JPH06287996A - ボイドラーメン構造物の構築工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 床板施工を簡略化すると共に、壁板を軽量化
して単板構成とする。 【構成】 縦方向に貫通する複数の中空部２を有し、上
端に縦主筋３を突設した幅広な中空ＰCa板からなる壁板
１，１を所要間隔を置いて平行に建込み、内部に下端筋
を配筋し、上端には軽量胴部構成材７を幅方向に所要間
隔を置いて複数並列して取付けてなるＰCa床板５，５を
吊り込んで架設し、これらの上に上端筋６を一体的に配
筋した後、壁板１の中空部２の内部から上端にかけて、
ならびにＰCa床板５上に高流動性場所打ちコンクリート
９を打設し、これによって造成された床板１０と壁板１
とを一体化させることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ボイドラーメン構造
物の構築工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、５〜６階建の中層住宅に適したコ
ンクリート構造物として、柱を兼用するＰCa（プレキャ
ストコンクリート）壁板間に内部に軽量化のためのボイ
ド管（スパイラル管）を多数並列してコンクリート中に
埋設した床版を一体化したボイドラーメン構造が知られ
ている。

【０００３】このボイドラーメン構造は、壁を柱と兼用
し、床を梁と兼用する構造であるため、従来の柱・梁構
造に壁板と床板を一体化する壁式構造に比べて壁・床の
断面の大きさが２〜３倍になり、遮音性や断熱性に優れ
た高品質の住空間が得られる外、梁や柱型がないために
天井まで開口部がとれると共に、部屋のプランニングが
自由で、広い居住空間を確保する設計ができる等の利点
がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のボイドラーメン
構造の構築工法においては、床板の施工に際して床型枠
を設置し、これに下端筋を配筋した上でスペーサーを介
して多数のボイド管を並列し、これを動かないようにバ
ンド等で結束した後、上端筋を配筋してコンクリートを
打設するという工程を採るため、床板施工に手間と時間
がかかり、能率が悪いという問題があった。

【０００５】また、壁板は厚さ350〜400mmと厚く、単位
面積あたりの重量が大となるため、運搬移動等の取扱い
上小さなＰCa板に分割して使用しなければならず、コス
ト高や性能面での不安を免れないと共に、分割した壁板
相互の接合に高価な鉄筋継手を要するなどの問題があっ
た。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、縦方向に貫
通する複数の中空部２を有し、上端に縦主筋３を突設し
た幅広な中空ＰCa板からなる壁板１，１を所要間隔を置
いて平行に建込み、内部に下端筋を配筋し、上端には軽
量胴部構成材７を幅方向に所要間隔を置いて複数並列し
て取付けてなるＰCa床板５，５を吊り込んで架設し、こ
れらの上に上端筋６を一体的に配筋した後、壁板１の中
空部２の内部から上端にかけて、ならびにＰCa床板５上
に高流動性場所打ちコンクリート９を打設し、これによ
って造成された床板１０と壁板１とを一体化させるよう
にしたボイドラーメン構造物の構築工法を提案するもの
である。

【０００７】

【作用】壁板１として中空ＰCa板を用いるため、単位面
積あたりの重量が小さくて、取扱い上も軽量で幅広な板
として使用でき、また上下の縦主筋３を中空部２でラッ
プさせて連続させ、中空部２内に打設した高流動性場所
打ちコンクリート９により一体化することができる。

【０００８】床板１０は壁板１，１間に架設したＰCa板
５上に場所打ちコンクリート９を打設して造成するた
め、従来のような型枠設置、下端筋の配筋およびボイド
管の設置などの手間や時間のかかる作業を省略して、省
力化することができる。

【０００９】ＰCa板５上には予め軽量胴部構成材７が取
付けられているため、場所打ちコンクリート９を打設す
ることにより、板厚が大きい割には軽量なボイド床板を
構成することができる。

【００１０】

【実施例】壁板１として縦方向に貫通する複数の中空部
２を有し、上端に縦主筋３を突設した幅広な中空ＰCa板
を用い、この壁板１，１を図２に示すように所要間隔を
置いて平行に建込み、斜めの支持ステー４により支持す
る。

【００１１】次いで図３に示すように壁板１，１間に２
枚のＰCa床板５，５を吊り込んで架設し、これらの上に
上端筋６を一体的に配筋すると共に、床板５，５の上下
端の主筋を縦主筋３に交差連結する。

【００１２】ＰCa床板５は、その上部に打設する場所打
ちコンクリートと一体化して床版を構成するようにした
半ＰCa板で、その内部には下端筋が配筋され、上端には
発泡合成樹脂などの軽量角材、あるいは中空管等からな
る軽量胴部構成材７が幅方向に所要間隔を置いて複数並
列して取付けられ、さらに軽量胴部構成材７に隣接して
上端筋６の支持筋８が一体に固定されている。

【００１３】上端筋６を配筋してＰCa床板５の両側に型
枠を設置した後、壁板１の中空部２の内部から上端にか
けて、ならびにＰCa床板５上に高流動性場所打ちコンク
リート９を打設し、これによって造成された床板１０と
壁板１とを一体化させる。

【００１４】この場合、ＰCa床板５上に取付けた軽量胴
部構成材７により、床板１０内には発泡合成樹脂などの
軽量材料の詰まった胴部、あるいは中空管による中空胴
部が隣接して形成され、床板１０は軽量で曲げに耐力を
有するなボイド板として構成される。

【００１５】そして上階層を施工する場合には、壁板１
を吊り込んでその中空部内に下層階の壁板１から突出す
る縦主筋３を挿入しながら建込み、上記同様の工程で壁
板１と、ＰCa板５及び場所打ちコンクリート９からなる
床板１０とを一体化させる。

【００１６】

【発明の効果】以上の通りこの発明によれば、壁板とし
て中空ＰCa板を用いるため、取扱い上も軽量で幅広な板
として使用でき、高価な鉄筋継手も不要で施工コストを
低減することができると共に、上下の縦主筋を中空部で
ラップさせて連続させ、中空部内に打設した高流動性場
所打ちコンクリートにより一体化することができる。

【００１７】床板は壁板間に架設したＰCa板上に場所打
ちコンクリートを打設して造成するため、従来のような
型枠設置、下端筋の配筋およびボイド管の設置などの手
間や時間のかかる作業を省略して、省力化することがで
きる。

【００１８】ＰCa板上には予め軽量胴部構成材が取付け
られているため、場所打ちコンクリートを打設すること
により、板厚が大きい割には軽量なボイド床板を構成す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の施工状態の一態様を示す斜視図。

【図２】この発明の施工状態の他の態様を示す斜視図。

【図３】この発明の施工状態のさらに他の態様を示す斜
視図。

【符号の説明】

１ 壁板 ２ 中空部 ３ 縦主筋 ４ 支持ステー ５ ＰCa床板 ６ 上端筋 ７ 軽量胴部構成材 ８ 支持筋 ９ 場所打ちコンクリート １０ 床板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 縦方向に貫通する複数の中空部を有し、
   上端に縦主筋を突設した幅広な中空ＰCa板からなる壁板
   を所要間隔を置いて平行に建込み、内部に下端筋を配筋
   し、上端には軽量胴部構成材を幅方向に所要間隔を置い
   て複数並列して取付けてなるＰCa床板を吊り込んで架設
   し、これらの上に上端筋を一体的に配筋した後、前記壁
   板の中空部の内部から上端にかけて、ならびに前記ＰCa
   床板上に高流動性場所打ちコンクリートを打設し、これ
   によって造成された床板と前記壁板とを一体化させるこ
   とを特徴とするボイドラーメン構造物の構築工法。