JPH06297408A - 木材の処理方法及びその装置 - Google Patents

木材の処理方法及びその装置

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JPH06297408A
JPH06297408A JP9324693A JP9324693A JPH06297408A JP H06297408 A JPH06297408 A JP H06297408A JP 9324693 A JP9324693 A JP 9324693A JP 9324693 A JP9324693 A JP 9324693A JP H06297408 A JPH06297408 A JP H06297408A
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MOKUZAI SEINOU KOJO GIJUTSU KENKYU KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 材料に割れ等の損傷を与えることなく、注入
性、通導性等の改質を充分に行うことのできる木材の処
理方法及びその装置を提供すること。 【構成】 木材の注入性等を改質する木材の処理方法に
おいて、木材を温度120〜160℃で蒸煮することを
特徴とし、木材の注入性等を改質する木材の処理装置に
おいて、処理木材が収納され、且つ少なくとも温度12
0℃以上の蒸気圧に耐え得る蒸煮容器から成り、上記蒸
煮容器内に蒸気を供給する蒸気供給ラインと、加圧状態
の上記蒸煮容器内に注水可能な注水ラインとを具えてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材の処理方法及びそ
の装置に関するものであり、より詳しくは、木材の注入
性及び通気性等を改質するために蒸煮等を行う木材の処
理方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般、木材、特に生材等の注入性、通気
性又は浸透性等を改質し、薬液の浸透或いは染料等の染
着性を良くすることの改質技術が数多く提案されてい
る。例えば、注入性を良好にする目的としては、ロール
を用いて木材春材部を破壊する方法(特開昭57−11
3013号公報)、木材をアルカリ・界面活性剤で処理
する方法(特開昭57−113012号公報)、腐朽菌
で侵蝕する方法(特開昭58−224706号公報)、
木材面に微細な穴を開口する方法(特開昭59−499
07号公報)、木材の冷凍解凍処理方法(特開昭59−
201808号公報)、酵素(ペクチナーゼ他)を用い
てトールスを破壊する方法(特開昭60−225710
号公報)等がある。また熱処理として、原木等の剥板性
を良くする為に100℃前後で蒸煮或いは煮沸する方法
や、原木等を100℃以上の加熱処理(直火型)して、
その製材後の反り、捩じれの低減を行う方法等が提案さ
れている。更に、部分爆砕法で通導性を改質し、乾燥速
度の増大を図ったもの等がある(木材工業:Vol4
7,No8 ’92)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
木材の処理方法では種々の問題がある。例えば、ロール
圧潰処理や穿孔処理では、木材の損傷により、樹脂注入
後の乾燥等の工程で材料割れが生じるおそれがあった。
また酵素処理、腐朽菌による処理では時間がかかり、均
一な処理が困難であった。木材のアルカリや酸等の化学
薬品による処理では、材料の変色等が多く見られた。部
分爆砕法や原木の熱処理では、処理工程のコントロール
が難しく、材料が処理後に割れたりする危険性が高かっ
た。また、木材の100℃前後の煮沸法や蒸煮法では、
注入性の改質の効果が充分でなかった。この他に、マイ
クロ波等で加熱し、その後加圧し、材料を変形させ、材
料の通導性、薬液注入性を改質する方法等が考えられて
いるが、工程が煩雑で未だ実用化に至っていない。従っ
て、本発明の目的は、材料に割れ等の損傷或いは変色を
与えることなく、注入性、通導性等の改質を充分に行う
ことのできる木材の処理方法及びその装置を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、木材の注入性
等を改質する木材の処理方法において、木材を温度12
