JPH06276872A - マーカー遺伝子の除去方法 - Google Patents

マーカー遺伝子の除去方法

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JPH06276872A
JPH06276872A JP7380293A JP7380293A JPH06276872A JP H06276872 A JPH06276872 A JP H06276872A JP 7380293 A JP7380293 A JP 7380293A JP 7380293 A JP7380293 A JP 7380293A JP H06276872 A JPH06276872 A JP H06276872A
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JP
Japan
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gene
plant
hph
rice
marker gene
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JP7380293A
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Isao Shimamoto
功 島本
Yusuke Kimura
雄輔 木村
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Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kasei Corp
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Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kasei Corp
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Publication date
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】それぞれが異種プラスミド由来の外来遺伝子お
よびマーカー遺伝子を有する形質転換植物体の次世代以
降の子孫を育種して外来遺伝子のみを有する品種を選抜
することによりマーカー遺伝子を除去する。また、外来
遺伝子を有するプラスミドおよびマーカー遺伝子を有す
るプラスミドからなる複数異種のプラスミドを植物組織
または植物組織に由来する細胞に共存導入して形質転換
し、該形質転換体から再生した植物体の次世代以降の子
孫を育種することによりマーカー遺伝子の除去された形
質転換植物を作出する。 【効果】本発明によれば、意図的に選択マーカー遺伝子
を除去できるので、微生物由来の選択マーカー遺伝子を
持たない、食用作物では好適な形質転換植物が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業生産、特に作物育
種上有用な形質転換植物から、実用上は不要な主として
微生物に由来する遺伝子を除去する方法、およびかかる
方法を用いて形質転換植物を作出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】現在
では農業上重要な作物を含む広い範囲の植物種で、数々
の形質転換植物が得られている。これらの形質転換植物
の中には人類にとって有用な形質が導入された例が少な
くない。通常、形質転換植物の作出の過程では、目的と
する有用形質を発現するカルスまたは再生植物を効率よ
く選抜するために、目的とする外来遺伝子の他に選抜の
指標となるマーカー遺伝子を導入する。一般的に用いら
れているマーカー遺伝子は、例えばハイグロマイシン、
カナマイシン等の抗生物質に対して耐性を示す遺伝子や
ビアラフォス、バスタ等の除草剤に耐性を示す遺伝子で
あり、すべて微生物由来である。これら微生物由来の耐
性遺伝子等のマーカー遺伝子はカルス等を選抜する際の
みに必要とされるものであり、得られた植物体では必要
とされない。むしろ、食用とされる作物ではマーカー遺
伝子が除去された方が好ましい。にもかかわらず、現在
効果的なマーカー遺伝子除去の技術は知られていないた
め、全ての形質転換植物はマーカー遺伝子を持っている
のが現状であった。
【0003】実験的には、細胞でのDNA組換え機構
を利用し導入遺伝子を除去する方法(Dale et
al,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,88,10558−10562,1991)、植
物由来のマーカー遺伝子を探索し利用する方法(Li
et al,Plant Physiol.,100
662−668,1992)が試みられてはいるもの
の、実用段階には至っていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、形質転換
植物よりマーカー遺伝子を除去する目的で検討を重ねた
結果、共存導入法を用いた形質転換法を用いることによ
り、マーカー遺伝子が除去されることを初めて見出し、
本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、それ
ぞれが異種プラスミド由来の外来遺伝子およびマーカー
遺伝子を有する形質転換植物体の次世代以降の子孫を育
種して外来遺伝子のみを有する品種を選抜することを特
徴とするマーカー遺伝子の除去方法、およびかかる方法
を用いて形質転換植物を作出する方法に存する。
【0005】以下、本発明につき詳細に説明する。共存
導入法とは、複数の異種プラスミドをカルス、プロトプ
ラスト等の植物由来の細胞または組織に、同時に導入す
る方法である。植物の形質転換法はTiプラスミドを
用いる方法、直接導入法に大別できるが、イネ科植物
等の一部の植物においてはの方法が利用できないの
で、本発明ではの直接導入法が用いられる。直接導入
法は、植物由来のプロトプラスト、培養細胞、組織等
に、組換えDNAプラスミドを、エレクトロポレーショ
ン法、ポリエチレングリコール法、パーティクルボンバ
ードメント法等の方法で、直接に導入する方法である。
【0006】複数の遺伝子の導入方法としては、複合
プラスミドによる方法、共存導入法が知られている。
は目的とする外来遺伝子やマーカー遺伝子等の複数の
遺伝子を単一のベクターに組み込み、得られた単一の組
換えDNAプラスミドを導入する方法であるのに対し、
は目的とする外来遺伝子やマーカー遺伝子を組み込ん
だ、複数の組換えDNAプラスミドを用意し、それらを
同時に導入する方法であり、複数の遺伝子を発現する形
質転換植物が得られる。これら複数の遺伝子は再生植物
において独立に遺伝することが期待され、その場合、外
来遺伝子のみを発現しマーカー遺伝子を持たない形質転
