JPH06293982A - 沸騰水型原子炉とその構造材の腐食防止方法 - Google Patents
沸騰水型原子炉とその構造材の腐食防止方法Info
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- JPH06293982A JPH06293982A JP5079781A JP7978193A JPH06293982A JP H06293982 A JPH06293982 A JP H06293982A JP 5079781 A JP5079781 A JP 5079781A JP 7978193 A JP7978193 A JP 7978193A JP H06293982 A JPH06293982 A JP H06293982A
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
Landscapes
- Prevention Of Electric Corrosion (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 沸騰水型原子炉において、放射性窒素である
16Nのタ−ビン系への移行を抑制しつつ、腐食環境緩和
の困難な炉心構造材の腐食を防止する。 【構成】 沸騰水型原子炉炉心部1の炉水中に電極10
を設け、電極10と炉心構造材との電位差を必要に応じ
て制御し、炉心構造材の電位を標準水素電極電位基準で
−230mV以下に低減する。放射性窒素16Nのタ−ビ
ン系への移行を抑制しつつ、水素注入による腐食環境緩
和が困難な炉心構造材の腐食が緩和できる。これにより
主蒸気系配管およびタ−ビン系の放射能量、ひいてはサ
イト敷地境界の線量率を抑制しつつ、炉心構造材の腐食
を低減することが可能となる。
16Nのタ−ビン系への移行を抑制しつつ、腐食環境緩和
の困難な炉心構造材の腐食を防止する。 【構成】 沸騰水型原子炉炉心部1の炉水中に電極10
を設け、電極10と炉心構造材との電位差を必要に応じ
て制御し、炉心構造材の電位を標準水素電極電位基準で
−230mV以下に低減する。放射性窒素16Nのタ−ビ
ン系への移行を抑制しつつ、水素注入による腐食環境緩
和が困難な炉心構造材の腐食が緩和できる。これにより
主蒸気系配管およびタ−ビン系の放射能量、ひいてはサ
イト敷地境界の線量率を抑制しつつ、炉心構造材の腐食
を低減することが可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子炉とその炉
内構造物の腐食防止方法に係り、特に、炉内構造材の腐
食を緩和するのに好適な腐食防止方法に関する。
内構造物の腐食防止方法に係り、特に、炉内構造材の腐
食を緩和するのに好適な腐食防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉構造材料の粒界応力腐食割れ(I
GSCC)は、材料の成分組成,応力,水質の3因子が
ともに好ましくない状態にある時に起こるとされてい
る。従来から原子炉構造材、特にSUS304鋼に対し
ては、炭素含有量を低くすることや、残留応力緩和の熱
処理などを施し、IGSCCの観点からは十分安全側で
運転されてきた。このように、これまでの方策は、IG
SCCの3因子のうちで材料,応力の2因子に対するも
のであったが、近年、沸騰水型原子炉(BWR)におい
て、第3の因子のうちの一つである炉水中溶存酸素を低
減するため、特開昭57−3086号公報に見られるよ
うに、水素注入が試みられてきた。
GSCC)は、材料の成分組成,応力,水質の3因子が
ともに好ましくない状態にある時に起こるとされてい
る。従来から原子炉構造材、特にSUS304鋼に対し
ては、炭素含有量を低くすることや、残留応力緩和の熱
処理などを施し、IGSCCの観点からは十分安全側で
運転されてきた。このように、これまでの方策は、IG
SCCの3因子のうちで材料,応力の2因子に対するも
のであったが、近年、沸騰水型原子炉(BWR)におい
て、第3の因子のうちの一つである炉水中溶存酸素を低
減するため、特開昭57−3086号公報に見られるよ
うに、水素注入が試みられてきた。
【0003】水素注入は、BWR一次冷却系の復水器以
降の給水系に水素注入装置を配置し、注入した水素を炉
心における水の放射線分解の結果生じる酸素と再結合さ
せ、一次冷却系各部の溶存酸素を低減させることをねら
いとしている。溶存酸素の低減効果については、IGS
CCに対する感受性を故意に増大させたSUS304鋼
であっても、溶存酸素を20ppb程度に低減し、材料
の腐食電位を標準水素電極電位基準で−230mV以下
に低減すれば、IGSCCは起きないことが知られてい
る。
降の給水系に水素注入装置を配置し、注入した水素を炉
心における水の放射線分解の結果生じる酸素と再結合さ
せ、一次冷却系各部の溶存酸素を低減させることをねら
いとしている。溶存酸素の低減効果については、IGS
CCに対する感受性を故意に増大させたSUS304鋼
であっても、溶存酸素を20ppb程度に低減し、材料
の腐食電位を標準水素電極電位基準で−230mV以下
に低減すれば、IGSCCは起きないことが知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら水素注入
技術には、沸騰炉心部での腐食低減効率が必ずしも良く
ないという欠点がある。これは、ジャ−ナル オヴ ニ
ュ−クリア− サイエンス アンド テクノロジ−、2
3巻、11〜28頁、1986年(Jounal of Nuclear
Science and Technology, vol.23, pp11〜28, 1986)に
示されている様に、基本的に水素の液相への溶解度が低
く、沸騰炉心部では注入した水素が気相へ移行するため
に、炉水の放射線分解作用を介した酸素との再結合反応
の効率が悪いことによる。また、沸騰炉心部での腐食環
境を緩和するべく、注入する水素量を増大させると、通
常はイオンの形で炉水中に溶けている放射性窒素−16
(16N)が還元されて気体になり、蒸気に同伴して主
蒸気系へ移行し、タ−ビン建屋から外部大気中に漏れ、
これに起因して、サイト敷地境界の線量率が上昇してし
まうという問題がある。
技術には、沸騰炉心部での腐食低減効率が必ずしも良く
ないという欠点がある。これは、ジャ−ナル オヴ ニ
ュ−クリア− サイエンス アンド テクノロジ−、2
3巻、11〜28頁、1986年(Jounal of Nuclear
Science and Technology, vol.23, pp11〜28, 1986)に
示されている様に、基本的に水素の液相への溶解度が低
く、沸騰炉心部では注入した水素が気相へ移行するため
に、炉水の放射線分解作用を介した酸素との再結合反応
の効率が悪いことによる。また、沸騰炉心部での腐食環
境を緩和するべく、注入する水素量を増大させると、通
常はイオンの形で炉水中に溶けている放射性窒素−16
(16N)が還元されて気体になり、蒸気に同伴して主
蒸気系へ移行し、タ−ビン建屋から外部大気中に漏れ、
これに起因して、サイト敷地境界の線量率が上昇してし
まうという問題がある。
【0005】例えば、プロシ−ディングス オヴ ウォ
−タ− ケミストリ− フォ− ニュ−クリア− リア
クタ− システムズ、第4巻、29〜36頁、1986
年(Proceedings of Water ch
emistry for nuclesr react
or systems 4, pp29−36, Br
itish Nuclear Energy Soci
ety, London, 1986)に示されている
様に、実機においては水素注入量の増加に伴って最大5
倍程度のタ−ビン系線量率の上昇が報告されている。
−タ− ケミストリ− フォ− ニュ−クリア− リア
クタ− システムズ、第4巻、29〜36頁、1986
年(Proceedings of Water ch
emistry for nuclesr react
or systems 4, pp29−36, Br
itish Nuclear Energy Soci
