JPH06297590A - 繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体 - Google Patents
繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体Info
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- JPH06297590A JPH06297590A JP5108871A JP10887193A JPH06297590A JP H06297590 A JPH06297590 A JP H06297590A JP 5108871 A JP5108871 A JP 5108871A JP 10887193 A JP10887193 A JP 10887193A JP H06297590 A JPH06297590 A JP H06297590A
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- reinforcing fibers
- fibers
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 含浸不良やボイドの発生が少なく、補強効果
が大きく、且つ表面平滑性に優れた繊維補強熱可塑性樹
脂中空成形体を提供する。 【構成】 補強繊維の糸2と熱可塑性樹脂繊維の糸3と
を、補強繊維が1方向にのみ配列されるように筒状にブ
レードしてなる一方向性スリーブ1を、単体で若しくは
積層して加熱加圧し、熱可塑性樹脂繊維を溶融、一体化
してなる繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体。上記一方向
性スリーブ1の加熱成形によって形成された繊維補強樹
脂層1′では、補強繊維2′が一方向のみに配列され、
補強繊維同志の交点を持たないので、含浸不良やボイド
の発生が少なく、また、補強繊維が厚み方向に湾曲して
いないので補強効果が大きく且つ表面平滑性に優れる。
なお、場合によっては少量の補強繊維を、上記した補強
繊維の糸2に交叉する方向に入れることも可能である。
が大きく、且つ表面平滑性に優れた繊維補強熱可塑性樹
脂中空成形体を提供する。 【構成】 補強繊維の糸2と熱可塑性樹脂繊維の糸3と
を、補強繊維が1方向にのみ配列されるように筒状にブ
レードしてなる一方向性スリーブ1を、単体で若しくは
積層して加熱加圧し、熱可塑性樹脂繊維を溶融、一体化
してなる繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体。上記一方向
性スリーブ1の加熱成形によって形成された繊維補強樹
脂層1′では、補強繊維2′が一方向のみに配列され、
補強繊維同志の交点を持たないので、含浸不良やボイド
の発生が少なく、また、補強繊維が厚み方向に湾曲して
いないので補強効果が大きく且つ表面平滑性に優れる。
なお、場合によっては少量の補強繊維を、上記した補強
繊維の糸2に交叉する方向に入れることも可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、管等の中空成形体に関
し、特に熱可塑性樹脂を補強繊維によって補強した繊維
補強熱可塑性樹脂中空成形体に関する。
し、特に熱可塑性樹脂を補強繊維によって補強した繊維
補強熱可塑性樹脂中空成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、管等の中空構造の繊維補強樹脂成
形体として次のようなものが知られている。 一方向にひき揃えた補強繊維に熱硬化性樹脂を含浸
させた、いわゆるプリプレグ材料を芯棒に巻きつけ、加
熱、加圧して成形された繊維補強樹脂管(FRP管)。 あらかじめ熱可塑性樹脂を含浸させた薄いシート材
を芯棒に巻きつけ、ポリイミドテープをその上に巻きつ
け、加熱することによるポリイミドテープの収縮力によ
り、圧をかけ成形された繊維補強熱可塑性樹脂成形管
(FRTP管)。 補強繊維と熱可塑性樹脂繊維を、繊維の状態で撚り
合わせたり、コミングルしたり、プリプレグにする等
し、熱可塑性樹脂が溶融するよう加熱し、これを芯棒に
巻きつけ、熱ローラー等で脱泡しながらフィラメントワ
インディングにより成形されたFRTP管。 補強繊維のみからなるブレード材料と熱可塑性樹脂
のフィルム状のチューブを交互になるように被せ合わ
せ、この内側にシリコンチューブをセットして、この材
料を加熱したのち、シリコンチューブ内に窒素又は空気
ガスを送り込み、材料内側より加圧して成形されたFR
TP管。 補強繊維と熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ交互に隣り
合う様に配置して、互いに交差する方向に均一に織り込
んで筒状にブレードしたスリーブを、複数個被せ合わ
せ、この内側にシリコンチューブをセットして、この材
料を加熱したのち、シリコンチューブ内に窒素又は空気
ガスを送り込み、材料内側より加圧して成形されたFR
TP管。
形体として次のようなものが知られている。 一方向にひき揃えた補強繊維に熱硬化性樹脂を含浸
させた、いわゆるプリプレグ材料を芯棒に巻きつけ、加
熱、加圧して成形された繊維補強樹脂管(FRP管)。 あらかじめ熱可塑性樹脂を含浸させた薄いシート材
を芯棒に巻きつけ、ポリイミドテープをその上に巻きつ
け、加熱することによるポリイミドテープの収縮力によ
り、圧をかけ成形された繊維補強熱可塑性樹脂成形管
(FRTP管)。 補強繊維と熱可塑性樹脂繊維を、繊維の状態で撚り
合わせたり、コミングルしたり、プリプレグにする等
し、熱可塑性樹脂が溶融するよう加熱し、これを芯棒に
巻きつけ、熱ローラー等で脱泡しながらフィラメントワ
インディングにより成形されたFRTP管。 補強繊維のみからなるブレード材料と熱可塑性樹脂
のフィルム状のチューブを交互になるように被せ合わ
せ、この内側にシリコンチューブをセットして、この材
料を加熱したのち、シリコンチューブ内に窒素又は空気
ガスを送り込み、材料内側より加圧して成形されたFR
TP管。 補強繊維と熱可塑性樹脂繊維をそれぞれ交互に隣り
合う様に配置して、互いに交差する方向に均一に織り込
んで筒状にブレードしたスリーブを、複数個被せ合わ
せ、この内側にシリコンチューブをセットして、この材
料を加熱したのち、シリコンチューブ内に窒素又は空気
ガスを送り込み、材料内側より加圧して成形されたFR
TP管。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の管にはいずれも次のような問題点があった。 上記のFRP管 ア)樹脂の流動性が良すぎる為、補強繊維の体積含有率
のコントロールが困難である。 イ)ドレープ性に乏しく、作業性が悪い。 ウ)積層構成が複雑で、積層工程が比較的長時間。 エ)熱硬化性樹脂ゆえにそのパイプ成形物は硬くて脆
い。 上記のFRTP管 ア)作業性、ドレープ性が悪い。 イ)圧力コントロールが出来ない。 ウ)含浸不良によるボイドが発生しやすい。 上記のFRTP管 ア)工程が多く、コストが高い。 イ)ドレープ性が悪い。 上記のFRTP管 ア)補強繊維同志が織り込まれているため、補強繊維同
志の交点が多く、その交点部に含浸不良によるボイドが
発生しやすい。 イ)成形体中に樹脂だまりが出来やすく、材料の均一性
に乏しい。 ウ)補強繊維同志の交点が多く、この交点部において補
強繊維が厚み方向に凹凸形状に湾曲しており、この湾曲
によりのFRP管に比べ、補強効果が少ない。 エ)補強繊維同志の交点部での凹凸のため、表面平滑性
が悪い。 上記のFRTP管 ア)補強繊維同志が織り込まれた所謂交織タイプのた
め、補強繊維同志の交点が多く、その交点部に含浸不良
によるボイドが発生しやすい。 イ)成形体中に樹脂だまりが出来やすく、材料の均一性
に乏しい。 ウ)補強繊維同志の交点が多いため、のFRP管に比
べ、補強効果が少ない。 エ)補強繊維同志の交点部での凹凸のため、表面平滑性
が悪い。 オ)太番手繊維では、樹脂の含浸が不十分となり、繊維
補強効果が充分に得られず、FRTP管の曲げ強度、ね
じり強度が低くなる。このような太番手繊維を用いた物
で含浸性を挙げるには、成形圧力を上げたり、加圧時間
を延長したり、成形温度を高める等の対策が挙げられる
が、いずれもコストアップの要因となり、好ましくな