換植物が得られる。よって本発明においては、の共存
導入法が用いられる。
【0007】本発明において対象となる植物は特に制限
はされないが、農業生産上有用な作物ということで、イ
ネ、ムギ、トウモロコシ、シバ等の単子葉植物が好まし
く、特にイネ科の植物であることが好ましい。本発明に
おいて導入される外来遺伝子は、対象とする植物を形質
転換し得るものであれば特に制限はされない。例えばイ
ネを形質転換の対象とする場合、イネ縞葉枯ウイルス外
被タンパク質(RSV−CP)遺伝子、イネでんぷん合
成酵素(Wx)遺伝子、β−グルキュロニダーゼ(GU
S)遺伝子のcDNAあるいはゲノミックDNA等が挙
げられる。
【0008】またマーカー遺伝子としては、目的とする
コロニーを選択する際に有効ないわゆる選択マーカー遺
伝子であれば特に制限はされないが、具体的にはハイグ
ロマイシンフォスフォトランスフェラーゼ(hph)遺
伝子、ネオマイシンフォスフォトランスフェラーゼ遺伝
子、(hptII)クロラムフェニコールアセチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子(cat)、β−グルキュロニダ
ーゼ遺伝子等が挙げられる。本発明においては、かかる
マーカー遺伝子として、ハイグロマイシンフォスフォト
ランスフェラーゼ遺伝子を使用することが好ましい。
【0009】例えばイネにRSV−CP遺伝子を導入す
る場合、イネ縞葉枯ウイルスのRNA3の外被タンパク
質コーディング領域のcDNAを用いる(Zhu et
al,J.Gen.Virol.,72,763−7
67,1991)。またイネにWx遺伝子を導入する場
合は、Wx遺伝子の翻訳領域のN末にはトランジットペ
プタイドがありアミロプラストへのターゲッティングシ
グナルとなっている(Klosgen et al,M
ol.Gen.Genet.,217,155−16
1,1989;Klosgen and Weil,M
ol.Gen.Genet.,225,297−30
4、1991)ので、導入した遺伝子からWxタンパク
質を作らせアミロプラストに蓄積させるためにはインタ
クトなWxタンパク質が翻訳されるように全翻訳域を用
いる必要がある。従って、Wxタンパク質のオープンリ
ーディングフレーム全域を含む2.7kb WxcDN
Aを用いる。
【0010】更に、イネにGUS遺伝子を導入する場
合、大腸菌由来のβ−グルキュロニダーゼ遺伝子の全翻
訳領域を用いる。これら外来遺伝子を導入する際に、同
時に上述のマーカー遺伝子を導入する。例えば、ハイグ
ロマイシンに耐性を示すhph遺伝子を導入する場合、
大腸菌由来のhph遺伝子の全翻訳領域を用いる。
【0011】次に上記の遺伝子を導入した発現ベクター
を構築する。例えばイネ植物体でかかる遺伝子を十分量
発現させるためには、ベクター構築の際に特異的なプロ
モーターを用いることが重要となる。現在、イネでの発
現が確認されているプロモーターとして、カリフラワー
モザイクウイルス35Sプロモーター(Teradaa
nd Shimamoto,Mol.Gen.Gene
t.,220,389−392,1990)、イネWx
プロモーター(Hirano and Sano,Pl
ant Cell Physiol.,32,989−
997,1991)、トウモロコシAdh1プロモータ
ー(Kyozuka,Mol,Gen.,Gene
t.,228,40−48,1991)、イネRbcS
プロモーター(Kyozuka et al,Plan
t Physiol.in press,1993)が
あげられる。
【0012】また、遺伝子の発現効率を上げるためある
いはRNAの安定性を上げるために各植物で機能するイ
ントロンを連結させることも効果的である。イントロン
の発現に及ぼす影響については例えば、トウモロコシA
dh1のイントロン1がトウモロコシで有効(Call
is,Genes&Development,,11
83−1200,1987)であるだけでなく、イネで
も効果的であること(Kyozuka et al,M
aydica,35,353−357,1990)や、
ヒマ カタラーゼのイントロンがイネで有効に働くこと
(Tanaka et al,Nucl.Acid R
es.,18,6767−6770,1990)などの
報告がある。
【0013】更に効率よく遺伝子の転写を終結させまた
RNAを安定させるために、ターミネーターが用いられ
る。具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子NOSのター
ミネーター(pBI221,Jefferson,EM
BO J.,,3901−3907,1987)ある
いはカリフラワーモザイクウイルス35S(19S)R
NAターミネーター(pGL2,Shimamoto
et al,Nature,338,274−276,
1989)等が挙げられる。
【0014】組換え作業においては、pUC系列(Ya
nisch−Perron etal,Gene,
,103−119,1985)のプラスミド等が好適
に用いられる。本発明においては目的とする外来遺伝子
を有するプラスミドとマーカー遺伝子を有するプラスミ
ドを別々に構築し、これら異種プラスミドを同時に植物
組織または植物組織に由来する細胞に導入する。
【0015】例えば、RSV−CP遺伝子発現用ベクタ
ーとhph発現用ベクターを同時にイネプロトプラスト
に導入することにより、RSV−CP遺伝子とhph
伝子を両方発現する個体が得られ、それらは独立に遺伝
することにより自殖後の後代ではRSV−CP遺伝子の
み発現し、hph遺伝子を持たない個体が得られる。ま
た、Wx遺伝子発現用ベクターとhph遺伝子発現用ベ
クターを同時にイネプロトプラストに導入することによ
り、Wx遺伝子とhph遺伝子を両方発現する個体が得
られ、それらは独立に遺伝することにより自殖後の後代
ではWx遺伝子のみ発現し、hph遺伝子を持たない個
体が得られる。
【0016】更に、GUS遺伝子発現用ベクターとhp
発現用ベクターを同時にイネプロトプラストに導入す
ることにより、GUS遺伝子とhph遺伝子を両方発現
する個体が得られ、それらは独立に遺伝することにより
自殖後の後代ではGUS遺伝子のみ発現し、hph遺伝
子を持たない個体が得られる。このことにより不要にな
った選択マーカー遺伝子は除去される。
【0017】イネ科植物由来のプロトプラストは次の様
にして調製することができる。即ち、キヌヒカリ、日本
晴等の栽培イネの完熟種子に由来するカルスを通常使用
され得る液体培地で培養した後、常法に従い、例えばセ
ルラーゼやマセロザイム等の細胞壁分解酵素を含む酵素
液中25〜30℃、3〜16時間程度酵素処理する。酵
素処理終了後ろ過して未消化物を除き、ろ液に2〜5倍
量のKMC液(塩化カリウム0.118M、塩化マグネ
シウム0.0817M、塩化カルシウム0.085M、
pH6.0)(Harms et al,Theor.
