JPH06296284A - 色変換装置及び電子カメラ - Google Patents

色変換装置及び電子カメラ

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JPH06296284A
JPH06296284A JP4095335A JP9533592A JPH06296284A JP H06296284 A JPH06296284 A JP H06296284A JP 4095335 A JP4095335 A JP 4095335A JP 9533592 A JP9533592 A JP 9533592A JP H06296284 A JPH06296284 A JP H06296284A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子スチルカメラ等で取り込まれたデジタル
画像データに対して、自然な色温度補正を行う。 【構成】 色度図上において光源の色温度を変更するこ
とによって画素の色度の変更を行う。光源の色度の変更
量ΔW(Δx,Δy)が算出され、レジスタ58から積
和演算回路66に出力される。一方、画素の3つの刺激
値X,Y,Zは除算回路64及び演算回路70を介して
積和演算回路66に出力される。演算回路70は、光源
の色度Wと画素の色度との近さを示す量1−pを算出し
ている。積和演算回路66は、当該画素についての新し
い色度値F´(x´,y´)を算出する。そして、それ
らがX,Yに変換された後、更にX´,Y´,Z´に変
換され外部に出力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光源の色を補正して好
みの色調の画像を得る色変換装置、及び色変換により発
生する画像の劣化を防止し得る電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】電子カメラを用いて撮影を行った場合、
その時に撮影者が感じる色と撮影された実際の画像の色
とがしばしば異なることがある。例えば、撮影時の光源
が白熱電灯であったとすると、再生した画像の色は赤く
なり過ぎて不自然だったり、また、蛍光灯下で撮影した
画像では、緑の波長帯にある輝線スペクトルの作用によ
り緑が強すぎて不自然に見えたりする。
【0003】このため、従来の電子カメラには、ホワイ
トバランス装置が設けられていた。すなわち、この装置
は、撮影時にR(赤)、G(緑)、B(青)のバランス
をとる機能を有し、白い物体の色を白く再生できるよう
に、画像データの補正を行うものである。具体的には、
ホワイトバランス装置は、出力信号のうちG信号を基準
レベルとして、他のR信号及びB信号のレベルがG信号
のものにほぼ等しくなるように補正する。
【0004】なお、従来の写真カメラでは、各種フィル
タの装着により、光源の色の補正が行われている。ここ
で、フィルタとは光の波長によって透過特性が異なるも
のであり、適切なフィルタを選択することにより、好み
の色調の写真が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電子カメラにおいて、上記ホワイトバランス装置によれ
ば、白の補正は可能であるが、画像全体の色調の調整は
写真カメラにおけるフィルタ効果のようにはできないと
いう問題があった。
【0006】ところで、カラー画像を信号として表すに
は、少なくとも3つ以上の刺激値によってある色を指定
できることが知られている。この3刺激値は、表色系の
定め方に応じて、様々な表し方が使われている。表色系
として例えば、国際照明委員会が定めたCIE(193
1)RGB表色系、CIE(1931)XYZ表色系が
ある。またテレビジョンの放送方式を定めたNTSC規
格ではYIQ信号が使われるが、これも通常取り扱われ
る3刺激値である。というのは、YIQ信号から3刺激
値RGBに等価に変換することができるからである。
【0007】これら3刺激値をA/D変換して得られる
デジタルデータによって画像を表現する場合、前記A/
D変換が8ビットの分解能であるとすれば、例えばRG
B表色系では、 0≦R<256、 0≦G<256、 0≦B<2
56 の大きさを有する立方体(刺激値空間)の中の整数値の
データのみが再生可能な色である。それ以外のデータの
色は、8ビットでは表せないため再生できない。一般的
に、デジタル画像は、デジタル演算によりノイズの混入
がない色変換が可能であり容易に所望の色調に変換でき
る利点があるが、他方、上述の立方体の外側に変換され
てしまうと、その色は再生できず、何らかの方法で強制
的に前記立方体の中に入るように修正する必要がある。
【0008】色変換が非常に強く行われる場合には、こ
の修正のために、もとの画像にない疑似輪郭が発生した
り、あるいは部分的に特異な色の領域が発生したりする
という問題があった。
【0009】本発明は上記従来の課題に鑑みなされたも
のであり、その目的は、電子カメラなどにより撮影され
た画像データを再生する際に、光源の色を自然な色調で
修正を行うことができる色変換装置を提供することにあ
る。
【0010】また、その色変換の際に、再現できる範囲
外に色が変換されてしまった場合には、それを判定し
て、再生可能な範囲内に色を修正しながら、かつ、上記
の疑似輪郭等を防止できる色変換装置を提供することに
ある。
【0011】さらに、本発明は、撮影時において再生時
の色変換方法を予め設定し、その色変換によって疑似輪
郭などの画像の劣化が予測された場合に、自動的に露光
量を下げることにより、劣化を防止する電子カメラを提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、撮影時の光源の色度点W
(xw 、yw )と再生時の光源の色度点W’(xw ’、
yw ’)を設定する設定手段と、該設定された色度点W
とW’とデジタルデータで供給されるカラー画像の画素
ごとの3刺激値とを入力とし、これを色変換して3刺激
値を出力する演算部と、を有し、 前記演算部は、入力
された画素の3刺激値から刺激値和Lと色度値F(x、
y)を計算する手段と、該色度値と撮影時の光源の色度
点Wとから、その画素の色度と光源の色度との遠近を表
す値を計算する手段と、該画素の色度と前記撮影時の光
源の色度との近さに応じて、該画素の色度が前記再生時
の光源の色度に近くなるように、新しい3刺激値を算出
する手段と、を含むことを特徴とし、画像の色調を撮影
時の光源の色度W(xw 、yw )と再生時の光源の色度
