JPH0630569B2 - 遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholerae、その用途及びその製造方法 - Google Patents

遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholerae、その用途及びその製造方法

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JPH0630569B2
JPH0630569B2 JP59040586A JP4058684A JPH0630569B2 JP H0630569 B2 JPH0630569 B2 JP H0630569B2 JP 59040586 A JP59040586 A JP 59040586A JP 4058684 A JP4058684 A JP 4058684A JP H0630569 B2 JPH0630569 B2 JP H0630569B2
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cholerae
vibrio cholerae
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toxin
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cho
leraeその製造方法、及びその用途に関する。
この申請書は1983年3月4日に提出したアメリカ合
衆国特許申請書06/472,276の続編である。こ
の申請書中の研究は、the National Institute of Heal
thにおいて行われたものである。
発明の背景 コレラ菌(V.cholerae)は、小腸の粘膜表面にまでは広
がることのない非侵入性の腸病原である。それ故、粘膜
面において免疫を伝達する局所SIgAは防御機構としての
関連性をもつ。病原性V.cholerae 01は、コレラエンテ
ロトキシン,コレラゲン,あるいはコレラ毒素として知
られているタンパクエンテロトキシンを生成する。それ
は、小腸に多量の分泌物を促す働きをし、コレラ感染の
臨床的結果であるところの漿液性下痢を誘発させること
になる。コレラ性の下痢は激烈を極め、早急な治療を施
さなければ身体内の水分及び電解質を失わせ、脱水症,
アンドーシス,シヨツク,そして死に至らしめるもので
ある。
現在発達を遂げているコレラワクチンは、大きく2つの
範疇に分類される。抗毒性免疫を刺激することを目的と
するものと、抗バクテリア性免疫を引き起こすことを目
的とするものとである。動物実験により、抗毒素性,抗
バクテリア性免疫の両者か、いずれか一方の防御の役割
をみることができる。両者の免疫が調和して働く場合
は、相助作用の効果がある〔Holmgren,J,et al.J.Infec
t.Dis.136 Suppl.,S105-S1122(1977):Peterson.J.W.Inf
ect.Immun.26,594(1979);Resnick,I.G.et al.Infect.Im
mun.13,375(1980);Svennerholm,A.-M.et al.Infect.Imm
un.13,735(1976)〕。しかしながら、人における防御性
免疫は、そのような相助作用効果がみられないようであ
る。すなわち、抗毒素性免疫が抗バクテリア性免疫のい
ずれかの効果しかないのである〔Eubanks,E.R.et al.In
fect.Immun.15,533(1977);Fujita,K.et al.J.Infect.Di
s.125,647(1972);Holmgren,J.,J.Infect.Dis.,supra;La
nge,S.et al.Acta Path.Microbiol.Scand Sect.C86,145
(1978);Peterson,J.W.,supra(1979);Pierce,N.F.et al.
Infect.Immun.37,687(1982);Pierce,N.F.et al.Infect.
Immun.21,185(1978);Pierce,N.F.et al.J.Infect.Dis.1
35,888(1977);Resnick,I.G.et al.,supra;Svennerholm,
A.-Met al,supra〕。
死菌ワクチン 1.約100年間、V.choleraeの死菌は非経口性ワクチ
ンとして用いられてきた。このワクチンはいまだに市販
されている。最近、非経口性ワクチンの使用について、
Joo,Iの「コレラワクチン」で再検討されたIn Cholera.
(Barua D.and Burrows W.,eds.),Saunders,Philadelphi
a,pp.333-355(1974)and in Feeley.J.D.et al.In Chole
ra and Related Diarrheas.43rd Nobel Symp.,Stockhol
m 19878.(O.Oucherlong,J.Holmgren,eds.)Karger,Base
l,pp.204-210(1980).そのようなワクチンは血清中のビ
ブリオ菌に対する抗体の力価を高める。又、パキスタン
人にそのワクチンを投与すると、V.cholerae体性O抗原
に対する腸内SIgA抗体が増加するが、スウエーデン人の
場合には、これが認められない〔Svennerholm,A.-M.et
al,Infect.Immun.30,427(1980);Svennerholm,A.-M. et
al.Scan.J.Immun.6,1345(1977)〕.パキスタン人がこの
ような反応を起こす理由として、彼等は既に免疫的にあ
らかじめ抗原性接触が与えられていて、例えばスウエー
デン人の様に非風土病地域に居住している人々には、そ
れがないからだと推測される。非経口性ワクチンは、同
種のV.cholerae血清型に対する防御効果を有意であると
示唆されているが、通常その効果の持続期間は1年以下
である〔Joo,I.,supra;Feeley,J.C.supra;Svennerholm,
A.-M.et al.supra,(1980);Svennerholm,A.-M.et al.sup
ra(1977);Mosley,W.H.ey al.Bull.Wld.Hlth.Org.49,13
(1973);Philippines Cholera Committee,Bull.Wid.Hlt
h.Org.49,381(1973)〕.非経口性稲葉型ワクチンは、稲
葉型株と同様に小川型株コレラに有効で短期の防御効果
を持つが、小川型ワクチンは小川型株にのみ有効である
ことを示す数例の報告がある。
補助薬(抗原補強剤)の使用により、非経口性ワクチン
は1年半の期間まで約70%の有効性を維持することが
可能となつた〔例、Saroso,J.S.et al.Bull.Wld.Hlth.O
rg.56,619(1978)参照〕。しかし抗原補強したワクチン
の接種部位に露呈する無菌性膿腫等の副作用も度々みら
れるので、そのような補強されたワクチンのルーチン使
用は不可能であるのが現状である。
2.経口性ワクチン 経口投与された死菌ワクチンは、局所小腸の抗ビブリオ
抗体の出現を促す〔Freter,R.J.Infect.Dis.111,37(197
2);Freter,R.et al.J.Immunol.91,724(1963);Ganguly,
R.et al.Bull.Wld.Hlth.Org.52,323(1975)〕.その他の
研究者達は現在のワクチンの有効性を示しているが、投
与を受けた多くの人々は、病原のビブリオが入り込むと
下痢を起こすのである〔Cash,R.A.et al.J.Infect.Dis.
130,325(1974)〕. トキソイド コレラを防御する為の抗毒素性免疫を促す免疫剤には以
下のものがある。
1)ホルムアルデヒド処理のコレラトキソイド 2)グルタルアルデヒド処理のコレラトキソイド 3)精製Bサブユニット 4)プロコレラゲノイド(ホルムアルデヒド処理をした
もの、又はそうでないもの) 1.ホルムアルデヒド処理のコレラトキソイドin vitro
で精製コレラ毒素をホルムアルデヒド処理することは、
毒性を除去することであり、その結果として、生物学的
に毒素の活性を殆んど持たないが動物の非経口性免疫に
沿つた抗毒素性抗体を刺激するトキソイドとなる。しか
し同型の最初のトキソイドを猿や人に非経口ワクチンと
して投与すると、このトキソイドは一部毒性を持つよう
になり、接種部位に副作用を示した「Northrup,R.S.et
al.J.Infect.Dis.125,471(1972)〕。アルミニウム補強で
ホルマリン処理のコレラトキソイドは、授乳期の母親を
含むバングラデイシユのボランテイアに非経口投与され
たが、このワクチン試用では、前述のようなことは起こ
らなかつた〔Merson,M.H.et al.Lancet I,931(198
0)〕。グリシンの存在下で調整されたホルマリン処理の
コレラトキソイドも又非経口で投与されたが、のワクチ
ンの有効性の証明はできなかつた〔Ohtomo,N.In Procee
dings of the 12 th Joint Conference on Cholera,U.
