JPH06309025A - 数値制御指令データ前処理方法および装置 - Google Patents

数値制御指令データ前処理方法および装置

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JPH06309025A
JPH06309025A JP9430593A JP9430593A JPH06309025A JP H06309025 A JPH06309025 A JP H06309025A JP 9430593 A JP9430593 A JP 9430593A JP 9430593 A JP9430593 A JP 9430593A JP H06309025 A JPH06309025 A JP H06309025A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 工作機械の慣性力やNC装置のデータ処理時
間に起因する加工不良等が生じないようにNCプログラ
ムを最適化できる数値制御指令データ前処理方法および
装置を提供すること。 【構成】 CADシステム10で自動生成されたNCプロ
グラム12を前処理装置13で最適化してNCプログラム14
としてNC装置15に送る。この際、繋ぎ込み手段30で微
小ブロックを検出し、記憶手段40に書き込む処理で前後
のブロックに繋ぎ込んでこれを除去し、NC装置15の処
理停滞を回避。また、速度制限手段50でブロック長に応
じて第一ないし第四の計算部51〜54により適切な速度を
計算し、オーバーラン等を回避。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は数値制御指令データ前処
理方法および装置に関し、工作機械等を動作制御するた
めの数値制御指令データ作成編集時ないし数値制御装置
による実行時に利用できる。
【0002】
【背景技術】従来より、工作機械等の動作制御には数値
制御装置(NC装置)が多用されている。NC装置によ
る制御では、所望の動作指令を所定形式の数値制御指令
データで記述したNCプログラムにまとめておくこと
で、このNCプログラムを読み込んだNC装置が工作機
械に所望の動作を行わせるように制御することになる。
近年では、CAD(コンピュータ支援設計)が普及し、
CADシステムにおいて設計段階で生成されたCADデ
ータからNCプログラムの自動作成までを行えるように
なっており、従来のNCプログラム作成作業に対して大
幅な効率向上が実現されている。
【0003】CADシステムによるNCプログラムの自
動作成では、図12のように、CADシステムはCADデ
ータで規定される元の軌跡Loから許容誤差εの幅以上離
れないように順次指令ブロック (BR11〜BR13等) を割り
当ててゆく。この際、曲面などの部分には数ミリメート
ル以下の短い指令ブロック等がなるべく滑らかに連続す
る折れ線状に割り当てられ、隣接する各ブロックは各々
のなす角度(偏向角度)が小さく、かつ比較的均一にな
るように設定される。これに対し、平面などの直線的な
部分には比較的長い指令ブロックが割り当てられ、稜線
の角を明瞭な角を形成する場合には長いブロックが急角
度で連続するように割り当てられる。
【0004】なお、CADシステムで自動生成されたN
Cプログラムの指令ブロックは、元の軌跡が直線的であ
っても、そこに割り当てられる指令ブロックは誤差範囲
内での折れ線近似であり、かつ数値計算時に丸め誤差が
生じるため、生成された各指令ブロックの偏向角度には
増減変動(ゆらぎ)が生じることがある。ただし、通常
は、各指令ブロックが誤差範囲内に収められるため、加
工結果にまで影響を及ぼすことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の工作
機械は複雑多様な加工を極めて高精度に行えるようにな
っているが、NCプログラムの指令ブロックの設定や速
度設定等によっては加工結果が必ずしも記述された通り
にならないという問題がある。例えば、工作機械は工具
を含む移動部分に所定の慣性質量を有するため、急な加
減速がある場合、あるいは移動方向が急角度で変化する
場合や、比較的緩やかな屈曲でも移動が高速である場合
には、慣性力の影響により指令した移動軌跡から逸脱し
たりオーバーランして良好な加工結果が得られない。し
かし、移動速度は加工効率に影響するためなるべく高速
化することが望ましく、工作機械の移動速度を低くする
等の単純な対応は困難である。
【0006】また、NC装置ではNCプログラムの各指
令ブロックのそれぞれにデータ処理時間が必要であるた
め、直前の指令ブロックが短くて短時間で実行された場
合には、次の指令が間に合わず工作機械の動作が停止す
ることがある。そして、工作機械の動作が途中で停止す
ると、ワークに工具の食い込み等が生じて本来の連続加
工時のような良好な加工結果が得られない。
【0007】特に、CADシステムによるNCプログラ
ムの自動作成では、例えば図13のように、円弧Lrに直線
Lsが連続する軌跡を対象とする場合、円弧Lrの始端から
折れ線状に比較的短い指令ブロックBR21〜BR23が順次割
り当てられてゆき、円弧Lrの終端部分には微小な区画が
残ることがある。しかし、続く直線Lsには長い指令ブロ
ックBR25が割り当てられるため、先の微小な区画にも一
つの指令ブロックBR24が割り当てられる。このような微
小ブロックBR24等が前述したNC装置のデータ処理時間
に起因する加工不良の原因となっている。
【0008】本発明の目的は、工作機械の慣性力やNC
装置のデータ処理時間に起因する加工不良等が生じない
ようにNCプログラムを最適化できる数値制御指令デー
タ前処理方法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】本発明の請求
項1〜4は、移動軌跡の折れ曲がり角度や曲率等が急な
部分を判別し、各指令ブロックの指令点の通過速度を制
限することで、加工時の移動速度を当該折れ曲がり部分
が低速で直線的な部分が高速となるように最適化し、こ