W’(xw ’、yw ’)により容易に変換することを可
能としている。
【0013】また、請求項2記載の発明は、色度座標上
のスペクトル軌跡と、純紫軌跡を適当な次数2次以下の
近似曲線で近似し、容易にその画素の色に対応するスペ
クトル軌跡上の点を特定することができる手段を備え、
色変換を小さな回路規模でかつ短時間で実行可能とする
色変換装置を提供するものである。
【0014】また、請求項3記載の発明は、色度座標上
のスペクトル軌跡と、純紫軌跡を適当な次数2次以下の
近似曲線で近似し、容易にその画素の色に対応するスペ
クトル軌跡上の点を特定し、かつその点により波長に対
応する値(主波長)を求め、その波長に応じた色変換を
行う手段を備え、波長に応じた色変換を小さな回路規模
でかつ短時間で実行可能とする色変換装置を提供するも
のである また、請求項4記載の発明は、色変換により再生可能な
刺激値空間の外側に変換された色を判定する判定部と、
それに応じて、色変換後の3刺激値を再生可能な新しい
3刺激値に修正することにより、色変換が強く行われた
場合でも自然な色変換を可能にする色変換装置を提供す
るものである。
【0015】また、請求項5記載の発明は、色変換設定
手段と、光量測定手段と、露光量制御手段と、露光量制
御値算出手段と、光電変換撮像素子と、信号の離散化手
段とを含み、前記光電変換撮像素子の出力を前記信号の
離散化手段によりデジタルデータに変換して、メモリに
記憶するかあるいは外部の機器に転送する電子カメラに
おいて、前記露光量制御値算出手段は、前記色変換設定
手段の設定状態と、前記光量測定手段の測定信号をもと
に適正露光量を設定し、露光量制御手段を用いて露光量
を制御することを特徴とし、もし色変換による画像の劣
化が予測される状況には、露光量を抑制することによ
り、劣化の発生を未然にかつ自動的に防止する電子カメ
ラを提供するものである。
【0016】
【作用】上記請求項1記載の構成によれば、撮影時の光
源の色度点W(xw 、yw )と再生時の光源の色度点
W’(xw ’、yw ’)を設定し、それによりデジタル
データで供給されるカラー画像の画素ごとの3刺激値を
入力すると、これを色変換して、該画素の色度が前記撮
影時の光源の色度に近いほど、再生時の光源の色度に近
くなるように色変換をおこなうことができ、その3刺激
値を出力することができるため、光源の色修正が自然に
かつ自由に行うことができる。
【0017】また、請求項2記載の構成によれば、色度
座標上のスペクトル軌跡と、純紫軌跡を適当な次数2次
以下の近似曲線で近似し、容易にその画素の色に対応す
るスペクトル軌跡上の点を特定することができるため、
色変換を小さな回路規模でかつ短時間で実行可能とな
る。
【0018】また、請求項3記載の構成によれば、色度
座標上のスペクトル軌跡と、純紫軌跡を適当な次数2次
以下の近似曲線で近似し、容易にその画素の色に対応す
るスペクトル軌跡上の点を特定し、かつその点により波
長に対応する値(主波長)を求め、その波長に応じた色
変換を行うことができるため、波長に応じた色変換を小
さな回路規模でかつ短時間で実行可能となる。
【0019】また、請求項4記載の構成によれば、色変
換により再生可能な刺激値空間の外側に変換された色を
判定し、それに応じて、色変換後の3刺激値を再生可能
な新しい3刺激値に修正するため、色変換が強く行われ
た場合でも画像の劣化を目立たなくして自然な色変換が
可能になる。
【0020】また、請求項5記載の構成によれば、露光
量制御値算出手段は、前記色変換設定手段の設定状態
と、前記光量測定手段の測定信号をもとに適正露光量を
設定し、露光量制御手段を用いて露光量を制御するた
め、色変換が強く設定されている場合でも、もし色変換
による画像の劣化が予測される状況には、露光量を抑制
することにより、劣化の発生を未然にかつ自動的に防止
することができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面に基づい
て説明する。
【0022】本発明に係る色変換方法は、原理的には、
いわゆる色度図上で光源の色度値を変更し、その変更量
を各画素に対してその色度が光源の色度に近いかどうか
に応じて作用させるものである。したがって、本発明は
色度図と密接に関連するため、まず、色度図等に関して
説明を行う。
【0023】(a)前提説明 周知のように、各画素の色は、一般的にR、G、Bの3
つの刺激値で表現される。それら3つの刺激値が与えら
れたとき、この中には、色に関する情報と光の強さに関
する情報とが含まれている。そこで、光の強さを刺激値
和L=R+G+Bで表し、色の情報をr=R/L、g=
G/L、b=B/Lで表せることが知られている。この
時(すなわちRGB表色系において)刺激値和Lは明る
さ(明度)を表している。
【0024】カラー画像では多くの場合、色の表現はR
GB表色系を用いるが、色変換を色度図を利用して行う
には、一般によく使用されているXYZ表色系を使うの
が便利である。その理由は、光源の色度の測定値が多く
の場合この表色系で表されているため、これを利用し易
いためである。
【0025】それゆえ、RGB刺激値を一度XYZ刺激
値に変換し、色変換を行い、得られたXYZ刺激値をR
GB刺激値に再び戻すことにより、色変換を行うことが
できる。
【0026】なお、テレビジョンの放送規格の一つであ
るNTSC規格では、YIQ信号が用いられているが、
これも、一組の3刺激値を表しており、これをXYZ表
色系に変換することができるため、全く同じ構成により
YIQ信号も色変換が可能である。
【0027】またその他の信号規格例えばYUV信号に
おいても同様である。
【0028】CIE(国際照明委員会)はCIE(19
31)RGB表色系及びCIE(1931)XYZ表色
系を定めており、それによれば、RGBからXYZへの
変換は次のように行われる。
【0029】X=0.49000 R+0.31000 G+0.20000 B Y=0.17697 R+0.81240 G+0.01063 B Z= 0.01000 G+0.99000 B そして、刺激値和L=X+Y+Zとして、x=X/L、
y=Y/L、z=Z/Lと変換すれば、各画素について
の色度(x、y)が算出される。ここでx+y+z=1
の関係があるため、2つの値で色を特定できる。よって
これを座標軸にとった図が図10に示したxy色度図で
ある。色度図は各表色系により種々の色度図が存在し、
例えばRGB表色系にはrg色度図が存在するが、本発