S.-Japan Cooperative Medical Science Program,Sappo
ro(Fukumi H.,Zinnaka Y.,eds.)pp.286-296(1976);Nori
ko,H.In Proceedings of the 12 th Joint Conference
on Cholera,U.S.-Japan Cooperative Medical Science
Program,Sapporo(Fukumi H.,Zinnaka Y.,eds.)pp302-31
0(1976)〕。
2.グルタルアルデヒド処理のコレラトキソイド生体内
の抗原を基本的に汚染することのないグルタルアルデヒ
ド処理のコレラトキソイドの大規模な調整方法が開発さ
れた〔Rappaport,E.S.et al.Infect.Immun.14,687(197
6)〕。この抗原は抗毒素性免疫のみの防御の役割を純粋
な方法で評価するために使用されることが望ましく、非
経口ワクチンとして大規模な試薬が1974年にバング
ラデイシユで行われた〔Curlin,G.et al.In Proceeding
of the 11 th Joint Conference on Cholera,U.S.-Jap
an Cooperative Medical Science Program.pp.314-329,
New Orleans,(1975)〕。このトキソイドは、バングラデ
イシユにおける被投与者においては循環抗毒素の力価を
高めた。El Tor InabaとEl Tor Ogawaの2種のコレラは
当地域に猛威をふるつたが、ワクチンの有効性を評価す
ることができた。防御効果は唯一つの年令層にのみあら
われ、稲葉型が流行している時期に限られた。非経口ワ
クチンとしてのみ投与れたグルタルアルデヒド処理のコ
レラトキソイドは防御効果は殆んどなく、非経口性死菌
ワクチンの被投与者に比較してかなり劣つていた。
経口ワクチンとしてのグルタルアルデヒド処理されたコ
レラトキソイドの使用は、腸の抗毒素を刺激することか
らより効果的ではないという仮定に基づき、現在も研究
が進められている〔Levine,M.M.et al.Trans Roy.Soc.T
rop.Med.Hyg.73,3(1979)〕。ボランテイアの2グループ
を対象に腸管を通して小腸の内腔に直接トキソイドを1
ケ月間隔で各々2.0mgを3回、8.0mgを3回投与し免疫性
を与えた。ワクチンを受けたものと、免疫性を与えられ
ないコントロールグループは実験として行われたコレラ
研究に参加した。コントロールグループと比較するとワ
クチン受容者のいずれもが、発病率や下痢を軽癒する顕
著な結果を示さなかつた。経口グルタルアルデヒド処理
のコレラトキソイドの有効性の欠如は、GMIガングリ
オシドと結合するBサブユニツトの能力がグルタルアル
デヒドでトキソイド化する結果として感じることに起因
するように思われる。
3.精製サブユニツト コレラエンテロトキシンは、A,Bとよばれる2つのサ
ブユニツトから構成される。Aサブユニツトは分泌物を
促す酵素的変化を与えるが、毒性のBサブユニツトは腸
の上皮細胞上の毒素(GMIガングリオシド)受容器と結
びつく免疫抗原性の部分である〔Holmgren,J,Nature 29
2,413(1981)〕。バングラデイシユの人々に経口或は非
経口的に投与した精製Bサブユニツトは、腸液中でSIg
A抗毒素の出現を促し、コレラ風土病地域における免
疫学的起爆剤となるものである〔Svennerholm,A.M.et a
l.Lancet I,305(1982)〕。
抗毒素性免疫を促すためのBサブユニツト経口性ワクチ
ンの最大の利点は、完全に安全であること(トキソイド
と共に存在している場合でも再び毒素になることはな
い)や、腸細菌上の毒素受容器に粘着する能力を持つこ
と等である。しかし動物実験では、抗毒素を促す点にお
いては本来備つているオロトキシンより効力の劣ること
が示された〔Pierce,N.F.,supra,(1982)〕。
精製Bサブユニツトが、例えば経口死ビブリオ菌と共に
経口複合ワクチンとして使用されれば、抗毒素性及び抗
バクテリア性の抗体形成を促すことが考えられる。
4.プロコレラゲノイド プロコレラゲノイドは分子量が約1,000,000の高分子の
トキソイドであり、コレラエンテロトキシンを最低5分
間65℃で熱処理して得られる〔Finke lstein,R.A.et
al.J.Immunol.107,1043(1971)〕。又、これは生物学的
毒性の活性が、コレラエンテロトキシンの毒素の5%以
下しかもたぬ免疫抗原である。熱処理時間が例えば25
分という長時間の場合には、生物学的毒素も少ないもの
が得られる〔Germanier,R.et al.Infect.Immunl 13,169
2(1976)〕し、又それを引き続きホルムアルデヒドで処
理すると残つている毒素は殆ど消滅する。でき上つたホ
ルムアルデヒド処理プロコレラゲノイドは、ウサギの免
疫性を誘発する血清抗毒素を促進する場合には、本来持
つていた毒素と少くとも同等の力をもつている。スイス
のボランテイアにおいては、ホルムアルデヒド処理プロ
コレラゲノイドの非経口的な10,30,100mcgの各投与量で
の免疫性によりもたらされる血清抗毒素の反応がみられ
た〔Germanier,R.et al.J.Infect.Dis.135,512(197
7)〕。又、顕著な逆作用は観察し得なかつた。
経口抗原としてのプロコレラゲノイドは、ホルムアルデ
ヒド処理をしない形で投与した場合には、より免疫抗原
性を増す。犬においては、未処理プロコレラゲノイドは
経口ワクチンと同様の耐性をもち、NaHCO3と共に500
mcgまでの経口投与量では下痢は起こさなく、また、4
2日間5回の500mcgの投与量は、病原としてのV.cho
leraeを経口で与えた場合、有意な防禦を示した。50
および200mcgのNaHCO3を含む投与が6人と4人の2
つの成人がボランテイアグループになされたが、各グル
ープとも逆作用を引きおこすことはなかつた。
プロコレラゲノイドは、抗バクテリア性免疫を促す死ビ
ブリオ菌又は適切な抗原と共に使用すれば、プロコレラ
ゲノイドが引き出す抗毒素の免疫性がより高められると
考えることができよう。
混合ワクチン 生きていない経口コレラワクチンの大きな利点は安全性
にある。抗バクテリア性及び抗毒素性免疫を共に促すた
めの、抗原の混合からなるワクチンは、以下の理由にお
いて最もふさわしいものと言えよう。抗毒素性免疫のみ
を促すトキソイドワクチンは、人においてコレラに対し
て有効的ではないように思われるが、動物においては有
効な防御を発揮する。更に、抗毒素性免疫を促さぬ経口
或いは非経口死菌ワクチンは、短期間であるが人におい
て有意な防御効果を発揮する。加えて抗毒素性、抗バク
テリア性免疫を共に促す本来の毒素又はコレラ毒素にリ
ポポリサツカライドを加えた様な抗原の場合の組合せ
は、相助の防御作用効果をもたらす。
多くの混合ワクチンを使用して2つの研究が長期間にわ
たり行われてきた。1つは、グルタルアルデヒド処理の
コレラトキソイド(4週間。1週間に2mg)及び死菌化
したEl Tor Inaba型ビブリオ菌(4週間。2週間あたり
1010個ビブリオ菌)を投与された9人のボランテイア
が、投与1ケ月後に病原としてEl Tor Inabaビブリオ菌
を106個投与された。又、コントロールとして6人の
免疫を持たないものにも同様に行つた。下痢は9人中2
人に、又6人中4人(ワクチン有効性67%)にみら
れ、その症状は投与群中の2人は軽い症状であつた。更
にこの観察結果で注目すべきことは、9人の投与群中に
おいては2人のみ、6人のコントロール群では全員にお
いて便中からV.choleraeが直接培養されたのである。こ
のことは、免疫学的機構がビブリオ菌の増殖を妨げたこ
とを意味している。
ごく細菌Bサブユニツトと死菌ワクチンの混合を、ワク
チン有効性テストに参加した成人ボランテイアに3回投
与を行つた。この混合ワクチンは、0,14,28日に
与えられた。3回投与をしたワクチンは、各々0.5mgの
Bサブユニツトと2×1011個の死菌化V.cholerae(内訳
は5×1010 classical Inab,5×1010 classical Ogawa
と、1×1011 El Tor Inabaである)を含んでいた。
この混合ワクチンで免疫を与えられた11人のボランテ
イアのグループは、最終投与の1ケ月後に、7人のボラ
ンテイアによるコントロールグループと共に、病原とし
てのEl Tor Inaba型V.choleraeが106個与えられた。下
痢は7人中全員、11人中4人のみが起こし(p=0.0
1)、その4人の下痢の症状は明らかに軽度であつた。
以上から経口トキソイドと死菌ワクチンの混合研究の結
果は、有効率を示してはいるがそのワクチンの防御効率
は良くも悪くもなく(55−65%)、防御効果をひき
おこすためには多量の投与が必要である。
弱毒化V.choleraeワクチン classical及びEl Tor型コレラの臨床的感染は、北アメ
リカのボランテイアで少くとも3年間防御効果の高い免
疫性を促した〔Cash,R.A.et al.,supra(1974);Levine,
M.M.et al.,supra(1979);Levine,M.M.et al.,"Voluntee
rs studies in development of vaccines against chol
era and enterotoxigenic Escherichia coil:a revie
w,"in Acute Enteric Infections in Children:New Pro
spects for Treatment and Prevention.(T.Holm,J.Holm
gren,M.Merson,and R.Mollby,eds.)Elsevier,Amsterda
m,pp.443-459(1981);and Levine,M.M.et al.J.Infect.D
is.143,818(1981)〕。ボランテイアでの観察をもとに、
コレラの免疫学的制御に対して最も期待できるものは、
経口ワクチンとして使用される弱毒化された非毒素産生
性のV.cholerae株を用いることであるかも知れない。
1.野生株 インド及びブラジルの環境源から分離された非毒素産生
性のV.cholerae01株は、免疫性の期待に反した結果を
もつ人々に対して有効なワクチンと評価されている。こ
のような株はヒトの腸内に潜伏することができないか、
或はできても極く僅かであろう。vibrocidal抗体の反応
は僅かであり、防御効果をもつことができなかつた〔Ca
sh,R.A.et al.Infect.Immun.10.762(1974);Levine,M.M.
