JPH06287335A - ヒドロゲルおよびその製造方法 - Google Patents

ヒドロゲルおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH06287335A
JPH06287335A JP7987493A JP7987493A JPH06287335A JP H06287335 A JPH06287335 A JP H06287335A JP 7987493 A JP7987493 A JP 7987493A JP 7987493 A JP7987493 A JP 7987493A JP H06287335 A JPH06287335 A JP H06287335A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
hydrogel
lens
treatment
hydrophilic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7987493A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kiguchi
浩史 木口
Hiroshi Aoyama
拓 青山
Osamu Wada
修 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP7987493A priority Critical patent/JPH06287335A/ja
Publication of JPH06287335A publication Critical patent/JPH06287335A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Eyeglasses (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒドロゲル表面を親水性化処理する。 【構成】 ヒドロゲル表面を親水性ポリマーで被覆また
はグラフト重合する。プロセスは全工程湿式にて行う。 【効果】 表面親水化ゲルは、乾燥状態の時は親水基の
再結合による消滅が無く、含水状態にあっても親水基の
内部へのもぐりこみ(回転拡散)が無い。したがって恒
久的に表面の親水性を維持できる。また、全工程湿式に
することにより膨潤、乾燥のくり返しによるゲルの変形
を抑制することができる。これらによりヒドロゲルの生
体適合性材料への応用が広がり、非常に大きな効果があ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面の濡れ性および保水
性を恒久的に維持したヒドロゲルを獲得するための方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にヒドロゲルは、柔軟性に富み、優
れた機械的安定性と生体適合性を示すとされている。ま
た透明性を兼ね備えているため、その光学機能を応用し
て眼内レンズや人工角膜などの眼科用材料あるいはコン
タクトレンズ等に広く利用されている。ヒドロゲルの水
と相性がよいという特徴は、各種生体材料にとって特に
好ましいこととされる。
【0003】ところが、実際のヒドロゲルは、その表面
の濡れ性を接触角(空気中、水滴による)にて測定する
と、含水状態において疎水性を示す。例えば2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートについてその表面張力をRa
belの方法で測定すると含水状態では44.5dyn
e/cm、乾燥状態では56.0dyne/cmを示
す。この現象は次のように説明できる。特に水和度の高
いヒドロゲルの場合は、OH基のような親水性の基が空
気にさらされていること自体が不自然で、そのようなヒ
ドロゲルを水から引き上げると同時に親水基は、ポリマ
ー分子の回転運動性により分子鎖を主軸に回転をして高
分子内部に回りこみ(回転拡散)、逆に表面には空気と
相性の良い疎水性の基が露出する。また、乾燥状態で
は、上記のような回転拡散がほとんど起こらないため
に、ある程度の濡れがあるという訳である。
【0004】さて、ヒドロゲルは医療材料として応用さ
れているが、代表的な応用例の一つとしてソフトコンタ
クトレンズが挙げられる。コンタクトレンズ装用時の異
物感を減少させて装用感を向上させるには、角膜上の涙
液層とレンズ表面とのなじみを良くすることが重要であ
る。一つの方法としては、コンタクトレンズ表面の濡れ
性を向上させることがあげられる。ところで、ソフトコ
ンタクトレンズといわれるものの多くは含水性の高分子