ety, London, 1986)に示されている
様に、実機においては水素注入量の増加に伴って最大5
倍程度のタ−ビン系線量率の上昇が報告されている。
【0006】従って、16Nを抑制しつつ沸騰炉心部の腐
食環境を緩和する技術は、沸騰水型原子炉の腐食環境緩
和ひいてはプラントの健全性確保および長寿命化の面か
らも重要な課題である。この問題を解決する一つの方法
として、特開昭57−44890号公報記載の原子力機
器の腐食防止方法がある。この腐食防止方法は、大地に
埋設した水道管の腐食を防止する従来から公知のカソー
ド腐食防止法を原子力機器に適用したものである。カソ
ード防食法は、IGSCCに対する有効策となる可能性
があるが、上記の特開昭57−44890号公報記載の
従来技術は、極めて高い安全性が要求される原子力の炉
内構造物に対しどのようにカソード防食法を適用するか
のきめ細かな考慮に欠け、実機への適用には未だ十分で
ないという問題がある。
食環境を緩和する技術は、沸騰水型原子炉の腐食環境緩
和ひいてはプラントの健全性確保および長寿命化の面か
らも重要な課題である。この問題を解決する一つの方法
として、特開昭57−44890号公報記載の原子力機
器の腐食防止方法がある。この腐食防止方法は、大地に
埋設した水道管の腐食を防止する従来から公知のカソー
ド腐食防止法を原子力機器に適用したものである。カソ
ード防食法は、IGSCCに対する有効策となる可能性
があるが、上記の特開昭57−44890号公報記載の
従来技術は、極めて高い安全性が要求される原子力の炉
内構造物に対しどのようにカソード防食法を適用するか
のきめ細かな考慮に欠け、実機への適用には未だ十分で
ないという問題がある。
【0007】本発明の目的は、16Nのタ−ビン系への移
行を抑制しつつ、水素注入による腐食環境緩和が困難な
炉心構造材の腐食環境を緩和する腐食防止方法とその機
能を備えた沸騰水型原子炉及び原子炉システムを提供す
ることにある。
行を抑制しつつ、水素注入による腐食環境緩和が困難な
炉心構造材の腐食環境を緩和する腐食防止方法とその機
能を備えた沸騰水型原子炉及び原子炉システムを提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、沸騰水型原
子炉炉心部の炉水中に電極を設け、その電極と炉心構造
材との電位差を必要に応じて制御し、炉心構造材の電位
を標準水素電極電位基準で−230mV以下に低減する
ことにより、達成される。
子炉炉心部の炉水中に電極を設け、その電極と炉心構造
材との電位差を必要に応じて制御し、炉心構造材の電位
を標準水素電極電位基準で−230mV以下に低減する
ことにより、達成される。
【0009】
【作用】本発明により、放射性窒素16Nのタ−ビン系へ
の移行を抑制しつつ、水素注入による腐食環境緩和が困
難な沸騰水型原子炉炉心構造材の腐食環境を緩和でき
る。
の移行を抑制しつつ、水素注入による腐食環境緩和が困
難な沸騰水型原子炉炉心構造材の腐食環境を緩和でき
る。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。先ず、本発明の原理を説明する。原子炉構造材
料腐食の進行は、基本的に構造材からの鉄イオンの溶解
反応:
明する。先ず、本発明の原理を説明する。原子炉構造材
料腐食の進行は、基本的に構造材からの鉄イオンの溶解
反応:
【0011】
【化1】
【0012】をアノ−ド反応として進行する。
【0013】これと同時進行するカソ−ド反応として
は、炉水の放射線分解に依って生成する酸化種、即ち、
酸素、過酸化水素およびHO2ラジカルの還元反応:
は、炉水の放射線分解に依って生成する酸化種、即ち、
酸素、過酸化水素およびHO2ラジカルの還元反応:
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】が主である。
【0018】材料の防食方法として材料の合金化により
金属格子内結合エネルギを増大させ、アノ−ド反応:
(化1)の進行を抑制する方法や、材料表面を不動態化
するアノ−ド防食、材料を電子供給源と接続し、材料の
電位を材料金属の可逆電位以下に低下せしめるカソ−ド
防食が知られている。原子炉材料の合金化は、不動態皮
膜の安定性向上を含め、研究開発が進み、原子炉材料の
耐食性は格段に向上した。しかしながら、近年問題視さ
れている材料応力腐食割れ(SCC)は、溶接の残留応
力等に依り材料に応力がかかり、材料腐食を抑制してい
た表面の不動態皮膜に亀裂が生じることにより、材料母
材自体がカソ−ド反応を起こしうる酸化種を含む炉水と
接触し、腐食が進行するものである。
金属格子内結合エネルギを増大させ、アノ−ド反応:
(化1)の進行を抑制する方法や、材料表面を不動態化
するアノ−ド防食、材料を電子供給源と接続し、材料の
電位を材料金属の可逆電位以下に低下せしめるカソ−ド
防食が知られている。原子炉材料の合金化は、不動態皮
膜の安定性向上を含め、研究開発が進み、原子炉材料の
耐食性は格段に向上した。しかしながら、近年問題視さ
れている材料応力腐食割れ(SCC)は、溶接の残留応
力等に依り材料に応力がかかり、材料腐食を抑制してい
た表面の不動態皮膜に亀裂が生じることにより、材料母
材自体がカソ−ド反応を起こしうる酸化種を含む炉水と
接触し、腐食が進行するものである。
【0019】本発明は、SCCをカソ−ド防食により抑
制するものであるが、以下にその作用を説明する。図2
および図3は、本発明の原理構成を模式的に示した図で
ある。カソ−ド防食法としては、大別して、防食対象の
金属材料をこの金属材料より卑な可逆電位をもつ金属と
電気的に接続し、ガルバニ作用を利用して防食を行うガ
ルバニ方式と、任意の金属を対極として金属材料との電
位差を外部から与え、強制的に分極を行う強制通電方式
の2種類の方法がある。図2は、ガルバニ方式による本
発明の原理構成図であり、図3は強制通電方式による本
発明の原理構成図である。
制するものであるが、以下にその作用を説明する。図2
および図3は、本発明の原理構成を模式的に示した図で
ある。カソ−ド防食法としては、大別して、防食対象の
金属材料をこの金属材料より卑な可逆電位をもつ金属と
電気的に接続し、ガルバニ作用を利用して防食を行うガ
ルバニ方式と、任意の金属を対極として金属材料との電
位差を外部から与え、強制的に分極を行う強制通電方式
の2種類の方法がある。図2は、ガルバニ方式による本
発明の原理構成図であり、図3は強制通電方式による本
発明の原理構成図である。
【0020】以下、図2に示したガルバニ方式による原
子炉構造材の防食方法の原理を説明する。原子炉構造材
は、炉水中に浸漬された原子炉構造材より卑な可逆電位
をもつ金属(以下、卑金属と呼ぶ)と電気的に接続され
ている。卑金属表面では卑金属の溶解反応が起こり、一
方、原子炉構造材表面では前記化2〜化4に示した炉水
中の酸化種の還元反応が起こる。この方式による電位−
電流図を図4に示す。原子炉構造材料の電位EMは、炉
水中のオ−ム損失(IR低下)分だけ卑金属の溶解反応
電位より高くなるが、EMが鉄の可逆電位EFeを下回る
かぎり、化1に示す鉄のアノ−ド溶解反応は起こらな
い。従って、仮りに応力により原子炉構造材表面の不動
態皮膜に亀裂が生じてもSCCの進展は生じない。
子炉構造材の防食方法の原理を説明する。原子炉構造材
は、炉水中に浸漬された原子炉構造材より卑な可逆電位
をもつ金属(以下、卑金属と呼ぶ)と電気的に接続され
ている。卑金属表面では卑金属の溶解反応が起こり、一
方、原子炉構造材表面では前記化2〜化4に示した炉水
中の酸化種の還元反応が起こる。この方式による電位−
電流図を図4に示す。原子炉構造材料の電位EMは、炉
水中のオ−ム損失(IR低下)分だけ卑金属の溶解反応
電位より高くなるが、EMが鉄の可逆電位EFeを下回る
かぎり、化1に示す鉄のアノ−ド溶解反応は起こらな
い。従って、仮りに応力により原子炉構造材表面の不動
態皮膜に亀裂が生じてもSCCの進展は生じない。
【0021】炉水中のオ−ム損失(IR低下)は、卑金
属と原子炉構造材との空間位置関係を変化させることに