et al.J.Infect.Dis.145,296(1982)〕。これらの株の多
くは、放射活性DNA調査での雑種合成より毒素遺伝子
が欠損しているようである〔Kaper,J.B.et al.Infect.I
mmun.32,611(1981)〕。
2.突然変異による弱毒化株 Classical Inaba569Bは、ニトロソグアニド(NT
G)で突然変異を起し、低毒素産生性の変異株が分離す
る〔Finkelstein,R.A.et al.J.Infect.Dis.129,117(197
4);Holmes,R.K.et al.J.Clin.Invest.55,551(1975)〕。
この突然変異株M13をボランテイアに投与した。この
株は潜入しにくいので下痢は起らなかつた。多量投与に
より免疫ができ、そのために防御効果が得られることを
多くの研究が示唆している〔Woodward,E.et al.Develo
p.Biol.Stand.33,108(1976)〕。El Tor Ogawa 3083もま
た突然変異によつてできたものである〔Honda,T.et al.
Proc.Nat.Acad.Sci.76,2052(1979)〕。一つの又何千も
の株の選択及び分析を行い、Aサブユニツト又はホロト
キシンを生成することは不可能だが、免疫抗原性をもつ
Bサブユニツトを生成する1つの分離株を作りだした。
この分離株Texas Star-SRは、上述のようにBサブユニ
ツトを通常量又は増量に生成するが、ホロトキシン活性
又はAサブユニツト活性の検査では陰性を示す。Texas
Star-SRは広範囲にわたり、ボランテイアで定量されて
いる〔Levine,M.M.et al.Acute Enteric,supra(1981)参
照〕。5人から14人のボランテイアから成るグループ
に105から5×1010個のTexas Star-SR生体を1回投与し
た。その他の8人のボランテイアには1週間につき109
個を2週間投与し、更に別の18人のボランテイアには
1週間につき2×1010個を2週間投与した。下痢を起し
たのは68人中16人であつた(24%)。そのうちの
1人におけるトータルの便量は1.0を超えていた(1
464m)。典型的なワクチン誘引性下痢は便総量が
400m以下の2〜3回の少量の下痢便である。ワク
チン生体はワクチン受容者の約半分に便の培養からあら
われた。108以上のワクチン生体を投与された人の空腸
液の培養したところ、46人中の被投与者中35人が陽
性であつた(76%)。何百ものTexas Starのクローン
は便培養や空腸液培養で回復したが、コレラハトロキシ
ン用の高感度Y−1副腎細胞検査を行つたが、陽性はい
なかつた。
血清抗毒素は、有意な上昇はワクチン被投与者の29%
にのみみられたが、血清vibriocidal抗体の有意な上昇
が93%であり、その力価は、病原としてのV.cholerae
により起因する感染症の場合での力価とほぼ同じであ
る。ボランテイアによる実験的研究で、Texas Star-SR
はEl Tor Ogawa型とEl Tor Inaba型とビブリオ菌に対し
て有意な防御効果を与えることが判明した。Texas Star
-SR弱毒化経口ワクチンの1回又は2回の投与はEl Tor
型コレラに対して良い防御効果を示す。
弱毒化株は、コレラに対する感染症誘導免疫をまねるの
で、その使用には個々の利点があるのは明らかである。
しかしTexas Star-SR株には疑う余地ない障害がある。
はじめにニトロソグアニジン等を使用する突然変異法
が、必ずしも全部が確認できないような複数の変異種を
つくり出すのである。その他に、Texas Star-SRの弱毒
化を担うと思われる正確な遺伝子的欠損が未だ判明して
いない。更に、Texas Star-SRは、ニトロソグアニジン
により突然変異を起こした他の病原のように、毒性を再
び取り戻す可能性がある。
今回の発明の申請者は、ボランテイアにおいて免疫性と
疾病をもたらすことで知られるV.choleraeの毒性株の遺
伝子が欠如した変異株を、漸新な方法で淘汰することに
成功した。遺伝子欠如は制限エンドヌクレアーゼのフラ
グメントである。今回の発明のワクチン株は、免疫に必
要な他の要素に影響することなく、組換型DNAテクニ
ツクを用いて無毒化したものである。この弱毒化は毒素
遺伝子のようなコレラ毒性を担う遺伝子を特に欠如させ
る為に、バクテリアの遺伝子の特別な部位を、制限エン
ドヌクレアーゼを使用して開裂させ生成させたものであ
る。毒素遺伝子をもつプラスミドは、毒素遺伝子を欠如
させるために制限エンドヌクレアーゼで分解された。し
かしV.choleraeの染色体側面にあるDNAの広がつてい
る長さを保持するために、再び組み立てられてしまう。
それらのプラスミドを持つ接合遺伝子のV.choleraeへの
移植によつて、そのプラスミドのコピーを染色体外に有
する毒性のV.choleraeが産生する。ひき続き選択性プラ
スミドマーカーの適切な選択後、他のプラスミドを生成
する細胞と、毒素部位を欠いているV.choleraeとの結合
が起こる。そのような非毒素産生性の遺伝子欠如変異株
は小腸内に潜入し、しかもバクテリア細胞に対して局所
的防御性の免疫を促すことができるものである。短期間
の潜伏後、そのワクチンは、毒性で毒素産生性のV.chol
erae株による感染症に防御効果を有するようになる。
V.cholerae毒素に対する遺伝子を複製した〔Pearson,G.
D.N.et al.Proc.Nat.Acad.Sci.79,2976(1982);Kaper,J.
B.et al.Amer.Soc.Microbiol.Abstr.Annu.Meeting,Atla
nta,Georgia,36(1982);Kaper,J.B.et al.Symposium on
Enterie Infections in Man and in Animals:Standardi
zation of Immunological Procedures,Dublin Ireland,
Abstract No.25(1982)〕。毒素形成遺伝子を欠如したV.
choleraeの変異株は、染色体に沿つたランダムな部位に
まとまる変異誘発性のビブリオフアージによつてのみ分
離することができるのである〔Mekalanos,J.J.et al.Pr
oc.Nat.Acad.Sci.79,151(1982)〕。V.cholerae内での組
換え報告はあるが、ワクチン投与を目的とする毒素遺伝
子欠如の制限フラグメントを分離することには適用でき
ない〔Parker,C.et al.J.Bact.112,707(1972);Johnson,
S.R.et al.Molec.Gen.Genet.170,93(1979);Sublett,R.
D.et al.Infect Immun.32,1132(1981);and Thomson,J.
