JPH063066U - 水槽用濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は水槽水を常に清浄な状態に保ち、メ
ンテナンスが簡単で搬送可能な水槽用濾過装置に関す
る。 【構成】 本考案では、水槽(1) にそれぞれの一端を連
絡した吸水パイプ(2) と注水パイプ(3) の他端同士を連
通連設して循環路(5) を形成すると共に、同循環路(5)
の中途に循環ポンプ(P) と濾過装置(R) とを介設してな
る水槽用濾過装置において、水槽水の処理フローを、前
処理用密フィルター(7a)による濾過処理と、活性炭(8c)
による物理的吸着濾過処理と、イオン交換樹脂(8d)およ
びゼオライト(8e)による化学的吸着濾過処理と、限外濾
過処理との組合せにより構成したことに特徴を有する水
槽用濾過装置を提供するものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は水槽水を常に清浄な状態に保つことができる水槽用濾過装置に関する 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、大型の魚用水槽、たとえば鑑賞用水槽等においては、魚の糞等で汚濁す る水槽水を、活性炭等を用いた濾過装置によって浄化を行っていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来の濾過装置では、小さな粒子からなる不純物を水槽水から除去 することが出来ず、不純物が水槽水中に浮遊して水槽水を濁らせたり、あるいは 底部に沈澱したりするため、インテリア性のため、１か月に１回位の割合で水槽 水を抜いて水槽を空の状態にした後、数人がかりで水槽内を清掃し、水を充填し て再使用していた。しかし、かかる清掃作業は、多数の作業者を必要とし、かつ 作業は重労働であるという問題点があった。

【０００４】 本考案は、上記の問題点を解決する水槽用濾過装置を提供することを目的とす るものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、水槽にそれぞれの一端を連絡した吸水パイプと注水パイプの他端同 士を連通連設して循環路を形成すると共に、同循環路の中途に循環パイプと濾過 装置とを介設してなる水槽用濾過装置において、水槽水の処理フローを、前処理 用密フィルターによる濾過処理と、活性炭による物理的吸着濾過処理と、イオン 交換樹脂およびゼオライトによる化学的吸着濾過処理と、限外濾過処理との組合 せにより構成したことを特徴とする水槽用濾過装置に係るものである。

【０００６】 本考案は、また、以下の構成にも特徴を有する。

【０００７】 (1) 濾過装置は、上端に注水口を、下端に送水口を設けた縦型の中空ケースと、 同中空ケースの上部から下部にかけて、前処理用密フィルターを収納した前処理 室と、イオン交換樹脂シートに活性炭層を形成した吸着シートを渦巻き状に巻い たものにゼオライトを充填し、渦巻き状の外側方向から中心部に向かって濾過を 行うようにした物理的化学的吸着室と、中空糸膜を利用した限外濾過室とを上下 不同に連設して構成した。

【０００８】 (2) 濾過装置を、水槽から分離かつ搬送可能とした。

【０００９】

【作用】

本考案の水槽用濾過装置は、先端に粗フィルターを有する吸水パイプを水槽中 に浸漬するように設置し、同吸水パイプの対角線側に、送水パイプを、同開口部 が水槽水の上方にくるように設置する。次に電源を入れてポンプを作動させると 、水槽水は、水槽から吸水パイプを通って濾過装置を通り、微細な不純物まで除 去されたのち、送水パイプを通って水槽に戻される。

【００１０】 以上のように、水槽水が、濾過装置を通り、循環路を循環することによって、 水槽中に含まれる様々な不純物が除去され、濁りのない清浄な水へと浄化されて 再使用される。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。

【００１２】 本考案の基本的構成としては、図２に示すように、１は魚用水槽を示しており 、同水槽１の上端開放部に、ビーム27を架設し、同ビーム27上に、ポンプ28およ びフィルター29により構成される従来型の循環濾過装置Ｂが取付けられている。

【００１３】 循環濾過装置Ｂにおいては、ポンプ28の先端に吸込チューブ30が接続され、同 チューブ30の先端部の吸込口31は、水槽１の底面に接するように設置され、一方 ポンプ28の他端には、フィルター29が接続され、またフィルター29の他端には、 吐出チューブ32が接続されている。

【００１４】 すなわち、水槽１の底面からポンプ28により吸引された水槽水が、フィルター 29を通過することによって、水槽水に含まれる不純物が濾過され、浄化される。