Appl.Genet.,53,57−63,197
8)等を加え遠心分離し、精製されたプロトプラストを
得ることができる。 本発明においてはイネ栽培種(キ
ヌヒカリ、日本晴等の粳種あるいは祝糯、むさしもち等
の糯種)由来プロトプラスト、例えば(2〜10)×1
6 個/mlに対しては、上記のようにして調製したR
SV−CP遺伝子、Wx遺伝子、GUS遺伝子等の外来
遺伝子発現用ベクター、例えば1〜100μg/ml
と、各々に対してhph遺伝子等のマーカー遺伝子発現
用ベクター(pGL2:Shimamoto et a
l,Nature,338,274−276,198
9)、例えば1〜100μg/mlを30〜200mM
塩化カリウム、0〜50mM 塩化マグネシウム、
0.2〜0.6M マニトールを含む緩衝液等の液体媒
体中に懸濁し、これに電気パルスを印加してプラスミド
をプロトプラスト中に導入する。電気パルス処理は、1
00〜1000μFのコンデンサーを用いて得られる2
00〜1000V/cmの初期電圧の直流パルスで、パ
ルス幅1〜30msec程度の条件で印加するのが好適
である(特開平1−181791号公報参照)。
【0018】上述のようにして電気パルス処理したプロ
トプラストを、例えばR2 培地(Ohira et a
l,Plant Cell Physiol.,14
1113,1973)の無機成分とB5培地(Gamb
org et al.,50,151,1968)のビ
タミン混合液を含む液体培地(R2 /B5)、好ましく
は窒素源として硝酸カリウムを0.2〜0.5%含有す
る培地に懸濁し、これを1.0〜3.0%程度のアガロ
ースを含むR2 /B5培地と等量ずつ混ぜ、速やかにシ
ャーレ中に広げてうすく固める。この時のプロトプラス
トの密度は約(5〜50)×105 個/mlとなるよう
にし、またアガロースの厚さは平均0.7mm程度とな
るようにするのがよい。
【0019】固化したアガロースゲルを5〜20mm程
度の大きさに切り、上記液体培地中で培養する。その
際、イネ科植物由来のプロトプラストを使用した場合に
は、好ましくは培地中にイネ培養細胞を100〜300
mgFW/シャーレ程度共存させ、20〜50r.p.
mの回転でゆっくり振とうしながら、暗条件下27〜3
3℃で培養する。
【0020】培養後3〜4週間で、0.5〜1mmφ程
度のコロニーが形成される。その際、例えばマーカー遺
伝子としてhph遺伝子を導入しておいた場合、培養開
始後7〜20日にハイグロマイシンを10〜50μg/
ml程度培養液中に添加し、更に培養を続けることで形
質転換細胞の一次選択を効率よく行うことができる。次
いでこのコロニーを増殖培地、例えばN6基本培地(C
hu et al,Sci.Sin.,16,659−
688,.1975)に植物ホルモン、例えば2,4−
ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を2mg/リッ
トル程度、アガロースを0.1〜1.0%加えた寒天培
地上で2〜4週間、照明下(1000〜4000lu
x)、27〜33℃で培養し、3〜6mmφのカルスを
得る。このカルスの一部からゲノムDNAを、例えば、
Walbot and Warren、Mol.Ge
n.Genet.、211、27−34、1988に準
じて単離し、このゲノムDNA約100ngを、次のP
CR法に供することで、目的とする外来遺伝子、例えば
RSV−CP遺伝子、Wx遺伝子、GUS遺伝子のとり
込まれた形質転換カルスを二次選択することができる。
【0021】PCR法(Saiki,Science,
239,487−491,1988)は、鋳型の熱変
性、プライマーと鋳型とのアニーリング及び耐熱性ポリ
メラーゼによる伸長方法からなる工程を繰り返すことに
より、標的DNA領域を増幅する方法である。本発明に
おいては、上記で得られたゲノムDNAを94℃、1分
程度で熱変性して+鎖と−鎖の1本鎖に解離し、導入さ
れた目的遺伝子の一部に相補的なプライマーを、例えば
RSV−CP遺伝子では35Sプロモーター領域とRS
V−CPコーディング領域に相補的なプライマーを、ま
たWx遺伝子やGUS遺伝子ではアミノ酸コーディング
領域の2ヶ所に相補的なプライマーを、それぞれアニー
リングした後、耐熱性ポリメラーゼにより相補鎖DNA
を合成(72℃、3分程度)するという工程を20〜3
0回繰り返して該相補鎖DNAを増幅する。
【0022】PCR法により目的遺伝子の導入が確認さ
れたカルスを再生培地、例えばN6基本培地(Chu
et al,Sci.Sin.,16,659−68
8,1975)に植物ホルモン、例えばインドール酢酸
(IAA)を0.5mg/リットル程度、ゼアチン1m
g/リットル程度、アガロース0.6〜1.5%加えた
寒天培地上で2〜8週間、照明下(1000〜4000
lux)、27〜33℃で培養し再生植物を得る。次い
で幼植物を馴化後、温室にて育成することで3〜6ヶ月
後に種子を形成する。
【0023】目的遺伝子の発現はウェスタン解析あるい
は特定の物質に対する化学的反応等の、目的遺伝子に応
じた方法で確認できる。例えば、RSV−CP遺伝子の
発現は公知のウェスタン解析により行われる。植物体の
葉、より好ましくは幼植物体の葉を、例えば0.1%ヨ
ード酢酸及び1%SDSを含むトリス緩衝液中で粉砕
し、直ちに熱処理を加える。遠心分離した後にその上清
を1%SDSを含む、12.5〜15.0%ポリアクリ
ルアミドゲルで電気泳動し、植物体の全タンパク質を分
離精製する。これを電気的にナイロン膜(イモビロン)
