JPH06303073A - 弾性表面波デバイスとその製造方法 - Google Patents
弾性表面波デバイスとその製造方法Info
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- JPH06303073A JPH06303073A JP32031493A JP32031493A JPH06303073A JP H06303073 A JPH06303073 A JP H06303073A JP 32031493 A JP32031493 A JP 32031493A JP 32031493 A JP32031493 A JP 32031493A JP H06303073 A JPH06303073 A JP H06303073A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 弾性表面波デバイスとその製造方法に関し、
弾性表面波伝播速度,電気機械結合係数を制御して高精
度化する。 【構成】 圧電体基板1の表面または所定基板に形成さ
れた圧電薄膜の表面に、弾性表面波伝播速度,電気機械
結合係数を制御するイオン注入を行ない、さらに弾性表
面波伝播速度,電気機械結合係数を制御する熱処理を施
し、入出力トランスジューサがイオン注入熱処理層12の
上に形成されてなる。さらに、イオン注入条件としてイ
オン種Arイオン, 注入時加速エネルギ150 〜250keV,
注入量5〜7×1013とする、イオン注入後の熱処理温度
を 400℃〜圧電基板1又は圧電膜の耐熱温度とする、イ
オン注入後の熱処理の昇温速度を毎分3℃以下,処理温
度保持時間30〜60分, 降温速度を毎分2℃以下とする、
イオン注入時の焦電対策として基板の裏面に金属膜を形
成する又は金属板に載せて行う。
弾性表面波伝播速度,電気機械結合係数を制御して高精
度化する。 【構成】 圧電体基板1の表面または所定基板に形成さ
れた圧電薄膜の表面に、弾性表面波伝播速度,電気機械
結合係数を制御するイオン注入を行ない、さらに弾性表
面波伝播速度,電気機械結合係数を制御する熱処理を施
し、入出力トランスジューサがイオン注入熱処理層12の
上に形成されてなる。さらに、イオン注入条件としてイ
オン種Arイオン, 注入時加速エネルギ150 〜250keV,
注入量5〜7×1013とする、イオン注入後の熱処理温度
を 400℃〜圧電基板1又は圧電膜の耐熱温度とする、イ
オン注入後の熱処理の昇温速度を毎分3℃以下,処理温
度保持時間30〜60分, 降温速度を毎分2℃以下とする、
イオン注入時の焦電対策として基板の裏面に金属膜を形
成する又は金属板に載せて行う。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電体基板の表面また
は所定基板に形成された圧電薄膜の表面を伝播する弾性
表面波を利用したデバイスに関する。
は所定基板に形成された圧電薄膜の表面を伝播する弾性
表面波を利用したデバイスに関する。
【0002】近年、携帯用電話機に代表される移動通信
機器の小型化が急速に進められ、それらに使用する部品
の小型・高性能化が要望されるようになった。これらの
通信機器において、信号の発生,分岐を行うのに発振
器,フィルタ,分波器等の素子が用いられており、それ
らの小型化のために弾性表面波を利用したデバイスの研
究開発が行われている。
機器の小型化が急速に進められ、それらに使用する部品
の小型・高性能化が要望されるようになった。これらの
通信機器において、信号の発生,分岐を行うのに発振
器,フィルタ,分波器等の素子が用いられており、それ
らの小型化のために弾性表面波を利用したデバイスの研
究開発が行われている。
【0003】特に、反射器を具えた弾性表面波共振器に
インダクタンスを付加した構成の弾性表面波フィルタ
は、低損失であり広帯域・高抑圧度化を可能にするた
め、準マイクロ波帯の次世代自動車電話や携帯電話機用
として検討されている。
インダクタンスを付加した構成の弾性表面波フィルタ
は、低損失であり広帯域・高抑圧度化を可能にするた
め、準マイクロ波帯の次世代自動車電話や携帯電話機用
として検討されている。
【0004】
【従来の技術】図14はイオン注入を利用する従来の弾
性表面波デバイスの説明図である。圧電結晶より切り出
した圧電体の表面または、圧電薄膜の表面を伝播する弾
性表面波を利用する従来の弾性表面波フィルタにおい
て、中心周波数,通過帯域幅等の特性は、弾性表面波の
伝播速度,電気機械結合係数を変えることにより制御
(調整)可能であり、その手段として次の,,の
従来技術が知られている。
性表面波デバイスの説明図である。圧電結晶より切り出
した圧電体の表面または、圧電薄膜の表面を伝播する弾
性表面波を利用する従来の弾性表面波フィルタにおい
て、中心周波数,通過帯域幅等の特性は、弾性表面波の
伝播速度,電気機械結合係数を変えることにより制御
(調整)可能であり、その手段として次の,,の
従来技術が知られている。
【0005】圧電結晶材料,結晶のカット面,表面波
伝播方位を選択する方法、例えばLiNbO3やLiTaO3等の結
晶材料, LiTaO3結晶のカット面(X-112度YカットとY
カット)を選択する等の方法。
伝播方位を選択する方法、例えばLiNbO3やLiTaO3等の結
晶材料, LiTaO3結晶のカット面(X-112度YカットとY
カット)を選択する等の方法。
【0006】図14(イ) に示す如く圧電体基板1の表
面(または圧電薄膜の表面)と櫛形の弾性表面波入出力
用電極2との間に絶縁膜3を設け(例えば特開昭48-264
52号公報, 特開昭52-16146号公報) たり、図14(ロ) に
示す如く櫛形電極2を形成した圧電体基板1の表面(ま
たは圧電薄膜の表面)に絶縁膜4を形成する方法。
面(または圧電薄膜の表面)と櫛形の弾性表面波入出力
用電極2との間に絶縁膜3を設け(例えば特開昭48-264
52号公報, 特開昭52-16146号公報) たり、図14(ロ) に
示す如く櫛形電極2を形成した圧電体基板1の表面(ま
たは圧電薄膜の表面)に絶縁膜4を形成する方法。
【0007】図14(ハ) に示す如く圧電体基板1の表
面(または圧電薄膜の表面)に、Ar,O2,Si等のイオン注
入層5を形成する (例えば特開昭63-169806 号公報) 方
