JPH06302805A - 電子素子とその集積化電子素子及びそれらの使用方法 - Google Patents

電子素子とその集積化電子素子及びそれらの使用方法

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JPH06302805A
JPH06302805A JP5111139A JP11113993A JPH06302805A JP H06302805 A JPH06302805 A JP H06302805A JP 5111139 A JP5111139 A JP 5111139A JP 11113993 A JP11113993 A JP 11113993A JP H06302805 A JPH06302805 A JP H06302805A
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JP
Japan
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rotating body
electronic device
stationary
electrode
stationary body
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JP5111139A
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English (en)
Inventor
Tomotsugu Kamiyama
智嗣 上山
Makoto Miyamoto
誠 宮本
Satoru Isoda
悟 磯田
Yoshio Hanasato
善夫 花里
Tomoshi Nishikawa
智志 西川
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速で作動することができ、しかも超高密度
に集積化が可能な電子素子とその集積化電子素子を提供
し、さらにこれらの素子に適した使用方法を提供する。 【構成】 基板23上に、電磁波または荷電粒子ビーム
のいずれかを照射することにより励起状態となる分子ま
たは機能団を有する回転体21を回転可能に配置し、該
回転体21近傍に、該回転体21からエネルギーまたは
電子の少なくとも一方を受け取る分子または機能団を有
する静止体22を1つ以上配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高速で作動すること
ができ、しかも超高密度に集積が可能な電子素子とその
集積化電子素子及びそれらの使用方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図30は従来の集積回路に用いられてい
るMOS構造の整流素子を示す断面図であり、図におい
て、1はp型シリコン基板、2はn型領域、3はp型領
域、4はn型領域、5は酸化珪素膜、6,7は電極であ
り、これら電極6,7間でp−n接合(p型領域3−n
型領域4接合)が形成され、整流特性が実現されてい
る。
【0003】また従来用いられている記憶素子として
は、半導体メモリー、光ディスクがある。半導体メモリ
ーにおいては、現在64メガビットDRAMのものが製
造可能となっており、これは線幅約0.25μmに対応
する。
【0004】また光による情報の書き込み、読み出しを
行う光磁気ディスクとしては、例えば、鈴木静雄共著:
日本ビジネスレポート技術予測シリーズ第4巻オプトエ
レクトロニクス技術119頁、平成2年1月20日発
行、に示されているような図31に示すものがある。図
31において、11はメモリ層、12は補助層、13は
初期化磁石、14は記録用磁石、15は光学レンズであ
る。この光磁気ディスクに情報を書き込むには、まず初
期化磁石13で補助層12の磁化の向きを一方向に揃え
ておく。オーバーライトする場合には、低磁界の記録磁
石14を用い、光強度を変調させながら記録を行うと、
高レーザーパワー時には補助層12とメモリ層11がと
もにキュリー温度以上になり、両者の磁化の向きが同時
に記録磁界の向きに反転し、例えば“1”の記録が、ま
た低レーザーパワー時には、メモリ層11のみがキュリ
ー温度以上となり、補助層12の向きはそのままで、メ
モリ層11の磁化の向きが補助層12の向きに一致する
(“0”が記録される)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のMOS構造の整
流素子は以上のように構成されているので、集積回路の
メモリ容量と演算速度を上昇させるには、素子そのもの
の微細化が不可欠となるのであるが、シリコンを用いる
素子では0.2μm程度の超微細パターンで電子の平均
自由行程と素子サイズとがほぼ等しくなり、素子の独立
性が保たれなくなるなどの問題点があった。このように
日々発展を続けるシリコンテクノロジーも微細化の点で
はいずれは壁に突き当たることが予想され、新しい原理
に基づく電子回路素子であって上記0.2μmの壁を突
き破るものが求められている。
【0006】また従来の光磁気ディスクは以上のように
構成されているので、この場合にも基板上にトラックを
作製するために超微細加工が必要であり、上記と同様に
微細化の限界に突き当たるなどの問題点があった。また
情報の読み出し、書き込みをレーザー光により行うため
光照射の領域を狭くする必要があるが、レーザー光を絞
り込む光学技術には限界がある。また情報の保存を磁性
膜の磁界の向きにより制御しているため、磁気記録のた
めに強いレーザー光を必要とする。さらに情報の書き込
みや読み出しをする速度、すなわち転送速度が遅いとい
う欠点があり、これは通信分野への適用等を考えると致
命的なものである。
【0007】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、高速で作動することができ、し
かも超高密度に集積が可能な電子素子とその集積化電子
素子を得ることを目的としており、さらにこれらの素子
に適した使用方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る電
子素子は、基板上に、電磁波または電子やイオン等の荷
電粒子ビームのいずれかを照射することにより励起状態
となる分子または機能団を有する回転体を回転可能に配
置したもので、さらに該回転体近傍に、該回転体からエ
ネルギーまたは電子の少なくとも一方を受け取る分子ま
たは機能団を有する静止体を1つ以上配置したものであ
る。
【0009】また、請求項2の発明に係る電子素子は、
前記回転体が励起状態となる照射エネルギーが互いに異
なる複数の機能団を有するものである。
【0010】また、請求項3の発明に係る電子素子は、
前記回転体の回転軸を、その軸方向が前記基板の法線方
向に一致させたものである。
【0011】また、請求項4の発明に係る電子素子は、
前記回転体を、回転母体に、電磁波または電子やイオン
等の荷電粒子ビームのいずれかを照射することにより励
起状態となる機能団を結合したものである。
【0012】また、請求項5の発明に係る電子素子は、
前記回転母体を、電磁波または電子やイオン等の荷電粒
子ビームのいずれかを照射することにより構造が変化す
る構造異性体としたものである。
【0013】また、請求項6の発明に係る電子素子は、
前記静止体を、静止母体に、前記回転体からエネルギー
または電子の少なくとも一方を受け取る機能団を結合し
たものである。
【0014】また、請求項7の発明に係る電子素子は、
前記回転体と、該回転体を支持する支持体を1つの分子
により構成したものである。
【0015】また、請求項8の発明に係る電子素子は、
前記回転体を錯体とし、該回転体の回転軸を前記錯体の
中心金属への2個の配位子としたものである。
【0016】また、請求項9の発明に係る電子素子は、
前記回転体を、2個の単結合により支持体に結合された
機能団または該機能団を含む分子団のいずれかとし、こ
れら2個の単結合を該回転体の回転軸としたものであ
る。
【0017】また、請求項10の発明に係る電子素子
は、前記回転体を、球殻を有する分子に、電磁波または
荷電粒子ビームのいずれかを照射することにより励起状
態となる機能団を結合したものである。
【0018】また、請求項11の発明に係る電子素子
は、前記静止体を複数、前記回転体の回転軸から等距離
の位置に、該回転軸に対して一定の配向を有するよう
に、かつ該回転軸と互いに隣接する2つの静止体それぞ
れとのなす角が一定であるように配置したものである。
【0019】また、請求項12の発明に係る電子素子
は、前記静止体を、酸化還元機能団を複数保持する分
子、分子集合体、機能団集合体のいずれか1種とし、前
記酸化還元機能団は、前記回転体から電子またはエネル
ギーの少なくとも一方を受け取る第1の酸化還元機能団
と、該第1の酸化還元機能団から電子を受け取る第2の
酸化還元機能団とを備えたものである。
【0020】また、請求項13の発明に係る電子素子
は、前記静止体を、電子伝達機能を有する生体高分子材
料またはその一部を改変した改変生体高分子材料のいず
れかを有するとしたものである。
【0021】また、請求項14の発明に係る電子素子
は、前記回転体と、前記静止体と、これらを支持する支
持体とを1つの分子により構成したものである。
【0022】また、請求項15の発明に係る電子素子
は、前記電子素子を構成する分子と特異的結合を起こす
置換基を基板または電極のいずれかに設け、前記回転体
と静止体を一定の配向を持たせて前記基板上または電極
上のいずれかに配置したものである。
【0023】また、請求項16の発明に係る電子素子
は、前記特異的結合を、疎水結合、イオン結合、ファン
デルクールスカによる結合のいずれか1種としたもので
ある。
【0024】また、請求項17の発明に係る電子素子
は、前記静止体近傍に、該静止体から電子を受け取る
か、または該静止体に電子を供給することにより電荷を
蓄積する部材を配置したものである。
【0025】また、請求項18の発明に係る電子素子
は、基板上または電極上のいずれかに、球殻を有する分
子からなる回転体の少なくとも一部分を収納し該回転体
を回転可能に支持する凹部を有する構造体を設けたもの
である。
【0026】また、請求項19の発明に係る電子素子
は、前記回転体が、電磁波または荷電粒子ビームのいず
れかを照射することにより励起状態となる分子または機
能団を有するものである。
【0027】また、請求項20の発明に係る電子素子
は、前記凹部を、前記基板または電極を構成する原子を
選択除去した凹面としたものである。
【0028】また、請求項21の発明に係る電子素子
は、前記凹部を、前記基板上または電極上に環状の分子
を配置して構成したものである。
【0029】また、請求項22の発明に係る集積化電子
素子は、請求項1ないし14または17のいずれか1項
記載の電子素子を構成する分子を、親水基と疎水基を有
する分子からなる膜に吸着させ、前記電子素子を構成す
る分子間の吸着能により、該分子が一定の配向を有する
ようにしたものである。
【0030】また、請求項23の発明に係る集積化電子
素子は、請求項1ないし14または17のいずれか1項
記載の電子素子を基板上または電極上のいずれかに複数
個配列したものである。
【0031】また、請求項24の発明に係る集積化電子
素子は、請求項1ないし14または17のいずれか1項
記載の電子素子を1つ以上の細線状の電極上に配列し、
該電子素子上に1つ以上の細線状の電極を設けたもので
ある。
【0032】また、請求項25の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向を
制御することにより、回転体から複数の静止体のうち一
部の静止体へのエネルギー移動速度または電子移動速度
を他の静止体への移動速度より大きくし、前記回転体に
電磁波または電子やイオン等の荷電粒子ビームのいずれ
かを照射することにより該回転体を励起状態とし、この
励起エネルギーまたは励起電子を前記一部の静止体のみ
へ移動させて該静止体を励起または還元させ、該静止体
のみが電極と電子の授受を行うことによりスイッチング
を行うものである。
【0033】また、請求項26の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向を
制御することにより、この回転体から複数の静止体のう
ち一部の静止体へのエネルギー移動速度を他の静止体へ
の移動速度より大きくする。ここで前記回転体に電磁波
または電子やイオン等の荷電粒子ビームのいずれかを照
射することにより該回転体を励起状態とし、この励起エ
ネルギーを前記一部の静止体のみへ移動させて該静止体
を励起させ、該静止体のみが構造を変化させるか、電極
から電子を受け取ることにより還元されるか、電極に電
子を渡して酸化されるかのいずれかにより情報の書き込
みを行うものである。
【0034】また、請求項27の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、様々に配向している
前記静止体に偏光制御した電磁波を照射し、前記静止体
のうち一部の静止体の電子を励起し、該一部の静止体の
みが電極から電子を受け取ることにより還元されるか、
電極に電子を渡して酸化されるか、構造を変化させるか
のいずれかにより情報の書き込みを行うものである。
【0035】また、請求項28の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記静止体に電場、
磁場または熱のいずれか1種を加えるか、もしくは電磁
波または電子線のいずれか1種を照射することにより、
前記静止体の酸化還元電位または構造のいずれかを変化
させ、情報の書き込みを行うものである。
【0036】また、請求項29の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記静止体に電場、
磁場または熱のいずれか1種を加えるか、もしくは電磁
波または電子線のいずれか1種を照射することにより、
前記静止体の酸化還元電位または構造のいずれかを変化
させ、前記静止体を情報の書き込み前の状態に戻すこと
により情報を消去するものである。
【0037】また、請求項30の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記電子素子を挟む
2つの電極間に電圧を印加するか、または前記静止体近
傍の電極に電位を印加することにより、静止体から電極
へまたは電極から静止体へのいずれかの方向に電子を移
動させ、酸化状態または還元状態の静止体を情報の書き
込み前の状態に戻すことにより情報を消去するものであ
る。
