JPH06303872A - ラン科植物の封入体及び当該封入体を用いたラン科植物の育成方法 - Google Patents

ラン科植物の封入体及び当該封入体を用いたラン科植物の育成方法

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JPH06303872A
JPH06303872A JP5098147A JP9814793A JPH06303872A JP H06303872 A JPH06303872 A JP H06303872A JP 5098147 A JP5098147 A JP 5098147A JP 9814793 A JP9814793 A JP 9814793A JP H06303872 A JPH06303872 A JP H06303872A
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JP
Japan
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plant
gel
inclusion body
growth
orchidaceae
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Application number
JP5098147A
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English (en)
Inventor
Michio Tanaka
道男 田中
Masami Yoneyama
昌美 米山
Katsunori Noguchi
勝憲 野口
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Katakura Chikkarin Co Ltd
Kagawa University NUC
Original Assignee
Katakura Chikkarin Co Ltd
Kagawa University NUC
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Publication date
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラン科植物の保存若しくは輸送に適した封入
体に、そして当該封入体を用いるラン科植物の育成方法
の提供。 【構成】 ラン科植物のプロトコーム、プロトコーム状
球体、若しくはライゾームのゲル内封入体、又は滅菌水
内封入体、並びに当該封入体を非無菌条件下で培地支持
体に置床し、これを育成することを特徴とする、ラン科
植物の育成方法の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラン科植物の保存若し
くは輸送に適した封入体に、そして当該封入体を用いる
ラン科植物の育成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ラン科植物の種苗生産は無菌条件
下で、主にフラスコ内の寒天培地に播種し、若しくは当
該寒天培地に小苗やプロトコーム状球体(PLB)を植
え込んで、長期間にわたって光や温度をコントロールす
ることによって苗を育成していた。
【0003】ラン科植物の苗の流通は主に、上記フラス
コ苗、若しくはコミニュティーポットの形態で行われて
おり、当該流通形態は輸送においても容器の破損、輸送
経費の増大等の多くの問題を含有していた。また、栽培
農家や種苗センター等の苗生産現場において、上記のフ
ラスコ苗をフラスコから注意深く摘出し、さらにその根
を傷めないように寒天等の培地素材を洗い落として鉢上
げされていた。そして、一般にこれらの鉢上げされた苗
は、閉鎖系の培養容器において育成されているため、当
該苗は乾燥に弱く、かつ鉢上げ・順化後の活着に劣ると
いう欠点があった。
【0004】さらに、上記流通・鉢上げ・順化・栽培の
一連の作業には多大な人手と大規模な設備を必要とし、
ラン科植物の苗生産自体がコスト高になる大きな原因と
なっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明が解決す