れにより前述した加工効率の低下を回避しながら移動軌
跡の外れやオーバーラン等による加工不良を防止できる
ようにするものである。
【0010】請求項1の方法は、数値制御指令データに
含まれる指令ブロックを順次解析し、長いブロックが連
続する部分の任意のブロックに対し、直前のブロックの
指令点から前記任意のブロックの指令点に到る第一の直
線と前記任意のブロックの指令点から直後のブロックの
指令点に到る第二の直線との交差角度を計算し、前記交
差角度に応じて前記任意のブロックの指令点を通過する
速度を制限することを特徴とする。
【0011】すなわち、長いブロックが連続する部分で
は、前のブロックからの直線移動が次のブロックの指令
点において相互の偏向角度だけ瞬時に方向変換され、こ
の際に瞬間的に大きな力を受ける。移動部分の質量m 、
移動速度v 、偏向角度θとすると、次のブロックの指令
点で方向変換の際には進行方向にmv(1-cosθ) 、直交方
向にmv(sinθ) の力積を受ける。これらを合成した力積
は2mv(sin(θ/2))となる。前述したオーバーラン等を防
止するためには、この力積2mv(sin(θ/2))が一定の許容
限度内に収まるように速度v を制限すればよい。
【0012】この制限は、具体的には速度v をsin(θ/
2) に反比例させるか、cosec(θ/2)=1/sin(θ/2) に比
例させることで行われる。この際、sin(θ/2) やcosec
(θ/2) は cosθから簡単に計算でき、 cosθは前のブ
ロックおよび次のブロックの各々の移動方向ベクトルの
スカラ積から簡単に計算できる。そして、NCプログラ
ムからは任意のブロックおよび直前と直後のブロックの
各指令点が容易に得られ、前述した前のブロックおよび
次のブロックの移動方向ベクトルは各指令点を結ぶ第一
および第二の直線として与えられるから、これらの交差
角度の余弦として偏向角度θの余弦 cosθが得られる。
従って、請求項1の方法により、簡単な計算で確実な速
度制限が行われ、長いブロックが連続する部分でのオー
バーラン等を防止できることになる。
【0013】請求項2の方法は、数値制御指令データに
含まれる指令ブロックを順次解析し、長いブロックと短
いブロックとが混在する部分の任意のブロックに対し、
直前のブロックの指令点から前記任意のブロックの指令
点に到る第一の直線と前記任意のブロックの指令点から
直後のブロックの指令点に到る第二の直線との交差角度
を計算するとともに、前記第一の直線および第二の直線
の長さに応じて速度制限識閾角度を設定し、前記交差角
度が前記速度制限識閾角度を超えた際にはその超過角度
に応じて前記任意のブロックの指令点を通過する速度を
制限することを特徴とする。
【0014】すなわち、長いブロックと短いブロックが
混在する部分では、短いブロックが比較的長ければ前述
した請求項1の偏向角度に応じた速度制限が可能であ
る。しかし、短いブロックが短くなるとともに、CAD
システムでの自動生成によるゆらぎ等の変動の影響が大
きくなり、偏向角度が大きくなって不必要に速度制限さ
れるブロックが生じ、過剰な処理負荷が生じることがあ
る。そこで、ゆらぎ変動等を考慮して速度制限識閾角度
を設定しておき、この値を超える分の交差角度に対して
速度制限を行うようにする。具体的には、CADシステ
ムで設定されている許容誤差等に基づいてゆらぎ量εを
設定し、このゆらぎ量εが偏向角度に及ぼす影響h を計
算する。例えば、所定数前の指令点から任意の指令点ま
でを第一の直線、当該任意の指令点から所定数後の指令
点までを第二の直線、各々の長さをds1 、ds2 として、
長さに応じた影響 h=ε(ds1+ds2) /(ds1・ds2) を計
算しておく。そして、請求項1と同様な第一および第二
の直線の交差角度の余弦 cosθからsin(θ/2) = ((1-c
osθ)/2)1/2 を計算し、この値が h/2以下なら速度制限
は行わず、 h/2以上なら超過分sin(θ/2)-h/2 に基づい
て計算を行い、cosec(θ/2)= 1/(sin(θ/2)-h/2)に比
例した速度制限を行う。従って、請求項2の方法によ
り、長いブロックと短いブロックが混在する部分で偏向
角度に基づく速度制限が過剰に行われることを回避する
ことができ、処理を効率よくかつ確実にオーバーラン等
を防止できることになる。
【0015】請求項3の方法は、数値制御指令データに
含まれる指令ブロックを順次解析し、短いブロックが連
続する部分の任意のブロックに対し、前記任意のブロッ
クの指令点と前記任意のブロックから所定数前のブロッ
クの指令点と前記任意のブロックから所定数後のブロッ
クの指令点との三点を通る円弧の半径を計算し、前記半
径に応じて前記任意のブロックの指令点を通過する速度
を制限することを特徴とする。
【0016】すなわち、短いブロックが連続する部分で
は、個々のブロック間の偏向角度が比較的小さく大きな
力積等は作用しない。ただし、当該部分では加工すべき
曲面等が連続した円弧軌跡の合成として与えられ、各円
弧軌跡に沿って移動する移動部分には遠心力が生じる。
この遠心力は、移動部分の質量m 、移動速度v 、円弧半
径r として f=mv2/r となる。移動部分が所期の円弧軌
跡に沿って移動するためには、この遠心力が工作機械等
で発生可能な求心力fxを超えないことが必要であり、遠
心力 f=mv2/r が一定の許容限度内に収まるように速度
v を制限すればよい。
【0017】この制限は、具体的には速度v がvx=((f
x)r/m)1/2を越えないようにすることで行われる。ここ
で、円弧の半径r の計算にあたっては、任意の指令点と
その前後所定数ブロック離れた指令点との三点を用いる
ことで、直前および直後の三点を取る場合に比べて各ブ
ロックのゆらぎ等の変動を回避し、軌跡の円弧の半径を
得ることができる。なお、前後の指令点までのブロック
数は当該部分近辺のブロック長や円弧軌跡としてのまと
まり等に応じて適宜設定する。そして、具体的な半径r
の計算にあたっては、所定数前の指令点から任意の指令
点までを第一の直線、当該任意の指令点から所定数後の
