JPH06305833A - 高硬度ダイヤモンド焼結体およびその製法 - Google Patents

高硬度ダイヤモンド焼結体およびその製法

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JPH06305833A
JPH06305833A JP5119289A JP11928993A JPH06305833A JP H06305833 A JPH06305833 A JP H06305833A JP 5119289 A JP5119289 A JP 5119289A JP 11928993 A JP11928993 A JP 11928993A JP H06305833 A JPH06305833 A JP H06305833A
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JP
Japan
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sintered body
diamond
iron group
group metal
carbides
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JP5119289A
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Akihiko Yamamura
明彦 山村
Toshiyoshi Wakabayashi
俊嘉 若林
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高硬度ダイヤモンド焼結体及びその製法を提
供する。 【構成】ダイヤモンドを主成分とし、結合相中に鉄族金
属の1種以上及び/または鉄族金属と周期律表の4A,
5A及び6A族元素の炭化物から選ばれる1種以上との
共晶組成成分の1種以上を含有してなる焼結体であっ
て、該結合相が焼結体の外周部から中心部まで均一な組
成を有することを特徴とする。ダイヤモンド粉末を主成
分とし、鉄族金属の1種以上及び/または鉄族金属と周
期律表の4A,5A及び6A族元素から選ばれる1種以
上の炭化物との共晶組成を有する成分の1種以上を均一
に混合して焼結体原料とし、該焼結体原料をダイヤモン
ドが熱力学的に安定な高温高圧状態に保持することによ
り製造する。太線用、高硬度用に適用可能なダイス素
材、切削・耐摩部品に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高硬度ダイヤモンド焼結
体およびその製法に関し、本発明は大型の高硬度ダイヤ
モンド焼結体,あるいは微粒原料を用いた高硬度ダイヤ
モンド焼結体の製造に好適であるので、太線用もしくは
高硬線用にも適用できるダイス素材、切削、耐摩製品と
して有利に利用できる。
【0002】
【従来の技術】銅線、アルミ線、ステンレス線等の金属
線、もしくは銅パイプ、アルミパイプ、ステンレスパイ
プ等の金属パイプを伸線する場合には線引きダイスが、
または撚り線した線材を圧縮する場合には圧縮ダイスが
使用される。この種のダイス素材としては、図1に示す
ようなダイヤモンド焼結体(1) の円周外周を超硬合金
(2) で支持包囲されたダイス素材用複合焼結体があり、
例えば特開昭50−26746号公報や米国特許第3,
831,428号明細書には超硬合金(2) としてWC,
TiCとFe,Ni,Coからなる超硬合金を用いた例
が、また特開昭54−133467号公報や特開昭62
−16725号公報には(Mo,W)C−Co合金で包
囲支持されたダイヤモンド焼結体が知られている。ま
た、米国特許第4,303,442号明細書には、超硬
合金やサーメットで保持されていないダイヤモンド焼結
体単体から成る線引きダイス用素材が開示されている。
さらに実開平3−81211号公報には、図7及び図8
に示されるダイヤモンド焼結体と包囲支持超硬合金との
複合形態の異なるダイス素材用複合焼結体が記載されて
いる。またさらに、特開平2−36552号公報にはこ
れらを改良した技術が提案されているが、いずれも高圧
反応セル中において、原料となるダイヤモンド粒子の周
囲の金属炭化物環(金属カーバイト環)またはシリンダ