にブロットし、ナイロン膜をRSV−CPに特異的な抗
体と反応させることによりRSV−CP遺伝子の発現を
確認できる。
【0024】また、Wx遺伝子の発現は公知のヨード染
色によるアミロース検出法により行われる。花粉あるい
は種子を例えば7.1mMのヨウ素、3.4mMのヨウ
化カリウムを含む、ヨード液中におくことで、粳米やそ
の花粉は濃紫色から黒褐色、糯米やその花粉は淡紫色か
ら白色を呈する。かかる呈色反応を指標としてアミロー
ス含量を推定しWx遺伝子の発現を確認することができ
る。また、種子でんぷん中に含まれるWxタンパク質を
ゲル電気泳動法により検出することもできる。
【0025】更に、GUS遺伝子の発現はx−Gluc
で染色した場合の発色程度の差により確認することがで
きる。染色に供試するのは植物組織片でも種子でも良
く、これらを、例えば10mMのx−Gluc水溶液で
染色する。GUS遺伝子が発現している組織もしくは細
胞では濃紺色を呈する。かかる呈色反応によりGUS遺
伝子の発現が確認できる。また、MUGを基質とするこ
とで組織抽出液中のGUS酵素活性を量的に測定するこ
ともできる。
【0026】マーカー遺伝子の発現は特定の薬剤、多く
は抗生物質や除草剤に対する耐性を検定することにより
検定できる。例えばhph遺伝子をマーカー遺伝子とし
て選んだ場合、形質転換植物の種子を、例えば20μg
/mlのハイグロマイシンを含むR2 培地で発芽させ、
hph遺伝子の発現を確認できる。あるいはマーカー遺
伝子の有無は、上述のPCR法により検定してもよい。
【0027】得られた形質転換個体の自殖次世代(R1
世代)で、目的遺伝子と選択マーカー遺伝子の発現を検
定することにより、目的とする遺伝子のみを発現し、選
択マーカー遺伝子を持たない個体を得ることができる。
更に望ましくはその様な形質転換個体の自殖第二世代
(R2 世代)において、目的遺伝子と選択マーカー遺伝
子の発現を再度検定することにより、目的とする遺伝子
のみを発現し、選択マーカー遺伝子を持たない目的遺伝
子に関してホモ系統を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り本例に制約されるもの
ではない。 (実施例1)RSV−CP遺伝子とhph遺伝子を共存
導入した形質転換イネからのhph遺伝子の除去 I.ベクター RSVのCPコーディング領域の5’末端より1138
塩基のcDNAが挿入されたRSV−CP発現用ベクタ
ー、pLAN150(Hayakawa etal,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,89
9865−9869,1992)及びhph発現用ベク
ター、pGL2(Shimamotoet al,Na
ture,338,274−276,1989)を用い
た。
【0029】II.形質転換とRSV−CP遺伝子の導入
されたカルスの選択、再生 キヌヒカリの完熟種子由来カルスより作成したサスペン
ションは7日ごとに20mlのR2 培地で植え継ぎ維持
したものを用いた。サスペンション1本分に由来する細
胞(湿重FW約5g)を20mlの酵素液(4% セル
ラーゼRS、1% マセロザイムR10、0.4M マ
ニトール、pH5.6)で4〜6時間、30℃で処理
し、20μmのメッシュで濾過した液を1.5容のKM
C液(118mM塩化カリウム、81mM塩化マグネシ
ウム、85mM塩化カルシウム、pH6.0)で希釈
し、遠心分離してプロトプラストを得た。これをKMC
液で2回洗浄し、EP3液(70mM 塩化カリウム、
5mM 塩化マグネシウム、0.4M マニトール、
0.1% MES、pH5.8)でさらに1回洗って細
胞密度8×104 個/mlとなるようにEP3液に懸濁
した。
【0030】キヌヒカリプロトプラスト懸濁液500μ
l(4×106 個)に対しては、上述のRSV−CP発
現用ベクター(pLAN150)20μgとhph発現
用ベクター(pGL2)20μgを加え電気パルスを印
加した(PROMEGA X−CellTM Elect
roporation System、1000μFコ
ンデンサ、初期電圧500V/cm、パルス幅25ms
ec、直流減衰波形)。パルス印加前に20分、印加後
に20分サンプルを氷中にて冷却し、等量のR2 /B5
プロトプラストアガロース培地(Kyozuka et
al,Mol.Gen.Genet.,206,40
8,1987)と混合し、35mmφのシャーレで固化
させた。これを4分割し60mmφのシャーレにいれ、
2 /B5プロトプラスト液体培地5mlとOCサスペ
ンション細胞(ナース細胞)約100mgとを加えて3
0℃暗下で振とう培養した(50rpm)。10〜14
日後、20細胞程度に分裂したときにナース細胞をKM
C液で洗浄除去し新たなR 2 /B5プロトプラスト液体
培地5mlを加え、さらにハイグロマイシンB30μg
/mlを加えて選抜を開始した。これから3週間後、ア
ガロースビーズをハイグロマイシン30μg/mlを含
むR2 増殖培地(Kyozuka et al,Mo
l.Gen.Genet.,206,408,198
7)に移し、2週間培養するとアガロース表面に耐性カ
ルスが出現した。このカルスを個別にとり、再びハイグ
ロマイシン30μg/mlを含むR2 増殖培地で選抜を
行い、増殖のよい黄色カルスを「耐性カルス」として選
んだ。
【0031】ハイグロマイシン耐性カルスの一部からゲ
ノムDNAを調製し、RSV−CP遺伝子の一部をプラ