明の応用に当たっては問題となる違いはない。
【0030】図10に示される色度図において、100
は“スペクトル軌跡”と称され、彩度が最も高い純粋な
色の点の集合である。そして、102は”純紫軌跡”と
称されているものである。また、104は、各色温度に
対応する光源の色度点の集合が軌跡として示されたもの
であり、“黒体輻射軌跡”と“CIE昼光軌跡”と称さ
れるものがあるが、都合のよい方を用いることができる
ため、以下の説明においては“色温度軌跡”104と称
することにする。なお理論上無彩色の点は(x、y)=
(1/3、1/3)の位置になるが、代表的な野外の昼
光の色度は無彩色点ではなく色温度が約6500゜Kの
色度点になる。色温度によって光源の色度を指定する方
法は、写真カメラにおいて広く行われており、便利であ
るため本発明でもこれを利用するのが好適である。
【0031】相関色温度をTcpとしてその色温度を(x
D 、yD )とすると、以下のような関係式が求められて
いる(JIS Z8720)。
【0032】
【数1】 したがって、これを用いて任意の相関色温度で、その光
源の色度座標を求めることができる。また4000゜K
以下の色温度については黒体輻射軌跡を用いればよい。
American Institute of Physics 3rd. edition (McGRAW
HILL)には1000゜Kまでの色温度における黒体の色
度が記載されておりこれをもとに近似式を求めると次の
ようになる。
【0033】(1000゜K≦Tcp<4000゜K) x=0.222782(103/Tcp)3 -0.834781(103/Tcp)2 +1.1146
27(103/Tcp) +0.149920 y=-1.235009x3 -0.992589x2 +1.918509x -0.141562 これにより、1000゜Kから25000゜Kまでの色
温度の光源の色度座標が得られることになる。なお実際
の装置においては、方程式の形で記憶しておいても、あ
るいは色度値をテーブルにして記憶しておいても好適で
ある。
【0034】次に、スペクトル軌跡100について説明
する。
【0035】スペクトル軌跡の色度値は、380nmか
ら780nmの波長範囲で5nmおきに表にされたもの
が公知であり、これから適当な補間曲線を求め、実際の
装置ではこの曲線を表す方程式の係数を記憶しておけば
よい。
【0036】例えば、波長380nmから480nmま
では、放物線y=a1 x2 +b1 x+c1 (例、a1 =
13.488793 、b1 =-5.113387 、c1 =0.486083)で近
似され、波長480nmから505nmまでは、放物線
x=a2 y2 +b2 y+c2 (例a2 =0.313719、b2
=-0.413322 、c2 =0.140004)で近似され、波長50
5nmから560nmまでは、双曲線a3 x2 +b3 x
y+c3 y2+d3 x+e3 y+f3 =0(a3 =0.975
949、b3 =1 、c3 =0.131321、d3 =-0.992135 、
e3 =-0.165972 、f3 =0.053692)で近似され、また
波長560nmから780nmまでを直線x+y=1で
近似すればよい。純紫軌跡は、y=a4 x+b4 (a4
=0.459304、b4 =0.075276)で近似される。
【0037】(b)色変換方法の説明 本発明に係る色変換方法の概念を図1に示す色度図を用
いて以下に詳述する。図1には光源の色温度を4000
゜Kから6000゜Kに変換(シフト)させた場合が示
されている。
【0038】本発明の実施例においては、色度図上で撮
影時の光源の色温度に相当する色度点W(xw 、yw )
が特定される。
【0039】この点Wの特定は、撮影時の光源の色温度
が予め分かっていれば、例えば電子スチルカメラに設け
られた色変換設定手段(例えばダイヤルなど)により色
温度(例えば4000゜K)を入力すればよく、一方、
撮影時の光源の色温度が不明であれば、例えばJISに
定める標準の光を表す色度値をもって、点Wとすればよ
い。また、周知の測色装置により実際に測光により光源
の色温度を求めてもよい。
【0040】一方、当該画素の色度を表す点Fは、まず
RGB刺激値を前記の変換式によりXYZ刺激値に変換
し、刺激値和L=X+Y+Zを求めさらにx=X/L、
y=Y/Lにより点F(x、y)が特定される。
【0041】この後、点Wから点Fを通過させて延長さ
せた直線Uが、前記スペクトル軌跡100と交わる点S
を算出する。この点Sは、点Fの色に関してその“主波
長”を表している。なお、直線Uがスペクトル軌跡10
0と交わらない場合は、前記純紫軌跡102と交わる点
(S’)を求め、その点(S’)をもって純粋な色と
し、また対応する波長は“補色主波長”によって定め
る。
【0042】さて、所望の色調を得るために、つまり色
変換を行うため、光源の点Wを軌跡104に沿って任意
の距離だけ移動させ、再生時の光源の色度点W’(xw
’、yw ’)を設定する。これは、例えば使用者によ
る色温度の指定等により行われる。これは再生装置に設
けられた、再生時の光源の色温度を設定する手段により
特定される。特にW’点を定めない場合は、標準の光を
表す色度値をもってW’とすればよい。このように、光
源の点W’が指定された後、点Sと点W’とを通る直線
U’が定められる。
【0043】色変換後の画素の色度を示す点F’は、三
角形SWW’と三角形SFF’が相似になるように定め
る。これについて次に説明する。
【0044】画素の色がどのくらい純粋な色に近いか
は、“刺激純度”と称される値pで示される。ここで刺
激純度pは、 p= WF / WS (但し、WF,WSは2点間の距離を示す。) である。
【0045】これは、また、 p=(x−xw )/(xs −xw ) あるいはp=(y−yw )/(ys −yw ) により求めることもできる。
【0046】本発明においては、点Sを(xw +u(x
−xw )、yw +u(y−yw ))とおき、これが、ス
ペクトル軌跡を近似する2次以下の曲線の方程式に代入
し、uの2次方程式を導き、これをuについて解くた
め、p=1/uによって、pを定めている。
【0047】なお純紫軌跡102と交わる点(S’)に
関しても紫色純度pが、 p= WF / W(S’) により得られるが、これは以下刺激純度と違いがないの
で、刺激純度pを代表して用いる。
【0048】撮影時の光源の色度点WをW(xw ,yw
)とし、再生時の光源の色度点W’をW’(xw ’、