すなわちヒドロゲルであり、装用中は涙液を含んだ含水
状態であるので、先の理由からその表面は疎水性を示
す。また、ヒドロゲルは一般に生体適合性に優れるとい
われているが、実際は含水しているが故にその表面はソ
フトコンタクトレンズの場合と同様に疎水性である。そ
のため、生体組織と材料間の界面に生化学的な異物性が
生じ、血栓等が比較的付着しやすく、長期的な生体親和
性を保持することはできなかった。
【0005】こうしたヒドロゲル表面あるいはソフトコ
ンタクトレンズ表面の親水化処理は、特開昭54−87
758号に記載の低温プラズマ処理による方法がある。
また、シリコンラバーなどの非含水タイプのソフトコン
タクトレンズを放電処理により親水化したとする特開昭
53−49288号が存在する。これらはすべて乾式の
表面処理のみを施す方法であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の従来技
術すなわち放電処理および低温プラズマ処理などの乾式
の表面処理のみでは、ヒドロゲルの表面濡れ性を一時的
に向上させるにとどまるものであり、ゲルが含水するこ
とによって親水基はゲル内部に拡散した。たとえ乾燥状
態でゲルを保存しても、表面の親水基は経時変化ととも
に若干の回転拡散を受けるか、あるいは再結合により消
滅するのでこれらの方法はいずれも濡れ性を恒久的に保
持する試みとは言えなかった。
【0007】また、従来の放電処理は乾式の処理である
ため、処理前にヒドロゲルを乾燥状態に戻す必要があ
る。これは、親水化処理によるヒドロゲルの変形を抑制
するという点において管理ポイントが複雑になることを
意味するものである。例えば、コンタクトレンズなどの
場合、成形し、検査後、水に膨潤させて出荷するのであ
るが、これに表面親水化処理の工程を追加するためには
膨潤レンズを再び乾燥させる必要があった。このような
乾燥、膨潤を繰り返す工程はレンズの変形を誘発し、変
形したレンズはベースカーブ等が規格値を満たすことが
できなかったり、あるいは変形によって親水化処理を均
一に施すことができないなど、様々な点で品質を保証す
ることができなかった。したがって、ヒドロゲルが変形
しないように膨潤状態のままその表面を親水化処理する
方法、すなわち全工程湿式の表面処理方法の確立が望ま
れていた。
【0008】そこで、本発明は従来のこのような問題点
を解決するため、その目的とするところは、表面の濡れ
性および保水性を恒久的に維持したヒドロゲルおよびそ
の製造方法を提供すること、またヒドロゲルを乾燥する
ことなく表面親水化処理をするための製造方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のヒドロゲルは、親水性表面を有することを特
徴とし、前記親水性表面が、親水性高分子の被覆により
成されていることを特徴とする。また、本発明のヒドロ
ゲルの製造方法は、前記親水性高分子の被覆が、親水性
高分子の表面グラフト重合処理により達成されることを
特徴とし、前記表面グラフト重合処理工程が、(1)ヒ
ドロゲル表面に反応性の官能基を導入する工程と、
(2)親水性モノマーを表面グラフト重合する工程とか
ら成ることを特徴とし、さらに、前記(1)の工程が、
湿式の化学処理により行われることを特徴とする。
【0010】以下、実施例により本発明の詳細を示す。
【0011】
【実施例】
(実施例1)2−ヒドロキシエチルメタクリレート(H
EMA)の30wt%モノマー水溶液40mlに硫酸ア
ンモニウムセリウム0.1gを溶解させる。この溶液を
直径10cmのガラスシャーレに展開し、60℃にて2
時間重合することにより、厚さ約0.5mmの含水ポリ
HEMAフィルムを得た。
【0012】次に、ポリHEMAフィルムを1cm角に
切り取り、水を切り、イソプロピルアルコール中に浸漬
し、フィルムに含まれる水を十分置換した。フィルムを
200mlナスフラスコに入れ、更にイソプロピルアル
コール40ml,過酸化ベンゾイル(市販品を再結晶)
2.0g、活性炭2.0gを入れ、45℃にて50時間
還流した。フィルムを取り出し、エタノールで洗浄して
から水洗いし、十分水に置換することにより再び含水ゲ
ルとし、湿式の化学処理を終了した。
【0013】引き続き、表面グラフト重合処理に移っ
た。まず、アクリルアミドの40wt%水溶液を調整
し、9mlビーカーにとった。これに化学処理済みのポ
リHEMAフィルムを入れ、0.2mol/l硝酸アン
モニウムセリウム(IV)水溶液を1ml加えて、窒素
置換後密栓し、30℃にて4時間重合した。フィルムを
取り出し、60℃の温水中で10時間リンスしてホモポ
リマーを除去した。
