JPH06281547A - 機器の異常監視方法および装置 - Google Patents

機器の異常監視方法および装置

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JPH06281547A
JPH06281547A JP5068347A JP6834793A JPH06281547A JP H06281547 A JPH06281547 A JP H06281547A JP 5068347 A JP5068347 A JP 5068347A JP 6834793 A JP6834793 A JP 6834793A JP H06281547 A JPH06281547 A JP H06281547A
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abnormality
monitoring
regression
regression analysis
coefficient
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JP5068347A
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Inventor
Yuji Matsui
祐二 松井
Izumi Yamada
泉 山田
Haruo Fujimori
治男 藤森
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の計測信号を回帰分析して監視対象機器
の異常を高精度に検出する。 【構成】 検出器1,2によって検出された2種類の計
測信号を、応答特性補正器3によって、監視対象機器の
状態変化に対して見かけ上同一の応答をするように補正
する。回帰分析演算部4では、応答補正された2種類の
計測信号に回帰分析を適用し、回帰係数と相関係数を算
出する。算出した相関係数の絶対値が、予め設定したし
きい値を超えるか否か判断し、相関係数がしきい値を超
えた場合にのみ回帰係数を有意とみなし、回帰係数を監
視パラメ−タ5として扱う。異常判断部6は、監視パラ
メ−タ5が所定の正常範囲内であるか否かを判断し、所
定の正常範囲から逸脱した場合に異常が発生したと判断
し、異常報知部7が異常の発生を報知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は監視対象機器が正常であ
るか異常であるかを回帰分析して監視する方法及びその
装置に係り、特に、監視対象機器から得られる複数種類
の計測信号を回帰分析して監視するのに好適な異常監視
方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばポンプ等の可動装置を監視する場
合、複数種類の計測信号(例えば、回転数と吐出流体流
速の2種類の計測信号)の組み合せで監視する。2つの
計測信号に直線回帰分析を適用する場合について説明す
る。計測信号Xと計測信号Yの組をn回サンプリングし
た計測点(x1,y1),(x2,y2),…,(xn,y
n)に回帰分析を適用するということは、次の数1で表
される線形回帰モデル
【0003】
【数1】 yi=a・xi+b+δi (i=1,2,…,n) の予測誤差「δi」の平方和
【0004】
【数2】
【0005】を最小にするような傾き「a」とY切辺
「b」を決定することにあたる。「a」は、回帰係数と
呼ばれる。また、この時に計測信号Xと計測信号Yの関
連性が強いかどうかは、計測点が回帰直線のまわりに集
まっているかどうかで表され、この度合いは相関係数
「r」で示される。相関係数は
【0006】
【数3】−1≦r≦1 を満足し、その絶対値が“1”に近いほど信号の相関が
強く、“0”に近いほど相関が弱いことを表す。
【0007】機器の異常監視に回帰分析を適用した従来
技術として、特開平1−234083号公報に記載され
た回転機のための異常検査装置がある。この従来装置
は、回転機械の検査の高速化のためになされたものであ
り、回帰分析により回転数と音圧との回帰係数を求め、
求めた回帰係数から回転機械の回転数と音圧の正常特性
を予測している。そして、比較結果に基づいて、可動体
の動作が正常か異常かを判断するように構成されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来装置は、