い。
の従来の管にはいずれも次のような問題点があった。 上記のFRP管 ア)樹脂の流動性が良すぎる為、補強繊維の体積含有率
のコントロールが困難である。 イ)ドレープ性に乏しく、作業性が悪い。 ウ)積層構成が複雑で、積層工程が比較的長時間。 エ)熱硬化性樹脂ゆえにそのパイプ成形物は硬くて脆
い。 上記のFRTP管 ア)作業性、ドレープ性が悪い。 イ)圧力コントロールが出来ない。 ウ)含浸不良によるボイドが発生しやすい。 上記のFRTP管 ア)工程が多く、コストが高い。 イ)ドレープ性が悪い。 上記のFRTP管 ア)補強繊維同志が織り込まれているため、補強繊維同
志の交点が多く、その交点部に含浸不良によるボイドが
発生しやすい。 イ)成形体中に樹脂だまりが出来やすく、材料の均一性
に乏しい。 ウ)補強繊維同志の交点が多く、この交点部において補
強繊維が厚み方向に凹凸形状に湾曲しており、この湾曲
によりのFRP管に比べ、補強効果が少ない。 エ)補強繊維同志の交点部での凹凸のため、表面平滑性
が悪い。 上記のFRTP管 ア)補強繊維同志が織り込まれた所謂交織タイプのた
め、補強繊維同志の交点が多く、その交点部に含浸不良
によるボイドが発生しやすい。 イ)成形体中に樹脂だまりが出来やすく、材料の均一性
に乏しい。 ウ)補強繊維同志の交点が多いため、のFRP管に比
べ、補強効果が少ない。 エ)補強繊維同志の交点部での凹凸のため、表面平滑性
が悪い。 オ)太番手繊維では、樹脂の含浸が不十分となり、繊維
補強効果が充分に得られず、FRTP管の曲げ強度、ね
じり強度が低くなる。このような太番手繊維を用いた物
で含浸性を挙げるには、成形圧力を上げたり、加圧時間
を延長したり、成形温度を高める等の対策が挙げられる
が、いずれもコストアップの要因となり、好ましくな
い。
【0004】本発明はかかる従来の問題点を解決すべく
なされたもので、含浸不良やボイドの発生が少なく、樹
脂だまりの発生が少なく、均一性が高く、更に補強効果
の大きい、耐衝撃特性、振動減衰性、表面平滑性等に優
れた繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体を提供することを
目的とする。
なされたもので、含浸不良やボイドの発生が少なく、樹
脂だまりの発生が少なく、均一性が高く、更に補強効果
の大きい、耐衝撃特性、振動減衰性、表面平滑性等に優
れた繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願第一の発明は、補強
繊維と熱可塑性樹脂繊維とを、前記補強繊維が一方向に
のみ配列されるように筒状にブレードしてなる一方向性
スリーブを単体で若しくは積層して成形された中空成形
体であって、各一方向性スリーブによって形成される繊
維補強樹脂層では補強繊維がらせん状に連続した形態で
一方向にのみ配列されていることを特徴とする繊維補強
熱可塑性樹脂中空成形体を要旨とする。
繊維と熱可塑性樹脂繊維とを、前記補強繊維が一方向に
のみ配列されるように筒状にブレードしてなる一方向性
スリーブを単体で若しくは積層して成形された中空成形
体であって、各一方向性スリーブによって形成される繊
維補強樹脂層では補強繊維がらせん状に連続した形態で
一方向にのみ配列されていることを特徴とする繊維補強
熱可塑性樹脂中空成形体を要旨とする。
【0006】また、本願第二の発明は、主補強繊維と、
その主補強繊維に対して30体積%以下の副補強繊維
と、熱可塑性樹脂繊維とを、前記主補強繊維が一方向に
のみ配列され、副補強繊維がそれに交差する方向にのみ
配列されるように筒状にブレードしてなる準一方向性ス
リーブを単体で若しくは積層して成形された中空成形体
であって、各準一方向性スリーブによって形成される繊
維補強樹脂層では主補強繊維がらせん状に連続した形態
で一方向にのみ配列されており、その主補強繊維に対し
て30体積%以下の副補強繊維がらせん状に連続した形
態で前記主補強繊維に交差する方向にのみ配列されてい
ることを特徴とする繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体を
要旨とする。
その主補強繊維に対して30体積%以下の副補強繊維
と、熱可塑性樹脂繊維とを、前記主補強繊維が一方向に
のみ配列され、副補強繊維がそれに交差する方向にのみ
配列されるように筒状にブレードしてなる準一方向性ス
リーブを単体で若しくは積層して成形された中空成形体
であって、各準一方向性スリーブによって形成される繊
維補強樹脂層では主補強繊維がらせん状に連続した形態
で一方向にのみ配列されており、その主補強繊維に対し
て30体積%以下の副補強繊維がらせん状に連続した形
態で前記主補強繊維に交差する方向にのみ配列されてい
ることを特徴とする繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体を
要旨とする。
【0007】以下、本発明を更に詳細に説明する。本願
第一の発明になる中空成形体は、補強繊維と熱可塑性樹
脂繊維とを、前記補強繊維が一方向にのみ配列されるよ
うに筒状にブレードしてなる一方向性スリーブを成形し
たものである。この一方向性スリーブに使用される熱可
塑性樹脂繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、ポ
リプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂を通
常の方法で溶融紡糸して得られるフィラメント径5〜1
00ミクロン程度のマルチフィラメント糸の形態のもの
が使用される。無論、モノフィラメントやフィルムをス
リットしたスリットヤーンの形態のものであってもよ
く、繊維状態のものでブレーディング機にかかるものな
らば何でも使用できる。補強繊維としては、カーボンフ
ァイバー、ガラスファイバー、アラミドファイバー、ア
ルミナファイバー等の連続繊維が使用され、通常、フィ
ラメント径3〜50ミクロン程度のマルチフィラメント
の形態で使用される。
第一の発明になる中空成形体は、補強繊維と熱可塑性樹
脂繊維とを、前記補強繊維が一方向にのみ配列されるよ
うに筒状にブレードしてなる一方向性スリーブを成形し
たものである。この一方向性スリーブに使用される熱可
塑性樹脂繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、ポ
リプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂を通
常の方法で溶融紡糸して得られるフィラメント径5〜1
00ミクロン程度のマルチフィラメント糸の形態のもの
が使用される。無論、モノフィラメントやフィルムをス
リットしたスリットヤーンの形態のものであってもよ
く、繊維状態のものでブレーディング機にかかるものな
らば何でも使用できる。補強繊維としては、カーボンフ
ァイバー、ガラスファイバー、アラミドファイバー、ア
ルミナファイバー等の連続繊維が使用され、通常、フィ
ラメント径3〜50ミクロン程度のマルチフィラメント
の形態で使用される。
【0008】これらの補強繊維と熱可塑性樹脂繊維との
使用割合は、補強繊維が全体の30〜70体積%程度と
する事が望ましい。
使用割合は、補強繊維が全体の30〜70体積%程度と
する事が望ましい。
【0009】この一方向性スリーブを構成する補強繊維
と熱可塑性樹脂繊維とは、通常、それぞれ別個の糸とし
てブレードされる。一般に、ブレードによって作られた
スリーブは、一方向(S撚り方向)にらせん状に配列さ
れた糸と、それに交差する方向(Z撚り方向)にらせん
状に配列された糸とからなるが、本発明で使用する一方
向性スリーブでは、補強繊維の糸をいずれかの一方向の
みに配列している。熱可塑性樹脂繊維の糸は、補強繊維
の糸に交差する方向のみに配列してもよいし、両方向に
配列してもよい。図1(a)は、本願第一の発明に使用
する一方向性スリーブの1例の一部を示す概略平面図で
ある。この例の一方向性スリーブ1では、一方向(S撚
り方向)には補強繊維の糸2のみが配列され、それに交
差する方向(Z撚り方向)には熱可塑性樹脂繊維の糸3
のみが配列されている。一方向性スリーブを構成する糸
の組み組織は特に限定されるものではなく、例えば図1
に示す構成とすることができる。
と熱可塑性樹脂繊維とは、通常、それぞれ別個の糸とし