0〜160℃で蒸煮することを特徴とする木材の処理方
法を提供することにより、上記目的を達成したものであ
る。また、上記蒸煮を10〜60分間行った後に、上記
温度の加圧状態で、該蒸煮処理材に冷水をかけることが
上記目的の達成の為に好ましい。本発明はまた、木材の
注入性等を改質する木材の処理装置において、処理木材
が収納され、且つ少なくとも温度120℃以上の蒸気圧
に耐え得る蒸煮容器から成り、上記蒸煮容器内に蒸気を
供給する蒸気供給ラインと、加圧状態の上記蒸煮容器内
に注水可能な注水ラインとを具えていることを特徴とす
る木材の処理装置を提供することにより、上記目的を達
成したものである。
【0005】
【作用】木材を温度120℃以上で蒸煮することは、木
材を加圧下の状態で、且つ湿潤状態で加熱処理すること
であり、このような処理により、後述の実施例に見られ
るように、木材の注入性及び通導性が極めて向上する。
また、このような蒸煮処理を10〜60分間した後、上
記加圧、湿潤、加熱状態で冷水を木材にかけると、木材
は充分な改質が成され、しかも、木口割れ、表面割れ、
落ち込み等による内部割れを生じることがない。
【0006】
【実施例】以下、本発明に係る木材の処理方法及びその
装置の実施例を図面を参照しながら説明する。図1は本
発明に係る木材の処理方法及びその装置の一実施例を示
す説明図である。本発明に係る木材の処理方法は、木材
の注入性等を改質する木材の処理方法であり、木材1を
温度120〜160℃で蒸煮するものである。本発明に
係る木材の処理方法を更に説明すると、図1に示す如
く、木材1を蒸煮容器2等に入れ、蒸煮容器2を密封状
態にした後、高温蒸気を注入し、蒸煮容器2内を加圧状
態にすると共に、温度を120℃〜160℃、特に15
0〜160℃に維持する。この温度での蒸煮を10〜6
0分間、特に10〜20分間行った後に、高温高圧状態
で、木材1に冷水を処理するものである。また、この際
の蒸煮容器2内の蒸気圧は10Kg/cm2 以上であること
が望ましく、また、蒸煮容器2内が出来る限り均一に所
定の温度に成るように設定することが望ましい。また、
上記冷水を処理した後に木材1を蒸煮容器2から取り出
すが、木材1の温度が未だ高温の場合には、冷却プール
等に浸漬しても良い。以上のような処理により、木材1
は、後述の実施品の評価で示す如く、浸透性、注入性、
及び通導性が向上し、しかも、木材1自身には損傷が全
く見られない。
【0007】次に、本発明に係る木材の処理装置の一実
施例を図1に従って説明する。本実施例の木材の処理装
置10は、木材1の注入性等を改質する木材の処理装置
であり、図1に示す如く処理木材1が収納され、且つ少
なくとも温度120℃以上の蒸気圧に耐え得る蒸煮容器
2から成り、蒸煮容器2内に蒸気を供給する蒸気供給ラ
イン3と、加圧状態の上記蒸煮容器2内に注水可能な注
水ライン4とを具えている。
【0008】本発明の木材の処理装置10を更に説明す
ると、支持柱2C、2C上には、蒸煮容器2が設けら
れ、蒸煮容器2は耐圧性で少なくとも120℃以上の蒸
気圧に耐えることができ、好ましくは耐圧が20Kg/cm
2 以上である。蒸煮容器2には、覗き耐圧ガラス窓2A
と、左端に容器開口2Bが形成されている。容器開口2
Bには回動蓋5が設けられ、回動蓋5は締結材6、6・
・で確実に開口2Bを密封することができる。また、回
動蓋5には、密封確認スイッチ7が取り付けられてい
る。また、容器開口2Bからは台車8上の処理木材1が
蒸煮容器2に搬入される。処理木材1は、主に生材が処
理され、生材は含水率が30%以上であることが望まし
い。
【0009】蒸煮容器2の上面中央には蒸気供給ライン
3が切替え弁を介して接続され、蒸気供給ライン3は調
節弁9を介してエア供給ライン11及びスチーム供給1
2に接続されている。供給ライン11は図示しないコン
プレッサーに接続されており、3〜5Kg/cm2 程度のエ
アが供給され、またスチーム供給ライン12は図示しな
い発生器から16〜19Kg/cm2 程度の蒸気が供給され
る。また、蒸煮容器2の上面中央には注水ライン4が切
替え弁を介して接続され、プランジャーポンプ30から
高水圧の水が供給される。
【0010】調節弁9は調節計13を介して温度調節計
14の制御を受け、温度調節計14には終了ブザー15
