JPH06292514A - 乳清タンパク質加工品の製造法 - Google Patents

乳清タンパク質加工品の製造法

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JPH06292514A
JPH06292514A JP6565994A JP6565994A JPH06292514A JP H06292514 A JPH06292514 A JP H06292514A JP 6565994 A JP6565994 A JP 6565994A JP 6565994 A JP6565994 A JP 6565994A JP H06292514 A JPH06292514 A JP H06292514A
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北畠直文
Etsushirou Doi
土井悦四郎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加熱や塩の添加等によっても、実質的に透明
な状態に保てる、乳清タンパク質加工品の製造法を提供
する。 【構成】 乳清タンパク質を精製した後に、実質的に無
塩状態で、前記乳清タンパク質含有液を、pH4以下又は
6以上において、55℃以上に加熱する。前記乳清タン
パク質含有液の乳清タンパク質含有量は、5〜20重量
%であるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱や塩の添加等によ
っても、実質的に透明な状態に保てる、乳清タンパク質
加工品の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乳清は、牛乳からカゼインを除いて得ら
れる画分の名称で、主要タンパク質成分はβ−ラクトグ
ロブリン、α−ラクトアルブミン、血清アルブミンであ
るが、かかる乳清及び乳清タンパク質は乳製品加工の二
次生成物として大量に得られ、経済的に入手し易く、し
かも嗜好性にも優れているため、近年、乳清飲料や乳清
粉末として食品市場に広く認められるようになってき
た。
【0003】更に、乳清タンパク質は、ゲル形成能、泡
沫特性、乳化性等の機能性に優れるため、食品加工の素
材としても、広く使用されている。しかし、乳清タンパ
ク質を加熱すると白濁液又は白濁ゲルとなるため、透明
性を必要とする液状又はゲル状食品には、適用できず、
その使用に限度があった。そこで、菓子類等のタンパク
質性透明ゲル化剤や増粘剤には、従来、寒天、アルギン
酸、ペクチン等の多糖類やガム質、ゼラチン等の動物性
タンパク質が主に用いられているが、経済性、機能性、
栄養性において、充分でない面があった。
【0004】また、透明ゲル基材としては、アルカリ処
理を施した卵白、タンパク質分解酵素処理した食品タン
パク質(例えば、卵白アルブミン)、脱塩処理を施した
卵白などがある。しかし、アルカリ処理は、タンパク質
の栄養性低下を招き、酵素処理は、高価な酵素剤を多量
に要し、非経済的であり、脱塩処理した卵白は中性、弱
酸性のpH領域において透明性を維持できないなど、多く
の問題がある。なお、これらの方法では、いずれの場合
も、塩類の存在下で加熱を行うと白濁ゲルもしくは白濁
液を形成し、白濁液にあっては、粘性が低く、増粘剤と
しての使用は制限され、乳化力や起泡性も低い。また、
白濁ゲルは、保水性、弾力性に劣るなど問題が多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の如
く、経済性及び機能性等に優れる乳清タンパク質から、
加熱によっても、栄養性低下等を伴うことなく、安定し
て透明に維持できる製品を製造し、乳清タンパク質の用
途を食品、化粧品、医薬品等の素材として、更に、幅広
く展開可能とすることを課題とする。また、本発明で
は、塩を含む条件下や低タンパク質濃度下において、実
質的に透明な粘稠液又はゲルを形成しうる新規な乳清タ