てブレードされる。一般に、ブレードによって作られた
スリーブは、一方向(S撚り方向)にらせん状に配列さ
れた糸と、それに交差する方向(Z撚り方向)にらせん
状に配列された糸とからなるが、本発明で使用する一方
向性スリーブでは、補強繊維の糸をいずれかの一方向の
みに配列している。熱可塑性樹脂繊維の糸は、補強繊維
の糸に交差する方向のみに配列してもよいし、両方向に
配列してもよい。図1(a)は、本願第一の発明に使用
する一方向性スリーブの1例の一部を示す概略平面図で
ある。この例の一方向性スリーブ1では、一方向(S撚
り方向)には補強繊維の糸2のみが配列され、それに交
差する方向(Z撚り方向)には熱可塑性樹脂繊維の糸3
のみが配列されている。一方向性スリーブを構成する糸
の組み組織は特に限定されるものではなく、例えば図1
に示す構成とすることができる。
【0010】一方向性スリーブの具体的なブレーディン
グ方法は、例えば、図1(a)に示す一方向性スリーブ
1については、予めそれぞれ製紐管に巻き取った熱可塑
性樹脂繊維糸と補強繊維糸とを、それぞれのグループに
分け、製紐機の右周りの管差しには補強繊維糸を巻き取
った製紐管を、左周りの管差しには熱可塑性樹脂繊維糸
を巻き取った製紐管を、という様に仕掛けを行う。どら
らのグループをどちらの管差しに仕掛けるかは、製造し
ようとする製品によって決めればよく、特に決められた
ものではない。それらの糸を用いてブレーディングする
ことにより、筒状の一方向性スリーブを製造できる。な
お、一方向性スリーブは、補強繊維の糸と、熱可塑性樹
脂繊維の糸とをそれぞれ別個の糸としてブレードしたも
のに限らず、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを合わせた
糸を用いてブレードしたものであってもよい。
グ方法は、例えば、図1(a)に示す一方向性スリーブ
1については、予めそれぞれ製紐管に巻き取った熱可塑
性樹脂繊維糸と補強繊維糸とを、それぞれのグループに
分け、製紐機の右周りの管差しには補強繊維糸を巻き取
った製紐管を、左周りの管差しには熱可塑性樹脂繊維糸
を巻き取った製紐管を、という様に仕掛けを行う。どら
らのグループをどちらの管差しに仕掛けるかは、製造し
ようとする製品によって決めればよく、特に決められた
ものではない。それらの糸を用いてブレーディングする
ことにより、筒状の一方向性スリーブを製造できる。な
お、一方向性スリーブは、補強繊維の糸と、熱可塑性樹
脂繊維の糸とをそれぞれ別個の糸としてブレードしたも
のに限らず、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを合わせた
糸を用いてブレードしたものであってもよい。
【0011】本願第一の発明による中空成形体は、上記
した筒状の一方向性スリーブを単体で若しくは積層して
成形したものである。その成形は、例えば次のようにし
て行う。
した筒状の一方向性スリーブを単体で若しくは積層して
成形したものである。その成形は、例えば次のようにし
て行う。
【0012】まず、芯棒に、上記した一方向性スリーブ
を、成形体に要求される肉厚に対応した枚数だけ被せ
る。この際、一方向性スリーブは自身が筒状となってお
り、且つフレキシブルであるので、芯棒へ重ねて被せる
作業は極めて容易である。ここで、複数枚の一方向性ス
リーブを用いる場合には、補強繊維がS撚り方向に配列
された一方向性スリーブとZ撚り方向に配列された一方
向性スリーブとを用意しておき、補強繊維の方向が交差
するように両者を交互に被せてゆく。これにより、出来
上がった成形体に補強繊維が交差する方向に配列され、
成形体の方向性を均一化することができ、且つ、成形体
のそりやねじれの発生を防止できる。また、製品の使用
目的に応じた強度、剛性を得るために、一方向性スリー
ブ層間に0°、90°等に補強繊維を引き揃えたプリプ
レグ、又は交織タイプのスリーブ又は交織織物を配置し
てもよい。
を、成形体に要求される肉厚に対応した枚数だけ被せ
る。この際、一方向性スリーブは自身が筒状となってお
り、且つフレキシブルであるので、芯棒へ重ねて被せる
作業は極めて容易である。ここで、複数枚の一方向性ス
リーブを用いる場合には、補強繊維がS撚り方向に配列
された一方向性スリーブとZ撚り方向に配列された一方
向性スリーブとを用意しておき、補強繊維の方向が交差
するように両者を交互に被せてゆく。これにより、出来
上がった成形体に補強繊維が交差する方向に配列され、
成形体の方向性を均一化することができ、且つ、成形体
のそりやねじれの発生を防止できる。また、製品の使用
目的に応じた強度、剛性を得るために、一方向性スリー
ブ層間に0°、90°等に補強繊維を引き揃えたプリプ
レグ、又は交織タイプのスリーブ又は交織織物を配置し
てもよい。
【0013】次に、芯棒を抜き、その代わりにシリコー
ン等の内圧用チューブをセットする。このセットした物
を所定の金型に入れ、加熱しながら内圧用チューブに窒
素若しくは空気ガス等を注入し、加圧する。加圧は5〜
20kg/cm2 程度、温度は使用する樹脂の融点より
30〜50°C程度高い温度が適当である。この加熱加
圧により、一方向性スリーブ内の熱可塑性樹脂繊維が溶
融し、補強繊維に含浸されてマトリックスとなる。補強
繊維は溶融せずに残る。その後、金型を冷却し、溶融状
態の熱可塑性樹脂マトリックスを固化させ、金型より成
形体を取り出す。以上の操作により、補強繊維で補強さ
れた熱可塑性樹脂の中空成形体が得られる。
ン等の内圧用チューブをセットする。このセットした物
を所定の金型に入れ、加熱しながら内圧用チューブに窒
素若しくは空気ガス等を注入し、加圧する。加圧は5〜
20kg/cm2 程度、温度は使用する樹脂の融点より
30〜50°C程度高い温度が適当である。この加熱加
圧により、一方向性スリーブ内の熱可塑性樹脂繊維が溶
融し、補強繊維に含浸されてマトリックスとなる。補強
繊維は溶融せずに残る。その後、金型を冷却し、溶融状
態の熱可塑性樹脂マトリックスを固化させ、金型より成
形体を取り出す。以上の操作により、補強繊維で補強さ
れた熱可塑性樹脂の中空成形体が得られる。
【0014】このようにして作った中空成形体では、各
一方向性スリーブが繊維補強樹脂層を構成し、その繊維
補強樹脂層が積層された形態となっている。そして、図
1(b)に示すように、各一方向性スリーブによって形
成された繊維補強樹脂層1′では、補強繊維2′がらせ
ん状に連続した形態で一方向にのみ配列されている。こ
のため、補強繊維同志の交点部を有する織物構造をもっ
ていた場合には、補強繊維が交点部と交点部の間で厚み
方向に凹凸形状に屈曲した状態即ち波状となるが、本願
発明では、このような補強繊維の屈曲が生じることがな
く、平坦に並んだ状態となっている。
一方向性スリーブが繊維補強樹脂層を構成し、その繊維
補強樹脂層が積層された形態となっている。そして、図
1(b)に示すように、各一方向性スリーブによって形
成された繊維補強樹脂層1′では、補強繊維2′がらせ
ん状に連続した形態で一方向にのみ配列されている。こ
のため、補強繊維同志の交点部を有する織物構造をもっ
ていた場合には、補強繊維が交点部と交点部の間で厚み
方向に凹凸形状に屈曲した状態即ち波状となるが、本願
発明では、このような補強繊維の屈曲が生じることがな
く、平坦に並んだ状態となっている。
【0015】この構成は次のような利点をもらたす。す
なわち、一方向性スリーブ内で補強繊維同志が交差する
交点部を持っていないため、成形時に樹脂の含浸不良を
生じにくく、太番手繊維を使用した場合であっても、成
形によって形成された繊維補強樹脂層は含浸性が良く、
ボイドが少ない。また、その繊維補強樹脂層内で各補強
繊維が厚み方向に屈曲せず、平坦に並んでいるので、補
強効果が大きく、また樹脂だまりの発生が少ないので、
物性の均一性が高い。更に、補強繊維の凹凸がないの
で、成形体の表面平滑性が高い。
なわち、一方向性スリーブ内で補強繊維同志が交差する
交点部を持っていないため、成形時に樹脂の含浸不良を
生じにくく、太番手繊維を使用した場合であっても、成
形によって形成された繊維補強樹脂層は含浸性が良く、
ボイドが少ない。また、その繊維補強樹脂層内で各補強
繊維が厚み方向に屈曲せず、平坦に並んでいるので、補
強効果が大きく、また樹脂だまりの発生が少ないので、
物性の均一性が高い。更に、補強繊維の凹凸がないの