【００１５】 また、浄化された水は、吐出チューブ32から勢い良く水槽に返還されるため、気 泡を発生して水中に酸素を供給する。

【００１６】 一方、同魚用水槽１の一隅部には、吸水パイプ２が設置され、同吸水パイプ２ の下端には、粗フィルター４が設けられて水槽水中に浸漬されている。また送水 パイプ３の先端は、吸水パイプの対角線側の一隅部に設けられ、同送水パイプ３ の先端は水槽水の上方に開口して設けられている。

【００１７】 このように水槽１に吸水パイプ２と送水パイプ３のそれぞれの一端が連絡され 、他端は互いに連通連設されていることにより、水槽水を循環するための循環路 ５を形成しており、係る循環路５の中途には、循環ポンプＰと、循環ポンプＰの 下手側に濾過装置Ｒとが介設されている。

【００１８】 上記した水槽1 の基本構成において、本実施例は、以下に説明するように、濾 過装置Ｒによって、より細かい不純物を除去し、水槽水の濁りをなくしたことに 特徴を有する。

【００１９】 すなわち、濾過装置Ｒは、図３に示すように、縦型の筒状中空状のケース６中 に、上部から順に前処理室７、吸着室８、限外濾過室９を順次形成しており、各 々の位置は順不同でもよい。

【００２０】 濾過装置Ｒの構造を順次説明していくと、ケース６の上端中央には注水口10を 、下端には送水口11を設けており、それぞれ吸水パイプ２および注水パイプ３と 接続されており、前処理室７は、上下端を開放した処理筒12の上端開口部に注水 口10を一体に設けた上蓋体13を外側から取り外し自在に螺着14すると共に、処理 筒12の内部中途部分に仕切壁15を設け、同仕切壁15で区画された上部空間を前処 理室７とする。

【００２１】 上蓋体13には、下方に突出した押さえ部13a を設け、前処理室７に充填する濾 過部材が拡散しないように仕切壁15と共に挟持し、また濾過部材において均一な 濾過が行えるようにしている。

【００２２】 仕切壁15の周面には、連通口16を形成して、前処理室７と、その下方に形成さ れた空間とを連通状態にしている。また、処理筒12の下端開口部には、中蓋体17 が螺着18されており、仕切壁15と中蓋体17とによって、吸着室８が形成されてい る。

【００２３】 さらには、中蓋体17の中央部には、下連通口19が設けられて吸着室８と中蓋体 17下方の空間とを連通状態にしており、同下連通口19部分には、メッシュ19a が 設けられている。

【００２４】 また、中蓋体17の下方には、中蓋体17から下方に伸延した連結筒20が下処理筒 21を螺着22連結し、下処理筒21の下端開口部には、中央に送水口11を形成した下 蓋体23を螺着24することにより、中蓋体17と下蓋体23とで区画形成された下処理 筒21内を限外濾過室９としている。さらに、螺着14,18,22,24 部分付近に設けら れた25はパッキンである。

【００２５】 上記のように構成された濾過装置Ｒの、ケース６中には、水槽１から循環ポン プＰを通り供給される水槽水を濾過するために、各種濾過部材が収納されている 。

【００２６】 すなわち、前処理室７には、前処理用密フィルター7aとして、たとえば不織布 等が充填されており、注入口10より注入された水槽水は、まず同前処理用密フィ ルター7aによって目に見える程度の大きさの不純物を除去される。

【００２７】 次に水槽水は、仕切壁15の外周に設けられた連通口16を通って吸着室８に移動 するが、同吸着室８には吸着シート8aが渦巻き状に巻かれたものが縦方向に収納 されており、同吸着シート8aは、図４に示すように、イオン交換樹脂8dによって 形成した樹脂シートに一定空間を保持して不織布8bを張設し、その間の空間に活 性炭8cを注入して３層構造として形成されている。

【００２８】 渦巻き状の吸着シート8aは、巻いたものが広がらないように、仕切壁15および 中蓋体17にそれぞれ下方向および上方向に向かって突出して設けられた枠筒15a, 17a の枠内に収納されている。

【００２９】 また、下連通口19に設けられたメッシュ19a を底面部として、その上部の吸着 シート8aの渦巻きの中心部にはゼオライト8eが充填されている。

【００３０】 連通口16を通った水槽水は、渦巻き状の吸着シート8aの外周方向から中心部に 向かって浸透濾過されていくように構成されており、それぞれの吸着層において 、水中に含まれる不純物の特異的な吸着が行われる。