【0038】また、請求項31の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記電子素子を挟む
2つの電極間に電圧を印加するか、または前記静止体近
傍の電極に電位を印加することにより、静止体から電極
へまたは電極から静止体へのいずれかの方向に電子を移
動させ、酸化状態または還元状態の静止体の数を、電流
または移動電子数のいずれかにより検知し情報を読み出
すものである。
【0039】また、請求項32の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向を
制御することにより、該回転体と一部の静止体との間の
相互作用を大きくし、電極から該静止体を経由し、他の
電極へ向う方向、または電極から該静止体及び回転体を
経由し、他の電極へと向かう方向、あるいはその逆方向
の電流または移動電子数のいずれかを検知することによ
り、該静止体の酸化還元状態または構造を変化させるこ
となく該静止体の酸化還元状態または構造を検知し、情
報を読み出すものである。
【0040】また、請求項33の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向を
制御することにより、前記静止体のうち一部の静止体と
前記回転体との間、または一部の静止体と電極との間の
電子移動速度を該静止体以外の他の静止体との電子移動
速度より大きくし、電極から該静止体へ直接、または回
転体を介して電子を移動させることにより該静止体を酸
化し、該回転体近傍の静止体のうち、酸化または還元可
能な数を電極にて電流または移動電子数として検知し、
情報を読み出すものである。
【0041】また、請求項34の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向を
制御することにより、一部の静止体と該回転体との間の
相互作用を他の静止体と回転体との相互作用より大きく
するかまたは小さくし、前記静止体にエネルギービーム
を照射し、回転体の配向に依存する該静止体の発光挙動
を検知することにより、該静止体の酸化還元状態または
構造を検知し、情報を読み出すものである。
【0042】また、請求項35の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向を
制御することにより、一部の静止体と該回転体との間の
相互作用を他の静止体と回転体との相互作用より大きく
するかまたは小さくし、該静止体の酸化還元状態または
構造に応じて回転体の発光挙動が変化することにより、
該回転体にエネルギービームを照射し、該回転体の発光
挙動を検知して該静止体の酸化還元状態または構造を検
知し、情報を読み出すものである。
【0043】また、請求項36の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体に印加す
る電場または磁場を変化させることにより、該回転体の
配向を制御するものである。
【0044】また、請求項37の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体に電磁波
または電子、イオン等の荷電粒子ビームの少なくとも一
方を照射するか、または該回転体を熱することにより該
回転体を回転させ、さらに回転体の温度、回転体に印加
する電場または磁場、回転体に照射する電子、イオン等
の荷電粒子ビームの強度または方向、回転体に照射する
電磁波の波長の少なくとも1つを変化させることによ
り、該回転体の回転速度を制御し、任意の時間における
回転体の配向を知り、該回転体の配向を制御するもので
ある。
【0045】また、請求項38の発明に係る電子素子ま
たは集積化電子素子の使用方法は、前記回転体に、パル
ス状の電磁波または荷電粒子ビームを照射し、該パルス
の強度、時間幅、間隔、数から該回転体の配向を知り、
該回転体の配向を制御するものである。
【0046】
【作用】請求項1の発明における電子素子は、基板上
に、電磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射する
ことにより励起状態となる分子または機能団を有する回
転体を回転可能に配置したことにより、微小機械の駆動
源となる微小モーターが可能になる。また、該回転体近
傍に、該回転体からエネルギーまたは電子の少なくとも
一方を受け取る分子または機能団を有する静止体を1つ
以上配置したことにより、エネルギー移動または電子移
動を高速で制御できる電子素子が可能になる。
【0047】また、請求項2の発明における電子素子
は、前記回転体が励起状態となる照射エネルギーが互い
に異なる複数の機能団を有することにより、回転を制御
できる電子素子が可能になる。
【0048】また、請求項3の発明における電子素子
は、前記回転体の回転軸の軸方向が前記基板の法線方向
と一致することにより、回転効率の良い微小モーターを
有する電子素子が可能になる。
【0049】また、請求項4の発明における電子素子
は、回転母体に、電磁波または荷電粒子ビームのいずれ
かを照射することにより励起状態となる機能団を結合し
たことにより、微小機械の駆動源となる微小モーターを
有する電子素子が可能になる。
【0050】また、請求項5の発明における電子素子
は、前記回転母体を、電磁波または荷電粒子ビームのい
ずれかを照射することにより構造が変化する構造異性体
としたことにより、回転の異なる微小モーターを有する
電子素子が可能になる。
【0051】また、請求項6の発明における電子素子
は、前記静止体を、静止母体に、前記回転体からエネル
ギーまたは電子の少なくとも一方を受け取る機能団を結
合したことにより、エネルギー移動または電子移動を制
御できる電子素子が可能になる。
【0052】また、請求項7の発明における電子素子
は、前記回転体と、該回転体を支持する支持体とを1つ
の分子により構成したことにより、回転体の回転軸が安
定する。
【0053】また、請求項8の発明における電子素子
は、前記回転体を錯体とし、該回転体の回転軸を前記錯
体の中心金属への2個の配位子としたことにより、吸収
波長、発光波長、酸化還元電位を自由に制御することが
可能になる。
【0054】また、請求項9の発明における電子素子
は、前記回転体を、2個の単結合により支持体に結合さ
れた機能団または該機能団を含む分子団のいずれかと
し、これら2個の単結合を該回転体の回転軸としたこと
により、回転体の回転軸が安定する。
【0055】また、請求項10の発明における電子素子
は、前記回転体が球殻を有する分子に、電磁波または荷
電粒子ビームのいずれかを照射することにより励起状態
となる機能団を結合したことにより、回転体は高速で一
軸回転する。
【0056】また、請求項11の発明における電子素子
は、前記静止体を複数、前記回転体の回転軸から等距離
の位置に、該回転軸に対して一定の配向を有するよう
に、かつ該回転軸と互いに隣接する2つの静止体それぞ
れとのなす角が一定であるように配置したことにより、
エネルギー移動または電子移動を精度よく制御できる電
子素子が可能になる。
【0057】また、請求項12の発明における電子素子
は、前記静止体を、酸化還元機能団を複数保持する分
子、分子集合体、機能団集合体のいずれか1種とし、前
記酸化還元機能団は、前記回転体から電子またはエネル
ギーの少なくとも一方を受け取る第1の酸化還元機能団
と、該第1の酸化還元機能団から電子を受け取る第2の
酸化還元機能団とを備えたことにより、エネルギー移動
または電子移動を精度よく制御できる電子素子が可能に
なる。
【0058】また、請求項13の発明における電子素子
は、前記静止体が、電子伝達機能を有する生体高分子材
料またはその一部を改変した改変生体高分子材料のいず
れかを有することにより、数ナノメーター〜数百ナノメ
ーターレベルの空間におけるエネルギー移動または電子
移動を秩序正しく行うことができる電子素子が可能にな
る。
【0059】また、請求項14の発明における電子素子
は、前記回転体と、前記静止体と、これらを支持する支
持体とを1つの分子により構成したことにより、回転体
の回転軸が安定し、エネルギー移動または電子移動を精
度よく制御できる電子素子が可能になる。
【0060】また、請求項15の発明における電子素子
は、前記電子素子を構成する分子と特異的結合を起こす
置換基を基板または電極に設け、前記回転体と静止体を
一定の配向を持たせて前記基板上または電極上に配置し
たことにより、エネルギー移動または電子移動を精度よ
く制御できる電子素子が可能になる。
【0061】また、請求項16の発明における電子素子
は、前記特異的結合を、疎水結合、イオン結合、ファン
デルクールスカによる結合のいずれか1種としたことに
より、エネルギー移動または電子移動を精度よく制御で
きる電子素子が可能になる。
【0062】また、請求項17の発明における電子素子
は、前記静止体近傍に、該静止体から電子を受け取る
か、または該静止体に電子を供給することにより電荷を
蓄積する部材を配置したことにより、静止体の誤動作を
防止し、したがって電子素子の誤動作がなくなる。
【0063】また、請求項18の発明における電子素子
は、基板上または電極上に、球殻を有する分子からなる
回転体の少なくとも一部分を収納し該回転体を回転可能
に支持する凹部を有する構造体を設けたことにより、前
記回転体を安定した位置に支持する。
【0064】また、請求項19の発明における電子素子
は、前記回転体が、電磁波または荷電粒子ビームのいず
れかを照射することにより励起状態となる分子または機
能団を有することにより、前記回転体は安定した位置で
高速で一軸回転が可能になる。
【0065】また、請求項20の発明における電子素子
は、前記凹部を、前記基板または電極を構成する原子を
選択除去した凹面としたことにより、電子素子の小型化
が可能になる。
【0066】また、請求項21の発明における電子素子
は、前記凹部を、前記基板上または電極上に環状の分子
を配置して構成したことにより、電子素子の小型化が可
能になる。
【0067】また、請求項22の発明における集積化電
子素子は、請求項1ないし14または17のいずれか1
項記載の電子素子を構成する分子を、親水基と疎水基を
有する分子からなる膜に吸着させ、前記電子素子を構成
する分子間の吸着能により、該分子が一定の配向を有す
るように構成したことにより、電子素子の超高密度の集
積化が可能になる。
【0068】また、請求項23の発明における集積化電
子素子は、請求項1ないし14または17のいずれか1
項記載の電子素子を基板上または電極上に複数個配列し
たことにより、電子素子の超高密度の集積化が可能にな
る。
【0069】また、請求項24の発明における集積化電
子素子は、請求項1ないし14または17のいずれか1
項記載の電子素子を1つ以上の細線状の電極上に配列
し、該電子素子上に1つ以上の細線状の電極を設けたこ
とにより、電子素子のおかれる電場の方向及び大きさを
任意に制御することが可能になる。
【0070】また、請求項25の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向
を制御することにより、回転体から複数の静止体のうち
一部の静止体へのエネルギー移動速度または電子移動速
度を他の静止体への移動速度より大きくし、前記回転体
に電磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射するこ
とにより該回転体を励起状態とし、この励起エネルギー
または励起電子を前記一部の静止体のみへ移動させて該
静止体を励起または還元させ、該静止体のみが電極と電
子の授受を行うことにより、高速でスイッチング動作を
行うことが可能になる。
【0071】また、請求項26の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向
を制御することにより、回転体から複数の静止体のうち
一部の静止体へのエネルギー移動速度を他の静止体への
移動速度より大きくし、前記回転体に電磁波または荷電
粒子ビームのいずれかを照射することにより該回転体を
励起状態とし、この励起エネルギーを前記一部の静止体
のみへ移動させて該静止体を励起させ、該静止体のみが
構造を変化させるか、電極から電子を受け取ることによ
り還元されるか、電極に電子を渡して酸化されるかのい
ずれかにより情報の書き込みを行うことにより、高速で
情報の書き込みを行うことが可能になる。
【0072】また、請求項27の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、様々に配向してい
る前記静止体に偏光制御した電磁波を照射し、前記静止
体のうち一部の静止体の電子を励起し、該静止体のみが
電極から電子を受け取ることにより還元されるか、電極
に電子を渡して酸化されるか、構造を変化させるかのい
ずれかにより情報の書き込みを行うことにより、高速で
情報の書き込みを行うことが可能になる。
【0073】また、請求項28の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記静止体に電
場、磁場または熱のいずれか1種を加えるか、もしくは
電磁波または電子線のいずれか1種を照射して、前記静
止体の酸化還元電位または構造のいずれかを変化させる
ことにより、高速で情報の書き込みを行うことが可能に
なる。
【0074】また、請求項29の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記静止体に電
場、磁場または熱のいずれか1種を加えるか、もしくは
電磁波または電子線のいずれか1種を照射することによ
り、前記静止体の酸化還元電位または構造のいずれかを
変化させ、前記静止体を情報の書き込み前の状態に戻す
ことにより、高速で情報の消去を行うことが可能にな
る。
【0075】また、請求項30の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記電子素子を挟
む2つの電極間に電圧を印加するか、または前記静止体
近傍の電極に電位を印加することにより、静止体から電
極へまたは電極から静止体へのいずれかの方向に電子を
移動させ、酸化状態または還元状態の静止体を情報の書
き込み前の状態に戻すことにより、高速で情報の消去を
行うことが可能になる。
【0076】また、請求項31の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記電子素子を挟
む2つの電極間に電圧を印加するか、または前記静止体
近傍の電極に電位を印加することにより、静止体から電
極へまたは電極から静止体へのいずれかの方向に電子を
移動させ、酸化状態または還元状態の静止体の数を、電
流または移動電子数のいずれかにより検知することによ