【0014】同様な処理により別々に作成した3枚の表
面親水化ポリHEMAフィルムを用意し、含水状態(水
中に3時間以上浸漬、含水率28%)と乾燥状態(40
℃にて真空乾燥、8時間)について水による液滴法にて
接触角を測定した。
【0015】従来技術の比較として、作成後40℃で8
時間真空乾燥させたポリHEMAフィルムを15KVに
てコロナ放電処理をし(電極間2mm中にて5分間)ふ
たたび水に膨潤させたものもの(比較例No.4〜6)
を3枚用意した。これらについても含水状態(水中に3
時間以上浸漬、含水率28%)および乾燥状態(40℃
にて真空乾燥、8時間)について水による液適法にて接
触角を得た。このときのこの結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1の結果より明らかなように、アクリル
アミドを表面にグラフト重合したフィルムは含水状態に
おいても優れた水濡れ性を示し、乾燥状態との差がわず
かであるので恒久的な濡れ性を保持することがわかっ
た。一方、放電処理のみのフィルムは乾燥状態で接触角
が高く、含水状態においてはより疎水性を示した。以上
により、表面グラフト重合処理したヒドロゲルは含水状
態および乾燥状態に置いても経時変化無く表面親水性を
保持することがわかった。
【0018】(実施例2)2−ヒドロキシブチルメタク
リレート、エチレングリコールジメタクリレート(架橋
剤として)を主成分とするソフトコンタクトレンズ基材
(レンズ成形品作成の場合と同様の操作で、平板に加工
してあり、表面にキズ、ムラ等の無い試料)を用意し
た。次に、レンズ基材をイソプロピルアルコール中に浸
漬し十分膨潤させた。膨潤レンズ材を200mlナスフ
ラスコに入れ、更にイソプロピルアルコール40ml,
過酸化ベンゾイル(市販品を再結晶)2.0g、活性炭
2.0gを入れ、45℃にて50時間還流処理した。レ
ンズ基材を取り出し、エタノールで洗浄してから水洗い
し、十分水に置換することにより再び含水ゲルとし、化
学処理を終了した。
【0019】引き続き、表面グラフト重合処理に移っ
た。まず、アクリルアミド105g、N,N’−メチレ
ンビスアクリルアミド15gを水150gに溶かし、モ
ノマー水溶液を調整し、これを2.7ml試験管にとっ
た。これに化学処理済みのレンズ基材を入れ、あらかじ
め調整しておいた硫酸第一鉄アンモニウム水溶液(1.
568g/10.0g水)を0.3ml加えて、10分
間溶液を窒素置換バブリングした後、直ちに密栓をし
て、35℃にて2時間重合した。レンズを取り出し、6
0℃の温水中で10時間リンスし、ホモポリマーを除去
した。
【0020】同様な処理により別々に作成した3枚の表
面親水化ソフトコンタクトレンズ基材を用意し、含水状
態(水中に3時間以上浸漬、含水率28%)と乾燥状態
(40℃にて真空乾燥、8時間)についてRabelの
方法にて20℃における臨界表面張力γcを測定し、未
処理のレンズ基材(比較例No.4〜6)の含水状態
(水中に3時間以上浸漬、含水率28%)と乾燥状態
(40℃にて真空乾燥、8時間)についてのγcと比較
した。この結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】γcは、その固体に固有の値であり、濡れ
を示す指標になる。つまりγc以下の表面張力を持つ液
体は、その固体表面で拡張濡れを起こし、接触角は0と
なる。一方、γc以上の表面張力を持つ液体は、この固
体表面で拡張濡れを起こすことができず、一定の接触角
を示す。ところで、涙液の表面張力は40〜50dyn
e/cmであり、固−液の界面張力を無視すればγcが
涙液の表面張力以上であればその表面は涙液により濡れ
ることになる。このようなレンズは生体(眼)に対して
親和性があると言える。したがって、表2の結果より明
らかなように、アクリルアミドを表面にグラフト重合し
たレンズ基材は含水状態においても優れた涙液濡れ性を
示し、乾燥状態との差がほとんど無いので恒久的に高い
濡れ性を保持することがわかった。一方、未処理のレン
ズは乾燥状態でやや涙液親和性があるものの、含水状態
では涙液において拡張濡れを起こさない場合があること
を示した。以上により、表面親水化処理したヒドロゲル
は、乾燥状態のみならず含水状態においてさえも表面親
水(涙液)性を保持することがわかった。
【0023】(実施例3)N−ビニルピロリドン、2,
3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラエチ
レングリコールジメタクリレート(架橋剤として)を主
成分とするソフトコンタクトレンズ(切削研磨法により