より調整可能である。また、卑金属と原子炉構造材との
間に外部から強制的に電位差を与える強制通電方式との
併用により、原子炉構造材料の電位EMを強制的に低下
させる方法も有効である。その際、外部から与える電位
を変化させることにより、電流量、即ち卑金属の溶解量
を調節することができる。
属と原子炉構造材との空間位置関係を変化させることに
より調整可能である。また、卑金属と原子炉構造材との
間に外部から強制的に電位差を与える強制通電方式との
併用により、原子炉構造材料の電位EMを強制的に低下
させる方法も有効である。その際、外部から与える電位
を変化させることにより、電流量、即ち卑金属の溶解量
を調節することができる。
【0022】原子炉構造材より卑な可逆電位をもつ金属
としては、化1の可逆電位EFe(−0.44V,対標準
水素電極電位)以下の可逆電位を持つ金属が相当し、F
e,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,Ta,V,Mn,
Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,Be,Th,P
u,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,Y,Mg,Pm,
Ac,Na,Ca,Sr,Ra,Ba,Cs,Rb,
K,Li等が相当する。
としては、化1の可逆電位EFe(−0.44V,対標準
水素電極電位)以下の可逆電位を持つ金属が相当し、F
e,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,Ta,V,Mn,
Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,Be,Th,P
u,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,Y,Mg,Pm,
Ac,Na,Ca,Sr,Ra,Ba,Cs,Rb,
K,Li等が相当する。
【0023】一方、ガルバニ方式と強制通電方式との併
用を行う場合、原子炉構造材と電気的に接続する電極は
原子炉構造材より卑な可逆電位をもつ金属である必要は
無く、Cuのように化1の可逆電位EFe(−0.44
V,対標準水素電極電位)以上の可逆電位を持つ金属も
相当する。この場合、原子炉構造材と金属電極との間に
外部から与える電位差を調整し、原子炉構造材料の電位
EMが鉄の可逆電位EFeを下回る様に設定可能である。
用を行う場合、原子炉構造材と電気的に接続する電極は
原子炉構造材より卑な可逆電位をもつ金属である必要は
無く、Cuのように化1の可逆電位EFe(−0.44
V,対標準水素電極電位)以上の可逆電位を持つ金属も
相当する。この場合、原子炉構造材と金属電極との間に
外部から与える電位差を調整し、原子炉構造材料の電位
EMが鉄の可逆電位EFeを下回る様に設定可能である。
【0024】以上において述べてきた、原子炉構造材料
の電位EMが鉄の可逆電位EFeを下回るという基準は、
化1の鉄の溶解反応が起こりえない絶対十分条件であ
り、実用的な面からは、鉄の可逆電位EFe(−440m
V,対標準水素電極電位)の替わりに、IGSCCは起
きないことが知られている−230mV(対標準水素電
極電位)以下に原子炉構造材の電位を設定すれば十分で
ある。従って、ガルバニ方式、および、ガルバニ方式と
強制通電方式との併用方式を用いた場合の双方におい
て、−230mV(対標準水素電極電位)以下に原子炉
構造材の電位を設定すれば良い。
の電位EMが鉄の可逆電位EFeを下回るという基準は、
化1の鉄の溶解反応が起こりえない絶対十分条件であ
り、実用的な面からは、鉄の可逆電位EFe(−440m
V,対標準水素電極電位)の替わりに、IGSCCは起
きないことが知られている−230mV(対標準水素電
極電位)以下に原子炉構造材の電位を設定すれば十分で
ある。従って、ガルバニ方式、および、ガルバニ方式と
強制通電方式との併用方式を用いた場合の双方におい
て、−230mV(対標準水素電極電位)以下に原子炉
構造材の電位を設定すれば良い。
【0025】これらの方式において、原子炉構造材料の
電位EMが実際に目標となる−230mV(対標準水素
電極電位)以下となっているか否かを確認する方法は、
原子炉構造材の電位を直接的に基準電極を用いる方法
と、原子炉外の実験デ−タを参照にする方法がある。例
えば、ガルバニ方式と強制通電方式との併用方式を用い
る場合、原子炉構造材の電位を直接的に基準電極を用い
る方法では、モニタしている原子炉構造材の電位を−2
30mV(対標準水素電極電位)となるよう、原子炉構
造材と浸漬した金属電極との間の印加電圧を制御すれば
良い。一方、原子炉外の実験デ−タを参照にする方法で
は、構成システムにおいて、印加電圧と原子炉構造材の
電位、及び、その際の電流値との相関を予め調べ、炉内
に装着した際にモニタする電流値から原子炉構造材の電
位を評価し、原子炉構造材の電位を−230mV(対標
準水素電極電位)となるよう、原子炉構造材と浸漬した
金属電極との間の印加電圧を制御する。
電位EMが実際に目標となる−230mV(対標準水素
電極電位)以下となっているか否かを確認する方法は、
原子炉構造材の電位を直接的に基準電極を用いる方法
と、原子炉外の実験デ−タを参照にする方法がある。例
えば、ガルバニ方式と強制通電方式との併用方式を用い
る場合、原子炉構造材の電位を直接的に基準電極を用い
る方法では、モニタしている原子炉構造材の電位を−2
30mV(対標準水素電極電位)となるよう、原子炉構
造材と浸漬した金属電極との間の印加電圧を制御すれば
良い。一方、原子炉外の実験デ−タを参照にする方法で
は、構成システムにおいて、印加電圧と原子炉構造材の
電位、及び、その際の電流値との相関を予め調べ、炉内
に装着した際にモニタする電流値から原子炉構造材の電
位を評価し、原子炉構造材の電位を−230mV(対標
準水素電極電位)となるよう、原子炉構造材と浸漬した
金属電極との間の印加電圧を制御する。
【0026】ガルバニ方式、および、ガルバニ方式と強
制通電方式との併用方式を用いた場合、炉水に浸漬した
金属電極から金属イオン(金属アニオンを含む)が溶出
する。しかしながら、電極に用いる金属が、炉水中で異
なる原子価イオンまたは酸化物として存在しうるFe,
Mo,Cr,Cu,V等の遷移金属である場合、炉水の
放射線分解によって生成する過酸化水素を連鎖反応的に
分解し、カソ−ド反応:化4を抑制する。過酸化水素の
分解の結果、溶存酸素が生成する場合があるが、溶存酸
素は過酸化水素とくらべ、炉水の放射線分解によって生
成する還元性ラジカルとの反応性に富み、再結合(炉水
の放射線分解によって生成する酸素、過酸化水素および
OH、HO2ラジカル等の酸化種と、水和電子やHラジ
カル等の還元種が反応して再び水に戻る現象)による消
滅効率が高い。これを、多重化学反応解析コ−ド:SI
MFONYによる計算結果を例にとって以下に説明す
る。
制通電方式との併用方式を用いた場合、炉水に浸漬した
金属電極から金属イオン(金属アニオンを含む)が溶出
する。しかしながら、電極に用いる金属が、炉水中で異
なる原子価イオンまたは酸化物として存在しうるFe,
Mo,Cr,Cu,V等の遷移金属である場合、炉水の
放射線分解によって生成する過酸化水素を連鎖反応的に
分解し、カソ−ド反応:化4を抑制する。過酸化水素の
分解の結果、溶存酸素が生成する場合があるが、溶存酸
素は過酸化水素とくらべ、炉水の放射線分解によって生
成する還元性ラジカルとの反応性に富み、再結合(炉水
の放射線分解によって生成する酸素、過酸化水素および
OH、HO2ラジカル等の酸化種と、水和電子やHラジ
カル等の還元種が反応して再び水に戻る現象)による消
滅効率が高い。これを、多重化学反応解析コ−ド:SI
MFONYによる計算結果を例にとって以下に説明す
る。
【0027】図5は多重化学反応解析コ−ド:SIMF
ONYによって計算した、水素注入による沸騰水型原子
炉炉心部の腐食環境緩和効果を示す図である。図5中、
H2は炉水中の溶存水素濃度、O2は溶存酸素濃度、H2