yw ’)とし、さらに、画素の色度点FをF(x、y)
とし、刺激純度をpとした場合、変換後の色度点F’
(x’、y’)は次のように求められる。
【0049】x’=x+(1−p)(xw ’−xw ) y’=y+(1−p)(yw ’−yw ) 以上の色変換により、例えば光源の色温度が高い場合
は、Wとして赤味がかった白を設定し、W’として通常
の白を選べば、色温度を補正した正常な画像を得ること
ができる。
【0050】(c)色変換方法の変形例 前述のように色変換後の画素の色度を示す点F’は、三
角形SWW’と三角形SFF’が相似になるように定め
るが、これは、色度点S(xs 、ys )として次のよう
にして求めることができる。
【0051】x’=pxs +(1−p)xw ’ y’=pys +(1−p)yw ’ これに、刺激値和Lをかけて、新しい3刺激値を求める
と、 X’=Lpxs +L(1−p)xw ’ Y’=Lpys +L(1−p)yw ’ Z’=L−X’−Y’ となり、これは、刺激値和Lを主波長の刺激値和Ls =
Lpと光源の刺激値和Lw =L(1−p)に分けられる
ことを意味し、この二つの色の混色により新しい色が得
られることを意味している。これを利用して、前記主波
長に応じて、Lsを変化させると、特定の波長に対応す
る色を強調したり、逆に抑制したりして、画像を再生す
ることができる。また主波長に応じて刺激値和Lそのも
のを変化させることにより、特定の波長の色を抜き出し
てあるいは消去して画像を表示することができる。
【0052】(d)逆変換の説明 色度点F’の座標(x’、y’)に基づき、新しい3刺
激値X’Y’Z’あるいはR’G’B’は次のように求
められる。
【0053】X’=x’L Y’=y’L Z’=L−X’−Y’ この方法は、(c)に説明した方法、すなわち、主波長
の刺激値和と光源の刺激値和を独立に求め、その混合比
を調節して新しい色度点F’を求める方法において有効
な方法であるが、(b)に示した方法では、色度点F’
(x’、y’)を求めずに、次の方法で3刺激値を求め
た方が、回路構成上小さくなる。
【0054】X’=X+L(1−p)(xw ’−xw ) Y’=Y+L(1−p)(yw ’−yw ) Z’=L−X’−Y’ XYZ刺激値をRGB刺激値に変換するには次の変換を
行えばよい。
【0055】 R’= 2.36461 X’−0.896540Y’−0.468073Z’ G’=−0.515166 X’+1.426408Y’+0.088758Z’ B’= 0.0052036 X’−0.014408Y’+1.009204Z’ (e)色変換の応用例 第1応用例として、波長によって彩度を変化させるよう
な色変換は、そのゲインを波長の関数としてc(λ)と
すると、 x’=c(λ)pxs + (1−c(λ)p)xw y’=c(λ)pys + (1−c(λ)p)yw によって、新しい色度点(x’、y’)を求める。
【0056】日本のように湿潤な気候の場所で風景写真
を撮ると、おうおうにして空は白みがかってしまうが、
写真としては鮮やかな青空が欲しいことがある。このよ
うな場合、空の部分の彩度を大きくするためにc(λ)
を1より大きくとればよい。第2の応用例として、光学
フィルタのように、波長によって透過率を変化させる色
変換は、そのゲインを波長の関数としてt(λ)とする
と、 L’=t(λ)L によって、新しい刺激値和を設定し、これから新しい3
刺激値を求めれば、波長に応じてその画素の光の強さが
変化するために、光学フィルタの作用が実現できる。ま
た、主波長の刺激値和Ls と光源の刺激値和Lw に対し
て別のフィルタ特性をかけることもできる。例えば、 x’=c(λ)pxs + (1−p)xw y’=c(λ)pys + (1−p)yw により色変換を行えば、被写体への光源からの光のあた
り方をそのままにして、被写体の色の強さ(主波長の刺
激値和)のみを変えることができる。
【0057】また、第3の応用例としては、波長によっ
て物体識別を行うことができる。すなわち、物体はそれ
特有の波長の光を散乱しており、その色は様々な彩度や
明度をもちながら、光を発する。よって、主波長によっ
て、それらの影響を受けずに、特定の物体を弁別して表
示することができる。例えば、容器中に数種類の物質を
混合する場合、写真をとり、波長分析をして画面に表示
することにより、混合の度合いを視覚化することができ
る。これは、固体物体は、様々な方向に面を向けている
ため、その方向によって、明度が変わったり、隣接する
物質の散乱する光を再度散乱して、色度を変化させたり
する。そのため、混合状態により、画像中で彩度が変化
する。よってこれを本発明の色変換装置により、主波長
を分析することにより、特定の物質の分布状況および混
合状態を測定することができる。
【0058】さらに光源の波長特性が既知であれば、物
質の性質を光源に左右されずに性格に測定することがで
きる。すなわち、画像から求めた波長特性を、光源の波
長特性でスケーリングすることにより、物質の散乱(あ
るいは透過)特性を求めることができ、これを視覚化す
ることができる。
【0059】(f)色修正の方法 以上説明したように、画像はまずRGB刺激値からXY
Z刺激値に変換され、その状態で色変換が実行された後
に、XYZ刺激値からRGB刺激値に逆変換されるが、
色変換後のRGB刺激値が再生装置において再生できな
い場合がある。図2に示されるxy色度図において、表
現可能な領域は少なくともR−G−Bの作る三角形20
0の中である。つまり、新しい色度点F’がその範囲外
になると、何らかの修正をする必要が生じるため、その
画素については設定どおりの色変換が行えない。この現
象が図2に示されており、光源の色度点WをW’に移し
たため、点Fが点F’に移動し、このため点F’が表現
可能な範囲200外となっている。
【0060】刺激値和が大きい場合はこの他にも制限条
件がある。これを図に示したのが、図3における制限三
角形202である。これを次に説明する。
【0061】再生装置がRGBそれぞれ8ビットのデー
タを入力するものであるとき、表現できる色は、 0≦R<256 0≦G<256 0≦B<256 である。この範囲に変換後の色が入るかどうかをxy色
度図上で判定することを考える。この理由は、色変換が
刺激値和を一定にしながら色度値を変更するものである
ことから、色の修正にも同様の方法を用いると全体とし
て調和のとれた色変換ができるためである。
【0062】まず、XYZ刺激値をRGB刺激値に変換