べき課題は、ラン科植物の保存性を向上させることによ
り、当該植物体の流通の簡素化、ならびに種苗生産の省
力化と効率化を図り、人件費、設備費等のコストを低減
して、優良苗の生産を企図する手段を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決を企図して鋭意検討を重ねた結果、ラン科植物をゲ
ル中や無菌水中に封入することにより、当該植物の保存
性を向上させ得ることを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の事項をその要旨とするもので
ある。
【0007】(1) ラン科植物のプロトコーム、プロトコ
ーム状球体、又はライゾームのゲル内封入体。 (2) ラン科植物のプロトコーム、プロトコーム状球体、
又はライゾームを滅菌水中に封入することを特徴とする
封入体。 (3) ゲル中に養分、生長調節物質、及び/又は殺菌剤が
含まれていることを特徴とする前記(1)記載の封入体。
【0008】(4) 滅菌水に養分、生長調節物質、及び/
又は殺菌剤が含まれていることを特徴とする前記(2)記
載の封入体。 (5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載されたラン科植物の
プロトコーム、プロトコーム状球体、若しくはライゾー
ム、又はそれらのゲル内封入体を、非無菌条件下で培地
支持体に置床し、これを育成することを特徴とする、ラ
ン科植物の育成方法。
【0009】(6) 培地支持体に養分、生長調節物質、及
び/又は殺菌剤を添加したことを特徴とする、前記(5)
記載のラン科植物の育成方法。 (7) ゲル中にラン科植物共生菌が含まれていることを特
徴とする、前記(1)若しくは(3)記載のゲル内封入体。 (8) 滅菌水中にラン科植物共生菌を含有させたことを特
徴とする、前記(2)若しくは(4)記載の封入体。
【0010】(9) 培地支持体にラン科植物共生菌を含有
させたことを特徴とする、前記(5)若しくは(6)記載のラ
ン科植物の育成方法。 (10) 栽培を、密閉容器内で炭酸ガスを封入して行うこ
とを特徴とする、前記(5)、(6)、若しくは(9)記載のラ
ン科植物の育成方法。 以下、本発明について詳細に説明する。 A.本発明を適用することが可能なラン科植物の種類は
特に限定されない。例えば、カトレヤ、ファレノプシ
ス、デンドロビウム、シンビジウム、パフィオペディル
ム、バンダ、アスコセンダ、エピデンドラム、ミルトニ
ア、オンシジウム、オドントグロッサム、エピフロニチ
ス、エビネ、サギソウ、シュンラン、カンラン等を挙げ
ることができる。
【0011】本発明において「プロトコーム」とは、ラ
ン科植物が無菌発芽し、球状の形態になっているものの
ことをいう。また「プロトコーム状球体(PLB)」と
は、ラン科植物の茎頂等を培養した結果、形成される前
記プロトコームに類似した植物体をいう。さらに「ライ
ゾーム」とは、東洋系シンビジウム類の種子の無菌発芽
後、あるいは茎頂を培養した結果、形成される地下茎に
類似した組織をいう。
【0012】本発明封入体は、上記ラン科植物のプロト
コーム、プロトコーム状球体、又はライゾーム(以下、
プロトコーム等と記載する)をゲル内に封入して調製す
ることを特徴とする。かかる封入は、通常公知のゲル化
剤を用いて、かつ通常公知の封入手段に従って行うこと
ができる。
【0013】ここにいうゲル化剤は、接触することによ
り被接触植物に毒性を示さない限りにおいて、本発明に
適用するのに特に限定されない。例えば、アルギン酸、
カラギーナン、ゼラチン、寒天、アクリルアミド、アク
リル酸等の水溶性高分子等を当該ゲル化剤として例示す
ることが可能であり、その中でもアルギン酸は、酸素透
過性に優れ、かつ化学的安定性にも優れるという点で好
ましい。
【0014】上記ゲル内へのプロトコーム等の封入手段
としては、例えば液滴硬化法等を挙げることができる。 B.また本発明は、前記プロトコーム等を滅菌水中に封
入することをも含む。 本発明において「滅菌水」とは、熱等の何らかの殺菌手
段を施した水のことをいい、具体的にはイオン交換水、
蒸留水等をいうものである。
【0015】かかる滅菌水中へのプロトコーム等の封入
手段は、プロトコーム等から水分が損なわれることなく