が取り付けられている。即ち、温度調節計14は調節弁
9を制御することによって、エアとスチームの供給量を
変えて、蒸煮容器2内の温度に変化を与えている。温度
調節計14には、測温抵抗体W素子からなる温度センサ
16からの信号が入力され、温度センサ16は蒸煮容器
2内の温度を常時計測している。また、温度センサ16
からの信号は記録プリンタ17にも入力され、記録プリ
ンタ17では、その測定温度をプリントすると共に、圧
力変換器18からの蒸煮容器2内の圧力をプリントして
いる。尚、圧力変換器18には蒸煮容器2の圧力検出器
19からの信号が入力される。また、蒸煮容器2の上面
には、圧力調整或いは終了の際に使用される放蒸弁21
及び過剰圧に対処する安全弁22が取り付けられ、また
蒸煮容器2の下面には、ブローバルブ23及びスチーム
トラップ24が設けられ、低温になった蒸気等の排出を
行っている。
【0011】以上の如く構成された木材の処理装置10
では、先ず回動蓋5が開かれ、台車8上の処理木材1が
蒸煮容器2内に収納される。次に回動蓋5が閉じられ、
締結材6、6で完全に密封され、密封確認スイッチ7に
より密封状態が確認される。この状態で、蒸気供給ライ
ン3からスチームが蒸煮容器2内に供給される。これに
より、図2に示す如く蒸煮容器2内の温度が徐々に上昇
する。この場合、短時間で温度を上昇させると、処理木
材1の材の落ち込みがあるので好ましくなく、少なくと
も10分間以上で処理温度まで上昇させることが望まし
い。温度が一定になったとき、スチーム量が調節される
ことにより蒸煮容器2内の温度が一定に維持され、10
〜60分間、特に10〜20分間維持される。蒸煮処理
時間の経過後、図2に示す如く、蒸煮容器2内の圧力が
高い状態で、直ちに蒸気供給ライン3におけるスチーム
の供給から注水ライン4の水の注水に切替えられ、注水
が開始される。これにより、処理木材1の木口割れ、表
面割れ、及び落ち込み等による内部割れが防止される。
【0012】その後、蒸煮容器2内の注水が完了した
ら、排水し、終了後、回動蓋5を解放し処理木材1を取
り出す。尚、木材1の温度が高い場合には、予め冷却プ
ールを用意して水中に浸漬して冷却しても良い。上記実
施例では、蒸気供給ライン3及び注水ライン4を別々に
設けたが、蒸煮容器2に接続する際には一つのラインで
共有させても良い。また、上記蒸煮容器2の形状は特に
限定されるものではなく、蒸煮容器2が充分な耐圧性を
有するものであれば特にその使用に制限はない。
【0013】以下に、上記木材の処理装置10を用いて
処理した木材の実施品の評価を、比較品と比較しながら
行った。 (実施品1)木材1にスギ板目心材(厚12×巾105
×長さ250mm)を用い、蒸煮処理を130℃、30分
間(蒸気圧力:略7Kg/cm2 )し、その後、冷水を散布
し処理を完了した。これを実施品1とした。 (実施品2)木材1にスギ板目心材(厚12×巾105
×長さ250mm)を用い、蒸煮処理を150℃、30分
間行い、その後、冷水を散布し処理を完了した。これを
実施品2とした。
【0014】(比較品1)スギ板目心材(厚12×巾1
05×長さ250mm)を用い、冷凍処理(−70℃、4
8時間)した。これを比較品1とした。 (比較品2)スギ板目心材(厚12×巾105×長さ2
50mm)を用い、ロール圧潰処理(150℃、ロール間
隔80%:ロール間隔/材厚み・×100)した。これ
を比較品2とした。 (比較品3)スギ板目心材(厚12×巾105×長さ2
50mm)を用い、マイクロ波・加圧処理(2450MH
z、1.8Kw出力1min 、冷圧30Kg/cm2 1min )し
た。これを比較品3とした。
【0015】以上の実施品及び比較品について、以下の
評価を行い表1に示した。 〔評価1〕水溶性染料(BASF Basantol 310 )1
%を気乾材に減圧加圧注入(30torr,30min →3Kg
/cm2 ,1時間)後の浸透性(染着程度)、及び作業性
を6段階に分け、◎が最も良好、○が良好、△が普通、
×がやや不良、××が不良、×××が極めて不良である
と評価した。
【0016】
【表1】
【0017】この結果、蒸煮処理とマイクロ波+加圧処
理では、前者の作業性が極めて高く、マイクロ波+加圧
処理では、処理材の表面から急激な水分蒸発を防止する
為のカバー(ビニルシートで包む。)や、材割れを防止