ーもしくは上下方向に投入した金属円盤からCoの如き
触媒金属を溶浸させる製法(以下溶浸法という)が採用
されている。このようなダイヤモンド焼結体の伸線ダイ
ス素材は、銅線、アルミ線等の柔らかい金属の伸線に広
く利用され、従来の超硬ダイスに比べて数十倍の寿命が
得られていた。更に最近では、焼結ダイヤモンドダイス
素材が、ステンレス線、高炭素鋼線等の高抗張力線の伸
線に使用され、従来の天然ダイヤモンドダイスより高い
寿命を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のダイヤ
モンド焼結体ではダイス割れやダイヤモンド粒子の脱落
が多く、トラブルの発生頻度が高いため、高硬線分野で
のダイヤモンド焼結体ダイスへの置き換えは進んでいな
いのが現状である。また、より太い線材およびパイプ材
の伸線にも焼結ダイヤモンドダイスが使われ始めている
が、上記した従来の技術では大型の伸線ダイス用ダイヤ
モンド焼結体を得ることは困難であり、従来の技術範囲
で得られた多くの伸線ダイス用ダイヤモンド焼結体で
は、太径の高抗張力線の伸線や伸線スピードの早い分野
での使用には適するものではなかった。本発明は従来技
術におけるこの種の問題点を解消し、より高硬度の伸線
ダイス用焼結体、およびより大型のダイヤモンド焼結
体、およびそれらの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はダイヤモンドを
主成分とし、結合相中に鉄族金属の1種以上及び/また
は鉄族金属と周期律表の4A,5A及び6A族元素の炭
化物から選ばれる1種以上との共晶組成成分の1種以上
を含有してなる焼結体であって、該結合相が焼結体の外
周部から中心部まで均一な組成を有することを特徴とす
る高硬度ダイヤモンド焼結体を提供する。本発明の高硬
度ダイヤモンド焼結体において、当該焼結体内の結合相
組成差が5%以下であるものを特に好ましい実施態様と
して挙げることができる。また、当該焼結体内の鉄族金
属の割合がダイヤモンドに対して1〜30体積%である
ものが特に好ましい。さらに本発明は、ダイヤモンドを
主成分とし、結合相中に鉄族金属の1種以上及び/また
は鉄族金属と周期律表の4A,5A及び6A族元素の炭
化物から選ばれる1種以上との共晶組成成分の1種以上
を含有してなり、且つ該結合相が焼結体の外周部から中
心部まで均一な組成を有する焼結体の一部または全部
を、上記結合相中の鉄族金属の1種以上と周期律表の4
A,5A及び6A族元素の炭化物から選ばれる1種以上
との共晶組成の1種以上を有する超硬合金で保持してな
るか、該超硬合金との複合体である高硬度ダイヤモンド
焼結体を提供する。このような本発明による高硬度ダイ
ヤモンド焼結体は伸線ダイス用、あるいは切削,耐摩製
品用の高硬度ダイヤモンド焼結体として非常に優れた性
能を有する。本発明はまた、上記高硬度ダイヤモンド焼
結体の製法に関するものであり、ダイヤモンド粉末を主
成分とし、鉄族金属の1種以上及び/または鉄族金属と
周期律表の4A,5A及び6A族元素の炭化物から選ば
れる1種以上との共晶組成成分の1種以上を均一に混合
して焼結体原料とし、該焼結体原料をダイヤモンドが熱
力学的に安定な高温高圧状態に保持することを特徴とす
る。上記焼結体原料としては、ダイヤモンド粉末、鉄族
金属の1種以上と周期律表の4A,5A及び6A族元素
の炭化物から選ばれる1種以上との共晶粉末、及び/ま
たは該鉄族金属の酸化物粉末を含有するものを特に好ま
しい実施態様として挙げることができる。上記焼結体原
料のうちの、鉄族金属の1種以上並びに該鉄族金属と周
期律表の4A,5A及び6A族元素の炭化物との共晶組
成の1種以上を原料ダイヤモンド粉末より微粒にして当
該ダイヤモンド粉末に混入することが特に好ましい。さ
らには、鉄族金属の酸化物の1種以上を原料として混入
した後、得られた焼結体原料を還元処理することにより
当該鉄族金属を焼結体原料中に均一に分散させることが
特に好ましい。
【0005】
【作用】本発明者等は、従来の技術に従い作成した伸線
ダイス用ダイヤモンド焼結体の不具合点を詳細に調査し
た結果、従来の技術ではダイヤモンド焼結体の原料粒子
径が小さくなるに従って、また製造するダイヤモンド焼
結体径が大型になるに従って、ダイヤモンドの結合相中