指令点までを第二の直線、所定数前の指令点から所定数
後の指令点までを第三の直線とし、第一および第二の直
線の交差角度の余弦 cosθから正弦 sinθ=(1−cos
2θ)1/2を計算し、第三の直線の長さds3 を計算すれ
ば、正弦定理から r=ds3/2sinθとして計算される。従
って、請求項3の方法により、簡単な計算で安定した結
果が得られて確実な速度制限が行われ、短いブロックが
連続する部分でのオーバーラン等を防止できることにな
る。
【0018】請求項4の方法は、数値制御指令データに
含まれる指令ブロックを順次解析し、短いブロックと長
いブロックとが混在する部分の任意のブロックに対し、
直前のブロックの指令点から前記任意のブロックの指令
点に到る第一の直線と前記任意のブロックの指令点から
直後のブロックの指令点に到る第二の直線との交差角度
を計算するとともに、前記第一の直線および第二の直線
の長さに応じて速度制限識閾角度を設定し、前記交差角
度が前記速度制限識閾角度を超えた際にはその超過角度
に応じて第一の速度制限値を計算し、前記任意のブロッ
クの指令点と、前記任意のブロックから所定数前のブロ
ックの指令点と、前記任意のブロックから所定数後のブ
ロックの指令点との三点を通る円弧の半径を計算し、前
記半径に応じて第二の速度制限値を計算し、前記第一お
よび第二の速度制限値の何れも超えないように前記任意
のブロックの指令点を通過する速度を制限することを特
徴とする。
【0019】すなわち、短いブロックと長いブロックが
混在する部分では、長いブロックが比較的短ければ前述
した請求項3の円弧半径に応じた速度制限が可能であ
る。しかし、長いブロックが長くなるとともに、相互の
偏向角度に応じた請求項1のような速度制限の必要性が
高くなり、かつ長短のブロックが混在するために請求項
2のような過剰制限の回避が必要となる。このような場
合に対応するために、前述した請求項2の手法による第
一の速度制限値と、前述した請求項3の手法による第二
の速度制限値との二つの制限値を計算し、これらの何れ
をも超えないように速度制限を行うようにする。従っ
て、請求項3の方法により、請求項1〜3のみではカバ
ーできない部分の速度制限が行われ、確実にオーバーラ
ン等を防止できることになる。
【0020】本発明の請求項5ないし請求項7は、微小
ブロックを隣接する指令ブロックに繋ぎ込んで除去する
ことで、微小ブロックによる数値制御装置の処理停滞が
解消できるようにするものである。請求項5の方法は、
数値制御指令データに含まれる指令ブロックを順次解析
し、移動量が所定値以下の微小ブロックを検出し、当該
微小ブロックの直前または直後のブロックに繋ぎ込むこ
とを特徴とする。請求項6の方法は、前記微小ブロック
の移動方向と直前および直後のブロックの移動方向との
交差角度をそれぞれ計算し、前記交差角度が小さい側の
ブロックに前記微小ブロックを繋ぎ込むことを特徴とす
る。請求項7の方法は、前記微小ブロックの繋ぎ込み
を、直前のブロックに繋ぎ込む際には当該直前のブロッ
クの終点位置の記憶領域に前記微小なブロックの終点位
置を上書きし、直後のブロックに繋ぎ込む際には前記微
小なブロックの終点位置の記憶領域に当該直前のブロッ
クの終点位置を上書きすることで行うことを特徴とす
る。
【0021】ここで、各指定ブロックの移動量は前の指
令点の座標と次の指令点の座標とから簡単に計算でき、
これを予め設定した所定値と単純比較することで微小ブ
ロックが検出される。従って、請求項5のように、検出
した微小ブロックを前後のブロックに繋ぎ込むことによ
り、微小ブロックによるNC装置の処理停滞が未然に回
避される。そして、微小ブロックの繋ぎ込みにあたって
は、請求項6のように、前後何れかの交差角度が小さい
方に繋ぎ込むことにより、繋ぎ込みによる移動軌跡の変
化を最小限に押さえられることになる。この際、交差角
度の計算にあたっては、先に請求項1の説明で述べたよ
うに交差する直線の方向成分から余弦を計算することで
計算を簡略にできる。さらに、微小ブロックの繋ぎ込み
処理の具体的手法としては、請求項7のように、指令ブ
ロックの記憶バッファ等において前のブロックの始点位
置はそのままにして終点位置に後のブロックの終点位置
データを書き込むという処理により、きわめて簡単に実
現できることになる。
【0022】本発明の請求項8は、前述した請求項1〜
7の方法に基づいて数値制御指令データの前処理を行う
ための装置である。請求項8の装置は、数値制御指令デ
ータに含まれる指令ブロックを順次読み込んで各指令ブ
ロックを移動量が所定値以下の微小ブロックを除いて記
憶してゆく繋ぎ込み手段と、前記記憶された指令ブロッ
クを解析して各ブロックの指令位置の通過速度を前後の
ブロックとの関係に応じて再設定する速度制限手段とを
含むことを特徴とする。ここで、微小ブロックの繋ぎ込
み手段の処理には前述した請求項5〜7の方法を採用す
ることができ、速度制限手段の処理には請求項1〜4の
方法を採用することができる。
【0023】このような請求項8の装置においては、N
C装置に適用される数値制御指令データに対して微小ブ
ロックの繋ぎ込みおよび速度制限を行うことでデータの
最適化が可能であり、CADシステム等で自動生成され
たNCプログラムを用いても前述した各種問題等の防止
が可能となる。また、先に微小ブロックの繋ぎ込みを行
うために、速度制限計算の際には微小ブロックが既に除
去されており、無用な計算等を省略して効率のよい数値
制御指令データの前処理が可能である。以上のように、
本発明によれば速度制限および微小ブロックの除去によ
りNCプログラムが最適化され、工作機械の慣性力やN
C装置のデータ処理時間に起因する加工不良等が生じな
いようになり、これらにより前記目的が達成される。
【0024】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1において、CADシステム10はCADデー
タ11の作成編集を行うとともに作成したCADデータ11
を数値制御指令データであるNCプログラム12に変換す
