JPH06287228A - ポリエチレン及びそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

ポリエチレン及びそれを含有する熱可塑性樹脂組成物

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JPH06287228A
JPH06287228A JP1234694A JP1234694A JPH06287228A JP H06287228 A JPH06287228 A JP H06287228A JP 1234694 A JP1234694 A JP 1234694A JP 1234694 A JP1234694 A JP 1234694A JP H06287228 A JPH06287228 A JP H06287228A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エチレン単量体のみから誘導され、加工特性
などに優れ、かつ不飽和基を用いた各種変性が可能な、
通常のHDPE,L−LDPE,LDPEとは異なるポ
リエチレン,その水添処理物及びそれらを含有する熱可
塑性樹脂組成物を提供すること。 【構成】 エチレン単量体から誘導され、かつポリマー
主鎖中に四級炭素を含まず、溶融流動の活性化エネルギ
ー(Ea)が8〜20kcal/モルであるとともに、
ハギンス定数(k)と極限粘度〔η〕とが、式 k≧0.2+0.0743×〔η〕 の関係を満たし、135℃のデカリン溶媒に可溶である
ポリエチレン、その炭素−炭素不飽和結合を水添処理し
てなるポリエチレン及びそれらのポリエチレンを含有す
る熱可塑性樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なポリエチレンに関
する。さらに詳しくは、エチレン単量体のみから誘導さ
れ、溶融流動の活性化エネルギーの制御が可能であっ
て、加工特性に優れる上、ポリエチレン単体で密度,融
点,結晶性などの物性をコントロールすることができ、
さらには不飽和基を用いた各種変性が可能であるなどの
特徴を有するポリエチレンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレンやエチレン−α−オ
レフィン共重合体は、分子量,分子量分布,共重合性
(ランダム性,ブロック性,分岐度分布)、さらにはジ
エンなどの第3成分の添加により分岐を導入するなどで
一次構造をコントロールすることがなされてきた。とこ
ろで、エチレン系重合体の成形方法は多岐にわたり、代
表的な成形方法としては、例えば射出成形,押出し成
形,ブロー成形,インフレーション成形,圧縮成形,真
空成形などが知られている。このような成形方法におい
ては、加工特性を向上して加工コストを低下させるため
に、高速成形性の付与や成形加工の低エネルギー化の試
みが長年にわたって行われてきており、それぞれの用途
に合った最適な物性を付与し、最適な加工特性でもって
成形することが重要な課題となっている。
【0003】また、近年、均一系メタロセン系触媒は、
オレフィン間の共重合性に優れ、得られるポリマーの分
子量分布が狭く、かつ従来のバナジウム系触媒と比較し
て極めて高い触媒活性を示すことが明らかにされた。し
たがって、このような特徴をいかして様々な用途分野へ
の展開が期待されている。しかしながら、一方でメタロ
セン系触媒により得られたポリオレフィンは、その成形
加工特性に問題が多く、ブロー成形やインフレーション
成形の際には制限を免れないという欠点を有している。
【0004】従来知られている低密度ポリエチレン(L
DPE)は、エチレンの高圧ラジカル重合によって得ら
れ、長鎖分岐及び短鎖分岐の両方を有する構造のもので
ある。該長鎖分岐はポリマーのラジカル生長末端とポリ
マーとの分子間水素移動反応によって生成することがい
われている。一方、短鎖分岐の生成する機構については
種々の説明がなされている。例えば back-biting機構が
提案されている〔「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン
・ケミカル・ソサエティ(J. Am. Chem. Soc.)」第75
巻,第6110ページ(1953年)〕。これは、生長
ラジカル末端で六員環中間体を経由し、水素移動による
ブチル分岐の生成を合理的に説明したものである。ま
た、高圧下で生成するエチレン2分子会合体と生長ラジ
カル末端の水素移動反応によりブチル分岐が、またエチ
レン2分子会合体中での水素移動反応によるブテン−1
の生成によりエチル分岐が導入されることが報告されて
いる〔「マクロモレキュラル・ケミストリィ(Makromol.
Chem.) 」第181巻,第2811ページ(1981
年)〕。さらに、エチル分岐の生成を、エチル分岐ラジ
カルへのポリマー主鎖からの水素移動によることが報告
されている〔「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエン
ス(J. Polym. Sci.) 」第34巻,第569ページ(1
959年)〕。
【0005】このように、低密度ポリエチレンの長鎖分
岐や短鎖分岐の生成は、ラジカル重合に基づく(1)水
素移動反応,(2)高圧下でのエチレン分子会合による
ラジカル重合反応性の変化によることに集約され、一般
的に認められた反応機構である。したがって、上記反応
過程において、長鎖分岐や短鎖分岐の存在量、短鎖分岐
の炭素数を任意に制御することは不可能であり、特にメ
チル分岐,プロピル分岐,ヘキシル分岐、また分岐α−
オレフィンより誘導される短鎖分岐(例えば4−メチル
ペンテン−1分岐)などを導入し又は制御することに限
界がある。このような低密度ポリエチレンは、長鎖分岐
によって、溶融張力,溶融流動の活性化エネルギーが大
きいために、高速成形性に優れ、フィルムなどに適して
いるが、分子量分布が広く、低分子量成分を含むため、
耐環境応力亀裂性(ESCR)が低く、かつ耐衝撃性が
小さいという欠点を有している。
【0006】一方、高密度ポリエチレン骨格に、長鎖分
岐を導入したエチレン系重合体が種々開示されている。
例えば(1)α,ω−ジエン、環式エンドメチレン系ジ
エンを用いた長鎖分岐を有するオレフィン系共重合体
(特開昭47−34981号公報)、(2)非共役ジエ
ンとオレフィンとを共重合させる際、重合を2段階で行
い、高分子量体部の非共役ジエン含有量が、低分子量体
部のそれより多い共重合体の製造方法(特開昭59−5
6412号公報)、(3)メタロセン/アルミノキサン
系触媒を用いた、エチレン/α−オレフィン/1,5−
ヘキサジエン共重合体(特表平1−501555号公
報)、(4)0価又は二価のニッケル化合物と特定のア
ミノビス(イミノ)化合物を触媒とし、α,ω−ジエン
をエチレンと共重合することにより、長鎖分岐を導入す
る方法(特開平2−261809号公報)、(5)上記
(4)と同一の触媒成分を用い、エチレンのみを重合す
ることによって得られる短鎖分岐長鎖分岐の双方を含む
ポリエチレン(特開平3−277610号公報)などが
開示されている。
【0007】しかしながら、上記(1)の共重合体にお
いては、ジエン成分が長鎖分岐の形成に関与すると同時
に、架橋反応を併発し、フィルム成形時にゲルが発生し
たり、また溶融特性が逆に低下し、制御範囲が極端にせ
まい上、共重合反応性も低く、低分子量体の生成に基づ
く物性低下などの問題がある。(2)の共重合体の製造
方法においては、高分子量成分に長鎖分岐を導入するた
めに、架橋による分子量の増大が著しく、不溶不融化や
ゲル化を併発するおそれがあり、制御範囲がせまい上、
共重合反応性も低く、低分子量体の生成に基づく物性低
下などの問題がある。また、(3)の共重合体において
は、分子量分布が狭く、ブロー成形やフィルム成形など
に対して不利である上、1,5−ヘキサジエンの環化反
応の進行によって分岐点を形成するための有効モノマー
濃度が低いなどの欠点がある。さらに、(4)の長鎖分
岐を導入する方法はゲルの発生や物性の制御範囲がせま
いなどの問題を有している。また、(5)のポリエチレ
ンは、エチル分岐,ブチル分岐を全く含まない重合体で
あり、物性の制御、例えば密度の制御をメチル分岐で行
うため、機械物性が低下しやすいなどの問題点を有して
いる。
【0008】また、共重合方法により加工特性を付与し
たエチレン系重合体の製造方法、例えば予備重合により
高分子量体(〔η〕=10〜20デシリットル/g)を
製造したのち、本重合によってエチレン/α−オレフィ
ン共重合体を製造する方法が開示されている(特開平4
−55410号公報など)。しかしながら、この方法に
おいては、得られる共重合体の溶融特性を変化させ、溶
融張力を増加させる効果を示すものの、フィルムゲルが