の組成分布に差が生じるという知見を得た。両者に共通
していることは、いずれも外周ならびに上下方向から金
属成分が中心部まで溶浸し難いということが挙げられ
る。即ち、大型焼結体では溶浸距離が長く、微粒原料を
用いた焼結体では溶浸通路となる粒子間隔が狭いため
に、工業的に有為な時間内に均一な組成分布にならない
ということである。これらのことから溶浸法では中心部
まで溶媒金属などが到達しずらいことにより、組成分布
に差が生じているものと考えられる。また微粒原料で
は、原料粒子同士が凝集し易いことも、組成分布の差の
原因と考えられる。組成分布が均一で、微粒を原料とす
るダイヤモンド焼結体もしくは大型のダイヤモンド焼結
体を得るためには、原料となるダイヤモンド粉末中に鉄
族金属酸化物及び/または鉄族金属と4A,5A,6A
元素の炭化物との共晶組成を有する物質を焼結体原料と
して予めダイヤモンド粉末中に混入せしめる方法が有力
であることを発見し、本発明に到達した。
【0006】本発明において、ダイヤモンドに混入せし
める金属は、従来よりダイヤモンドの焼結に有効である
ことが知られているCo,Fe,Ni等の鉄族金属、こ
れらの合金が有効である。ところで、本発明では0.1
μm〜100μmのダイヤモンド粉末を原料として用い
ることができるが、原料のダイヤモンド粉末が0.1〜
10μmの微粒ダイヤモンド粉末の場合には、鉄族金属
もしくはこれら鉄族金属の合金(両者をまとめて「鉄族
金属等」という)をダイヤモンド微粒粉末中に均一に分
散することは難しく、図5の焼結体組織の図面代用写真
(400倍、金属顕微鏡写真)に示すように、該鉄族金
属成分及び/または該鉄族金属炭化物の凝集体である金
属プールが焼結体中に形成される場合がある。このよう
な金属プール形成は高硬度焼結体素材の性能劣化の原因
となり得る。この金属プールが形成される原因として
は、該鉄族金属等が展性に富み、混合中に凝集が起こる
ことが考えられる。これを防ぐためには、より高硬度の
金属成分を混入せしめることが重要であるとわかった。
また、これらの混入させる高硬度金属成分は原料ダイヤ
モンド粉末より微粒にして混入することが好ましい。
【0007】従って本発明では、主成分であるダイヤモ
ンド粉末に混入せしめる金属成分が、アトライター、ポ
ールミル、シェーカーミきサー、ライカイ機等による粉
砕過程で、該原料ダイヤモンド粉末よりも微粒に粉砕さ
れることが可能な程度に硬質であることが好ましい。こ
の条件を満たすものとして(1)鉄族金属等を酸化物状
態で混合した後還元処理する、(2)鉄族金属と4A,
5A,6A族元素の炭化物との共晶組成を有する物質、
例えば共晶合金を混入せしめる、の(1)及び/または
(2)が挙げられる。本発明に用いられる鉄族金属酸化
物としては、例えば酸化コバルト(CoO),(Co3
4 ),酸化ニッケル(NiO)等が挙げられる。また
4A,5A,6A族元素炭化物として例えば、W,M
o,Ta,Hf,Ti,Zr等の炭化物を挙げることが
でき、4A,5A,6A族元素の炭化物と鉄族金属との
共晶組成としては例えば、WC−Co,Mo−Co,W
C−Ni等が挙げられる。本発明に用いられる鉄族金属
酸化物あるいは4A,5A,6A族元素の炭化物を固溶
した共晶合金は硬く脆いために破砕性に富み、アトライ
ター、ボールミルシェーカーミキサー、ライカイ機等の
粉砕機にて、容易に0.1〜数μmの粒子に粉砕可能で
あり、ダイヤモンド粉末より細かくすることができる。
結合相中の鉄族金属量(共晶成分中のものを含む)は、
該焼結体のダイヤモンドに対し1〜30体積%であるこ
とが望ましい。1%未満ではダイヤモンド粒子間に金属
成分がゆきわたらず、工業的に有為な時間内での焼結が
不可能である。また30体積%を越えると結合相中の金
属量が多くなり、ダイヤモンド焼結体として有為な高硬
度が得られないため不都合である。
【0008】本発明に用いるダイヤモンド粉末として
は、粒度0.1〜100μmで、不純物含有量が3重量
%以下の天然もしくは合成ダイヤモンドパウダーを使用
する。焼結体原料とする原料ダイヤモンド粉末と、その
他の成分との割合については、焼結体全重量に対しその
他成分が5〜30重量%の範囲にあることが望ましい。
【0009】本発明では、該鉄族金属酸化物及び/また