イマーとしたPCRを行うことでRSV−CP遺伝子の
導入されたカルスをさらに選抜した。ゲノムDNAはM
ol.Gen.Genet.,211,27−34,1
988に準じて次のように調製する。ハイグロマイシン
耐性カルス50〜100mgを緩衝液(15% ショ
糖、50mM トリス−塩酸(pH8.0)、50mM
NaEDTA、500mM塩化ナトリウム)中で摩砕
し、核分画を遠心分離する。これを界面活性剤(1.5
% SDS、20mM トリス−塩酸(pH8.0)、
10mM EDTA)で処理し、遊離した核内成分を
0.6容のイソプロパノールで沈澱させて核酸を得、こ
れを70%エタノールで洗浄後乾燥させてゲノム分画と
する。この分画100ngをPCR法に供した。この
時、プライマーはpLAN150の35Sプロモーター
領域の17塩基(5’−CTCAGAAGACCAAA
GGG−3’:配列表の配列番号1)とRSV−CP領
域の17塩基(5’−TCTTCCAGGGAGATA
TG−3’:配列表の配列番号2)の相補鎖配列を用い
た(Hayakawa et al,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,89,9865−98
69,1992)。
【0032】PCR法はPerkin Elmer C
etus社のDNA Thermal Cycler機
を用い、同社のGene−Amp kitのプロトコー
ルにより試薬を混和し、反応液100μlを、熱変性9
4℃、1分、アニーリング61℃、2分、耐熱性ポリメ
ラーゼによる伸長反応72℃、3分のサイクルを30回
繰り返すことで行った。反応後1/10量をアガロース
ゲル電気泳動で分析し増幅したバンドを検出した。RS
V−CP遺伝子の導入が確認されたカルスを、R2 再生
培地(Kyozuka et al,Mol.Gen.
Genet.,206,408,1987)におき、2
週間毎に培地を交換しながら培養することで、4〜8週
間後に不定胚経由の再生植物を得た。
【0033】この植物の葉より全タンパク質を精製し、
ウェスタン解析によりRSV−CP遺伝子の発現を検定
した。幼植物の葉を、0.1%ヨード酢酸及び1%SD
Sを含むトリス緩衝液中で粉砕し、直ちに熱処理を5分
間行った。遠心分離後、その上清を1%SDSを含む、
12.5または15.0%ポリアクリルアミドゲルで電
気泳動した。ナイロン膜(イモビロン)に電気的にブロ
ットし、Perbalの方法(A Practical
Guide to Molecular Cloni
ng,Wiley,New York,pp792−7
94,1988)に従って、アルカリフォスファターゼ
を用い、ナイロン膜をRSV−CPに特異的な抗体(植
物防疫協会より入手)と反応させることによりRSV−
CP遺伝子の発現を確認できる。
【0034】ハイグロマイシン耐性カルスより得られた
再生個体19個体中13個体でRSV−CP遺伝子の発
現を確認した。これらRSV−CP遺伝子の発現が確認
された幼植物をバーミキュライトと水稲育苗用培土を混
合したものに移植し、馴化した後、温室で育成した。3
〜6ヶ月後に成熟したイネになり種子(R1 種子)を形
成した。
【0035】III.R1 世代及びR2 世代でのRSV−
CP遺伝子及びhph遺伝子の確認(表1) 上述の方法で得られた形質転換イネのR1 種子を、トリ
フミン乳剤(0.05% トリフミゾール)で24〜4
8時間種子消毒し、常法に従い、発芽育苗し、幼植物で
上述したPCR法によりRSV−CP遺伝子とhph
伝子の存在を検定した。
【0036】RSV−CP遺伝子のPCRには上述した
プライマーを用いて、また、hph遺伝子のPCRに
は、プライマーとして35Sプロモーター領域の17塩
基(5’−GCAAGTGGATTGATGTG−
3’:配列表の配列番号3)とhph遺伝子コーディン
グ領域の17塩基(5’−GGTGAGTTCAGGC
TTTT−3’:配列表の配列番号4)の相補鎖配列を
用いた(Izawa etal,Mol.Gen.Ge
net.,227,391−396,1991)。
【0037】その結果、7系統でRSV−CP遺伝子と
hph遺伝子が独立に遺伝し、RSV−CP遺伝子が検
出されるがhph遺伝子は検出されなかった個体を見い
だした。これらR1 個体を温室にて育成し、R2 種子を
得た。RSV−CP遺伝子の発現はウェスタン解析によ
り確認した。即ち、上述した方法で得られたR2 世代の
幼植物50個体を、上述した方法でウェスタン解析した
ところ、RSV−CP遺伝子がPCR法で検出されたR
1 個体由来のR2 系統では、50個体すべてがRSV−
CP遺伝子を発現している系統、一部の個体で発現して
いる系統が得られた。また、RSV−CP遺伝子が検出
できなかったR 1 由来のR2 系統ではRSV−CP発現
個体は認められなかった。
【0038】次に上述のRSV−CP遺伝子のウェスタ
ン解析に用いたものとは別の50粒のR2 種子を用いて
ハイグロマイシン耐性試験を行った。hph遺伝子の発
現は種子をハイグロマイシン20μg/ml含むR2
本倍地で発芽させることにより、hph遺伝子を発現し
ている個体のみが健全に発芽・成長することにより、容
易に判定できる(Shimamoto et al,N
ature,338,274−276,1989)。
【0039】本方法を用いてR2 種子を検定したとこ
ろ、hph遺伝子がPCR法により確認されたR1 由来
のR2 系統では全個体あるいは一部の個体がハイグロマ
イシン耐性を示し、hph遺伝子の確認されなかったR