ンパク質加工品の製造法を提供することをも課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、乳清タンパ
ク質を精製した後に、当該乳清タンパク質含有液のpHを
一定の範囲に調製し、加熱することによって、上記課題
を解決した。
【0007】即ち、本発明では、乳清タンパク質を精製
した後に、実質的に無塩状態(例えばイオン強度25ミ
リモル以下)で、前記乳清タンパク質含有液を、pH4以
下又は6以上において、55℃以上に加熱することによ
って、その後の加熱や塩の添加等によっても、変質しな
い、実用性あるゾルやゲルを得ることが可能な製品を得
ることができる。
【0008】乳清は、例えばチーズ製造工程の副産物等
として、大量に得られるものであるが、本発明では、か
かる乳清に含まれる塩類、糖類などの低分子化合物を実
質的に除去し、その後、液のpHを乳清タンパク質の等電
点(pH5前後)から離れた値、pH4以下又は6以上、好
ましくはpH3.5以下又は6.5以上に調整することによっ
て、又は、このようにpH調整後、加熱処理することによ
って、透明な液状又はゲル状の製品になし得るのであ
る。
【0009】なお、本発明において透明とは、半透明を
も含むものであり、一般に島津製作所製の分光光度計UV
160Aで測定した吸光度が1.5以下(但し、波長600nm 、
光路長1cmのガラスセル使用)であることを意味する。
【0010】また、本発明において使用する乳清タンパ
ク質は、乳清及びそれから得られる乳清タンパク質画
分、並びに、その主要タンパク質(β−ラクトグロブリ
ン、α−ラクトアルブミン及び血清アルブミン等)のい
ずれであってもよい。
【0011】本発明において、乳清タンパク質を精製す
る方法としては、水又は低濃度の緩衝液を用いた透析
法、電気透析法、クロマトグラフィ(イオン交換、ゲル
クロ、疎水クロマトなど)、マイクロフィルトレーショ
ン、電気泳動法、吸着分離法、沈澱分離法などがいずれ
も使用でき、これらを二種以上組み合わせて使用しても
よい。
【0012】なお、本発明で加熱処理する液には、調味
用の塩等を含ませてもよいが、この場合、塩等の添加は
pH調整後にされる必要がある。また、塩等を添加した場
合には、加熱処理により白濁し易くなるので、液のpH
は、特に3.5以下又は6.5以上に調整されるのが好まし
い。
【0013】加熱処理を行う場合、液の乳清タンパク質
含有量は特に限定されず、5重量%以下の低タンパク質
濃度域においては、加熱後も透明液となり、粘稠な液状
を示すが、濃度が増すと、粘稠な液となり取り扱い難く
なる。通常は、5〜20重量%に濃度を調整されるの
が、扱い易く、好ましい。なお、タンパク質濃度を、1
0重量%以上に調整した場合には、極めて硬く、弾性に
富む透明ゲルが得られる。一般に、このような液に含ま
れてもよい塩濃度は、製品の調味という点からも、20
0mM(ミリモル)以下、特に150mM以下であるのが好まし
い。
【0014】また、本発明における加熱温度は特に限定
されないが、一般に55℃以上であるのが好ましく、一
般に75〜95℃程度が扱い易い。しかし、100℃以
上に加熱されてもよく、例えば、120℃前後の加熱で
は、100℃以下の加熱で得られるゲルより、弾性に富
んだ硬いゲルを得ることができる。
【0015】
【実施例】
実施例1 牛乳の脂肪分を遠心分離により取り除き、得られた液の
pHを4.5に調整し、沈澱したカゼイン画分を遠心分離で
除いて乳清を得た。次いで、この乳清を水に対して透析
し、透明な乳清タンパク質液を得た。この処理によっ
て、塩、糖類などの低分子化合物が除かれる。また、透
析により、沈澱が生じるが、この沈澱を遠心分離で除い
ても、乳清タンパク質組成に大きな変化は認められなか
った。得られた上清のpHを3.5及び6.5に調整し、タン
パク質濃度を7%に調整した後、80℃に加熱した。通
常は、乳清やタンパク質液をこの条件で加熱すると白濁