O2は過酸化水素濃度、O2−EFFは実効酸素濃度(過
酸化水素濃度の1/2と溶存酸素濃度の和)を示す。沸
騰水型原子炉で検出される溶存酸素濃度は、一般に真の
溶存酸素濃度ではなく、サンプリングラインにおいて分
解する過酸化水素の寄与を含む実効酸素濃度である。図
5に見られるように、水素注入により沸騰炉心における
炉水中の溶存酸素は比較的容易に低減されても、過酸化
水素の低減効率は著しく悪い。これは、基本的に、溶存
酸素と過酸化水素の、炉水の放射線分解によって生成す
る還元性ラジカルとの反応性の差に起因する。これを、
還元性ラジカルとしてHラジカルを例にとって説明す
る。Hラジカルと溶存酸素および過酸化水素の反応:
ONYによって計算した、水素注入による沸騰水型原子
炉炉心部の腐食環境緩和効果を示す図である。図5中、
H2は炉水中の溶存水素濃度、O2は溶存酸素濃度、H2
O2は過酸化水素濃度、O2−EFFは実効酸素濃度(過
酸化水素濃度の1/2と溶存酸素濃度の和)を示す。沸
騰水型原子炉で検出される溶存酸素濃度は、一般に真の
溶存酸素濃度ではなく、サンプリングラインにおいて分
解する過酸化水素の寄与を含む実効酸素濃度である。図
5に見られるように、水素注入により沸騰炉心における
炉水中の溶存酸素は比較的容易に低減されても、過酸化
水素の低減効率は著しく悪い。これは、基本的に、溶存
酸素と過酸化水素の、炉水の放射線分解によって生成す
る還元性ラジカルとの反応性の差に起因する。これを、
還元性ラジカルとしてHラジカルを例にとって説明す
る。Hラジカルと溶存酸素および過酸化水素の反応:
【0028】
【化5】
【0029】及び
【0030】
【化6】
【0031】の反応速度は、それぞれ、2.1×1010L/mol
/s、および、9×107L/mol/sであり、Hラジカルによる
消滅速度は過酸化水素と比べ、溶存酸素の方が2桁以上
早いことがわかる。
/s、および、9×107L/mol/sであり、Hラジカルによる
消滅速度は過酸化水素と比べ、溶存酸素の方が2桁以上
早いことがわかる。
【0032】このように、炉水に浸漬した金属電極とし
て、炉水中で異なる原子価イオンまたは酸化物として存
在しうるFe,Mo,Cr,Cu,V等の遷移金属を用
いた場合、溶出する金属イオン(金属アニオンを含む)
による過酸化水素の分解の結果、前記の化2〜化4に示
したアノ−ド反応に係わる酸化種の濃度を全体として低
減し、原子炉構造材の腐食速度を低減することができ
る。
て、炉水中で異なる原子価イオンまたは酸化物として存
在しうるFe,Mo,Cr,Cu,V等の遷移金属を用
いた場合、溶出する金属イオン(金属アニオンを含む)
による過酸化水素の分解の結果、前記の化2〜化4に示
したアノ−ド反応に係わる酸化種の濃度を全体として低
減し、原子炉構造材の腐食速度を低減することができ
る。
【0033】また、タ−ビン建屋の線量率低減の観点か
らも、炉水に浸漬した金属電極として、炉水中で異なる
原子価イオンまたは酸化物として存在しうるFe,M
o,Cr,Cu,V等の遷移金属を用いることは、有効
である。以下にこれを説明する。
らも、炉水に浸漬した金属電極として、炉水中で異なる
原子価イオンまたは酸化物として存在しうるFe,M
o,Cr,Cu,V等の遷移金属を用いることは、有効
である。以下にこれを説明する。
【0034】既に述べたごとく、Fe,Mo,Cr,C
u,V等の遷移金属の炉水への溶解により、過酸化水素
の酸素への分解が起こる。タ−ビン建屋の線量率は、イ
オンの形で炉水中に溶けている放射性窒素−16
(16N)が還元されて気体になり、蒸気に同伴して主蒸
気系へ移行することによって生じる。プロシ−ディング
スオヴ 1991 ジャイフ インタ−ナショナル コ
ンファレンス オン ウォ−タ− ケミストリ− イン
ニュ−クリア− パワ− プランツ、614〜616
頁、1991年(Proceedings of 1991 JAIF Internati
onal Conerence onWater Chemistry in Nuclesr Power
Plants, pp614-616, Japan Atomic Industrial Forum,
Inc., 1991)に示されているように、溶存酸素は、主と
して:
u,V等の遷移金属の炉水への溶解により、過酸化水素
の酸素への分解が起こる。タ−ビン建屋の線量率は、イ
オンの形で炉水中に溶けている放射性窒素−16
(16N)が還元されて気体になり、蒸気に同伴して主蒸
気系へ移行することによって生じる。プロシ−ディング
スオヴ 1991 ジャイフ インタ−ナショナル コ
ンファレンス オン ウォ−タ− ケミストリ− イン
ニュ−クリア− パワ− プランツ、614〜616
頁、1991年(Proceedings of 1991 JAIF Internati
onal Conerence onWater Chemistry in Nuclesr Power
Plants, pp614-616, Japan Atomic Industrial Forum,
Inc., 1991)に示されているように、溶存酸素は、主と
して:
【0035】
【化7】
【0036】及び
【0037】
【化8】
【0038】の反応を経て、16Nをアニオンの形で炉水
中に安定化し、タ−ビン系への移行を抑制することが知
られている。一方、化2から化4に示した様に、溶存酸
素酸素及び過酸化水素はどちらもアノ−ド反応を起こ
し、原子炉構造材の腐食を加速する。従って、過酸化水
素を酸素に分解し、アノ−ド反応に係わる酸化種の濃度
を全体として低減することは、タ−ビン建屋の線量率を
抑制しつつ、原子炉構造材の腐食を低減することが可能
となる。これらの効果は、炉水に浸漬した金属電極から
のFe,Mo,Cr,Cu,V等の遷移金属の炉水への
溶解速度、即ち、原子炉構造材と金属電極の間に流れる
電流値により、その効力が変化する。原子炉構造材と金
属電極の間に流れる電流値は原子炉構造材と金属電極間
の印加電圧によって調節可能であり、この印加電圧を調
整することにより、タ−ビン建屋の線量率を制御するこ
とが可能である。
中に安定化し、タ−ビン系への移行を抑制することが知
られている。一方、化2から化4に示した様に、溶存酸
素酸素及び過酸化水素はどちらもアノ−ド反応を起こ
し、原子炉構造材の腐食を加速する。従って、過酸化水
素を酸素に分解し、アノ−ド反応に係わる酸化種の濃度
を全体として低減することは、タ−ビン建屋の線量率を
抑制しつつ、原子炉構造材の腐食を低減することが可能
となる。これらの効果は、炉水に浸漬した金属電極から
のFe,Mo,Cr,Cu,V等の遷移金属の炉水への
溶解速度、即ち、原子炉構造材と金属電極の間に流れる
電流値により、その効力が変化する。原子炉構造材と金
属電極の間に流れる電流値は原子炉構造材と金属電極間
の印加電圧によって調節可能であり、この印加電圧を調
整することにより、タ−ビン建屋の線量率を制御するこ
とが可能である。
【0039】以上より、ガルバニ方式、および、ガルバ
ニ方式と強制通電方式との併用方式を用いることによ
り、16Nのタ−ビン系への移行を抑制しつつ、水素注入
による腐食環境緩和が困難な炉心構造材の腐食環境を緩
和できることが明らかとなった。
ニ方式と強制通電方式との併用方式を用いることによ
り、16Nのタ−ビン系への移行を抑制しつつ、水素注入
による腐食環境緩和が困難な炉心構造材の腐食環境を緩
和できることが明らかとなった。
【0040】次に、図3に示した強制通電方式による原
子炉構造材の防食方法の原理を説明する。原子炉構造材
と炉水中に浸漬された任意の導電性の電極との間に外部
から電圧を印加し、強制的に分極するものである。この
ときの電位−電流図を図6に示した。カソ−ド方向に分
極された原子炉構造材表面では炉水の放射線分解に依っ
て生成する酸化種、即ち、酸素、過酸化水素やHO2ラ
ジカルの還元反応、化2、化3や化4が進行し、一方、
アノ−ドに分極された導電性電極表面からは酸素が生成
する。これにより、原子炉構造材からの鉄イオンの溶解
反応(化1)は根本的に抑制され、原子炉構造材の腐食