【００３１】 すなわち、活性炭8c層においては、色や臭いを除去すると共に、前処理用密フ ィルター7aでは除去出来なかった細かい不純物を物理的吸着によって活性炭8cに 吸着させ、水から除去する。

【００３２】 また、イオン交換樹脂8dによる樹脂シート8fにおいては、化学的吸着によって 苔の発生原因となる硝酸塩や毒性を有する亜硝酸塩等がイオン交換樹脂に吸着さ れて除去される。渦巻き状の吸着シート8aを通過した水は、中心部のゼオライト 8e層に浸透し、同ゼオライト8e層においては、亜硝酸の前駆物質であるアンモニ ア等の窒化化合物がゼオライト8eに化学的吸着されることによって、水中に亜硝 酸が生成するのを未然に防止する働きを有する。

【００３３】 ゼオライト8e層を通過した水は、下連通口19を通って限外濾過室９へと入り、 同限外濾過室９に充填された中空糸膜9aによって濾過されるが、同中空糸膜９ａ は、孔径が0.1 〜１ミクロンという濾過孔を有するので、より微細な不純物を除 去することによって、水の濁りを無くし、清澄にすることが可能である。

【００３４】 中空糸膜9aは、両自由端9bを下方に向けて逆Ｕ字状に多数折り返して収納され ており、同自由端9bは、下方の空間に連通された状態で底体9cに埋め込まれてお り、同底体9cは下処理筒21の下端開口部に取付けられている。よって、水は中空 糸膜9aで濾過されつつ、同中空糸膜9aを伝わって自由端9bまで浸透していき、自 由端9bから下方空間へと落下して送水口11より注水パイプ３を伝わって水槽１中 へと戻される。

【００３５】 以上のようにして、水槽１から循環ポンプＰによって汲み上げられた水槽水は 、図１に示したように、まず前処理用粗フィルター４を通って、大まかな不純物 を除いた後、濾過装置Ｒに入り、濾過装置Ｒに設定された前処理室７、吸着室８ および限界濾過室９の各室に充填された前処理用密フィルター7aによる濾過処理 、活性炭8cによる物理的吸着処理、イオン交換樹脂8dおよびゼオライト8eによる 化学的吸着処理、中空糸膜9aによる限外濾過処理によって各々の濾過部材に特異 的に不純物が除去されたのち水槽１に戻される。

【００３６】 すなわち、従来の濾過装置Ｂによる清浄効果と合わせて、上記の工程による濾 過装置Ｒによって、水槽の濁りの原因となる微細な不純物も含め、水槽水に含ま れる殆ど全ての不純物を除去することが可能である。

【００３７】 濾過装置Ｒは、繰り返し使用が可能であるが、夫々の濾過部材の表面に不純物 が蓄積したばあいは、夫々の螺着部14,18,22,24 から、上蓋体13、中蓋体17、接 続筒20および下蓋体23を簡単に取り外すことが出来るので、前処理室７、吸着室 ８および限外濾過室９から各濾過部材を取り出して洗浄したり、あるいは新しい 濾過部材と取り替えることが容易に行える。

【００３８】 特に限外濾過室９に充填された中空糸膜9aは、微細な孔を有するため目詰まり し易く、逆Ｕ字状の上表面に蓄積された不純物を除去するために、連結筒20から 下処理筒21部分を取り外し、必要により下蓋体23も取り外して、濾過時に水が浸 透していく方向と逆方向から水圧によって洗浄する逆洗を行う。

【００３９】 また、中空糸膜9aは、着脱自在として、取り扱い易くするために、図５に示す ように、中空糸膜9aおよび底体9cと、同底体9cと一体化した筒状部9fを有するカ ートリッジ9eを設け、同カートリッジ9eを下処理筒21部分に嵌め込むように形成 し、螺着22a を介して接続筒9dを設け、同接続筒9dの内側にカートリッジ9eを嵌 め込んだ後、下処理筒21を螺着22b して形成することも可能である。

【００４０】 以上のように構成される本考案の水槽用濾過装置は、水槽に固定した状態で使 用するだけでなく、水槽１から分離可能とし、図６および図７に示すように、収 納ケース26に収納した状態で持ち運び可能とし、複数の魚用の大型水槽あるいは 鑑賞用水槽等において、水槽水の清浄を行うことが出来る。図６においては、吸 水パイプ２および注水パイプ３が別系路で設けられ、図７においては、両パイプ 2,3 の系路を途中から共通にしている。