発生しやすいという欠点がある。さらに、メタロセン系
触媒を用いたエチレン系重合体やその製造方法、例えば
(1)拘束幾何型触媒を用いてエチレン系重合体を製造
する方法及びそれによって得られるエチレン系共重合体
(特開平3−163088号公報)、(2)多孔質無機
酸化物(アルミニウム化合物)を担体として用いた、担
持メタロセン触媒によるポリオレフィンの製造方法(特
開平4−100808号公報)、(3)特定のハフニウ
ム系触媒によって、エチレンとα−オレフィンとから誘
導される分子量分布が狭く、溶融流動特性を向上させた
エチレン/α−オレフィン共重合体(特開平2−276
807号公報)が開示されている。
【0009】しかしながら、上記(1)の技術において
は、得られるエチレン系重合体は非ニュートン性を示す
とされているが、いまだ不充分であり、L−LDPE,
HDPEの密度範囲において機械的物性を充分に有し、
同時に加工特性を付与するには大きな制限を免れないと
いう問題がある。また、(2)の製造方法においては、
得られるエチレンとα−オレフィンとの共重合体はダイ
スウェル比が大きいとされているが、ここに開示された
エチレン/ブテン−1共重合体の融点に対するダイスウ
ェル比の関係をみると、融点の上昇に伴い、ダイスウェ
ル比が低下することは明らかである。したがって、フィ
ルムやシート成形時に問題となるネックインに関係する
ダイスウェル比を融点範囲の広い領域で制御した共重合
体を提供することはできない。一方、(3)に開示され
ているものは、α−オレフィン単位を必須単位として含
む共重合体であり、さらに樹脂密度0.92g/cm3
超える共重合体は含まれていない。また、(1)及び
(3)においては、分岐の導入に対して、エチレン/α
−オレフィン共重合体の融点が大きく低下し、かつ機械
的強度も低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、溶融流動の活性化エネルギーの制御が可
能であって、加工特性に優れる上、ポリエチレン単体で
密度,融点,結晶性などの物性をコントロールすること
ができ、さらには不飽和基を用いた各種変性が可能であ
るなどの特徴を有し、通常の高密度ポリエチレン(HD
PE),線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)やL
DPEとは異なる新規なポリエチレンを提供することを
目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する新規なポリエチレンを開発すべく鋭
意研究を重ねた結果、エチレン単量体のみから誘導され
たものであって、ポリマー主鎖中に四級炭素を含まず、
かつ溶融流動の活性化エネルギー(Ea)が特定の範囲
にあるとともに、ハギンス定数と極限粘度とが特定の関
係にあり、しかも135℃のデカリンに可溶であるポリ
エチレン、及びこのポリエチレンにおいて、炭素−炭素
不飽和結合を水添処理してなるポリエチレンがその目的
に適合しうることを見出した。本発明はかかる知見に基
づいて完成したものである。
【0012】すなわち、本発明は、エチレン単量体から
誘導される重合体において、(イ)ポリマー主鎖中に四
級炭素を含まないこと、(ロ)溶融流動の活性化エネル
ギー(Ea)が8〜20kcal/モルであること、
(ハ)デカリン溶媒中、温度135℃で測定したポリマ
ー濃度と還元粘度の関係により決定されるハギンス定数
(k)と極限粘度〔η〕とが、式 k≧0.2+0.0743×〔η〕 の関係を満たすこと、及び(ニ)温度135℃のデカリ
ン溶媒に可溶であることを特徴とするポリエチレン、及
びこのポリエチレンにおいて、末端ビニル型不飽和結合
を含む炭素−炭素不飽和結合を水添処理してなるポリエ
チレン、ならびにこれらのポリエチレンを含有してなる
熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。本発明のポ
リエチレンは、ポリマー主鎖中に四級炭素を含まず、溶
融流動の活性化エネルギーが特定の範囲にあり、かつ比
較的大きなハギンス定数を有する上、温度135℃のデ
カリン溶媒に可溶なものであって、通常のHDPE,L
−LDPE,LDPEとは異なる。この相違は、以下に
示す(A)一次構造の評価及び(B)物性評価により判
定することができる。
【0013】(A)一次構造の評価による判定 HDPE,L−LDPE,LDPEとの比較13 C−核磁気共鳴スペクトルの測定により、少なくとも
HDPE,L−LDPE,LDPEとは異なる構造を有
することが分かる。 (a)HDPE(比較的低分子量体)との比較 通常のHDPE(比較的低分子量体)は、末端構造が、
【0014】
【化1】
【0015】A:13.99,B:22.84,C:30.0
0,D:32.18(単位ppm) 〔但し、A,B,Dは、微少ピークである。〕で表さ
れ、分岐に基づくピークは存在しない。 (b)エチレン/α−オレフィン共重合体との比較 (エチレン−ブテン−1共重合体)エチレン−ブテン−
1共重合体は、分岐点近傍の構造として、
【0016】
【化2】
【0017】A:11.14,B:26.75,C:27.3
5,D:30.00,E:30.49,F:34.11,G:
39.75(単位ppm)で表される構造を有している。 (エチレン−ヘキセン−1共重合体)エチレン−ヘキセ
ン−1共重合体は、分岐点近傍の構造として、
【0018】
【化3】
【0019】A:14.08,B:23.36,C:27.3
3,D:29.57,E:30.00,F:30.51,G:
34.22,H:34.61,I:38.23(単位ppm)
で表される構造を有している。 (エチレン/4−メチルペンテン−1共重合体)エチレ
ン/4−メチルペンテン−1共重合体は、分岐点近傍の
構造として、
【0020】
【化4】
【0021】A:23.27,B:26.05,C:27.1
4,D:30.00,E:30.51,F:34.88,G:
36.03,H:44.83(単位ppm)で表される構造
を有している。 (エチレン/オクテン−1共重合体)エチレン/オクテ
ン1共重合体は、分岐点近傍の構造として、
【0022】
【化5】
【0023】A:14.02,B:22.88,C:27.2
8,D:27.33,E:30.00,F:30.51,G:
32.20,H:34.59,I:38.25(単位ppm)
で表される構造を有している。 (エチレン/プロピレン共重合体)エチレン/プロピレ
ン共重合体は、分岐点近傍の構造として、
【0024】
【化6】
【0025】A:19.98,B:27.47,C:30.0
0,D:33.31,E:37.59(単位ppm)で表さ
れる構造を有している。以上のようなエチレン/α−オ
レフィン共重合体は、α−オレフィン由来の短鎖分岐が
存在し、長鎖分岐が存在していない。
【0026】(c)LDPEとの比較 LDPEの13C−NMRスペクトルは複雑であって、短
鎖分岐(エチル,ブチル分岐)と長鎖分岐(少なくとも
ヘキシル分岐以上)とが存在しており、分岐点近傍の構
造として次に示す(イ)〜(ホ)の構造を主に有すると
考えられている。 (イ)孤立した分岐(Bn)
【0027】
【化7】
【0028】(ロ)三級炭素に結合したエチル−エチル
(1,3)分岐(peq)
【0029】
【化8】
【0030】(ハ)孤立したエチル−エチル(1,3)
分岐(pee)
【0031】
【化9】
【0032】(ニ)孤立したエチル−プロピル(1,
3)分岐(pep)
【0033】
【化10】
【0034】(ホ)孤立したメチル−エチル(1,4)
分岐(pme)
【0035】
【化11】
【0036】LDPEは、上記(イ)〜(ホ)の構造を
主に有すると考えられており、これらに対応する同定が
行われている〔「マクロモレキュルズ(Macromolecule
s)」第17巻,第1756ページ(1984年)〕。こ
の文献によれば、第1表に示すように同定がなされ、少
なくともヘキシル分岐以上の長鎖分岐(32.18pp
m)とエチル分岐との存在が確認されている。
【0037】
【表1】
【0038】13C−核磁気共鳴スペクトルによって、
長鎖分岐の存在を確認する試み ヘキシル分岐を有するエチレン/オクテン−1共重合体
の比較により、ヘキシル分岐の存在を確認し、定量化す
る手法が提案されている〔「マクロモレキュルズ(Macro
molecules)」第14巻,第215ページ(1981
年)、同第17巻,第1756ページ(1984
年)〕。それらによると、27.3ppm付近に出現する
ピークが、エチレン/オクテン−1共重合体で出現する
ピークと異なることを、LDPEとのブレンド物の13
−核磁気共鳴スペクトルの測定から明らかにしたとして
いる。また、長鎖分岐のモデル物質として用いるノルマ
ルC3674では、末端より3番目の炭素シグナルが32.
