量
の水に溶解し、イオン交換樹脂、セルロースパウダー、
ゲル過剤等の担体を使用したクロマトグラフイーを適
宜組み合わせてナグスタチンを単離する。ナグスタチンの理化学的性状 形状:無色の粉末 元素分析:炭素48.58%、水素5.80%、窒素13.96%、
酸素31.99% 分子量:299 分子式:C12H7N3O6 融点:190−195℃ 紫外部吸収:225nmに吸収極大 赤外部吸収スペクトル:第1図に示す。
核磁気共鳴スペクトル:重水中のプロトンNMR スペクトルを第1表に、13C−NMRスペクトルを第
2表に示す。
ナグスタチンは各種スペクトルを検討した結果、前記の
式の構造を有することが決定された。この構造に一致す
る既知物質は報告されていないのでナグスタチンは新規
生理活性物質であると決定した。
ナグスタチンの生物学的性質 ナグスタチンのN−アセチル−β−D−グルコサミニダ
ーゼに対する阻害活性の測定は“Method in Enzymolog
y”,28,772-776(1952)記載のTarentinoらの方法に従
い、β−ニトロフエニル−N−アルチル−β−D−グル
コサミナイドから遊離されるP−ニトロフエノールの40
0nmにおける吸光度を測定して阻害物質を定量した。す
なわち、反応液の組成は0.1Mクエン酸緩衝駅(pH4.5)
0.5ml、0.025Mp−ニトロフエニル−N−アセチル−β
−D−グルコサミナイド0.05ml、蒸留水0.44mlであつ
て、0.01mlの酵素液の添加により反応を開始させ、37
℃において30分の反応の後、1m1の0.4Mグリシン−
苛性ソーダ緩衝液(pH10.5)を添加することにより反
応を停止させ、室温に10分間放置後、400nmにおける
吸光度(a)を測定した。
同時にナグスタチンを含まない緩衝液のみを用いた盲検
の吸光度(b)を測定し、N−アルチル−β−D−グルコ
サミニダーゼ阻害率を〔(b-a)/b〕×100の算式により
計算した。この定量方法でナグスタチンは0.0012μg/
m1の濃度でN−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ
を50%阻害(IC50)した。また、正常マウスにおける細
胞性免疫に及ぼす効果を、羊赤血球(SRBCと略称)を抗
原としてマウス足蹠に接種して得られる遅延型過敏症
(DD.T.Hと略)を指標(参考文献“J.Exp.Med.”139,1
529〜1539,1974)として検討した。
すなわち、SRBC 108個を0.05mlの生理食塩水に浮遊させ
た懸濁液をCDF1(雌性8週令)マウスの足蹠皮下に接種
し、これと同時に、ナグスタチン50mg/kg,5mg/k
g,0.5mg/kg又は0.05mg/kgを含有する水溶液を1回腹
腔内投与した。投与4日後、他の一方の足蹠に、SRBC10
8個を0.05mlの生理食塩に浮遊させた懸濁液を皮下投与
して二次感作させた。その24時間後、その足蹠にみら
れる腫脹度(足蹠の厚さの増加)をキヤリパスで測定し
た。供試化合物を投与しないでSRBC及び生理食塩水の皮
下注射を受けた対照動物の足蹠肥厚度を100%と評価
し、これと処理した供試動物の足蹠肥厚度を比較するこ
とにより供試化合物の細胞性免疫増強効果を判定した。
試験結果を第3表に示す。
さらに、担癌マウスにおける細胞性免疫に及ぼすナグス
タチンの影響についてつぎのとおり検討した。
すなわち、腹水性ザルコーマ180腫瘍の担癌マウスにお
ける塩化ピクリルを抗原としたD.T.H反応による細胞性
免疫に及ぼすナグスタチンの効果を下記の試験法で検討
した。
腹水性ザルコーマ180腫瘍の細胞の104個をCDF1(雌性1
2週令)マウス(6匹/群)の腹腔内に移植(0日)
し、1日後に25mm×15mmに剃毛した腹部に6%塩化
ピクリルエタノール液を20mm×20mm×2mmのカツト
脱脂綿に0.6ml含ませて感作する。8日後に両耳をダイ
アル式厚さ計で測定し、その値を前値(a)とする。その
後10mm×4mm×1mmのカツト脱脂綿に1%塩化ピクリ
ルオリーブ液を含ませて両耳を感作し、9日後にその両
耳の腫脹度をダイヤル式厚さ計で測定し、この測定値
(b)から前値(a)を差し引いてこの耳厚増加度(b−a)
を算定して、これを対照群(c)とする。他方、生理食塩
水にとかしたナグスタチンを50mg/kg,5mg/kg,0.