は該鉄族金属と該4A,5A,6A族元素炭化物の共晶
合金とを、ダイヤモンド原料粉末中に混合、粉砕した焼
結体原料、あるいは鉄族金属酸化物を用いた場合には混
合、粉砕した焼結体原料に次いで還元処理を行って得た
粉末を、所定寸法のカプセルに充填し、ダイヤモンドが
熱力学的に安定な温度、圧力を発生しうる公知の超高圧
高温装置中に所定時間保持する。該カプセルとしては、
公知のWC−Co合金や、MoC─Ni合金を用いる
が、その含有する金属成分が原料粉末に混入せしめる金
属成分と同種の成分であることが望ましい。即ち、原料
粉末とカプセルの金属成分が異なると焼結過程でカプセ
ルからの物質移動が起こり、得られる焼結体が均一組成
にならない可能性があるからである。以上のように構成
された本発明により、より高硬度の伸線ダイス用ダイヤ
モンド焼結体、およびより大型のダイヤモンド焼結体の
作製が可能となった。
【0010】すなわち、本発明では原料となるダイヤモ
ンド粒子中に、鉄族金属、4A,5A及び6A族元素か
ら選ばれる金属元素の炭化物と鉄族金属との共晶組成成
分を混入せしめることを特徴とする。溶媒金属である鉄
族金属と該金属元素炭化物とを共晶組成で混入せしめる
ことにより、高硬度焼結体の製造過程において、液相
が容易に出現する、混合が容易であり均一に分散す
る、金属組成中に炭化物の存在していることにより、
ダイヤモンドの溶解再析出を制御する、昇温過程の早
い時期に液相が出現し、ダイヤモンドが再配列を起こす
ことにより、より緻密な焼結体が得られる、の〜等
の作用がある。
【0011】これら鉄族金属成分並びに4A,5A及び
6A族金属元素の炭化物、およびそれらの酸化物、もし
くは共晶成分の混入には、以下の効果が考えられる。 1)混合が容易であり均一に分散するのでダイヤモンド
粉末に隣接して液相の出現する溶媒金属が存在するた
め、溶浸距離が0となり、焼結体中の組成分布が均一に
なる。 2)鉄族金属と4A,5A,6A族元素炭化物との共晶
組成を形成せしめることにより、溶媒の融点が下がり、
昇温過程の早い時期に液相が容易に出現して液相成分と
ダイヤモンドとの濡れ性が向上し、焼結体中の組成分布
がより均一になるのと同時に、粒子の再配列が促進され
る。昇温過程の早い時期に液相が出現し、ダイヤモンド
が再配列を起こすことによりことにより、焼結条件が同
じならばより強固な結合を可能にする為、より緻密な焼
結体が得られる。また、より低温で短時間での焼結によ
り従来の結合強度へ到達する。 3)外周金属カーバイト環で保持した場合、本発明では
溶浸しなくても焼結可能であるため金属カーバイト環か
らの溶浸が抑制できて、金属カーバイド環の変質による
強度低下が防止でき、焼結ダイヤモンドダイスの保持力
(保持強度)が向上する。 4)微粒ダイヤモンドの周りにより微粒の金属成分を均
一に分散せしめることにより、ダイヤモンド粒子同士の
凝集を分離し、特に微粒焼結体の組成分布を均一にす
る。 5)ダイヤモンド焼結体組織中に金属炭化物が均一に分
散することにより、特に微粒焼結体での発生頻度が高い
異常粒成長が抑制される。金属組成中に炭化物の存在し
ていることにより、ダイヤモンドの溶解再析出を制御す
る。 6)前記5)の異常粒成長抑制効果は、特に炭化物を生
成し易い該金属炭化物での効果が大きい。この効果は炭
化物生成自由エネルギーに左右される。 7)外周金属カーバイドからの溶媒移動が少ないため、
ダイヤモンド焼結体と金属カーバイド界面でのダイヤモ
ンド粒子の溶解量が少なくなり、再析出による異常粒成
長発生頻度が小さくなる。
【0012】以上のようにして製造される本発明による
高硬度ダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンドを主成分と
する高硬度焼結体で、ダイヤモンド焼結体の結合相中に
おいてNi,Co,Fe等の鉄族金属の1種以上及び/
または周期律表中の4A、5A、6A族から選ばれた金
属元素の炭化物との共晶組成成分の1種以上とを有す
る。共晶組成成分としての鉄族金属を含めた鉄族金属の
総量は焼結体中1〜30体積%であることが好ましい。
本発明の焼結体ダイヤモンドにおけるダイヤモンドの存
在割合は70〜95体積%であることが好ましい。従っ
て本発明の高硬度ダイヤモンド焼結体としては、粒径