1 由来のR2 系統では全個体でハイグロマイシン耐性は
示さなかった。このことより、RSV−CP遺伝子と
ph遺伝子を共存導入法により導入した形質転換イネの
自殖次世代でRSV−CP遺伝子のみを持ち、hph
伝子を持たない個体が得られ、このような個体の自殖次
世代(R2 世代)でRSV−CP遺伝子を発現し、かつ
hph遺伝子を持たない系統が得られたことは明らかで
ある。
【0040】
【表1】 表1 RSV−CP遺伝子とhph遺伝子を共存導入した形質転換イネの自殖 後代でのRSV−CP遺伝子とhph遺伝子の分離 ──────────────────────────────────── R011世代 R2世代 個体番号 個体番号 CP hph CP hph2 系統名 ──────────────────────────────────── 1 1− 1 + − 50/501) 0/50 1− 2 + − 35/50 0/50 1− 3 + + 50/50 50/50 1− 4 + + 40/50 50/50 1− 5 + + 50/50 35/50 1− 6 + + 38/50 35/50 1− 7 − − 0/50 0/50 1− 8 − − 0/50 0/50 1− 9 − − 0/50 0/50 1−10 − + 0/50 50/50 ──────────────────────────────────── 2 2− 1 + − 50/50 0/50 2− 2 + − 50/50 0/50 2− 3 + − 26/50 0/50 2− 4 + − 39/50 0/50 2− 5 + + 50/50 50/50 2− 6 + + 40/50 50/50 2− 7 + + 50/50 35/50 2− 8 + + 38/50 35/50 2− 9 − − 0/50 0/50 2−10 − + 0/50 50/50 ──────────────────────────────────── 3 3− 1 + − 50/50 0/50 3− 2 + − 50/50 0/50 3− 3 + − 33/50 0/50 3− 4 + + 50/50 50/50 3− 5 + + 40/50 29/50 3− 6 − − 0/50 0/50 3− 7 − − 0/50 0/50 3− 8 − + 0/50 50/50 3− 9 − + 0/50 50/50 3−10 − + 0/50 33/50 ──────────────────────────────────── 1) (遺伝子発現個体数)/(供試個体数) 注) 1−1、2−1,2−2、3−1、3−2ではR
SV−CP遺伝子のみを持ちhph遺伝子は除去されて
いる。 (実施例2)Wx遺伝子とhph遺伝子を共存導入した
形質転換イネからのhph遺伝子の除去 I.ベクターの構築(pWsenseCW) このベクターはWxタンパク質を発現しているうるち米
あるいは発現していないもち米に、品種名ラベルのWx
タンパク質を作らせる構造をしており、Wxプロモータ
ーの下流にWxセンスcDNA、NOSターミネーター
を持つ。
【0041】まず、Wxプロモーターについて説明す
る。Wx遺伝子全域をカバーするHindIII 15k
b断片(Okagaki and Wenler,Ge
netics,120,1137−1143,1988
の図4)を制限酵素を用いて分析すると、転写領域をも
EcoRI 6kb断片の5’側に隣接してEco
I 3kb断片があることがわかる。この断片にWx遺
伝子のプロモーターがあることは容易に推察できるが、
我々の実験によれば、この断片をGUSレポーター遺伝
子、NOSターミネーターと連結したプラスミド(Je
ffersonet al,EMBO J,,390
1−3907,1987;pB1221の35Sプロモ
ーターをWxプロモーターと置換することで得られる)
は、イネプロトプラストを用いたトランジェントアッセ
イにおいてプロモーターとして機能することを確認して
いる。そこでこのEcoRI断片をプロモーターとして
用いることとした。この断片はHindIII 15kb
断片を持つpUCプラスミドをEcoRIで切断すれば
3kbのバンドとして得られる。
【0042】NOSターミネーターは、pCaMVne
o(Fromm et al,Nature,319
719−793,1986)10μgをPstIとHi
dIIIで切断(TOYOBOの処方20μl 37℃
1時間)し、アガロースゲルで分画すれば0.27k
bのバンドとして得ることができるので、これをプラス
ミドpUC19のPstI−HindIII部位に挿入し
た。
【0043】NOSターミネーターの5’上流にある
coRI部位に前述のEcoRI3kb断片を順方向に
挿入しWxプロモーターとNOSターミネーターとを連
結した。このプラスミドにはEcoRI部位が2カ所あ
るので、このプラスミド10μgを100μlの系で
coRI 10μを加えて1、2、5、10分反応させ
EcoRIによる部分分解物を得、エタノール沈澱の
後Klenowフラグメント(TOYOBOの処方)で
修復して自己環化させ、トランスフォーマントの中か
ら、Wx−NOSの間にだけEcoRI部位を残したプ
ラスミドを得た(pWantiCW’)。
【0044】一方、Wx遺伝子のcDNAは以下のよう
にして調製した。イネアメリカ長粒種ラベルの開花後6
〜8日のミルキーな胚乳10gからフェノールSDS法
(Current Protocols in Mol
ecular Biology)により全RNAをと