が抑制される。
子炉構造材の防食方法の原理を説明する。原子炉構造材
と炉水中に浸漬された任意の導電性の電極との間に外部
から電圧を印加し、強制的に分極するものである。この
ときの電位−電流図を図6に示した。カソ−ド方向に分
極された原子炉構造材表面では炉水の放射線分解に依っ
て生成する酸化種、即ち、酸素、過酸化水素やHO2ラ
ジカルの還元反応、化2、化3や化4が進行し、一方、
アノ−ドに分極された導電性電極表面からは酸素が生成
する。これにより、原子炉構造材からの鉄イオンの溶解
反応(化1)は根本的に抑制され、原子炉構造材の腐食
が抑制される。
【0041】原子炉構造材料の電位EMの確認方法およ
び印加電圧の設定に関しては、ガルバニ方式、および、
ガルバニ方式と強制通電方式との併用方式の場合と同様
である。
び印加電圧の設定に関しては、ガルバニ方式、および、
ガルバニ方式と強制通電方式との併用方式の場合と同様
である。
【0042】また、強制通電方式の場合、原子炉構造材
表面で酸素や過酸化水素の還元反応が進行する一方、ア
ノ−ドに分極された導電性電極表面からは酸素が炉水へ
と供給される。従って、化7、化8に示された16Nの炉
水中での安定化反応の効率は阻害されない。また、原子
炉構造材表面で過酸化水素の還元反応が進行する場合、
ガルバニ方式の原理説明において示した機構と同様の機
構に従って、炉水の腐食環境が緩和される。
表面で酸素や過酸化水素の還元反応が進行する一方、ア
ノ−ドに分極された導電性電極表面からは酸素が炉水へ
と供給される。従って、化7、化8に示された16Nの炉
水中での安定化反応の効率は阻害されない。また、原子
炉構造材表面で過酸化水素の還元反応が進行する場合、
ガルバニ方式の原理説明において示した機構と同様の機
構に従って、炉水の腐食環境が緩和される。
【0043】以上より、強制通電方式を用いる場合にお
いても、16Nのタ−ビン系への移行を抑制しつつ、水素
注入による腐食環境緩和が困難な炉心構造材の腐食環境
を緩和できることが明らかとなった。
いても、16Nのタ−ビン系への移行を抑制しつつ、水素
注入による腐食環境緩和が困難な炉心構造材の腐食環境
を緩和できることが明らかとなった。
【0044】以下、本発明を原子炉に適用する実施例に
より説明する。図1は本発明の原理を応用した沸騰水型
原子炉炉心の要部構成図である。図1において、1は炉
心部、2はシュラウド、3は気水分離器、4は原子炉圧
力容器、5は原子炉炉水再循環系、6は給水ポンプ、7
は復水浄化系、8は復水器、9はタ−ビンであり、沸騰
水型原子炉の基本構造である。このうち、最も過酷な腐
食環境似ある炉心部1の炉水中に、電極10を浸漬し、
ケ−ブル12およびカソ−ド防食制御系11を介して炉
心構造材と電気的に接続されている。電極10と電気的
に接続する炉心構造材部分は、図1においてはシュラウ
ド2となっているが、必ずしもこれを限定するものでは
なく、圧力容器自体および圧力容器内部の構造材任意の
部分とする。また、炉水に浸漬する電極10の位置は、
図1においては炉心1となっているが、必ずしもこれを
限定するものではなく、圧力容器自体および圧力容器内
部の任意の位置とする。従って、ここに述べる「炉心構
造材」とは、必ずしも炉心部分の構造材に限定されるも
のではなく、圧力容器自体および圧力容器内部の任意の
構造材をも含む。
より説明する。図1は本発明の原理を応用した沸騰水型
原子炉炉心の要部構成図である。図1において、1は炉
心部、2はシュラウド、3は気水分離器、4は原子炉圧
力容器、5は原子炉炉水再循環系、6は給水ポンプ、7
は復水浄化系、8は復水器、9はタ−ビンであり、沸騰
水型原子炉の基本構造である。このうち、最も過酷な腐
食環境似ある炉心部1の炉水中に、電極10を浸漬し、
ケ−ブル12およびカソ−ド防食制御系11を介して炉
心構造材と電気的に接続されている。電極10と電気的
に接続する炉心構造材部分は、図1においてはシュラウ
ド2となっているが、必ずしもこれを限定するものでは
なく、圧力容器自体および圧力容器内部の構造材任意の
部分とする。また、炉水に浸漬する電極10の位置は、
図1においては炉心1となっているが、必ずしもこれを
限定するものではなく、圧力容器自体および圧力容器内
部の任意の位置とする。従って、ここに述べる「炉心構
造材」とは、必ずしも炉心部分の構造材に限定されるも
のではなく、圧力容器自体および圧力容器内部の任意の
構造材をも含む。
【0045】ここで、カソ−ド防食制御系11は、炉心
に浸漬した電極と炉心構造材との間の電位をモニタする
電位計や炉心に浸漬した電極と炉心構造材との間に流れ
る電流をモニタする電流計、炉心に浸漬した電極と炉心
構造材との間に印加する電圧を発生する装置、および、
電位計、電流計の情報やタ−ビン系の線量率または線量
値、炉水中に含有されるイオン濃度や過酸化水素、酸
素、水素濃度、炉水導電率または炉水電気抵抗値の様な
炉水水質デ−タ、または、炉心構造材の電位情報等に基
づいて炉心に浸漬した電極と炉心構造材との間に印加す
る電圧を制御する制御系を含む。13は、炉心構造材の
電位を測定するための基準電極であり、14は13をカ
ソ−ド防食制御系11と接続するケ−ブルである。基準
電極13および、ケ−ブル14は必ずしも必要ではな
く、これらを用いない場合は、炉心に浸漬した電極と炉
心構造材との間の電位や炉心に浸漬した電極と炉心構造
材との間に流れる電流、タ−ビン系の線量率または線量
値、炉水中に含有されるイオン濃度や過酸化水素、酸
素、水素濃度、炉水導電率または炉水電気抵抗値の様な
炉水水質デ−タに基づき、炉心に浸漬した電極と炉心構
造材との間に印加する電圧を制御する。
に浸漬した電極と炉心構造材との間の電位をモニタする
電位計や炉心に浸漬した電極と炉心構造材との間に流れ
る電流をモニタする電流計、炉心に浸漬した電極と炉心
構造材との間に印加する電圧を発生する装置、および、
電位計、電流計の情報やタ−ビン系の線量率または線量
値、炉水中に含有されるイオン濃度や過酸化水素、酸
素、水素濃度、炉水導電率または炉水電気抵抗値の様な
炉水水質デ−タ、または、炉心構造材の電位情報等に基
づいて炉心に浸漬した電極と炉心構造材との間に印加す
る電圧を制御する制御系を含む。13は、炉心構造材の
電位を測定するための基準電極であり、14は13をカ
ソ−ド防食制御系11と接続するケ−ブルである。基準
電極13および、ケ−ブル14は必ずしも必要ではな
く、これらを用いない場合は、炉心に浸漬した電極と炉
心構造材との間の電位や炉心に浸漬した電極と炉心構造
材との間に流れる電流、タ−ビン系の線量率または線量
値、炉水中に含有されるイオン濃度や過酸化水素、酸
素、水素濃度、炉水導電率または炉水電気抵抗値の様な
炉水水質デ−タに基づき、炉心に浸漬した電極と炉心構
造材との間に印加する電圧を制御する。
【0046】炉心に浸漬した電極10としては、原子炉
構造材より卑な可逆電位をもつ金属であることが好まし
く、この条件を満たす金属としては、化1の可逆電位E
Fe(−0.44V,対標準水素電極電位)以下の可逆電
位を持つ金属:Fe,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,
Ta,V,Mn,Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,
Be,Th,Pu,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,
Y,Mg,Pm,Ac,Na,Ca,Sr,Ra,B
a,Cs,Rb,K,Li等が相当する。
構造材より卑な可逆電位をもつ金属であることが好まし
く、この条件を満たす金属としては、化1の可逆電位E
Fe(−0.44V,対標準水素電極電位)以下の可逆電
位を持つ金属:Fe,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,
Ta,V,Mn,Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,