A.et al,J.Bact.148,374(1981)〕。
発明の概説 本発明の遺伝子工学的に作成されたV.choleraeは、無毒
性を付与するのに十分なコレラトキシンAサブユニツ
トの少なくとも一部をコードする染色体DNAを欠損
し、水銀耐性をコードするDNAを有し、免疫性を付与
するのに十分なコレラトキシンBサブユニツトの少なく
とも一部を発現し、宿主動物の腸への潜伏能力を有する
ことを特徴とする。
本発明の遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio.chole
raeは、例えば次の(a)〜(h)の手順により製造される。
(a)欠損コレラトキシンDNAのフランキング配列及び
欠損したコレラトキシンDNAの代わりに置換された最
初の選択マーカーを含む最初のプラスミドを得る;当該
フランキング配列がin vivoにおける検出可能な組み換
えを促進するのに十分な長さを有し、欠損されたDNA
が毒性トキシンをコードするのに必要なコレラトキシン
サブユニツトの少なくとも一部をコードする; (b)当該最初のプラスミドを毒性Vibrio choleraeに移入
する; (c)最初の選択マーカーとは異なる第2のマーカーをコ
ードするDNAを含む最初のプラスミドとは異なる第2
のプラスミドを得る; (d)第2のプラスミドを毒性Vibrio choleraeに移入す
る; (e)最初の選択マーカー及び第2の選択マーカーの両者
に耐性を有するVibrio choleraeを選択し、無毒性Vibri
o choleraeを得る; (f)水銀耐性をコードするDNAを含む第3のプラスミ
ドを得る;(g)第3のプラスミドをステツプ(e)で選択さ
れた無毒性Vibrio choleraeを得る; (h)免疫性を付与するのに十分なコレラトキソイドBサ
ブユニットの少なくとも一部を発現し、かつ宿主動物の
腸内潜伏能力を有するステップ(g)で生成したVibrio ch
oleraeを単離する。
本発明の無毒性V.choleraeは、コレラに対するワクチン
として投与するのに有用である。
今回の発明で、CVD101と呼ばれるV.cholerae株
は、人において同種の血清型をもつ株による感染症に対
して大体100%近くの有効性を与える。
発明の詳細な説明 今回の発明の原理は、V.choleraeワクチン株を、免疫性
に関して必要な他の要素に影響することなく無毒性化す
る為の組換DNAの技術を駆使して変形し、分離するこ
とである。この弱毒化は、コレラ毒素又はそれについて
の部分の遺伝コードを指定する遺伝子を欠損させる為
に、適切なV.cholerae連鎖を運ぶプラスミドを制限エン
ドヌクレアーゼで分解することにより成し遂げたもので
ある。毒性のV.choleraeとin vivoで再結合するものを
選んだ後に、分解されたプラスミドを移す接合性遺伝子
は、毒素遺伝子又はそれに関するものがない株にする。
今回の発明は、毒性のV.choleraeのそれ以外の欠損部位
をもつ変異株の分離又はV.cholerae細胞中に再誘発をお
こす欠損鎖の一部又は全部をもつ株の分離に対しても応
用できると考えられる。
そのワクチンとして最初のものは、毒素産生性のV.chol
erae株N16961であつた。それはボランテイアにお
いて、典型的な下痢の症状と感染症に対して、強い防御
効果をもつ免疫性を呈した(Levine,M.M.et al.,Acute
enteric,supra,1981)。V.choleraeを、熱に不安定なエ
ンテロトキシン遺伝子プローブであるE.coliでHind II
分解したのを確認してから、コレラ毒性を産生している
と思われるバクテリア中の染色体の部位をプラスミドの
クローン化媒体であるpBR325中で増殖した(Kape
r,et al.Amer.Soc.,supra,Kaper et al.Symposium,supr
a)。V.choleraeの染色体フラグメントは、毒素産生に必
要なすべての遺伝子を含んでいるようである。次にこの
染色体部位を分析し、毒素遺伝子を含む正確な位置づけ
を図で示した〔Kaper,J.B.et al.Lancet II,1162(198
1)〕。その様な遺伝子を含むDNAフグメントや、結紮
により挿入された、例えばアンピシリンに耐性等のよう
な選択性のあるマーカーを有するDNAフラグメントを
切断するために、制限酵素が使用される。このアンピシ
リン耐性遺伝子や、外側にあるビブリオ菌DNAは、E.
coliから、V.choleraeに移されるpRK290の誘導中
で増殖する。その結果のプラスミドであるpJBK55
は、接合によりE.coliK−12からV.choleraeN169
61に移される。
その結果の株V.choleraeN16961(pJBK55)(A
pr)は、その染色体中には未だ影響を受けていない毒素
遺伝子の部位をもち、染色体外においては毒素遺伝子が
欠損している部位に、替わりにアンピシリン耐性遺伝子
を有するプラスミドがある(図1参照)。106のうち、
1から108のうちの1の低頻度で、染色体の毒素遺伝子
と、染色体外(プラスミド)のアニピシリン耐性遺伝子
が交換したり交差したりする。又in vivoでは染色体の
毒素遺伝子が、耐性遺伝子を含むDNA部位と換わるの
で組み換えが起きるのである(図2)。稀に起こる反応
は、挿入される不和合性のプラスミドに対して起こるも
ので、それが起こる細胞1つづつに対して検査を行つ
た。又、その細胞は、変異を起こしたものと起こさない
ものを混合させて試したものである〔Ruvkun, G.B.et a
l.Nature 289,85(1981)〕。プラスミドはAからWまで
のグループに分類され、各グループを構成するものは互
いに共存することができない。例えばPグループの不和
合性のプラスミドは、Pグループの他のプラスミド(In
c P)の細胞中に安定して存在することができない。ス
ルホンアミド類に抵抗力のあるR702のようなIncP
プラスミドはPRK290,pJBK45,又はpJBK55のような他のI
ncPプラスミドの細胞中に存在することができないので
ある。それ故にR702は、菌株中の、例えばpJKB
55のような染色体外のプラスミド中ではなく、染色体
のアンピシリン耐性部位に乗り換えを起して安定をはか
るものである。スルホンアミド耐性のIncPR702を
含むE.coli株とアンピシリン耐性のpJBK55を含む
V.cholerae株を結合させたり、アンピシリン及びスルホ
ンアミドの両者に耐性のあるVochleraeを選択したりし
て、スルホンアミド耐性がpR702によつて染色体外
で成り立ち、アンピシリン耐性は、毒素遺伝子と置換し
た後、染色体内に成立することになる(図3)。V.chol
eraeJBK56と呼ばれる上述のような株は、毒素形成
テストを行つた結果、非毒素産生性のものであることが
判明した。
ワクチン株の最終変形物JBK70は、治療力のある有
用な抗生物質であるアンピシリンに対する耐性を水銀耐
性に変えて生成したものである。この置換は、pJBK
55のアンピシリン耐性遺伝子を直接的に水銀耐性の遺
伝子とさしかえて行つたもので、その結果、アンピシリ
ン耐性を不活化し、水銀耐性を与えることになる。それ
によつてできたプラスミドpJBK66もまたR702
と不和合性であり、V.choleraeJBK56に変化するも
のである。水銀耐性が染色体に組み込まれた変異種は、
Inc PプラスミドR702を使用して分離し、アンピ
シリンに感度があり、水銀耐性,スルホンアミド耐性の
V.choleraeである。自然発生的な誘導物はpR702を
取り除くことに使用される。最終の変異株であるJBK
70は、非毒素産生性の水銀のみに耐性をもつ。
ワクチン株V.choleraeJBK70は、Inaba血清型の一