法。
面(または圧電薄膜の表面)に、Ar,O2,Si等のイオン注
入層5を形成する (例えば特開昭63-169806 号公報) 方
法。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術におい
て、の従来方法は弾性表面波の伝播速度, 電気機械結
合係数のみならず、表面波のモード, 温度係数等が変化
する。従って、従来の設計方法では特性の最適化が困難
となり、所望デバイスが得られ難くなる。
て、の従来方法は弾性表面波の伝播速度, 電気機械結
合係数のみならず、表面波のモード, 温度係数等が変化
する。従って、従来の設計方法では特性の最適化が困難
となり、所望デバイスが得られ難くなる。
【0009】図15は、圧電体基板1の表面(または圧
電薄膜の表面)に形成したSiO2膜の厚さと電気機械結合
係数との関係を示す図であり、図14(イ) に示すの従
来方法において、圧電体基板1の表面と櫛形電極2との
間に絶縁膜3として最も一般的なSiO2を設けた試料につ
き試験したところ、縦軸が電気機械結合係数 (%),横軸
がSiO2膜の厚さ (Å) の図15に示す如く、SiO2膜の厚
さ,特に1000Å以下では電気機械結合係数k2(%)が大
きく変化する。即ち、電気機械結合係数の変化がSiO2膜
の厚さに対して起こり、SiO2膜の薄い領域で電気機械結
合係数の変化が大きくなる。
電薄膜の表面)に形成したSiO2膜の厚さと電気機械結合
係数との関係を示す図であり、図14(イ) に示すの従
来方法において、圧電体基板1の表面と櫛形電極2との
間に絶縁膜3として最も一般的なSiO2を設けた試料につ
き試験したところ、縦軸が電気機械結合係数 (%),横軸
がSiO2膜の厚さ (Å) の図15に示す如く、SiO2膜の厚
さ,特に1000Å以下では電気機械結合係数k2(%)が大
きく変化する。即ち、電気機械結合係数の変化がSiO2膜
の厚さに対して起こり、SiO2膜の薄い領域で電気機械結
合係数の変化が大きくなる。
【0010】そのため、SiO2膜の厚さ設定が難しくなる
と共に、SiO2膜による表面波の吸収,ダンピングが起こ
り、弾性表面波フィルタに適用したときの挿入損失が増
大するという欠点がある。
と共に、SiO2膜による表面波の吸収,ダンピングが起こ
り、弾性表面波フィルタに適用したときの挿入損失が増
大するという欠点がある。
【0011】図14(ロ) に示すの従来方法において、
櫛形電極を形成した圧電体基板1上に絶縁膜4を形成す
る方法にも、前記SiO2膜3を設けたときと同様な欠点が
あり、弾性表面波フィルタに適用したとき挿入損失が増
大するようになる。
櫛形電極を形成した圧電体基板1上に絶縁膜4を形成す
る方法にも、前記SiO2膜3を設けたときと同様な欠点が
あり、弾性表面波フィルタに適用したとき挿入損失が増
大するようになる。
【0012】図14(ハ) に示すのイオンを注入する従
来方法は、その後のプロセスに伴う熱履歴によって弾性
表面波の伝播速度,電気機械結合係数が変化する。従っ
て、信頼性に欠けると共に、弾性表面波フィルタに適用
したとき挿入損失の劣化が無視できないようになる。
来方法は、その後のプロセスに伴う熱履歴によって弾性
表面波の伝播速度,電気機械結合係数が変化する。従っ
て、信頼性に欠けると共に、弾性表面波フィルタに適用
したとき挿入損失の劣化が無視できないようになる。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記,,の従来技
術の欠点を解決する本発明は、基本構成の主要工程を示
す図1によれば、圧電体基板(または所定基板に形成さ
れた圧電薄膜)1の表面に、弾性表面波伝播速度,電気
機械結合係数を制御するイオン注入例えばAr(アルゴ
ン) やB(ボロン)のイオン注入層11を形成し、次い
で、さらに弾性表面波伝播速度,電気機械結合係数を制
御する熱処理例えば真空中,350℃, 30分間の熱処理を施
してイオン注入熱処理層12を設け、その熱処理層12の上
に櫛形の弾性表面波入出力用電極(入出力トランスジュ
ーサ)14を形成し構成する、および、前記イオン注入層
11の形成に先立って圧電体基板(または前記圧電薄膜を
形成した前記所定基板)1の裏面に金属膜を形成し構成
する。
術の欠点を解決する本発明は、基本構成の主要工程を示
す図1によれば、圧電体基板(または所定基板に形成さ
れた圧電薄膜)1の表面に、弾性表面波伝播速度,電気
機械結合係数を制御するイオン注入例えばAr(アルゴ
ン) やB(ボロン)のイオン注入層11を形成し、次い
で、さらに弾性表面波伝播速度,電気機械結合係数を制
御する熱処理例えば真空中,350℃, 30分間の熱処理を施
してイオン注入熱処理層12を設け、その熱処理層12の上
に櫛形の弾性表面波入出力用電極(入出力トランスジュ
ーサ)14を形成し構成する、および、前記イオン注入層
11の形成に先立って圧電体基板(または前記圧電薄膜を
形成した前記所定基板)1の裏面に金属膜を形成し構成
する。
【0014】さらに、本発明による良好な弾性表面波フ
ィルタを製造するため、下記の手段を提唱する。 .圧電体基板または圧電薄膜形成基板の裏面に金属膜
を被着させてイオン注入する。
ィルタを製造するため、下記の手段を提唱する。 .圧電体基板または圧電薄膜形成基板の裏面に金属膜
を被着させてイオン注入する。
【0015】.圧電体基板または圧電薄膜形成基板を
金属板に搭載しイオン注入する。 .イオン注入条件として、イオン種:Arイオン,A
rイオン注入時の加速エネルギ: 150〜250 keV,Ar
イオンの注入量:5×1013〜7×1013/cm2とする。
金属板に搭載しイオン注入する。 .イオン注入条件として、イオン種:Arイオン,A
rイオン注入時の加速エネルギ: 150〜250 keV,Ar
イオンの注入量:5×1013〜7×1013/cm2とする。
【0016】イオン注入層の熱処理温度を 400℃〜圧
電基板または圧電薄膜または圧電薄膜形成基板の特性が
損なわれない温度、例えば圧電基板あるいは圧電薄膜が
溶解する温度以下、または注入したイオンが活性化して
基板から離脱する温度以下とする。
電基板または圧電薄膜または圧電薄膜形成基板の特性が
損なわれない温度、例えば圧電基板あるいは圧電薄膜が