Be,Th,Pu,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,
Y,Mg,Pm,Ac,Na,Ca,Sr,Ra,B
a,Cs,Rb,K,Li等が相当する。
【0047】一方、炉心に浸漬した電極と炉心構造材と
の間に電圧をカソ−ド防食制御系11から印加する場
合、炉水に浸漬する電極10は、必ずしも原子炉構造材
より卑な可逆電位をもつ金属である必要は無く、Cuの
ように化1の可逆電位EFe(−0.44V,対標準水素
電極電位)以上の可逆電位を持つ金属も相当し、導電性
の物質であれば如何なる物質であってもよい。
の間に電圧をカソ−ド防食制御系11から印加する場
合、炉水に浸漬する電極10は、必ずしも原子炉構造材
より卑な可逆電位をもつ金属である必要は無く、Cuの
ように化1の可逆電位EFe(−0.44V,対標準水素
電極電位)以上の可逆電位を持つ金属も相当し、導電性
の物質であれば如何なる物質であってもよい。
【0048】カソ−ド防食制御系11によって制御する
炉心構造材の電位は、必ずしも化1の可逆電位EFeを下
回る必要は無く、実用的な面からは、IGSCCは起き
ないことが知られている−230mV(対標準水素電極
電位)以下に制御する。
炉心構造材の電位は、必ずしも化1の可逆電位EFeを下
回る必要は無く、実用的な面からは、IGSCCは起き
ないことが知られている−230mV(対標準水素電極
電位)以下に制御する。
【0049】図7は本発明の原理を応用した一実施例で
あり、図1に示した実施例を、給水からの水素注入下で
実施したものである。図7において、15は水素注入系
であり、15より注入された水素は給水ポンプ6を通っ
て炉心1へと運ばれる。その他の構成及び方法に関して
は、図1と同様である。
あり、図1に示した実施例を、給水からの水素注入下で
実施したものである。図7において、15は水素注入系
であり、15より注入された水素は給水ポンプ6を通っ
て炉心1へと運ばれる。その他の構成及び方法に関して
は、図1と同様である。
【0050】図8は本発明の原理を応用した一実施例で
あり、図1に示した実施例を、圧力容器内構造材ではな
く、給水系配管及び機器に適用したものである。図8に
おいて、カソ−ド防食電極系16は図1に示した電極1
0、カソ−ド防食制御系11、ケ−ブル12、基準電極
13、ケ−ブル14を含む。この場合、電極10と電気
的に接続する部分は、給水系配管及び機器であり、電極
10および基準電極13の挿入位置は、給水配管及び機
器内部の一次系冷却水中である。また、図8においては
防食対象を給水系配管及び機器にとっているが、本発明
の原理は必ずしもこれらに限定されるものではなく、沸
騰水型原子炉冷却系配管、機器一般の防食に適用可能で
ある。
あり、図1に示した実施例を、圧力容器内構造材ではな
く、給水系配管及び機器に適用したものである。図8に
おいて、カソ−ド防食電極系16は図1に示した電極1
0、カソ−ド防食制御系11、ケ−ブル12、基準電極
13、ケ−ブル14を含む。この場合、電極10と電気
的に接続する部分は、給水系配管及び機器であり、電極
10および基準電極13の挿入位置は、給水配管及び機
器内部の一次系冷却水中である。また、図8においては
防食対象を給水系配管及び機器にとっているが、本発明
の原理は必ずしもこれらに限定されるものではなく、沸
騰水型原子炉冷却系配管、機器一般の防食に適用可能で
ある。
【0051】図9は本発明の原理を応用した一実施例で
あり、図8に示した実施例を、給水からの水素注入下で
実施したものである。図9において、15は水素注入系
であり、15より注入された水素は給水ポンプ6を通っ
て炉心1へと運ばれる。その他の構成及び方法に関して
は、図8と同様である。
あり、図8に示した実施例を、給水からの水素注入下で
実施したものである。図9において、15は水素注入系
であり、15より注入された水素は給水ポンプ6を通っ
て炉心1へと運ばれる。その他の構成及び方法に関して
は、図8と同様である。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、沸騰水型原子炉におけ
る放射性窒素(16N)のタ−ビン系への移行を抑制しつ
つ、水素注入による腐食環境緩和が困難な炉心構造材の
腐食を緩和できる。従って本発明によれば、主蒸気系配
管およびタ−ビン系の放射能量ひいてはサイト敷地境界
の線量率を抑制しつつ、沸騰水型原子炉で最も過酷な腐
食環境に晒される沸騰炉心部の腐食をも低減することが
できる。このため、原子炉の健全性および安全性を著し
く向上させ、ひいては原子炉の長寿命化にもつながるた
め、エネルギ源確保の上でメリットが大きい。
る放射性窒素(16N)のタ−ビン系への移行を抑制しつ
つ、水素注入による腐食環境緩和が困難な炉心構造材の
腐食を緩和できる。従って本発明によれば、主蒸気系配
管およびタ−ビン系の放射能量ひいてはサイト敷地境界
の線量率を抑制しつつ、沸騰水型原子炉で最も過酷な腐
食環境に晒される沸騰炉心部の腐食をも低減することが
できる。このため、原子炉の健全性および安全性を著し
く向上させ、ひいては原子炉の長寿命化にもつながるた
め、エネルギ源確保の上でメリットが大きい。
【図1】本発明の一実施例に係る腐食防止方法を適用し
た原子炉の要部構成図である。
た原子炉の要部構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係るガルバニ方式の原理説
明図である。
明図である。
【図3】本発明の一実施例に係る強制通電方式の原理説
明図である。
明図である。
【図4】カソ−ド防食法のうちのガルバニ方式、およ
び、ガルバニ方式と強制通電方式の併用を用いた場合の
電位−電流曲線を示すグラフである。
び、ガルバニ方式と強制通電方式の併用を用いた場合の
電位−電流曲線を示すグラフである。
【図5】多重化学反応解析コ−ド:SIMFONYによ
って計算した水素注入による沸騰水型原子炉炉心部の腐
食環境緩和効果を示す図である。
って計算した水素注入による沸騰水型原子炉炉心部の腐
食環境緩和効果を示す図である。
【図6】カソ−ド防食法のうちの強制通電方式を用いた
場合の電位−電流曲線を示す。
場合の電位−電流曲線を示す。
【図7】給水から水素注入を行う原子炉システムに本発
明の腐食防止方法を適用した実施例を示す図である。
明の腐食防止方法を適用した実施例を示す図である。
【図8】本発明の腐食防止方法を給水系配管や機器に適
用した実施例を示す図である。
用した実施例を示す図である。
【図9】給水から水素注入を行う原子炉システムの給水
系に本発明の腐食防止方法を適用した実施例を示す図で
ある。
系に本発明の腐食防止方法を適用した実施例を示す図で
ある。
1…炉心、2…シュラウド、3…気水分離器、4…原子
炉圧力容器、5…再循環系、6…給水ポンプ、7…復水
浄化系、8…復水器、9…タ−ビン、10…電極、11
…カソ−ド防食制御系、12…ケ−ブル、13…基準電
極、14…ケ−ブル、15…水素注入系、16…カソ−
ド防食電極系。
炉圧力容器、5…再循環系、6…給水ポンプ、7…復水
浄化系、8…復水器、9…タ−ビン、10…電極、11
…カソ−ド防食制御系、12…ケ−ブル、13…基準電
極、14…ケ−ブル、15…水素注入系、16…カソ−
ド防食電極系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 9117−2G G21D 1/00 GDB Y (72)発明者 渡辺 敦志 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内
Claims (39)
- 【請求項1】 沸騰水型原子炉冷却水中に原子炉構造材
と電気的に接続した電極を設けると共に、該電極とし
て、可逆電位が標準水素電極電位に対して−0.45V
以下の金属を用い、原子炉構造材の電位を制御すること
を特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項2】 請求項1において、可逆電位が標準水素
電極電位に対して−0.45V以下の金属として、F