する必要があり、その作業性が極めて煩雑でもあった。
【0018】(実施品3)木材1にスギ板目心材(厚3
5×巾75×長さ900mm)を用い、蒸煮処理を120
℃、30分間行い、その後、冷水を散布し処理を完了し
た。これを実施品3とした。 (実施品4)木材1にスギ板目心材(厚35×巾75×
長さ900mm)を用い、蒸煮処理を160℃、30分間
行い、その後、冷水を散布し処理を完了した。これを実
施品4とした。これらの実施品について、以下の評価を
行い表2に示した。 〔評価2〕 処理材を15〜20%の含水率に乾燥後1/2に切断
し、片木口面をエポキシ樹脂シールする。 .の処理材に水溶性染料(BASF Basantol 31
0 )1%を減圧加圧注入(30torr,30min →3Kg/
cm2 ,1時間)及び木口のみの浸漬(24時間)処理を
行い、気乾後試料の重量増加の割合と染着性を無処理材
と比較した。 尚、染着性について減圧加圧処理材は両端部50mm及び
中央部の木口断面の染着面積を目視で評価した。また、
木口浸漬処理材は木口から染着距離(浸漬長さ)を測定
した。
【0019】
【表2】 注1)注入割合:染料注入量/材全乾重量 (100
%) 注2)染着面積割合:染着面積/材断面積 (100
%) 注3)処理後の外観:○は変化なし、×は材割れ・変形
発生あり。この結果、処理材は無処理材に比べて量的及
び均一性に優れていた。
【0020】(実施品5)木材1にスギ材を用い、蒸煮
処理を160℃、15分間行い、その後、冷水を散布し
処理を完了した。これを実施品5とした。実施品5とこ
のスギ材の無処理のものとを比較した。実施品3及び4
と同様に注入量を測定した結果、実施品5が152に対
して無処理材が71.5であった。 (実施品6)木材1にスギ材を用い、蒸煮処理を160
℃、30分間行い、その後、冷水を散布し処理を完了し
た。これを実施品6とした。実施品6とこのスギ材の無
処理のものとを比較した。実施品3及び4と同様に注入
量を測定した結果、実施品6が81に対して無処理材が
47であった。 (実施品7)木材1にカラマツ材を用い、蒸煮処理を1
60℃、15分間行い、その後、冷水を散布し処理を完
了した。これを実施品7とした。実施品7とこのカラマ
ツ材の無処理のものとを比較した。実施品3及び4と同
様に注入量を測定した結果、実施品6が89.5に対し
て無処理材が51.1であった。以上のことから、蒸煮
処理時間については、15分間程度でも注入性に充分な
改善が見られ、スギ材以外のカラマツでも注入性の改善
が見られた。
【0021】
【発明の効果】本発明に係る木材の処理方法及び装置に
よれば、材料に割れ等の損傷或いは変色を与えることな
く、注入性、通導性等の改質を充分に行うことのでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材の処理方法及びその装置の一
実施例を示す説明図である。
【図2】図1の蒸煮容器内の温度変化を示す折れ線グラ
フである。
【符号の説明】
1 処理木材 2 蒸煮容器 3 蒸気供給ライン 4 注水ライン 10 木材の処理装置 11 エア供給ライン 12 スチーム供給ライン 14 温度調節計 16 温度センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材の注入性等を改質する木材の処理方
    法において、木材を温度120〜160℃で蒸煮するこ
    とを特徴とする木材の処理方法。
  2. 【請求項2】 上記蒸煮処理を10〜60分間行うこと
    を特徴とする請求項1記載の木材の処理方法。
  3. 【請求項3】 上記蒸煮処理を行った後に、蒸煮処理温
    度における加圧状態で、該木材に冷水処理を行うことを
    特徴とする請求項1又は2記載の木材の処理方法。
  4. 【請求項4】 木材の注入性等を改質する木材の処理装
    置において、 処理木材が収納され、且つ少なくとも温度120℃以上
    の蒸気圧に耐え得る蒸煮容器から成り、上記蒸煮容器内
    に蒸気を供給する蒸気供給ラインと、加圧状態の上記蒸
    煮容器内に注水可能な注水ラインとを具えていることを
    特徴とする木材の処理装置。
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