18ppmに出現する。一方、エチレン/オクテン−1
共重合体のヘキシル分岐の末端より、3番目の炭素シグ
ナルは32.22ppmに出現する。分岐鎖長によりケミ
カルシフトが異なることを利用して、エチレン/オクテ
ン−1共重合体と長鎖分岐の存在するLDPEをブレン
ドし、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定すると、2つ
のピークが出現することから、LDPEの長鎖分岐を同
定し、かつ定量を行うことができるとしている。このよ
うな手法により、LDPEは長鎖分岐を有することが確
認された。
【0039】(B)物性評価による判定 溶融流動体の解析による方法 長鎖分岐は、溶融粘性や粘弾性的性質などの溶融体の流
動挙動に関与し、樹脂の加工性,光学的性質あるいは、
環境応力亀裂抵抗などの機械的特性に重要な影響を及ぼ
すことが知られており、これらを測定・評価することに
より、間接的にその存在を明らかにすることができる。
また、長鎖分岐の存在を裏ずける理由として、次のよう
な事実が挙げられる。LDPEのMI−Mwの関係は、
長鎖分岐が多くなるにつれて直鎖ポリエチレン(HDP
E)の関係からずれ、すなわち、同一MwでLDPEは
より小さいMIを示す。また、インストロン型キャピラ
リーレオメーターによって流動特性を調べ、シフトファ
クターから求めた活性化エネルギー(Ea)はHDPE
が6kcal/molと小さく、一方、LDPEは約1
2kcal/molと大きいことから、流動性が長鎖分
岐の影響を受けていることが確認できる。このような溶
融流動体の解析により、本発明のポリエチレンは長鎖分
岐を有することが強く示唆された。
【0040】高分子溶液の解析による識別 (a)ハギンスの定数(Huggins Coefficients)による
判定 還元粘度ηsp/c(デシリットル/g),極限粘度
〔η〕(デシリットル/g),ハギンス定数k及びポリ
マー濃度c(g/デシリットル)との間には、一般式
(ハギンスの式) ηsp/c=〔η〕+k〔η〕2 c の関係がなりたつことが知られている。該ハギンス定数
kは、希薄溶液状態でのポリマーの分子間相互作用を示
す値であって、ポリマーの分子量,分子量分布,分岐の
存在によって影響を受けるとされている。
【0041】ポリマー構造に分岐を導入すると、ハギン
ス定数は増大することがスチレン/ジビニルベンゼン共
重合体で示されている〔「ジャーナル・オブ・ポリマー
・サンエンス(J. Polymer Sci.)」第9巻,第265ペ
ージ(1952年)〕。また長鎖分岐を有するLDPE
と直鎖状HDPEのハギンス定数はLDPEで大きいこ
とが示されている〔「ポリマー・ハンドブック(Polyme
r Handbook)」John Wiley Sons 刊行(1975
年)〕。
【0042】本発明のポリエチレンにおいては、このハ
ギンス定数と極限粘度〔η〕との間に、後述するような
関係式がなりたつことが確認されている。 (b)極限粘度〔η〕とゲルパーミエーションクロマト
グラフィ法、光散乱法によって得られる分子量との関係
による判定 上記ハギンスの式などを用い、ポリエチレン希薄溶液よ
り決定した極限粘度〔η〕と、溶質高分子の大きさに従
って分子量を決定するゲルパーミエーションクロマトグ
ラフ(GPC)法や光散乱法による分子量との関係は、
高分子の分岐構造を反映することが知られている。例え
ば、直鎖状のHDPEの極限粘度とGPC法による分子
量との関係は、長鎖分岐を有するLDPEとは異なり、
同一極限粘度で比較すると、LDPEはHDPEより小
さい分子量を示すことが明らかにされている。次に、本
発明のポリエチレンの特性について説明する。
【0043】本発明のポリエチレンは、ポリマー主鎖中
に四級炭素を含まず、高圧法LDPEと異なるものであ
る。また、溶融流動の活性化エネルギー(Ea)が8〜
20kcal/モル、好ましくは8.5〜19kcal/
モル、より好ましくは9〜18kcal/モルの範囲に
あことが必要であり、この活性化エネルギー(Ea)が
8kcal/モル未満では、充分な加工特性が得られな
い。なお、該活性化エネルギー(Ea)は、温度150
℃,170℃,190℃,210℃,230℃における
動的粘弾性の周波数異存性(10-2〜102 rod/s
ec)を測定し、170℃を基準温度として温度−時間
換算則を用い、それぞれの温度におけるG’,G”のシ
フトファクターと絶対温度の逆数からアレニウスの式に
より算出した値である。また、本発明のポリエチレン
は、温度135℃のデカリン溶媒に可溶である。すなわ
ち、該ポリエチレンは広い密度範囲にわたって、不溶不
融化することがなく、ゲルを含まないため、温度135
℃のデカリンに溶解する。また、デカリン以外の芳香族
炭化水素(テトラクロロベンゼンなど)や高沸点炭化水
素などに、通常加熱時に良好な溶解性を示す。なお、高
圧ラジカル重合によって得られるLDPEにおいては、
その生成機構からみて一部ゲルの生成が認められる。
【0044】さらに、本発明のポリエチレンは、デカリ
ン溶媒中、温度135℃で測定したポリマー濃度と還元
粘度の関係より決定されるハギンス定数(k)と極限粘
度〔η〕とが、式 k≧0.2+0.0743×〔η〕 の関係を満たすことが必要であり、好ましくは、式 20≧k≧0.2+0.0743×〔η〕 より好ましくは 15≧k≧0.22+0.0743×〔η〕 さらに好ましくは 10≧k≧0.24+0.0743×〔η〕 の関係を満たすことが望ましい。なお、このハギンス定
数(k)の好ましい具体的な範囲は、5≧k≧0.41で
ある。
【0045】前記ハギンス定数(k)は、極限粘度
〔η〕が極端に大きい場合において、異なる挙動を示す
場合があるが、本発明のポリエチレンは、次のハギンス
定数の比によっても特定される。すなわち、デカリン溶
媒中、135℃で測定した極限粘度〔η〕が同一である
直鎖状高密度ポリエチレンと本発明のポリエチレンにお
いて、それらのハギンス定数の比k/k’が1.05ない
し5.0の範囲にあるポリエチレンである(k:本発明の
ポリエチレンのハギンス定数、k’:直鎖状高密度ポリ
エチレンのハギンス定数)。また、この比k/k’は、
好ましくは 1.07≦k/k’≦4.0 より好ましくは 1.08≦k/k’≦3.7 さらに好ましくは 1.10≦k/k’≦3.6 最も好ましくは 1.13≦k/k’≦3.4 の関係を満たしている。
【0046】前記関係式における極限粘度〔η〕及びハ
ギンス定数kは、次のようにして求めることができる。
すなわち、還元粘度ηsp/c(デシリットル/g),極
限粘度〔η〕(デシリットル/g),ハギンス定数k及
びポリマー濃度c(g/デシリットル)との間に、前記
したようにハギンスの式 ηsp/c=〔η〕+k〔η〕2 c の関係がなりたつことが知られている。そこで、まず、
還元粘度ηsp/cを、溶媒:デカリン,ポリマー濃度:
2.0g/デシリットル以下,測定温度:135℃±0.0
1℃,測定点:5点以上で、ポリマー濃度ほぼ等間隔、
粘度管:ウベローデ型の条件で測定する。なお、測定精
度については、各測定点とも相対粘度が1.1以上の範囲
で測定し、相対粘度が±0.04%以内の誤差に入り、か
つ各ポリマー濃度での測定回数は5回以上である。ま
た、最も低濃度側の測定点は、最も高濃度側の測定点濃
度の45%以下であることが必要である。
【0047】次に、(1)還元粘度とポリマー濃度との
関係を、最小二剩法により直線回帰して、極限粘度
〔η〕を算出し、また(2)上記ハギンスの式と同時に
Kraemerの式 lnηrel /c=〔η〕+k2 〔η〕2 c 及び Schulz-Blashke の式 ηsp/c=〔η〕+k3 〔η〕ηsp 〔ただし、ηrel は相対粘度、ηspは比粘度、k2 及び
3 は定数、他はハギンスの式と同様である。なお、ln
は自然対数を示す。〕を用い、ポリマー濃度又は比粘度
を補外することによって、極限粘度〔η〕を求める。さ
らに、この極限粘度が3方法ともよい一致を示すことを
確認した上で、これら極限粘度の平均値とハギンスの式
とから、上記(1)法に従ってハギンス定数を算出す
る。
【0048】前記(1)及び(2)のいずれの方法も、
還元粘度とポリマー濃度との関係が明らかに直線関係が
成立する場合にのみ、ハギンス定数の決定が可能であ
る。直線関係が得られない場合は、ポリマー濃度が高か
ったり、分子量が大きいことなどが原因であるので、ポ
リマー濃度を減少して再度測定することが必要である。
しかし、ポリマー濃度を極端に減少すると、ポリマー濃
度に対して還元粘度が依存しない領域や、ポリマー濃度
の低下に従って還元粘度が上昇する領域が存在すること
があり、この領域ではハギンス定数を算出することはで
きない。また、最も高濃度の測定点(Cn )と最も低濃
度の測定点(C1 )との直線で結んだ際の他の測定点が
明らかに下に存在する場合も、この領域でハギンス定数
を算出することはできない。しかし、以下の条件に合致
する場合はこのかぎりでない。すなわち、該直線関係が
成立するか否かに関しては、以下のようにして判定す
る。図1において、最も高濃度の測定点(Cn ) と最も
低濃度の測定点(C 1 )とを直線で結ぶ。さらに各測定
点をなめらかな曲線で回帰する。ここで直線と曲線の最
も離れた距離(〔ηsp/c〕H −〔ηsp/c〕L )を求
め、(〔ηsp/c〕H −〔ηsp/c〕L )/〔Cn −C
1 〕が0.001以下であることをもって直線と判定す
る。
【0049】また、溶融流動の活性化エネルギー(E
a)が8〜20kcal/モル、好ましくは8.5〜19
kcal/モル、より好ましくは9〜18kcal/モ
ルの範囲にあることが必要であり、この活性化エネルギ
ー(Ea)が8kcal/モル未満では充分な加工特性
が得られない。なお、該活性化エネルギー(Ea)は、
温度150℃,170℃,190℃,210℃,230
℃における動的粘弾性の周波数依存性(10-2〜102
rod/sec)を測定し、170℃を基準温度として
温度−時間換算則を用い、それぞれの温度における
G’,G”のシフトファクターと絶対温度の逆数からア
レニウスの式により算出した値である。
【0050】このような特性を有する本発明のポリエチ
レンは、通常以下に示す性状を有している。すなわち、
ポリマー主鎖中に四級炭素を含まず、また樹脂密度は、
通常0.86〜0.97g/cm3 、好ましくは0.865〜
0.960g/cm3 、より好ましくは0.870〜0.95
5g/cm3 の範囲である。なお、該密度は、190℃
の温度においてプレスシートを作成し、急冷したものを
密度勾配管によって測定した値である。また、示差走査
熱量計(DSC)によって観測できる融点(Tm)は、
通常116〜132℃、好ましくは116〜 131.5
℃、より好ましくは117〜131℃の範囲であり、さ
らに、該DSCによって観測できる結晶化エンタルピー
(ΔH)と融点(Tm)とが、通常式 0≦ΔH≦250 の関係を満たし、かつ 0.02×ΔH+116<Tm<0.02×ΔH+126 好ましくは 0.02×ΔH+117<Tm<0.02×ΔH+125 より好ましくは 0.02×ΔH+118<Tm<0.02×ΔH+124 の関係を満たしている。本発明のポリエチレンは、比較