レンズ成形後、水に膨潤済み)を用意した。次に、レン
ズの水を切り、n−オクチルアルコール中に浸漬し、レ
ンズに含まれる水を十分置換した。レンズを200ml
ナスフラスコに入れ、更にn−オクチルアルコール40
ml,過酸化ベンゾイル(市販品を再結晶)2.0g、
活性炭2.0gを入れ、45℃にて50時間還流処理し
た。レンズを取り出し、エタノールで洗浄してから水洗
いし、十分水に置換することにより再び含水ゲルとし
た。
【0024】引き続き、表面グラフト重合処理に移っ
た。まず、アクリルアミドの105g、N,N’−メチ
レンビスアクリルアミド15gを水150gに溶かし、
モノマー水溶液を調整し、これを2.7ml試験管にと
った。これに化学処理済みのレンズを入れ、これを真空
系に接続し、管内を脱気し、そのまま真空封管を行っ
た。この状態で試験管を往復振とう機(EP−1、大洋
サービスセンター株式会社製)に挿入し揺動を与えなが
ら80℃の恒温下で60分間基材表面へのグラフト重合
処理を行った。レンズを取り出し、60℃の熱水中で1
0時間リンスし、ホモポリマーを除去した。
【0025】同様な処理により別々に作成した3枚の表
面グラフト化ソフトコンタクトレンズを用意し、含水状
態(りん酸緩衝液PBS中に3時間以上浸漬、含水率2
8%)に置いて、この時のタンパク質吸着量を調べた。
これは、フルオレセインイソチオシナネートで蛍光ラベ
ルした免疫グロブリン(IgG)の吸着量(35℃、4
時間のとき)を蛍光分光法により定量する方法を採用し
た。
【0026】従来技術の比較として、作成後40℃にて
8時間にていったん真空乾燥したレンズ成形品をRFに
よる酸素プラズマ処理(0.4torr、100W、1
0分間)し、ただちにPBSに膨潤させたものもの(比
較例No.4〜6)を用意した。これらについても含水
状態(水中に3時間以上浸漬、含水率28%)について
IgG吸着量を求めた。このときのこの結果を表3に示
す。
【0027】
【表3】
【0028】表3の結果より明らかなように、グラフト
重合品のタンパク吸着量はプラズマ処理品の約半分であ
った。これは、アクリルアミドを表面にグラフト重合し
たレンズは含水状態においても優れた水濡れ性を示す一
方で、放電処理のレンズは含水状態では回転拡散により
表面は疎水性であることによると思われる。以上によ
り、表面親水化処理したレンズはタンパク質吸着を抑制
することが分かった。
【0029】(実施例4)実施例1同様のポリHEMA
フィルム(1cm角)を用意した。
【0030】アクリル酸5g、N,N’−メチレンビス
アクリルアミド0.133g(架橋剤として)および過
硫酸アンモニウム40mg(重合開始剤として)を10
0mlの水に溶かしたものを用意した。この水溶液中に
フィルムを入れ、充分膨潤させた後、60℃に加熱して
アクリル酸の重合反応を行うことによってアクリル酸で
フィルムを被覆した。フィルムを取り出し、60℃の温
水で10時間未反応のモノマーを除去した。
【0031】同様な処理により別々に作成した3枚の表
面親水化ポリHEMAフィルムを用意し、含水状態(水
中に3時間以上浸漬、含水率28%)と乾燥状態(40
℃にて真空乾燥、8時間)について水による液滴法にて
接触角を測定し、親水化処理しないフィルム(比較例N
o.4〜6)の接触角と比較した。この結果を表4に示
す。
【0032】
【表4】
【0033】表4の結果より明らかなように、アクリル
酸を表面に被覆したフィルムは含水状態においても優れ
た水濡れ性を示し、乾燥状態との差がわずかであるので
恒久的な濡れ性を保持することがわかった。一方、未処
理のフィルムは含水状態では疎水性を示した。以上によ
り、表面親水化処理したヒドロゲルは含水状態において
さえも表面親水性を保持することがわかった。
【0034】(実施例5)2−ヒドロキシブチルメタク
リレート、エチレングリコールジメタクリレート(架橋
剤として)を主成分とするソフトコンタクトレンズ成形
品(直径 13.0mm、ベースカーブ 8.30m
m、パワー −3.00D 、切削研磨法によりレンズ成
形後、水に膨潤済み)を用意した。
【0035】次に、レンズを大量のイソプロピルアルコ
ール中に一夜浸漬し、レンズに含まれる水を十分置換し
た。レンズを200mlナスフラスコに入れ、更にイソ
プロピルアルコール40ml、2,2’−アゾイソブチ
ロニトリル(市販品を再結晶)2.0g、活性炭2.0
gを入れ、45℃にて50時間還流処理した。レンズを
取り出し、エタノールで洗浄してから水洗いし、十分水
に置換することにより再び含水ゲルとし、湿式の化学処
理を終了した。
【0036】引き続き、表面グラフト重合処理に移っ