検査の目的で回転数を意図的に掃引しており、この意図
的な掃引により、異常監視に適した速度で変化する信号
の取り込みを可能としている。また、回転数と音圧の実
効値、または、回転数と機械的振動の実効値を異常監視
の計測信号としており、いずれの計測信号も、回転数変
化に対する応答時間は現実的に無視できるので、取り込
んだ計測信号をそのまま回帰分析しても、異常監視の際
の問題となることはない。
【0009】しかし、例えば原子力プラントのような稼
働中のプラントでは、発電出力,安全性,経済性等を重
視してプラントを運転しているため、機器の異常監視の
ためだけでプラントを停止させ、プラント構成機器たと
えば回転機の回転数を意図的に掃引することはできな
い。従って、稼働中のプラント構成機器が定常運転され
ているときに取得される計測信号に基づいて異常監視を
する必要がある。このため、取得する計測信号の変化速
度は、必ずしも回帰分析に適したものとはならない。特
に、定常運転時のように計測信号の変化速度が小さい場
合には、算出した回帰係数は有意なものとはならず、監
視パラメ−タとして扱うことはできなくなる。また、プ
ラントの規模が大きく構成機器も巨大なものが多いの
で、ある一つの状態変化に対する各計測信号の応答時間
の差は無視できなくなる。さらに、例えば原子力プラン
トの冷却材再循環ル−プにおけるポンプ回転数と冷却材
流量のように、過渡応答特性が異なる計測信号を複合し
て監視する場合もある。このような場合、計測信号をそ
のまま回帰分析すると、算出した回帰係数の精度は必ず
しも高いものとはならない。
【0010】本発明の目的は、監視対象機器やプラント
全体の運転状態、あるいは、各計測信号の応答特性の違
いに左右されること無く、算出した監視パラメ−タを判
断基準として、高い精度で機器の異常検出を実現する異
常監視方法およびその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、計測信号間
に応答特性の違いが存在する場合にはその補正を行って
から回帰分析を行い、算出した相関係数から回帰係数が
有意か否かを判断し、有意と判断したときのみの回帰係
数を監視パラメ−タとして扱い、この監視パラメ−タが
所定の正常範囲内にあるか否かを判断し、所定の範囲内
にないときには、機器に異常が発生したと判断すること
により、達成される。
【0012】また、上記目的は、計測信号間に応答特性
の違いが存在する場合にはその補正を行ってから、ま
ず、
【0013】
【数4】Y=aX+b なる回帰直線の傾き「a」とY切辺「b」の2つを未知
定数とした場合の回帰分析(以下、2未知定数の回帰分
析という。)を行い、Y切辺「b」を算出し、次に、予
めY切辺「b」の影響を除去した計測点(xi,yi−
b)(i=1,2,…)について
【0014】
【数5】(Y−b)=aX なる回帰直線の傾き「a」のみを未知の定数と想定した
場合の回帰分析(以下、1未知定数の回帰分析とい
う。)を行い、後者で算出した回帰係数を監視パラメ−
タとし、得られた監視パラメ−タが所定の正常範囲内に
あるか否かを判断し、所定の範囲内にないときには、機
器に異常が発生したと判断することでも、達成される。
【0015】好ましくは、切辺「b」の算出法は、2未
知定数の回帰分析により算出した相関係数から回帰分析
が有効な区間を判断し、有効な区間だけに、再度2未知
定数の回帰分析を適用する算出法とする。
【0016】さらに、好ましくは、1未知定数の回帰分
析を適用するのは回帰分析が有効であると判断した区間
のみとする。
【0017】
【作用】例えばある計測信号Aに対して、別の計測信号
Bに応答遅れがある場合、計測信号Bの応答遅れ相当だ
け計測信号Aを補正する。この補正は、例えば計測信号
Aをローパスフィルタに通したり、あるいは遅延回路を
通すことで行う。計測信号A,B間の相関性が計測信号
Bの受けた応答遅れにより阻害されても、補正後の計測
信号Aと計測信号Bとの相関性は向上する。
【0018】更に、監視を行うパラメータは、全範囲か
ら求めるのではなく、相関係数が有意なところから求め
るので、監視精度が向上する。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は、本発明の一実施例に係る異常監視装置
の構成図である。検出器1,2によって検出された夫々