で、成形体の表面平滑性が高い。
【0016】なお、複数の一方向性スリーブを積層して
成形する際、隣接した一方向性スリーブ間では補強繊維
が交差し、交点を形成することがあるが、成形後、これ
らの補強繊維は、交織タイプの場合とは異なり、交点部
で単に平坦な状態で重なっているのみであり、この為、
交織織物における補強繊維同志の交点部によって生じる
含浸不良、補強効果の低下等の欠点はほとんど生じな
い。
成形する際、隣接した一方向性スリーブ間では補強繊維
が交差し、交点を形成することがあるが、成形後、これ
らの補強繊維は、交織タイプの場合とは異なり、交点部
で単に平坦な状態で重なっているのみであり、この為、
交織織物における補強繊維同志の交点部によって生じる
含浸不良、補強効果の低下等の欠点はほとんど生じな
い。
【0017】次に、本願第二の発明になる中空成形体
は、上記した第一の発明による中空成形体と同様に、補
強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを筒状にブレードしてなる
スリーブを成形したものであるが、そのスリーブにおけ
る補強繊維と熱可塑性樹脂繊維との配列を若干変えてい
る。すなわち、本願第二の発明に用いるブレードは、使
用する補強繊維を主補強繊維と、その主補強繊維に対し
て30体積%以下の副補強繊維とに分け、主補強繊維を
一方向のみに配列し、副補強繊維をそれに交差する方向
に配列した準一方向性のものである。なお、熱可塑性樹
脂繊維は、副補強繊維と同方向のみに配列してもよい
し、両方向に配列してもよい。ここで、主補強繊維と副
補強繊維とは、同一種類、同一番手の補強繊維を用いて
もよいし、異なる種類或いは異なる番手の補強繊維を用
いてもよい。図2(a)は、この準一方向性スリーブの
1例の一部を示す概略平面図である。この例の準一方向
性スリーブ5では、一方向(S撚り方向)には主補強繊
維の糸6aのみが配列され、それに交差する方向(Z撚
り方向)には、副補強繊維6bと熱可塑性樹脂繊維の糸
7が1:3の割合で配列されている。ここで主補強繊維
の糸6aと副補強繊維の糸6bとは同一種類、同一番手
のものが使用されている。従って、副補強繊維6bは主
補強繊維6aに対して1/4=25体積%だけ、使用さ
れている。準一方向性スリーブを構成する糸の組み組織
は特に限定されるものではなく、例えば図2(a)に示
す構成とすることができる。
は、上記した第一の発明による中空成形体と同様に、補
強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを筒状にブレードしてなる
スリーブを成形したものであるが、そのスリーブにおけ
る補強繊維と熱可塑性樹脂繊維との配列を若干変えてい
る。すなわち、本願第二の発明に用いるブレードは、使
用する補強繊維を主補強繊維と、その主補強繊維に対し
て30体積%以下の副補強繊維とに分け、主補強繊維を
一方向のみに配列し、副補強繊維をそれに交差する方向
に配列した準一方向性のものである。なお、熱可塑性樹
脂繊維は、副補強繊維と同方向のみに配列してもよい
し、両方向に配列してもよい。ここで、主補強繊維と副
補強繊維とは、同一種類、同一番手の補強繊維を用いて
もよいし、異なる種類或いは異なる番手の補強繊維を用
いてもよい。図2(a)は、この準一方向性スリーブの
1例の一部を示す概略平面図である。この例の準一方向
性スリーブ5では、一方向(S撚り方向)には主補強繊
維の糸6aのみが配列され、それに交差する方向(Z撚
り方向)には、副補強繊維6bと熱可塑性樹脂繊維の糸
7が1:3の割合で配列されている。ここで主補強繊維
の糸6aと副補強繊維の糸6bとは同一種類、同一番手
のものが使用されている。従って、副補強繊維6bは主
補強繊維6aに対して1/4=25体積%だけ、使用さ
れている。準一方向性スリーブを構成する糸の組み組織
は特に限定されるものではなく、例えば図2(a)に示
す構成とすることができる。
【0018】この準一方向性スリーブの具体的なブレー
ディング方法は、例えば、図2(a)に示す準一方向性
スリーブ5については、予めそれぞれ製紐管に巻き取っ
た熱可塑性樹脂繊維糸と補強繊維糸とを、それぞれのグ
ループに分け、製紐機の右周りの管差しには補強繊維糸
を巻き取った製紐管のみを、左周りの管差しには補強繊
維糸を巻き取った製紐管と熱可塑性樹脂繊維糸を巻き取
った製紐管を1:3の割合となるように仕掛ける。どら
らのグループをどちらの管差しに仕掛けるかは、製造し
ようとする製品によって決めればよく、特に決められた
ものではない。それらの糸を用いてブレーディングする
ことにより、筒状の準一方向性スリーブ5を製造でき
る。
ディング方法は、例えば、図2(a)に示す準一方向性
スリーブ5については、予めそれぞれ製紐管に巻き取っ
た熱可塑性樹脂繊維糸と補強繊維糸とを、それぞれのグ
ループに分け、製紐機の右周りの管差しには補強繊維糸
を巻き取った製紐管のみを、左周りの管差しには補強繊
維糸を巻き取った製紐管と熱可塑性樹脂繊維糸を巻き取
った製紐管を1:3の割合となるように仕掛ける。どら
らのグループをどちらの管差しに仕掛けるかは、製造し
ようとする製品によって決めればよく、特に決められた
ものではない。それらの糸を用いてブレーディングする
ことにより、筒状の準一方向性スリーブ5を製造でき
る。
【0019】この準一方向性スリーブに使用される補強
繊維及び熱可塑性樹脂繊維も本願第一の発明に用いる一
方向性スリーブの場合と同様のものを使用できる。ま
た、この準一方向性スリーブも、補強繊維と熱可塑性樹
脂繊維を合わせた糸を用いてブレードしたものであって
もよい。準一方向性スリーブ内における補強繊維の割合
も、一方向性スリーブと同様に30〜70体積%とする
ことが好ましい。
繊維及び熱可塑性樹脂繊維も本願第一の発明に用いる一
方向性スリーブの場合と同様のものを使用できる。ま
た、この準一方向性スリーブも、補強繊維と熱可塑性樹
脂繊維を合わせた糸を用いてブレードしたものであって
もよい。準一方向性スリーブ内における補強繊維の割合
も、一方向性スリーブと同様に30〜70体積%とする
ことが好ましい。
【0020】本願第二の発明による中空成形体は、上記
した筒状の準一方向性スリーブを単体で若しくは積層し
て成形したものである。その成形も第一の発明による中
空成形体の場合に同様に行うことができる。
した筒状の準一方向性スリーブを単体で若しくは積層し
て成形したものである。その成形も第一の発明による中
空成形体の場合に同様に行うことができる。
【0021】ここで、複数枚の準一方向性スリーブを積
層する場合には、主補強繊維がS撚り方向に配列された
準一方向性スリーブとZ撚り方向に配列された準一方向
性スリーブとを用意しておき、主補強繊維の方向が交差
するように両者を交互に被せてゆくことが好ましい。こ
れにより、得られた成形体の方向性を均一化することが
でき、成形体のそりやねじれ等を防止できる。また、成
形体の使用目的に応じた強度、剛性を得るために、準一
方向性スリーブ層間に0°、90°等に補強繊維を引き
揃えたプリプレグ、又は交織タイプのスリーブを配置し
てもよい。更には、必要に応じ本願第一の発明に用いた
一方向性スリーブを併用してもよい。
層する場合には、主補強繊維がS撚り方向に配列された
準一方向性スリーブとZ撚り方向に配列された準一方向
性スリーブとを用意しておき、主補強繊維の方向が交差
するように両者を交互に被せてゆくことが好ましい。こ
れにより、得られた成形体の方向性を均一化することが
でき、成形体のそりやねじれ等を防止できる。また、成
形体の使用目的に応じた強度、剛性を得るために、準一
方向性スリーブ層間に0°、90°等に補強繊維を引き
揃えたプリプレグ、又は交織タイプのスリーブを配置し
てもよい。更には、必要に応じ本願第一の発明に用いた
一方向性スリーブを併用してもよい。
【0022】本願第二の発明による中空成形体において
も、各準一方向性スリーブが繊維補強樹脂層を構成し、
その繊維補強樹脂層が積層された形態となっている。そ
して各準一方向性スリーブによって形成された繊維補強
樹脂層では、例えば図2(b)に示す繊維補強樹脂層
5′に見られるように、主補強繊維6a′がらせん状に
連続した形態で一方向にのみ配列され、副補強繊維6
b′がその主補強繊維6a′に交差する方向に配列され
ている。ここで、主補強繊維に対し副補強繊維の使用比