する式を上記の不等式に代入する。 R= 2.36461 X−0.896540Y−0.468073Z G=−0.515166 X+1.426408Y+0.088758Z B= 0.0052036 X−0.014408Y+1.009204Z より、L=X+Y+Zとして、 0≦ 2.36461 x−0.896540y−0.468073z<256
/L 0≦−0.515166 x+1.426408y+0.088758z<256
/L 0≦ 0.0052036 x−0.014408y+1.009204z<256
/L となる。さらに、x+y+z=1により、 0≦ 2.832683 x−0.428467y−0.468073<256/
L 0≦−0.603924 x+1.33765 y+0.088758<256/
L 0≦−1.0040004 x−1.0236121 y+ 1.009204 <25
6/L となる。
【0063】ここで、L=X+Y+Z=320の場合に
ついて、上記条件を示したのが図3における斜線領域2
04である。この領域204は、RGBがそれぞれ0以
上になるための条件を表す固定三角形200と、RGB
がそれぞれ256より小さいという条件を表す刺激値和
Lの値に依存する可変三角形202と、に挟まれる領域
である。領域204の範囲のみが再生可能であり、その
範囲外の色は再生装置で再生できない。
【0064】図4には、図3に示した制限三角形202
に対比させて、L=X+Y+Z=512の場合の制限三
角形206が示されている。この場合には、再生可能な
範囲は図の領域208であり、Lが大きいと制限三角形
は小さくなり色変換により変換後の色度点がはみ出しや
すいことが理解される。
【0065】そこで色変換後の色修正の方法は次のよう
な各種の方法が考えられ、その中から適切なものを選ん
で行えばよい。
【0066】第1の方法は、新しい色度点F’を再生可
能な範囲に入るように色度点F”に修正する。
【0067】第2の方法は最も単純な方法であるが、X
YZ刺激値からRGB刺激値を求める際に所定のビット
精度(ここでは8ビット)よりも大きなビット精度で求
めておき、再生可能な範囲を越えた刺激値については、
越えた分を頭打ちして、強制的に所定のビット精度内に
納めるのである。
【0068】第3の方法は第2の方法を改善したもの
で、所定のビット精度よりも多いビット数でRGB刺激
値を求め、これを記憶しておく。同時に刺激値の最大値
を求める。その後記憶しておいた刺激値を再び読みだし
て、前記の最大値でスケーリングすることにより、各画
素間の刺激値和の比を保ったまま、所定のビット精度に
納めることができる。
【0069】また色変換が強く設定されており、このよ
うな色修正が頻発することが予想される場合には、本発
明では、事前に刺激値和の大きな画素をなくするよう
に、刺激値和Lに減衰率tをかける、あるいは、カメラ
においては露光量を抑制する等の措置をとることができ
る。
【0070】(g)色修正の具体例 図5には、上記第1の色修正方法の実施例が図示されて
いる。図5において、画像データは、変換回路10にお
いて、RGB刺激値からXYZ刺激値に変換される。色
変換回路12は上述の光源の色度の変更に基づく色変換
を実行する。判定回路14は、表現可能範囲200内に
変換後の色度点が入っているかどうか判定する。この場
合、その範囲内であれば、その出力データは、逆変換回
路16に出力され、そこでXYZ刺激値からもとのRG
B刺激値に変換され、その後再生装置により再生され
る。
【0071】一方、判定回路14において、範囲外と判
定された場合には、修正回路18において色度点の修正
が行われる。修正の方法は、再生時の光源の色度点W’
を主波長を表す色度点Sを結ぶ直線U’に沿って、再生
可能な範囲内に色度点F’をF”へ修正するものであ
る。そして、このように修正されたデータが逆変換回路
16に出力される。
【0072】図6には上記第2の色修正方法の実施例が
図示されている。この実施例では、逆変換回路18にお
いて所定のRGB刺激値のビット精度(ここでは8ビッ
ト)よりも大きなビット精度で演算が行われる。そし
て、判定回路20では、その刺激値が所定のビット精度
内であるかどうかを判定し、もし、再生不可能な値であ
れば、クリッピング回路22によって、再生可能な値に
強制的に変更する。
【0073】図7には、上記第3の色修正方法の実施例
が図示されている。この実施例においては、逆変換回路
18においてやはり同様に、所定のビット精度よりも多
いビット精度で変換が実行される。これを最大値判定回
路24において比較し最大値を求める。同時に刺激値デ
ータは、時間調整のために一時的にメモリ26に格納さ
れ、全てのデータが得られた後、読み出されて、再量子
化回路28に出力される。再量子化回路28は、求めら
れた最大値(Xmax )が表現可能な範囲をオーバーして
いる場合には、各刺激値を次のようにスケーリングす
る。
【0074】R’=R(255/Xmax ) G’=G(255/Xmax ) B’=B(255/Xmax ) これにより所定のビット精度内に画像データを納め、か
つ、全体として均等な修正を可能にしている。
【0075】(h)電子スチルカメラの説明 図8には、本発明に係る電子カメラの好適な実施例がブ
ロック図で示されている。
【0076】被写体の像は、シャッター機構及び絞り機
構とからなる露出調整機構30を介して撮像素子32上
に結像する。撮像素子32からの信号は、A/D変換器
34でデジタル信号に変換された後、プロセス部35を
介して、ICメモリカードであるメモリ36に書き込ま
れる。
【0077】一方、本実施例の電子スチルカメラには、
再生時の色変換方法を設定するための色変換設定手段4
0が設けられている。具体的には、本実施例では、再生
時に色温度の補正を行うためのダイヤルが設けられる。
設定された色変換方法は、色変換情報302として、前
記メモリ36に画像に関連付けて記録される。
【0078】測光部42は、撮影時の光量及び撮影時の
光源の色温度を測定するものである。測光信号は、露光
量制御部44に入力されている。
【0079】露光量制御部44は、上述した露光量調節
機構30を制御して、撮影時の最適な露光量を制御する
ものである。
【0080】ところで、上述したように色変換において
は色変換後の色が表現可能な範囲をはみ出してしまう場
合がある。そのような色変換は、例えば明度が高い場
合、あるいは彩度が高い場合等でよくおきる。つまり、
明度が高い場合は前記の制限三角形が小さくなるため再