溶解する温度以下、または注入したイオンが活性化して
基板から離脱する温度以下とする。
【0017】イオン注入層の熱処理に際し、昇温速度
を毎分3℃以下,前記熱処理温度の維持時間を30分〜1
時間,降温速度を毎分2℃以下とする。
を毎分3℃以下,前記熱処理温度の維持時間を30分〜1
時間,降温速度を毎分2℃以下とする。
【0018】
【作用】上記手段において、圧電体基板1の表面にイオ
ンを注入し、表層部の結晶構造が変化するイオン注入層
11を形成する。その結果、イオン注入層11を有する圧電
体基板の弾性表面波の伝播速度および電気機械結合係数
は、イオン注入しない圧電体基板のそれらに比べ、低下
方向に変化する。
ンを注入し、表層部の結晶構造が変化するイオン注入層
11を形成する。その結果、イオン注入層11を有する圧電
体基板の弾性表面波の伝播速度および電気機械結合係数
は、イオン注入しない圧電体基板のそれらに比べ、低下
方向に変化する。
【0019】次に、熱処理によってイオン注入熱処理層
12を形成すると、弾性表面波の伝播速度および電気機械
結合係数は、イオン注入層11のみを有する圧電体基板に
おけるそれらに比べ上昇方向に変化する。その熱処理時
の温度をその後のプロセスの熱履歴よりも高く設定する
ことにより、弾性表面波の伝播速度および電気機械結合
係数は、その後のプロセスの熱履歴に対し安定化する。
12を形成すると、弾性表面波の伝播速度および電気機械
結合係数は、イオン注入層11のみを有する圧電体基板に
おけるそれらに比べ上昇方向に変化する。その熱処理時
の温度をその後のプロセスの熱履歴よりも高く設定する
ことにより、弾性表面波の伝播速度および電気機械結合
係数は、その後のプロセスの熱履歴に対し安定化する。
【0020】かかる構成を弾性表面波フィルタに適用し
た場合、イオン注入によって起こる弾性表面波の伝播速
度,電気機械結合係数の変化に応じて、中心周波数,通
過帯域幅等の特性を所望値にすることができるが、同時
に挿入損失が増大する。しかし、その後の熱処理によっ
て弾性表面波の伝播速度および電気機械結合係数は逆方
向に変化するので、挿入損失は減少するようになる。
た場合、イオン注入によって起こる弾性表面波の伝播速
度,電気機械結合係数の変化に応じて、中心周波数,通
過帯域幅等の特性を所望値にすることができるが、同時
に挿入損失が増大する。しかし、その後の熱処理によっ
て弾性表面波の伝播速度および電気機械結合係数は逆方
向に変化するので、挿入損失は減少するようになる。
【0021】即ち、イオン注入による挿入損失の悪化を
熱処理によって改善し、その後のプロセスの熱履歴に対
し特性が安定化するようになる。そこで、その後のプロ
セスによる熱履歴およびフィルタの仕様等を考慮し、前
記熱処理を最適温度で行うようにすれば、信頼性の高い
表面波フィルタが得られるようになる。
熱処理によって改善し、その後のプロセスの熱履歴に対
し特性が安定化するようになる。そこで、その後のプロ
セスによる熱履歴およびフィルタの仕様等を考慮し、前
記熱処理を最適温度で行うようにすれば、信頼性の高い
表面波フィルタが得られるようになる。
【0022】さらに、本発明による弾性表面波デバイス
の製造に際して、圧電体基板または圧電薄膜形成基板
の裏面に金属膜を被着させる、或いは、圧電体基板また
は圧電薄膜形成基板を金属板に載せてイオン注入を行う
ことによって、イオン注入時の焦電破壊を予防し、注
入するイオン種をアルゴンイオンとし、その注入時の加
速エネルギを 150〜250 keV,注入量を5×1013〜7×
1013/cm2とすることによって、アルゴンイオンがダブ
ルチャージ状態(Ar++) となりイオンの加速が大きく
なり、イオン注入層が安定化し、イオン注入層の熱処
理温度を 400℃〜圧電基板または圧電薄膜または圧電薄
膜形成基板の特性が損なわれない温度とすることによっ
て、角形特性に優れたフィルタが得られ、イオン注入
層の熱処理時の昇温速度を毎分3℃以下とし、前記熱処
理温度の維持時間を30分〜1時間とし、降温速度を毎分
2℃以下とすることによって、熱衝撃破壊をなくす、こ
とができるようになる。
の製造に際して、圧電体基板または圧電薄膜形成基板
の裏面に金属膜を被着させる、或いは、圧電体基板また
は圧電薄膜形成基板を金属板に載せてイオン注入を行う
ことによって、イオン注入時の焦電破壊を予防し、注
入するイオン種をアルゴンイオンとし、その注入時の加
速エネルギを 150〜250 keV,注入量を5×1013〜7×
1013/cm2とすることによって、アルゴンイオンがダブ
ルチャージ状態(Ar++) となりイオンの加速が大きく
なり、イオン注入層が安定化し、イオン注入層の熱処
理温度を 400℃〜圧電基板または圧電薄膜または圧電薄
膜形成基板の特性が損なわれない温度とすることによっ
て、角形特性に優れたフィルタが得られ、イオン注入
層の熱処理時の昇温速度を毎分3℃以下とし、前記熱処
理温度の維持時間を30分〜1時間とし、降温速度を毎分
2℃以下とすることによって、熱衝撃破壊をなくす、こ
とができるようになる。
【0023】
【実施例】図1は本発明による弾性表面波ディバイスの
基本構成の主要工程を示す図、図2は弾性表面波の伝播
速度測定用試料の主要構成を示す平面図、図3は各種試
料におけるVo /Vm とh/λとの関係を示す図、図4
は櫛形電極のピッチの説明図、図5は弾性表面波フィル
タの等価回路とそのフィルタの共振器の平面図、図6は
弾性表面波フィルタの中心周波数,帯域幅,挿入損失と
そのフィルタ基板に注入したArの注入量との関係を示
す図、図7はイオン注入時における焦電対策例(その
1)、図8はイオン注入時における焦電対策例(その
2)、図9はイオン注入後の熱処理温度と弾性表面波フ
ィルタの中心周波数,角形比の関係を示す図、図10は
弾性表面波フィルタの通過特性の角形比の説明図、図1
1はイオン注入した弾性表面波フィルタの通過特性とイ
オン注入量との関係を示す図(その1)、図12はイオ
ン注入した弾性表面波フィルタの通過特性とイオン注入
量との関係を示す図(その2)、図13はイオン注入し
た弾性表面波フィルタの通過特性とイオン注入量との関
係を示す図(その3)である。
基本構成の主要工程を示す図、図2は弾性表面波の伝播
速度測定用試料の主要構成を示す平面図、図3は各種試