特性の異なる2つの計測信号は、応答特性補正部3に入
力される。応答特性補正部3は、監視対象機器(この監
視対象機器の周辺機器を含める場合もある。)の状態変
化に対し、見かけ上、2種類の計測信号が同一の応答を
するように補正し、回帰分析演算部4に出力する。回帰
分析とは、定常ゆらぎを含む計測信号の中から、監視対
象機器の状態変化に対応する部分のみを強調する方法な
ので、この応答特性補正により、異常検出の精度が向上
する。
【0020】回帰分析演算部4では、この応答補正され
た信号を回帰分析し、回帰直線の傾き「a」とY切辺
「b」および相関係数「r」を算出する。簡単な製品検
査など、測定全体が短時間で計測点が少ない場合には、
全デ−タを収録してから回帰分析を行う場合もあるが、
運転状態にある監視対象機器の異常監視では、計測と同
時にオンラインで演算を行う必要がある。この場合、分
析対象とする計測点の区間は移動平均の区間の選び方と
同じである。すなわち、一回の分析点数をkで固定し、
まず、1〜kの計測点について回帰分析を行い、相関係
数と回帰係数を算出し、その後、2〜(k+1),3〜
(k+2),…,n〜(k+n−1),…の順に演算を
行い、順次、相関係数と回帰係数を算出していく方式が
一般的である。
【0021】ところで、計測信号が完全に一定の値しか
取らない場合、回帰直線の傾きは理論的には不定とな
る。同様に、計測信号の変化が小さい定常運転時には、
計測信号の変化が小さいので、計測点は一点に集中して
しまい、回帰直線の傾きを精度よく決めるのは困難とな
る。そこで、回帰分析を適用した区間において、異常監
視に回帰係数を用いるのが妥当か否かを決定する必要が
ある。ここで、計測点が回帰直線のまわりに集まってい
る度合いは相関係数「r」で示されるので、相関係数の
絶対値が予め設定しておいたしきい値を超えるか否かを
判断し、相関係数の絶対値がしきい値を超える場合に
は、算出した回帰係数を有意と判断し、有意な回帰係数
を監視パラメ−タ5として扱う。異常判断部6は、監視
パラメ−タ5が所定の正常範囲内にあるか否かを判断
し、正常範囲にない場合には、異常が発生したと判断
し、異常報知部7が異常の発生を報知する。このように
して監視対象機器の監視を行うことにより、異常検出の
精度向上が可能となる。
【0022】図2は、原子力発電プラントの再循環ポン
プ及びその再循環ループの異常の監視を行う実施例の概
略構成図であり、図3は、図2に示す監視装置の詳細構
成図である。
【0023】図2において、原子炉8内部の炉心9で発
生する熱は、炉心9内部を流れる冷却水に伝達される。
冷却水が沸騰した蒸気は、主蒸気配管10を通り、タ−
ビン発電機(図示せず)を回して電力を得る。タ−ビン
発電機を回した蒸気は再び水に戻り、給水配管15を通
って原子炉8に導かれる。炉心9の発熱量は、再循環ポ
ンプ12,再循環配管13、ジェットポンプ14からな
る再循環ル−プの流量に依存して変化する。
【0024】再循環ル−プ全体を監視するため、このル
ープの各構成機器には各種のセンサを取付けてあるが、
本実施例では説明を容易にするため、再循環ポンプ12
に取り付けた回転数計15による回転数信号17と、再
循環配管13に取り付けた流量計16による流量信号1
8の2種類の計測信号を用いた監視法について説明す
る。
【0025】監視装置19に取り込まれた回転数信号1
7及び流量信号18は、図3に示す様に、A/D変換器
20によって夫々デジタル信号に変換され、第一バッフ
ァ21に時系列デ−タ(x(n),y(n))(ただ
し、(n=1,2,…))として保存される。第一バッ
ファ21に保存されたデ−タは順次読み出され、各々L
PF(ロ−パスフィルタ)22,23で応答補正を行っ
てから、第二バッファ24に時系列デ−タ(x’
(n),y’(n))として保存される。第一バッファ
21と第二バッファ24に保存されたデ−タは、CRT
30上に同時に表示され、応答補正が適切かどうか確認
され、オペレータは画面を見ながらLPF22,23の
夫々次数と遮断周波数を決定する。
【0026】図4に、CRT30上に表示された応答補
正前,後の計測信号の経時変化の一例を示す。図4上段
のグラフによれば、回転数信号17(実線)が変化する
と、これに遅れて流量信号18(破線)が変化する。両
方の信号17,18の時間差は、変化(傾斜)が急なと
きは大きく、変化が緩やかなときは小さい。そこで、回