た。まず、アクリルアミド105g、N,N’−メチレ
ンビスアクリルアミド15gを水150gに溶かし、モ
ノマー水溶液を調整し、これを2.7ml試験管にとっ
た。これに化学処理済みのレンズ基材を入れ、あらかじ
め調整しておいた硫酸第一鉄アンモニウム水溶液(1.
568g/10.0g水)を0.3ml加えて、10分
間溶液を窒素置換バブリングした後、直ちに密栓をし
て、35℃にて2時間重合した。レンズを取り出し、6
0℃の温水中で10時間リンスし、ホモポリマーを除去
した。
【0037】同様な処理により別々に作成した3枚の表
面親水化ソフトコンタクトレンズを用意し、含水状態
(処理後水中に8時間浸漬、含水率28%)と乾燥状態
(40℃にて真空乾燥、8時間)について水による液滴
法にて接触角を測定し、表面の濡れ性を評価した。あわ
せてレンズの親水化処理前後のベースカーブ変化を測定
した。
【0038】従来技術の比較として、コンタクトレンズ
成形品を40℃にて8時間真空乾燥させた後、RFによ
る酸素プラズマ処理(0.4torr、100W、10
分間)を行い、ふたたび水に膨潤させたものを3枚用意
した。これらのレンズを上記と同様の方法で表面に親水
性のモノマーをグラフト重合した(比較例No.4〜
6)。これらについても含水状態(放電後、水中に8時
間浸漬、含水率30%)および乾燥状態(40℃にて真
空乾燥、8時間)について水による液適法にて接触角を
得た。この結果を表5に示す。あわせてレンズの親水化
処理前後のベースカーブ変化を求めた。この結果を表6
に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】表5の結果より明らかなように、湿式およ
び乾式の方法いずれもアクリルアミドを表面にグラフト
重合したレンズは含水状態においても優れた水濡れ性を
示し、乾燥状態との差がわずかであるので恒久的な濡れ
性を保持することがわかった。しかし、表6の結果を見
ると、全工程湿式の処理した場合レンズではベースカー
ブに変化は無いのに対し、乾式の放電処理を行った場合
は、ベースカーブが大きく変化しレンズは処理により変
形した。
【0042】この結果により、湿式の化学処理にて官能
基を導入後、表面グラフト重合処理したヒドロゲルは、
含水状態および乾燥状態に置いても経時変化無く表面親
水性を保持し、しかも処理によるレンズ変形がないこと
がわかった。
【0043】本発明に関する対象材料として実施例にお
いて各種ヒドロゲルを例にとり説明したが、これらに限
ることなく、ポリビニルアルコールとアクリル酸基の共
重合体、ポリビニルピロリドン、ポリ−2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸、あるいはミクロ
相分離構造によるヒドロゲル(例えば、HEMA−グラ
フト−Stあるいは、枝:ポリ塩化ビニル 幹:ポリエ
チレンオキシドから成るグラフトポリマーのヒドロゲル
等)でも同様な結果が得られた。
【0044】なお、本発明では、被覆の方法としてアク
リル酸の重合を例に挙げて説明したが、親水性ポリマー
のスピンコートやディッピングによる処理、またはLB
膜製造プロセスを応用した方法においても同様な結果を
得ることが出来る。
【0045】本発明の実施例では親水性モノマーとして
アクリルアミド、アクリル酸を例に挙げて説明したが、
これに限ることなく他の親水性モノマーである2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、
N−ビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、さらに
2官能性モノマーとしてグリセリンジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレートなどのアクリレ
ート系、およびエチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレン
グリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメ
タクリレートなどのメタクリレート系、さらにはN置換
アクリルアミドモノマーであるN−エチルアクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、N−シクロプロピルア
クリルアミドなどのアルキルアクリルアミドや、N,N
−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルア
クリルアミドなどのジアルキルアクリルアミド等を用い