る機能を有する既存の装置である。また、NC装置15は
NCプログラム12等の与えられた数値制御指令データに
基づいて工作機械16等を制御し、所定の動作を行わせる
ものである。そして、CADシステム10とNC装置15と
の間には数値制御指令データ前処理装置13が設けられ、
CADシステム10からのNCプログラム12はこの前処理
装置13でNCプログラム14に変換され、NC装置15には
事前に最適化されたNCプログラム14が入力されるよう
になっている。ここで、数値制御指令データ前処理装置
13は本発明の請求項8に基づく装置であり、その処理に
あたっては請求項5〜7に記載された微小ブロック繋ぎ
込みを行うとともに、請求項1〜4に記載された速度制
限を行うものである。
【0025】図2に示すように、数値制御指令データ前
処理装置13は、CADシステム10からのNCプログラム
12を読み込む入力手段20と、入力手段20に読み込まれた
NCプログラム12に対して繋ぎ込み処理を行う繋ぎ込み
手段30と、繋ぎ込み手段30により書き込まれたNCプロ
グラム12の各指令ブロックを記憶する記憶手段40と、記
憶手段40内の各指令ブロックに対して速度制限処理を行
う速度制限手段50と、記憶手段40中の各指令ブロックを
順次読み出してNCプログラム14としてNC装置15に送
る出力手段60とを備えている。
【0026】入力手段20は、CADシステム10との間が
オンライン接続されている際には既存のインターフェイ
ス回路等であり、オフラインである場合にはフロッピー
ディスク等の記憶媒体を介してNCプログラム12の受渡
しが可能な既存のドライブ装置等である。記憶手段40
は、既存の半導体メモリ素子等で構成され、NCプログ
ラム12に含まれる指令ブロックを順次記憶可能である。
記憶される各指令ブロック41には各々の指令点である始
点位置42、終点位置43、指令点の通過速度44を含む所定
のデータ項目が割り当てられている。出力手段60は、N
C装置15との間がオンライン接続されている際には既存
のインターフェイス回路等であり、オフラインである場
合にはフロッピーディスク等の記憶媒体を介してNCプ
ログラム14の受渡しが可能な既存のドライブ装置等であ
る。
【0027】繋ぎ込み手段30は、入力手段20に読み込ま
れたNCプログラム12から微小ブロックを検出し、記憶
手段40への書き込み処理を調整することで検出された微
小ブロックを直前または直後のブロックに繋ぎ込むもの
である。このために、繋ぎ込み手段30は微小ブロック判
定部31と、繋ぎ込み方向判定部32と、書き込み処理部33
とを備えている。
【0028】微小ブロック判定部31は、入力手段20に入
力されたNCプログラム12の各指令ブロックを順次読み
込み(図3の処理s1) 、その移動量dsを計算し(同処理
s2)、予め設定された所定の基準値dminと比較して短け
れば微小ブロックと判定(同処理s3) する。移動量ds
は、判定する指令ブロックの始点位置から終点位置に到
るベクトルの各軸成分の二乗和開平により簡単に計算さ
れる。
【0029】例えば、指令ブロックが6軸インクリメン
ト方式である場合、任意の指令ブロックBR0 に含まれる
各軸のインクリメント値X0,Y0,Z0,A0,B0,C0 に対して、
移動量ds0 は次の数1により計算される。
【数1】ds0=(X02+Y02+Z02+A02+B02+C02)1/2
【0030】繋ぎ込み方向判定部32は、微小ブロック判
定部31で微小ブロックが検出されたら当該ブロックを前
後何れのブロックに繋ぎ込むかを判定するために、微小
ブロックの移動方向と直前および直後のブロックの移動
方向との交差角度θ12 をそれぞれ計算し(図3の処
理s4) 、各々を比較して交差角度が小さい側のブロック
に微小ブロックを繋ぎ込むように指定(同処理s5) す
る。交差角度θ12 の大小判定は、余弦 cosθの形で
計算することで容易に行える。
【0031】例えば、微小と判定された指令ブロックBR
0 のインクリメント値を X0,Y0,Z0,A0,B0,C0、直前の指
令ブロックBR1 のインクリメント値を X1,Y1,Z1,A1,B1,
C1、直後の指令ブロックBR2 のインクリメント値を X2,
Y2,Z2,A2,B2,C2とすると、前記数1および同様の計算で
各ブロックの長さds0,ds1,ds2 が計算され、これらに基
づいて余弦 cosθ1 ,cosθ2 は次の数2により計算され
る。
【数2】 cosθ1 =(X0*X1+Y0*Y1+Z0*Z1+A0*A1+B0*B1+C0*C1)/ds0*ds1 cosθ2 =(X0*X2+Y0*Y2+Z0*Z2+A0*A2+B0*B2+C0*C2)/ds0*ds2
【0032】このように計算された cosθ1 ,cosθ2
比較すれば、その大きいほうが交差角度θ12 の小さ
いものと判定できる。θ1 <θ2 ならば、微小ブロック
BR0 は直前のブロックBR1 に繋ぎ込むように指定される
(図4参照)。θ2 <θ1 ならば、微小ブロックBR0 は
直後のブロックBR2 に繋ぎ込むように指定される(図5
参照)。
【0033】書き込み処理部33は、通常は微小ブロック
判定部31で微小ブロックでないと判定された各指令ブロ
ックを記憶手段40に順次記憶してゆく(図3の処理s6)
。一方、微小ブロックと判定された際には繋ぎ込み方
向判定部32で指定された前後何れかの別に応じて記憶手
段40への書き込みを調整する(同処理s7,s8)。例えば、
微小ブロックが検出されない場合、記憶手段40には前の
指令ブロックBR3 の始点位置PS3 、終点位置PE3 、通過
速度V3等が書き込まれ、続いて次の指令ブロックBR1 の
始点位置PS1 、終点位置PE1 、通過速度V1等が書き込ま
れてゆく(図6参照)。
【0034】ここで、次の指令ブロックBR0 が微小と判
定され、繋ぎ込みの指定が直前のブロックBR1 とされた
場合、記憶手段40には先に書き込まれた指令ブロックBR
1 の終点位置PE1 に微小なブロックBR0 の終点位置PE0
が上書きされる(図3の処理s7、図7参照)。これによ