り、ファルマシアmRNAピューリフィケイションキッ
トを用いてmRNAを精製した。その5μgを鋳型にし
てファルマシアcDNA合成キットを用いてcDNAを
得て、これをpUC19のEcoRI部位に挿入してつ
くったcDNAライブラリに対して、トウモロコシのW
x遺伝子プローブ(Okagaki and Wenl
er,Genetics,120,1137−114
3,1988の図3−#2)を用いてスクリーニングを
行い(Molecular Cloning)、2.7
kbのWx cDNAを得た。このクローンはWx遺伝
子の全翻訳領域を持ち、0.45kbのリーダー配列を
もつ。
【0045】上述したプラスミドpWantiCW’を
EcoRIで線状化し、Wx cDNAのEcoRI断
片(2.7kb)を順方向に連結することで、Wx遺伝
子発現用ベクターpWsenseCWが得られる。 II.形質転換とWx遺伝子の導入されたカルスの選抜、
再生 糯米(祝糯、むさしもち)の完熟種子由来カルスより作
製したサスペンションからプロトプラストを調製し、上
述したWx遺伝子発現用ベクター、pWsenseCW
と、実施例1で述べたhph遺伝子発現用ベクターpG
L2を、実施例1と同様に、同時にイネプロトプラスト
に導入し、ハイグロマイシン耐性カルスを得た。
【0046】Wx遺伝子の組み込まれたカルスの検出の
ためにPCRを行うが、このプライマーとしてWx c
DNAの+鎖の第2、第3エクソンにまたがる18塩基
(5’−GCCATGGCT/GCGAATGGC−
3’:配列表の配列番号5)と、−鎖の第4、第5エク
ソンにまたがる17塩基(5’−TCCCCAAAC/
CTTCTCCA−3’:配列表の配列番号6)を用い
た。また、再生体の葉より(Walbot and W
arren,Mol.Gen.Genet.,211
27−34,1988)の方法に準じて抽出したゲノミ
ックDNAをEcoRIで切断し、Wx遺伝子のcDN
Aをプローブにしてサザン解析を行い、導入した2.7
kbのバンドを検出した。以下、実施例1と同様に処理
し、成熟イネを育成し、R1 種子を得た。
【0047】III.R1 種子でのWx遺伝子とhph
伝子の発現の分離 R1 種子を長軸短軸方向に垂直面で切断し、胚を含まな
い胚乳部分と胚を含む胚及び胚乳部分に分割した。胚乳
部分より得られた切片(1mm幅)を、ヨード液中にお
き浸透させた。5分後糯米では白色、粳米では黒紫色を
呈するのに対し、Wx遺伝子の導入された個体では、糯
米型の白色以外に粳米型の黒紫色及び両者の中間型を呈
するものが確認された。
【0048】また、胚及び胚乳部分を用いてハイグロマ
イシン耐性試験を行った。胚及び胚乳部分は1.2%次
亜塩素酸で殺菌し、ハイグロマイシンを20μg/ml
含むR2 培地で常法通りに発芽させた。10日後には
ph遺伝子の発現している健全に発芽する個体が確認さ
れた。また同時にhph遺伝子の存在の有無は実施例1
と同様にPCR法でも確認した。
【0049】上述の方法により、同一個体のWx遺伝子
hph遺伝子の発現を調査したところ表2に示すよう
に、Wx遺伝子のみを有し、hph遺伝子を持たない個
体が確認され、マーカー遺伝子は除去された。
【0050】
【表2】 表2 Wx遺伝子とhph遺伝子を共存導入した形質転換イネの自殖 後代でのWx遺伝子とhph遺伝子の分離 ────────────────────────── R011世代 個体番号 個体番号 Wx hph ────────────────────────── 1 1− 1 + − 1− 2 + − 1− 3 + − 1− 4 + − 1− 5 + + 1− 6 + + 1− 7 + + 1− 8 + + 1− 9 + + 1−10 + + 1−11 + + 1−12 + + 1−13 + + 1−14 − − 1−15 − − 1−16 − − 1−17 − + 1−18 − + 1−19 − + 1−20 − + ────────────────────────── 2 2− 1 + − 2− 2 + − 2− 3 + − 2− 4 + + 2− 5 + + 2− 6 + + 2− 7 + + 2− 8 + + 2− 9 + + 2−10 + + 2−11 + + 2−12 + + 2−13 − − 2−14 − − 2−15 − − 2−16 − + 2−17 − + 2−18 − + 2−19 − + 2−20 − + ────────────────────────── (実施例3)GUS遺伝子とhph遺伝子を共存導入し
た形質転換イネからのhph遺伝子の除去 I.ベクター GUS遺伝子としては大腸菌由来のβ−グルキュロニダ
ーゼ遺伝子の全翻訳領域を含む断片にカリフラワーモザ
イクウイルス35Sプロモーター、NOSターミネータ
ーを連結したpBI221(Jefferson et
al,EMBO J,,3901−3907,19
87)を用いた。
【0051】このGUS遺伝子発現用ベクターpBI2
21を実施例1同様に、日本晴由来プロトプラストに、
hph遺伝子発現用ベクターpGL2と同時に共存導入
し、ハイグロマイシン耐性カルスを得た。以下、実施例
1同様にR1 種子を得た。 II.R1 種子でのGUS遺伝子とhph遺伝子の発現の
分離 R1 種子を長軸短軸方向に垂直面で切断し、胚を含まな
い胚乳部分と胚を含む胚及び胚乳部分に分割した。
【0052】胚乳部分より得られた切片(1mm幅)
を、x−Glucを10mM含む水溶液中におき37℃
でインキュベートした。16時間後濃紺色を呈するGU