保持できるという条件を満たす限りにおいて特に限定さ
れず、ガラス製容器、ビニルフィルム製容器、プラスチ
ックス製容器等への密封等の封入手段を採ることができ
る。 C.前記A・Bに示したゲル中若しくは滅菌水中に、必
要に応じて養分、生長調節物質、及び/又は殺菌剤を添
加することができる。
【0016】ここに、「養分」とは、添加することでラ
ン科植物の生育を促進させる物質(下記の「生長調節物
質」を除く)のことををいい、具体的には窒素、リン
酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄等の多
量必須元素;鉄、マンガン、亜鉛、モリブデン、ホウ
素、塩素等の微量必須元素;塩酸チアミン、ニコチン酸
等のビタミン類;バクトペプトン、カゼイン加水分解物
等のペプチド、アミノ酸類等; ジャガイモやバナナ等か
らの抽出物等の天然有機物を挙げることができる。
【0017】具体的には窒素源としては、窒素重量換算
で20〜400ppmの範囲で培地中に添加することが可能であ
り、100〜200ppm添加することが好ましい。リン酸源と
しては、リン酸重量換算で20〜400ppmの範囲で培地中に
添加することが可能であり、100〜200ppm添加すること
が好ましい。塩酸チアミンは、0.1〜10ppm培地中に添加
することが可能であり、0.1〜1ppm添加するのが好まし
い。バクトペプトンは、300〜3000ppm培地中に添加する
ことが可能であり、1000〜2000ppm添加するのが好まし
い。
【0018】「生長調節物質」とは、その微量を添加す
ることでラン科植物の生長を促進若しくは抑制し得る物
質のことをいい、ナフタレン酢酸、インドール酢酸等の
オーキシン;ベンジルアデニン、カイネチン等のサイト
カイニンやジベレリン等を挙げることができる。具体的
にはナフタレン酢酸は、培地中に0.01〜10ppm、好まし
くは0.1〜5ppm添加することができる。ベンジルアデニ
ンは、培地中に0.01〜10ppm、好ましくは0.1〜5ppm添加
することができる。カイネチンは、培地中に0.01〜10pp
m、好ましくは0.1〜5ppm添加することができる。ジベレ
リンは、培地中に0.1〜10ppm、好ましくは1〜5ppm添加
することができる。
【0019】「殺菌剤」とは、ラン科幼植物体に寄生し
て当該幼植物体の生育を阻害する微生物を駆除し得る物
質をいい、ストレプトマイシン、ペニシリン等の抗生物
質;ダコニール等のテトラクロルイソフタロニトリル
剤;ベンレート等のベノミル剤;アンチホルミン等の塩
素剤;塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザ
ルコニウム等の四級アミン類等を挙げることができる。
【0020】具体的にはベンレートは、培地中に100〜1
000ppm、好ましくは100〜500ppm添加することができ
る。ストレプトマイシンは、培地中に100〜1000ppm、好
ましくは100〜500ppm添加することができる。アンチホ
ルミンは、培地中に10〜500ppm、好ましくは10〜50ppm
添加することができる。塩化セチルトリメチルアンモニ
ウムは、培地中に100〜1000ppm、好ましくは100〜500pp
m添加することができる。
【0021】これらの養分、生長調節物質、及び/又は
殺菌剤のゲル中若しくは滅菌水中への添加量は、上記成
分を添加することにより、当該添加による所望の効果を
奏し、かつプロトコーム等の生長に悪影響を及ぼさない
限りにおいて特に限定されるものではない。上記のごと
く、当該添加量は添加により企図する効果や具体的な添
加物の種類に応じて適宜調整することができる。
【0022】なお、加熱することにより、その効力を消
失する物質の添加に際しては、ろ過滅菌後に添加するこ
とが好ましい。 D.なお、上記の養分等の他に、ラン科植物の生育促進
と雑菌の抑制等の効果を企図して、ゲル内若しくは滅菌
水内にラン科植物共生菌を添加することができる。
【0023】ここでラン科植物共生菌としては、ラン科
植物の根部より分離・選抜して得ることのできる菌、及
び通常公知のラン科植物共生菌を添加することができ
る。具体的には、Curtobacterium sp.P-4(FERM P-1360