り、指令ブロックBR1 は始点位置PS1 で終点位置PE0 と
なり、微小なブロックBR0 は直前のブロックBR1 に繋ぎ
込まれ、新たな指令ブロックBR1'が生成される(図4参
照)。
【0035】一方、次の指令ブロックBR0 が微小と判定
され、繋ぎ込みの指定が直後のブロックBR2 とされた場
合、記憶手段40には先ず微小ブロックBR0 の始点位置PS
0 、終点位置PE0 、通過速度V0等が書き込まれ、続いて
微小ブロックBR0 の終点位置PE0 に指令ブロックBR2 の
終点位置PE2 が上書きされる。必要に応じて通過速度V2
等の他のデータも上書きしてもよい(図3の処理s8、図
8参照)。これにより、指令ブロックBR2 は始点位置PS
0 で終点位置PE2 となり、微小なブロックBR0 は直後の
ブロックBR2 に繋ぎ込まれ、新たな指令ブロックBR2'が
生成される(図5参照)。
【0036】このような繋ぎ込み手段30で書き込まれた
記憶手段40内の各指令ブロックに対して、速度制限手段
50による速度制限処理が行われる。速度制限手段50は、
記憶手段40内に保持された各指令ブロックを順次解析
し、前後のブロックとの関係に基づいて各ブロックの指
令点通過速度を制限するものであり、指令ブロックの長
短の混在状態に応じて別個の速度制限処理を行う。この
ために、速度制限手段50はブロックの混在状態に対応し
た第一ないし第四の計算部51〜54と、ブロックの混在状
態に応じて各計算部51〜54を起動するブロック長判定部
55と、各計算部51〜54で計算された各速度制限値を記憶
手段40の各指令ブロックに設定する再編成処理部56とを
備えている。
【0037】ブロック長判定部55は、繋ぎ込み手段30に
より記憶手段40に書き込まれた各指令ブロックに対し、
各々の移動量dsn を前述した数1等により計算してゆく
とともに、任意のブロックBR0 を選択し、このブロック
BR0 の移動量ds0 および前後のブロックBR1,BR2 の移動
量ds1,ds2 が予め設定された所定の基準値dnに対して全
て長ければ第一計算部51を起動し、全て短ければ第三計
算部53を起動し、長いものと短いものとが混在している
場合には第二または第四の計算部52, 54を起動する。こ
こで、第二または第四の計算部52, 54の選択には、ds0,
ds1,ds2 のうち短いものが一つ(長いブロックに短いブ
ロックが混在している状態)なら第二計算部52、短いも
のが二つ(短いブロックに長いブロックが混在している
状態)なら第四計算部54を起動するようにしてもよく、
あるいは別の基準値dn' を設定しておき、ds0,ds1,ds2
の最短のものが基準値dn' より長い場合には第二計算部
52、短い場合には第四計算部54を起動するようにしても
よい。
【0038】第一計算部51は、選択された任意のブロッ
クBR0 に対し、直前のブロックBR1の指令点PS1 から当
該ブロックBR0 の指令点PS0 に到る第一の直線L1と当該
ブロックBR0 の指令点PS0 から直後のブロックBR2 の指
令点PS2 に到る第二の直線L2との交差角度θを計算し、
この交差角度θに基づいて当該ブロックBR0 の指令点PS
0 を通過する速度V0を制限する(図9参照)。
【0039】ここで、指令点PS1 から指令点PS0 に到る
第一の直線L1はブロックBR1 と一致し、指令点PS0 から
指令点PS2 に到る第二の直線L2はブロックBR0 と一致す
るので、第一および第二の直線L1,L2 の交差角度θはブ
ロックBR1,BR0 の交差角度から計算する。また、計算の
簡略化のために、交差角度θそのものではなくその余弦
cosθを計算する。
【0040】例えば、微小と判定された指令ブロックBR
0 のインクリメント値を X0,Y0,Z0,A0,B0,C0、直前の指
令ブロックBR1 のインクリメント値を X1,Y1,Z1,A1,B1,
C1、とすると、次の数3により交差角度θの余弦 cosθ
が計算される。
【数3】 cosθ=(X0*X1+Y0*Y1+Z0*Z1+A0*A1+B0*B1+C0*C1)/ds0*ds1
【0041】この余弦 cosθに基づいて、次の数4によ
り余割 cosecθ/2が計算される。
【数4】cosec(θ/2) =((1-cos θ)/2)-1/2 この余割cosec(θ/2) に基づいて、次の数5により速度
V0が設定される。
【数5】V0=K1・ cosecθ/2 なお、比例定数K1は要求される加工精度や工作機械の性
能および環境条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0042】第二計算部52は、選択された任意のブロッ
クBR0 に対し、直前のブロックBR1の指令点PS1 から当
該ブロックBR0 の指令点PS0 に到る第一の直線L1と当該
ブロックBR0 の指令点PS0 から直後のブロックBR2 の指
令点PS2 に到る第二の直線L2との交差角度θを計算し、
第一の直線L1および第二の直線L2の長さdl1,dl2 に応じ
て速度制限識閾角度h を設定し、交差角度θが速度制限
識閾角度h を超えた際にはその超過角度Δθに応じてブ
ロックBR0 の指令点PS0 を通過する速度V0を制限する
(図10参照)。
【0043】ここで、指令点PS1 から指令点PS0 に到る
第一の直線L1はブロックBR1 と一致し、指令点PS0 から
指令点PS2 に到る第二の直線L2はブロックBR0 と一致す
るので、第一第二の直線L1,L2 の交差角度θはブロック
BR1,BR0 の交差角度から計算し、各直線L1,L2 の長さは
ブロックBR1,BR0 の移動量ds1,ds0 を利用する。また、
計算の簡略化のために、交差角度θは余弦 cosθおよび
正弦 sinθ/2で計算し、速度制限識閾角度h も対応する
次元で取り扱う。
【0044】例えば、微小と判定された指令ブロックBR
0 のインクリメント値を X0,Y0,Z0,A0,B0,C0、直前の指
令ブロックBR1 のインクリメント値を X1,Y1,Z1,A1,B1,