率(体積%)を30体積%以下ときわめて小さくしてい
るため、両方向に同量の補強繊維を用いた交織タイプの
場合に比べて、主補強繊維、副補強繊維の太さがほぼ同
じ場合には補強繊維同志の交点の数がきわめて少なくな
り、また、副補強繊維が主補強繊維に比べて細い場合に
は、補強繊維同志の交点部の大きさが小さく且つ薄くな
る。このため、補強繊維同志の交点部によって生じる欠
点を大幅に解消することができる。すなわち、本願第二
の発明による中空成形体においても、成形時に樹脂の含
浸不良を生じにくく、太番手繊維を使用した場合であっ
ても、成形によって形成された繊維補強樹脂層は含浸性
が良く、ボイドが少ない。また、その繊維補強樹脂層内
において、補強繊維には厚み方向の屈曲が少ししか発生
しないため、補強効果が大きく、また樹脂だまりの発生
が少なくなり、物性の均一性が高い。更に、補強繊維の
凹凸が少ないので、成形体の表面平滑性が高い。これら
の特性は、補強繊維同志の交点を有していない本願第一
の発明による中空成形体に比べれば、若干劣るが、交織
タイプのものを用いた従来のものに比べれば、はかるに
優れている。
も、各準一方向性スリーブが繊維補強樹脂層を構成し、
その繊維補強樹脂層が積層された形態となっている。そ
して各準一方向性スリーブによって形成された繊維補強
樹脂層では、例えば図2(b)に示す繊維補強樹脂層
5′に見られるように、主補強繊維6a′がらせん状に
連続した形態で一方向にのみ配列され、副補強繊維6
b′がその主補強繊維6a′に交差する方向に配列され
ている。ここで、主補強繊維に対し副補強繊維の使用比
率(体積%)を30体積%以下ときわめて小さくしてい
るため、両方向に同量の補強繊維を用いた交織タイプの
場合に比べて、主補強繊維、副補強繊維の太さがほぼ同
じ場合には補強繊維同志の交点の数がきわめて少なくな
り、また、副補強繊維が主補強繊維に比べて細い場合に
は、補強繊維同志の交点部の大きさが小さく且つ薄くな
る。このため、補強繊維同志の交点部によって生じる欠
点を大幅に解消することができる。すなわち、本願第二
の発明による中空成形体においても、成形時に樹脂の含
浸不良を生じにくく、太番手繊維を使用した場合であっ
ても、成形によって形成された繊維補強樹脂層は含浸性
が良く、ボイドが少ない。また、その繊維補強樹脂層内
において、補強繊維には厚み方向の屈曲が少ししか発生
しないため、補強効果が大きく、また樹脂だまりの発生
が少なくなり、物性の均一性が高い。更に、補強繊維の
凹凸が少ないので、成形体の表面平滑性が高い。これら
の特性は、補強繊維同志の交点を有していない本願第一
の発明による中空成形体に比べれば、若干劣るが、交織
タイプのものを用いた従来のものに比べれば、はかるに
優れている。
【0023】ところで、本願第一の発明では、補強繊維
同志が交点を持たないので交点部によって生じていた欠
点を充分に解消できる。ところが、補強繊維同志の交点
が全く無い場合、成形時に樹脂の流れによって補強繊維
が流れ、繊維補強樹脂層内における補強繊維の配向に乱
れを生じ、成形体内での物性むらを生じることがある。
本願第二の発明では、主補強繊維に対して少量の副補強
繊維を交差させて配置したことにより、このような成形
時における補強繊維の流れを防止し、成形体内における
物性むらを防止できる。ここで、副補強繊維は少しでも
あれば、それに交差する主補強繊維の流れを防止する作
用を果たし、その副補強繊維が多い方が主補強繊維の流
れ防止効果は増加する。しかしながら、副補強繊維を主
補強繊維に対して30体積%を越える量とすると、主補
強繊維の流れ防止効果はさほど増加しないが補強繊維同
志の交点数が増加してしまい、この交点部による含浸不
良等の欠点が大きくなって好ましくない。このため、本
願第二の発明では、副補強繊維を主補強繊維に対して3
0体積%以下としたものである。なお、上記したよう
に、副補強繊維は少しでもあれば、それに交差する主補
強繊維の流れを防止する作用を果たしており、且つ副補
強繊維は少ないほど、補強繊維同志の交点を少なくでき
るので、副補強繊維の下限量は特に制限されないが、主
補強繊維の流れ防止の点からは5体積%程度以上とする
ことが好ましい。
同志が交点を持たないので交点部によって生じていた欠
点を充分に解消できる。ところが、補強繊維同志の交点
が全く無い場合、成形時に樹脂の流れによって補強繊維
が流れ、繊維補強樹脂層内における補強繊維の配向に乱
れを生じ、成形体内での物性むらを生じることがある。
本願第二の発明では、主補強繊維に対して少量の副補強
繊維を交差させて配置したことにより、このような成形
時における補強繊維の流れを防止し、成形体内における
物性むらを防止できる。ここで、副補強繊維は少しでも
あれば、それに交差する主補強繊維の流れを防止する作
用を果たし、その副補強繊維が多い方が主補強繊維の流
れ防止効果は増加する。しかしながら、副補強繊維を主
補強繊維に対して30体積%を越える量とすると、主補
強繊維の流れ防止効果はさほど増加しないが補強繊維同
志の交点数が増加してしまい、この交点部による含浸不
良等の欠点が大きくなって好ましくない。このため、本
願第二の発明では、副補強繊維を主補強繊維に対して3
0体積%以下としたものである。なお、上記したよう
に、副補強繊維は少しでもあれば、それに交差する主補
強繊維の流れを防止する作用を果たしており、且つ副補
強繊維は少ないほど、補強繊維同志の交点を少なくでき
るので、副補強繊維の下限量は特に制限されないが、主
補強繊維の流れ防止の点からは5体積%程度以上とする
ことが好ましい。
【0024】上記した本願第一及び第二の発明になる中
空成形体の平面形状は、直線状、湾曲した形状等任意で
あり、また、断面形状は円形、楕円形、矩形等任意であ
り、使用目的に応じて適宜定めればよい。また、その中
空成形体の用途は、流体輸送用の管、各種機械や道具に
おけるフレーム等任意である。
空成形体の平面形状は、直線状、湾曲した形状等任意で
あり、また、断面形状は円形、楕円形、矩形等任意であ
り、使用目的に応じて適宜定めればよい。また、その中
空成形体の用途は、流体輸送用の管、各種機械や道具に
おけるフレーム等任意である。
【0025】
【作用】本願第一及び第二の発明になる中空成形体は、
補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを筒状にブレードした一
方向性スリーブ或いは準一方向性スリーブを成形したも
のであるので、それらのスリーブがフレキシブルで取り
扱いやすく、このため成形作業が容易である。一方向性
スリーブを成形して得た本願第一の発明の中空成形体
は、各一方向性スリーブによって形成された繊維補強樹
脂層内には補強繊維同志の交点が全く無いので、交点部
に生じ勝ちな未含浸部がほとんどなく、しかも補強繊維
に厚み方向の屈曲がないので、補強効果が高く、且つ表
面平滑性に優れるという特性を持つ。また、準一方向性
スリーブを成形して得た本願第二の発明の中空成形体
は、各準一方向性スリーブによって形成された繊維補強
樹脂層内には補強繊維同志の交点部の個数がきわめて少
ないか、交点部が小さく且つ薄くなっているので、やは
り、未含浸部が少なく、しかも補強繊維に厚み方向の屈
曲が少ないので、補強効果が高く、且つ表面平滑性に優
れるという特性を持つ。更に、この場合には、一方向に
配列された主補強繊維に少量の副補強繊維が交差してい
るので、補強繊維の配向に乱れが生じにくく、物性むら
の発生が少ない。更に、本願第一及び第二の発明になる
中空成形体は、マトリックスが熱可塑性樹脂であるた
め、強靭で耐衝撃性、振動減衰性に優れるという性能を
持つものである。
補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを筒状にブレードした一
方向性スリーブ或いは準一方向性スリーブを成形したも
のであるので、それらのスリーブがフレキシブルで取り
扱いやすく、このため成形作業が容易である。一方向性
スリーブを成形して得た本願第一の発明の中空成形体
は、各一方向性スリーブによって形成された繊維補強樹
脂層内には補強繊維同志の交点が全く無いので、交点部
に生じ勝ちな未含浸部がほとんどなく、しかも補強繊維
に厚み方向の屈曲がないので、補強効果が高く、且つ表
面平滑性に優れるという特性を持つ。また、準一方向性
