JPH06280284A - 掘削溝埋戻し用作業車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】地中埋設物敷設工事における埋戻し作業能率と
施工性の向上。 【構成】高さ調整可能な独立駆動車輪を有する４輪駆動
台車に、埋戻し用土砂の敷均し装置、土砂締固め用振動
装置および矢板引抜用クレーンが装備されている。敷均
し装置、締固め用振動装置は埋戻し床付高さに応じて上
下動する。土砂は敷均し装置により敷均した後、その敷
均された土砂を締固め用振動装置により締固める。同時
に、矢板引抜用クレーンにて矢板を引き抜く。 【効果】一台の作業車で埋戻し用土砂の敷均し、締固め
および矢板の引抜きを同時に行うことができるので、埋
戻し作業を能率よく、かつ労力や時間をかけずに埋戻し
状態を良好に仕上げることができる。台車の高さを調整
できるので、地面に突出する突起物に邪魔されることな
く埋戻し作業を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、埋設物を敷設するた
めに掘削した溝の埋戻しおよび土留用矢板の引抜き作業
を実施する場合に使用する作業車に係り、より詳しくは
掘削溝内土砂の敷き均しおよび締固め作業と、土留用矢
板の引抜き作業を一台の作業車で行うことができる掘削
溝埋戻し用作業車に関する。

【０００２】

【従来の技術】下水道やガス管等の地中埋設物を敷設す
る工事を行う際は、開削工事にて掘削した溝を矢板にて
土留めして埋設物の敷設を行い、しかる後掘削溝を埋戻
し、土留用矢板を引抜く。その際、掘削溝内の埋戻し用
土砂の締固め作業は、比較的広い場所ではロードローラ
やタイヤローラにより行われ、溝底や狭い場所ではソイ
ルコンパクタ、ランマ、タンパ等の建設機械により行わ
れている。また、土留用矢板の引抜き作業は、振動杭打
設機を利用して実施したり、小規模の工事用の矢板に対
してはバックホウのアームの垂直引上げを利用して行わ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、土砂の転圧締
固め作業と矢板引抜き作業をそれぞれ専用の建設機械を
使用して個別に実施する従来の埋戻し方法では、以下に
記載する問題がある。

【０００４】埋設物を敷設するために開削した掘削溝
を、埋設物敷設後に埋戻しする場合、大型建設機械の導
入が可能な広い工事環境である場合には、従来一般に用
いられている前記の各種建設機械を使用して通常の施工
を実施することが可能である。ただし、工事場所が狭
く、大型の建設機械の導入が困難な場所においては、小
型のタンパやランマで締固め作業を行い、小型バックホ
ウや小型クレーン等を用いて矢板の引抜きを行うことが
できる。

【０００５】しかし、大型建設機械の導入が可能な広い
工事場所や、小型建設機械に限られる狭い工事場所のい
ずれであっても、従来の埋戻し作業および矢板引抜き作
業はそれぞれ専用の機械を用いて個別に実施されるた
め、使用する機械の搬入、搬出の移動、位置決め等の段
取りに多くの手間と時間を要し、作業能率が悪い上、時
間的ロスも大きいという問題がある。さらに、埋戻し作
業は土砂の締固め作業と矢板引抜き作業が交互に繰返さ
れてはじめて良好な結果を得ることができるが、前記の
通り従来は土砂の締固め作業と矢板引抜き作業をそれぞ
れ専用の機械により個別に行うため、埋戻し状態を良好
に仕上げるためには埋戻し作業に多大な時間と労力を要
するという問題がある。

【０００６】この発明は、このような実状よりみて、掘
削溝内土砂の敷き均しおよび締固め作業と、土留用矢板
の引抜き作業を一台の作業車で同時に行うことができる
掘削溝埋戻し用作業車を提案しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、埋設物敷設
後に行う埋戻し作業および矢板引抜き作業に必要な装置
を装備した作業車であり、その要旨は、車体を支持する
４個の駆動車輪が独立して上下方向に可動に取付けられ
た４輪駆動台車に、掘削溝内に投入された埋戻し用土砂
の敷均し装置、土砂締固め用振動装置および矢板引抜用
クレーンを備え、前記敷均し装置と締固め用振動装置は
埋戻し床付高さに応じて上下方向に可動に設けて構成し
たものである。