C1、とすると、各ブロックBR1,BR0 の移動量ds1,ds0 は
前述した数1によって計算される(ブロック長判定部55
での計算結果を受け取ればよい) 。この移動量ds1,ds0
と予め設定された許容誤差幅εと基づいて、次の数6に
より速度制限識閾角度h が計算される。
【数6】h =ke・ε(ds1+ds0)/(ds1*ds0) ここで、keは速度制限識閾を調整するための定数であ
り、 0〜1 の範囲内で例えば0.5 等に設定される。
【0045】一方、前述の数3で計算される各ブロック
BR1,BR0 の交差角度θの余弦 cosθに基づいて、次の数
7により正弦 sinθ/2が計算される。
【数7】sinθ/2=(( 1-cosθ)/2)1/2 この正弦 sinθ/2および速度制限識閾角度h に基づい
て、次の数8により超過角度Δθが計算される。
【数8】Δθ=(sinθ/2−h)
【0046】この超過角度Δθが負の場合(sinθ/2がh
を超えない場合) には速度制限は行わないが、正の場合
(超える場合) には次の数9により超過角度Δθに比例
して速度V0を設定する。
【数9】V0=K2・Δθ なお、比例定数K2は要求される加工精度や工作機械の性
能および環境条件等に応じて適宜設定すればよい。
【0047】第三計算部53は、選択された任意のブロッ
クBR0 の指令点PS0 と、所定数前のブロックBR3 の指令
点PS3 と、所定数後のブロックBR4 の指令点PS4 との三
点を通る円弧の半径r を計算し、この半径r に応じてブ
ロックBR0 の指令点PS0 を通過する速度V0を制限する
(図11参照)。所定数前および後の指令点PS3,PS4 とし
ては、近辺の指令ブロックの長さに応じて適当な数を選
んでもよく、あるいは各指令点PS3,PS4 と指令点PS0 と
の距離が所定長さ(例えばブロック長判定部55で用いる
長短の判別用の基準値dn)となるように選択する等の手
段が採用できる。
【0048】円弧の半径r の計算は次のような手順で行
う。先ず、指令点PS3 から指令点PS0 に到る第一の直線
L1と、指令点PS1 から指令点PS4 に到る第二の直線L2
と、指令点PS3 から指令点PS4 に到る第三の直線L3とを
設定し、各々の長さdl1,dl2,dl3 を計算する。この計算
には前述した数1が利用できる。次に、第一の直線L1と
第二の直線L2との交差角度θの余弦 cosθを計算する。
この計算には前述した数3が利用できる。この余弦 cos
θから次の数10により正弦 sinθを計算する。
【数10】sinθ= (1-cos2θ)1/2
【0049】この正弦 sinθから次の数11により曲率半
径r を計算する。
【数11】r = ds3 /(2・sin θ) この半径r に基づいて、次の数12により速度V0を制限す
る。
【数12】vx =((fx)r/m)1/2 ここで、fxは工作機械等のサーボ系が発生できる最大求
心力に応じて予め設定しておく定数であり、m は工作機
械等の移動部分の質量に応じて予め設定しておく定数で
ある。
【0050】第四計算部54は、選択された任意のブロッ
クBR0 の指令点PS0 に対し、前述した第二計算部52によ
る速度制限値の計算を行って第一の速度制限値V01 を設
定するとともに、前述した第三計算部53による速度制限
値の計算を行って第二の速度制限値V02 を設定し、これ
ら第一および第二の速度制限値V01,V02 の何れも超えな
いようにブロックBR0 の指令点PS0 を通過する速度V0を
制限する。第一および第二の速度制限値V01,V02 の計算
は、先に第二および第三の計算部52,53 で説明した通り
なので簡略化のためここでは省略する。二つの速度制限
値V01,V02 を何れも超えないように速度V0を設定するこ
とも、各々の比較から小さいほうの制限値を選択する等
の適宜な手段で実現できるため、ここでは説明を省略す
る。
【0051】再編成処理部56は、第一ないし第四の計算
部51〜54で計算された速度制限値V0を受け取り、該当す
る指令ブロックBR0 の速度として記憶手段40に書き込
む。この書き込みにより、記憶手段40に保持されている
各指令ブロックの速度が前後の指令ブロックとの関係に
応じた適切な値に調整され、NCプログラム14となるべ
き数値制御指令データが最適化される。
【0052】このような本実施例によれば、CADシス
テム10で自動生成されたNCプログラム12に対し、前処
理装置13で微小ブロックの繋ぎ込み処理および各ブロッ
クの速度制限処理を行うことで、NC装置15に送られる
NCプログラム14を最適化することができる。特に、繋
ぎ込み処理により、NCプログラム14は微小ブロックを
含まないものとなるため、微小ブロックに起因するNC
装置15の処理停滞ないし工作機械16の停止による加工不
良等の不都合を防止することができる。
【0053】また、速度制限処理により、NCプログラ
ム14中の各指令ブロックの指令点通過速度が適切に制限
されるため、NCプログラム14に基づいてNC装置15で
制御される工作機械16は移動速度が適切に制御され、過
大速度による本来の軌跡からの逸脱やオーバーラン等を
防止することができる。さらに、前述の繋ぎ込みおよび
速度制限という前処理により、微小ブロックの問題やオ
ーバーラン等の問題が解決できるため、CADシステム
10によるNCプログラム12の自動生成をより広範かつ積
極的に導入できるようになり、NCプログラムの作成作
業効率を向上することができる。
【0054】そして、前記実施例の前処理装置13では、
先に繋ぎ込み手段30で微小ブロックの繋ぎ込みを行い、
次いで速度制限手段50で速度制限を行うようにしたた
め、速度制限計算の際には微小ブロックが既に除去され
ており、無用な計算等を省略することができ、効率のよ
い数値制御指令データの前処理が可能である。また、繋
ぎ込み手段30では、微小ブロックを前後のブロックへの
繋ぎ込みを、記憶手段40への書き込みの調整により行う
ようにしたため、繋ぎ込み処理および微小ブロックの除
去に伴う指令ブロック列の再編成を簡単かつ効率よく行