ても同様な結果が得られることを確認した。
【0046】また、本実施例では、含水性のヒドロゲル
系のソフトコンタクトレンズについて説明してきた。し
かし、場合によっては、非含水の非ヒドロゲル系のソフ
トコンタクトレンズ(例えば、シリコンラバー、ブチル
アクリレート・ブチルメタクリレート共重合体)におい
て、また、ポリメチルメタクリレートなどのハードコン
タクトレンズに関しても応用が可能である。
【0047】さらに、ポリエチレンフィルム、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アセテ
ート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリスチ
レン、ポリカーボネート、その他様々な高分子材料の表
面処理に対しても応用できる。 加えて、各種包装材、
農業用保水材、クロマトグラム用カラムの充填剤、酸素
富化膜、細胞培養用培地への応用でき、さらに透析膜、
薬物徐放カプセル、人工吸収性縫合糸、眼内レンズ、人
工器官、人工鼻、人工皮膚、カテーテル、人工臓器など
の医療用製品にも応用が可能である。また、ヒドロゲル
の刺激応答機能を利用した応用例として、人工筋肉、各
種アクチュエーター、バイオセンサー、スイッチ、記憶
素子、さらに物質の有効な分離、濃縮を目的とした膜の
透過性、薬剤の除放性を制御するケミカルポンプ的な利
用など広範な応用が期待される。
【0048】なお、グラフトポリマーにN−イソプロピ
ルアクリルアミドなどの感熱特性を持つポリマーを採用
することによって、酵素の脱・吸着による酵素反応の制
御、酵素の回収、マイクロマシン用センサーなどの用途
に適用できる。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ヒ
ドロゲルの表面を親水性高分子で被覆することにより、
ゲルが乾燥状態の時は親水基の再結合による消滅を防
ぎ、含水状態にあっても親水基の内部へのもぐりこみ
(回転拡散)を防止した。したがって恒久的に表面の親
水性を維持できた。また、親水化処理の全工程を湿式に
することにより、膨潤、乾燥のくり返しによるゲルの変
形を抑制することができた。これらより、ヒドロゲルの
生体材料への応用が広がり、非常に大きな効果があるこ
とが明らかとなった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性表面を有することを特徴とするヒ
    ドロゲル。
  2. 【請求項2】 前記親水性表面が、親水性高分子の被覆
    により成されていることを特徴とする請求項1記載のヒ
    ドロゲル。
  3. 【請求項3】 前記親水性高分子の被覆が、親水性高分
    子の表面グラフト重合処理により達成されることを特徴
    とするヒドロゲルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記表面グラフト重合処理工程が、
    (1)ヒドロゲル表面に反応性の官能基を導入する工程
    と、(2)親水性モノマーを表面グラフト重合する工程
    とから成ることを特徴とする請求項3記載のヒドロゲル
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記(1)の工程が、湿式の化学処理に
    より行われることを特徴とする請求項4記載のヒドロゲ
    ルの製造方法。
JP7987493A 1993-04-06 1993-04-06 ヒドロゲルおよびその製造方法 Pending JPH06287335A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7987493A JPH06287335A (ja) 1993-04-06 1993-04-06 ヒドロゲルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7987493A JPH06287335A (ja) 1993-04-06 1993-04-06 ヒドロゲルおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06287335A true JPH06287335A (ja) 1994-10-11

Family

ID=13702377