種である。その他のほとんどのV.choleraeはOgawa血清
型である。1つの血清型のワクチンは、他の血清型に対
して防御するらしい(34)。以前に疾病と防御効果を示し
た生ワクチン株はこれと異なり、Ogawa血清型株E79
46から調整されたものである〔Levine,M.M.et al.Acu
te enteric,supra(1981)〕。V.cholerae InabaJBK5
6の株中に起こる突然変異は、V.choleraeの性因子であ
るPの仲介による遺伝子組み換えを通して、JBK56
中の毒素遺伝子の替りのアンピシリン耐性を含む染色体
部位をE7946に直接移植することにより、E794
6株にも起こるのである(Parker,C.et al.,supra)。I
ncPプラスミドと異なるP因子は、JBK56に移植さ
れ、リフアンピン耐性変異株E7946と結合する。ア
ンピシリンとリフアンピンの両者に耐性のある変異株を
作ることにより、毒素遺伝子を完全に欠いたOgawa血清
型をもつワクチン株を生成したことになる。
若し抗バクテリア性免疫が防御作用に対して不十分であ
れば、コレラ毒素のAでなくBサブユニツト遺伝子を加
えることによつて、抗毒性の要素を増してやればよい。
これは、Bサブユニツト遺伝子を病原媒介物pMS59
に移植することで達成できる。その結果でき上つたプラ
スミドは、ハイレベルのBサブユニツトを生成する。
又、それはAサブユニツトを生成することができない弱
毒化されたワクチン株JBK70(pJBK51)を作成する
ために、無毒性ワクチン株V.choleraeJBK70を差し
込まれる。
今回の発明のワクチン株は、特にInaba血清型を有する
V.choleraeN16961から得たものである。他の株又
は他の生物型や血清型のものは、毒素遺伝子又はV.chol
erae染色体に沿つた他の部位を欠いたワクチン株を生成
するために、N16961の代用として用いることが可
能であると考えられる。その様なワクチン株を分離する
目的は、この申請書中で述べているようにコレラに対す
る予防ワクチンとして、毒性株の変異誘発が大きな可能
性を秘めているからである。
例えば申請者は2つの複製毒素遺伝子中のほとんどAサ
ブユニツトの欠如を特徴とする他のV.choleraeワクチン
株CVD101を生成した。母株395が100%の有
効性を示すことからこのCVD101も100%の有効
性をもつものと考えられる。
CVD101の生成において、CVD101が技術を必
要とする耐性遺伝子ではなかつたという事実を除けば、
JBKの作成等を記載しているsupraに記されている原
理に従つて行つた。in vivoでの2番目及び最後の組み
換え型を淘汰する最終手順は、例えばテトラサイクリン
等の抗生物質に対する感受性を調べる技術が必要である
が、母株はテトラサイクリン耐性遺伝子CT中のA遺伝
子の部位に挿入するのである。そのような抗生物質に対
する感受性は、任意マーカーのもう一つの例であると考
えられる。
ワクチン株の生成は様々な方法で行うことが可能であ
る。方法を以下に示す。Vibrio choleraeを保存培養か
ら脳/心臓浸水寒天(BHIA)に継代培養し、37℃
で一晩繁殖させる。群及び型特異的抗血清を用いて同一
性をテストし、20から30のコロニーはBHIスープ
に浮遊させる。プレインキユベーシヨンされたBHIA
プレートをBHI懸濁液と共に接種する。5〜6時間の
インキユベーシヨン後、各プレートはpH7.2±0.1の緩衝
化無菌生理食塩水5mを用いて採取する。採取された
有機物を、750gで10分間低温にて遠心分離し、元
の量の4倍となるよう2回懸濁と水洗を繰り返す。その
懸濁液を分光光度計で測り、ワクチン投与に必要な微生
物の数(約106,これはボランテイアの研究結果による
ものである)に希釈する。最終的な接種物は投与前にグ
ラム株でテストされ、同一源の抗血清の凝集を検査す
る。
今回の発明のVibrio cholerae株は、経口で投与され得
るものである。2gのNaHCO3は5オンスの精製水で溶解
させ、この溶液4オンスをボランテイアに服用させる。
1分後に、残りの1オンスのNaHCO3液にビブリオ菌を混
入したものを服用させる。ボランテイアは、接種の前後
90分はNPOである。
安全性については、そのワクチン株は、疾病をひき起こ
す毒素産生能(例えば元のコレラ毒素を生成するよう
な)を再び有することは無いと推測される。毒素をテス
トする2つの検査法は、Y−1副腎細胞検査〔Sack,D.
A.et al.Infect.Immun.11,334(1975)〕と酵素連結イム
ノソルベント検査(ELISA)〔Sack D.A.et al.J.Clin.M
icro.11,35(1980)〕である。そのワクチン株(JBK7
0)は、それら2検査を繰返し行つた結果、いかなる場
合においても陰性であつた。しかしそれ以上に重要なの
は、毒素遺伝子の存在をみる遺伝子検査である。コレラ
毒素遺伝子のDNAを放射活性物でラベルし、その株中
の他のコレラ毒素遺伝子の同一性を確かめる。この方法
はSouthern,E.M.J.Mol.Bio.98,503(1975)によるもので
ある。この方法で検査したところ、この発明で述べてい
るワクチン株は、コレラ毒素を作り出す疑われる様な遺
伝子物質を有していなかつた。Baselski,V.et al.Infec
t.Immun.15,704(1977)によると、乳児マウスをモデルと
したワクチンテストが試行されている。10回繰り返し
て行つた一連の病原菌培養後、疾病の証拠となる水分の
蓄積がみられなかつたし、又、期待通りJBK70は乳
児マウスの腸内に潜伏していた。
次に示す例の中の技術・反応・分離方法は各分野におい
ては広く知られているものである。総ての酵素は市販さ
れており、New England BioLabs--Beverly,Massachuset
ta;Collaborative Research--Waltham,Massachusetts;M
iles Laboratories--Elkhart,Indiana;Boehringer Bioc
hemicals Inc.--Indianapolis,Indiana;and Bethesda R
esearch Laboratoy--Rockville,Maryland,等から得たも
のである。酵素による分解を制約するバツフアーや反応
条件は、各酵素のメーカーから与えられた忠告に従つ
た。制限酵素の部分分解では、各酵素のバツチの予備実
験から得られた酵素の濃度を用いて行われる。その他の
酵素反応,ゲル電気泳動法での分離、E.coliの形質変化
などの標準的方法論はMethod in Enzymology,Volume 6
8,Ray Wu,editor,Academic Press(1979)でみつけること
ができるかも知れない。もう一つの標準的参考文献はMa
niates,T.et al.Molecular Cloning,Cold Spring Harbo
r(1982)である。バクテリアはMiller,Experiments in M
olecular Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory(19
72)に記されている方法で繁殖させた。Vibrio cholerae
はLennett,E.A.et al.,eds,Manual of Clinical Microb
iology 3rd Edition,American Society of Microbiolog
y,Washington(1980)に記されている方法を用いて増殖さ
せた。E.coliとV.choleraeはJohnson,Steven R.et al.