転数信号17をLPFを通し補正した後の信号を流量信
号18と比較すると、図4の下段に示す様に、時間差は
ほとんどなくなる。このようなグラフを画面に表示する
ことで、応答補正の効果が良く確認できる。
【0027】ここで、なぜ本実施例で応答補正にLPF
を用いるのかを説明する。例えば、再循環ポンプ12の
回転数を大きくするとポンプ吐出圧もほぼ同じ様に大き
くなるが、再循環配管13は長く且つ細いので、圧力の
上昇が流量計16の設置場所にまで伝搬するにはある程
度の時間が必要となる。圧力変化と同様に、回転数変化
の影響が流量変化として現れるまでには、ある時間遅れ
が生ずる。この時間遅れは、回転数変化の大きさで支配
されるので、回転数の変化率が大きいときには時間遅れ
が大きく、回転数の変化率が小さいときには時間遅れも
小さくなる。すなわち、再循環配管13が一種の機械的
なLPFの役割を果たすことになる。そこで、流量変化
が受ける機械的なLPFの影響と等価な電気的LPF2
2を模擬し、回転数信号17をこのLPF22に通すこ
とで、2つの計測信号の特性は見かけ上等しくなる。勿
論、応答補正は、図3に示す様に、両方の夫々の信号用
に用意してもよいことはいうまでもない。
【0028】ところで、この機械的なLPFの次数や遮
断周波数等の性質は配管の長さや太さ、周辺機器の形状
等によって異なり、そのプラント固有の値を取る。この
固有の値は理論的には計算によっても求まるが、プラン
トの構造が大きく変化しないかぎり変わらないので、プ
ラント試運転等のときに補正の効果を確認しながら実験
的に設定するほうが望ましい。
【0029】上述した実施例では、回転数信号と流量信
号の組み合せについて述べたが、計測信号の種類として
はこれらに限るものでない。また、別の複数の計測信号
を監視に用いる場合、LPFのみが最適というものでも
ない。計測信号は、その種類により、運転状態の変化に
伴う応答特性が変化率(周波数)に無関係であり、純粋
に時間遅れのみである場合がある。この場合には、LP
Fの代わりに遅延回路を用いる。また、センサの設置場
所などの影響で、計測信号に高周波ノイズが重畳しやす
い場合には、センサに近接しているプリアンプにLPF
の機能を付加したほうがよい場合もある。
【0030】図3の第一演算部27は、第二バッファ2
4に保存されたデ−タのk点ずつを1区間として順次、
回帰計算を行い、まず、回帰分析が有効な区間を判別す
る。具体的には、まず、第二バッファ24に保存された
デ−タの中の(x’(1),y’(1))〜(x’
(k),y’(k))に回帰分析を適用し、回帰直線を
Y=a1(1)・X+b1(1) としたときの傾き「a
1(1)」(=回帰係数)、切辺「b1(1)」および相
関係数「r1(1)」を算出する。以下、同様に(x’
(n),y’(n))〜(x’(n+k−1),y’
(n+k−1))に回帰分析を適用し、傾き「a1(n
+k−1)」(=回帰係数)、Y切辺「b1(n+k−
1)」および相関係数「r1(n+k−1)」を算出し
ていく。図5下段に、この第一演算部27による演算結
果の一例を示す。ここで、相関係数r1(n)の絶対値
がしきい値“0.95”(図5の下段のグラフに点線で
表示)を超えたときに回帰分析が有効であり、回帰係数
a1(n)が有意であると判断する。
【0031】上記方法で算出した有意なa1(n)を監
視パラメ−タとしても、異常検出の精度を高くできる。
しかし、さらに、精度を高めたい場合には、以下のよう
に、未知定数傾き「a」とY切辺「b」を別個に算出す
る方法を用いる。
【0032】回帰分析の有効性が連続している区間を新
たな区間とし、その始点sと終点eが決まった時に、第
二バッファ24に保存されたデ−タ(x’(s1),
y’(s1))〜(x’(e1),y’(e1))を第三
バッファ25に転送する。なお、この新たな区間(〜
)とそれぞれの始点(s1〜s5)と終点(e1〜e5)
を第一演算部27の演算結果と合わせて図5中に示して
おく。なお、始点と終点の間の点数が第一演算部27で
用いた分析点数kより短い場合は、新たな区間とは認め
ない。
【0033】第二演算部28は、まず、区間に、回帰
分析を適用し、Y切辺を算出する。具体的には、第三バ
ッファ25に保存されたデ−タ(x’(s1),y’
(s1))〜(x’(e1),y’(e1))に回帰分析
を適用し、回帰直線を Y=a2()・X+b2()