料におけるVo /Vm とh/λとの関係を示す図、図4
は櫛形電極のピッチの説明図、図5は弾性表面波フィル
タの等価回路とそのフィルタの共振器の平面図、図6は
弾性表面波フィルタの中心周波数,帯域幅,挿入損失と
そのフィルタ基板に注入したArの注入量との関係を示
す図、図7はイオン注入時における焦電対策例(その
1)、図8はイオン注入時における焦電対策例(その
2)、図9はイオン注入後の熱処理温度と弾性表面波フ
ィルタの中心周波数,角形比の関係を示す図、図10は
弾性表面波フィルタの通過特性の角形比の説明図、図1
1はイオン注入した弾性表面波フィルタの通過特性とイ
オン注入量との関係を示す図(その1)、図12はイオ
ン注入した弾性表面波フィルタの通過特性とイオン注入
量との関係を示す図(その2)、図13はイオン注入し
た弾性表面波フィルタの通過特性とイオン注入量との関
係を示す図(その3)である。
【0024】図1(イ) において、圧電体基板(または所
定基板に形成された圧電薄膜)1の表面に、弾性表面波
の伝播速度,電気機械結合係数を制御する物質例えばB
(ボロン),Ar(アルゴン),F(ふっ素),Ne(ネオン),H
(水素),P(燐)等をイオン注入し、イオン注入層11を
形成する。
定基板に形成された圧電薄膜)1の表面に、弾性表面波
の伝播速度,電気機械結合係数を制御する物質例えばB
(ボロン),Ar(アルゴン),F(ふっ素),Ne(ネオン),H
(水素),P(燐)等をイオン注入し、イオン注入層11を
形成する。
【0025】次いで、弾性表面波の伝播速度,電気機械
結合係数を制御する熱処理、例えば真空中,350℃, 30分
程度加熱する熱処理を行って、図1(ロ) に示す如く、イ
オン注入層11の熱処理層12を形成する。
結合係数を制御する熱処理、例えば真空中,350℃, 30分
程度加熱する熱処理を行って、図1(ロ) に示す如く、イ
オン注入層11の熱処理層12を形成する。
【0026】次に、図1(ハ) に示す如く熱処理層12の上
に金属層13を被着したのち、金属層13の不要部を除去し
て図1(ニ) に示す如く、弾性表面波を発生せしめその電
気信号を取り出す櫛形電極14を形成し、弾性表面波デバ
イス10が完成する。
に金属層13を被着したのち、金属層13の不要部を除去し
て図1(ニ) に示す如く、弾性表面波を発生せしめその電
気信号を取り出す櫛形電極14を形成し、弾性表面波デバ
イス10が完成する。
【0027】以下に、図1の工程で作製した本発明の第
1の実施例につき、図2,図3,図4を用いて説明す
る。図2において弾性表面波の伝播速度 (音速) 測定用
試料20は、LiTaO3の単結晶より切り出した基板1の表面
に、櫛形電極141,142,143,144 を形成し、対向する一方
の電極141 と142 との間には金属パターン15を形成す
る。
1の実施例につき、図2,図3,図4を用いて説明す
る。図2において弾性表面波の伝播速度 (音速) 測定用
試料20は、LiTaO3の単結晶より切り出した基板1の表面
に、櫛形電極141,142,143,144 を形成し、対向する一方
の電極141 と142 との間には金属パターン15を形成す
る。
【0028】櫛形電極141,142,143,144 と金属パターン
15は厚さ3000Å程度であり、同一のAl−Cu膜よりフ
ォトリソ技術により形成し、櫛形電極141,142,143,144
は図4(イ) に示す如く、一対の櫛形電極を組み合わせた
構成であり、その櫛歯ピッチは図4(ロ) に示す如く所定
のλである。
15は厚さ3000Å程度であり、同一のAl−Cu膜よりフ
ォトリソ技術により形成し、櫛形電極141,142,143,144
は図4(イ) に示す如く、一対の櫛形電極を組み合わせた
構成であり、その櫛歯ピッチは図4(ロ) に示す如く所定
のλである。
【0029】入力用電極141 と143 のそれぞれには入力
端子16が接続し、電極141 と143 との接続部にはアース
端子17が接続する。出力用電極142 と144 のそれぞれに
は出力端子18が接続し、電極142 と144 との接続部には
アース端子19が接続する。
端子16が接続し、電極141 と143 との接続部にはアース
端子17が接続する。出力用電極142 と144 のそれぞれに
は出力端子18が接続し、電極142 と144 との接続部には
アース端子19が接続する。
【0030】基板1は、表面にイオン注入しないもの,
表面にB(ボロン)を 180KeV,1×1014/cm2 の条件で
イオン注入したもの,Bをイオン注入したのち約2×10
-8Torrの真空中 200℃で10分間熱処理したもの,Bをイ
オン注入したのち約2×10-8Torrの真空中 350℃で30分
間熱処理したものの4種類を準備し、それらの基板1に
は同一条件で櫛形電極141,142,143,144 と金属パターン
15を形成する。
表面にB(ボロン)を 180KeV,1×1014/cm2 の条件で
イオン注入したもの,Bをイオン注入したのち約2×10
-8Torrの真空中 200℃で10分間熱処理したもの,Bをイ
オン注入したのち約2×10-8Torrの真空中 350℃で30分
間熱処理したものの4種類を準備し、それらの基板1に
は同一条件で櫛形電極141,142,143,144 と金属パターン
15を形成する。
【0031】そこで、前記4種類の基板1に櫛形電極14
1,142,143,144 等を形成した試料について、電極141 と
142 との対向間の音速をVm,電極143 と144 との対向間
の音速をVo,金属パターン15の厚さをh,櫛形電極141,
142,143,144 の櫛歯ピッチをλとしたとき、Vo /Vm
とh/λとの関係は図3に示す如くなる。
1,142,143,144 等を形成した試料について、電極141 と
142 との対向間の音速をVm,電極143 と144 との対向間
の音速をVo,金属パターン15の厚さをh,櫛形電極141,
142,143,144 の櫛歯ピッチをλとしたとき、Vo /Vm
とh/λとの関係は図3に示す如くなる。
【0032】図3において、●印はイオン注入なし試料
における測定値のプロット,×印はイオン注入した試料
における測定値のプロット,△印はイオン注入したのち
熱処理 (2×10-8Torrの真空中,200℃で10分間アニー