り、高速で情報の読み出しを行うことが可能になる。
【0077】また、請求項32の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向
を制御することにより、該回転体と一部の静止体との間
の相互作用を大きくし、電極から該静止体、他の電極へ
と向う方向、または電極から該静止体、回転体、他の電
極へと向かう方向、あるいはその逆方向の電流または移
動電子数のいずれかを検知することにより、該静止体の
酸化還元状態または構造を変化させることなく該静止体
の酸化還元状態または構造を検知することにより、高速
で情報の読み出しを行うことが可能になる。
【0078】また、請求項33の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向
を制御することにより、一部の静止体と前記回転体との
間、または一部の静止体と電極との間の電子移動速度を
他の静止体との電子移動速度より大きくし、電極から該
静止体へ直接、または回転体を介して電子を移動させる
ことにより該静止体を酸化し、該回転体近傍の静止体の
うち、酸化または還元可能な数を電極において電流また
は移動電子数として検知することにより、高速で情報の
読み出しを行うことが可能になる。
【0079】また、請求項34の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向
を制御することにより、一部の静止体と該回転体との間
の相互作用を他の静止体と回転体との相互作用より大き
くするか小さくし、前記静止体にエネルギービームを照
射し、回転体の配向に依存する該静止体の発光挙動を検
知し、該静止体の酸化還元状態または構造を検知するこ
とにより、高速で情報の読み出しを行うことが可能にな
る。
【0080】また、請求項35の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体の配向
を制御することにより、一部の静止体と該回転体との間
の相互作用を他の静止体と回転体との相互作用より大き
くするかまたは小さくし、該静止体の酸化還元状態また
は構造に応じて回転体の発光挙動が変化することによ
り、該回転体にエネルギービームを照射し、該回転体の
発光挙動を検知して該静止体の酸化還元状態または構造
を検知することにより、高速で情報の読み出しを行うこ
とが可能になる。
【0081】また、請求項36の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体に印加
する電場または磁場を変化させることにより、該回転体
の配向を制御し、したがって該回転体の回転速度を制御
することが可能になる。
【0082】また、請求項37の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体に電磁
波または荷電粒子ビームの少なくとも一方を照射する
か、または該回転体を熱することにより該回転体を回転
させ、さらに回転体の温度、回転体に印加する電場また
は磁場、回転体に照射する荷電粒子ビームの強度または
方向、回転体に照射する電磁波の波長の少なくとも1つ
を変化させることにより、該回転体の回転速度を制御
し、任意の時間における回転体の配向を知り、該回転体
の配向を制御することにより、該回転体の回転速度を制
御することが可能になる。
【0083】また、請求項38の発明における電子素子
または集積化電子素子の使用方法は、前記回転体に、パ
ルス状の電磁波または荷電粒子ビームを照射し、該パル
スの強度、時間幅、間隔、数から該回転体の配向を知
り、該回転体の配向を制御することにより、該回転体の
回転速度を制御することが可能になる。
【0084】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明
する。図1において、21は回転体、22a〜22dは
静止体、23は基板であり、24は基板23のある1点
の法線(対称軸)である。
【0085】この電子素子は、電磁波または電子イオン
などの荷電粒子ビームなどのエネルギービームにより励
起状態となる分子または機能団である回転体21が、基
板23に対し平行に、すなわち基板23に対する法線2
4を回転軸として回転することができる構成である。こ
の回転体21は、図に示すように機能団のみで構成され
ているように見えるがその必要はなく、回転体を構成す
る物体に機能団が結合したものでもよい。また、他の物
質が付加したものでもよい。また、回転体21は図中黒
三角で示すように中心軸に対し回転非対称であることが
望ましい。しかし、回転対称でも機能を出すことは可能
である。また、基板23に対する法線24を中心軸とし
て回転すると述べたが、これが最も望ましいのであって
回転軸と基板23の成す角が10〜90度でもよい。
【0086】この回転体21の近傍には、静止体と称さ
れる該回転体21からエネルギーまたは電子またはその
両方を受ける分子または機能団が配置されている。回転
体21と静止体22間の最短距離は0.01ナノメータ
〜1マイクロメータである。この図では静止体22は2
2a〜22dの4つ示してあるが、1つでもよいし、複
数でもよい。複数の場合には中心軸に対して回転対称に
なるように配置することが望ましい。しかし、隣同志の
静止体22と対称軸24が成す角が全て等しい必要はな
いし、対称軸24と各静止体22との最短距離が全て等
しい必要もない。また、静止体22は全て同じ機能団で
ある必要もない。この図では静止体22が機能団のみで
構成されているように見えるがその必要はなく、静止体
22を構成する物体に機能団が結合したものでもよい。
以上が本実施例における電子素子の基本構成である。
【0087】ここで、この発明に至った経緯及びこの発
明の背景等について説明する。例えば、植物の葉緑体で
は集光蛋白質複合体と光合成反応中心蛋白質複合体とが
共同して太陽エネルギーから化学エネルギーに高効率に
変換する光合成の初期過程を担っている。この初期過程
において、集光蛋白質複合体は吸収した光エネルギー
を、秩序を持って並んでいる色素機能団を使って決まっ
た経路に沿って移動させ、最終的に反応中心蛋白質のク
ロロフィルに渡している。また、反応中心蛋白質ではエ
ネルギーを受け取ることをきっかけに、電子移動が、空
間的に秩序を持って配置された酸化還元機能団を通って
起こる。この数ナノメータ〜数百ナノメータレベルの空
間における秩序正しいエネルギー移動及び電子移動は色
素機能団または酸化還元機能団の決まった化学的性質、
位置、配向、環境に基づくものである。なお、色素機能
団と酸化還元機能団は同一のこともある。従って、人工
的に一定の空間内に、機能団をその化学的性質、位置、
配向、環境を考慮して配置し、さらに外部から位置、配
向、環境を制御することにより、数百ナノメータレベル
以下の空間におけるエネルギー移動、電子移動を制御で
き、それらを利用して、電子素子が得られる。
【0088】ところで、機能団を位置、配向を考慮して
配置する方法としては、1つには機能団を1つの分子内
に結合する方法(以下、これを超分子法と称する)と、
基板上に機能団を配置する方法(以下、これを分子配置
法と称する)が考えられる。超分子法では、回転体とな
る分子、静止体となる分子、骨格となる分子、配位子と
なる分子、そしてそれらを結合する分子を用意する。次
にそれらが結合するように結合部位を化学修飾する。そ
して最後にそれらの部品分子を結合すればよい。
【0089】分子配置法に用いる手段として代表的なも
のに走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針を利用する
ものがある。トンネル顕微鏡は探針と導電性サンプルに
流れるトンネル電流の変化を検知し、構造観察を行う装
置として主に用いられてきたが、最近原子・分子サイズ
での電界強度の制御を利用しての分子加工の例が多く示
されてきており、これまでと全く異なる概念での微細加
工法として注目されている。STM装置はピエゾ素子を
用いることにより、縦、横、高さの三方向に対して0.
01ナノメータ以内の精度で探針の位置制御を行うこと
ができる。またSTMの探針には通常タングステンや白
金−イリジウム合金を使用するが、探針先端は原子1個
が突き出た状態にあり、原子1個レベルの領域で電界を
制御することができ、この装置を用いることで電子レベ
ルの加工が可能となった。
【0090】次にこのSTMを用いた分子加工について
説明する。 i)探針を加工対象に接触させ機械的に塑性
変形を行う、ii)探針先端に発生する電子ビームを利用
して表面の化学結合を切断する、気体と反応させて表面
状態を変化させる。 iii)電子ビームと表面との相互作
用により熱変化を起こさせる。iv)探針先端に高電界を
生じさせ、探針先端あるいは対象物の原子・分子を蒸発
させる。 v)探針に原子・分子を吸着させ移動させる。
これらの方法を用いることにより、原子・分子レベルの
超微細な構造を持つ素子を作製することが可能となる。
【0091】また、STM以外にも原子間力顕微鏡(A
FM)を用いても分子加工はできる。この場合には探針
先端を加工物に対して任意の探針圧で接触させることに
より分子レベルの穴を開けることができる。あるいは探
針先端に物質を吸着させ移動、隆起物を形成させること
ができる。また、STM、AFMに限らず、原子・分子
スケールの精度で駆動できる装置があれば全て用いるこ
とができる。また、短波長のレーザ光、シンクロトロン
などからの放射線、電子線などを用いても行える。
【0092】超分子法における回転体としては有機物が
金属または金属イオンに配位した錯体が考えられる。錯
体は、光を吸収する色素機能団として、また電子移動を
担う酸化還元機能団としても働き得る。その中でもポル
フィリン誘導体がよい。これは吸収波長や発光波長、酸
化還元電位を自由に制御できるだけでなく、中心金属を
中心として、ポルフィリン環またはポルフィリン誘導体
環に垂直な直線を対称軸として90度のほぼ回転対称で
ある。また、中心金属にピリジン基などの配位子を配位
させるとそれを中心に簡単に回転すると考えられる。
【0093】分子配置法での回転体として有望なものに
球殻を持つ分子またはその誘導体が挙げられる。このよ
うな物質としては炭素の同素体であるフラーレン類や、
珪素の同素体や、硫化金属化合物がある。その中でもC
60,C70は、結晶中及び単分子状態においても吸着した
基板の種類により、高速で一軸回転していることが知ら
れており、分子回転体として用いることができる。これ
らの分子に光励起される機能団を目的の位置に付与し、
励起波長を持つ光を照射することで回転する。この機能
団をエネルギービームにより励起される機能団として用
いてもよいし、第2、第3の機能団を回転体に付与して
もよい。
【0094】次に静止体としては、回転体の機能団の励
起状態におけるエネルギー準位に対して最も効率よくエ
ネルギー及び電子移動を行い、かつ逆方向への移動は行
わないようなエネルギー準位をもつ分子及び機能団を選
択し、これを供与分子に対して最も量子収率の高い距離
・配向に、前記の超分子法または分子配置法を用いて配
置すればよい。エネルギー移動及び電子移動の速度・強
度の制御は、回転体分子の配向や回転速度を制御すれば
良く、温度、電場、磁場、光強度、光波長、光照射方
向、基板の種類などを変化させることにより行う。
【0095】またこの素子においては、光が照射された
後受容分子に数十ミリ秒以内にエネルギーまたは電子ま
たはその両方が受け渡される。さらに受容分子から放出
される電子や光子の検出の電極や光子検出器は、超分子
法による電子素子または記憶素子または集積化電子素子
のためには1つの電子素子に対し電場をコントロールで
きる1対の電極や、検出器があればよい。すなわち、1
つの静止体ごとに1対の電極や検出器は必要ない。それ
は、本発明の最も特徴的である、回転体の配向または回
転速度の制御により個々の静止体の電子移動や発光機能
を制御できるからである。
【0096】分子配置法による電子素子または記憶素子
または集積化電子素子の場合で回転軸が基板に依存して
いる場合には、電子素子の基板の反対側に電極を形成す
ることができないので、個々の分子に導電性高分子やカ
ーボンナノチューブや分子内に電子伝達能を有する機能
団を保持する天然及び人工の蛋白質分子を用いて配線す
ることにより、電子移動すなわち情報伝達を確実に行う
ことが可能となる。この方法は超分子法による電子素子
や集積化電子素子にも応用可能である。回転体を制御す
るための装置は集積化素子1つに対し1組あればよい。
【0097】次に動作について説明する。図2にその原
理を示す。図2において、25は回転母体、36は静止
母体、27(28)は回転母体25(静止母体26)の
位置を固定するための分子鋳型、29(30)は回転母
体25(静止母体26)に化学修飾した光励起性の機能
団である。この電子素子は、回転体を構成する分子と静
止体を構成する分子は異なる。また回転体は回転母体2
5と光により励起される機能団29(回転体機能団)か
らなり、静止体は静止母体26と光により励起される機
能団30(静止体機能団)からなる。
【0098】ここで、図中、(a)〜(c)は回転体及
び静止体のエネルギー準位図、(d)〜(f)は回転
体、静止体の各エネルギー状態における位置関係を示す
図である。(a)〜(c)で(A)は回転機能団のエネ
ルギー準位、(B)は静止体機能団のエネルギー準位で
ある。光照射をしていない状態では、回転体機能団と静
止体機能団がいかなる位置関係をとろうとも、離れた状
態でのエネルギー移動は起こらない(a)。次に、回転
母体25に光を照射すると励起状態となり、この励起状
態から元の基底状態に戻るときに発生する格子振動のエ
ネルギーにより回転体21は回転する。さらに異なる波
長の光を回転体機能団29に照射すると、図2(b)に
示すように最高占有軌道(HOMO)にあった回転体機
能団29の電子が最低非占有軌道(LUMO)励起され
る。この励起回転状態となった回転体機能団29と静止
体機能団30とが最も近接する瞬間にエネルギーあるい
は電子が静止体22へと量子的に移動する。エネルギー
移動が起こった場合には回転体21のLUMOに存在し
た電子は、エネルギー供与後HOMOに戻り、電子移動
の場合には酸化される。一方、静止体機能団30はエネ
ルギー受容後、HOMOに存在した電子はLUMOに引
き上げられる。また、電子移動の場合には還元されLU
MOに電子が入る。いずれにしてもLUMOに電子が入
る。そして近接する位置に他の電子受容体(例えば、電
極など)が存在すると、電子はある時定数を伴って移動
する(c)。電子移動を起こして酸化状態となった静止
体の機能団30は、基板23などからの電子移動により
元の状態に復活することができる。これらのことから本