としたときの傾き「a2()」(=回帰係数)、Y
切辺「b2()」を算出する。なお、予め回帰分析が
有効な範囲だけを選択してあるので、相関係数「r2
()」は、必ずしも求める必要はない。
【0034】次に、第三バッファ25に保存されたデ−
タからY切辺「b2()」を引いたデ−タ(x’(s
1),y’(s1)−b2())〜(x’(e1),y’
(e1)−b2())を第四バッファに転送する。第三
演算部29は、第四バッファ26に保存されたデ−タの
k点ずつを1区間として順次、回帰計算を行い、回帰係
数を算出する。なお、第三演算部の回帰分析は、計測点
のY切辺が予め引いてあるので、未知定数は傾き「a
3」の一つだけとして行う。具体的には、まず、第四バ
ッファ26に保存されたデ−タの中の(x’(s1),
y’(s1)−b2())〜(x’(e1),y’(e
1)−b2())に回帰分析を適用し、回帰直線を Y
−b2()=a3(1)・X(1) としたときの傾き
「a3(1)」(=回帰係数)を算出する。
【0035】以下、同様な演算を繰返し(x’(s1+
k−1),y’(s1+k−1))〜(x’(e1),
y’(e1))まで行い、算出した回帰係数「a3
(n)」を監視パラメ−タ32として扱う。監視パラメ
−タ32は、CRT31に表示される。
【0036】図6に第一演算部および第三演算部の演算
結果を、図7に応答補正をした場合と応答補正をしない
場合の監視パラメ−タの経時変化を示す。監視パラメ−
タは、今回実施した正常状態での試運転の間において、
運転状態が著しく変化したにも関わらず、常に安定した
値を示しており、精度の高い異常検出に必要な条件の一
つである『正常時における変動幅が小さい』という条件
を満たしていることが確認できる。この監視パラメータ
の変動幅が正常時に許容される幅以上に変化したとき、
監視対象機器に異常が発生したと判断できる。また、回
帰分析を行う前の応答補正が有効であることも確認でき
る。さらに、回帰分析の前に、周波数分離や平均化処理
等の前処理を行う方式の監視や、回帰分析を適用する計
測信号の種類数が3以上の場合においても本監視法が異
常検出の高精度化に有効である。
【0037】次に、図8〜図11を用い、本発明の実施
例に係る異常監視装置を、液体クロマトグラフィシステ
ム中の流量調節弁の異常検出に適用した例について説明
する。図8は、液体クロマトグラフィシステムの構成図
である。ボトル33中の溶離液はポンプ34で加圧さ
れ、流量調節弁35→インジェクタ39→分離カラム4
1→測定セル42を経てドレンに排出される。シリンジ
40内の液体試料は、インジェクタ39を介して溶離液
のラインの中に投入され、分離カラム41で成分毎に分
離され、各成分毎に特定の保持時間を経た後、測定セル
42に流入し、溶離液とともに排出される。この試料の
投入から排出までの間、測定セル42の中の試料の吸光
度が、セル42の両側に設置された光源43,光検出器
44を用いて測定され、時刻デ−タとともにデ−タ処理
装置45に記録される。
【0038】図9に、一般的な液体クロマトグラフィ装
置でカチオンを測定した例を示す。Co,Ni,Fe
を、各20ppbずつ超純水に溶解し、発色剤と反応さ
せた試料の測定例であり、ピ−ク位置が成分を示し、ピ
−ク面積は濃度を示す。図9中のP3は発色剤のピ−ク
であり、P4,P5,P6が各々Co,Ni,Feに対
応する。
【0039】この一連の測定の間、溶離液の流量は一定
でなければならないが、一般の装置では、ポンプ34の
駆動電圧を一定にする程度の対応しかしていない。そこ
で、流量調節弁35を、弁開度信号36と流量信号37
を用いて制御装置38で制御したとき、流量制御系統の
異常を、監視装置46で検出可能か否かについて検討す
る。このとき、一般に、流量調節弁35は、開度が大き
いときと小さいときで特性が異なる。そこで、ポンプ3
4が定格で運転されているときの正常な弁開度と流量の
関係を図10のように仮定する。
【0040】図11は、シミュレ−ション結果である。
上述した仮定の他に、ポンプ34の吐出圧に小さな脈動
があると仮定している。運転状態の変化は、前半は、ウ
ォ−ムアップのために流量は小さくしており、それを途
中から測定時と同じ流量に設定する操作を行い、測定時
の流量に安定したときに異常が発生したと仮定する。異
常事態としては「漏洩」を想定し、正常時と比較して2
%程度流量が大きくなると仮定する。流量信号だけから