【００４１】

【考案の効果】

以上説明してきたように、本考案では、水槽に循環ポンプおよび濾過装置を設 け、水槽水を循環させながら水の清浄化を行う水槽用濾過装置において、水槽水 の処理フローを、前処理用密フィルターによる濾過処理と、活性炭による物理的 吸着濾過処理と、イオン交換樹脂およびゼオライトによる化学的吸着濾過処理と 、限外濾過処理との組合せにより構成し、各々の工程において、不織布、イオン 交換樹脂、活性炭、ゼオライトおよび中空糸膜等を濾過部材として使用したこと によって、水槽水に含まれる様々な大きさの不純物、色、におい、硝酸塩、亜硝 酸、窒化化合物等の汚濁成分を前記各濾過部材に選択的に吸着および濾過させる ことにより、水槽水を清澄な水へと再生して循環使用することが出来、水槽水を 常に透明で臭気のない清浄な状態に保つことが出来る。さらに、苔の発生による 水槽側壁の透明度の低下、水の濁り等も防止し、鑑賞用として用いたときも鑑賞 効果を維持することが出来る。

【００４２】 また、本考案の濾過装置は、簡単に各部分を取り外すことが出来、濾過部材の 取り出し、洗浄を行えるので、メンテナンスも容易である。さらに、持ち運び可 能であるので、各所の水槽、鑑賞用水槽等に搬送して濾過装置を設置するだけで 、水槽水を浄化させることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る水槽用濾過装置の処理フローを表
した図。

【図２】本考案に係る水槽用濾過装置の説明図。

【図３】本考案に係る水槽用濾過装置の断面図。

【図４】本考案に係る水槽用濾過装置の拡大断面図。

【図５】本考案に係る水槽用濾過装置の断面図。

【図６】本考案に係る水槽用濾過装置の使用説明図。

【図７】本考案に係る水槽用濾過装置の使用説明図。

【符号の説明】

Ｐ 循環ポンプ Ｒ 濾過装置 １ 水槽 ２ 吸水パイプ ３ 注水パイプ ５ 循環路 ６ 中空ケース ７ 前処理室 ７ａ 前処理用密フィルター ８ 吸着室 ８ｃ 活性炭 ８ｄ イオン交換樹脂 ８ｅ ゼオライト ８ｆ イオン交換樹脂シート ９ 限外濾過室 ９ａ 中空糸膜 10 注水口 11 送水口

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水槽(1) にそれぞれの一端を連絡した吸
   水パイプ(2) と注水パイプ(3) の他端同士を連通連設し
   て循環路(5) を形成すると共に、同循環路(5) の中途に
   循環ポンプ(P) と濾過装置(R) とを介設してなる水槽用
   濾過装置において、 水槽水の処理フローを、前処理用密フィルター(7a)によ
   る濾過処理と、活性炭(8c)による物理的吸着濾過処理
   と、イオン交換樹脂(8d)およびゼオライト(8e)による化
   学的吸着濾過処理と、限外濾過処理との組合せにより構
   成したことを特徴とする水槽用濾過装置。
2. 【請求項２】 水槽(1) にそれぞれの一端を連絡した吸
   水パイプ(2) と注水パイプ(3) の他端同士を連通連設し
   て循環路(5) を形成すると共に、同循環路(5) の中途に
   循環ポンプ(P) と濾過装置(R) とを介設してなる水槽用
   濾過装置において、 濾過装置(R) は、上端に注水口(10)を、下端に送水口(1
   1)を設けた縦型の中空ケース(6) と、同中空ケース(6)
   の上部から下部にかけて、前処理用密フィルター(7a)を
   収納した前処理室(7) と、イオン交換樹脂シート(8f)に
   活性炭(8c)層を形成した吸着シート(8a)を渦巻き状に巻
   いたものにゼオライト(8e)を充填し、渦巻き状の外側方
   向から中心部に向かって濾過を行うようにした物理的化
   学的吸着室(8) と、中空糸膜(9a)を利用した限外濾過室
   (9) とを上下不同に連設して構成したことを特徴とする
   水槽用濾過装置。
3. 【請求項３】 濾過装置(R) を水槽(1) から分離かつ搬
   送可能としたことを特徴とする水槽用濾過装置。