うことができる。さらに、繋ぎ込み手段30では、微小ブ
ロックの繋ぎ込むブロックを、交差角度に応じて前後何
れか決めるようにしたため、繋ぎ込みに伴う移動軌跡の
変化等を最小限に抑えることができる。
【0055】また、速度制限手段50では、指令ブロック
の長短に応じて第一から第四の計算部51〜54を選択して
速度制限計算を行うようにしたため、指令ブロックの形
態等に応じて適切な速度を確実に計算することができ
る。特に、第一の計算部51では、各指令ブロックの交差
角度から制限速度を計算するため、長いブロックが連続
する部分の速度制限を簡単かつ確実に行うことができ
る。そして、第二の計算部52では、交差角度による速度
制限にあたってブロック長さに応じた識閾角度を計算
し、この識閾角度を超過した分の角度に応じて速度制限
を行うため、長いブロックが連続するが一部がやや短く
ゆらぎ誤差の影響を受けやすい場合であっても必要以上
の速度制限が行われることを防止でき、効率低下を防止
しかつ確実な速度制限を行うことができる。
【0056】さらに、第三の計算部53では、前後に所定
数離れた三つの指令点を通る円弧の曲率半径から制限速
度を計算するとしたため、軌跡の形状を全体的に捉える
ことができ、短いブロックが連続する部分の速度制限を
確実かつ効率的に行うことができる。また、第四の計算
部54では、第二の計算部52および第三の計算部53の双方
の計算結果を併用するため、短いブロックと長いブロッ
クが混在している場合でも確実に速度制限を行うことが
できる。さらに、速度制限手段50の各計算部51〜54およ
び繋ぎ込み手段30においては、角度の計算を各指令ブロ
ックの成分から余弦の形で計算する等、計算を簡略化で
きるようにしたため、各々の処理時間を短縮することが
できる。
【0057】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、本発明は以下に示すような変形等をも含む
ものである。例えば、前記実施例では前処理装置13をC
ADシステム10とNC装置15との間に介在させ、NCプ
ログラム12,14 の転送時等に前処理を行うものとした
が、前処理装置13をCADシステム10に内蔵させ、NC
プログラム12の作成時に同時に前処理を行ってもよく、
あるいは前処理装置13をNC装置15に内蔵させ、実行の
際に前処理を行ってもよい。
【0058】また、繋ぎ込み手段30は、前後のブロック
との交差角度等の関係から前後何れかを選択して繋ぎ込
むものに限らず、常に前方または常に後方と定めておい
てもよい。さらに、繋ぎ込み手段30は、記憶手段40への
書き込みの調整により微小ブロックの繋ぎ込みを行うと
したが、指令ブロックを読み込んだバッファ上で繋ぎ込
み再編集処理を行い、改めて記憶手段40に書き出すよう
にしてもよく、具体的な手法等は所期の繋ぎ込み結果が
得られるように適宜選択すればよい。
【0059】そして、速度制限手段50は、ブロック長判
定部51による判定結果に基づいて各計算部51〜54の計算
を行うものに限らず、例えば各計算部51〜54が先ずブロ
ック長の判定を行うように構成しておき、選択したブロ
ックに対して順次各計算部51〜54を適用し対応する何れ
かの計算部が制限速度を計算するような構成等であって
もよい。また、速度制限手段50には異なる方法の制限速
度計算を行う他の計算部を備えていてもよく、あるいは
対象となるNCプログラム12に必要がなければ(つまり
該当するような指令ブロックの形態が含まれなければ)
各計算部51〜54の何れかが省略されたものであってもよ
い。
【0060】さらに、速度計算手段50では、各計算部51
〜54で計算された制限速度を再編成処理部56により記憶
手段40へ書き込んだが、各計算部が直接書き込みを行う
ようにしてもよい。また、再編成処理部56においては、
各計算部51〜54で計算された制限速度に対し、前後の指
令ブロックの速度との関係を考慮して再度制限を加えて
もよく、あるいは各計算部51〜54で計算された制限速度
に応じて前後の指令ブロックの速度に対して別途制限を
加えるようにしてもよい。
【0061】一方、前記実施例の前処理装置13は、マイ
クロプロセッサによるコンピュータシステムで所定のソ
フトウェアプログラムを実行することで実現できるとと
もに、専用のハードウェアにより構成することもでき、
前処理装置13としての機能が得られるものであればよ
く、具体的な機器構成等は実施にあたって適宜選択すれ
ばよい。また、本発明の数値制御指令データの前処理方
法は前述した前処理装置13において前処理として実行さ
れるものに限らず、例えば繋ぎ込み処理または速度制限
処理の一部をCADシステム10やNC装置15に内蔵させ
てNCプログラム自動生成時や工作機械16の動作制御時
に機能させてもよい。
【0062】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
実行前のNCプログラムに対して微小ブロックの除去や
各ブロックの速度制限等の最適化を行うようにしたた
め、工作機械の慣性力によるオーバーラン等やNC装置
のデータ処理時間に起因する加工不良等を防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図。
【図2】前記実施例の要部を示すブロック図。
【図3】前記実施例の繋ぎ込み処理を示すフローチャー
ト。
【図4】前記実施例の前側への繋ぎ込みを示す模式図。
【図5】前記実施例の後側への繋ぎ込みを示す模式図。
【図6】前記実施例の通常の書き込み処理を示す模式
図。
【図7】前記実施例の前側への繋ぎ込みの際の書き込み
処理を示す模式図。
【図8】前記実施例の後側への繋ぎ込みの際の書き込み
処理を示す模式図。
【図9】前記実施例の第一計算部による速度制限を示す
模式図。
【図10】前記実施例の第二計算部による速度制限を示す
模式図。
【図11】前記実施例の第三計算部による速度制限を示す
模式図。
【図12】既存のNCプログラム自動作成を示す模式図。
【図13】既存のNCプログラム自動作成時の微小ブロッ