生可能な色が少ない上に、色変換による色度点の移動量
が大きいため、制限外に出やすい。また、彩度が高い場
合は、色度点が制限境界に近いため、色変換により制限
外に出やすい。
【0081】そこで、色変換を強く行う場合は、前もっ
て露光量を少なくして撮影を行うことが望ましい。すな
わち、刺激値和Lの大きなデータをなくしておけば、色
変換によって制限を越える画素を著しく少なくできる。
この制御を行うものが、露光量設定部44である。
【0082】従って、露光量制御部44は予想されるは
み出し量に応じて露光量を抑制制御する。
【0083】(i)再生装置の説明 図9には、本発明による色変換装置を組み込んだ再生装
置のブロック図が示されている。
【0084】メモリ50から画像データが読み出され色
変換部52で上述した色変換が実行される。その間に、
メモリ50から読み出された前記色変換情報302は、
色変換部52に入力され、それによって指定される色変
換が実行される。
【0085】色変換後の画像データは、D/A部と画像
信号作成部とを含む画像再生部54にて、D/A変換及
び画像信号の作成が行われ、その画像信号がディスプレ
イ56に表示される。なお、色変換設定部58を用い
て、色変換情報302にかかわらず、色変換を実行し得
る。
【0086】以上のように、本実施例の色変換装置によ
れば、強い色変換を実行しても所定のビット数で表現で
きる色の範囲内で正しく色変換が実行できるため、疑似
輪郭や特異領域の発生を有効に防止することができる。
このため、データが飽和するかどうかを気にすることな
く様々な色変換を自由に行うことができる。これによ
り、操作者は好みの画像を自由にかつ容易に取得でき
る。
【0087】(j)表色系の違いについて 以上の説明においては、CIE(1931)RGB標準
表色系を用いたが、一般に普及しているテレビジョンの
放送方式であるNTSC規格によれば、表現できる色の
範囲が多少異なっている。これは、RGB表色系の3原
色よりも狭い位置にNTSC規格のRGBの3原色の点
があるためである。すなわち、NTSC規格の信号を扱
うためには次の座標変換式を用いればよい。
【0088】R= 1.9106X−0.5326Y−0.2883Z G=−0.9843X+1.9984Y−0.0283Z B= 0.0584X−0.1185Y+0.8985Z X= 0.6067R+0.1736G+0.2001B Y= 0.2988R+0.5868G+0.1144B Z= 0.0661G+1.1150B このため、色が再現可能であるかどうかを判定する回路
の計算上のパラメータは、次のようになる。刺激値和L
=X+Y+Zとして、 0≦ 1.9106x−0.5326y−0.2883z<256/L 0≦−0.9843x+1.9984y−0.0283z<256/L 0≦ 0.0584x−0.1185y+0.8985z<256/L また、x+y+z=1により、 0≦ 2.1989x−0.2443y−0.2883<256/L 0≦−0.9560x+2.0267y−0.0283<256/L 0≦−0.8401x−1.0170y+0.8985<256/L これらは、係数が異なるだけで、その動作は上述したも
のと変わらないため、NTSC信号に対しても、本発明
を有効に適用することができる。
【0089】(k)本発明の具体的な実施例 以上の説明により、本発明の原理と方法が示されたが、
これを好適な形で実施した具体例を次に説明する。
【0090】第11図は本発明による色変換装置の第1
の実施例である。
【0091】まず、光源の色度W(xw 、yw )、W’
(xw ’、yw ’)が設定されると、その差が計算さ
れ、変更量ΔW(Δx、Δy)がレジスタ58にセット
され、かつ撮影時の光源の色度W(xw 、yw )がレジ
スタ59にセットされる。
【0092】次に画素のXYZ刺激値が入力されるとレ
ジスタ60に保持され、加算回路62にてL=X+Y+
Zが計算され、その後、除算回路64a,64bにより
x=X/L、y=Y/Lが計算され、同時に積和演算回
路66a,66bの入力に供するためレジスタに格納さ
れる。
【0093】x、y、xw 、yw から前述の方法で、光
源の色度Wと画素の色度との近さを表す量1−pが演算
器70で計算される。
【0094】積和演算回路66a,66bは、この1−
pとレジスタ58にセットされているΔx、Δyと積を
それぞれ求め、かつその積と前記x、yとの和を求め
る。これにより、新しい色の色度値F’(x’、y’)
が得られる。
【0095】次に、前記刺激値和Lとx’、y’との積
を乗算器72a,72bでそれぞれ求め、これをX’、
Y’として出力に供し、かつ、Z’=L−X−Yを加算
回路74にて計算することにより、最終出力X’、
Y’、Z’が確定する。
【0096】このとき、刺激値和の調整部76におい
て、Lの替わりに、設定された減衰率tをかけて、L’
=tLを出力すれば、画像全体の刺激値和を均一に下げ
ることができる。これにより、再生範囲外へ新しい3刺
激値が色変換されるのを抑制することができる。
【0097】図12は本発明による色変換装置の第2の
実施例である。
【0098】まず、光源の色度W(xw 、yw )、W’
(xw ’、yw ’)が設定されると、その差が計算さ
れ、変更量ΔW(Δx、Δy)がレジスタ58にセット
され、かつ撮影時の光源の色度W(xw 、yw )がレジ
スタ59にセットされる。
【0099】次に画素のXYZ刺激値が入力されると一
旦レジスタ60に保持され、加算回路62にてL=X+
Y+Zが計算され、その後、除算回路64a,64bに
よりx=X/L、y=Y/Lが計算され、それが積和演
算回路78a,78bの入力に供される。
【0100】x、y、xw 、yw から前述の方法で、光
源の色度Wと画素の色度との近さを表す量1−pが計算
される。
【0101】次に乗算回路80により1−pと刺激値和
Lとの積が計算され、これが次に二つの積和演算回路7
8a,78bに入力される。
【0102】積和演算回路78a,78bはこの積と、
レジスタに格納されているΔx、Δyと積をそれぞれ求
め、かつその積と入力X、Yとの和を求める。これによ
り、新しい色の刺激値X’、Y’が得られる。
【0103】次に前記刺激値和Lにより、Z’=L−X
−Yを加算回路74にて計算することにより、最終出力
X’、Y’、Z’が確定する。
【0104】この例では、刺激値和Lの変更はできない
が、第1実施例に比べて乗算器が1個少なくて済むとい
うメリットがある。