スリーブを成形して得た本願第二の発明の中空成形体
は、各準一方向性スリーブによって形成された繊維補強
樹脂層内には補強繊維同志の交点部の個数がきわめて少
ないか、交点部が小さく且つ薄くなっているので、やは
り、未含浸部が少なく、しかも補強繊維に厚み方向の屈
曲が少ないので、補強効果が高く、且つ表面平滑性に優
れるという特性を持つ。更に、この場合には、一方向に
配列された主補強繊維に少量の副補強繊維が交差してい
るので、補強繊維の配向に乱れが生じにくく、物性むら
の発生が少ない。更に、本願第一及び第二の発明になる
中空成形体は、マトリックスが熱可塑性樹脂であるた
め、強靭で耐衝撃性、振動減衰性に優れるという性能を
持つものである。
【0026】
実施例1 次の条件にて、6Kカーボンファイバー/ナイロン6の
一方向性スリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 82ミクロン 糸番手 230Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周りの管差しにカーボンファイバー、右周りの管差し
にナイロンファイバーを仕掛ける、所謂+方向補強スリ
ーブと、右周りの管差しにカーボンファイバー、左周り
の管差しにナイロンファイバーを仕掛ける、所謂−方向
補強スリーブを作製した。
一方向性スリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 82ミクロン 糸番手 230Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周りの管差しにカーボンファイバー、右周りの管差し
にナイロンファイバーを仕掛ける、所謂+方向補強スリ
ーブと、右周りの管差しにカーボンファイバー、左周り
の管差しにナイロンファイバーを仕掛ける、所謂−方向
補強スリーブを作製した。
【0027】次に、その+方向補強スリーブと−方向補
強スリーブを用いて、次の条件でFRTP管を作製し
た。 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
強スリーブを用いて、次の条件でFRTP管を作製し
た。 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
【0028】得られたFRTP管は外径22mm、肉厚
1.1mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
1.1mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
【0029】実施例2 次の条件にて、6Kカーボンファイバー/ナイロン6の
準一方向性スリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 93ミクロン 糸番手 295Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周りの管差しにはカーボンファイバーのみを、右周り
の管差しにはカーボンファイバーとナイロンファイバー
を1:7の割合で仕掛け(カーボンファイバー一本の次
にナイロンファイバー7本を仕掛け、以後それを繰り返
す)、所謂+方向補強スリーブを作製する。また、この
構成とは左右を逆転させてカーボンファイバー、ナイロ
ンファイバーを仕掛け、所謂−方向補強スリーブを作製
した。得られたスリーブでは、一方向に配列された主補
強繊維に対して、1/8の即ち12.5体積%の副補強
繊維が交差する構成となっている。
準一方向性スリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 93ミクロン 糸番手 295Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周りの管差しにはカーボンファイバーのみを、右周り
の管差しにはカーボンファイバーとナイロンファイバー
を1:7の割合で仕掛け(カーボンファイバー一本の次
にナイロンファイバー7本を仕掛け、以後それを繰り返
す)、所謂+方向補強スリーブを作製する。また、この
構成とは左右を逆転させてカーボンファイバー、ナイロ
ンファイバーを仕掛け、所謂−方向補強スリーブを作製
した。得られたスリーブでは、一方向に配列された主補
強繊維に対して、1/8の即ち12.5体積%の副補強
繊維が交差する構成となっている。
【0030】次に、その+方向補強スリーブと−方向補
強スリーブを用いて、次の条件でFRTP管を作製し
た。 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
強スリーブを用いて、次の条件でFRTP管を作製し
た。 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
【0031】得られたFRTP管は外径22mm、肉厚
1.2mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
1.2mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
【0032】実施例3 次の条件にて、6Kカーボンファイバー/ナイロン6の
準一方向性スリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 106ミクロン 糸番手 384Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周りの管差しにはカーボンファイバーのみを、右周り
の管差しにはカーボンファイバーとナイロンファイバー
を1:3の割合で仕掛け(カーボンファイバー1本の次
にナイロンファイバー3本を仕掛け、以後それを繰り返
す)、所謂+方向補強スリーブを作製した。また、この
構成とは左右を逆転させてカーボンファイバー、ナイロ
ンファイバーを仕掛け、所謂−方向補強スリーブを作製
した。得られたスリーブでは、一方向に配列された主補
強繊維に対して、1/4の即ち25体積%の副補強繊維
が交差する構成となっている。
準一方向性スリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 106ミクロン 糸番手 384Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周りの管差しにはカーボンファイバーのみを、右周り
の管差しにはカーボンファイバーとナイロンファイバー
を1:3の割合で仕掛け(カーボンファイバー1本の次
にナイロンファイバー3本を仕掛け、以後それを繰り返
す)、所謂+方向補強スリーブを作製した。また、この
構成とは左右を逆転させてカーボンファイバー、ナイロ
ンファイバーを仕掛け、所謂−方向補強スリーブを作製
した。得られたスリーブでは、一方向に配列された主補
強繊維に対して、1/4の即ち25体積%の副補強繊維
が交差する構成となっている。
【0033】次に、その+方向補強スリーブと−方向補
強スリーブを用いて、次の条件でFRTP管を作製し
た。 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
強スリーブを用いて、次の条件でFRTP管を作製し
た。 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
【0034】得られたFRTP管は外径22mm、肉厚
1.4mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
1.4mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
【0035】比較例1 次の条件にて、6Kカーボンファイバー/ナイロン6の
交織タイプのスリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 82ミクロン 糸番手 230Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周り、右周り共にカーボンファイバー、ナイロンファ
イバーの製紐管をそれぞれ1本おきに管差しに仕掛け、
補強繊維が互いに交差する方向に等量配列された交織タ
イプのスリーブを作製した。