ル)した試料における測定値のプロット, ○印はイオン
注入したのち熱処理 (2×10-8Torrの真空中,350℃で30
分間アニール)した試料における測定値のプロットであ
る。
における測定値のプロット,×印はイオン注入した試料
における測定値のプロット,△印はイオン注入したのち
熱処理 (2×10-8Torrの真空中,200℃で10分間アニー
ル)した試料における測定値のプロット, ○印はイオン
注入したのち熱処理 (2×10-8Torrの真空中,350℃で30
分間アニール)した試料における測定値のプロットであ
る。
【0033】図3から明らかなように、イオン注入によ
ってV0/Vm が減少し、そのことから電気機械結合係数が
小さくなることが分かり、公知である電気機械結合係数
k2の式 k2 =2(V0− Vm )/V0 を使用し、V0,Vm の伝播速度差から求めた電気機械結合
係数は、イオン注入によって約30%減少する。
ってV0/Vm が減少し、そのことから電気機械結合係数が
小さくなることが分かり、公知である電気機械結合係数
k2の式 k2 =2(V0− Vm )/V0 を使用し、V0,Vm の伝播速度差から求めた電気機械結合
係数は、イオン注入によって約30%減少する。
【0034】そして、イオン注入してから約2×10-8To
rrの真空中で 200℃, 10分間の熱処理を行った試料のV0
/Vm は、イオン注入なし試料とイオン注入あり試料との
中間程度に増加する。
rrの真空中で 200℃, 10分間の熱処理を行った試料のV0
/Vm は、イオン注入なし試料とイオン注入あり試料との
中間程度に増加する。
【0035】さらに、イオン注入してから約2×10-8To
rrの真空中での熱処理を、350 ℃,30分間とした試料の
V0/Vm 値は、イオン注入なし試料と同程度に増加、即ち
イオン注入によって減少したV0/Vm 値は適当なアニール
によって復元できるようになることが分かる。
rrの真空中での熱処理を、350 ℃,30分間とした試料の
V0/Vm 値は、イオン注入なし試料と同程度に増加、即ち
イオン注入によって減少したV0/Vm 値は適当なアニール
によって復元できるようになることが分かる。
【0036】図5(イ) において弾性表面波フィルタ21
は、4個の一端子対弾性表面波共振器R1,R2,R3,R4
とインダクタンス素子L1,L2 とを接続してなる。共振
器R1 とR2 とは、導体26,27,28によって一対の端子22
と23との間に直列に接続する。一対の端子24と25とは導
体29によって接続し、直列に接続した共振器R3 とイン
ダクタンス素子L1 とが、導体26と29とに接続し、直列
に接続した共振器R4 とインダクタンス素子L2 とが、
導体27と29とに接続してなる。
は、4個の一端子対弾性表面波共振器R1,R2,R3,R4
とインダクタンス素子L1,L2 とを接続してなる。共振
器R1 とR2 とは、導体26,27,28によって一対の端子22
と23との間に直列に接続する。一対の端子24と25とは導
体29によって接続し、直列に接続した共振器R3 とイン
ダクタンス素子L1 とが、導体26と29とに接続し、直列
に接続した共振器R4 とインダクタンス素子L2 とが、
導体27と29とに接続してなる。
【0037】共振器R1,R2,R3,R4 は図5(ロ) に示す
如く、励振用櫛形電極30と一対の反射器31とで構成され
ている。かかるフィルタ21において、共振器R1,R2,R
3,R4 は、本発明によってイオン注入したのち熱処理し
たイオン注入熱処理層の上に形成し、仕様に基づいてフ
ィルタ特性を制御する。
如く、励振用櫛形電極30と一対の反射器31とで構成され
ている。かかるフィルタ21において、共振器R1,R2,R
3,R4 は、本発明によってイオン注入したのち熱処理し
たイオン注入熱処理層の上に形成し、仕様に基づいてフ
ィルタ特性を制御する。
【0038】図6において、縦軸は図5に示す構成であ
るフィルタの中心周波数(MHz),挿入損失(dB), 帯域幅(M
Hz) 、横軸はフィルタ基板に注入したAr の注入量(/cm
2)である。
るフィルタの中心周波数(MHz),挿入損失(dB), 帯域幅(M
Hz) 、横軸はフィルタ基板に注入したAr の注入量(/cm
2)である。
【0039】図6の特性測定用試料は基板にLiTaO3の単
結晶を使用し、特性比較試料として、基板にAr をイオ
ン注入しない (Ar 注入量0:図中●印)もの、適量の
Arをイオン注入したもの(図中○印)、適量のAr を
イオン注入したのちさらに熱処理を施したもの(図中×
印)を用意した。ただし、180keVでのAr イオンの注入
量は1014/cm2,1016/cm2 の2種類とし、真空中での熱
処理は 300℃, 30分である。
結晶を使用し、特性比較試料として、基板にAr をイオ
ン注入しない (Ar 注入量0:図中●印)もの、適量の
Arをイオン注入したもの(図中○印)、適量のAr を
イオン注入したのちさらに熱処理を施したもの(図中×
印)を用意した。ただし、180keVでのAr イオンの注入
量は1014/cm2,1016/cm2 の2種類とし、真空中での熱
処理は 300℃, 30分である。
【0040】図6において、Ar イオンの注入量を1014
/cm2 とした試料の特性を、イオン注入しなかった試料
の特性に比較すると、中心周波数に関してはイオン注入
によって55MHz(5.9%) だけ低周波側にシフトする。
/cm2 とした試料の特性を、イオン注入しなかった試料
の特性に比較すると、中心周波数に関してはイオン注入
によって55MHz(5.9%) だけ低周波側にシフトする。
【0041】そして、さらにそれを熱処理した試料で
は、熱処理によって中心周波数が幾分回復し、低周波側
へのシフト量は42MHz(4.5%) になる。同様に、帯域幅に
関してはイオン注入により26MHz(41%)だけ狭くなり、熱
処理によって20MHz(32%)程度に回復し、挿入損失に関し
てはイオン注入により2.3dB(2.3%) 悪化するものの、熱
処理によって0.6dB(0.6%) の悪化に抑えることができる
ようになる。
は、熱処理によって中心周波数が幾分回復し、低周波側
へのシフト量は42MHz(4.5%) になる。同様に、帯域幅に