S遺伝子の発現している個体を確認した。また、胚及び
胚乳部分を用いて実施例2同様にハイグロマイシン耐性
試験及びハイグロマイシン耐性遺伝子の有無を実施例1
と同様にPCR法で確認した。
【0053】上述の方法により、同一個体のGUS遺伝
子とhph遺伝子の発現を調査したところ表3に示すよ
うに、GUS遺伝子のみ発現し、hph遺伝子を発現し
ていない個体が確認され、マーカー遺伝子は除去され
た。
【0054】
【表3】 表3 GUS遺伝子とhph遺伝子を共存導入した形質転換 イネの自殖後代でのGUS遺伝子とhph遺伝子の分離 ────────────────────────── R011世代 個体番号 個体番号 GUS hph ────────────────────────── 1 1− 1 + − 1− 2 + − 1− 3 + − 1− 4 + + 1− 5 + + 1− 6 + + 1− 7 + + 1− 8 + + 1− 9 + + 1−10 + + 1−11 + + 1−12 + + 1−13 + + 1−14 + + 1−15 − − 1−16 − − 1−17 − − 1−18 − + 1−19 − + 1−20 − + ────────────────────────── 2 2− 1 + − 2− 2 + − 2− 3 + − 2− 4 + − 2− 5 + − 2− 6 + + 2− 7 + + 2− 8 + + 2− 9 + + 2−10 + + 2−11 + + 2−12 + + 2−13 + + 2−14 + + 2−15 + + 2−16 − − 2−17 − − 2−18 − + 2−19 − + 2−20 − + ────────────────────────── 3 3− 1 + − 3− 2 + − 3− 3 + − 3− 4 + + 3− 5 + + 3− 6 + + 3− 7 + + 3− 8 + + 3− 9 + + 3−10 + + 3−11 + + 3−12 + + 3−13 − − 3−14 − − 3−15 − − 3−16 − + 3−17 − + 3−18 − + 3−19 − + 3−20 − + ──────────────────────────
【0055】
【発明の効果】本発明の方法によれば、形質転換植物か
ら不要なマーカー遺伝子を容易に除去することが可能と
なり、かかる方法を用いてマーカー遺伝子が除去された
形質転換植物を作出することができる。
【0056】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:17 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 CTCAGAAGAC CAAAGGG 17
【0057】配列番号:2 配列の長さ:17 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCTTCCAGGG AGATATG 17
【0058】配列番号:3 配列の長さ:17 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GCAAGTGGAT TGATGTG 17
【0059】配列番号:4 配列の長さ:17 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GGTGAGTTCA GGCTTTT 17
【0060】配列番号:5 配列の長さ:18 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 GCCATGGCTG CGAATGGC 18
【0061】配列番号:6 配列の長さ:17 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:YES 配列 TCCCCAAACC TTCTCCA 17

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれが異種プラスミド由来の外来遺
    伝子およびマーカー遺伝子を有する形質転換植物体の次
    世代以降の子孫を育種して外来遺伝子のみを有する品種
    を選抜することを特徴とするマーカー遺伝子の除去方
    法。
  2. 【請求項2】 外来遺伝子を有するプラスミドおよびマ
    ーカー遺伝子を有するプラスミドからなる複数異種のプ
    ラスミドを植物組織または植物組織に由来する細胞に共
    存導入して形質転換し、該形質転換体から再生した植物
    体の次世代以降の子孫を育種することを特徴とするマー
    カー遺伝子の除去された形質転換植物の作出方法。
JP7380293A 1993-03-31 1993-03-31 マーカー遺伝子の除去方法 Pending JPH06276872A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0716147A2 (en) 1994-11-09 1996-06-12 Nippon Paper Industries Co., Ltd. Methods for producing transgenic plants
KR101330031B1 (ko) * 2011-11-17 2013-11-15 대한민국 합성 재조합효소 유전자 및 이를 이용한 선발표지 유전자 제거용 식물형질전환 벡터

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