でも異常発生による影響は観察できるはずであるが、実
際には、ポンプの脈動より流量に小さな変化があり、流
量信号だけからは漏洩を検出することはできない。そこ
で、本実施例では、上述した監視パラメ−タにより異常
を監視する。弁開度信号と流量信号の経時変化を図11
の上段に表示し、上述したようにして求めた監視パラメ
ータを図11の下段に表示する。ウォ−ムアップと測定
時による流量の変化に伴う変化量は小さいが、監視パラ
メータはほとんど変化を示さない。しかし、異常が発生
した時には、監視パラメータは大きく変化している。
【0041】以上述べた実施例によれば、高精度な異常
検出に必要な『正常時における変動幅が小さい』という
条件と、『異常発生時の変化が大きい』という条件の双
方を満たすことができる。
【0042】なお、上述した本発明の実施例を、運転中
の機器に適用する場合、機器の運転状態が変化するとき
には有効であるが、定常運転時には有効ではない。従っ
て、定常運転時にも有効な異常監視法と組み合わせて適
用することが望ましい。しかし、実際には、既に、単一
のパラメ−タの絶対値,変化率,変動幅等に着目する異
常検出方法等の従来方法で監視を行っており、定常運転
時の異常検出の精度には概ね満足しているが、特に、起
動・停止時など運転状態が変化する時の異常検出の精度
が必ずしも満足する値ではないというプラントが多い。
このため、本発明の実施例を従来技術と併用すること
で、プラントの運転状態が変化する場合の異常検出の精
度を向上させることが可能となる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、異常検出の精度を向上
することができる。また、異常発生の有無の判断が監視
パラメ−タなる単一の数値で表現可能なので、必ずしも
運転員等による主観的な判断は必要ではなく、オンライ
ン監視,緊急時自動停止装置等への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る異常監視装置の構成図
である。
【図2】本発明の一実施例を原子力プラントの再循環ル
ープに適用した図である。
【図3】図2に示す監視装置の詳細構成図である。
【図4】計測信号の応答補正前(上段),後(下段)の
経時変化を示すグラフである。
【図5】第一演算部による演算結果の一例を示すグラフ
である。
【図6】第一演算部および第三演算部の演算結果を示す
グラフである。
【図7】応答補正の有無による監視パラメ−タの演算結
果を示すグラフである。
【図8】液体クロマトグラフィシステムに本発明実施例
を適用した図である。
【図9】一般的な装置による液体クロマトグラフィの測
定例を示すグラフである。
【図10】シミュレ−ションの際に仮定した流量と弁開
度との関係を示すグラフである。
【図11】シミュレ−ションの結果を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1,2…検出器、3…応答補正部、4…回帰分析演算
部、5…監視パラメ−タ、6…異常判別部、7…異常報
知部、8…原子炉、9…炉心、10…主蒸気配管、11
…給配水管、12…再循環ポンプ、13…再循環配管、
14…ジェットポンプ、15…回転数計、16…流量
計、17…回転数信号、18…流量信号、19…監視装
置、20…A/D変換器、21…第一バッファ、22,
23…LPF(ロ−パスフィルタ)、24…第二バッフ
ァ、25…第三バッファ、26…第四バッファ、27…
第一演算部、28…第二演算部、29…第三演算部、3
0、31…CRT、32…監視パラメ−タ、33…溶離
液のボトル、34…ポンプ、35…流量調節弁、36…
弁開度測定器、37…流量計、38…制御装置、39…
インジェクタ、40…シリンジ、41…分離カラム、4
2…測定セル、43…光源、44…光検出器、45…デ
−タ処理装置、46…監視装置。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 監視対象機器の複数種類の特性を検出し
    各特性に応じた複数種類の計測信号を取り込み、各計測
    信号の応答特性の違いを補正し、補正した2種類の計測
    信号を回帰分析して回帰係数および相関係数を算出し、
    算出した相関係数から回帰係数の有意性を評価し、回帰
    係数が有意である場合には回帰係数を監視パラメ−タと