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7987493A Pending JPH06287335A (ja) 1993-04-06 1993-04-06 ヒドロゲルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06287335A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017052911A (ja) * 2015-09-11 2017-03-16 株式会社日本触媒 徐放性薬剤用ゲル化剤
WO2017146101A1 (ja) 2016-02-22 2017-08-31 東レ株式会社 デバイスおよびその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017052911A (ja) * 2015-09-11 2017-03-16 株式会社日本触媒 徐放性薬剤用ゲル化剤
WO2017146101A1 (ja) 2016-02-22 2017-08-31 東レ株式会社 デバイスおよびその製造方法
US11045574B2 (en) 2016-02-22 2021-06-29 Toray Industries, Inc. Device and production method for the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5094876A (en) Surface modified surgical instruments, devices, implants, contact lenses and the like
JP2506611B2 (ja) 被覆多孔質膜の形成方法
AU716543B2 (en) Immobilization of chemical species in crosslinked matrices
JP2566548B2 (ja) 表面改質した外科用機器、器具、インプラント、コンタクトレンズおよびその類似物
US5807636A (en) Durable hydrophilic surface coatings
US4944879A (en) Membrane having hydrophilic surface
US4961954A (en) Surface modified surgical instruments, devices, implants, contact lenses and the like
JP2992556B2 (ja) 表面改質した医療器具
US5429839A (en) Method for grafting preformed hydrophillic polymers onto hydrophobic polymer substrates
JPS6287163A (ja) 抗血栓性材料の製造法
Bajpai Fibrinogen adsorption onto macroporous polymeric surfaces: correlation with biocompatibility aspects
JPH0311787B2 (ja)
JPH06287335A (ja) ヒドロゲルおよびその製造方法
JPH08319329A (ja) ヒドロゲルの製造方法
JP2003215509A (ja) 親水化表面を有するシリコーンハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズの製造方法及びソフトコンタクトレンズ
Bajpai et al. Evaluation of water sorption property and in vitro blood compatibility of poly (2-hydroxyethyl methacrylate)(PHEMA) based semi interpenetrating polymer networks (IPNs)
JPS60171140A (ja) ヒドロゲル被覆重合体およびその製造法
JPS6294819A (ja) コンタクトレンズ
EP0534014A1 (en) Non-adhesive biocompatible surface
JPH04316013A (ja) コンタクトレンズの製造方法
JPH0467011A (ja) コンタクトレンズの製造方法
Thomes The influence on protein adsorption of surface chemistry and surface roughness produced via the pulsed plasma technique
JPH05156056A (ja) プラスチックフィルム及びその製造方法
JPH04338713A (ja) コンタクトレンズの製造方法
JPH0376971B2 (ja)