5)、Bacillus sp.P-7 (FERM P-13604)等を挙げるこ
とができる。これらのラン科植物共生菌は、単独でも添
加することが可能であるが、2種以上を組み合わせて添
加して用いることもできる。
【0024】なお培地中にラン科植物共生菌と共に上記
殺菌剤を添加する場合には、当該ラン科植物共生菌の生
存を阻害しない限度の濃度で当該殺菌剤を添加すること
が必要である。 E.上記により得られた封入体を、非無菌条件下で培地
支持体に置床し、これを育成することで完全なラン科植
物の成長体を得ることができる。
【0025】ここで「非無菌条件下」とは、滅菌処理を
施していない器具の使用や、クリーンベンチを用いない
開放系の無菌環境でない雰囲気のことをいう。「培地支
持体」とは、栄養等を含む液体を保持し、また植物組織
を保持・保護するものであり、具体的にはロックウー
ル、バーミキュライト、パーライト、ピートモス等、及
びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0026】かかる培地支持体に、上記で得られたラン
科植物封入体を非無菌条件下において置床して通常ラン
科植物の成長を企図する方法に従ってラン科植物の成体
を得ることができる。なお、当該成長過程において、二
酸化炭素を通気して成長を企図することがラン科植物の
成長促進と健全苗の育成という点において好ましい。さ
らに、かかる二酸化炭素を通気せずに封入して成長を企
図することも可能である。
【0027】ここで二酸化炭素の供給源としては、液体
炭酸ボンベや炭酸水素ナトリウム等の物質からなる炭酸
ガス発生剤を挙げることができる。なお、具体的な二酸
化炭素の通気量は、過剰に高濃度の二酸化炭素の存在に
よりラン科植物の生育の障害を起こさない範囲で行うべ
きであるという観点より、500〜3000ppmの範囲で通気を
行うことが好ましい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
当該実施例により本発明の技術的範囲が限定されて解釈
されることはない。 〔実施例1〕ファレノプシス・プロトコーム及びゲル内
封入体の保存性の検討 ファレノプシスの未分化プロトコームとそのプロトコー
ムを2%アルギン酸ナトリウム溶液に混合し、ピペット
で50mM塩化カルシウム溶液に滴下し、30分放置してアル
ギン酸カルシウム・ゲル内に封入した培養体を調製し
た。これを滅菌水で3 回洗浄後、十分量の滅菌水を入れ
た三角フラスコに密封し、25℃・16時間明所/日で2〜
5カ月間保存した。所定の保存期間終了後に微粉ハイポ
ネックス(6.5:6:15)3g/L+20g/Lシューク
ロース+標準濃度のMSビタミン類+バクトペプトン1
g/L、pH5.3、寒天0.9%のファレノプシス育苗培地へ
置床し、置床後45日で生育する個体の割合を調査した。
その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】この結果より、ファレノプシス・プロトコ
ーム及びそのゲル内封入体は優れた保存性を保ち、この
形態で流通させることが十分可能であることが判明し
た。 〔実施例2〕ファレノプシス・プロトコーム及びゲル内
封入体の非無菌条件下での置床 プロトコームの葉長0mmと2mmのものを材料として、ゲ
ル内封入体の調製は、前記の実施例1と同様に行った。
これらのプロトコーム及びゲル内封入体を微粉ハイポネ
ックス(6.5:6:19)500倍液を十分量含ませたバーミ
キュライト育苗床に置床した。置床71日後の生存率と発
根率を調査した。その結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】開放系、非無菌条件下での置床であっても
ファレノプシス・プロトコーム及びゲル内封入体は、高
率で生存した。また、置床材料としてはプロトコームの
生育段階によりやや異なり、葉長2mmのものが0mmのも
のに比べるとやや生存率が高かった。いずれにしても苗
生産システムの材料に適していることが判明した。 〔実施例3〕エビネのプロトコーム及びゲル内封入体の
保存性と非無菌条件下での置床生育 無菌播種で得られたプロトコームを実施例1と同様の方
法でゲル内に封入したものとプロトコームを滅菌水中で
25℃、暗所で3カ月保存後、微粉ハイポネックス(6.