的高融点でありながら、結晶化エンタルピーが大きく変
化する重合体であって、エチレン系重合体の範ちゅうで
高融点,低結晶性であるエラストマーとしての性質の発
現も可能である。なお、該結晶化エンタルピーは、DS
C(パーキンエルマー社製,DSC7型)を用い、温度
190℃で作成したプレスシートを、温度150℃で5
分間溶融したのち、10℃/分の速度で−50℃まで降
温した際にみられる結晶化の発熱ピークより求めた値で
あり、融点は、さらに10℃/分の速度で昇温する際の
融解の吸熱ピークの最大ピーク位置の温度より求めた値
である。
【0051】また、本発明のポリエチレンにおいては、
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法〔装
置:ウォーターズALC/GPC 150C,カラム:
東ソー製,TSK HM+GMH6×2,流量1.0ミリ
リットル/分,溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼ
ン,135℃〕によって測定したポリエチレン換算の重
量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比M
w/Mnは、通常2.1〜70、好ましくは2.3〜60、
より好ましくは2.4〜50の範囲である。一方、温度1
35℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕は、通常
0.01〜20デシリットル/g、好ましくは0.05〜1
7デシリットル/g、より好ましくは0.1〜15デシリ
ットル/gの範囲である。この〔η〕が0.01デシリッ
トル/g未満では力学的性質の発現が不充分であるし、
20デシリットル/gを超えると加工特性が低下する。
【0052】さらに、本発明のポリエチレンにおいて
は、分子末端部に不飽和基が存在しており、この不飽和
基は、温度190℃でプレスシート(厚み100〜50
0μm)を作成し、このものの赤外線吸収スペクトルの
測定によって、容易に同定及び定量することができる。 末端部不飽和基の種類 吸収位置(cm-1) ビニレン基 963 ビニリデン基 888 ビニル基 907 該ポリエチレンでは、末端ビニル基の生成割合は、上記
不飽和基の総和に対して、通常30モル%以上、好まし
くは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上で
ある。なお、該末端ビニル基の量は、式 n=0.114A907 /〔d・t〕 〔ただし、nは100炭素当たりの末端ビニル基の個
数、A907 は907cm-1における吸光度、dは樹脂密
度(g/cm3 )、tはフィルムの厚さ(mm)であ
る。〕によって算出することができる。
【0053】一般に、末端部の不飽和基量と分子量とは
相関関係にあることが知られているが、本発明のポリエ
チレンにおいては、末端ビニル型不飽和含有量(U)
と、デカリン中、温度135℃で測定した極限粘度
〔η〕の逆数とが、通常式 0.1×〔η〕-1≦U≦7×〔η〕-1 の関係にあり、好ましくは 0.1×〔η〕-1≦U≦6.5×〔η〕-1 より好ましくは 0.15×〔η〕-1≦U≦6.5×〔η〕-1 最も好ましくは 0.15×〔η〕-1≦U≦6×〔η〕-1 〔但し、Uは1000炭素当たりの末端ビニル基の個数
である。〕の関係にあるのが望ましい。
【0054】前記範囲の中で、不飽和基含有量の高いポ
リエチレンについては、該不飽和基の変性により、ポリ
オレフィンの欠点である、接着性,印刷性,塗装性,相
溶化能,透湿性,バリアー性といった各種機能を付与す
ることが可能であり、同時に分岐に基づく加工特性の向
上が見込める。さらに、末端ビニル基含有量の高いポリ
エチレンは、分岐状マクロモノマーとして各種グラフト
共重合体の製造に用いることができる。一方、上記範囲
の中で、不飽和基含有量の少ないポリエチレンについて
は、熱安定性が向上し、分岐に基づく加工特性の向上が
見込める。また、接着,印刷性といった機能の付与に関
しては、不飽和基含有量の少ないポリエチレンでも、実
用上変性によって充分機能を発揮する。
【0055】本発明はまた、このような炭素−炭素不飽
和結合を水添処理してなるポリエチレンも提供するもの
であり、この水添処理によって該不飽和基を減少又は消
失したポリエチレンは、熱安定性が向上したものとな
る。本発明のポリエチレン(水添処理前ポリエチレン,
水添処理後ポリエチレン)は、他の熱可塑性樹脂に混合
して熱可塑性樹脂組成物として用いることができる。他
の熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹
脂,ポリスチレン系樹脂,縮合系高分子重合体,付加重
合系高分子重合体などが挙げられる。該ポリオレフィン
系樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン;低密度
ポリエチレン;ポリ−3−メチルブテン−1;ポリ−4
−メチルペンテン−1;コモノマー成分としてブテン−
1;ヘキセン−1;オクテン−1;4−メチルペンテン
−1;3−メチルブテン−1などを用いて得られる直鎖
状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体,エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物,エチレン
−アクリル酸共重合体,エチレン−アクリル酸エステル
共重合体,エチレン系アイオノマー,ポリプロピレンな
どが挙げられる。ポリスチレン系樹脂の具体例として
は、汎用ポリスチレン,アイソタクチックポリスチレ
ン,ハイインパクトポリスチレン(ゴム変性)などが挙
げられる。縮合系高分子重合体の具体例としては、ポリ
アセタール樹脂,ポリカーボネート樹脂,ナイロン6,
ナイロン6・6などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリ
エステル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂,ポリイミ
ド樹脂,ポリスルホン樹脂,ポリエーテルスルホン樹
脂,ポリフェニレンスルフィド樹脂などが挙げられる。
付加重合系高分子重合体としては、例えば極性ビニルモ
ノマーから得られた重合体やジエン系モノマーから得ら
れた重合体、具体的にはポリメチルメタクリレート,ポ
リアクリロニトリル,アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体、ジエン鎖を水添したジエン系重合体、さらには熱
可塑性エラストマーなどが挙げられる。本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、前述した本発明のポリエチレン100
重量部に対して、他の熱可塑性樹脂(エラストマーを含
む)2〜500重量部、好ましくは3〜300重量部の
割合で配合することにより、成形性が改良され、物性の
優れた成形品を得ることができる。
【0056】本発明のポリエチレン(水添処理前)は、
エチレン単量体を、前記した特性を有するポリエチレン
が得られるような重合触媒の存在下に重合させることに
より、製造することができる。このような重合触媒とし
ては、例えば(A)遷移金属化合物及び(B)該遷移金
属化合物又はその派生物からイオン性錯体を形成しうる
化合物を主成分とするものを挙げることができる。該触
媒における(A)成分の遷移金属化合物としては、周期
律表3〜10族に属する金属又はランタノイド系列の金
属を含む遷移金属化合物を使用することができる。上記
遷移金属としては、チタニウム,ジルコニウム,ハフニ
ウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどが好まし
い。
【0057】このような遷移金属化合物としては、種々
のものが挙げられるが、特に4族,5族,6族の遷移金
属を含む化合物を好適に使用することができる。特に一
般式 CpM1 1 a 2 b 3 c ・・・(I) Cp2 1 1 a 2 b ・・・(II) (Cp−Ae −Cp)M1 1 a 2 b ・・・(III) 又は一般式 M1 1 a 2 b 3 c 4 d ・・・(IV) で示される化合物やその誘導体が好適である。
【0058】前記一般式(I)〜(IV)において、M1
はチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニ
オビウム,クロムなどの遷移金属を示し、Cpはシクロ
ペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,イン
デニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル
基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基又
は置換フルオレニル基などの環状不飽和炭化水素基又は
鎖状不飽和炭化水素基を示す。R1 ,R2 ,R3 及びR
4 は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の
配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配
位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲ
ン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20
のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキ
ルアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数1〜
20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,ケイ
素原子を含む置換基などを例示できる。また、キレート
性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換ア
セチルアセトナート基などを例示できる。Aは共有結合
による架橋を示す。a,b,c及びdは、それぞれ独立
に0〜4の整数、eは0〜6の整数を示す。R1
2 ,R3 及びR4 は、その2以上が互いに結合して環
を形成してもよい。上記Cpが置換基を有する場合に
は、該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好まし
い。(II)式及び(III)式において、2つのCpは同一
のものであってもよく、互いに異なるものであってもよ
い。
【0059】上記(I)〜(III)式における置換シクロ
ペンタジエニル基としては、例えばメチルシクロペンタ
ジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基;イソプロ
ピルシクロペンタジエニル基;1,2−ジメチルシクロ
ペンタジエニル基;テトラメチルシクロペンタジエニル
基;1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基;1,