交織タイプのスリーブを作製した。 (1)使用材料: 熱可塑性樹脂繊維の糸 材質 ナイロン6 フィラメント 36本 フィラメント径 82ミクロン 糸番手 230Tex 補強繊維の糸 材質 6Kカーボンファイバー(T−
300) フィラメント 6000本 フィラメント径 7ミクロン 糸番手 396Tex (2)ブレーディング 打ち数 64 角度 45° スリーブ直径 22mm 左周り、右周り共にカーボンファイバー、ナイロンファ
イバーの製紐管をそれぞれ1本おきに管差しに仕掛け、
補強繊維が互いに交差する方向に等量配列された交織タ
イプのスリーブを作製した。
【0036】次に、その交織タイプのスリーブを用い
て、次の条件でFRTP管を作製した。 積層構成 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
て、次の条件でFRTP管を作製した。 積層構成 計4プライ 成形条件 250°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型
【0037】得られたFRTP管は外径22mm、肉厚
1.1mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
1.1mmであり、補強繊維の含有率は54体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
【0038】比較例2 次の条件にて、カーボンファイバー/エポキシのプリプ
レグからなるFRP管を作製した。 (1)使用材料:CFUDプリプレグ(東レP3051
−25) 熱硬化性樹脂 材質 エポキシ 補強繊維 材質 カーボンファイバー(T−30
0) フィラメント径 7ミクロン 単位重量 250g/m2 (2)FRP管成形 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 180°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型 成形動作:一方向に引き揃えられた炭素繊維(東レT−
300)にエポシキ樹脂を含浸させた、所謂プリプレグ
状の材料を、成形パイプの長さ方向に対し、炭素繊維が
45°になるようにカットし、これを+45°、−45
°となるように交互に4プライ積層する。この材料を芯
棒付きのシリコンチューブに巻き付け、シリコンチュー
ブの一方は止め栓をし、一方はN2 ガスボンベに接続す
るための金具に取り付ける。その後、これを加熱しなが
ら内圧用チューブに窒素ガスを注入し、加圧する。
レグからなるFRP管を作製した。 (1)使用材料:CFUDプリプレグ(東レP3051
−25) 熱硬化性樹脂 材質 エポキシ 補強繊維 材質 カーボンファイバー(T−30
0) フィラメント径 7ミクロン 単位重量 250g/m2 (2)FRP管成形 積層構成 +、−、+、− 計4プライ 成形条件 180°C、20分、内圧10kg/
mm2 冷却15°C/min 80°C以下で脱型 成形動作:一方向に引き揃えられた炭素繊維(東レT−
300)にエポシキ樹脂を含浸させた、所謂プリプレグ
状の材料を、成形パイプの長さ方向に対し、炭素繊維が
45°になるようにカットし、これを+45°、−45
°となるように交互に4プライ積層する。この材料を芯
棒付きのシリコンチューブに巻き付け、シリコンチュー
ブの一方は止め栓をし、一方はN2 ガスボンベに接続す
るための金具に取り付ける。その後、これを加熱しなが
ら内圧用チューブに窒素ガスを注入し、加圧する。
【0039】得られたFRTP管は外径22mm、肉厚
1.0mmであり、補強繊維の含有率は55体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
1.0mmであり、補強繊維の含有率は55体積%であ
った。その機械的特性を測定した結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】なお、表1における曲げ強さは、測定すべ
きFRTP管を、支持点が50mm離れるように配置さ
れた一対の下圧子で支え、その上面中央を、5mm/分
の速度で降下する上圧子で押し、破壊強度を測定して求
めた。この時に使用した上下圧子のFRTP管に接触す
る部分は半径5mmの円筒面である。また、ねじれ強度
は、1000mm長さのFRTP管の両端100mmに
金属パイプをかぶせ、エポキシ等の接着剤で接着し、そ
のFRTP管を両端の金属パイプを利用してねじれ試験
機に取り付け、ねじれ試験機でFRTP管をねじって、
破壊トルク強度を測定して求めた。ボイド率の測定法
は、JIS K 7053による。表面平滑性は目視に
より判定した。
きFRTP管を、支持点が50mm離れるように配置さ
れた一対の下圧子で支え、その上面中央を、5mm/分
の速度で降下する上圧子で押し、破壊強度を測定して求
めた。この時に使用した上下圧子のFRTP管に接触す
る部分は半径5mmの円筒面である。また、ねじれ強度
は、1000mm長さのFRTP管の両端100mmに
金属パイプをかぶせ、エポキシ等の接着剤で接着し、そ
のFRTP管を両端の金属パイプを利用してねじれ試験
機に取り付け、ねじれ試験機でFRTP管をねじって、
破壊トルク強度を測定して求めた。ボイド率の測定法
は、JIS K 7053による。表面平滑性は目視に
より判定した。
【0042】表1から良く分かるように、一方向性スリ
ーブを使用した実施例1及び準一方向性スリーブを使用
した実施例2、3では、交織タイプのスリーブを使用し
た比較例1に比べて、曲げ強さ、ねじれ強度共に大きく
なっており、また、ボイド率も低下している。更に、こ
れらの実施例1〜3は、プリプレグを使用して成形した
FRP管に比べても、優れた特性を備えている。
ーブを使用した実施例1及び準一方向性スリーブを使用
した実施例2、3では、交織タイプのスリーブを使用し
た比較例1に比べて、曲げ強さ、ねじれ強度共に大きく
なっており、また、ボイド率も低下している。更に、こ
れらの実施例1〜3は、プリプレグを使用して成形した
FRP管に比べても、優れた特性を備えている。
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、本願第一の発明
は、補強繊維を一方向にのみ配列した一方向性スリーブ
を単体で或いは積層して成形したものであるので、各一
方向性スリーブから構成された繊維補強樹脂層内には、
補強繊維同志の交点がなく、このため、成形時に樹脂の
含浸不良を生じにくく、太番手繊維を使用した場合であ
っても含浸性が良く、ボイドが少ない。また、その繊維
補強樹脂層内で各補強繊維が厚み方向に屈曲せず、平坦
に並んでいるので、補強効果が大きく、また樹脂だまり
の発生が少ないので、物性の均一性が高い。更に、補強
繊維の凹凸がないので、成形体の表面平滑性が高い。ま
た、マトリックスが熱可塑性樹脂であるため、強靭で耐
衝撃性、振動減衰性に優れている。かくして、本願第一
の発明になる中空成形体は、強度、耐衝撃性、振動減衰
性等の特性に優れ、且つ表面平滑性が高いという効果を
有している。
は、補強繊維を一方向にのみ配列した一方向性スリーブ
を単体で或いは積層して成形したものであるので、各一
方向性スリーブから構成された繊維補強樹脂層内には、
補強繊維同志の交点がなく、このため、成形時に樹脂の
含浸不良を生じにくく、太番手繊維を使用した場合であ
っても含浸性が良く、ボイドが少ない。また、その繊維
補強樹脂層内で各補強繊維が厚み方向に屈曲せず、平坦
に並んでいるので、補強効果が大きく、また樹脂だまり
の発生が少ないので、物性の均一性が高い。更に、補強
繊維の凹凸がないので、成形体の表面平滑性が高い。ま
た、マトリックスが熱可塑性樹脂であるため、強靭で耐
衝撃性、振動減衰性に優れている。かくして、本願第一
の発明になる中空成形体は、強度、耐衝撃性、振動減衰
性等の特性に優れ、且つ表面平滑性が高いという効果を
有している。
【0044】また、本願第二の発明は、一方向に主補強
繊維を配列し、それに対して30体積%以下の副補強繊
維を交差する方向に配列した準一方向性スリーブを単体
で或いは積層して成形したものであるので、各準一方向
性スリーブから構成された繊維補強樹脂層内には、補強
繊維同志の交点部の個数がきわめて少ないか、或いは交
点部が小さく且つ薄くなっており、このため、補強繊維