素子に整流性を持たせることができる。
【0099】また、本素子に照射する光をパルスで与え
オン,オフすると、素子のパルスに対する入出力関係は
図3に示すようになる。本図は入力の光パルス、回転体
の発光強度、配線分子への電子の取り出しの関係を示し
ており、本図より光をパルス状で与えることにより、ス
イッチング特性を持たせることができる。
【0100】なお、回転体の代わりにエネルギービーム
照射により構造を変化させる物質(以後、光構造異性体
と称する)を用い、これにエネルギービームにより励起
状態となる機能団を付与し、光構造異性体の構造変化に
伴い、機能団からエネルギー移動する静止体が異なるよ
うになることを利用しても同様な効果が得られる。
【0101】実施例2.次に、この発明の実施例2を図
について説明する。図4において、31は回転体となる
マグネシウム錯体であるクロロフィルcをフェニル化し
た機能団、32a〜32dは静止体となるクロロフィル
機能団であり、全く同じ機能団が全部で4個存在する。
33はマグネシウムへの配位子となるピリジン基を持つ
梯子状有機体、34は静止体22を支える梯子状有機
体、35は静止体22、梯子状有機体34を保持する網
目状有機体であり、以上により1つの大きな有機分子3
6を構成している。回転体31は配位子を回転軸として
自由に回転できるが、静止体32は上下4点で網目状有
機体35と結合しており、4個の機能団は全て回転体3
1のマグネシウム原子の方向に向いて固定されている。
有機分子36において回転体31の蛍光発光スペクトル
と静止体32の電子スペクトルは一部重なる。このこと
から回転体31が吸収したエネルギーは静止体32に移
動可能である。このとき回転体31の配向が重要であ
る。回転体31はフェニル化されているため回転対称で
はなくそのためフェニル基と最も近い静止体32と最も
強く相互作用を示し、エネルギー移動を行う。この図で
表された状態では静止体32cとのみエネルギー移動を
起こした。ところで、回転体31の酸化還元電位は静止
体32のそれに比べて0.2V以上低く、そのため回転
体31の還元体から静止体32の酸化体へは電子移動が
高速に起こったが、静止体32の還元体から回転体31
の酸化体への方向には電子移動は起こらなかった。ま
た、この電子移動は前述したエネルギー移動と同様に回
転体31のフェニル基と最も近い静止体32cとのみ電
子移動を起こした。
【0102】ここでは、回転体機能団としてフェニル化
クロロフィルcを用いた場合を示したが、他のクロロフ
ィル誘導体、バクテリオクロロフィル誘導体、ヘム誘導
体、フタロシアニン誘導体、シアノコバラミン誘導体な
ど、ポルフィリン誘導体あるいは鉄硫黄錯体など他の錯
体でもよい。また、静止体機能団としてクロロフィルを
用いた場合を示したが、回転体機能団として例示した錯
体や、フェオフィチン誘導体、ビスアゾ色素類、フタロ
シアニン色素類、スクワリリウム色素類、アズレニウム
色素類、スチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導
体、トリフェニルアミン誘導体、フラビン誘導体、キノ
ン類、ポリピロール誘導体、カロテノイド、金属原子、
金属イオンなどの酸化還元機能団や蛍光機能団でもよ
い。
【0103】また、この実施例では、回転体を配位結合
で支持体から支えるようにした構成を示したが、図5に
示すように、回転体31を単結合37で支持体から支え
るようにし、その単結合37を回転軸とした構成でもよ
い。この場合、回転体機能団としては必ずしも錯体であ
る必要はなく、励起性の機能団であればよく、アントラ
セン誘導体、フラビン誘導体、シアニン色素類、ダンシ
ルクロリド誘導体、フルオレセイン誘導体、クマリン、
ローダミン、ペリレン誘導体、ピレン誘導体、パリナリ
ン酸、オキソノール色素、フォーマイシン誘導体、ルブ
レン誘導体、ナフタリン誘導体、フェナントレン誘導体
などでも同様な結果が得られた。
【0104】また、この実施例では、回転体、静止体共
に1つの支持体で支え電子素子が1つの分子で構成され
る例を示したが、図6に示すように、回転体31のみが
支持体38に支えられた構成としてもよい。また図7に
示すように、静止体を複数の酸化還元機能団40により
構成してもよく、さらに図8に示すように、静止体を酸
化還元電位の異なる機能団を複数連ねた静止体41とし
てもよい。このとき電荷分離が高効率に起こるようにお
互いの機能団の距離、配向を考慮しなければならない。
このようにすれば静止体が電子を回転体から受けた後高
収率に電極に電子を移動させることができる。またレチ
ナール誘導体を用いれば、エネルギーを受け取ると構造
が変化する。このようにエネルギー移動を受けたり、電
磁波を照射されると構造変化する機能団を静止体として
用いてもよい。さらに静止体を複数用いる場合には、必
ずしも全てが同一である必要はない。また、回転体の回
転軸は図4において2つのピリジン残基の窒素原子を結
んだ直線であり、基板と90度の角度を持つが、この角
度は10〜90度の範囲であればよい。また、回転体を
支持する配位子としてピリジン残基を用いたが、他の窒
素化合物や酸素化合物や硫黄化合物をなどでもよい。ま
た、構造体としては網目状有機体や梯子状有機体を用い
たが、他の有機物や珪素化合物やフラーレンなどの球殻
を持つ物質やその一部でもよい。
【0105】実施例3.次に、この発明における電子素
子を集積化かた集積化電子素子を図について説明する。
この集積化電子素子を作成するには、まず図9(a)に
示す基板42を用意する。この基板42は、例えば酸化
珪素やマイカのような原子レベルで平でしかも絶縁性が
よいものが好ましい。次に、基板42に本発明の電子素
子の大きさとほぼ等しい幅(1〜数10nm)を持つよ
うに金属を蒸着してストライプ電極43を形成した。前
述の電子素子36は網目状有機体を骨格とした分子であ
り、非水溶性である。そこで、この分子を揮発性有機溶
剤に溶解し水面上に滴下すると、溶剤が蒸発し、水面上
に電子素子が規則正しく並んだ単分子膜が生成した。こ
の単分子膜をラングミュア−ブロジェット法(LB法)
などにより基板42上に転写した。さらにストライプ電
極43と交差するようにストライプ電極44を蒸着によ
り形成した。こうすることによりストライプ電極43の
うちの1個とストライプ電極44のうちの1個に電圧を
印加することにより、任意の電子素子に電場を印加する
ことができた。図9(b)に図9(a)のうちの一電子
素子を拡大して示す。静止体32はストライプ電極44
の方がストライプ電極43に比べてより近くそのためス
トライプ電極44とのみ電子移動を起こした。ストライ
プ電極44は電磁波が透過するように1〜100ナノメ
ータの金属薄膜または透明電極を用いた。この例ではス
トライプ電極43とストライプ電極44は直交するよう
にしたが、必ずしもその必要はない。
【0106】以上の例では複数の電子素子分子が規則正
しく並んだ単分子膜を作成したが、この実施例以外の方
法として、まずフォスファチジルコリンなどの脂質分子
の有機溶媒溶液を水面上に滴下し、単分子膜を作成し、
単分子膜下の水を電子素子分子水溶液により置換し、電
子素子分子が脂質の単分子膜に吸着し、さらに電子素子
分子間の相互作用により電子素子分子が自然にきれいに
並ぶようにしてもよい。このとき水における塩強度、水
素イオン濃度、温度や、脂質分子構造、溶媒の種類、吸
着時間、脂質単分子膜の表面圧などが電子素子分子をき
れいに並べるのに重要である。
【0107】実施例4.次にこの発明の電子素子を記憶
素子として用いる方法を図10について説明する。ま
ず、前述の集積化素子を用いた情報の書き込み方法につ
いて説明する。集積化素子の左右前後に4つの電極45
a〜45dを設けた。電極45a,45cの組及び45
b,45dの組に印加する電圧をコントロールすること
により4電極45に挟まれた電子素子のおかれる電場の
方向及び大きさを任意に制御することができた。回転体
31は前述のように回転非対象構造であり、ダイポール
モーメントを有する。そのため電場ベクトルに応じて向
きを変化させる。図のように電極45aの電位を45c
に対し1V印加し、45b,45dに対しては電位を印
加しないようにすると電場ベクトルは矢印46が示すよ
うに向く。それに応じて回転体はフェニル基が矢印46
と一致するように向いた。その結果フェニル基は4つの
静止体32のうち、32cと最も接近した。この状態に
おいて集積化電子素子のうち、任意の1電子素子に電圧
を印加するようにストライプ電極43及び44の組合せ
を選び、ストライプ電極43の電位をストライプ電極4
4に対し−5〜+5V印加した。次に静止体32は高エ
ネルギーにせず、回転体31を高エネルギー状態とする
ために600〜1000nmの波長の光を1n秒照射し
た。すると回転体31の電子が励起された。
【0108】次にそのエネルギーが静止体32cに移動
し静止体32cの電子が励起された。しかしストライプ
電極43,44によって電圧が印加されているのでスト
ライプ電極43の電圧がストライプ電極44に対しプラ
スであれば静止体32cへストライプ電極44から電子
移動が起こり還元され、マイナスであればストライプ電
極43へ電子移動が起こり酸化された。いずれにしても
静止体32cは他の静止体32a,32b,32dの状
態とは異なるように変化した。その結果例えば還元状態
を“1”、元の状態を“0”とし、静止体32a〜32
dの状態を順に書き表せば今“0010”となる。さら
に電極45a〜45dへ印加する電圧を制御し同様な操
作を行って静止体32aを還元すれば電子素子の状態は
“1010”と表せる状態となった。すなわち“000
0”〜“1111”の情報を表すことができるので1電
子素子に4ビットの情報を書き込みすることができるこ
とがわかった。これらの一連の操作を集積化素子の全て
の素子に対し行うことができたので、電子素子数×4ビ
ットの情報を書き込みすることができることがわかっ
た。本実施例では20×4で80ビットである。
【0109】この実施例では、1電子素子あたりの静止
体の数を増やせば書き込みすることができるビット数は
増え、集積化電子素子中の全静止体数のビット数の情報
を書き込みすることができる。また、この実施例では2
0個の電子素子を集積化したが、1電子素子の大きさは
直径約4ナノメータであり、1平方センチメータあたり
6.25×1012個という非常に高密度に集積すること
もできる。この場合書き込みできる情報量は2.5×1
13ビット(25テラビット)である。もちろん集積度
は変えることができる。また、酸化還元状態の変化は可
逆でありこの記憶素子は再書き込み可能である。
【0110】実施例5.次に静止体機能団としてレチナ
ールを用いた場合の書き込み方法を説明する。手順は前
述の場合と全く同様である。レチナールはエネルギーを
受け取る前はシス型を含んでいるが、エネルギーを受け
取ると全トランス型に構造変化する。その結果、前述の
酸化還元状態を変化させた場合と同様に1電子素子あた
りレチナール機能団の数と等しいビット数の情報を書き
込みすることができた。シス−トランス構造変化は可逆
であり、この記憶素子は再書き込み可能である。レチナ
ール以外にも、光などのエネルギービームを照射して可
逆に構造変化を起こす物質であれば何でも用いることが
できる。
【0111】実施例6.次に他の書き込み方法を図11
について説明する。ここでは、クロロフィル機能団から
なる3個の静止体48a〜48cを含む電子素子47を
用いた。それぞれの静止体48はお互いに120゜の角
度を成す。これを上下にストライプ電極43,44で挟
んだ。ストライプ電極44には光透過電極を用いた。こ
の場合酸化スズとした。前述の場合と同様に任意の電子
素子に電圧を印加した。次に偏光フィルター51を通し
た600〜1000nmの光を照射した。偏光フィルタ
ー51は任意に回転することができ、偏光の向きを制御
できるようにした。クロロフィルは一定の向きの偏光の
みによって励起されるので、3個の静止体48a〜48
cのうち、任意の静止体を励起することができる。矢印
49は照射した光の電場ベクトルの向きを示す。この図
は静止体48aの向きと一致しており静止体48aが励
起された例を示す。その結果、前述の場合と同様に任意
の静止体の酸化還元状態を制御することができ、静止体
の数と等しいビット数の情報を書き込みすることができ
た。この例では“000”〜“111”の3ビットであ
る。
【0112】実施例7.次に他の書き込み方法について
説明する。実施例6において通常の励起波長よりも大き
いエネルギーを持つ短波長の紫外光、X線、γ線あるい
は電子ビームを照射すると、静止体48の2重結合が酸
化された。この反応は非可逆である。このように非可逆
的に酸化されたり、非可逆的に構造を変化させる場合に
は、電子素子は再書き込み不可能であるので、1回のみ
書き込み可能な読み出し専用記憶素子として機能する。
このような非可逆反応を起こさせるには、ストライプ電
極43,44によって任意の電子素子に強い電場を印加
しながら、磁場を印加したり、熱したりしても同様な結
果が得られる。
【0113】実施例8.次に情報の読み出し方法につい
て図12について説明する。静止体32の状態が元の状
態から変化した場合に静止体32の導電性が変化するこ
とを利用する。すなわち、実施例4の場合と同様に、電
子素子のおかれる電場または磁場を変化させることによ
り回転体を各静止体に向くように配向させた。同時にス
トライプ電極43に、ストライプ電極44に対し−5V
〜−0.001mVの電圧を印加した。すると書き込み
時に状態が変化していない静止体と回転体との間の距離
が最も短くなったときはストライプ電極44→静止体3
2→回転体31→ストライプ電極43と電流が流れた。
しかし状態が変化した場合には電流が流れなかった。よ
って回転体3の配向状態と共に電流を検知することによ
り各静止体32の状態がわかるので情報を読み出すこと
ができた。このとき電子は中心金属のマグネシウムを流
れるのではなくクロリン環を流れていると考えられるの
で酸化還元状態は変化せず情報は保持されたままであっ
た。
【0114】図12に回転体の配向と電流値の関係を示
す。回転体が、静止体32aと静止体32cの方向に配
向したときに電流が大きく流れていることがわかる。よ
って、書き込みされた情報が“1010”であったこと
がわかった。また、逆に静止体の状態が元の状態から変
化すると、変化していない場合に比べてストライプ電極
44→静止体32→回転体31→ストライプ電極43で
電流が流れるようになる場合でも同様に情報を読み出す
ことができる。
【0115】実施例9.次に他の読み出し方法について
説明する。ストライプ電極43,44に電圧を印加する
と、書き込み時に静止体32を還元した場合には静止体