ク発生を示す模式図。
【符号の説明】
10 CADシステム 11 CADデータ 12 元のNCプログラム 13 前処理装置 14 前処理済みNCプログラム 15 NC装置 16 工作機械 20 入力手段 30 繋ぎ込み手段 31 微小ブロック判定部 32 繋ぎ込み方向判定部 33 書き込み制御部 40 記憶手段 41 指令ブロック 50 速度制限手段 51〜54 第一ないし第四の計算部 55 ブロック長判定部 56 再編成処理部 60 出力手段 BR0 〜BR4 指令ブロック BR1', BR2' 繋ぎ込みで生成された指令ブロック PS0 〜PS4 始点位置 (指令点) PE0 〜PE4 終点位置 ds0 〜ds4 指令ブロックの移動量 (長さ) θ, θ12 交差角度 L1, L2 第一および第二の直線 V0 指令点通過速度 r 円弧の半径

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数値制御指令データに含まれる指令ブロ
    ックを順次解析し、長いブロックが連続する部分の任意
    のブロックに対し、直前のブロックの指令点から前記任
    意のブロックの指令点に到る第一の直線と前記任意のブ
    ロックの指令点から直後のブロックの指令点に到る第二
    の直線との交差角度を計算し、前記交差角度に応じて前
    記任意のブロックの指令点を通過する速度を制限するこ
    とを特徴とする数値制御指令データ前処理方法。
  2. 【請求項2】 数値制御指令データに含まれる指令ブロ
    ックを順次解析し、長いブロックと短いブロックとが混
    在する部分の任意のブロックに対し、 直前のブロックの指令点から前記任意のブロックの指令
    点に到る第一の直線と前記任意のブロックの指令点から
    直後のブロックの指令点に到る第二の直線との交差角度
    を計算するとともに、前記第一の直線および第二の直線
    の長さに応じて速度制限識閾角度を設定し、前記交差角
    度が前記速度制限識閾角度を超えた際にはその超過角度
    に応じて前記任意のブロックの指令点を通過する速度を
    制限することを特徴とする数値制御指令データ前処理方
    法。
  3. 【請求項3】 数値制御指令データに含まれる指令ブロ
    ックを順次解析し、短いブロックが連続する部分の任意
    のブロックに対し、前記任意のブロックの指令点と前記
    任意のブロックから所定数前のブロックの指令点と前記
    任意のブロックから所定数後のブロックの指令点との三
    点を通る円弧の半径を計算し、前記半径に応じて前記任
    意のブロックの指令点を通過する速度を制限することを
    特徴とする数値制御指令データ前処理方法。
  4. 【請求項4】 数値制御指令データに含まれる指令ブロ
    ックを順次解析し、短いブロックと長いブロックとが混
    在する部分の任意のブロックに対し、 直前のブロックの指令点から前記任意のブロックの指令
    点に到る第一の直線と前記任意のブロックの指令点から
    直後のブロックの指令点に到る第二の直線との交差角度
    を計算するとともに、前記第一の直線および第二の直線
    の長さに応じて速度制限識閾角度を設定し、前記交差角
    度が前記速度制限識閾角度を超えた際にはその超過角度
    に応じて第一の速度制限値を計算し、 前記任意のブロックの指令点と、前記任意のブロックか
    ら所定数前のブロックの指令点と、前記任意のブロック
    から所定数後のブロックの指令点との三点を通る円弧の
    半径を計算し、前記半径に応じて第二の速度制限値を計
    算し、 前記第一および第二の速度制限値の何れも超えないよう
    に前記任意のブロックの指令点を通過する速度を制限す
    ることを特徴とする数値制御指令データ前処理方法。
  5. 【請求項5】 数値制御指令データに含まれる指令ブロ
    ックを順次解析し、移動量が所定値以下の微小ブロック
    を検出し、当該微小ブロックの直前または直後のブロッ
    クに繋ぎ込むことを特徴とする数値制御指令データ前処
    理方法。
  6. 【請求項6】 前記請求項5に記載した数値制御指令デ
    ータ前処理方法において、前記微小ブロックの移動方向
    と直前および直後のブロックの移動方向との交差角度を
    それぞれ計算し、前記交差角度が小さい側のブロックに
    前記微小ブロックを繋ぎ込むことを特徴とする数値制御
    指令データ前処理方法。
  7. 【請求項7】 前記請求項5または請求項6に記載した
    数値制御指令データ前処理方法において、前記微小ブロ
    ックの繋ぎ込みは、直前のブロックに繋ぎ込む際には当
    該直前のブロックの終点位置の記憶領域に前記微小なブ
    ロックの終点位置を上書きし、直後のブロックに繋ぎ込
    む際には前記微小なブロックの終点位置の記憶領域に当
    該直前のブロックの終点位置を上書きすることで行うこ
    とを特徴とする数値制御指令データ前処理方法。
  8. 【請求項8】 数値制御指令データに含まれる指令ブロ
    ックを順次読み込んで各指令ブロックを移動量が所定値
    以下の微小ブロックを除いて記憶してゆく繋ぎ込み手段
    と、前記記憶された指令ブロックを解析して各ブロック
    の指令位置の通過速度を前後のブロックとの関係に応じ
    て再設定する速度制限手段とを含むことを特徴とする数
    値制御指令データ前処理装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003067345A1 (fr) * 2002-02-07 2003-08-14 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Procede et systeme de commande numerique
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