0.1〜100μmのダイヤモンド粉末を70〜95体
積%含有し、上記で説明した結合相を30〜5体積%含
有した、超高圧高温下のダイヤモンドが熱力学的に安定
な領域で焼結されたダイヤモンド焼結体であるような焼
結体が挙げられる。
【0013】本発明を用いることにより、超硬もしくは
サーメットからなる補強材近傍と、伸線ダイス用ダイヤ
モンド焼結体中心部との結合相組成差が5%以下である
ダイヤモンド焼結体であってその体積が3000mm3
以上という大型の伸線ダイス用焼結体が得られた。
【0014】伸線用ダイヤモンド焼結体素材としての形
状は、図6〜図8の如き形状の他、公知の全ての形状に
適用できるが、ダイヤモンド焼結体の全体もしくは一部
に超硬もしくはサーメットの補強を行う場合、補強用の
超硬もしくはサーメットは、当該ダイヤモンド焼結体中
に含まれている共晶組成結合相を形成している鉄族金属
と同じ成分を含有していることが望ましい。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 〔実施例1〕粒径が20〜30μmのダイヤモンドパウ
ダーに、Co量にして10重量%の粒度10〜50μm
のWC−Co共晶粉末を混合して、φ6mm超硬ボール
を入れたボールミル内で混合、粉砕した後、真空炉中1
100℃、30分間吸着ガスの脱ガス処理を行った。こ
の混合粉末をWC−15重量%Co合金で外径47mm
φ、内径28mmφ、高さ30mmの焼結体中に充填
し、上下に上記組成のWC−Co合金を置いた。このも
のをダイヤモンド合成に使われる超高圧高温装置を用い
て、先ず50Kbに昇圧後、通電を開始し、1400℃
まで昇温し60分間保持した。降温降圧後試料を取り出
して、該上下のWC−Co板を除去したところ、径28
mmφ、厚み20mmの伸線ダイス用ダイヤモンド焼結
体が得られた。該ダイヤモンド焼結体は結合相組成差が
5%以内に収まっていた。このダイヤモンド焼結体を研
磨して冶金学的結合組織を調べたところ、このものは全
体が均一な結合体組織を示していた。図1に得られたダ
イヤモンド焼結体の組織の図面代用の金属顕微鏡写真
(400倍)を示す。このダイヤモンド焼結体を用い
て、内径18mmφのダイスに仕上げ、撚り線工程の圧
縮ダイスとして用いたところ、従来の超硬ダイスに比べ
て50倍の寿命を示した。
【0016】〔実施例2〕粒径が2〜4μmのダイヤモ
ンドパウダーに、Co量にして5重量%の粒径1μm以
下の超微粒酸化コバルトおよび2重量%のMoC−Co
共晶粉末をライカイ機にて混合、粉砕した後、真空炉中
1300℃、30分間、還元処理を行った。この混合粉
末をWC−15重量%Co合金で外径8.0mmφ、内
径4mmφの焼結体中に充填し、上下に上記組成のWC
−Co合金を置いた。このものを実施例1と同じ装置を
用い同条件で昇温昇圧し20分間保持した。降温降圧
後、上下のWC−Co板を除去したところ、径4mm
φ、厚み3mmの伸線ダイス用ダイヤモンド焼結体が得
られた。該ダイヤモンド焼結体は結合相組成差が5%以
内に収まっていた。このダイヤモンド焼結体を研磨して
冶金学的結合組織を調べた。図2に得られたダイヤモン
ド焼結体の組織の図面代用の金属顕微鏡写真(400
倍)を示す。全体が均一な結合体組織を示し、異常粒成
長も見られなかった。この伸線ダイス用ダイヤモンド焼
結体を用いて、内径1.5mmφのダイスに仕上げ、溶
接線の伸線を行ったところ、従来の焼結ダイヤモンドダ
イスの1.5〜2倍の寿命を示した。
【0017】〔実施例3〕粒径が0.5〜2μmのダイ
ヤモンドパウダーに、Co量にして10重量%の超微粒
酸化コバルト粉末をライカイ機にて混合、粉砕した後、
実施例1と同条件で還元処理を行った。この混合粉末を
WC−15重量%Coで外径8.0mmφ、内径4mm
φの焼結体中に充填し、上下に上記組成のWC−Co合
金を置いた。このものを実施例1と同じ装置を用い同条
件で昇温昇圧し20分間保持した。降温降圧後、上下の
WC−Co板を除去したところ、径4mmφ、厚み3m
mの伸線ダイス用ダイヤモンド焼結体が得られた。該ダ
イヤモンド焼結体は結合相組成差が5%以内に収まって
いた。このダイヤモンド焼結体を研磨して冶金学的結合
組織を調べた。図3に得られたダイヤモンド焼結体の組
織の図面代用金属顕微鏡写真(400倍)を示す。全体