関してはイオン注入により26MHz(41%)だけ狭くなり、熱
処理によって20MHz(32%)程度に回復し、挿入損失に関し
てはイオン注入により2.3dB(2.3%) 悪化するものの、熱
処理によって0.6dB(0.6%) の悪化に抑えることができる
ようになる。
【0042】以上説明したようなイオン注入に際し、圧
電基板1または所定基板の圧電薄膜は、それ自体が有す
る圧電性による焦電によって電荷が蓄積され放電が起こ
ると、その放電衝撃によって割れることがある。
電基板1または所定基板の圧電薄膜は、それ自体が有す
る圧電性による焦電によって電荷が蓄積され放電が起こ
ると、その放電衝撃によって割れることがある。
【0043】そこで、本発明では図7(イ) に示す如く圧
電基板1の裏面に金属膜31を被着させる、または図8
(イ) に示す如く圧電基板1を金属板32に搭載した状態
で、図7(ロ) または図8(ロ) に示す如く、圧電基板1の
表面にイオン注入層11を形成することで、前記焦電によ
る破損が防止される。
電基板1の裏面に金属膜31を被着させる、または図8
(イ) に示す如く圧電基板1を金属板32に搭載した状態
で、図7(ロ) または図8(ロ) に示す如く、圧電基板1の
表面にイオン注入層11を形成することで、前記焦電によ
る破損が防止される。
【0044】Arイオン注入層の熱処理条件を知るため
の図9において、縦軸は図5に示す構成であるフィルタ
の中心周波数(GHz) および角形比、横軸はイオン注入後
の熱処理温度(℃)である。
の図9において、縦軸は図5に示す構成であるフィルタ
の中心周波数(GHz) および角形比、横軸はイオン注入後
の熱処理温度(℃)である。
【0045】通過帯域での信号の立ち上がり,立ち下が
りの鋭さを表す前記角形比は、図10に示す如く挿入損
失=−3dBにおける帯域幅Δf1 =f2 −f3 と、挿
入損失=−20dBにおける帯域幅Δf2 =f4 −f5
との比Δf2 /Δf1 で定義し、理想値が1である角形
比は、大きくなるに従って角形特性が劣化することにな
る。
りの鋭さを表す前記角形比は、図10に示す如く挿入損
失=−3dBにおける帯域幅Δf1 =f2 −f3 と、挿
入損失=−20dBにおける帯域幅Δf2 =f4 −f5
との比Δf2 /Δf1 で定義し、理想値が1である角形
比は、大きくなるに従って角形特性が劣化することにな
る。
【0046】図9に示す特性の測定用試料(フィルタ)
は、LiTaO3:36°Yカット単結晶板より圧電体基板1を
切り出し、ダブルチャージ状態のArイオン(Ar++)
を、180keVの加速エネルギーで注入し、その注入量
が6×1013/cm3 のものを使用し、イオン注入後の熱
処理温度を120℃〜600℃の範囲に設定した。
は、LiTaO3:36°Yカット単結晶板より圧電体基板1を
切り出し、ダブルチャージ状態のArイオン(Ar++)
を、180keVの加速エネルギーで注入し、その注入量
が6×1013/cm3 のものを使用し、イオン注入後の熱
処理温度を120℃〜600℃の範囲に設定した。
【0047】LiTaO3:36°Yカット単結晶板より圧電体
基板1を切り出し、ダブルチャージ状態のArイオン
(Ar++) を180keVの加速エネルギーで注入し、A
rイオンの注入量を6×1013/cm3 とした試料(フィ
ルタ)につき、120 ℃〜600 ℃の範囲でイオン注入層11
を熱処理した図9において、角形比は熱処理温度120 ℃
〜600 ℃の範囲でほぼ安定し、中心周波数特性は熱処理
温度を 400℃以上としたとき安定する。
基板1を切り出し、ダブルチャージ状態のArイオン
(Ar++) を180keVの加速エネルギーで注入し、A
rイオンの注入量を6×1013/cm3 とした試料(フィ
ルタ)につき、120 ℃〜600 ℃の範囲でイオン注入層11
を熱処理した図9において、角形比は熱処理温度120 ℃
〜600 ℃の範囲でほぼ安定し、中心周波数特性は熱処理
温度を 400℃以上としたとき安定する。
【0048】かかるイオン注入層11の熱処理、即ち 400
℃以上で行う熱処理において、生産性, 作業性の面から
成るべく低温度にすることが望ましいため、本発明では
400℃〜 600℃程度で熱処理することを推奨する。しか
し、イオン注入層11の弾性表面波伝播速度および電気機
械結合係数を制御する熱処理の上限値としては、圧電体
基板1の特性,所定基板に形成した圧電薄膜の特性,ま
たは該圧電薄膜を形成した所定基板の特性が損なわれな
い範囲で 600℃以上、例えば圧電体基板1がLiTaO3:36
°Yカット単結晶板より切り出したものであるときに
は、 400℃〜 800℃程度とすることができる。
℃以上で行う熱処理において、生産性, 作業性の面から
成るべく低温度にすることが望ましいため、本発明では
400℃〜 600℃程度で熱処理することを推奨する。しか
し、イオン注入層11の弾性表面波伝播速度および電気機
械結合係数を制御する熱処理の上限値としては、圧電体
基板1の特性,所定基板に形成した圧電薄膜の特性,ま
たは該圧電薄膜を形成した所定基板の特性が損なわれな
い範囲で 600℃以上、例えば圧電体基板1がLiTaO3:36
°Yカット単結晶板より切り出したものであるときに
は、 400℃〜 800℃程度とすることができる。
【0049】圧電帯基板1のイオン注入層11の熱処理
(加熱および冷却)に際し、昇温速度および冷却速度を
急激にすると、その熱衝撃によって破壊する。そこで、
熱衝撃破壊を避けるため繰り返し実験を行った結果、熱
処理条件を下記〜の如くすることで破壊しないこと
が分かり、図9の測定試料の熱処理にはその条件を適用
した。
(加熱および冷却)に際し、昇温速度および冷却速度を
急激にすると、その熱衝撃によって破壊する。そこで、
熱衝撃破壊を避けるため繰り返し実験を行った結果、熱
処理条件を下記〜の如くすることで破壊しないこと
が分かり、図9の測定試料の熱処理にはその条件を適用
した。
【0050】.室温から所定の熱処理温度までの昇温
速度:毎分3℃以下 .所定熱処理温度の維持時間:30分〜1時間 .所定の熱処理温度から室温までの降温速度:毎分2
℃以下 イオン注入量が異なる弾性表面波フィルタの通過帯域特
性を示す図11〜図13において、Ar++の加速エネルギー