2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基;1,2,
4−トリメチルシクロペンタジエニル基;ペンタメチル
シクロペンタジエニル基;トリメチルシリルシクロペン
タジエニル基などが挙げられる。また、上記(I)〜
(IV)式におけるR 1 〜R4 の具体例としては、例えば
ハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,
ヨウ素原子,炭素数1〜20のアルキル基としてメチル
基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−
ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数
1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ
基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノキシ基、炭素数
6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはア
リールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシリ
ル基,ベンジル基、炭素数1〜20のアシルオキシ基と
してヘプタデシルカルボニルオキシ基、ケイ素原子を含
む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリ
ル)メチル基、ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジ
エチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エ
チルベンゾエートなどのエステル類、アセトニトリル;
ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリメチルアミン;
トリエチルアミン;トリブチルアミン;N,N−ジメチ
ルアニリン;ピリジン;2,2’−ビピリジン;フェナ
ントロリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン;ト
リフェニルホスフィンなどのホスフィン類、エチレン;
ブタジエン;1−ペンテン;イソプレン;ペンタジエ
ン;1−ヘキセン及びこれらの誘導体などの鎖状不飽和
炭化水素、ベンゼン;トルエン;キシレン;シクロヘプ
タトリエン;シクロオクタジエン;シクロオクタトリエ
ン;シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体などの
環状不飽和炭化水素などが挙げられる。また、上記(II
I)式におけるAの共有結合による架橋としては、例え
ば、メチレン架橋,ジメチルメチレン架橋,エチレン架
橋,1,1’−シクロヘキシレン架橋,ジメチルシリレ
ン架橋,ジメチルゲルミレン架橋,ジメチルスタニレン
架橋などが挙げられる。
【0060】さらに、(A)成分として、前記一般式
(III)の中で、置換若しくは無置換の2個の共役シクロ
ペンタジエニル基(但し、少なくとも1個は置換シクロ
ペンタジエニル基である)が周期律表の14族から選ば
れる元素を介して互いに結合した多重配位性化合物を配
位子とする4族遷移金属化合物を好適に用いることがで
きる。このような化合物としては、例えば一般式(V)
【0061】
【化12】
【0062】で表される化合物又はその誘導体を挙げる
ことができる。上記一般式(V)中のY1 は炭素,ケイ
素,ゲルマニウム又はスズ原子,R5 t −C5 4-t
びR5 u −C5 4-u は、それぞれ置換シクロペンタジ
エニル基、t及びuは1〜4の整数を示す。ここで、R
5 は水素原子,シリル基又は炭化水素基を示し、互いに
同一であっても異なっていてもよい。また、少なくとも
片方のシクロペンタジエニル基には、Y1 に結合してい
る炭素の隣の少なくとも片方の炭素上にR5 が存在す
る。R6 は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は
炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若し
くはアリールアルキル基を示す。M2 はチタン、ジルコ
ニウム又はハフニウム原子を示し、X1 は水素原子,ハ
ロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜
20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリー
ルアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示
す。X1 は互いに同一であっても異なっていてもよく、
6 も互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0063】前記一般式(V)における置換シクロペン
タジエニル基としては、例えばメチルシクロペンタジエ
ニル基;エチルシクロペンタジエニル基;イソプロピル
シクロペンタジエニル基;1,2−ジメチルシクロペン
タジエニル基;1,3−ジメチルシクロペンタジエニル
基;1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基;
1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基などが
挙げられる。X1 の具体例としては、ハロゲン原子とし
てF,Cl,Br,I、炭素数1〜20のアルキル基と
してメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピ
ル基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル
基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,
エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,フェノキシ
基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基
若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,トリル
基,キシリル基、ベンジル基などが挙げられる。R6
具体例としてはメチル基,エチル基,フェニル基,トリ
ル基,キシリル基、ベンジル基などが挙げられる。さら
に、一般式(VI)
【0064】
【化13】
【0065】で表される化合物も包含する。該一般式
(VI) の化合物において、Cpはシクロペンタジエニル
基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換
インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラ
ヒドロインデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレ
ニル基などの環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化
水素基を示す。M3 はチタン、ジルコニウム又はハフニ
ウム原子を示し、X2 は水素原子、ハロゲン原子、炭素
数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基又
は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。ZはSi
7 2,CR7 2,SiR7 2SiR7 2,CR7 2CR7 2,CR
7 2CR7 2CR7 2,CR7 =CR7 ,CR7 2SiR7 2又は
GeR7 2を示し、Y 2 は−N(R8)−,−O−,−S−
又は−P(R8 )−を示す。上記R7 は水素原子又は2
0個までの非水素原子をもつアルキル,アリール,シリ
ル,ハロゲン化アルキル,ハロゲン化アリール基及びそ
れらの組合せから選ばれた基であり、R8 は炭素数1〜
10のアルキル若しくは炭素数6〜10のアリール基で
あるか、又は1個若しくはそれ以上のR7 と30個まで
の非水素原子の縮合環系を形成してもよい。wは1又は
2を示す。
【0066】さらに、該(A)成分の遷移金属化合物と
しては、上記一般式(IV)で示した遷移金属化合物のう
ち、少なくとも2個のハロゲン原子又はアルコキシ基、
あるいはそれぞれ2個のハロゲン原子とアルコキシ基が
中心金属に結合した遷移金属化合物と、一般式(VII)〜
(XII)
【0067】
【化14】
【0068】で表されるジオールとの反応生成物も用い
ることができる。上記一般式(VII)〜(XII)で表される
化合物において、R9 及びR10は、炭素数1〜20の炭
化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なってい
てもよく、Y3 は炭素数1〜20の炭化水素基、
【0069】
【化15】
【0070】で示される基(ここで、R15は炭素数1〜
6の炭化水素基を示す。)である。R 9 ,R10及びY3
で表される炭素数1〜20の炭化水素基としては、例え
ばメチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレン,ジ
フェニルメチレン,エチリデン,n−プロピリデン,イ
ソプロピリデン,n−ブチリデン,イソブチリデン基な
どが挙げられるが、これらの中で、メチレン,エチレ
ン,エチリデン,イソプロピリデン及びイソブチリデン
基が好適である。nは0以上の整数を示すが、特に0又
は1が好ましい。
【0071】また、R11,R12,R13及びR14は、それ
ぞれ炭素数1〜20の炭化水素基,水酸基,ニトロ基,
ニトリル基,ヒドロカルビロキシ基又はハロゲン原子を
示し、これらはたがいに同一でも異なっていてもよい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル,
エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イ
ソブチル,t−ブチル,n−アミル,イソアミル,n−
ヘキシル,n−ヘプチル,n−オクチル,n−デシル,
n−ドデシル基などのアルキル基、フェニル,ナフチル
基などのアリール基、シクロヘキシル,シクロペンチル
基などのシクロアルキル基、プロペニル基などのアルケ
ニル基、ベンジル基などのアラルキル基を挙げることが
できるが、これらの中で炭素数1〜10のアルキル基が
好適である。y,y’,y'',y''' ,z,z’,z''
及びz''' は、芳香族環に結合している置換基の数を表
し、y,y’,z及びz’は、0〜4の整数、y''及び
z''は、0〜2の整数、y''' 及びz''' は、0〜3の
整数を示す。
【0072】該遷移金属化合物と、前記一般式(VII)〜
(XII)で表されるジオールとの反応生成物の一例として
は、一般式(XIII)
【0073】
【化16】
