JPH0627879B2 - 時計のカレンダー機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は薄型時計のカレンダー構造の改良に関するもの
であり、簡単な構造で、組立性・信頼性を向上させたカ
レンダー付時計を提供するものである。

第１図は従来の実施例を示す断面図であり、１は地板、
２は日車４の案内および回転軸となる日ジャンパ、３は
日車押えを示す。日車押え３は、突出部３ａが施こされ
ており、日ジャンパ２に設けられた日車押え突出部案内
穴２ａによって案内、位置決めされる。日ジャンパ２
は、地板１に植立された案内ピン６によって平面位置決
めされており、日車押え３を介して、日車押えねじ10に
より地板１に固定されている。この時日車押え３の案内
ピンニゲ穴３ｂは案内ピン６とはガタをもって嵌合して
いる。５は曜板を示し、曜星車７に取り付け曜車を構成
する。曜星車７は、日ジャンパ２に取り付けられた曜車
案内ブシュ８により案内され、曜車止め座９によって断
面的位置決めされるよう構成されている。

第１図に示す構造において、カレンダー構造を薄型化す
るためには、日ジャンパ２、日車押え３などのカレンダ
ー機構を構成する板物の部材の厚みを薄くし、日車押え
３と曜板５のスキマを極力詰める必要があり、近年の薄
型時計のカレンダー構造は、板物部材は薄く、日車押え
３と曜板５とのスキマも極力詰めた構造となってきてい
る。このため地板に立てられた案内ピン６は、曜板５に
よりピン高さは限られてしまう又、板物部材は薄くなっ
ているなどの理由により特に日車押え３の案内長さが得
られず、第１図に示すように日車押えに突出部３ａを設
け、これを日ジャンパに施こした案内穴２ａにより位置
決め、案内しなければならなかった。しかしこの構造で
は、部品のばらつき・ソリ、あるいは組立時の案内性を
考慮すると、突出部の高さ（図中：Ｈ）は高くなり、地
板にニゲサライ１ａが必要となる。また突起部３ａは日
車押えの位置決めに使われているため最低でも２本は必
要でありこの分地板のサライも増えるまた日車押えの突
起部についても基準となるため、位置・形状とも精度が
要求されるためコストアップの要因となっている。さら
に日車押え突起部はしぼり加工によって得ているため、
突起部の高さ：Ｈが高くなるとしぼりの範囲が広く大き
くなるため平面スペース的にも位置が限定される。ある
いは地板にも逃げサライを施こさなければならないため
位置がさらに限定され条件の良い場所に設定できない。
また、日ジャンパは地板の案内ピンで位置決め、日車押
えは日ジャンパの案内穴と突起部で位置決めと、位置決
め基準が異なりばらつきが増すなど信頼性に欠けるなど
の問題があった。さらに組立上では、基準が違うため組
立にくい、日車押えの案内が充分とはいえないため機械
組立では、日車押え組み込み後、ねじ締の工程に移行す
るまでに日車押えを押えながらねじ締を行なわなければ
らならいなど、組立工数がかかりコストアップの要因、
大量生産には向かないなどの問題となっている。

本発明はかかる欠点を除去したものであり、以下図面に
従って詳述する。

第２図は本発明の実施例を示す平面図、第３−ａ、ｂ図
は本発明の実施例を示す断面図である。第３−ａ、ｂ図
において、第３−ａ図は第２図図中Ａ−Ａ′部断面を矢
印方向より見た断面、第３−ｂ図は第２図図中Ｂ−
Ｂ′、Ｃ−Ｃ′部断面を示す。