5:6:19)500倍液を十分量含ませたバーミキュライト
育苗床に置床した。置床100日後の生存率と発根率を検
討した。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】エビネのプロトコーム及びゲル内封入体
は、この実施例において優れた保存性を保ち、当該形態
で流通することが容易であることが判明した。 〔実施例4〕ファレノプシス・プロトコームを封入する
ゲルに養分を添加した場合の生育についての検討 微粉ハイポネックス(6.5:6:19)2g/L濃度にな
るように、2%アルギン酸ナトリウム溶液と50mM塩化カ
ルシウム溶液の両方に添加し、プロトコームをゲル内に
封入し、養分を保持させた。これらを微粉ハイポネック
ス(6.5:6:15)3g/L+20gシュークロース+標
準濃度のMSビタミン類+バクトペプトン1g/L、pH
5.3のファレノプシス育苗培地を含ませたロックウール
培地上に置床し、100日間培養後の生育状況を検討し
た。結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】ゲル内に養分を添加することにより初期生
育が優れることが判明した。 〔実施例5〕ファレノプシス・プロトコームとゲル内封
入体の非無菌条件下での殺菌剤添加の影響の検討 ファレノプシス・プロトコームを非無菌条件下で微粉ハ
イポネックス(6.5:6:15)3g/L+20g/Lシュ
ークロース+標準濃度のMSビタミン類+バクトペプト
ン1g/L、pH5.3 のファノレプシス育苗培地に殺菌剤
としてベンレートとストレプトマイシンを各々100ppmと
各々1000ppmの混合溶液を含ませたロックウール培地に
置床し、110日後に生育を調査した。結果を表5に示
す。
【0037】
【表5】
【0038】実施例1と同様の方法で調製したゲル内封
入体に殺菌剤として、ベンレートとストレプトマイシン
を各々100ppmと各々1000ppmを混合した溶液に1時間浸
漬後、ファレノプシス育苗液体培地を含ませたロックウ
ール培地に置床し、110日後にその生育を調査した。そ
の結果を表6に示す。
【0039】
【表6】
【0040】この結果より、殺菌剤の添加量が高濃度に
なると枯死数がやや増加し、地下部の生育がやや抑制さ
れる傾向にあるが、苗生産には十分に適用可能であるこ
とが判明した。 〔実施例6〕ファレノプシス・PLBとゲル内封入体の
非無菌条件下での殺菌剤アンチホルミンの影響 ファレノプシス・プロトコーム状球体と実施例1と同様
の方法で調製したファレノプシス・プロトコーム状球体
のゲル内封入体を非無菌条件下でアンチホルミン0.001
%を添加した無糖ハイポネックス液体培地を含ませたロ
ックウール培地に置床し、50日後に正常植物体への当該
プロトコーム状球体の生育割合を調査した。
【0041】結果を表7に示す。
【0042】
【表7】
【0043】培地中へのアンチホルミンの0.001%の添
加により、無菌培養時と同程度の正常植物体への生育が
認められ、苗生産には十分に当該アンチホルミンの添加
を適用することができることが認められた。 〔実施例7〕ファレノプシス共生菌(Curtobacterium s
p.P-4(FERM P-13605))の殺菌剤に対する耐性の検討 ベンレート(ベノミル50%)、塩化セチルトリメチルア
ンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ストレプトマイシ
ン硫酸塩、アンチホルミンを、各10000,1000,100,10ppm
の濃度になるように添加した標準寒天平板培地(酵母エ
キス2.5g,ペプトン5g, グルコース1g/L,pH6.6)
を調製し、これに予め酵母エキス・ペプトン液体培地
で振盪培養培養したCurtobacterium sp.P-4 菌の希釈シ
リーズを塗抹した。30℃で4日後の菌数を計数した。結
果を表8に示す。
【0044】
【表8】
【0045】ファレノプシス共生菌Curtobacterium sp.
P-4 菌は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベ
ンザルコニウムの10ppm以上の濃度で生育を抑制される
が、ベンレート、アンチホルミンの1000ppm以下の濃度
では生育に対して影響を与えなかった。また、ストレプ
トマイシン硫酸塩は100ppmで生育をやや抑制され、100p
pm以下では生育に対して影響を与えなかった。このこと
より、殺菌剤の選択により、殺菌剤と共生菌の組み合わ
せ利用も可能なことが示唆された。 〔実施例8〕ファレノプシス・プロトコーム状球体とゲ
ル内封入体の非無菌条件下での雑菌抑制と生育促進のた
めにラン科植物共生菌接種の影響 ファレノプシスPLBと実施例1と同様な方法で調製し
たPLBのゲル内封入体を無菌通気膜を装着した透明プ
ラスチックス製培養容器内の無糖ハイポネックス・ロッ
クウール培地に置床した。
【0046】培養140日後に当該PLBの生育を調査し
た。結果を表9に示す。