が均一な結合体組織を示していた。比較例として実施例
3と同一粒度のダイヤモンド粉末を原料として、従来の
溶浸法で作製した。これにより得られた焼結体の結合組
織の図面代用金属顕微鏡写真(100倍)を図4に示す
が、この場合には異常粒成長が見られる。一方図3の実
施例3によるダイヤモンド焼結体にはこのような異常粒
成長は見られない。
【0018】
【発明の効果】本発明は大型のダイヤモンド焼結体を必
要する分野、例えば太径の線材、パイプ材の伸線や撚り
線に利用される、厚みが要求される伸線ダイス用ダイヤ
モンド焼結体の製造、および従来よりも微粒で高硬度の
ダイヤモンド焼結体を必要とする分野、例えばステンレ
ス線,溶接線等のより高硬度の線材やより線肌の綺麗な
細線を伸線するための伸線ダイス用ダイヤモンド焼結体
や、より刃先の鋭い切削加工用ダイヤモンド焼結体工具
の製造等の分野に利用して非常に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の実施例1で得られたダイヤモンド焼
結体の組織を示す図面に代わる顕微鏡写真(400倍)
である。
【図2】は本発明の実施例2で得られたダイヤモンド焼
結体の組織を示す図面に代わる顕微鏡写真(400倍)
である。
【図3】は本発明の実施例1で得られたダイヤモンド焼
結体の組織を示す図面に代わる顕微鏡写真(400倍)
である。
【図4】は従来法による比較例で得られたダイヤモンド
焼結体の組織を示す図面に代わる顕微鏡写真(100
倍)である。
【図5】はダイヤモンド粉末に金属成分をそのまま混入
した原料から得られたダイヤモンド焼結体の組織を示す
図面に代わる顕微鏡写真(400倍)である。
【図6】は従来法および本発明の伸線ダイス用ダイヤモ
ンド複合焼結体の一具体例を示す図であり、(a)は上
面図、(b)は断面図である。
【図7】は従来法および本発明の伸線ダイス用ダイヤモ
ンド複合焼結体の他の具体例を示す図であり、(a)は
上面図、(b)は断面図である。
【図8】は従来法および本発明の伸線ダイス用ダイヤモ
ンド複合焼結体の他の具体例を示す図であり、(a)は
上面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
1 ダイヤモンド焼結体 2 超硬合金
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の実施例1で得られたダイヤモンド焼
結体の粒子構造を示す図面に代わる顕微鏡写真(400
倍)である。
【図2】は本発明の実施例2で得られたダイヤモンド焼
結体の粒子構造を示す図面に代わる顕微鏡写真(400
倍)である。
【図3】は本発明の実施例1で得られたダイヤモンド焼
結体の粒子構造を示す図面に代わる顕微鏡写真(400
倍)である。
【図4】は従来法による比較例で得られたダイヤモンド
焼結体の粒子構造を示す図面に代わる顕微鏡写真(10
0倍)である。
【図5】はダイヤモンド粉末に金属成分をそのまま混入
した原料から得られたダイヤモンド焼結体の粒子構造
示す図面に代わる顕微鏡写真(400倍)である。
【図6】は従来法および本発明の伸線ダイス用ダイヤモ
ンド複合焼結体の一具体例を示す図であり、(a)は上
面図、(b)は断面図である。
【図7】は従来法および本発明の伸線ダイス用ダイヤモ
ンド複合焼結体の他の具体例を示す図であり、(a)は
上面図、(b)は断面図である。
【図8】は従来法および本発明の伸線ダイス用ダイヤモ
ンド複合焼結体の他の具体例を示す図であり、(a)は
上面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】 1 ダイヤモンド焼結体 2 超硬合金

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンドを主成分とし、結合相中に
    鉄族金属の1種以上及び/または鉄族金属と周期律表の
    4A,5A及び6A族元素の炭化物から選ばれる1種以
    上との共晶組成成分の1種以上を含有してなる焼結体で
    あって、該結合相が焼結体の外周部から中心部まで均一
    な組成を有することを特徴とする高硬度ダイヤモンド焼
    結体。
  2. 【請求項2】 当該焼結体内の結合相組成差が5%以下