するが、透析処理した、本実施例の乳清タンパク質は、
加熱後においても白濁せず、透明な液体が得られた。液
の粘度はタンパク質濃度に依存し、高タンパク質濃度に
なるにつれ、粘稠な液となったが、この時も液の透明性
は維持された。
【0016】実施例2 実施例1と同様の方法により、水に対して充分透析して
透明な乳清タンパク質液を得た。この乳清タンパク質液
を三等分して、2規定の水酸化ナトリウム又は塩酸を用
いて、それぞれのpHを3.5、7.0、8.5に調整し、更
に、タンパク質濃度が7%で、塩化ナトリウム濃度が5
0mMとなるように調整した後、80℃で1時間加熱し
た。その結果、いずれもゲルとなったが、pH3.5、7.0
の標品は半透明ゲル、pH8.5の標品は透明ゲルとなり、
従来の如き白濁物とはならなかった。
【0017】実施例3 実施例1と同様の方法により、水に対して充分透析して
透明な乳清タンパク質液を得た。この乳清タンパク質液
のpHを7.5に調整し、タンパク質濃度が12%、塩化ナ
トリウム濃度が50mMとなるように調整した後、121
℃で4分間加熱した。その結果、実施例2で製造した透
明ゲルより、はるかに硬く、弾力性に富んだ、透明ゲル
を得ることができた。
【0018】実施例4 実施例1と同様の方法により、水に対して充分透析して
透明な乳清タンパク質液を得た。この乳清タンパク質液
のpHを5.5、7.0に調整し、タンパク質濃度が3%とな
るように調整した後、80℃で1時間加熱した。その結
果、pH5.5では粘稠な白濁液、pH7.0では粘稠な透明液
が得られた。いずれも高い粘度を示した。
【0019】実施例5 実施例1と同様の方法により、水に対して充分透析して
透明な乳清タンパク質液を得た。この乳清タンパク質液
のpHを5.5、7.0に調整し、タンパク質濃度が7%とな
るように調整した後、80℃で1時間加熱した。その結
果、pH5.5では白濁ゲルが得られ、pH7.0では透明ゲル
が得られた。いずれのゲルも柔らかく、形成後のゲルを
潰すとペーストを得ることができた。
【0020】実施例6 実施例1と同様の方法により、水に対して充分透析して
透明な乳清タンパク質液を得た。この乳清タンパク質液
のpHを5.5、7.0に調整し、タンパク質濃度が12%と
なるように調整した後、80℃で1時間加熱した。その
結果、pH5.5では白濁ゲルが得られ、pH7.0では透明ゲ
ルが得られた。いずれのゲルも硬く、弾力性に富み、か
つ保水性に優れたゲルであった。
【0021】実施例7 実施例1と同様の方法により、水に対して充分透析して
透明な乳清タンパク質液を得た。この乳清タンパク質液
を、三等分して、2規定の水酸化ナトリウム又は塩酸を
用いて、それぞれのpHを3.5、7.0及び8.5に調整し、
同時に、各液のタンパク質濃度を7%、塩化ナトリウム
濃度を150mMに調整した後、80℃で1時間加熱し
た。その結果、pH3.5の標品は半透明ゲル、pH7.0及び
8.5の標品は白濁ゲルとなった。
【0022】実施例8 実施例1と同様の方法により得られた乳清を緩衝液に対
して透析し、遠心分離処理して、透明な上清を得た。こ
の上清すなわち乳清タンパク質を出発物質として、乳清
タンパク質の主要構成成分であるβ−ラクトグロブリン
を、イオン交換クロマトグラフィ及びゲルクロマトグラ
フィを用いて、調製した。得られたβ−ラクトグロブリ
ンを蒸溜水に対して充分透析を行った後、pHを2から9
まで0.5pHユニット毎に調整した。タンパク質濃度は全
て6.5%に調整した。この液を90℃で1時間加熱した
ところ、pH3.5以下では透明ゲルが得られ、また、pH6.
5〜7.5では透明液、pH8.5では透明ゲルが得られた。
市販のβ−ラクトグロブリンを用いて同様の実験を行っ
たところ、この場合にも、前記同様の結果が得られた。
【0023】実施例9 実施例8と同様の方法により得たβ−ラクトグロブリン
を蒸溜水に対して充分透析した後、pHを2から9まで0.