は 180keVとし、図11(イ) におけるイオン注入量は2×
1013/ cm3,図11(ロ) におけるイオン注入量は4×1013
/ cm3,図12(イ) におけるイオン注入量は5×1013/ c
m3,図12(ロ) におけるイオン注入量は6×1013/ cm3,
図13(イ) におけるイオン注入量は7×1013/ cm3,図13
(ロ) におけるイオン注入量は8×1013/ cm3である。
速度:毎分3℃以下 .所定熱処理温度の維持時間:30分〜1時間 .所定の熱処理温度から室温までの降温速度:毎分2
℃以下 イオン注入量が異なる弾性表面波フィルタの通過帯域特
性を示す図11〜図13において、Ar++の加速エネルギー
は 180keVとし、図11(イ) におけるイオン注入量は2×
1013/ cm3,図11(ロ) におけるイオン注入量は4×1013
/ cm3,図12(イ) におけるイオン注入量は5×1013/ c
m3,図12(ロ) におけるイオン注入量は6×1013/ cm3,
図13(イ) におけるイオン注入量は7×1013/ cm3,図13
(ロ) におけるイオン注入量は8×1013/ cm3である。
【0051】このようにイオン注入量を変えたとき、本
発明で定義した角形比 (Δf2 /Δf1)は、図11(イ) の
それが約1.95, 図11(ロ) のそれが約1.92, 図12(イ) のそ
れが約1.67, 図12(ロ) のそれが約1.69, 図13(イ) のそれ
が約1.74, 図13(ロ) のそれが約1.67であり、図12(イ),図
12(ロ),図13(イ) における通過帯域内特性はほぼフラット
であるのに対し、図11(イ),図11(ロ) および図13(ロ) にお
ける通過帯域内特性は、凸または凹となり直線性が悪く
なる。
発明で定義した角形比 (Δf2 /Δf1)は、図11(イ) の
それが約1.95, 図11(ロ) のそれが約1.92, 図12(イ) のそ
れが約1.67, 図12(ロ) のそれが約1.69, 図13(イ) のそれ
が約1.74, 図13(ロ) のそれが約1.67であり、図12(イ),図
12(ロ),図13(イ) における通過帯域内特性はほぼフラット
であるのに対し、図11(イ),図11(ロ) および図13(ロ) にお
ける通過帯域内特性は、凸または凹となり直線性が悪く
なる。
【0052】従って、本発明におけるArイオンの注入
量は、角形比より見たとき5×1013/ cm3以上としても
よいが、通過帯域内特性から見たとき8×1013/ cm3を
除外すべきものと考え、本発明では5×1013/ cm3〜7
×1013/ cm3を提案するものであり、かかる通過帯域特
性は、イオン加速エネルギーを 150〜 250keVとしても
同様であることから、本発明はイオン加速エネルギーと
して 150〜 250keVを提案する。
量は、角形比より見たとき5×1013/ cm3以上としても
よいが、通過帯域内特性から見たとき8×1013/ cm3を
除外すべきものと考え、本発明では5×1013/ cm3〜7
×1013/ cm3を提案するものであり、かかる通過帯域特
性は、イオン加速エネルギーを 150〜 250keVとしても
同様であることから、本発明はイオン加速エネルギーと
して 150〜 250keVを提案する。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の弾性表面
波デバイスとその製造方法は、圧電結晶材料,その結晶
方位を変えることなく、また弾性表面波のモードおよび
温度係数を変えることなく、弾性表面波の伝播速度およ
び電気機械結合係数を制御可能とする。
波デバイスとその製造方法は、圧電結晶材料,その結晶
方位を変えることなく、また弾性表面波のモードおよび
温度係数を変えることなく、弾性表面波の伝播速度およ
び電気機械結合係数を制御可能とする。
【0054】かかる効果をSAWフィルタに適用すれ
ば、挿入損失を殆ど悪化させることなく、中心周波数,
帯域幅等の特性を制御可能とし、フィルタの適用範囲を
拡げることができる。
ば、挿入損失を殆ど悪化させることなく、中心周波数,
帯域幅等の特性を制御可能とし、フィルタの適用範囲を
拡げることができる。
【0055】さらに、本発明におけるイオン注入プロセ
スと熱処理プロセスは、従来の設計法および従来のプロ
セスを殆ど変更なしに付加して性能向上に寄与する効果
がある。
スと熱処理プロセスは、従来の設計法および従来のプロ
セスを殆ど変更なしに付加して性能向上に寄与する効果
がある。
【図1】 本発明による弾性表面波デバイスの基本構成
の主要工程図
の主要工程図
【図2】 弾性表面波の伝播速度測定用試料の主要構成
を示す平面図
を示す平面図
【図3】 各種試料におけるVo /Vm とh/λとの関
係を示す図
係を示す図
【図4】 櫛形電極のピッチの説明図
【図5】 弾性表面波フィルタの等価回路とそのフィル
タの共振器の平面図
タの共振器の平面図
【図6】 弾性表面波フィルタの特性とその基板のAr
イオン注入量との関係を示す図
イオン注入量との関係を示す図
【図7】 イオン注入時における焦電対策例(その1)
【図8】 イオン注入時における焦電対策例(その2)
【図9】 イオン注入後の熱処理温度と弾性表面波フィ
ルタの中心周波数,角形比の関係を示す図
ルタの中心周波数,角形比の関係を示す図
【図10】 弾性表面波フィルタの通過特性の角形比の
説明図
説明図
【図11】 イオン注入した弾性表面波フィルタの通過
特性とイオン注入量との関係を示す図(その1)
特性とイオン注入量との関係を示す図(その1)
【図12】 イオン注入した弾性表面波フィルタの通過
特性とイオン注入量との関係を示す図(その2)
特性とイオン注入量との関係を示す図(その2)
【図13】 イオン注入した弾性表面波フィルタの通過
特性とイオン注入量との関係を示す図(その3)
特性とイオン注入量との関係を示す図(その3)
【図14】 絶縁膜,イオン注入を利用する従来技術の
説明図
説明図
【図15】 SiO2 膜の厚さと電気機械結合係数との
関係図
関係図
1 圧電体基板 10 弾性表面波デバイス 11 イオン注入層 12 イオン注入熱処理層 14, 14-1, 14-2, 14-3, 14-4 弾性表面波入出力用の櫛