J.Bact.137,531(1979);and Yokota,T.et al.J.Bact.10
9,440(1972)に記されている方法により結合させた。
この発明の株はRockvilleにあるthe American Type Cul
ture Collectionにあずけられている。その株はV.chole
rae JBK56,V.cholerae JBK70,V.cholerae N16961,V.cho
lerae JBK70(pJBK51).V.cholerae Ogawa 395とCVD1
01であり、それらの登録番号は各々39,317 ,39,318 ,
39,315 ,39,316 ,39,541 ,39,540である。
例1 毒素遺伝子に代わつて挿入される選択マーカー遺伝子を
もつプラスミドの作成 プラスミドJBK16は、毒素遺伝子をもつ染色体の4
kb PstI-Bgl IIフラグメントを含んでいる。毒素遺伝子
はAcc I部位により側面を攻撃されるが、内面にはAcc I
部位を含んでいる。JBK16はAcc Iで分解され、毒
素遺伝子を含むAcc Iフラグメントは、そのプラスミド
から分離されたものである。重なつて又は粘着してとど
まつているAcc Iの未満はE.coliポリメラーゼのKlenow
フラグメントで満たされていることにより、反応性が鈍
くなつている(というのは、Acc I分解後の一端のDN
Aは、隣接している末端部位で二鎖にされるのであ
る)。アンピシリン耐性の遺伝子はプラスミドpREG153
や、上述したような充満している粘着末端から精製され
る(pREG153はpREG151〔Weiss,A.et al.J.Bact.152,549
-552〕の誘導物であり、アンピシリン耐性の代わりにト
リメトプリム耐性やλcos鎖の添加により変形したもの
である)。Ap耐性遺伝子が、毒素遺伝子が欠損している
場所に入り込むために、このフラグメントはビブリオD
NAに結ばれる。その結果できたプラスミドはpJBK
21(図4)と称されるもので、毒素欠落部位にAp耐性
遺伝子を含んでいるものである。
例2 接合性遺伝子のV.cholerae移植と側面に在る同一源の連
鎖の添加 pJBK21中の遺伝子欠損の染色体に挿入が成功した
か否か確認するため、pJBK21からのPst-Bal IIの
各末端におよそ7,000bpのDNAを接続した(同一源
の組換えが起こる確率は、側面の同一連鎖の長さが増す
につれて高くなる)。これを行うと、約18kbのフラグメ
ントがN16961の染色体から複製された。この複製物は、
pJBK44と呼ばれ、各側のおよそ4kbのDNAによ
り、側面に4kb Pst-Bg1毒素遺伝子フラグメントを有す
るようになる(図5参照)。プラスミドpJBK21は
PstIで部分的に分解され、Pst部位の1つが切断される
(もう1つのPst部位はアンピシリン耐性遺伝子に含ま
れる)。更にBgl IIで分解され毒素部位が欠損していて
Ap耐性を含む4kb Pst-Bg IIフラグメントが分離してく
る。約18kbビブリオフラグメントを含むプラスミドpJ
BK44はBg1 IIで部分的に分解され、4Bg1 II部位の
1つが切断される。この部分的分解は、Pstでの完全分
解により引き継がれるもので、その結果生じたフラグメ
ントを精製して分析する。或るフラグメントは4kb Pst-
Bg1毒素フラグメント以外のpJBK44の連鎖をすべ
て含んでいることが判明した(図5参照)。側面DNA
をあらわすこのフラグメントは、アンピシリン耐性を含
むpJBK21からのPst-Bg1フラグメントと混合し、
結合させる。それによつてできたプラスミドpJBK5
4は、欠損した毒素遺伝子の代わりにアンピシリン耐性
遺伝子をもつ約17kbのビブリオ染色体を含んでいる。
この変形された染色体部位はV.cholerae中のプラスミド
中で複製される。このプラスミドpRK290〔Ditta,G.et a
l.Proc.Nat.Acad.Sci.77,7347(1980)〕はPグループと
共存不可能のプラスミドに属し、pJBK54が複製さ
れるEco R I部位を所有する(図6)。その結果できる
プラスミドpJBK55は、結合性プラスミドpRK2
013を使用してV.cholerae N16961に結合させられ、
V.cholerae N16961(pJBK55)(Apr)を生成する。
例3 in vivoでの組み換え 例で述べてきたように、接合性遺伝子の移植後、変異し
た毒素遺伝子はV.cholerae株N169691において染
色体外に存在するようになる(図1参照)。10-6から10
-8という低頻度で、その染色体内で同一の連鎖が対合
し、交替する(図7参照)。このような稀なる現象は、
染色体上の毒素遺伝子から毒素部位を欠除したプラスミ
ドにする。このような現象を選んでいくと、そのプラス
ミドの有する不和合性を促進することになる〔Ruvkin,
G.B.,supra〕。プラスミドは同一細胞で安定して共存で
き得る能力を基準としてAからWまでのグループに分類
できる。もし同一細胞内の2つのプラスミドの共存がが
安定していない場合は、これらは不和合性であり、同一
グループに属していると考えられる。それらは細胞中の
同一の複製機構を利用することからそのような不和合性
が起こると仮定できる。各々のプラスミドのもつ種々の
抗生物質に耐性を示す特徴を利用して選別することも可
能である。プラスミドpJBK55は、pRK290由
来であるため不和合(Inc)グループPに属する。プラ
スミドR702もまたIncPグループに属し、カナマイ
シン,テトラサイクリン,スルホンアミド,ストレプト
マイシンに耐性である。但しアンピシリンには耐性をも
たない。pR702(SnR)をN16961(pJBK
55)(ApR)に結合したり、アンピシリンとスルホン
アミドを共に含む培地で淘汰することによつて、pR7
02とpJBK55とは不和合性であるので、アンピシ
リン耐性が染色体に含まれスルホンアミド耐性がプラス
ミドR702に残るような細胞を作り出した(図2参
照)。でき上つた株JBK56(図3)はアンピシリン
耐性をもち、Y−1副腎細胞とGm1ELISAによるテストで
は毒性はないものであつた。更に、染色体DNAが複製
コレラ毒素(CT)遺伝子を含むDNAと交雑する場合で
も、JBK56は毒性がなかつたことから毒素遺伝子が
完全に欠損していると考えらえる。
R702上にある抗生物質耐性は、自然発生的に生じる
プラスミドをもたない誘導物を淘汰することにより除去
された(このことが起きうる頻度は1/2000であつた)。
例4 例1の選択性マーカーの除去 アンピシリン耐性を除去するために、Ap遺伝子のPst部
位で複製されるR100から、水銀(Hg)に対して耐性の
あるpJBK55の誘導物が作られ、アンピシリン耐性
が不活化された。この誘導物をpR702や上述のH
gR,ApS,V.choleraeの淘汰よりできるJBK56と結
合した。最終菌株V.choleraeJBK70は、すべての抗
生物質テストに感度があり、水銀に対しては耐性があ
り、かつ毒性のないものである。その染色体のDNAは
CT遺伝子を含むDNAと交雑しなかつた。染色体を形
成するDNAの不足から、JBK70は、毒素遺伝子欠
如、水銀耐性の挿入、アンピシリン耐性遺伝子の不活性
化ということを除けば、母株と変わつていないようにみ
える。毒素遺伝子は単に変異を起こしたのではなく、完
全に欠如されたのであるから、そのような株は毒素産生
能を再び持つことはない。
例5 抗毒素性免疫を与える接合性遺伝子の移植 もし、バクテリア性免疫と抗毒素性免疫の相互作用が望
ましいものであるならば、コレラ毒素のみのBサブユニ
ツトを生成するためにJBK70の誘導物を作ることが
できる。この目的を達成するために、Bサブユニツトだ
けを生成し、Aサブユニツトのための遺伝子を持たない
毒素誘導物を作りあげた(図8)。B産生遺伝子を含む
pJBK16からのHpa IIフラグメントは、遺伝子の片
側にBamHIとEcoRI部位をもつ媒介物であるMBmp7を複製
するフアージ中に組みこみ複製させた(図8)。側面に
BamHIを有するようになつたこのフラグメントは、次に
非常に強力なtrp促進物を含むpMS9に組みこまれ、
複製された。強力な促進物による転写のコントロールの
もとで作成されたB遺伝子の存在は、B抗原生成を確か
めればよい。複製物をテストすると、B抗原をもたぬも
のが約50%であつた。このことは、複製の挿入に対し
て2つの可能性を示している。1つはBサブユニツトを
生成する誘導物pJBK51が、V.choleraeJBK70
に結合し、母株N16961より多くのB抗原を生成す
るかのようにみえることである。もう1つはλPL促進
物を含む異つた促進物を用いてBのみの異性株が作ら
れ、それらがin vivoで明らかに異なるものになるので
ある。
例6 JBK70の毒素産生性の非再現と、乳児マウスの腸内
への潜入 乳児マウス(2.0〜3.5g)を母親から離し、3〜8時間
断食させた。それらの4匹に、第1日目に22gの動物
用給餌針で胃に接種を施した。この接種物は0.05m〜
0.1m量中に108CFU(コロニー形成ユニツト)/マ
ウスのJBK70であつた。また、この接種物はBasels
ki,V.et al.,supraで述べてあるように、BHIスープ
中で調整された。この接種物は約0.01%のエバンスブル
ー染色を含んでいる。これは、接種が適切に行きわたつ
ているか腹腔を通して確認するためのものである。エバ
ンスブルー染色の添加はJBK70の抑制を避けるた