第２図、第３図において、11はカレンダー裏板を示し、
時刻表示輪列（周知なので図示しない）と噛み合って日
車４を駆動する日送り車12の歯部12aより厚くなるよう
構成してあり、日車４の位置決めおよび回転軸となる日
ジャンパ２により日送り車12の断面スキマが詰るのを防
止している。またカレンダー裏板11は、日車４曜星車７
の位置修正用の修正車であり外部操作部材の（周知なの
で図示しない）の操作により回転させられる第２カレン
ダー修正伝え車13の回転軸11a、第２カレンダー修正伝
え車13と噛み合い揺動することにより曜修正伝え車16・
日車４と係合するカレンダー修正車14の揺動用変形穴11
cを有し、曜星車７と噛み合う曜修正伝え車15曜修正伝
え車14の固定および回転軸となる曜修正伝え車軸16が取
り付けられ、日車４の歯ニゲサライ11bが施こされてい
る。これにより、従来はカレンダー修正車14の揺動用変
形穴11c、曜修正伝え車軸16・曜修正伝え車15の取り付
け、日車歯ニゲサライ11bあるいは、日送り車12の断面
位置合せのためのサライは地板に施こされており、ムー
ブメントを構成する部品の中では一番高価である地板へ
の加工負荷を増やしさらに高価にする要因であったが、
薄板で加工しやすいカレンダー裏板に置き換え地板への
加工負荷をおさえ低コスト化をはかっている。

またカレンダー裏板11には、組立時の案内性を高めるた
めに日車押え３に施こされた突出部３ａの逃げ穴11dを
持つ。５は曜板（第２図平面図では点鎖線で示す）を示
し、曜星車７に取り付け曜車を構成する。曜星車７は、
日ジャンパ２に取り付けられた曜車案内ブシュ８により
案内され、曜車止め座９によって曜車案内ブシュ８に固
定されている。日車押え３は、カレンダー修正車14を揺
動させるため常にカレンダー修正車14の断面方向に力を
加えておくため初期撓みを持ちカレンダー修正車を押え
ているカレンダー修正車押えばね３ｂを有し、地板１に
植立された案内ピンＡ17とは最小ガタにより案内される
ように明けられた案内穴３ｃと、地板１に植立された案
内ピンＢ18とは、案内ピンＢ18を剛体部３ｄとばね状の
弾性部３ｅで挾持するよう形成されている。日車押え３
の位置決めは、案内ピンＡ17と案内穴３ｃとの係合によ
り一点を決定し、剛体部３ｄを案内ピンＢ18に当てるこ
とにより日車押え３の回転方向の度決めを行ない案内穴
３ｃと剛体部３ｄで位置決めを行なっている。弾性部３
ｅは、剛体部３ｄと弾性部３ｅとのスキマが案内ピン18
のピン径より小さくなるように設定されており、日車押
え３を案内ピンＢ18に組込み後は案内ピンＢ18を弾性部
３ｅを撓ませることにより得たばね力で側面から押し付
け、案内ピンＢ18と剛体部３ｄとが当って日車押え３の
位置ズレが起きないようになっている。また弾性部３ｅ
部は日車押え３を案内ピンＢ18に組込むことによって弾
性部３ｅ部を撓ませることにより得た力で、日車押え
３、日ジャンパ２、カレンダー裏板11などのソリ、ある
いは日車押えカレンダー修正車押えばね３ｂの初期撓み
による日車押えの浮きによる日車押え３が案内ピンＡ1
7、案内ピンＢ18によりはずれるのを防止する役割を持
つ。

これにより従来の構造と異なり、多少の振動あるいは衝
撃が加わっても弾性部３ｅ部を撓ませることにより得た
バネ力で日車押えのはずれ防止を行なっているため、た
とえば自動組立ラインで機械による組立を行なっても、
日車押えを案内ピンに組み込み後ねじ締工程に移行する
までに日車押えが案内ピンよりはずれて工程不良となる
こともなくなるため自動組立ラインに乗せ易く自動組立
化によりコストダウンもはかれる。また手組の場合にも
組立て易いなどのメリットがある。さらに弾性部３ｅに
より案内ピンＢ18をガタなく挟み込んでいるためばらつ
きが押えられ信頼性も向上する。

また日車押え３には、前述の組立時の案内性を高めるた
めに突出部３ａが設けられているが、これにより日ジャ
ンパ２、カレンダー裏板のソリ等により案内ピンＡ17、
案内ピンＢ18の日ジャンパからの飛び出し量が少なくな
り日車押え３の案内長さが少なくなっても、突起部３ａ
が日ジャンパの突起部案内穴３ｃで案内され組立易くな
っており、日ジャンパ２の案内穴２ｃとは案内ピンＡ17
・案内ピンＢ18位置等ばらついてもガタになるよう設定
されている。このため、従来の日車押えの基準軸として
使用しないため位置はスペースのある任意の箇所に設定
できる、形状・精度もラフで良く加工は容易で作り易
い。