【0105】図13は本発明による色変換装置の第3の
実施例である。
【0106】まず、光源の色度W(xw 、yw )、W’
(xw ’、yw ’)が設定されると、再生時の光源の色
度W’(xw ’、yw ’)が積和演算回路用のレジスタ
82にセットされ、かつ撮影時の光源の色度W(xw 、
yw )もレジスタ82にセットされる。
【0107】次に画素のXYZ刺激値が入力されると一
旦レジスタ60に保持され、加算回路62にてL=X+
Y+Zが計算され、その後、除算回路64a,64bに
よりx=X/L、y=Y/Lが計算され、それが積和演
算回路84a,84bの入力に供される。
【0108】x、y、xw 、yw から前述の方法で、光
源の色度Wと画素の色度との近さを表す量1−pが演算
器85で計算されると同時に、主波長における色度とp
との積pxs 、pys が計算される。
【0109】積和演算回路84a,84bは、この1−
pとレジスタ82にセットされているxw ’、yw ’と
の積をそれぞれ求め、かつその積と前記pxs 、pys
との和を求める。これにより、新しい色の色度値F’
(x’、y’)が得られる。
【0110】次に前記刺激値和Lとx’、y’との積を
それぞれ求めこれをX’、Y’として出力に供し、か
つ、Z’=L−X−Yを加算回路74にて計算すること
により、最終出力X’、Y’、Z’が確定する。
【0111】このとき、刺激値和の調整部76におい
て、Lの替わりに、設定された減衰率tをかけて、L’
=tLを出力すれば、画像全体の刺激値和を均一に下げ
ることができる。これにより、再生範囲外へ新しい3刺
激値が色変換されるのを抑制することができる。
【0112】また、tを前記演算部で求めた主波長に応
じた関数とすれば、主波長に応じて、画素の色の強度を
変えることができる。
【0113】また、前記演算部でpxs 、pys の替わ
りにこれに波長に応じた係数をかけた値を出力すれば、
波長に応じて、“主波長の刺激値和Ls ”を変化させる
色変換が可能である。
【0114】図14は撮影時の光源の色度点W(xw 、
yw )と画素の色度点F(x、y)から、これらの近さ
に関する量1−pを計算する回路である。
【0115】まず、減算器86a,86bにより、差分
値vx =x−xw 、vy =y−ywが計算され、複数の
2次以下の曲線との交点を求める回路301〜305に
供給される。
【0116】これらは、放物線との交点を求める回路
1、2と双曲線との交点を求める回路と直線との交点を
求める回路1、2とにより構成されている。
【0117】スペクトル軌跡との交点は2個の放物線と
双曲線と直線により近似され、純紫軌跡は1つの直線で
近似されるため、これらの方程式の係数を各回路に設定
しておけばよいのである。
【0118】これらの回路は前述したように交点をS
(xs 、ys )=(xw +u(x−xw )、yw +u
(y−yw ))により求め、u、xs 、ys の各信号
と、計算中にエラーが発生したかどうかのエラー信号を
出力し、次のセレクタ回路88に供給する。セレクタ回
路88は、これらの内、有効な解を判定して選んだ一つ
の解を、出力する。
【0119】このuから逆数を計算する回路89によ
り、p=1/uが計算され、減算回路90にて1−pが
計算され、最終的に出力される。
【0120】また、セレクタ回路が選んだ色度値(xs
、ys )は必要ならば、乗算器91a,91bにより
pとの積を計算して、出力することができる。
【0121】またセレクタ回路88が選んだ色度値(x
s 、ys )から、主波長を求める回路により、該画素の
主波長を特定することができる。これは具体的には、主
波長と色度値を対応づけるテーブルを記憶しておき、逐
次比較して主波長を確定すればよい。
【0122】図15は放物線との交点を求める回路1
(301,302)を示したものである。放物線として
はy=ax2 +bx+cの形のものであり、係数a、
b、cは前述のものを用いる。
【0123】撮影時の光源の色度値xw 、yw と差分値
vx 、vy が入力されると、2次方程式Au2 +Bu+
C=0の各係数が各回路92〜94で計算され、次段の
2次方程式を解く回路95に入力される。ここで、 A=avx 2 B=2avx xw +bvx −vy C=axw 2 +bxw +c−yw である。2次方程式を解く回路95は2つの解のうち、
一方を計算しこれを出力する。また実数の解がない場合
にはエラー信号を出力する。
【0124】次に解uと入力値により、積和演算回路9
6a,96bでS(xs 、ys )=(xw +uvx 、y
w +uvy )が計算されこれが出力される。
【0125】図16は2次方程式を解く回路95であ
る。これは、2次方程式Au2 +Bu+C=0から解u
=(−B+√(B2 −4AC))/(2A)を計算す
る。開平回路はもし入力が負ならば実数の解が無いとし
てエラー信号を発生する。
【0126】図17は双曲線との交点を求める回路30
3である。双曲線の方程式はax2+bxy+cy2 +
dx+ey+f=0であり、係数a、b、c、d、e、
fは前述のものを用いる。これらの回路97〜99も同
様に2次方程式Au2 +Bu+C=0の各係数を計算
し、次段の2次方程式を解く回路95に供給する。係数
は次式により計算される。
【0127】A=avx 2 +bvx vy +cvy 2 B=2avx xw +b(vx yw +vy xw )+2cv
y yw +dvx+evy C=axw 2 +bxw yw +cyw 2+dxw +eyw
+f 2次方程式を解く回路の出力がuであり、また交点Sを
(xs 、ys )=(xw +uvx 、yw +uvy )によ
り積和演算回路96a,96bで求め、これを出力す
る。
【0128】ちなみに図14に示した放物線との交点を
求める回路2(302)は放物線との交点を求める回路
1(301)とほぼ同様の構成であり、ただxとyとの
役割が反対になっているだけであるので、説明は省略す
るが、2次方程式の係数を掲げておく。
【0129】A=avy 2 B=2avy yw +bvy −vx C=ayw 2 +byw +c−xw 図18は直線との交点を求める回路305である。直線
をy=ax+bとし、回路110a,110b,112
において、u=(avx −vy )/(yw −axw −
b)によりuを求める。また分母が0のときは除算エラ
ー信号を発生する。
【0130】また交点Sを(xs 、ys )=(xw +u
vx 、yw +uvy )により積和演算回路114a,1