    であることを特徴とする請求項1記載の高硬度ダイヤモ
    ンド焼結体。
  3. 【請求項3】 当該焼結体内の鉄族金属の割合がダイヤ
    モンドに対して1〜30体積%である請求項1または請
    求項2に記載の高硬度ダイヤモンド焼結体。
  4. 【請求項4】 ダイヤモンドを主成分とし、結合相中に
    の鉄族金属の1種以上及び/または該鉄族金属と周期律
    表の4A,5A及び6A族元素の炭化物から選ばれる1
    種以上との共晶組成成分の1種以上を含有してなり、且
    つ該結合相が焼結体の外周部から中心部まで均一な組成
    を有する焼結体の一部または全部を、上記結合相中の鉄
    族金属の1種以上と周期律表の4A,5A及び6A族元
    素の炭化物から選ばれる1種以上との共晶組成成分の1
    種以上からなる超硬合金で保持してなる高硬度ダイヤモ
    ンド焼結体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載される高硬度ダイヤモン
    ド焼結体からなることを特徴とする伸線ダイス用の高硬
    度ダイヤモンド焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載される高硬度ダイヤモン
    ド焼結体からなることを特徴とする伸線ダイス用の高硬
    度ダイヤモンド焼結体。
  7. 【請求項7】 (1)ダイヤモンドを主成分とし、結合
    相中に鉄族金属の1種以上及び/または鉄族金属と周期
    律表の4A,5A及び6A族元素の炭化物から選ばれる
    1種以上との共晶組成成分の1種以上を含有してなり、
    該結合相が焼結体の外周部から中心部まで均一な組成を
    有する焼結体、および(2)上記結合相中の鉄族金属の
    1種以上と周期律表の4A,5A及び6A族元素の炭化
    物から選ばれる1種以上との共晶組成成分の1種以上を
    有する超硬合金、の複合体から成ることを特徴とする切
    削,耐摩製品用の高硬度ダイヤモンド焼結体。
  8. 【請求項8】 ダイヤモンド粉末を主成分とし、鉄族金
    属の1種以上及び/または鉄族金属と周期律表の4A,
    5A及び6A族元素の炭化物から選ばれる1種以上との
    共晶組成を有する成分の1種以上を均一に混合して焼結
    体原料とし、該焼結体原料をダイヤモンドが熱力学的に
    安定な高温高圧状態に保持することを特徴とする高硬度
    ダイヤモンド焼結体の製法。
  9. 【請求項9】 上記焼結体原料がダイヤモンド粉末並び
    に鉄族金属の1種以上と周期律表の4A,5A及び6A
    族元素の炭化物から選ばれる1種以上との共晶粉末及び
    /または該鉄族金属の酸化物粉末を含有するものである
    ことを特徴とする請求項8記載の高硬度ダイヤモンド焼
    結体の製法。
  10. 【請求項10】 上記焼結体原料のうちの、鉄族金属の
    1種以上及び/または鉄族金属と周期律表の4A,5A
    及び6A族元素の炭化物から選ばれる1種以上との共晶
    組成を有する成分の1種以上を原料ダイヤモンド粉末よ
    り微粒にして当該ダイヤモンド粉末に混入することを特
    徴とする請求項8または請求項9記載の高硬度ダイヤモ
    ンド焼結体の製法。
  11. 【請求項11】 上記焼結体原料のうちの、鉄族金属の
    1種以上及び/または該鉄族金属と周期律表の4A,5
    A及び6A族元素の炭化物から選ばれる1種以上との共
    晶組成を有する成分の1種以上が原料ダイヤモンド粉末
    より微粒に粉砕可能である程度に硬質であることを特徴
    とする請求項8ないし請求項10記載の高硬度ダイヤモ
    ンド焼結体の製法。
  12. 【請求項12】 鉄族金属の酸化物の1種以上を原料と
    して混入した後、得られた焼結体原料を還元処理するこ
    とにより当該鉄族金属の1種以上を焼結体原料中に均一
    に分散させることを特徴とする請求項8ないし請求項1
    1記載の高硬度ダイヤモンド焼結体の製法。
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