5ユニット毎に調整した。また各々のpHの製品に塩化ナ
トリウムを最終濃度が50mMになるように添加し、同時
にタンパク質濃度を6.5%に調整した。この液を90℃
で1時間加熱したところ、pH3.5以下で半透明ゲルを形
成した。またpH3.5から6.5の間では白濁ゲルまたは白
濁液となり、6.5以上のpH領域では、半透明ゲルを形成
した。
【0024】実施例10 実施例8と同様の方法により得たβ−ラクトグロブリン
を蒸溜水に対して充分透析した後、pHを2から9まで0.
5ユニット毎に調整した。また各々のpHの製品に塩化ナ
トリウムを最終濃度が100mMになるように添加し、同
時にタンパク質濃度を6.5%に調整した。この液を90
℃で1時間加熱したところ、pH3.5以下で半透明ゲルを
形成した。またpH3.5から8.5においては白濁ゲルまた
は白濁液となり、9以上のpH領域で、半透明ゲルを形成
した。
【0025】実施例11 乳清由来タンパク質のひとつである牛血清アルブミン
(シグマ社製、フラクションV標品を用いた)を、蒸溜
水に対して充分透析した後、pHを2から9まで0.5ユニ
ット毎に調整し、同時に、タンパク質濃度は全て7%に
調整した。この液を90℃で1時間加熱したところ、pH
2及び2.5では透明液、pH3及び3.5では半透明ゲル、
pH4ないし6.5では白濁ゲル又は白濁液となり、pH7以
上では透明液となった。
【0026】実施例12 実施例8と同様の方法により得た血清アルブミンを蒸溜
水に対して充分透析した後、pHを2から9まで0.5ユニ
ット毎に調整し、同時に、タンパク質濃度は全て7%に
調整した。このようにして得た各々の標品に、塩化ナト
リウムを最終濃度が50mMになるように添加し、90℃
で1時間加熱したところ、pH2及び2.5では透明ゲル、
pH3及び3.5では白濁ゲル、pH4ないし6.5では白濁ゲ
ル又は白濁液となったが、pH7以上では半透明ゲルとな
った。
【0027】実施例13 実施例1と同様の方法で透析して得た乳清タンパク質液
のpHを7に、タンパク質濃度を7%に調整したものに、
次表の如く塩を添加した後、80℃1時間加熱し、製品
の透明度を島津製作所の分光光度計UV160Aによる
吸光度で測定した。その結果を次表に示す。 NaCl量(mM) 吸光度 製品の状態 (1) 0 0.037 透明 (2) 30 0.449 透明 (3) 40 0.592 透明 (4) 50 1.336 半透明 (5) 100 2.3 以上 白濁 (6) 200 2.3 以上 白濁
【0028】実施例14 牛血清アルブミン(シグマ社製、フラクションV標品を
用いた)を、蒸溜水に対して充分透析して得た液のpHを
7に調整し、同時にタンパク質濃度を6.5に調整した
後、この液に、次表の如く塩を添加し、80℃で1時間
加熱した。得られた製品の透明度を島津製作所の分光光
度計UV160Aによる吸光度で測定した結果を、次表
に示す。 NaCl量(mM) 吸光度 製品の状態 (1) 0 0.329 透明 (2) 50 0.592 透明 (3) 100 2.3 以上 白濁
【0029】実施例15 β−ラクトグロブリンを用いて、実施例14と同様の方
法を実施した結果、実施例10と同様に塩化ナトリウム
無添加及び50mMの添加では、透明な製品が得られた
が、100mMの添加では透明な製品を得ることはできな
かった。
【0030】実施例16 実施例1と同様にして得られた乳清タンパク質を水に対
して透析したタンパク質濃度7%の透明液を、pH3及び
9に調整した。この時、透明な粘稠ゾルが得られた。
【0031】実施例17 牛乳の脂肪分を遠心分離により取り除き、得られた液の
pHを4.5に調整し、沈澱したカゼイン画分を更に遠心分
離で除いて乳清を得た。この乳清を水に対して透析し、
乳清タンパク質を得た。この処理によって、塩、糖類な
どの低分子化合物が除かれる。また、透析により、沈澱
が生じるが、この沈澱は遠心分離で除いた。なお、この
ような処理によっても乳清タンパク質組成に大きな変化
は認められなかった。得られた上清のタンパク質濃度を
7%に、pHを7に調整し、80℃で1時間加熱した。こ
のようにして得た透明液すなわち乳清タンパク質加工品
のpHを、2から9まで0.5pH単位毎に調整し、最終濃度
が50mMとなるように塩化ナトリウムを添加した。この
液を90℃で1時間再加熱すると、pH3.5以下に調整さ
れた製品は、透明液のまま保たれたのに対し、pH4〜6.