形電極 20 弾性表面波の伝播速度測定用試料 21 弾性波フィルタ 31 金属膜 32 金属板
形電極 20 弾性表面波の伝播速度測定用試料 21 弾性波フィルタ 31 金属膜 32 金属板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊形 理 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 佐藤 良夫 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内
Claims (7)
- 【請求項1】 弾性表面波伝播速度および電気機械結合
係数を制御するイオン注入と、そのイオン注入層の弾性
表面波伝播速度および電気機械結合係数を制御する熱処
理とを施した、圧電体基板(1) の表面または所定基板に
形成された圧電薄膜の表面に、弾性表面波入出力用電極
が形成されてなることを特徴とする弾性表面波デバイ
ス。 - 【請求項2】 請求項1記載の弾性表面波デバイスにお
いて、前記圧電体基板(1) の表面または所定基板の裏面
には、金属膜(31)が被着されてなることを特徴とする弾
性表面波デバイス。 - 【請求項3】 請求項1記載の弾性表面波デバイスの製
造に際し、前記圧電体基板(1) または所定基板を金属板
(32)に搭載し、該圧電体基板(1) または所定基板の裏面
を該金属板(32)に接触させた状態で前記イオン注入を行
うことを特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。 - 【請求項4】 請求項2記載の弾性表面波デバイスの製
造に際し、前記イオン注入前の前記圧電体基板(1) また
は所定基板の裏面に、金属膜(31)を被着することを特徴
とする弾性表面波デバイスの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1または2記載の弾性表面波デバ
イスの製造に際し、弾性表面波伝播速度,電気機械結合
係数を制御する前記イオンの注入条件を、 イオン種 :アルゴンイオン アルゴンイオン注入時の加速エネルギ:150 〜 250ke
V アルゴンイオンの注入量 :5×1013〜7×
1013/cm2 とすること、 を特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。 - 【請求項6】 請求項1または2記載の弾性表面波デバ
イスの製造に際し、弾性表面波伝播速度,電気機械結合
係数を制御する前記熱処理の処理温度を、 400℃以上であり、前記圧電体基板(1) または前記圧
電薄膜または該圧電薄膜を形成した前記所定基板の特性
が損なわれる温度以下にすること、 を特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。 - 【請求項7】 請求項5記載の熱処理において、室温か
ら前記熱処理温度に加熱する昇温速度を毎分3℃以下、
該熱処理温度における保持時間を30分〜1時間、該熱処
理温度から室温までの降温速度を毎分2℃以下にするこ
と、 を特徴とする弾性表面波デバイスの製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32031493A JPH06303073A (ja) | 1993-02-17 | 1993-12-20 | 弾性表面波デバイスとその製造方法 |
FR9410078A FR2714200B1 (fr) | 1993-11-25 | 1994-08-17 | Dispositif à onde acoustique de surface et son procédé de fabrication. |
US08/615,798 US5796205A (en) | 1993-11-25 | 1996-03-14 | Surface acoustic wave device and method of producing the same |
US09/004,273 US6131257A (en) | 1993-11-25 | 1998-01-08 | Method of making a surface acoustic wave device |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2705093 | 1993-02-17 | ||
JP5-27050 | 1993-02-17 | ||
JP32031493A JPH06303073A (ja) | 1993-02-17 | 1993-12-20 | 弾性表面波デバイスとその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06303073A true JPH06303073A (ja) | 1994-10-28 |
Family
ID=26364925
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32031493A Pending JPH06303073A (ja) | 1993-02-17 | 1993-12-20 | 弾性表面波デバイスとその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06303073A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2764440A1 (fr) * | 1997-06-10 | 1998-12-11 | Thomson Csf | Composant a ondes acoustiques de surface avec suppression de perturbation pyroelectrique |
US6313563B1 (en) | 1999-04-07 | 2001-11-06 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Edge reflection type surface acoustic wave device |
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