【０００８】

【作用】４輪駆動台車は、油圧シリンダー等の流体圧シ
リンダーにて各車輪を上下動可能に設けて車体の高さを
調整可能となしている。掘削溝内に投入された埋戻し用
土砂の敷均し装置は、台車の先端部に油圧シリンダー等
で角度可変に取付けられたブレードで構成されている。
土砂締固め用振動装置は、台車に油圧シリンダー等の流
体圧シリンダーにて上下動可能に支持された支柱に、支
持アーム等を介して取付けられている。この締固め用振
動装置は、前記敷均し装置の背後に位置し、その台数は
特に限定するものではないが、敷均し装置により敷均さ
れた土砂の初期締固め用と本締固め用の２台設置するの
が好ましい。その場合、初期締固め用振動装置は小型と
し、本締固め用は大型とする。矢板引抜用クレーンには
通常の油圧クレーンを用い、台車の後部に設置する。

【０００９】埋設物敷設後に、掘削溝に土砂を投入して
埋戻しを行う際は、台車を移動させながら敷均し装置に
より土砂を敷均し、続いて敷均された土砂を締固め用振
動装置により締固める。一方、土留用矢板は矢板引抜用
クレーンにて引抜くことができるので、埋戻し作業を連
続して行うことができる。その際、土砂の締固め作業に
おいては、土砂締固め用振動装置を上下動することがで
きるため、掘削溝の深さおよび埋戻し作業の進捗に合せ
て実施することができる。また、台車は各車輪が独立し
て上下動可能となしているため、土留用矢板等地面に突
出する障害物に邪魔されることなく移動することができ
る。

【００１０】

【実施例】図１はこの発明に係る掘削溝埋戻し用作業車
の一例を全体的に示す概略側面図、図２は同上作業車の
平面図、図３は同上作業車の正面図であり、１は台車、
２は独立駆動車輪、３は敷均し装置、４は初期締固め用
小型振動装置、５は本締固め用大型振動装置、６は矢板
引抜用クレーン、７は運転席、８は掘削溝である。

【００１１】台車１は、相平行する左右一対の型鋼１−
１と前後一対の連結部材１−２および型鋼間に横設した
複数本の補強部材１−３とで構成した車体を４個の独立
駆動車輪２にて走行可能に支持した構造となしている。
４個の独立駆動車輪２のうち前輪は、旋回軸受１−５を
介して車体に固定されかつ油圧シリンダー１−４にて旋
回可能に取付けた揺動ビーム受１−６に支軸１−７を支
点に上下方向に揺動するごとく設けた揺動ビーム１−８
に支持され、かつ揺動ビーム受１−６と揺動ビーム１−
８間に縦向きに設けた油圧シリンダー１−９にて高さ調
整可能となしている。また後輪は、車体に一体に取付け
た揺動ビーム受１−１０に支軸１−１１を支点に上下方
向に揺動するごとく設けた揺動ビーム１−１２に支持さ
れ、かつ揺動ビーム受１−１０と揺動ビーム１−１２間
に縦向きに設けた油圧シリンダー１−１３にて高さ調整
可能となしている。Ｍ_１は前輪側の油圧モーター、Ｍ_２
は後輪側の油圧モーターであり、４個の車輪はそれぞれ
この油圧モーターＭ_１、Ｍ_２にて独立駆動式となってい
る。

【００１２】なお、前輪側の高さ調整用油圧シリンダー
１−９は上部を揺動ビーム受１−６に設けたブラケット
１−１４に、下部を揺動ビーム１−５に設けたブラケッ
ト１−１６に、それぞれ枢着されている。また、後輪側
の高さ調整用油圧シリンダー１−９は上部を揺動ビーム
受１−１０に設けたブラケット１−１７に、下部を揺動
ビーム１−５に設けたブラケット１−１８に、それぞれ
枢着されている。

【００１３】初期締固め用小型振動装置４は、台車１の
先端部に設けたガイド筒４−２を介して上下動可能に取
付けられ、かつ内蔵の油圧シリンダー（図示せず）にて
高さ調整可能に設けた一対の可動支柱４−１の下部に、
ブラケット４−３を介して上下方向に可動に枢着した一
対の支持アーム４−４に取付けられ、可動支柱４−１と
ブラケット４−３との間に設けた油圧シリンダー４−５
にて該小型振動装置４の高さ位置を調整可能となしてい
る。