め、2日目以降は実施しなかつた。引き続き行つた接種
はマウス→マウス(M×M)、又はマウス→プレート→
マウス(M×P×M)で実施したが、1日目の接種で使
用したBaselskiのプロトコールとは異つた接種物調整方
法を採用した。
M×Mの接種物の調整のために、無菌状態で胃から肛門
にかけて腹部を解剖した。内臓の重量を計測し、ガラス
・ホモジエナイザー管に移し、約0.5mのBHIスープ
を加えた。その混合物は、組織から液状になるまでテフ
ロン乳鉢で短時間に均質化した。こうしてできあがつた
懸濁液は、各乳児マウスに約108CFU接種するのに使
用された。それをMEA(肉汁添加寒天)プレート上に
置き純度をチエツクした。エバンスブルー染色は加えな
かつた。
M×P×M接種物調整には、細胞をMEAプレートから
BHIスープに移すのに白金耳を用いた。次に1mの
BHIに約1011CFU/mを加え、濃懸濁液を作成し
た。混合物を均質化させる為に攪拌し、0.05〜0.1m
(約1010CFU)を各乳児マウスに接種した。エバンス
ブルー染色は添加しなかつた。
これらすべての接種のためにマウス達を室温73〜76
゜Fに保ち、ビーカー内に入れておく。ビーカーは周囲の
温度よりやや高めの78゜Fくらいに保つために、ゆるく
カバーされているプラスチツクの箱に入れられた。
結果が表Iで示されているように、次の動物に接種した
場合、MEAプレート上のチエツクによるとその腸には
十分なテスト細胞が在つた。それ故にVibrio cholerae
JBK70は乳児マウスの内臓に潜伏したのである。更
に、FAの割合において十分な増加がないので水分蓄積
量の増加はみられなかつた(FA率が0.065以上である
場合は水分蓄積量が顕著である)。毒素産生性の回復は
なかつた。
例7 Aサブユニツトの遺伝コードをもつ遺伝子のうち、遺伝
子欠損の制限フラグメントを有するV.cholerae株CVD101
の作成 弱毒化ワクチンとして選ばれるもう一つのクラシカル株
はV.cholerae Ogawa 395(以下395で示す)であ
り、それはN16961のようにボランテイアで広く研
究されており、十分な免疫を与える〔Levine,M.M."Immu
nity to cholera as evaluated in volunteers,"in Cho
lera and Related Diarrheas:43rd Nobel Symposinm,St
ockholm1978.(O.Ouchterlony&J.Holmgren,eds.)Basel:
S.Karger,pp.195-203(1980);Levine,M.M.et al.Acute E
nteric,supra(1981)〕。395の弱毒化に使用される方
法はN16961で用いられた方法と大差のないもので
ある(例1−5で述べているように)。
最初の手順は395の2つの毒素遺伝子を複製し、染色
体上に並べることであつた。Southernブロツト分析によ
り、長さが各々16と12kbの2つのHind IIフラグメ
ントを見つけた。2つとも複製コレラ毒素遺伝子をもつ
ものである。これらのフラグメントはアガロースゲル免
疫電気泳動により精製され、pBR325で分解された
アルカリ性フオスフアターゼ処理−Hind IIになる(図
9)。その結果できる毒素遺伝子を含む組み換えしたプ
ラスミドはpCVD14,pCVD15と呼ばれる。
プラスミドpCVD14とpCVD15は、制限エンド
ヌクレアーゼによつて染色体上に並べられる。約550bp
のXba I−Cla Iフラグメントが発見されたが、これ
は最初の10個のアミノ酸残基のためのコードンをもた
ないAサブユニツトの塩基鎖を含んでいる。このXba
I−Cla IのフラグメントはpCBD15のため
の、図10で示すような連続的技法で、pCVD14と
pCVD15から除去される。最初にClaでの部分分解
することは、5つのCla I部位の1つが切られている
綿状の分子をもつ個体を産生する。次に、綿状の分子の
末端はDNAポリメラーゼでblunt-endedにされる。Xba
Iの連結部位は、Xba I部位がCla I部位の1つで
置換されるような分子を産生するblunt-endedなCla I
部位と結合する。Xba I酵素はその連結部位を除去す
るために加えられる。またXba Iフラグメント上のテ
イラシクリン耐性遺伝子を加え結合させる。E.coli K-1
2への転移とテトラサイクリン上の選択の後、多くの転
移物を含むプラスミドをテストする。多くの欠損変異株
は1つ乃至それ以上のXba I−Cla Iフラグメント中
にみられる。A遺伝子を有する欠損変異株を選ぶ。p
CVD25とよばれるこの欠損変異株は精製され、Xba
で分解され、テトラサイクリン耐性遺伝子を除去するた
めに再結合される。こうして出き上つた複製物PCVD
30は、Y−1副腎検査で測定すると、ホロトキシンに
対して陰性である〔Sack,D.A.et al.supra(1975)〕。し
かしELISAで測定を行うと、Bサブユニツトの生成物に
対しては陽性である〔Sack,D.A.et al.supra(1980)〕。
を標識したものを使用するDNA水素化法によれ
ば、Aに対する遺伝子を欠いていることが判明する。
毒性を欠いた変異株を含むpCVD30のHind IIフラ
グメントはTcに感受性があり、Cmに耐性があるpRK2
90の誘導物であるpJBK85に移される。その結果
生じたプラスミドが、pJBK108と呼称されるもの
なのである。
pJBK108のうちで毒性を欠いた変異株中の、選択
性マーカーを欠いているものには、以前El Tor N16
961を弱毒化するのに用いた方法の変法が必要であ
る。395からA遺伝子を除去させるには、pCVD
15からのHind IIフラグメントをpJBK85に組み
込めてpJBK88を生成する(図11)。Xba Iフ
ラグメント上のテトラサイクリン耐性遺伝子はpJBK
88のA遺伝子内のXba部位に組み込まれ、pJBK
107を生成する。このテトラサイクリン耐性は、以前
V.choleraepJBK56のためにしたように395の染
色体に組換えられる。pJBK107(Ter,Cmr)は3
95に集められ、2番目のIncPプラスミドであるpR751
(Tpr)が誘発される。Ter,Tpr,Cmsコロニー抽出する
と、V.choleraeJBK113になる。JBK113は染
色体の毒素遺伝子内にテトラサイクリン耐性遺伝子を含
む。欠損変異株を含むpJBK108は、V.choleraeJ
BK113に集められる。染色体に集められた欠損変異
株の同一源組み換えは、A遺伝子鎖を失わしめる。そ
のことにより、テトラサイクリン耐性が失われるように
見えるのである。又、その様な組み換えの起きうる頻度
は大変少ないので、テトラサイクリン耐性細胞をテトラ
サイクリン感受性細胞に変える方法が用いられる。その
方法とは、テトラサイクリンは静菌性の抗生物質である
が、一方アンピシリンやD−サイクロセリンは殺菌性の
抗生物質であるという事実を利用するものである。それ
故にpJBK108を含むV.choleraeJBK113の培
養菌は2μg/mのテトラサイクリン、50μg/m
のアンピシリンおよび50μg/mのD−サイクロセ
リンを含むL−培養液中には、37℃、3時間で成長す
る。3時間の終りには、ほとんどのテトラサイクリン耐
性細胞は死んでおり、テトラサイクリン感受性細胞はL
−寒天上に移してみることができるし、テトラサイクリ
ンによつて複製されたものもL−寒天上でみることがで
きる。テトラサイクリン感受性のコロニーは、DNAの
交雑により生まれるA遺伝子の存在に必要不可欠であ
る。Aサブユニツトを複製する遺伝子が欠如したテト
ラサイクリン感受性株はV.choleraeCVD101と呼称
され、ELISAでBサブユニツトを生成するのをテストす
るためのものである〔Sack,supra〕。V.choleraeCVD
101は毒素産生性の母株V.cholerae395と全く同量
のBサブユニツトを抗原として生成することが判明し
た。
例8 毒素遺伝子のDNA鎖 V.cholerae Inaba62746の毒素遺伝子の完全なDN
A鎖は決定れているし、その一部はLockman et al.,J.B
iol.Chem.258,137-22(1983)で報告されている。pCV
D14とpCVD15の染色体上に並んでいる制限エン
ドヌクレアーゼは、株62746にみられる連鎖が39
5の毒素遺伝子にも存在していることを示している。55
0bpのXba I−Cla Iフラグメントを除去した後Xba鎖
を加えることができると予想される接合は、図12に示
してある。コレラ毒素のXba Iの部位はA構成遺伝
子の10と11のアミノ酸残基である(Aの最初の鎖
の18のアミノ酸は測定していない)。その鎖のCla
I部位は、Aの最後の残基に、又Aの最初の残基に
位置している。
この発見は明確に具現化したものについて述べられてい
るが、より一層の修正が可能であると思われるし、この
申請書は発明の原理の他に、様々なバリエーシヨン、使
用法及び適応方法についても述べられているものであ
る。また、現在は未知のものについての指針となるべき
事項も含まれているものである。
【図面の簡単な説明】
図1.V.choleraeN16961(pJBK55)(Ap
r)の図解 図2.交差の過程と、V.choleraeJBK56を生成する
接合性遺伝子の移植の図解 図3.V.choleraeJBK56の図解 図4.JBK21の生成の図解 図5.JBK54生成の図解 図6.V.choleraeJBK56生成の図解 図7.交差によるin vivoでの再結合と毒素遺伝子の除