5の製品は、白濁ゲル又は白濁液となり、pH7以上で
は、透明ゲルとなった。
【0032】実施例18 実施例17と同様にして得た乳清のタンパク質濃度を7
%、pHを7に調整し、80℃で1時間加熱した。これに
よって透明液状の乳清タンパク質加工品が得られた。こ
の液のpHを2から9まで、0.5pH単位毎に調整し、最終
濃度が100mMになるように塩化ナトリウムを添加し
た。これにより粘稠性が高くなった液を、更に、90℃
で1時間再加熱すると、pH3.5までは半透明ゲル、pH4
から6.5までは白濁ゲル又は白濁液となったが、それ以
上のpHでは透明又は半透明ゲルとなった。
【0033】実施例19 実施例17と同様にして得た乳清を、蒸留水に対して透
析、並びに遠心分離処理し、上清液を得た。この透明液
のタンパク質濃度を7%、pHを7に調整し、80℃で1
時間加熱し、乳清タンパク質加工品を得た。この乳清タ
ンパク質加工品のpHを6.5、7.5、8.5に調整し、最終
濃度が100mMになるように塩化ナトリウムを添加し、
121℃で4分間加熱した。その結果、いずれの場合に
も、透明ゲルが形成れ、この透明ゲルは90℃加熱で得
られた実施例2の透明ゲルより硬く、弾力に富むゲルで
あった。
【0034】実施例20 実施例17と同様にして得た乳清を、緩衝液に対して透
析、ならびに遠心分離処理し、上清液を得た。この上清
液から、乳清タンパク質の主成分であるβラクトグロブ
リンを、イオン交換クロマトグラフィ及びゲルクロマト
グラフィで調製した。得られたβラクトグロブリン液の
pHを7に調整し、80℃で1時間加熱し、得られた透明
液に塩酸又は苛性ソーダを添加し、そのpHを2から9ま
で、0.5pH単位毎に調整し、最終濃度が50mMになるよ
うに塩化ナトリウムを添加した。この液を90℃で1時
間再加熱すると、pH3.5以下は半透明ゲル、pH4から6
までは白濁ゲル、pH6.5以上では透明ゲルが得られた。
市販のβラクトグロブリンを用いて同様の実験を行った
が、この場合にも、同様の結果が得られた。
【0035】実施例21 実施例17と同様にして得た乳清を、実施例20と同様
に処理し、βラクトグロブリンを得た。このβラクトグ
ロブリンの透明液をpH7に調整し、80℃で1時間加熱
し、得られた透明液に塩酸又は苛性ソーダを添加して、
pHを2から9まで0.5pH単位毎に調整し、更に、タンパ
ク質濃度を6.5%に調整し、その後、各液に、最終濃度
が100mMになるように塩化ナトリウムを添加した。こ
の液を90℃で1時間再加熱すると、pH3.5以下は半透
明ゲル、pH4から6までは白濁ゲル、pH6.5以上では半
透明ゲルとなった。市販のβラクトグロブリンを用いて
同様の実験を行ったが、この場合にも、同様の結果が得
られた。
【0036】実施例22 乳清タンパク質の主要タンパク質の一種である牛血清ア
ルブミン(シグマ社製、フラクションV標品を用いた)
を、蒸溜水に対して充分透析した後、得られた液のpHを
2から9まで0.5単位毎に調整し、同時に、そのタンパ
ク質濃度を7%に調整した。その後、この液を80℃で
1時間加熱し、得られた透明液に塩酸又は苛性ソーダを
添加して、pHを2から9まで0.5pH単位毎に調整し、最
終濃度が50mMになるように塩化ナトリウムを添加し
た。この液を90℃で1時間再加熱すると、pH3.5以下
は透明ゲル、pH4から6までは白濁ゲル、pH6.5以上で
は透明ゲルが形成された。
【0037】実施例23 乳清タンパク質の主要タンパク質の一種である牛血清ア
ルブミン(シグマ社製、フラクションV標品を用いた)
を、蒸溜水に対して充分透析した後、得られた液のpHを