32から電子を奪い元の状態に戻すことができる。そこ
でストライプ電極43の電圧をストライプ電極44に対
し−5〜+5Vとした。また、逆に書き込み時に静止体
を酸化させた場合には静止体に電子を与え元の状態に戻
すことができる。そこでストライプ電極43の電圧を電
極44に対し−5〜+5Vとする。いずれにしても、元
の状態に戻すときに電極と静止体の間で電子移動が起こ
るので、その電子数を検知することにより1電子素子中
の酸化体の数、または還元体の数を数えることができ、
静止体の数だけの情報量を読み出すことができた。この
方法は情報を消去する場合にも用いることができる。
【0116】実施例10.次に他の読み出し方法及び消
去方法について説明する。実施例4〜6において示した
情報の書き込み方法と全く同様にして、回転体の配向を
制御するか照射する光の偏光方向を回転させるかして静
止体32をaからdまで順番に酸化または還元させる操
作を行った。用いる光の波長も600〜1000nmで
ある。もし書き込み時において静止体の状態が変化して
いれば読み出し時においてはそれ以上変化させることが
できない。一方、書き込み時において静止体32が変化
していなければ酸化または還元させることができる。回
転体32の配向に応じてストライプ電極44に移動する
電子数を検知すれば、静止体32の状態を調べることが
でき、情報の読み出しができた。しかしこの方法では再
度読み出しすることができなかった。照射する光の波長
を変えることにより、この方法は情報を消去するために
も用いることができる。またこのとき偏光を用いなけれ
ば、一括消去できる。
【0117】実施例11.次に他の読み出し方法につい
て説明する。静止体32の状態が元の状態から変化した
場合には回転体31からエネルギー移動が起こらないこ
とを利用する。すなわち、実施例4の場合と同様に、電
子素子の置かれる電場または磁場を変化させることによ
り回転体31の方向を各静止体32に向けた。同時に回
転体31を励起するために該回転体31に600〜10
00nmの光を照射し、回転体31から発する光を検知
した。書き込み時に状態が変化していない静止体32と
回転体31との間の相互作用が最も強くなるようになっ
たときはエネルギー移動のために回転体31から発せら
れる光強度が弱くなるし、スペクトルも変化した。しか
しながら書き込み時に状態が変化した静止体32と回転
体31との間の相互作用が最も強くなるようになったと
きはエネルギー移動が起こらないために発光強度やスペ
クトルが変化しなかった。よって回転体31の配向状態
と共に回転体31からの発光を検知することにより各静
止体32の状態がわかるので書き込みされた情報を読み
出すことができた。
【0118】実施例12.次に他の読み出し方法につい
て説明する。静止体32の状態が元の状態から変化した
場合には静止体32が発光しないことを利用する。ま
た、回転体31と相互作用すると励起波長が変化するこ
とを利用する。すなわち、実施例4の場合と同様に、電
子素子の置かれる電場または磁場を変化させることによ
り回転体31の配向を各静止体32に向くように制御し
た。同時に静止体32を励起するために該静止体32に
650〜1500nmの光を照射する。このとき、書き
込み時に状態が変化していない静止体32と回転体31
との間の相互作用が最も強くなるようになったときのみ
静止体32は励起され発光した。しかし相互作用が弱い
ときには励起波長が照射波長と異なるので発光しなかっ
た。また、静止体32が元の状態から変化していれば発
光しなかった。よって回転体31の配向状態と共に静止
体32からの発光を検知することにより各静止体32の
状態がわかるので情報を読み出すことができた。
【0119】また、これまでに示してきた情報の読み出
し方法では回転の配向を制御して行ってきたが、ある任
意の時間において回転体31の配向がわかれば同様の結
果を得ることができる。すなわち、回転体31の機能団
が吸収する光などの電磁波や電子イオンなどの荷電粒子
のビームによるエネルギービームを照射することによっ
て回転体31を回転する。あるいは熱を与えて回転させ
る。さらにそのときのエネルギービームの照射時間や照
射間隔、強度変化させる場合の間隔、回転体31がおか
れる電場、磁場、温度を制御することによって回転速度
を制御できる。回転速度が制御できれば回転体31の向
きがわかる。よって、静止体32を経て流れるストライ
プ電極43とストライプ電極44間の電流または電子
数、あるいはストライプ電極44が静止体32から受け
取るか静止体32に与える電子数、あるいは静止体32
から発せられる光、あるいは回転体31から発せられる
光を検知することにより電子素子中の静止体32の状態
を検知できるので、電子素子に書き込まれた情報を読み
出しすることができる。
【0120】なお、上記実施例4〜12では、超分子法
による電子素子について説明したが、以下に述べるよう
な分子配置法による電子素子にも応用できる。また、こ
れまでに述べてきた回転体機能団を励起する方法として
光を用いてきたが、これは機能団に依存するものであっ
て、機能団によっては他の波長の電磁波や電子やイオン
などの荷電粒子のビームによるエネルギービームを用い
ることができる。
【0121】実施例13.図13は、本発明の一実施例
の電子素子を模式的に示す断面構成図である。図におい
て、52は基板としての金の単結晶薄膜である。53は
70分子、54はC70分子に化学修飾したアントラセン
分子、55はフラビン単体である。
【0122】次にこの素子の作製方法について説明す
る。C70分子へのアントラセンの修飾は、文献の方法に
従い、C70分子の臭素を付加し、この付加体中の臭素と
アントラセンとの交換反応により合成した。合成生成物
は高速液体クロマトグラフィーにより精製した。目的物
の確認はFT−IR、元素分析、NMRにより行った。
【0123】清浄化した基板52である金の単結晶薄膜
表面上に上記のC70修飾体を極微量溶かしたトルエン溶
液を1滴滴下し溶媒を蒸発させた。次に同じ基板上にフ
ラビン単体を極微量溶かしたクロロホルム溶液を1滴滴
下した。この基板を超高真空STM装置に設置した。な
おこの装置では、真空度を約10-9torrに保持可能
で、さらにサンプル温度を−268℃〜600℃まで調
節できる。STM探針の位置制御は高性能なピエゾ素子
により行っているので、原子1個のサイズレベルで三次
元位置制御を行えるようにしてある。まずSTM観察に
より基板上にC70修飾体とフラビン誘導体が存在するこ
とを確認した。基板温度を−195℃にした後、任意の
場所を選択しW製のSTM探針にフラビン単体1個を物
理吸着させ、C70修飾体から2ナノメータ離れたところ
に移動させた。半径数十ナノメータ以内に存在する両分
子も同様の方法で除去し、この領域にした。C70修飾体
とフラビン誘導体が1個ずつのみが存在する構造を形成
させた。−195℃に温度保持をすれば、長時間にわた
り分子の移動は起こらず構造を保持することを確認し
た。さらに光を照射を始めると回転体の内部構造が消失
したことにより、静止状態にあった回転運動が回転運動
を始めたことも合わせて確認した。この構造を持つ素子
を作製することにより、回転体と静止体間でのエネルギ
ー移動が可能となる。
【0124】実施例14.この実施例は図14に示すよ
うに、上記実施例13の電子素子に、アントラセン分子
54の励起波長の光を発生する発光ダイオードとアント
ラセンから発生する蛍光を感知するためのフォトン走査
型トンネル顕微鏡(PSTM)57を設置したものであ
る。図において、56は発光ダイオード、58はPST
M57の光プローブであり、先端をフラビン誘導体から
0.3nm上方に固定している。この発光ダイオード5
6は非常に微細な領域のみに光照射が可能である。回転
体から発する光はPSTM57により検出ができる。光
プローブ58は光ファイバー製で微細加工により原子レ
ベルの先鋭さを持つので、このプローブを静止体の位置
に固定しておけば、その位置で分子レベル領域の光強度
の変化を測定することができる。PSTM57はSTM
装置に光検出器とロックインアンプを増設した構成であ
る。
【0125】次にこの電子素子の動作方法について説明
する。図15はPSTM37により検出された蛍光の強
度の時間変化を示したものである。ここでは、素子は真
空中−198℃に保持した。発光ダイオードの出力は1
μWである。図15より蛍光消光の周期が100ナノ秒
であることが確認された。回転体のみの構成では蛍光消
光の寿命は10マイクロ秒であり、本実施例における回
転体の蛍光消光の寿命が短くなっているのは、静止体へ
蛍光エネルギーが吸収されているためである。このこと
から本実施例で用いた電子素子は分子レベルの微細な領
域においてエネルギー移動を行っていることが確認され
た。また、この温度での13C NMRの測定結果より得
られた光照射中のC70修飾体の回転周期は約106ナノ
秒であり、これは蛍光消光の寿命と対応していると考え
られ、蛍光消光が回転体の回転速度に依存していること
が確認された。
【0126】なお上記実施例では、回転体の機能団を励
起状態とするのに発光ダイオードを用いたが、該回転体
の励起手段としてはアントラセン分子の励起発光エネル
ギーに相当するエネルギーを供給するものであればよ
く、例えばレーザ光等を用いてもよい。
【0127】さらに上記実施例においては、発光ダイオ
ードの出力を1μWとしているが、出力を変化させるこ
とにより、回転体の回転周期と蛍光消光の周期を変化さ
せることができる。例えば、照射する光強度が増せば、
回転周期及び蛍光消光の周期は速くなり、減少すれば遅
くなることからエネルギー移動の周期を光強度により制
御できる。
【0128】さらに上記実施例では機能団を含まない回
転体分子として、C70誘導体を用いたが、他の球殻を含
む分子である一連のフラーレン類と呼ばれる球状の炭素
分子、例えばC60,C86,C72などを用いてもよい。ま
た、必ずしも球状をしている必要はなくその一部を含む
分子でもよい。また、炭素原子が珪素原子に置き代わっ
た分子や硫化モリブデン、硫化タングステンなどが球殻
または球殻の一部を形成している分子でもよい。さらに
はこれらの球殻分子に水素原子、臭素原子などが付加し
たような球殻分子誘導体でもよい。またフラーレン中に
ランタン、イットリウムなどの金属原子や金属イオンを
内包したいわゆる金属内包フラーレンでもよい。また他
の球殻分子や球殻分子誘導体に金属原子や金属イオンを
内包した金属内包球殻分子でもよい。これらにアントラ
センを修飾した誘導体でも同様の結果が得られた。また
励起性の機能団としてはアントラセン誘導体を用いてい
るが、これも励起発光性の分子であればよく、シアニン
色素類、ダンシルクロリド誘導体、フルオレセイン誘導
体、クマリン、ローダミン、ペリレン誘導体、ピレン誘
導体、パリナリン酸、オキソノール色素、フォーマイシ
ン誘導体、ルブレン誘導体、ナフタリン誘導体、フェナ
ントレン誘導体をなどを用いて合成した回転体分子でも
同様の結果が得られた。
【0129】また、静止体分子としてフラビン単体55
を用いたが、該静止体分子は回転体分子からの発光のエ
ネルギーを受け取ることが可能なものであればよく、ク
ロロフィル誘導体、バクテリオクロロフィル誘導体、ヘ
ム誘導体、フタロシアニン誘導体、シアノコバラミン誘
導体など、ポルフィリン誘導体あるいは鉄硫黄錯体など
他の錯体、ビスアゾ色素類、スクワリリウム色素類、ア
ズレニウム色素類、スチルベン誘導体、トリフェニルメ
タン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、フェオフィチ
ン誘導体、フラビン誘導体、キノン類、ポリピロール誘
導体、カロテノイド、金属原子、金属イオンなどの酸化
還元機能団、さらにはこれらを含む高分子、これらを結
合させたタンパク質などを用いても同様の結果が得られ
た。
【0130】本実施例では球殻を持つ分子を回転体と
し、これを回転させることにより電子素子として応用で
きることを示したが、この回転体を微小機械の駆動源、
すなわち微小モーターとして用いることもできる。
【0131】実施例15.この実施例の電子素子は、図
16に示すように、上記実施例14の電子素子のC70
子53に対してフラビン単体55と対称の位置に、さら
にフラビン単体55を設置したものである。この電子素
子の作成方法及び動作条件は上記実施例14の電子素子
と同様である。
【0132】次に素子の動作について説明する。図17
及び図18は、発光ダイオードの出力強度と回転体であ
るC70修飾体からの蛍光強度との関係を示す図である。
静止体分子が回転体の周囲に2個設置されたので、実施
例14と比較して、1μWの出力光では蛍光消光の周期
は半分となった。さらに光強度を段階的に変化させると
蛍光消光の周期も変化した(図17)。また光照射をパ
ルス的に行った場合、光照射中は蛍光消光現象が観察さ
れたが、照射を止めている間は、蛍光発光は全く見られ
なかった(図18)。
【0133】本実施例では静止体を2個としているが、
回転体の周囲に全対称的に4個(90度間隔)、6個
(60度間隔)で配置してもよく、この場合蛍光消光の
周期は、回転周期の4分の1、6分の1として検出され
た。さらに他の個数でも同様の結果が得られた。
【0134】実施例16.上記実施例13〜15では、
分子の位置を固定しておくために温度を−195℃とい
う非常に低温に設定しているが、本実施例の電子素子で
は室温での位置固定を行うために回転体及び静止体分子
の一部が納まる穴を基板を加工して作製し、その穴に目
的分子をはめ込み固定していることが特徴である。図1
9(a)〜(e)に本実施例で作製した素子の作製法を
示す。図において、61はC70のアントラセン修飾体、
62はフラボチトクローム分子(特願平3−23569
4)、63はC70修飾体の分子鋳型、64はフラボチト
クローム分子の分子鋳型、65はSTM探針である。
【0135】次にこの電子素子の作製方法について説明
する。金単結晶を用い、表面に構造を作製する作業は上
記実施例で用いたのと同じ超高真空STM装置を用い
た。この装置では、真空度を約10-9torrに保持可
能である。STM探針65の位置制御は高性能なピエゾ
素子により行っているので、原子1個のサイズレベルで
三次元位置制御を行うことができる。清浄化した金単結
晶基板52をSTM装置にセット後真空度を高め、30
0℃で30分焼き鈍し表面に吸着した分子を除去し、完
全に清浄化した(図19(a))。STM探針65には
タングステン(W)針を用い、3V,10〜30n秒の
パルス電圧を印加し、基板表面から金原子を電界蒸発さ
せて、目的座標に深さ0.4ナノメータのC70分子の直
径に等しい穴63を作製した。なお作製時の基板温度は
分子拡散を防ぐために液体ヘリウム温度(−268.