【0047】
【表9】
【0048】Curtobacterium sp.P-4 菌は非無菌条件下
で雑菌を抑制するために、コントロールより生存率が高
く、また生育優良な個体(根長5mm以上の苗) の割合が
高かった。そして、Curtobacterium sp.P-4 菌接種後に
培養することにより、地上部の生育が促進されることが
判明した。 〔実施例9〕ファレノプシス・プロトコーム球状体とゲ
ル内封入体の無菌条件での炭酸ガス施用の影響 ファレノプシス・プロトコームと実施例1と同様の方法
で調製したPLBのゲル内封入体を無菌通気膜を装着し
た透明プラスチックス製培養容器内の無糖ハイポネック
ス・ロックウール培地に置床した。これらを培養室内の
デシケーターに収納し、炭酸ガス施用(デシケーター内
炭酸ガス濃度 2700〜3000ppm)を行った。培養124日後に
生育を調査した。その結果を表10に示す。
【0049】
【表10】
【0050】炭酸ガス施用により、上記の生育調査項目
すべてにおいて、コントロールよりも優れた成長が認め
られた。この結果、無糖培養でも炭酸ガス施用により、
十分な生育が認められることが判明した。 〔実施例10〕ファレノプシス・プロトコームとゲル内
封入体の非無菌条件での炭酸ガス施用の影響 ファレノプシス・プロトコームと実施例1と同様の方法
で調製したゲル内封入体を微粉ハイポネックス(6.5:
6:15)3g/L、pH5.3 溶液に殺菌剤としてベンレー
ト500ppm, ストレプトマイシン硫酸塩を100ppm含ませた
プラントボックス内のロックウール培地上に、1 プラン
トボックスに16個体を植えつけた。これを透明アクリル
製の箱型デシケーター(内寸49×36×29cm) 内に蓋を開
け、開放系とした状態で収納した。そこで炭酸水素ナト
リウム0.7gとクエン酸0.7gからなる炭酸ガス発生剤に2
mlの水を添加し、ただちにデシケーター内の上部に置
き、温度と光条件は温室内と同様とした。デシケーター
内の炭酸ガス濃度の変化を表11に示し、さらにファレノ
プシスの22日後の生育状況を表12に示した。
【0051】
【表11】
【0052】
【表12】
【0053】非無菌条件の開放系での殺菌剤処理により
生存率が高まり、炭酸ガス施用により、生育促進効果が
認められた。非無菌条件の開放系における殺菌剤処理、
炭酸ガス施用の組み合わせで苗生産が可能であることが
わかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 勝憲 茨城県土浦市大字常名字向荒久5508 片倉 チッカリン株式会社筑波総合研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラン科植物のプロトコーム、プロトコー
    ム状球体、又はライゾームのゲル内封入体。
  2. 【請求項2】 ラン科植物のプロトコーム、プロトコー
    ム状球体、又はライゾームを滅菌水中に封入することを
    特徴とする封入体。
  3. 【請求項3】 ゲル中に養分、生長調節物質、及び/又
    は殺菌剤が含まれていることを特徴とする請求項1記載
    の封入体。
  4. 【請求項4】 滅菌水が養分、生長調節物質、及び/又
    は殺菌剤が含まれていることを特徴とする請求項2記載
    の封入体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    されたラン科植物のプロトコーム、プロトコーム状球
    体、若しくはライゾーム、又はそれらのゲル内封入体
    を、非無菌条件下で培地支持体に置床し、これを育成す
    ることを特徴とする、ラン科植物の育成方法。
  6. 【請求項6】 培地支持体に養分、生長調節物質、及び
    /又は殺菌剤を添加したことを特徴とする、請求項5記
    載のラン科植物の育成方法。
  7. 【請求項7】 ゲル中にラン科植物共生菌が含まれてい
    ることを特徴とする、請求項1若しくは請求項3記載の
    ゲル内封入体。
  8. 【請求項8】 滅菌水中にラン科植物共生菌を含有させ
    たことを特徴とする、請求項2若しくは請求項4記載の
    封入体。
  9. 【請求項9】 培地支持体にラン科植物共生菌を含有さ
    せたことを特徴とする、請求項5若しくは請求項6記載
    のラン科植物の育成方法。
  10. 【請求項10】 栽培を、密閉容器内で炭酸ガスを封入
    して行うことを特徴とする、請求項5、請求項6、若し
    くは請求項9記載のラン科植物の育成方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019013225A (ja) * 2013-03-28 2019-01-31 ノボザイムス バイオアーゲー アクティーゼルスカブ 微生物の安定性を増大させる組成物と方法

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