14bで求め、これを出力する。
【0131】以上詳細に渡って、本発明の好適な実施例
を述べた。このように、本発明によれば、自然な色変換
を回路により高速に実現でき、回路規模も小さくて済む
ため、高速かつ低消費電力な装置が実現できる。
【0132】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る色変
換装置によれば、自然な色修正を行うことができ、好み
の画像を自由にかつ容易に作成することができるという
効果がある。また、本発明の色変換装置は、小さな回路
で実現でき、このため消費電力を小さくすることがで
き、また変換に要する時間も短いという効果がある。ま
た、本発明に係る電子カメラによれば、強い色変換を実
行しても、疑似輪郭等の発生を効果的に防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る色変換方法の原理を説明する原理
説明図である。
【図2】変換後の点F’が表現可能範囲を越えた場合を
示す説明図である。
【図3】表現が可能な範囲204を示す説明図である。
【図4】刺激値和が大きい場合(202)と小さい場合
(206)とにおける表現可能な範囲を示す説明図であ
る。
【図5】色修正方法の第1実施例を示すブロック図であ
る。
【図6】色修正方法の第2実施例を示すブロック図であ
る。
【図7】色修正方法の第3実施例を示すブロック図であ
る。
【図8】本発明に係る電子カメラの構成を示すブロック
図である。
【図9】再生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】色度図を説明する図である。
【図11】本発明の第1実施例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施例を示す図である。
【図13】本発明の第3実施例を示す図である。
【図14】光源の色度点Wと画素の色度点Fとの近さを
表す値1−pを計算する回路である。
【図15】放物線との交点を求める回路1である。
【図16】2次方程式の解を求める回路である。
【図17】双曲線との交点を求める回路である。
【図18】直線との交点を求める回路である。
【符号の説明】
100 スペクトル軌跡 102 純紫軌跡 104 色温度軌跡

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撮影時の光源の色度点W(xw 、yw )
    と再生時の光源の色度点W’(xw ’、yw ’)を設定
    する設定手段と、 該設定された色度点WとW’とデジタルデータで供給さ
    れるカラー画像の画素ごとの3刺激値とを入力とし、こ
    れを色変換して3刺激値を出力する演算部と、 を含む色変換装置であって、 前記演算部は、 入力された画素の3刺激値から刺激値和Lと色度点F
    (x、y)とを計算する手段と、 該色度点Fと撮影時の光源の色度点Wとから、その画素
    の色度と光源の色度との遠近を表す値を計算する手段
    と、 該画素の色度点Fと前記撮影時の光源の色度点Wとの近
    さに応じて、該画素の色度が前記再生時の光源の色度点
    W’に近くなるように、新しい3刺激値を算出する手段
    と、 を含むことを特徴とする色変換装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の色変換装置において、 前記演算部は、 各画素の3刺激値から、その色の刺激値和Lと色度点F
    (x、y)を算出する手段と、 始点Wと終点Fとを入力とし、あらかじめ設定された複
    数の次数が2次又は1次の曲線と、直線WFとの交点を
    算出する手段と、 得られた複数の解のうち有効な一つの解を選定しこれを
    色度点S(xs 、ys)として選択する判定手段と、 該色度点Sと前記撮影時の光源の色度点Wと画素の色度
    点Fとから、1−p=1−(WF/WS)により、その
    画素の色度と光源の色度との近さを表す値を計算する手
    段と、 該画素の色度点Fと、該刺激値和Lと、該色度と光源の
    色度との近さ1−pと、前記設定手段により設定された
    撮影時と再生時の光源の色度WとW’、をもとに、新し
    い色の3刺激値を算出する手段と、 を含むことを特徴とする色変換装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の色変換装置において、 前記演算部は、 入力された3刺激値から刺激値和Lと色度点F(x、
    y)を算出する手段と、 始点Wと終点Fとを入力とし、あらかじめ設定された複
    数の次数が2次又は1次の曲線と、直線WFとの交点を
    算出する手段と、 得られた複数の解のうち有効な一つの解を選定しこれを
    色度点S(xs 、ys)として選択する判定手段と、 前記色度点Sから、その色が表す波長に対応する値λを
    求める手段と、 前記波長に対応する値λと、前記色度点W、色度点
    W’、色度点F、色度点Sから、新しい画素の色度点
    F’(x’、y’)を算出する手段と、 色度点F’と刺激値和Lから新しい3刺激値を算出する
    手段と、 を含むことを特徴とする色変換装置。
  4. 【請求項4】 前記色度点Fと刺激値和Lから新しい3
    刺激値を算出する手段は、 色度値と刺激値和から新しい3刺激値を算出する算出部
    と、 新しい3刺激値が表現可能範囲にあるか否かを判定する
    判定部と、 該判定部が表現可能範囲外と判定した場合に、表現可能
    な範囲内に入るように、新しい3刺激値を修正する修正
    部と、 を含むことを特徴とする請求項1記載の色変換装置。
  5. 【請求項5】 色変換設定手段と、光量測定手段と、露
    光量制御手段と、露光量制御値算出手段と、光電変換撮
    像素子と、信号の離散化手段と、を含み、 前記光電変換撮像素子の出力を前記信号の離散化手段に
    よりデジタルデータに変換して、メモリに記憶するかあ
    るいは外部の機器に転送する電子カメラであって、 前記露光量制御値算出手段は、前記色変換設定手段の設
    定状態と、前記光量測定手段の測定信号をもとに適正露
    光量を設定し、露光量制御手段を用いて露光量を制御す
    ることを特徴とする電子カメラ。
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