また日車押え３には、案内ピンＢ18の近傍に切り欠き部
３ｆを設けてあり、この形状に合せ日ジャンパ２にも日
車押え切り欠き部３ｆと反対向きの切り欠き部２ｂを日
車押え切り欠き部３ｆと交わるよう設けてあるため、時
計用ドライバーなどを日ジャンパ切り欠き部２ｂと日車
押え切り欠き部３ｆとの交差部のスキマに押し当て日車
押え３をこじれば日車押え３を案内ピンＢから日車押え
３に歪を加えることなくはずせるようになっている。

日ジャンパ２、カレンダー裏板11は、地板に植立した案
内ピンＡ17、案内ピンＢ18の２本により位置決めされて
おり、日車押えねじ10により、日車押え３を介して地板
１に固定されるよう構成されている。これによりカレン
ダー裏板11、日ジャンパ２、日車押え３は全て同一基準
（案内ピンＡ17、案内ピンＢ18）で位置決めされるた
め、従来の構造の様に日車押えのみ日ジャンパの基準穴
で決めるなどして基準が変わることがないためバラツキ
を押えることができ信頼性を高めることができる。

以上の様に本発明は、カレンダー裏板等薄板が従来構造
より増える。あるいはカレンダー修正方式が修正車で行
なう方式でカレンダー修正車押えばねが日車押えに形成
されカレンダーまわりを形成する基板の案内がしにくく
なるなど条件が悪くなってもこれを容易に解消すること
ができ、構造によって制約を受けることなく案内、固定
が確実にできる。さらに本発明を実施することにより、
容易な方法で信頼性を高めかつコストアップを押えたカ
レンダー構造とすることができ、組立性も向上させるこ
とができる。

尚、本発明では日車押えに形成した弾性部は一箇所の場
合において説明を行なったが、二箇所以上形成し二箇所
以上の案内ピンを弾性部で挾持しても効果は同じであ
る。また本発明では弾性部形状はばね状のものについて
説明を行なったが、第４図に示すように日車押え３の案
内ピン18の近傍の外形部３ｇの形状を切り欠き、案内穴
と外形と間に薄肉部３ｈを設け、これを弾性部として使
用しても効果は同じである。

また本発明では日車押えに弾性部を設け案内ピンを弾性
部で挾持する構造について説明を行なったが、日ジャン
パに行なっても１針フレ等を防止するために使われる針
座によって日ジャンパが浮くのを防止できる。あるいは
日ジャンパのソリによる浮きを防止することができるな
ど効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図……従来の一実施例を示す断面図 第２図……本発明の一実施例を示す平面図 第３−ａ図、第３−ｂ図……本発明の一実施例を示す断
面図 第４図……本発明の他の実施例を示す平面 １……地板、２……日ジャンパ ３……日車押え ３ａ……日車押えに形成された突起部 ３ｅ……日車押えに形成されたばね状弾性部 ４……日車、５……曜板 ７……曜星車、８……曜車案内ブシュ ９……曜車止め座、10……日車押えねじ 11……カレンダー裏板 12……日送り車 13……第二カレンダー修正伝え車 14……カレンダー修正車 15……曜修正伝え車、16……曜修正伝え車軸 17……案内ピンＡ、18……案内ピンＢ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の案内ピンを有し日車、曜車、日，曜
   送り装置および日・曜修正装置が装着される地板と、 前記日車の断面方向を位置決めし前記複数の案内ピンと
   係合し前記地板に位置決め保持される裏板と、 前記日車を位置規正する弾性部を有し前記地板の複数の
   案内ピンと係合して前記裏板に載置される日ジャンパ
   と、 前記曜車を位置規正する弾性部、該弾性部の近傍に配設
   され前記地板の複数の案内ピンの一方を挾持する剛体部
   と弾性部とで形成された長穴状の案内穴を有し前記日ジ
   ャンパに載置される日車押えと、 前記日車押えを前記裏板、日ジャンパと共に前記地板に
   固定する手段とを有してなり、 前記日車押えは前記長穴状の案内穴を前記地板の一方の
   案内ピンに締代をもって弾性係合させ前記裏板、日ジャ
   ンパと共に前記地板に案内固定させてなることを特徴と
   する時計のカレンダー機構。