8)℃で行った。前述の穴の中心から2ナノメータの距
離に本実施例で用いた特願平3−235964号公報記
載のフラボチトクローム分子の形に相当する深さ0.3
5ナノメータの穴64を回転体の穴を挟んで、3つの穴
が一直線上に並ぶように2個作製した(図19
(b))。
【0136】基板加工の方法としては、本実施例ではS
TMによる原子の電界蒸発をおこなったが、そのほかに
いわゆる半導体の超微細加工の方法、例えばエキシマレ
ーザ、シンクロトロン放射光などを用いてもよい。ま
た、バッキーチューブと呼ばれる分子を加工して、リン
グ状の分子を作成したり、クラウンエーテルなどのリン
グ状分子を基板に配置させ、そこに電子素子を構成する
分子をはめ込んでもよい。またキセノンなどの吸着原
子、ベンゼンなどの吸着分子、あるいは基板を構成する
金原子をSTM探針を利用してうまく並べてやることに
より電子素子を構成する分子がうまく納まる構造を形成
してもよい。グラファイトを基板とし、さらに酸素雰囲
気下でSTMを用いて電子素子の形に合わせて−3Vの
電圧を基板に印加することによって、印加した場所を酸
化し−O基をグラファイト上に付与し、これと電子素子
との結合を利用して電子素子分子を並べてもよい。他の
分子を用いることにより−COOH基や−OH基を付与
することもできる。他の基板も同様である。印加する電
圧は−100〜100Vの範囲で適当に選べばよい。基
板と付与する置換基による。この置換基に前述のリング
状分子をつけ、さらに電子素子分子をはめ込んでもよ
い。
【0137】次に、上記基板上にC70のアントラセン修
飾体61とフラボチトクローム分子62を極微量溶解さ
せたトルエン混合溶液を一滴滴下した(図19
(c))。乾燥させた後(図19(d))、基板上に残
った不要分子を除去するためにクロロホルムで二度洗浄
した。処理後の基板を超高真空STM装置に再設置し
た。STM観察により、図19(e)に示すような目的
構造を確認した。これは分子構造に相当する構造(鋳
型)をあらかじめ作製しているあめに、特定分子を配向
を制御して固定できる。さらに穴に納まり固定された分
子以外は溶媒で洗浄することにより除去されることにな
り、図19(e)に示すような構造を持つ素子を作製す
ることができる。
【0138】実施例17.この実施例の電子素子は、図
20に示すように、上記実施例16において作製した電
子素子に実施例14において用いた発光ダイオード56
とPSTM57及び光プローブ58を設けたものであ
る。ここでは、動作条件を室温としたこと以外は上記実
施例15と全く同一の条件で実験を行った。図21,図
22はこの実験結果を図示したものである。この実験結
果では、蛍光消光の周期が長くなったが、その他は全く
同様の結果が得られた。これは動作温度が高くなり分子
運動が起こり易くなった以上に、回転体と基板との相互
作用が強まり回転運動が抑制されたためと考えられる。
本実施例においては、通常の素子の動作温度である室温
条件での分子レベルのエネルギー移動が確認された。
【0139】実施例18.この実施例の電子素子は、上
記実施例17において作製した電子素子に、静止体分子
から放出される電子を取り出すための電極、取り出した
電子を運搬するための配線、その電子を検出するための
検出器を設置したものである。
【0140】図23において、71はフラボチトクロー
ムに接続した白金電極、72は白金電極71に接続した
ポリアセチレン、73a,73bはそれぞれ電子を検出
するための2つの微小電流計74a,74bに接続する
ための電極である。
【0141】次にこの電子素子の動作について説明す
る。図24,25は実施例15及び17と同じ実験を行
った結果であり、発光ダイオードの光強度、回転体から
発生する蛍光の強度、電極74a,74bに接続した微
小電流計73a,73bの指示値の相関を示す応答曲線
である。本実施例で用いた微小電流計は市販のものと異
なり、電子1個の電荷量の一万分の一の精度で電荷量を
測定できる装置であり、市販品に対して数百万倍も高性
能である。図より光照射中、回転体から発する蛍光は回
転の半周期毎に消光し、それぞれの微小電流計の指示値
は、蛍光消光ピークから約10ナノ秒経過後に極大値を
示し、極大値は必ずプラス側に生じ、一周期時間経過毎
に起こった。またこの値は電子1個分の電荷に相当し
た。また光を照射していない状態では微小電流計の指示
値は0のままであった。以上のことから、本実施例で作
製した素子が整流性を持つことが確認された。
【0142】次にこの電子素子の作製方法について説明
する。実施例16で示した作製法に引き続いて行う。フ
ラボチトクロームへの白金電極71の設置は、白金製S
TM探針65先端の白金原子を目的位置で基板から1n
m離れたところに固定し、探針に10V,50nAのパ
ルス電圧を与え白金原子を放射させて積層し作製した
(図26(a))。同様の方法で電極74a,74bを
白金電極71から50nm離れたところに約30倍の大
きさで作製し微小電流計との接続を可能にした。電極−
電極間の接続は、希薄なポリアセチレン溶液を滴下し、
STM探針65で高分子鎖を電極まで導き、また不要な
ものは除去して作製した(図26(b))。
【0143】上記実施例では配線分子としてポリアセチ
レンを用いたが、他の導電性の高分子を用いてもよく、
例えばポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフ
ェンなどの芳香族性ポリマーを用いても同様の素子は作
製できる。また導電性の高分子ではなく、特願平3−2
69450号に記載されているような、チトクロームc
などの電子伝達性蛋白質を配列させて配線してもよい。
伝達性を高めた人工蛋白質も同様である。あるいは電極
間を接続するのではなく、探針原子の電界放射により作
製した電極の幅を拡大し、微小電流計への接続が可能な
大きさまで拡大させればよい。
【0144】実施例19.本実施例で用いた電子素子
は、実施例17の構造を持つ素子に電界印加用の電極7
5を設置した構造を持つ。図27は付設した電界印加用
電極の配置を示す上方図で残りの構成は、図23と全く
同じである。図28は本実施例で行った実験の発光ダイ
オードの光強度、回転体から発生する蛍光の強度、微小
電流計73a,73bの指示値の相関を示す応答曲線で
ある。この電極を用いて一定方向に電界を印加すること
で回転分子を光照射中でも静止状態とし機能団を任意の
配向に固定することができる。次にこの素子をメモリ素
子として用いる動作について説明する。本実施例では電
極に3Vのバイアス電圧を印加したまま、発光ダイオー
ドを100nsでパルス照射を1回行った。微小電流計
の指示値は微小電流計73bのみパルス光に対応した極
大を示し、微小電流計73aは0のままであった。次に
もう一度パルス光照射を行った。蛍光消光は見られず、
今度は両方とも0のままであった。これは回転体が静止
状態でアントラセン基が静止体の方向を向いて固定して
おり、さらに電界印加により基板52からの電子供与が
妨げられているので、静止体は還元状態、静止体は元の
ままの酸化状態として保持される。この2つの状態を
0、1状態とすれば2ビットの情報の書き込みが行われ
たことになる。読み出しはバイアス電圧をかけることな
しに、前述と同じ条件で光照射を行い電子移動の有無に
より行う。すなわち図28に示すように還元状態にある
静止体は電子移動を行わず、酸化状態にある静止体のみ
が電子移動を行い、微小電流計73bの指示値が振れ
た。以上のことから情報の読み出し,書き込みが可能と
なる。また情報の消去は還元状態にある静止体をすべて
酸化体に変換することで均一状態としリセットができ
る。配線を用いて逆バイアスを印加し電子供与を行えば
よい。
【0145】さらに、配線と静止体の間に電荷を蓄える
コンデンサを設けてもよい。コンデンサとしてはチトク
ロムc3などの多感能基電子伝達タンパク質を用いたと
ころ最大4個の電子を蓄えることができた。そのため、
読み出し時の静止体への影響を防止、読み出しの誤動作
を防止することなどの利点を得た。
【0146】実施例20.本実施例では前記までの実施
例を用いて素子の集積化を行っていることを特徴とす
る。以下に素子の集積法についての例を示す。集積化に
ついては基本的に実施例16に示した作製法を基本単位
として大面積化してやればよい。図29(a)〜(f)
に素子作製のプロセスの模式図を示す。基板52の清浄
化を行い(同図(a))、目的構造の基本単位の分子鋳
型63,64を作製する(同図(b))。次に素子を構
成する分子を含んだ混合溶液81を基板52上に滴下あ
るいは基板自身を溶液中に浸漬させた(同図(c))。
基板52表面の不要分子を洗浄除去、除去不可の分子は
STM探針65などを用いて除去すればよい(同図
(d))。ここまでのプロセスで回転体及び静止体の固
定が完了する(同図(e))。分子サイズの白金電極7
1の設置は、白金製のSTM探針65から原子放射によ
り積層し作製する(同図(f))。それぞれの分子への
配線及び配線分子への電極の設置、電界印加用電極の設
置も前述と同様の方法で行えばよい。この方法を用いて
実施例6の構造を持つ素子を基本単位として100個の
素子を同一基板上に作製した。本方法を用いて集積度を
上げればテラビット級の記憶能力を持つ素子を作製する
ことができる。
【0147】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、基板上に、電磁波または荷電粒子ビームのいずれか
を照射することにより励起状態となる分子または機能団
を有する回転体を回転可能に配置するように構成したの
で、微小機械の駆動源となる微小モーターが得られる効
果がある。また、該回転体近傍に、該回転体からエネル
ギーまたは電子の少なくとも一方を受け取る分子または
機能団を有する静止体を1つ以上配置するように構成し
たので、エネルギー移動または電子移動を高速で制御で
きる電子素子が得られる効果がある。
【0148】請求項2の発明によれば、前記回転体が、
励起状態となる照射エネルギーが互いに異なる複数の機
能団を有するように構成したので、回転を制御できる微
小モーターを有する電子素子が得られる効果がある。
【0149】請求項3の発明によれば、前記回転体の回
転軸の軸方向が前記基板の法線方向と一致するように構
成したので、回転効率の良い微小モーターを有する電子
素子が得られる効果がある。
【0150】請求項4の発明によれば 回転母体に、電
磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射することに
より励起状態となる機能団を結合するように構成したの
で、微小機械の駆動源となる微小モーターを有する電子
素子が得られる効果がある。
【0151】請求項5の発明によれば、前記回転母体
を、電磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射する
ことにより構造が変化する構造異性体のように構成した
ので、回転の異なる微小モーターを有する電子素子が得
られる効果がある。
【0152】請求項6の発明によれば、前記静止体を、
静止母体に、前記回転体からエネルギーまたは電子の少
なくとも一方を受け取る機能団を結合するように構成し
たので、エネルギー移動または電子移動を制御できる電
子素子が得られる効果がある。
【0153】請求項7の発明によれば、前記回転体と、
該回転体を支持する支持体を1つの分子により構成した
ので、回転体の回転軸を安定させることができ、回転が
安定した微小モーターを有する電子素子が得られる効果
がある。
【0154】請求項8の発明によれば、前記回転体を錯
体とし、該回転体の回転軸を前記錯体の中心金属への2
個の配位子とするように構成したので、吸収波長、発光
波長、酸化還元電位を自由に制御することができる微小
モーターを有する電子素子が得られる効果がある。
【0155】請求項9の発明によれば、前記回転体を、
2個の単結合により支持体に結合された機能団または該
機能団を含む分子団のいずれかとし、これら2個の単結
合を該回転体の回転軸とするように構成したので、回転
体の回転軸を安定させることができ、回転が安定した微
小モーターを有する電子素子が得られる効果がある。
【0156】請求項10の発明によれば、前記回転体
を、球殻を有する分子に、電磁波または荷電粒子ビーム
のいずれかを照射することにより励起状態となる機能団
を結合するように構成したので、高速で一軸回転する微
小モーターを有する電子素子が得られ効果がある。
【0157】請求項11の発明によれば、前記静止体を
複数、前記回転体の回転軸から等距離の位置に、該回転
体に対して一定の配向を有するように、かつ該回転軸と
互いに隣接する2つの静止体それぞれとのなす角が一定
であるように配置するように構成したので、エネルギー
移動または電子移動を精度よく制御できる電子素子が得
られる効果がある。
【0158】請求項12の発明によれば、前記静止体
を、酸化還元機能団を複数保持する分子、分子集合体、
機能団集合体のいずれか1種とし、前記酸化還元機能団
は、前記回転体から電子またはエネルギーの少なくとも
一方を受け取る第1の酸化還元機能団と、該第1の酸化
還元機能団から電子を受け取る第2の酸化還元機能団と
を備えるように構成したので、エネルギー移動または電
子移動を精度よく制御できる電子素子が得られる効果が
ある。
【0159】請求項13の発明によれば、前記静止体
が、電子伝達機能を有する生体高分子材料またはその一
部を改変した改変生体高分子材料のいずれかを有するよ
うに構成したので、数ナノメーター〜数百ナノメーター
レベルの空間におけるエネルギー移動または電子移動を
秩序正しく行うことができる電子素子が得られる効果が
ある。
【0160】請求項14の発明によれば、前記回転体
と、前記静止体と、これらを支持する支持体とを1つの
分子により構成したので、回転体の回転軸を安定させる
ことができ、回転が安定した微小モーターが得られ、さ
らにエネルギー移動または電子移動を精度よく制御でき
る電子素子が得られる効果がある。
【0161】請求項15の発明によれば、前記電子素子
を構成する分子と特異的結合を起こす置換基を基板また
は電極に設け、前記回転体と静止体を一定の配向を持た
せて前記基板上または電極上に配置するように構成した
ので、エネルギー移動または電子移動を精度よく制御で
きる電子素子が得られる効果がある。
【0162】請求項16の発明によれば、前記特異的結
合を、疎水結合、イオン結合、ファンデルクールスカに
よる結合のいずれか1種であるように構成したので、エ
ネルギー移動または電子移動を精度よく制御できる電子
素子が得られる効果がある。
【0163】請求項17の発明によれば、前記静止体近
傍に、該静止体から電子を受け取るか、または該静止体
に電子を供給することにより電荷を蓄積する部材を配置
するように構成したので、静止体の誤動作を防止するこ
とができ、したがってエネルギー移動または電子移動を
精度よく制御でき、しかも誤動作のない電子素子が得ら
れる効果がある。
【0164】請求項18の発明によれば、基板上または
電極上に、球殻を有する分子からなる回転体の少なくと
も一部分を収納し該分子を回転可能に支持する凹部を有
する構造体を設けるように構成したので、前記回転体を
所定の位置に安定させることがでる効果がある。
【0165】請求項19の発明によれば、前記回転体
が、電磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射する
ことにより励起状態となる分子または機能団を有するよ
うに構成したので、所定の位置に安定させることがで
き、しかも高速で一軸回転する微小モーターを有する電
子素子が得られる効果がある。
【0166】請求項20発明によれば、前記凹部を、前
記基板または電極を構成する原子を選択除去した凹面で
あるように構成したので、電子素子の小型化ができる効
果がある。