同志の交点を全く有していない上記第一の発明よりは少
し劣るが、従来の交織タイプのスリーブを用いた場合よ
りは、はるかに含浸性が良く、且つ補強効果が高く、ま
た、表面平滑性もよい。しかも、この場合には少量の補
強繊維が交差しているので、形成時に補強繊維が樹脂で
流され、配向が乱れるということが少なく、このため物
性むらが少ない。かくして、本願第二の発明になる中空
成形体は、強度、耐衝撃性、振動減衰性等の特性に優
れ、物性むらが少なく、しかも表面平滑性が高いという
効果を有している。
繊維を配列し、それに対して30体積%以下の副補強繊
維を交差する方向に配列した準一方向性スリーブを単体
で或いは積層して成形したものであるので、各準一方向
性スリーブから構成された繊維補強樹脂層内には、補強
繊維同志の交点部の個数がきわめて少ないか、或いは交
点部が小さく且つ薄くなっており、このため、補強繊維
同志の交点を全く有していない上記第一の発明よりは少
し劣るが、従来の交織タイプのスリーブを用いた場合よ
りは、はるかに含浸性が良く、且つ補強効果が高く、ま
た、表面平滑性もよい。しかも、この場合には少量の補
強繊維が交差しているので、形成時に補強繊維が樹脂で
流され、配向が乱れるということが少なく、このため物
性むらが少ない。かくして、本願第二の発明になる中空
成形体は、強度、耐衝撃性、振動減衰性等の特性に優
れ、物性むらが少なく、しかも表面平滑性が高いという
効果を有している。
【図1】(a)は本願第一の発明の中空成形体の成形に
用いる一方向性スリーブの1例の1部を示す概略平面図 (b)はその一方向性スリーブの成形によって形成され
て繊維補強樹脂層の一部を示す概略平面図
用いる一方向性スリーブの1例の1部を示す概略平面図 (b)はその一方向性スリーブの成形によって形成され
て繊維補強樹脂層の一部を示す概略平面図
【図2】(a)は本願第二の発明の中空成形体の成形に
用いる準一方向性スリーブの1例の1部を示す概略平面
図 (b)はその準一方向性スリーブの成形によって形成さ
れて繊維補強樹脂層の一部を示す概略平面図
用いる準一方向性スリーブの1例の1部を示す概略平面
図 (b)はその準一方向性スリーブの成形によって形成さ
れて繊維補強樹脂層の一部を示す概略平面図
1 一方向性スリーブ 1′ 繊維補強樹脂層 2 補強繊維の糸 2′ 補強繊維 3 熱可塑性樹脂繊維の糸 5 準一方向性スリーブ 5′ 繊維補強樹脂層 6a 主補強繊維の糸 6a′ 主補強繊維 6b 副補強繊維の糸 6b′ 副補強繊維 7 熱可塑性樹脂繊維の糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 敏晴 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 室井 國昌 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 樋山 邦夫 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とを、前記
補強繊維が一方向にのみ配列されるように筒状にブレー
ドしてなる一方向性スリーブを単体で若しくは積層して
成形された中空成形体であって、各一方向性スリーブに
よって形成される繊維補強樹脂層では補強繊維がらせん
状に連続した形態で一方向にのみ配列されていることを
特徴とする繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体。 - 【請求項2】 主補強繊維と、その主補強繊維に対して
30体積%以下の副補強繊維と、熱可塑性樹脂繊維と
を、前記主補強繊維が一方向にのみ配列され、副補強繊
維がそれに交差する方向にのみ配列されるように筒状に
ブレードしてなる準一方向性スリーブを単体で若しくは
積層して成形された中空成形体であって、各準一方向性
スリーブによって形成される繊維補強樹脂層では主補強
繊維がらせん状に連続した形態で一方向にのみ配列され
ており、その主補強繊維に対して30体積%以下の副補
強繊維がらせん状に連続した形態で前記主補強繊維に交
差する方向にのみ配列されていることを特徴とする繊維
補強熱可塑性樹脂中空成形体。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5108871A JP2562805B2 (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体 |
TW82104258A TW260717B (ja) | 1992-11-20 | 1993-05-28 | |
CN94103307A CN1051956C (zh) | 1993-03-29 | 1994-03-25 | 编织套筒及用其制成的中空制品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5108871A JP2562805B2 (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06297590A true JPH06297590A (ja) | 1994-10-25 |
JP2562805B2 JP2562805B2 (ja) | 1996-12-11 |
Family
ID=14495707
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5108871A Expired - Fee Related JP2562805B2 (ja) | 1992-11-20 | 1993-04-12 | 繊維補強熱可塑性樹脂中空成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2562805B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2423648A (en) * | 2005-02-24 | 2006-08-30 | New Chapel Electronics Ltd | Braided carbon fibre and resin impact resistant conduit |
CN107139507A (zh) * | 2017-06-15 | 2017-09-08 | 西安交通大学 | 一种复合材料高耐撞性圆筒结构成型方法 |
JP2021094790A (ja) * | 2019-12-18 | 2021-06-24 | ミズノ テクニクス株式会社 | 繊維強化樹脂製パイプの製造方法 |
-
1993
- 1993-04-12 JP JP5108871A patent/JP2562805B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2423648A (en) * | 2005-02-24 | 2006-08-30 | New Chapel Electronics Ltd | Braided carbon fibre and resin impact resistant conduit |
GB2423648B (en) * | 2005-02-24 | 2009-06-17 | New Chapel Electronics Ltd | Impact resistant conduit |
CN107139507A (zh) * | 2017-06-15 | 2017-09-08 | 西安交通大学 | 一种复合材料高耐撞性圆筒结构成型方法 |
JP2021094790A (ja) * | 2019-12-18 | 2021-06-24 | ミズノ テクニクス株式会社 | 繊維強化樹脂製パイプの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2562805B2 (ja) | 1996-12-11 |
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Legal Events
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R250 | Receipt of annual fees |
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