【0074】で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(XIII)において、M1 は前記と同じ意味で
あり、E1 及びE2 は、炭素数1〜20の炭化水素基
で、v及びxは、それぞれ0又は1を示し、E1及びE
2 は、Y4 を介して架橋構造を形成するものである。E
3 及びE4 は、σ結合性配位子、キレート性の配位子又
はルイス塩基を示し、それらはたがいに同一でも異なっ
ていてもよい。v’及びx’は、それぞれ0〜2の整数
〔v’+x’(M1 の原子価−2)の整数〕を示す。Y
4 は炭素数1〜20の炭化水素基,E5 6 5 ,酸素
原子又は硫黄原子を示し、mは0〜4の整数を示す。E
5 及びE6 は、炭素数1〜20の炭化水素基、Y5 は炭
素原子又は硅素原子を示す。本発明のポリエチレンは各
種の製造法により得られ、その方法は特に限定されない
が、これら触媒と重合条件を選択することにより得られ
る。この際の触媒としては、アルコキシチタン化合物、
又は配位子間に架橋の存在するチタン,ジルコニウム化
合物が好適に用いられる。
【0075】本発明で用いる重合触媒においては、
(A)成分の遷移金属化合物は、一種用いてもよいし、
二種以上を組合せて用いてもよい。一方、該重合触媒に
おいて、(B)成分として用いられる、前記(A)成分
の遷移金属化合物又はその派生物からイオン性の錯体を
形成しうる化合物としては、(B−1)該(A)成分の
遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイ
オン性化合物と、(B−2)アルミノキサンを例示する
ことができる。該(B−1)成分の化合物としては、前
記(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯
体を形成しうるものであればいずれのものでも使用でき
るが、カチオンと複数の基が元素に結合したアニオンと
からなる化合物、特にカチオンと複数の基が元素に結合
したアニオンとからなる配位錯化合物を好適に使用する
ことできる。このようなカチオンと複数の基が元素に結
合したアニオンとからなる化合物としては、一般式 (〔L1 −R16k+p (〔M4 1 2 ・・Zn (h-g)-q ・・(XIV) 又は (〔L2 k+p (〔M5 1 2 ・・Zn (h-g)-q ・・(XV) (但し、L2 はM6 ,R17187 ,R19 3 C又はR20
7 である。) 〔式中、L1 はルイス塩基、M4 及びM5 は、それぞれ
周期律表の5族,6族,7族,8〜10族,11族,1
2族,13族,14族及び15族から選ばれる元素、好
ましくは13族,14族及び15族から選ばれる元素、
6 及びM7 は、それぞれ周期律表の3族,4族,5
族,6族,7族,8〜10族,1族,11族,2族,1
2族及び17族から選ばれる元素、Z1 〜Zn は、それ
ぞれ水素原子,ジアルキルアミノ基,炭素数1〜20の
アルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭
素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール
基,アルキルアリール基,アリールアルキル基、炭素数
1〜20のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜20の
アシルオキシ基、有機メタロイド基又はハロゲン原子を
示し、Z1 〜Zn は、その2以上が互いに結合して環を
形成していてもよい。R 16は水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基,アルキル
アリール基又はアリールアルキル基を示し、R17及びR
18は、それぞれシクロペンタジエニル基、置換シクロペ
ンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R
19は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基,アルキ
ルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R20はテ
トラフェニルポルフィリン,フタロシアニンなどの大環
状配位子を示す。gはM4 ,M5 の原子価で1〜7の整
数、hは2〜8の整数、kは〔L1 −R16〕,〔L2
のイオン価数で1〜7の整数、pは1以上の整数、q=
(p×k)/(h−g)である。)で表される化合物で
ある。
【0076】ここで、前記L1 で示されるルイス塩基の
具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリ
ン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニ
リン,ジフェニルアミン,トリメチルアミン,トリエチ
ルアミン,トリ−n−ブチルアミン,N,N−ジメチル
アニリン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブ
ロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N
−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルフォス
フィン,トリフェニルフォスフィン,ジフェニルフォス
フィンなどのフォスフィン類、ジメチルエーテル,ジエ
チルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサンなどの
エーテル類、ジエチルチオエーテル,テトラヒドロチオ
フェンなどのチオエーテル類、エチルベンゾエートなど
のエステル類などが挙げられる。
【0077】また、M4 及びM5 の具体例としては、
B,Al,Si,P,As,Sbなど、好ましくはB又
はP、M6 の具体例としては、Li,Na,Ag,C
u,Br,Iなど、M7 の具体例としては、Mn,F
e,Co,Ni,Znなどが挙げられる。Z1 〜Zn
具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としてジ
メチルアミノ基;ジエチルアミノ基、炭素数1〜20の
アルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブト
キシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェ
ノキシ基;2,6−ジメチルフェノキシ基;ナフチルオ
キシ基、炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基;
エチル基;n−プロピル基;イソプロピル基;n−ブチ
ル基;n−オクチル基;2−エチルヘキシル基、炭素数
6〜20のアリール基;アルキルアリール基若しくはア
リールアルキル基としてフェニル基;p−トリル基;ベ
ンジル基;4−t−ブチルフェニル基;2,6−ジメチ
ルフェニル基;3,5−ジメチルフェニル基;2,4−
ジメチルフェニル基;2,3−ジメチルフェニル基、炭
素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基としてp−フル
オロフェニル基;3,5−ジフルオロフェニル基;ペン
タクロロフェニル基;3,4,5−トリフルオロフェニ
ル基;ペンタフルオロフェニル基;3,5−ジ(トリフ
ルオロメチル)フェニル基、ハロゲン原子としてF,C
l,Br,I、有機メタロイド基として五メチルアンチ
モン基,トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,
ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン
基,ジフェニル硼素基が挙げられる。R16,R19の具体
例としては、先に挙げたものと同様なものが挙げられ
る。R17及びR18の置換シクロペンタジエニル基の具体
例としては、メチルシクロペンタジエニル基,ブチルシ
クロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエ
ニル基などのアルキル基で置換されたものが挙げられ
る。ここで、アルキル基は通常炭素数が1〜6であり、
置換されたアルキル基の数は1〜5の整数である。
【0078】前記一般式(XIV),(XV)の化合物の中で
は、M4 ,M5 が硼素であるものが好ましい。この(B
−1)成分である、該(A)成分の遷移金属化合物と反
応してイオン性の錯体を形成する化合物は一種用いても
よく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、該
(A)成分の遷移金属化合物及び上記(B−1)成分の
イオン性の錯体を形成しうる化合物からなる成分がポリ
カチオン錯体であってもよい。一方、(B−2)成分の
アルミノキサンとしては、一般式(XVI)
【0079】
【化17】
【0080】〔式中、R21は炭素数1〜20、好ましく
は1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,
アリールアルキル基などの炭化水素基、sは重合度を示
し、通常3〜50、好ましくは7〜40の整数であ
る。〕で表される鎖状アルミノキサン、及び一般式(XV
II)
【0081】
【化18】
【0082】〔式中、R21及びsは、前記と同じであ
る。〕で表される環状アルミノキサンを挙げることがで
きる。上記一般式(XVI)及び(XVII)の化合物の中で好
ましいのは、重合度7以上のアルミノキサンである。こ
の重合度7以上のアルミノキサン又はこれらの混合物を
用いた場合には高い活性を得ることができる。また、一
般式(XVI)及び(XVII)で示されるアルミノキサンを水
などの活性水素をもつ化合物で変性した通常の溶剤に不
溶な変性アルミノキサンも好適に使用することができ
る。
【0083】前記アルミノキサンの製造法としては、ア
ルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方
法が挙げられるが、その手段については特に制限はな
く、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば有
機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これ
を水と接触させる方法、重合時に当初有機アルミニウ
ム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、金属
塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸
着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、テ
トラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニ
ウムを反応させ、さらに水を反応させる方法などがあ
る。これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】本発明においては、該(B)触媒成分とし