【0167】請求項21の発明によれば、前記凹部を、
前記基板上または電極上に環状の分子を配置して構成し
たので、電子素子の小型化ができる効果がある。
【0168】請求項22の発明によれば、請求項1ない
し14または17のいずれか1項記載の電子素子を構成
する分子を、親水基と疎水基を有する分子からなる膜に
吸着させ、前記電子素子を構成する分子間の吸着能によ
り、該分子が一定の配向を有するようにしたので、超高
密度に集積化した集積化電子素子が得られる効果があ
る。
【0169】請求項23の発明によれば、請求項1ない
し14または17のいずれか1項記載の電子素子を基板
上または電極上に複数個配列するように構成したので、
超高密度に集積化した集積化電子素子が得られる効果が
ある。
【0170】請求項24の発明によれば、請求項1ない
し14または17のいずれか1項記載の電子素子を1つ
以上の細線状の電極上に配列し、該電子素子上に1つ以
上の細線状の電極を設けるように構成したので、電子素
子のおかれる電場の方向及び大きさを任意に制御するこ
とができる超高密度の集積化電子素子が得られる効果が
ある。
【0171】請求項25の発明によれば、前記回転体の
配向を制御することにより、回転体から複数の静止体の
うち一部の静止体へのエネルギー移動速度または電子移
動速度を他の静止体への移動速度より大きくし、前記回
転体に電磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射す
ることにより該回転体を励起状態とし、この励起エネル
ギーまたは励起電子を前記一部の静止体のみへ移動させ
て該静止体を励起または還元させ、該静止体のみが電極
と電子の授受を行うように構成したので、高速スイッチ
ング動作を行うことができる効果がある。
【0172】請求項26の発明によれば、前記回転体の
配向を制御することにより、回転体から複数の静止体の
うち一部の静止体へのエネルギー移動速度を他の静止体
への移動速度より大きくし、前記回転体に電磁波または
荷電粒子ビームのいずれかを照射することにより該回転
体を励起状態とし、この励起エネルギーを前記一部の静
止体のみへ移動させて該静止体を励起させ、該静止体の
みが構造を変化させるか、電極から電子を受け取ること
により還元されるか、電極に電子を渡して酸化されるか
のいずれかにより情報の書き込みを行うように構成した
ので、高速で情報の書き込みができる効果がある。
【0173】請求項27の発明によれば、様々に配向し
ている前記静止体に偏光制御した電磁波を照射し、前記
静止体のうち一部の静止体の電子を励起し、該静止体の
みが電極から電子を受け取ることにより還元されるか、
電極に電子を渡して酸化されるか、構造を変化させるか
のいずれかにより情報の書き込みを行うように構成した
ので、高速で情報の書き込みができる効果がある。
【0174】請求項28の発明によれば、前記静止体に
電場、磁場または熱のいずれか1種を加えるか、もしく
は電磁波または電子線のいずれか1種を照射することに
より、前記静止体の酸化還元電位または構造のいずれか
を変化させるように構成したので、高速で情報の書き込
みができる効果がある。
【0175】請求項29の発明によれば、前記静止体に
電場、磁場または熱のいずれか1種を加えるか、もしく
は電磁波または電子線のいずれか1種を照射することに
より、前記静止体の酸化還元電位または構造のいずれか
を変化させ、前記静止体を情報の書き込み前の状態に戻
すように構成したので、高速で情報の消去ができる効果
がある。
【0176】請求項30の発明によれば、前記電子素子
を挟む2つの電極間に電圧を印加するか、または前記静
止体近傍の電極に電位を印加することにより、静止体か
ら電極へまたは電極から静止体へのいずれかの方向に電
子を移動させ、酸化状態または還元状態の静止体を情報
の書き込み前の状態に戻すように構成したので、高速で
情報の消去ができる効果がある。
【0177】請求項31の発明によれば、前記電子素子
を挟む2つの電極間に電圧を印加するか、または前記静
止体近傍の電極に電位を印加することにより、静止体か
ら電極へまたは電極から静止体へのいずれかの方向に電
子を移動させ、酸化状態または還元状態の静止体の数
を、電流または移動電子数のいずれかにより検知するよ
うに構成したので、高速で情報の読み出しができる効果
がある。
【0178】請求項32の発明によれば、前記回転体の
配向を制御することにより、該回転体と一部の静止体と
の間の相互作用を大きくし、電極から該静止体、他の電
極へと向かう方向、または電極から該静止体、回転体、
他の電極へと向かう方向、あるいはその逆方向の電流ま
たは移動電子数のいずれかを検知することにより、該静
止体の酸化還元状態または構造を変化させることなく該
静止体の酸化還元状態または構造を検知するように構成
したので、高速で情報の読み出しができる効果がある。
【0179】請求項33の発明によれば、前記回転体の
配向を制御することにより、一部の静止体と前記回転体
との間、または一部の静止体と電極との間の電子移動速
度を他の静止体との電子移動速度より大きくし、電極か
ら該静止体へ直接または回転体を介して電子を移動させ
ることにより該静止体を酸化し、該回転体近傍の静止体
のうち、酸化または還元可能な数を電極において電流ま
たは移動電子数として検知するように構成したので、高
速で情報の読み出しができる効果がある。
【0180】請求項34の発明によれば、前記回転体の
配向を制御することにより、一部の静止体と該回転体と
の間の相互作用を他の静止体と回転体との相互作用より
大きくするか小さくし、前記静止体にエネルギービーム
を照射し、回転体の配向に依存する該静止体の発光挙動
を検知することにより、該静止体の酸化還元状態または
構造を検知するように構成したので、高速で情報の読み
出しができる効果がある。
【0181】請求項35の発明によれば、前記回転体の
配向を制御することにより、一部の静止体と該回転体と
の間の相互作用を他の静止体と回転体との相互作用より
大きくするかまたは小さくし、該静止体の酸化還元状態
または構造に応じて回転体の発光挙動が変化することに
より、該回転体にエネルギービームを照射し、該回転体
の発光挙動を検知して該静止体の酸化還元状態または構
造を検知するように構成したので、高速で情報の読み出
しができる効果がある。
【0182】請求項36の発明によれば、前記回転体に
印加する電場または磁場を変化させるように構成したの
で、該回転体の配向を制御することができ、したがって
該回転体の回転速度を制御できる効果がある。
【0183】請求項37の発明によれば、前記回転体に
電磁波または荷電粒子ビームの少なくとも一方を照射す
るか、または該回転体を熱することにより該回転体を回
転させ、さらに回転体の温度、回転体に印加する電場ま
たは磁場、回転体に照射する荷電粒子ビームの強度また
は方向、回転体に照射する電磁波の波長の少なくとも1
つを変化させることにより、該回転体の回転速度を制御
し、任意の時間における回転体の配向を知り該回転体の
配向を制御するように構成したので、該回転体の回転速
度を制御できる効果がある。
【0184】請求項38の発明によれば、前記回転体
に、パルス状の電磁波または荷電粒子ビームを照射し、
該パルスの強度、時間幅、間隔、数から該回転体の配向
を知り、該回転体の配向を制御するように構成したの
で、該回転体の回転速度を制御できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による電子素子を示す基本
構成図である。
【図2】この発明の実施例1による電子素子の基本構成
とエネルギー準位を示す図である。
【図3】この発明の実施例1による電子素子のパルスに
対する入出力関係を示す図である。
【図4】この発明の実施例2による電子素子を示す模式
図である。
【図5】この発明の実施例2の電子素子の変形例を示す
模式図である。
【図6】この発明の実施例2の電子素子の他の変形例を
示す模式図である。
【図7】この発明の実施例2の電子素子の他の変形例を
示す模式図である。
【図8】この発明の実施例2の電子素子の他の変形例を
示す模式図である。
【図9】この発明の実施例3による集積化電子素子の模
式図である。
【図10】この発明の実施例4の集積化電子素子への情
報の書き込みを示す模式図である。
【図11】この発明の実施例6の集積化電子素子への情
報の書き込みを示す模式図である。
【図12】この発明の実施例8の集積化電子素子への情
報の読み出しにおける回転体の配向と検知される電流の
関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例13による電子素子を示す断
面模式図である。
【図14】本発明の実施例14による電子素子を示す断
面模式図である。
【図15】本発明の実施例14による電子素子の回転体
の発光特性を示す図である。
【図16】本発明の実施例15による電子素子を示す断
面模式図である。
【図17】本発明の実施例15の電子素子の発光ダイオ
ードの出力と回転体の発光特性の関係を示す図である。
【図18】本発明の実施例15の電子素子の発光ダイオ
ードの出力と回転体の発光特性の関係を示す図である。
【図19】本発明の実施例16における電子素子の作製
方法を示す過程図である。
【図20】本発明の実施例17による電子素子を示す断
面模式図である。
【図21】本発明の実施例17の電子素子の発光ダイオ
ードの出力と回転体の発光特性の関係を示す図である。
【図22】本発明の実施例17の電子素子の発光ダイオ
ードの出力と回転体の発光特性の関係を示す図である。
【図23】本発明の実施例18による電子素子を示す断
面模式図である。
【図24】本発明の実施例18の電子素子の発光ダイオ
ードの出力と回転体の発光特性と微小電流計値の関係を
示す図である。
【図25】本発明の実施例18の電子素子の発光ダイオ
ードの出力と回転体の発光特性と微小電流計値の関係を
示す図である。
【図26】本発明の実施例18による電子素子の作製方
法を示す過程図である。
【図27】本発明の実施例19による電子素子の付設部
を示す上方模式図である。
【図28】本発明の実施例19による電子素子の情報の
書き込み、読み出し特性を示す図である。
【図29】本発明の実施例20による電子素子の集積化
の方法を示す過程図である。
【図30】従来のMOS構造の整流素子を示す断面模式
図である。
【図31】従来の光変調オーバーライト方式を用いた光
磁気ディスクを示す構造模式図である。
【符号の説明】
21 回転体 22a〜22d 静止体 23 基板 24 法線(対称軸) 25 回転母体 26 静止母体 27,28 分子鋳型 29,30 光励起性の機能団 31 回転体 32a〜32d 静止体 33,34 梯子状有機体 35 網目状有機体 36 有機分子 37 単結合 38 支持体 40 酸化還元機能団 41 静止体 42 基板 43,44 ストライプ電極 45a〜45d 電極 48a〜48c 静止体 52 基板 53 C70分子 54 アントラセン分子 55 フラビン単体 56 発光ダイオード 57 PSTM 58 光プローブ 61 C70のアントラセン修飾体 62 フラボチトクローム分子 63,64 分子鋳型 65 STM探針 71 白金電極 72 ポリアセチレン 73a,73b 微小電流計 74 電極 81 混合溶液
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】また従来用いられている記憶素子として
は、半導体メモリー、光ディスクがある。半導体メモリ
ーにおいては、現在256メガビットDRAMのものが
製造可能となっており、これは線幅約0.2μmに対応
する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】また、請求項16の発明に係る電子素子
は、前記特異的結合を、疎水結合、イオン結合、ファン
デルワールス力による結合のいずれか1種としたもので
ある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】また、請求項3の発明における電子素子
は、前記回転体の回転軸の軸方向が前記基板の法線方向
と一致することにより、回転効率の高い微小モーターを
有する電子素子が可能になる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】また、請求項5の発明における電子素子
は、前記回転母体を、電磁波または荷電粒子ビームのい
ずれかを照射することにより構造が変化する構造異性体
としたことにより、回転方向の異なる微小モーターを有
する電子素子が可能になる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】また、請求項9の発明における電子素子
は、前記回転体を、支持体に結合された機能団または該
機能団を含む分子団のいずれかとし、これら2個の単結
合を該回転体の回転軸としたことにより、回転体の回転
軸が安定する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】また、請求項16の発明における電子素子
は、前記特異的結合を、疎水結合、イオン結合、ファン
デルワールス力による結合のいずれか1種としたことに
より、エネルギー移動または電子移動を精度よく制御で
きる電子素子が可能になる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正内容】
【0087】ここで、この発明に至った経緯及びこの発
明の背景等について説明する。例えば、植物の葉緑体で
は集光蛋白質複合体と光合成反応中心蛋白質複合体とが
共同して太陽エネルギーから化学エネルギーに高効率に
変換する光合成の初期過程を担っている。この初期過程
において、集光蛋白質複合体は吸収した光エネルギー
を、秩序を持って並んでいる色素機能団を使って決まっ
た経路に沿って移動させ、最終的に反応中心蛋白質のク
ロロフィルに渡している。また、反応中心蛋白質ではエ
ネルギーを受け取ることをきっかけに、電子移動が、空
間的に秩序を持って配置された酸化還元機能団を通って
起こる。この数ナノメータ〜数百ナノメータレベルの空
間における秩序正しいエネルギー移動及び電子移動は色
素機能団または酸化還元機能団の決まった化学的性質、
位置、距離、配向、環境に基づくものである。なお、色
素機能団と酸化還元機能団は同一のこともある。従っ
て、人工的に一定の空間内に、機能団をその化学的性
質、位置、距離、配向、環境を考慮して配置し、さらに
外部から位置、配向、環境を制御することにより、数百
ナノメータレベル以下の空間におけるエネルギー移動、
電子移動を制御でき、それらを利用して、電子素子が得
られる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正内容】
【0125】次にこの電子素子の動作方法について説明
する。図15はPSTM37により検出された蛍光の強
度の時間変化を示したものである。ここでは、素子は真
空中−198℃に保持した。発光ダイオードの出力は1
μWである。図15より蛍光消光の周期が100ナノ秒
であることが確認された。回転体のみの構成では蛍光消
光の寿命は10マイクロ秒であり、本実施例における回
転体の蛍光消光の寿命が短くなっているのは、静止体へ
蛍光エネルギーが吸収されているためである。このこと
から本実施例で用いた電子素子は分子レベルの微細な領
域においてエネルギー移動を行っていることが確認され
た。また、この温度での13C NMRの測定結果より得
られた光照射中のC70修飾体の回転周期は約100ナノ
秒であり、これは蛍光消光の寿命と対応していると考え
られ、蛍光消光が回転体の回転速度に依存していること
が確認された。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0162
【補正方法】変更