    し、該監視パラメ−タが所定の正常範囲内にあるか否か
    を監視して所定の正常範囲から逸脱したとき監視対象機
    器に異常が発生したと判定することを特徴とする機器の
    異常監視方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、監視パラメ−タの所
    定の正常範囲は、監視対象機器の試運転時に、回帰分析
    により運転状態の関数として予め算出しておき、監視対
    象機器の運転状態に応じて正常範囲が設定されることを
    特徴とする機器の異常監視方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載において、回帰係数の有意
    性は、相関係数の値が予め定めたしきい値を超えるか否
    かで評価し、該しきい値は、監視対象機器の試運転時に
    回帰分析により運転状態の関数として算出することを特
    徴とする機器の異常監視方法。
  4. 【請求項4】 監視対象機器の複数種類の特性を検出し
    各特性に応じた複数種類の計測信号を取り込み、各計測
    信号の応答特性の違いを補正し、補正した複数種類の計
    測信号を回帰分析して相関係数を算出し、該相関係数か
    ら回帰分析の有意性を評価し、回帰分析が有意である区
    間のみを選択し、選択した区間を再度回帰分析して回帰
    係数を算出し、該回帰係数を監視パラメ−タとし、該監
    視パラメ−タが所定の正常範囲内にあるか否かを監視し
    所定の範囲から逸脱したとき機器に異常が発生したと判
    定することを特徴とする機器の異常監視方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、最初の回帰分析にお
    ける未知定数の数を“2”とし、2度目の回帰分析にお
    ける未知定数の数を“1”とすることを特徴とする機器
    の異常監視方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、最初の回帰分析にお
    いて算出した未知定数の値を用いて補正後の複数の信号
    が比例関係に近くなるように処理した後に、2回目の回
    帰分析を行うことを特徴とする機器の異常監視方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、処理に用いる未知定
    数の算出の際に計算する計測点は、回帰分析が有意と判
    断される連続した1区分全体であることを特徴とする機
    器の異常監視方法。
  8. 【請求項8】 監視対象機器の複数種類の特性を計測す
    る検出手段と、該検出手段の計測した複数種類の計測信
    号の応答特性の違いを補正する補正手段と、補正した計
    測信号を回帰分析し回帰係数および相関係数を算出する
    と共に算出した相関係数から回帰係数の有意性を評価す
    る相関抽出手段と、回帰係数が有意である場合には回帰
    係数を監視パラメ−タとする有意性判別手段と、該監視
    パラメ−タが所定の正常範囲内にあるか否かを判断し所
    定の範囲内にないときに機器に異常が発生したと判断す
    る異常判別手段とを備えることを特徴とする機器の異常
    監視装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載において、監視パラメ−タ
    の所定の正常範囲を監視対象機器の試運転時に回帰分析
    により運転状態の関数として算出し監視対象機器の運転
    状態に応じて正常範囲を設定する手段を備えることを特
    徴とする機器の異常監視装置。
  10. 【請求項10】 請求項8において、応答特性の補正手
    段はロ−パスフィルタであることを特徴とする機器の異
    常監視装置。
  11. 【請求項11】 請求項8において、応答特性の補正手
    段は遅延回路であることを特徴とする機器の異常監視装
    置。
  12. 【請求項12】 請求項8において、補正後の信号の経
    時変化または散布図をCRT画面上に表示する手段を備
    えることを特徴とする機器の異常監視装置。
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