去の図解 図8.pJBK51生成の図解 図9.pCVD14とpCVD15の生成の図解 図10.pJBK108生成の図解 図11.pJBK107生成の図解 図12.Ogawa395におけるAサブユニツトの欠損Xba
I −Cla I 550bpフラグメントの末端を決定するXb
a IとCla I部位のDNA鎖(上図)。このフラグメ
ントの欠如後におけるCVD101内の結合及びXbaの
挿入(下図)の図解。 図中での制限エンドヌクレアーゼ部位の略字は以下の通
りである。 A=AccI制限エンドヌクレアーゼ部位 B=Bg1 II 〃 C=Cla I 〃 E=EcoRI制限エンドヌクレアーゼ部位 H=Hind II 〃 P=Pst I 〃 S=Sa1 I 〃 X=Xba I 〃 図中及び本文中のその他の略字の意味 Ap=アンピシリン耐性遺伝子 Apr= 〃 〃 の表現型 Ap3= 〃感受性遺伝子の表現型 Chrom=染色体 Cm=クロラムフエニコール耐性遺伝子 CT=コレラ毒素 CTA= 〃のAサブユニツトをもつ遺伝子 CTB= 〃 B 〃 kb=キロベース(1000単位塩基) P=プラスミド Su=スルホンアミド Sur= 〃 耐性遺伝子の表現型 Te=テトラサイクリン Tcs=テトラサイクリン耐性遺伝子の表現型 Tp=トリメトプリン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/21 C12R 1:63) (56)参考文献 Kaper.J.B.etal “In fect.Iwmun.”32,661(1981) James B.Kapereral. “THE LANCET”2,6[8256 ]1162−1163(1981) Maria L.Gennaro et al.“Nucleic Acids R esearch”0,[16]4883−4890 (1982)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無毒性を付与するのに十分なコレラトキシ
    ンAサブユニットの少なくとも一部をコードする染色
    体DNAを欠損し、抗生物質耐性DNAを有さず水銀耐
    性をコードするDNAを有し、免疫性を付与するのに十
    分なコレラトキシンBサブユニットの少なくとも一部を
    発現する染色体DNAを有し、宿主動物の腸へ潜伏する
    能力を有することを特徴とする遺伝子工学的に作成され
    た無毒性Vibrio cholerae。
  2. 【請求項2】AサブユニットをコードするDNAが全
    部欠損しているものである特許請求の範囲第1項記載の
    遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholerae。
  3. 【請求項3】Inaba血清型である特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vi
    brio cholerae。
  4. 【請求項4】Inaba血清型のN16961株である特許
    請求の範囲第3項記載の遺伝子工学的に作成された無毒
    性Vibrio cholerae。
  5. 【請求項5】Inaba血清型の569B株である特許請求
    の範囲第3項記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vi
    brio cholerae。
  6. 【請求項6】Ogawa血清型である特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vi
    brio cholerae。
  7. 【請求項7】Ogawa血清型395株である特許請求の範
    囲第6項記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio
    cholerae。
  8. 【請求項8】水銀耐性をコードするDNAが、Vibrio c
    holerae微生物の染色体に組み込まれている特許請求の
    範囲第1〜7項のいずれかに記載の遺伝子工学的に作成
    された無毒性Vibrio cholerae。
  9. 【請求項9】宿主動物が、哺乳動物である特許請求の範
    囲第1〜8項のいずれかに記載の遺伝子工学的に作成さ
    れた無毒性Vibrio cholerae。
  10. 【請求項10】哺乳動物が、ヒトである特許請求の範囲
    第9項記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio c
    holerae。
  11. 【請求項11】無毒性を付与するのに十分なコレラトキ
    シンAサブユニットの少なくとも一部をコードする染
    色体DNAを欠損し、抗生物質耐性DNAを有さず水銀
    耐性をコードするDNAを有し、免疫性を付与するのに
    十分なコレラトキシンBサブユニットの少なくとも一部
    を発現する染色体DNAを有し、宿主動物の腸へ潜伏す
    る能力を有することを特徴とする遺伝子工学的に作成さ
    れた無毒性Vibrio choleraeを有効成分とするコレラ症
    状予防用ワクチン剤。
  12. 【請求項12】前記コレラ症状予防用ワクチンは、全細
    胞生ワクチンであることを特徴とする特許請求の範囲第
    11項記載のワクチン剤。
  13. 【請求項13】前記コレラ症状予防用ワクチンは、経口
    ワクチンであることを特徴とする特許請求の範囲第11
    項記載のワクチン剤。
  14. 【請求項14】次の(a)〜(h)の手順を含むことを特徴と
    する遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholerae
    の製造方法。 (a)欠損コレラトキシンDNAのフランキング配列及び
    欠損したコレラトキシンDNAの代わりに置換された最
    初の選択マーカーを含む最初のプラスミドを得る;当該
    フランキング配列がin vivoにおける検出可能な組み換
    えを促進するのに十分な長さを有し、欠損されたDNA
    が毒性トキシンをコードするのに必要なコレラトキシン
    サブユニットの少なくとも一部をコードする;(b)
    当該最初のプラスミドを毒性Vibrio choleraeに移入す
    る; (c)最初の選択マーカーとは異なる第2の選択マーカー
    をコードするDNAを含む最初のプラスミドとは異なる
    第2のプラスミドを得る; (d)第2のプラスミドを毒性Vibrio choleraeに移入す
    る; (e)最初の選択マーカー及び第2の選択マーカーの両者
    に耐性を有するVibrio choleraeを選択し、無毒性Vibri
    o choleraeを得る; (f)水銀耐性をコードするDNAを含む第3のプラスミ
    ドを得る; (g)第3のプラスミドをステップ(e)で選択された無毒性
    Vibrio cholerae微生物に移入して水銀耐性を有する無
    毒性Vibrio choleraeを得る;(h)免疫性を付与するのに
    十分なコレラトキシンBサブユニットの少なくとも一部
    を発現し、かつ宿主動物の腸内潜伏能力を有するステッ
    プ(g)で生成したVibrio choleraeを単離する。
  15. 【請求項15】ステップ(b)の毒性Vibrio choleraeが、
    Inaba血清型である特許請求の範囲第14項記載の遺伝
    子工学的に作成された無毒性Vibrio choleraeの製造方
    法。
  16. 【請求項16】ステップ(b)の毒性Vibrio choleraeが、
    Inaba血清型N16961株である特許請求の範囲第1
    5項記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cho
    leraeの製造方法。
  17. 【請求項17】ステップ(b)の毒性Vibrio choleraeが、
    Inaba血清型569B株である特許請求の範囲第15項
    記載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholera
    eの製造方法。
  18. 【請求項18】ステップ(b)の毒性Vibrio choleraeが、
    Ogawa血清型である特許請求の範囲第14項記載の遺伝
    子工学的に作成された無毒性Vibrio choleraeの製造方
    法。
  19. 【請求項19】ステップ(b)の毒性Vibrio choleraeが、
    Ogawa血清型395株である特許請求の範囲第18項記
    載の遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholerae
    の製造方法。
JP59040586A 1983-03-04 1984-03-05 遺伝子工学的に作成された無毒性Vibrio cholerae、その用途及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH0630569B2 (ja)

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