【補正内容】
【0162】請求項16の発明によれば、前記特異的結
合を、疎水結合、イオン結合、ファンデルワールス力
よる結合のいずれか1種であるように構成したので、エ
ネルギー移動または電子移動を精度よく制御できる電子
素子が得られる効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花里 善夫 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 西川 智志 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、電磁波または荷電粒子ビーム
    のいずれかを照射することにより励起状態となる分子ま
    たは機能団を有し、基板上に回転可能に配置された回転
    体と、該回転体近傍に1つ以上配置され、該回転体から
    エネルギーまたは電子の少なくとも一方を受け取る分子
    または機能団を有する静止体とを備えた電子素子。
  2. 【請求項2】 前記回転体は、励起状態となる照射エネ
    ルギーが互いに異なる複数の機能団を有することを特徴
    とする請求項1記載の電子素子。
  3. 【請求項3】 前記回転体の回転軸は、その軸方向が前
    記基板の法線方向と一致することを特徴とする請求項1
    または2のいずれか1項記載の電子素子。
  4. 【請求項4】 前記回転体は、回転母体に、電磁波また
    は荷電粒子ビームのいずれかを照射することにより励起
    状態となる機能団を結合したことを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか1項記載の電子素子。
  5. 【請求項5】 前記回転母体は、電磁波または荷電粒子
    ビームのいずれかを照射することにより構造が変化する
    構造異性体であることを特徴とする請求項4記載の電子
    素子。
  6. 【請求項6】 前記静止体は、静止母体に、前記回転体
    からエネルギーまたは電子の少なくとも一方を受け取る
    機能団を結合したことを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれか1項記載の電子素子。
  7. 【請求項7】 前記回転体と、該回転体を支持する支持
    体を1つの分子により構成したことを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれか1項記載の電子素子。
  8. 【請求項8】 前記回転体を錯体とし、該回転体の回転
    軸を前記錯体の中心金属への2個の配位子としたことを
    特徴とする請求項7記載の電子素子。
  9. 【請求項9】 前記回転体を、2個の単結合により支持
    体に結合された機能団または該機能団を含む分子団のい
    ずれかとし、これら2個の単結合を該回転体の回転軸と
    したことを特徴とする請求項1、2、3または7のいず
    れか1項記載の電子素子。
  10. 【請求項10】 前記回転体は、球殻を有する分子に、
    電磁波または荷電粒子ビームのいずれかを照射すること
    により励起状態となる機能団を結合したことを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1項記載の電子素子。
  11. 【請求項11】 前記静止体を複数、前記回転体の回転
    軸から等距離の位置に、該回転体に対して一定の配向を
    有するように、かつ該回転軸と互いに隣接する2つの静
    止体それぞれとのなす角が一定であるように配置したこ
    とを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項記載
    の電子素子。
  12. 【請求項12】 前記静止体を、酸化還元機能団を複数
    保持する分子、分子集合体、機能団集合体のいずれか1
    種とし、前記酸化還元機能団は、前記回転体から電子ま
    たはエネルギーの少なくとも一方を受け取る第1の酸化
    還元機能団と、該第1の酸化還元機能団から電子を受け
    取る第2の酸化還元機能団とを備えたことを特徴とする
    請求項1ないし11のいずれか1項記載の電子素子。
  13. 【請求項13】 前記静止体は、電子伝達機能を有する
    生体高分子材料またはその一部を改変した改変生体高分
    子材料のいずれかを有することを特徴とする請求項1な
    いし11のいずれか1項記載の電子素子。
  14. 【請求項14】 前記回転体と、前記静止体と、これら
    を支持する支持体とを1つの分子により構成したことを
    特徴とする請求項1、2、3または11のいずれか1項
    記載の電子素子。
  15. 【請求項15】 前記電子素子を構成する分子と特異的
    結合を起こす置換基を基板または電極に設け、前記回転
    体と静止体を一定の配向を持たせて前記基板上または電
    極上に配置したことを特徴とする請求項1ないし14の
    いずれか1項記載の電子素子。
  16. 【請求項16】 前記特異的結合は、疎水結合、イオン
    結合、ファンデルクールスカによる結合のいずれか1種
    であることを特徴とする請求項15記載の電子素子。
  17. 【請求項17】 前記静止体近傍に、該静止体から電子
    を受け取るか、または該静止体に電子を供給することに
    より電荷を蓄積する部材を配置したことを特徴とする請
    求項1ないし16のいずれか1項記載の電子素子。
  18. 【請求項18】 基板上または電極上に、球殻を有する
    分子からなる回転体の少なくとも一部分を収納し該回転
    体を回転可能に支持する凹部を有する構造体を設けたこ
    とを特徴とする電子素子。
  19. 【請求項19】 前記回転体は、電磁波または荷電粒子
    ビームのいずれかを照射することにより励起状態となる
    分子または機能団を有することを特徴とする請求項18
    記載の電子素子。
  20. 【請求項20】 前記凹部は、前記基板または電極を構
    成する原子を選択除去した凹面であることを特徴とする
    請求項18記載の電子素子。
  21. 【請求項21】 前記凹部は、前記基板上または電極上
    に環状の分子を配置して構成したことを特徴とする請求
    項18記載の電子素子。
  22. 【請求項22】 請求項1ないし14または17のいず
    れか1項記載の電子素子を構成する分子を、親水基と疎
    水基を有する分子からなる膜に吸着させ、前記電子素子
    を構成する分子間の吸着能により、該分子が一定の配向
    を有するようにしたことを特徴とする集積化電子素子。
  23. 【請求項23】 請求項1ないし14または17のいず
    れか1項記載の電子素子を基板上または電極上に複数個
    配列したことを特徴とする集積化電子素子。
  24. 【請求項24】 請求項1ないし14または17のいず
    れか1項記載の電子素子を1つ以上の細線状の電極上に
    配列し、該電子素子上に1つ以上の細線状の電極を設け
    たことを特徴とする集積化電子素子。
  25. 【請求項25】 前記回転体の配向を制御することによ
    り、回転体から複数の静止体のうち一部の静止体へのエ
    ネルギー移動速度または電子移動速度を他の静止体への
    移動速度より大きくし、前記回転体に電磁波または荷電
    粒子ビームのいずれかを照射することにより該回転体を
    励起状態とし、この励起エネルギーまたは励起電子を前
    記一部の静止体のみへ移動させて該静止体を励起または
    還元させ、該静止体のみが電極と電子の授受を行うこと
    によりスイッチングを行うことを特徴とする請求項1な
    いし14、17、23または24のいずれか1項記載の
    電子素子または集積化電子素子の使用方法。
  26. 【請求項26】 前記回転体の配向を制御することによ
    り、回転体から複数の静止体のうち一部の静止体へのエ
    ネルギー移動速度を他の静止体への移動速度より大きく
    し、前記回転体に電磁波または荷電粒子ビームのいずれ
    かを照射することにより該回転体を励起状態とし、この
    励起エネルギーを前記一部の静止体のみへ移動させて該
    静止体を励起させ、該静止体のみが構造を変化させる
    か、電極から電子を受け取ることにより還元されるか、
    電極に電子を渡して酸化されるかのいずれかにより情報
    の書き込みを行うことを特徴とする請求項1ないし1
    4、17、23または24のいずれか1項記載の電子素
    子または集積化電子素子の使用方法。
  27. 【請求項27】 様々に配向している前記静止体に偏光
    制御した電磁波を照射し、前記静止体のうち一部の静止
    体の電子を励起し、該静止体のみが電極から電子を受け
    取ることにより還元されるか、電極に電子を渡して酸化
    されるか、構造を変化させるかのいずれかにより情報の
    書き込みを行うことを特徴とする請求項1ないし14、
    17、23または24のいずれか1項記載の電子素子ま
    たは集積化電子素子の使用方法。
  28. 【請求項28】 前記静止体に電場、磁場または熱のい
    ずれか1種を加えるか、もしくは電磁波または電子線の
    いずれか1種を照射することにより、前記静止体の酸化
    還元電位または構造のいずれかを変化させ、情報の書き
    込みを行うことを特徴とする請求項1ないし14、1
    7、23または24のいずれか1項記載の電子素子また
    は集積化電子素子の使用方法。
  29. 【請求項29】 前記静止体に電場、磁場または熱のい
    ずれか1種を加えるか、もしくは電磁波または電子線の
    いずれか1種を照射することにより、前記静止体の酸化
    還元電位または構造のいずれかを変化させ、前記静止体
    を情報の書き込み前の状態に戻すことにより情報を消去
    することを特徴とする請求項1ないし14、17、23
    または24のいずれか1項記載の電子素子または集積化
    電子素子の使用方法。
  30. 【請求項30】 前記電子素子を挟む2つの電極間に電
    圧を印加するか、または前記静止体近傍の電極に電位を
    印加することにより、静止体から電極へまたは電極から
    静止体へのいずれかの方向に電子を移動させ、酸化状態
    または還元状態の静止体を情報の書き込み前の状態に戻
    すことにより情報を消去することを特徴とする請求項1
    ないし14、17、23または24のいずれか1項記載
    の電子素子または集積化電子素子の使用方法。
  31. 【請求項31】 前記電子素子を挟む2つの電極間に電
    圧を印加するか、または前記静止体近傍の電極に電位を
    印加することにより、静止体から電極へまたは電極から
    静止体へのいずれかの方向に電子を移動させ、酸化状態
    または還元状態の静止体の数を、電流または移動電子数
    のいずれかにより検知し情報を読み出すことを特徴とす
    る請求項1ないし14、17、23または24のいずれ
    か1項記載の電子素子または集積化電子素子の使用方
    法。
  32. 【請求項32】 前記回転体の配向を制御することによ
    り、該回転体と一部の静止体との間の相互作用を大きく
    し、電極から該静止体、他の電極へと向かう方向、また
    は電極から該静止体、回転体、他の電極へと向かう方
    向、あるいはその逆方向の電流または移動電子数のいず
    れかを検知することにより、該静止体の酸化還元状態ま
    たは構造を変化させることなく該静止体の酸化還元状態
    または構造を検知し、情報を読み出すことを特徴とする
    請求項1ないし14、17、22ないし24のいずれか
    1項記載の電子素子または集積化電子素子の使用方法。
  33. 【請求項33】 前記回転体の配向を制御することによ
    り、一部の静止体と前記回転体との間、または一部の静
    止体と電極との間の電子移動速度を他の静止体との電子
    移動速度より大きくし、電極から該静止体へ直接、また
    は回転体を介して電子を移動させることにより該静止体
    を酸化し、該回転体近傍の静止体のうち、酸化または還
    元可能な数を電極において電流または移動電子数として
    検知し、情報を読み出すことを特徴とする請求項1ない
    し14、17、23または24のいずれか1項記載の電
    子素子または集積化電子素子の使用方法。
  34. 【請求項34】 前記回転体の配向を制御することによ
    り、一部の静止体と該回転体との間の相互作用を他の静
    止体と回転体との相互作用より大きくするか小さくし、
    前記静止体にエネルギービームを照射し、回転体の配向
    に依存する該静止体の発光挙動を検知することにより、
    該静止体の酸化還元状態または構造を検知し、情報を読
    み出すことを特徴とする請求項1ないし14、17、2
    3または24のいずれか1項記載の電子素子または集積
    化電子素子の使用方法。
  35. 【請求項35】 前記回転体の配向を制御することによ
    り、一部の静止体と該回転体との間の相互作用を他の静
    止体と回転体との相互作用より大きくするかまたは小さ
    くし、該静止体の酸化還元状態または構造に応じて回転
    体の発光挙動が変化することにより、該回転体にエネル
    ギービームを照射し、該回転体の発光挙動を検知して該
    静止体の酸化還元状態または構造を検知し、情報を読み
    出すことを特徴とする請求項1ないし14、17、23
    または24のいずれか1項記載の電子素子または集積化
    電子素子の使用方法。
  36. 【請求項36】 前記回転体に印加する電場または磁場
    を変化させることにより、該回転体の配向を制御するこ
    とを特徴とする請求項25、26、32ないし35のい
    ずれか1項記載の電子素子または集積化電子素子の使用
    方法。
  37. 【請求項37】 前記回転体に電磁波または荷電粒子ビ
    ームの少なくとも一方を照射するか、または該回転体を
    熱することにより該回転体を回転させ、さらに、回転体
    の温度、回転体に印加する電場または磁場、回転体に照
    射する荷電粒子ビームの強度または方向、回転体に照射
    する電磁波の波長の少なくとも1つを変化させることに
    より、該回転体の回転速度を制御し、任意の時間におけ
    る回転体の配向を知り該回転体の配向を制御することを
    特徴とする請求項25、26、32ないし35のいずれ
    か1項記載の電子素子または集積化電子素子の使用方
    法。
  38. 【請求項38】 前記回転体に、パルス状の電磁波また
    は荷電粒子ビームを照射し、該パルスの強度、時間幅、
    間隔、数から該回転体の配向を知り、該回転体の配向を
    制御することを特徴とする請求項25、26、32ない
    し35のいずれか1項記載の電子素子または集積化電子
    素子の使用方法。
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Cited By (2)

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JP2005228773A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Sony Corp 機能性分子素子
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