5mg/kg又は0.05mg/kgの量で、ザルコーマ180接種の1
日後から8日後までに連日6回/日腹腔内投与しかつ対
照群と同様に塩化ピクリルで感作をして耳厚増加度
(b′−a′)を測定して、これを処理群(T)とする。
対照に対する耳厚増加率(T/C×100)を算出し、細
胞免疫賦活性の程度とした。試験結果を第4表に示す。
以上の結果より、ナグスタチンは正常動物の細胞性免疫
能を増強しかつ担癌により低下した細胞性免疫を賦活す
る物質であることが認められ、その効力は免疫増強剤と
して知られているベスタチンに匹敵するものである。
〔実施例〕
つぎに本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
に限定されるものではない。
実施例1 ストレプトミセス・アマクサエンシスに近縁の種MG 846
-fF3株(微工研菌寄第8095号)の1白金耳ずつを2本
の500m1の回転培養用フラスコ中のS培地110m1に
植菌し、27℃において2日間培養し、種培養液とし
た。S培地の組成はガラクトース2%、デキストリン2
%、パクトソイトン(米国DIFCO社)1%、コーン・ス
テイープ・リカー(味の素社)0.5%、硫酸アンモニウ
ム0.2%、炭酸カルシウム0.2%、消泡剤1滴(pH7.4)
である。種培養液1m1ずつを同じくS培地110m1ずつ
を分注した500m1の回転培養用フラスコ136本(培
地15分)に植菌し、27℃において4日間、毎分1
80回転の回転振盪培養を行つた。培養液を過するこ
とにより14.5の培養液を得た(IC50=0.02μ/
m1)。
培養液14.5に活性炭粉末(和光純薬工業)29
0gを添加し、室温で時々攪拌しながら30分間放置
し、過を行つた。5の脱イオン水で活性炭を洗浄
後、活性炭を容器にあけ、5のメタノールを添加し、
2規定塩酸を持ち手pHを2.0としたのち、過によりメ
タノール液を得た。さらに4のメタノールで洗浄
し、合わせて9のメタノール溶出液を得た。メタノー
ル液を減圧下に濃縮乾固することにより139gの阻害
活性を有する物質を粗物質として得た(IC50=0.2μg
/m1)。
この粗物質138gを脱イオン水1.5に溶解して、ダ
ウエツクス(米国ダウケミカル社)50−100メツシ
ユ(H型)のカラム(6×35cm)にかけ、2の脱
イオン水で洗浄液、0.5Mピリジン−酢酸緩衝液(pH4.7
5)を用いて阻害活性を示す物質の溶出を行つた。1フ
ラクシヨン15gで分画溶出すると、フラクシヨン16
1番から350番にかけて阻害活性のピークが見られた
もので、この分画を合わせて減圧下に濃縮乾固し、37.
8gの粗物質を得た(IC50=0.12μg/m1)。
これを1.89の0.02Mピリジン−酢酸緩衝液(pH3.1
0)に溶解し、酢酸でpHを3.10に修正した後、あらか
じめ0.02Mピリジン−酢酸緩衝液(pH3.10)にて平衡
化しておいたダウエツクス50のカラム(3×43cm)
にかけ、活性物質を吸着させ、0.02Mピリジン−酢酸
緩衝液(pH3.10)1と0.5Mピリジン−酢酸緩衝液
(pH4.72)1とを用いて直線的濃度勾配溶出方によ
り活性物質を溶出した。1フラクシヨン15gで分画す
ることによりフラクシヨン43番から65番にかけて阻
害活性を示すピークが得られたので、この分画を減圧下
に濃縮乾固し、4.06gの粗物質を得た(IC50=0.014μ
g/m1)。
ついでアビセル(フナコシ薬品)のカラム(3×43c
m)にかけ、酢酸n−ブチル−ブタノール−酢酸−水
(3:4:1:1)の混合溶媒にて溶出し、1フラクシ
ヨン15gで分画するとフラクシヨン151番より39
6番にかけて阻害物質のピークが得られたのでこの分画
を減圧下に濃縮乾固することにより480m1の粉末を得
た(IC50=0.0018μg/m1)。
この粉末を1.5mlのメタノールに溶解し、セフアデツク
スLH−20(フアルマシア社)のカラム(1.6×150cm
にかけメタノール−水(8:2)で溶出し、1フラクシ
ヨン5gで分画するとフラクシヨン33番から35番に
かけて活性物質が溶出されたので、この分画を減圧下に
濃縮乾固することにより、ナグスタチンの白色粉末20
7mgを得た(IC50=0.0012μg/m1)。
実施例2 実施例1に述べた菌株、培地を用い、600容のタン
クで培養を行つた。培養液を過助剤を用いて過し、
液300を得た。この液を強酸性イオン交換樹脂
SK−104S(H型)(三菱化成工業製)45を充填し
たカラムに通し、活性成分を吸着させた。カラムを水洗
液、1規定のアンモニア水で溶離して活性画分58を
得た。これを濃縮後、ダイヤイオンHP−20(三菱化成工
業製)15のカラムにかけ、水で溶離した。活性画分
43をダウエツクス50W×2(H型)(ダウケミカ
ル社製)5に吸着させた。水洗後、0.04規定塩酸で
溶離した活性画分20を濃縮乾固し、アビセル(フナ
コシ薬品)1100mlを充填したカラムにかけた。酢酸ブチ
ル−ブタノール−酢酸−水(3:4:1:1)で、次い
で同様の混合溶媒系(1:4:1:1)で展開した。活
性画分を濃縮乾固して粗粉末26gを得た。これをつい
でトヨパールHW−40(東ソー製)2.4にかけ、メタノ
ールで展開した。活性画分を濃縮乾固して粗粉末14g
(IC50=0.004μg/m1)を得た。最後にCM−セフアデ
ツクスC−25(フアルマシア社製)370m1のカラム
にかけ、水で展開し、活性画分を濃縮することによりナ
グスタチンの白色粉末5.4gを得た。
〔発明の効果〕
第3表及び第4表の試験結果から明らかなとおり、新規
生理活性物質ナグスタチンは免疫増強作用を示し、制癌
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図はナグスタチンの赤外吸収スペクトル図(KBr
錠)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (72)発明者 魚谷 和道 神奈川県鎌倉市笛田483―7

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式: で表わされる抗N−アセチルグルコサミニダーゼ活性を
    有する新規生理活性物質ナグスタチン。
  2. 【請求項2】ストレプトミセス属に属するナグスタチン
    生産菌を培養し、その培養物から生理活性物質ナグスタ
    チンを採取することを特徴とする生理活性物質ナグスタ
    チンの製造法。
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