て、前記(B−1)成分のみを用いてもよいし、(B−
2)成分のみを用いてもよく、また(B−1)成分と
(B−2)成分とを併用してもよい。本発明で用いられ
る重合触媒においては、所望により、(C)成分とし
て、一般式(XVIII) R22 r AlQ3-r ・・・(XVIII) 〔式中、R22は炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素
原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルコキシ基又
は炭素数6〜20のアリール基を示し、rは1〜3の数
である。〕で表される有機アルミニウム化合物を用いる
ことができる。特に、(B)成分として(B−1)とし
て示した(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン
性の錯体を形成する化合物を用いる場合に、(C)有機
アルミニウム化合物を併用することによって高い活性を
得ることができる。
【0085】次に、本発明においては、前記(A),
(B)及び所望に応じて用いられる(C)触媒成分の少
なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができ
る。該担体の種類については、特に制限はなく、無機酸
化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも
用いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそ
れ以外の無機担体が好ましい。無機酸化物担体として
は、具体的には、SiO2 ,Al2 3 ,MgO,Zr
2 ,TiO2 ,Fe2 3 ,B2 3 ,CaO,Zn
O,BaO,ThO2 やこれらの混合物、例えばシリカ
アルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバー
などが挙げられる。これらの中では、特にSiO2 ,A
2 3 が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少
量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
【0086】一方、上記以外の無機担体として、MgC
2 ,Mg(OC2 5)2 などのマグネシウム化合物や
その錯塩、あるいはMgR23 i 3 j で表される有機マ
グネシウム化合物などを挙げることができる。ここで、
23は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の
アルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X3
ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、
iは0〜2、jは0〜2である。また、有機担体として
は、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレ
ン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボン
などを挙げることができる。ここで、用いられる担体の
性状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は
通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、よ
り好ましくは20〜100μmである。
【0087】粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、
粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低
下やホッパーの詰まりの原因になる。また、担体の比表
面積は、通常1〜1000m2 /g、好ましくは50〜
500m2 /g、細孔容積は通常0.1〜5cm3 /g、
好ましくは0.3〜3cm3 /gである。比表面積又は細
孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が
低下することがある。なお、比表面積及び細孔容積は、
例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から
求めることができる(ジャーナル・オブ・アメリカン・
ケミカル・ソサィエティ,第60巻,第309ページ
(1983年)参照)。さらに、上記担体は、通常15
0〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成し
て用いることが望ましい。担体に担持させる方法につい
ては特に制限はなく、従来慣用されている方法を用いる
ことができる。
【0088】次に、本発明における各触媒成分の使用割
合について説明する。触媒成分として(1)(A)成分
と(B−1)成分とを用いる場合には、(A)成分/
(B−1)成分モル比が1/0.1〜1/100、好まし
くは1/0.5〜1/10、より好ましくは1/1〜1/
5の範囲にあるように両成分を用いるのが望ましい。
(2)(A)成分と(B−1)成分と(C)成分とを用
いる場合には、(A)成分/(B−1)成分モル比は前
記(1)の場合と同様であるが、(A)成分/(C)成
分モル比は1/2000〜1/1、好ましくは1/10
00〜1/5、より好ましくは1/500〜1/10の
範囲にあるのが望ましい。
【0089】また、(3)(A)成分と(B−2)成分
とを用いる場合には、(A)成分/(B−2)成分モル
比が1/20〜1/10000、好ましくは1/100
〜1/5000、より好ましくは1/200〜1/20
00の範囲にあるように両成分を用いるのが望ましい。
(4)(A)成分と(B−2)成分と(C)成分とを用
いる場合には、(A)成分/(B−2)成分モル比は前
記(3)の場合と同様であるが、(A)成分/(C)成
分モル比は1/2000〜1/1、好ましくは1/10
00〜1/5、より好ましくは1/500〜1/10の
範囲にあるのが望ましい。
【0090】本発明において、ポリエチレンを製造する
際の重合形式については、特に制限はなく、不活性炭化
水素などを用いる溶媒重合法(懸濁重合,溶液重合)又
は実質上不活性炭化水素溶媒の存在しない条件で重合す
る塊状重合法、気相重合法も利用できる。重合に際して
使用される炭化水素系溶媒としては、例えば、ブタン,
ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,ノナン,デ
カン,シクロペンタン,シクロヘキサンなどの飽和炭化
水素、ベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化
水素、クロロホルム,ジクロロメタン,二塩化エチレ
ン,クロロベンゼンなどの塩素含有溶媒などが挙げられ
る。重合温度としては、−100〜200℃、重合圧力
としては、常圧〜100kg/cm2 で行うのが一般的
であるが、好ましくは−50〜100℃、常圧〜50k
g/cm2 、さらに好ましくは0〜100℃、常圧〜2
0kg/cm2 の範囲である。得られる重合体の分子量
制御は、通常用いられる方法によって行えばよい。例え
ば、水素,温度,モノマー濃度,触媒濃度など
で制御することができる。
【0091】また、前記で得られたポリエチレンの水添
処理(水素化処理)に使用される水添触媒(水素化触
媒)としては、前記詳述したものの他、オレフィン化合
物の水添処理に際して一般に使用されている触媒であれ
ば使用可能であり、特に制限されないが、例えば、次の
ようなものを挙げることができる。不均一系触媒として
は、ニッケル、パラジウム、白金又はこれらの金属をカ
ーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンな
どの担体に担持させた固体触媒、例えば、ニッケル/シ
リカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カーボン、
パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジ
ウム/アルミナなどを挙げることができる。また、ニッ
ケル系触媒としては、ラネーニッケル触媒など、白金系
触媒では、酸化白金触媒、白金黒などを挙げることがで
きる。均一系触媒としては、周期律表8〜10族の金属
を基体とするもの、例えばナフテン酸コバルト/トリエ
チルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリ
チウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルア
ルミニウムなどのNi,Co化合物と周期律表1, 2,
3族から選ばれる金属の有機金属化合物からなるもの、
又はRh化合物などを挙げることができる。
【0092】また、チーグラー系水添触媒〔ジャーナル
・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ (J. A
m. Chem. Soc.)第85巻,第4014ページ(1983
年)〕も有効に使用できる。これらの触媒としては、例
えば、次のようなものを挙げることができる。 Ti(O−iC3 7 ) 4 −(iC4 9 ) 3 Al、 Ti(O−iC3 7 ) 4 −(C2 5 ) 3 Al、 (C2 5 2 TiCl2 −(C2 5 ) 3 Al、 Cr(acac)3 −(C2 5 ) 3 Al(ここで、a
cacは アセチルアセトナートを示す)、 Na(acac)−(iC4 9 3 Al、 Mn(acac)3 −(C2 5 ) 3 Al、 Fe(acac)3 −(C2 5 ) 3 Al、 Ca(acac)2 −(C2 5 ) 3 Al、 (C7 5 COO)3 Co−(C2 5 3 Al。
【0093】水添処理における触媒の使用量について
は、ポリエチレン中の残存不飽和基含量と水添触媒成分
とのモル比が、107 :1〜10:1、好ましくは10
6 :1〜102 :1の範囲にあるように選ぶのが望まし
い。また、水素の張り込み圧力は、常圧〜50kg/c
2 Gの範囲が望ましい。さらに、反応温度は、重合工
程で得られたポリエチレンが分解しない範囲で高い方が
好ましく、通常−100℃〜300℃、好ましくは−5
0〜200℃、より好ましくは10〜180℃の範囲で
選ばれる。
【0094】
【実施例】更に、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。 実施例1 (1)メチルアルミノキサンの調製 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、トルエン200ミリリットル,硫酸銅5水塩
(CuSO4 ・5H2 O)17.8g(71ミリモル)及
びトリメチルアルミニウム24ミリリットル(250ミ
リモル)を入れ、40℃で8時間反応させた。その後、
固体成分を除去して得られた溶液から、さらにトルエン
を減圧留去して触媒生成物(メチルアルミノキサン)6.