e,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,Ta,V,Mn,
Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,Be,Th,P
u,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,Y,Mg,Pm,
Ac,Na,Ca,Sr,Ra,Fr,Ba,Cs,R
b,K,Li金属、および、これらの金属を含む合金を
用いることを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防
止方法。 - 【請求項3】 請求項1において、原子炉構造材と電気
的に接続した電極と原子炉構造材との間に外部から電圧
を印加することによって原子炉構造材の電位を標準水素
電極電位に対して−230mV以下に制御することを特
徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項4】 請求項3において、原子炉構造材と電気
的に接続した電極として、可逆電位が標準水素電極電位
に対して−0.45V以下の金属を用いることを特徴と
する沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項5】 請求項4において、可逆電位が標準水素
電極電位に対して−0.45V以下の金属として、F
e,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,Ta,V,Mn,
Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,Be,Th,P
u,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,Y,Mg,Pm,
Ac,Na,Ca,Sr,Ra,Fr,Ba,Cs,R
b,K,Li金属、および、これらの金属を含む合金を
用いることを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防
止方法。 - 【請求項6】 請求項3において、原子炉構造材と電気
的に接続した電極として、可逆電位が標準水素電極電位
に対して−0.45V以上の金属を用いることを特徴と
する沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項7】 請求項3において、原子炉構造材と電気
的に接続した電極として、導電性の非金属を用いること
を特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項8】 請求項3において、原子炉構造材と電気
的に接続した電極と原子炉構造材の電位差、または、原
子炉構造材と電気的に接続した電極と原子炉構造材間に
流れる電流に基づいて、原子炉構造材の電位を制御する
ことを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方
法。 - 【請求項9】 請求項3において、沸騰水型原子炉冷却
水中に挿入した基準電極に対して定められた原子炉構造
材の電位により原子炉構造材の電位を制御することを特
徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項10】 請求項3において、沸騰水型原子炉冷
却水中の水質デ−タに基づいて原子炉構造材の電位を制
御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防
止方法。 - 【請求項11】 請求項10において、沸騰水型原子炉
冷却水中の水質デ−タとして、沸騰水型原子炉冷却水中
の酸素濃度、過酸化水素濃度、水素濃度、イオン濃度、
または、冷却水の電気伝導度に基づいて原子炉構造材の
電位を制御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材
の腐食防止方法。 - 【請求項12】 請求項11において、沸騰水型原子炉
冷却水中のイオン濃度として、原子炉構造材と電気的に
接続した電極から溶出したイオンの濃度であることを特
徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項13】 請求項3において、沸騰水型原子炉主
蒸気配管またはタ−ビン系の線量率もしくは一定期間に
おいて測定された線量値に基づいて原子炉構造材の電位
を制御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐
食防止方法。 - 【請求項14】 請求項1において、原子炉構造材とし
て、圧力容器もしくは圧力容器内構造物を対象とするこ
とを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方法。 - 【請求項15】 請求項1において、原子炉構造材とし
て、一次冷却系配管または一次冷却系機器を対象とする
ことを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の腐食防止方
法。 - 【請求項16】 沸騰水型原子炉冷却水中に原子炉構造
材と電気的に接続した電極を設けると共に、該電極とし
て可逆電位が標準水素電極電位に対して−0.45V以
下の金属を用い、原子炉構造材の電位を制御する機能を
備えたことを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食シ
ステム。 - 【請求項17】 請求項16において、可逆電位が標準
水素電極電位に対して−0.45V以下の金属として、
Fe,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,Ta,V,M
n,Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,Be,Th,
Pu,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,Y,Mg,P
m,Ac,Na,Ca,Sr,Ra,Fr,Ba,C
s,Rb,K,Li金属、および、これらの金属を含む
合金を用いることを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の
防食システム。 - 【請求項18】 請求項16において、原子炉構造材と
電気的に接続した電極と原子炉構造材との間に外部から
電圧を印加することによって原子炉構造材の電位を標準
水素電極電位に対して−230mV以下に制御すること
を特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食システム。 - 【請求項19】 請求項16において、原子炉構造材と
電気的に接続した電極として、前記金属の代わりに、導
電性の非金属を用いることを特徴とする沸騰水型原子炉
構造材の防食システム。 - 【請求項20】 請求項16において、原子炉構造材と
電気的に接続した電極と原子炉構造材の電位差、また
は、原子炉構造材と電気的に接続した電極と原子炉構造
材間に流れる電流に基づいて、原子炉構造材の電位を制
御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食シ
ステム。 - 【請求項21】 請求項16において、沸騰水型原子炉
冷却水中に挿入した基準電極に対して定められた原子炉
構造材の電位により原子炉構造材の電位を制御すること
を特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食システム。 - 【請求項22】 請求項16において、沸騰水型原子炉
冷却水中の水質デ−タに基づいて原子炉構造材の電位を
制御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食
システム。 - 【請求項23】 請求項22において、沸騰水型原子炉
冷却水中の水質デ−タとして、沸騰水型原子炉冷却水中