【００１４】敷均し装置３は、上記可動支柱４−１の下
部に支持アーム３−２を介して回動可能に取付けられた
ブレード３−１を油圧シリンダー３−３にて角度可変に
支持された構造となっている。

【００１５】本締固め用大型振動装置５は、位置的には
台車１の中央部に設けたガイド筒５−２を介して上下動
可能に取付けられ、かつ内蔵の油圧シリンダーにて高さ
調整可能に設けた一対の可動支柱５−１の下部に、ブラ
ケット５−３を介して上下方向に可動に枢着した一対の
支持アーム５−４に取付けられ、可動支柱５−１とブラ
ケット５−３との間に設けた油圧シリンダー５−５にて
該大型振動装置５の高さ位置を調整可能となしている。

【００１６】矢板引抜用クレーン６は、台車１の後部に
旋回自在に設置され、台車幅方向両サイドに伸縮式支持
脚６−１が設けられている。６−２は矢板引抜用フック
である。

【００１７】台車１、各独立駆動車輪２、敷均し装置
３、初期締固め用小型振動装置４、本締固め用大型振動
装置５、矢板引抜用クレーン６の制御はすべて運転席７
で行われるように構成されている。

【００１８】上記の掘削溝埋戻し用作業車により掘削溝
８の埋戻しを行う場合は、台車１を移動させながら敷均
し装置３による土砂敷均しを実施し、かつ敷均された土
砂を小型振動装置４により初期固めを行い、同時に大型
振動装置５により初期固めされた土砂の本締固めを行
う。この時、敷均し装置３および小型振動装置４と、大
型振動装置５の高さ調整は、それぞれ可動支柱４−１、
５−１に内蔵された油圧シリンダーにて行う。また同時
に、矢板引抜用クレーン６にて矢板の引抜きを行い、埋
戻し作業を連続して実施する。

【００１９】また、土留用矢板の上端が台車に接触する
ような場合は、各独立駆動車輪２を油圧シリンダー１−
９、１−１３にて上下動させて台車１の高さを調整する
ことにより台車を支障なく走行させることができる。ま
た、路面の凹凸や傾斜面に対しても、各独立駆動車輪２
を個別に操作して高さ調整することにより台車１を水平
に保つことができる。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したごとく、この発明の作業車
によれば、以下に記載する効果を奏する。 (1) 地中埋設物敷設工事の埋戻し作業に必要な土砂敷均
し装置、土砂締め固め装置および矢板引抜き用クレーン
をすべて装備しているので、作業場所の広狭に関係な
く、一台の作業車で埋戻し作業を能率よく行うことがで
きるとともに、土砂の締固め作業と矢板引抜き作業を同
時に行うことができるので、労力や時間をかけずに埋戻
し状態を良好に仕上げることができる。 (2) 土砂の締固め作業においては、土砂締固め用振動装
置を上下動することができるため、掘削溝の深さおよび
埋戻し作業の進捗に合せて実施することができる。(3)
台車は各車輪が独立して上下動可能となしているため、
土留用矢板等地面に突出する障害物に邪魔されることな
く埋戻し作業を行うことができる上、路面の凹凸や傾斜
面に対しても、各独立駆動車輪２を個別に操作して高さ
調整することにより台車１を水平に保つことができる。 (4) 以上の効果により、地中埋設物敷設工事の工期の短
縮、工事費の削減、労力の軽減がはかられるとともに、
安全性の面でも有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る掘削溝埋戻し用作業車の一例を
全体的に示す概略側面図である。

【図２】同上作業車の平面図である。

【図３】同上作業車の正面図である。

【符号の説明】

１ 台車 ２ 独立駆動車輪 ３ 敷均し装置 ４ 初期締固め用小型振動装置 ５ 本締固め用大型振動装置 ６ 矢板引抜用クレーン ７ 運転席 ８ 掘削溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 埋設物敷設後に、掘削溝に土砂を投入し
   て埋戻しを行うとともに、土留用矢板を引抜く作業車で
   あって、車体を支持する４個の駆動車輪が独立して上下
   方向に可動に取付けられた４輪駆動台車に、掘削溝内に
   投入された埋戻し用土砂の敷均し装置、土砂締固め用振
   動装置および矢板引抜用クレーンを備え、前記敷均し装
   置と締固め用振動装置は埋戻し床付高さに応じて上下方
   向に可動に設けたことを特徴とする掘削溝埋戻し用作業
   車。