7gを得た。 (2)触媒成分の調製 100ミリリットルのナスフラスコを乾燥,窒素置換し
たのち、トルエン30ミリリットル、n−ブチルリチウ
ムのヘキサン溶液(1.66モル/リットル)3.6ミリリ
ットルを入れ、−78℃に冷却した。これにシクロペン
タノール0.56gを滴下し、その後60分間を要して−
50℃に昇温した。次いで、これにペンタメチルシクロ
ペンタジエントリクロリドチタニウムのトルエン溶液
(0.0769モル/リットル)26ミリリットルを60
分間かけて滴下した。さらに、−25℃まで昇温し、1
20分間反応を行ったのち、20℃に昇温し、24時間
放置した。反応溶液は淡黄色であり、下部に塩化リチウ
ムの白色沈澱を生成した。
【0095】(3)エチレンの重合 攪拌装置付きの1リットルフラスコに、窒素雰囲気下に
トルエン300ミリリットル及び上記(1)で調製した
メチルアルミノキサン60ミリモルを添加した。これを
60℃に昇温し、常圧流通条件でエチレンガスを導入し
た。これに、上記(2)で調製した触媒成分の溶液部分
のみ6.0ミリリットルを投入した。60℃に反応温度を
制御し、連続的にエチレンを供給しながら、120分間
重合を実施した。重合終了後、多量のメタノールに投入
し、洗浄後、減圧乾燥によって、ポリエチレン8.5gを
得た。
【0096】(4)ポリエチレンの評価 (a)) ハギンス定数の測定 上記(3)で得られたポリエチレン0.1005gをデカ
リン17.996gに分散し、135℃で溶解した。デカ
リンの135℃での密度を0.79055g/ミリリット
ルとして得られるポリマー濃度は0.4415g/デシリ
ットルであった。これをウベローデ型粘度計に装填し、
135℃の恒温に達したのち、測定を開始した。6回測
定し、その平均値は還元粘度で3.043デシリットル/
gであった。さらに、この粘度測定を、上記ポリマー濃
度を母液とし、デカリンで希釈しながら同様の方法によ
り還元粘度を測定した。ポリマー濃度〔C〕と還元粘度
との関係を図2に示す。以上5点より求めたハギンス定
数は0.412であり、極限粘度〔η〕は2.18デシリッ
トル/gであった。また、その相関係数は0.999であ
った。また、同一極限粘度〔η〕のHDPEとのハギン
ス定数の比は1.14であった。
【0097】(b)NMRによる測定13 C−NMR〔100MHz,測定温度130℃,溶媒
1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(モル比
8/2)〕の測定を行った。その結果、エチル分岐のメ
チル基11.14ppmの吸収は存在しなかった。しか
し、ポリマー鎖にメチレン炭素38〜39ppm、メチ
レン炭素34〜36ppm,メチル基13.8〜14.1p
pmが存在することからみて、長鎖分岐が存在するもの
と考えられる。また、8.15ppmに吸収が存在しない
ことから、四級炭素が存在しないことが分かる。さら
に、29.57ppmにブチル分岐に基づく吸収が認めら
れた。スペクトルチャートを図3に示す。
【0098】(c)熱的挙動の評価 190℃で熱プレスして得られたシートをサンプルとし
て用い、Perkin Elmer社製DSC7示差走査熱量計によ
り、測定した。150℃で5分間溶融したのち、10℃
/分の速度で−50℃まで降温し、この過程で観察され
る結晶化の発熱ピークより、結晶化エンタルピー(Δ
H)を算出した。また、さらに10℃/分の速度で昇温
し、この過程でみられる吸熱ピークより融点(Tm)を
求めた。その結果、結晶化エンタルピー(ΔH)は5J
/g,融点(Tm)は121℃であった。
【0099】(d)密度の測定 190℃で熱プレスして成形した試料を用い、密度勾配
管法により測定した。その結果密度は0.887g/ミリ
リットルであった。また、試料のアニーリング処理は実
施しなかった。 (e)末端ビニル基の測定 厚さ100μmのプレスシートを作成し、透過赤外線吸
収スペクトルを測定した。907cm-1付近の末端ビニ
ル基に基づく吸光度(A907)とフィルム厚(t),樹脂
密度(d)より、次式 n=0.114A907 /〔d・t〕 〔ただし、d:g/cm3 ,t:mm,n:炭素100
個当たりのビニル基個数〕に従って求めた。その結果末
端ビニル基量は0.2個/1000炭素であった。
【0100】(f)分子量分布の測定 装置:ウォーターズALC/GPC150C,カラム:
東ソー製,TSK HM+GMH6×2,溶媒:1,
2,4−トリクロロベンゼン,温度:135℃,流量:
1ミリリットル/分の条件にてGPC法により、ポリエ
チレン換算で分子量の測定を行った。その結果、重量平
均分子量(Mw)は258000,数平均分子量(M
n)は14700であり、Mw/Mnは17.6であっ
た。
【0101】(g)溶融流動の活性化エネルギー(E
a)の測定 装置としてRheometrics 社製,RMS E−605を用
い、以下の方法に従って溶融流動の活性化エネルギー
(Ea)を測定した。すなわち、測定温度150℃,1
70℃,190℃,210℃,230℃における動的粘
弾性の周波数依存性(10-2〜102 rod/sec)
を測定し、170℃を基準温度にして、温度・時間換算
則を用いそれぞれの温度におけるG’,G”のシフトフ
ァクターと絶対温度の逆数からアレニウス式により、活
性化エネルギー(Ea)を算出した。その結果、活性化
エネルギー(Ea)は12.1kcal/モルであった。
なお、HDPEのEaは6.3kcal/モルである
〔「ポリマー・エンジニアリング・サイエンス(Polym.
Eng. Sci.) 」第8巻,第235ページ(1968
年)〕。なお、ポリエチレンの機械的物性を第2表に示
す。
【0102】実施例2 ステンレス製オートクレーブに、窒素気流下にトルエン
400ミリリットル,トリイソブチルアルミニウム0.5
ミリモル及び実施例1−(1)で調製したメチルアルミ
ノキサン10ミリモルを添加し、70℃まで昇温した。
これに、実施例1(2)で調製した触媒成分の溶液部分
を1.5ミリリットル添加し、エチレンを6kg/cm2
Gの圧で連続的に10分間供給してエチレンの重合を実
施した。重合終了後、エチレンを脱圧したのち、重合体
を多量のメタノールに投入し、洗浄,乾燥してポリエチ
レン3.6gを得た。得られたポリエチレン機械的物性を
第2表に、評価結果を第3表に示す。
【0103】
【表2】
【0104】実施例3 実施例2において、エチレン供給圧力を7.5kg/cm
2 Gとした以外は、実施例2と同様に実施したところ、
ポリエチレン8.5gが得られた。得られたポリエチレン
の評価結果を第3表に示す。また、13C−NMRのスペ
クトルチャ−トを図4に示す。
【0105】
【表3】
【0106】実施例4 実施例2で得られたポリエチレンを、デカリン溶媒中に
おいて、温度140℃,ポリエチレン濃度9重量%,水
素圧分30kg/cm2 G,カーボン担持ルテニウム触
媒(Ru含有量5重量%)濃度4重量%,反応時間6時
間の条件下にて水素添加したのち、得られた重合体を反
応溶液より単離した。この重合体を用いて、厚さ300
μmのプレスシートを作成し、赤外線吸収スペクトルを
測定したところ、885〜970cm-1の範囲に存在す
る不飽和基の吸収は認められなかった。
【0107】実施例5 エチレン・ブテン−1共重合体(密度0.922g/cm
3)80重量部と、実施例1で得られたポリエチレン(密
度0.887g/cm3)20重量部からなる樹脂組成物を
用いてインフレーション成形により、ブロー比2.7で成
形しフイルムを製造した。フイルム成形性は良好であっ
た。
【0108】
【発明の効果】本発明のポリエチレンは、エチレン単量
体のみから誘導され、ポリマー主鎖中に四級炭素を含ま
いが、長鎖分岐を有し、かつ末端にビニル基を有してお
り、通常のHDPE,L−LDPE,LDPEとは異な
るものであって、溶融流動の活性化エネルギーの制御が
可能であり、加工特性に優れる上、ポリエチレン単体で
密度,融点,結晶性などの物性をコントロールすること
ができ、さらには、不飽和基を用いた各種変性が可能で
あるなどの特徴を有している。また、上記ポリエチレン
を水添処理したものは、上記特性を有するとともに、熱
安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリマー濃度と還元粘度とが直線関係にある
かどうかを判定するためのグラフである。
【図2】 実施例1で得られたポリエチレンにおけるポ
リマー濃度と還元粘度との関係を示すグラフである。
【図3】 実施例1で得られたポリエチレンの13C−N
MRスペクトル図てある。
【図4】 実施例3で得られたポリエチレンの13C−N
MRスペクトル図てある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン単量体から誘導される重合体に
    おいて、(イ)ポリマー主鎖中に四級炭素を含まないこ
    と、(ロ)溶融流動の活性化エネルギー(Ea)が8〜
    20kcal/モルであること、(ハ)デカリン溶媒
    中、温度135℃で測定したポリマー濃度と還元粘度の
    関係により決定されるハギンス定数(k)と極限粘度
    〔η〕とが、式 k≧0.2+0.0743×〔η〕 の関係を満たすこと、及び(ニ)温度135℃のデカリ
    ン溶媒に可溶であることを特徴とするポリエチレン。
  2. 【請求項2】 分岐として、少なくともエチル分岐を含
    まない請求項1記載のポリエチレン。
  3. 【請求項3】 樹脂密度が0.86〜0.97g/cm3
    範囲にあり、かつ示差走査熱量計によって観測できる結
    晶化エンタルピー(ΔH)と融点(Tm)とが、式 0≦ΔH≦250 及び 0.02×ΔH+116<Tm<0.02×ΔH+126 の関係を同時に満たす範囲に存在する請求項1記載のポ
    リエチレン。
  4. 【請求項4】 ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
    ー法によって測定したポリエチレン換算の重量平均分子
    量と数平均分子量との比Mw/Mnが2.1〜70の範囲
    にある請求項1記載のポリエチレン。
  5. 【請求項5】 示差走査熱量計によって観測した融点
    (Tm)が116〜132℃の範囲にある請求項1記載
    のポリエチレン。
  6. 【請求項6】 末端ビニル型不飽和結合含有量(U)
    と、デカリン中、温度135℃で測定した極限粘度
    〔η〕の逆数とが、式 0.1×〔η〕-1≦U≦7×〔η〕-1 〔但し、Uは1000炭素当たりの末端ビニル基の個数
    である。〕の関係を満たす請求項1記載のポリエチレ
    ン。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のポリエチレンにおいて、
    炭素−炭素不飽和結合を水添処理してなるポリエチレ
    ン。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載のポ
    リエチレンを含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249390A (ja) * 2008-04-01 2009-10-29 Sumitomo Chemical Co Ltd 電線被覆用又はシース用樹脂組成物、電線およびケーブル
CN110548331A (zh) * 2019-09-16 2019-12-10 北京泽阳天成化工技术有限公司 淤浆法聚乙烯生产工艺中聚合物的分离方法和分离装置
CN116063598A (zh) * 2018-09-17 2023-05-05 切弗朗菲利浦化学公司 改性负载型铬催化剂和由其生产的基于乙烯的聚合物

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