の酸素濃度、過酸化水素濃度、水素濃度、イオン濃度、
または、冷却水の電気伝導度に基づいて原子炉構造材の
電位を制御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材
の防食システム。 - 【請求項24】 請求項23において、沸騰水型原子炉
冷却水中のイオン濃度として、原子炉構造材と電気的に
接続した電極から溶出したイオンの濃度であることを特
徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食システム。 - 【請求項25】 請求項16において、沸騰水型原子炉
主蒸気配管またはタ−ビン系の線量率もしくは一定期間
において測定された線量値に基づいて原子炉構造材の電
位を制御することを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の
防食システム。 - 【請求項26】 請求項16において、原子炉構造材と
して、圧力容器もしくは圧力容器内構造物を対象とする
ことを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食システ
ム。 - 【請求項27】 請求項16において、原子炉構造材と
して、一次冷却系配管または一次冷却系機器を対象とす
ることを特徴とする沸騰水型原子炉構造材の防食システ
ム。 - 【請求項28】 沸騰水型原子炉冷却水中に原子炉構造
材と電気的に接続した電極を設けると共に、該電極とし
て可逆電位が標準水素電極電位に対して−0.45V以
下の金属を用い、原子炉構造材の電位を制御することに
より、原子炉構造材の腐食を抑制する機能を備えたこと
を特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項29】 請求項28において、可逆電位が標準
水素電極電位に対して−0.45V以下の金属として、
Fe,Ga,Mo,Cr,Nb,Zn,Ta,V,M
n,Ti,Zr,Al,Hf,U,Np,Be,Th,
Pu,Am,Sc,Yb,Nd,Ce,Y,Mg,P
m,Ac,Na,Ca,Sr,Ra,Fr,Ba,C
s,Rb,K,Li金属、および、これらの金属を含む
合金を用いることを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項30】 請求項28において、原子炉構造材と
電気的に接続した電極と原子炉構造材との間に外部から
電圧を印加することによって原子炉構造材の電位を標準
水素電極電位に対して−230mV以下に制御すること
を特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項31】 請求項28において、前記金属の代わ
りに、導電性の非金属を用いることを特徴とする沸騰水
型原子炉。 - 【請求項32】 請求項28において、原子炉構造材と
電気的に接続した電極と原子炉構造材の電位差、また
は、原子炉構造材と電気的に接続した電極と原子炉構造
材間に流れる電流に基づいて、原子炉構造材の電位を制
御することを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項33】 請求項28において、沸騰水型原子炉
冷却水中に挿入した基準電極に対して定められた原子炉
構造材の電位により原子炉構造材の電位を制御すること
を特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項34】 請求項28において、沸騰水型原子炉
冷却水中の水質デ−タに基づいて原子炉構造材の電位を
制御することを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項35】 請求項34において、沸騰水型原子炉
冷却水中の水質デ−タとして、沸騰水型原子炉冷却水中
の酸素濃度、過酸化水素濃度、水素濃度、イオン濃度、
または、冷却水の電気伝導度に基づいて原子炉構造材の
電位を制御することを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項36】 請求項35において、沸騰水型原子炉
冷却水中のイオン濃度として、原子炉構造材と電気的に
接続した電極から溶出したイオンの濃度であることを特
徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項37】 請求項28において、沸騰水型原子炉
主蒸気配管またはタ−ビン系の線量率もしくは一定期間
において測定された線量値に基づいて原子炉構造材の電
位を制御することを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項38】 請求項28において、原子炉構造材と
して、圧力容器もしくは圧力容器内構造物を対象とする
ことを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 【請求項39】 請求項28において、原子炉構造材と
して、一次冷却系配管または一次冷却系機器を対象とす
ることを特徴とする沸騰水型原子炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5079781A JPH06293982A (ja) | 1993-04-06 | 1993-04-06 | 沸騰水型原子炉とその構造材の腐食防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5079781A JPH06293982A (ja) | 1993-04-06 | 1993-04-06 | 沸騰水型原子炉とその構造材の腐食防止方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06293982A true JPH06293982A (ja) | 1994-10-21 |
Family
ID=13699753
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5079781A Pending JPH06293982A (ja) | 1993-04-06 | 1993-04-06 | 沸騰水型原子炉とその構造材の腐食防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06293982A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019152618A (ja) * | 2018-03-06 | 2019-09-12 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 被ばく低減方法 |
KR20200019821A (ko) * | 2017-07-11 | 2020-02-25 | 조인트-스톡 컴퍼니 사이언티픽 리서치 앤드 디자인 인스티튜트 포 에너지 테크놀로지스 아톰프로엑트 (제이에스씨 아톰프로엑트) | 원자력 발전소의 기술 회로 장비의 부식 속도 제어 방법 |
-
1993
- 1993-04-06 JP JP5079781A patent/JPH06293982A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR20200019821A (ko) * | 2017-07-11 | 2020-02-25 | 조인트-스톡 컴퍼니 사이언티픽 리서치 앤드 디자인 인스티튜트 포 에너지 테크놀로지스 아톰프로엑트 (제이에스씨 아톰프로엑트) | 원자력 발전소의 기술 회로 장비의 부식 속도 제어 방법 |
JP2019152618A (ja) * | 2018-03-06 | 2019-09-12 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 被ばく低減方法 |
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