2から9まで0.5pH単位毎に調整し、同時にタンパク質
濃度を7%に調整した。この液を80℃で1時間加熱
し、得られた透明液に塩酸又は苛性ソーダを添加して、
pHを2から9まで0.5pH単位毎に調整し、最終濃度が1
00mMになるように塩化ナトリウムを添加した。この液
を90℃で1時間再加熱すると、pH3.5以下は透明ゲ
ル、pH4から6までは白濁ゲル、pH6.5以上では透明ゲ
ルが形成された。
【0038】実施例24 実施例17と同様の方法で透析して得た乳清タンパク質
液のpHを7に調整し、80℃で1時間加熱した後、得ら
れた透明液のpHを7に調整し、最終濃度が0〜200mM
となるように、濃度を変えて塩化ナトリウムを添加し、
この液を90℃で1時間再加熱した。このようにして得
た製品の、透明度を島津製作所製の分光光度計でUV1
60Aで測定した。その結果を次表に示す。 NaCl量(mM) 吸光度 製品の状態 (1) 0 0.022 透明 (2) 30 0.241 透明 (3) 40 0.271 透明 (4) 50 0.325 透明 (5) 100 1.308 半透明 (6) 200 2.3 以上 不透明
【0039】実施例25 牛血清タンパク質(シグマ社製、フラクションV標品を
用いた)を、蒸留水に対して充分透析した後、液のpHを
7に調整し、同時に該液のタンパク質濃度を6.5%に調
整した。この液を80℃で1時間加熱した後、得られた
透明液のpHを7に調整し、最終濃度が0〜200mMとな
るように、濃度を変えて塩化ナトリウムを添加し、この
液を90℃で1時間再加熱した。このようにして得た製
品の、透明度を島津製作所製の分光光度計でUV160
Aで測定した。その結果を次表に示す。 NaCl量(mM) 吸光度 製品の状態 (1) 0 0.293 透明 (2) 50 0.380 透明 (3) 100 0.532 透明 (4) 150 0.580 透明 (5) 200 0.591 透明
【0040】実施例26 β−ラクトグロブリンを使用して実施例24と同様の方
法を実施した。その結果、実施例24と同様に塩化ナト
リウムを0〜200mMの範囲で添加した場合、いずれも
透明な加熱加工品を得ることができた。
【0041】
【発明の効果】本発明では、経済的に大量に入手し易
い、乳清タンパク質を、安全かつ迅速に、透明性ある加
工品に仕上げることができ、実用性ある乳清タンパク質
加工品として提供でき、更に、乳清タンパク質を、塩を
添加した状態でも、安全かつ迅速に、透明性ある加熱加
工品に仕上げることができるものとなすこともできる。
従って、栄養分に富んだ乳清タンパク質を、外観よく、
食品、化粧品、医薬品等に幅広く適用可能とするもので
あり、本発明の製品は、中性、弱酸性領域においても安
定して透明性を維持できるため、非常に扱い易いものと
なる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳清タンパク質を精製した後に、実質的
    に無塩状態で、前記乳清タンパク質含有液を、pH4以下
    又は6以上において、55℃以上に加熱することを特徴
    とする透明な乳清タンパク質加工品の製造法。
  2. 【請求項2】 前記乳清タンパク質含有液の乳清タンパ
    ク質含有量が5〜20重量%である請求項1の方法。
JP6065659A 1990-08-31 1994-03-07 乳清タンパク質含有液 Expired - Fee Related JP3050483B2 (ja)

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