JPH0627380Y2 - ゴム、樹脂類の剪断発熱用押出機のシリンダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、ゴム、樹脂類の剪断発熱用押出機のシリン
ダに関し、要部だけ簡単に分解して掃除できるものを提
供する。

〈従来の技術〉 ゴム、樹脂類の素材をシリンダ内壁とマンドレルとの間
で練って、剪断発熱させて押出す押出機のシリンダは、
押出機本体の上記マンドレルの支持駆動部に一端を固定
され、その中心線をマンドレルの中心線と厳密に一致さ
せる必要がある。そのためシリンダを一たん固定した
ら、よほどの事がなければ本体から取はずさない。

従って一種類の製品の生産が終るたびに行う内部清掃
は、マンドレルの空転を続けて残留素材を押出すにとゞ
め、分解して掃除することは無かった。

しかし一般の押出機と違い、剪断発熱用押出機のマンド
レルは押出スクリュー部の前に、ネジ山がごく低いか、
全く山のない剪断発熱部を有するため、素材の材質によ
ってはマンドレルの空転だけでは押出しきれない場合が
あった。

〈考案が解決しようとする課題〉 上述のようにネジ山が低いか全くない剪断発熱部に、流
動性の悪い素材が残留した場合、もはやマンドレルの空
転では排出できないため、作業現場ではそれぞれ工夫し
て、例えば鋼線をマンドレルとシリンダの間隙へさし込
んで、残渣をかき出すこと等が行われているが、苦労を
しても完全除去は難しかった。

この考案は上述のような現場作業員の掃除の苦労を解消
し、次の生産を開始した時、当初から残渣の混入しない
製品を得られるようにする。

〈課題を解決するための手段〉 このゴム、樹脂類の剪断発熱用押出機のシリンダは、マ
ンドレルの後部が素材押出用スクリュー部になり、前部
はスクリューネジ山が全く無いか、あってもごく低い剪
断発熱部になった剪断発熱用押出機のシリンダにおい
て、上記スクリュー部を包む後部シリンダと、上記剪断
発熱部を包む前部シリンダとに分割されており、上記前
後部両シリンダの結合部は、はめ合い結合で、結合した
両シリンダの鍔を合わせ結合する溝形断面の半円形殻を
蝶番で開閉し、その自由端を締付け固定するシエルマウ
ス付きであり、上記前部シリンダは側方への突出部を備
え、上記後部シリンダ又は押出機本体は上記突出部を前
方へつき出すつき出し機構を付設している事を特徴をす
る。

〈作用〉 この考案は、マンドレルの素材押出用スクリュー部を含
む後部と、同じく剪断発熱部を包む前部とに、シリンダ
を分割し、常時は前後部をはめ合い結合しておき、掃除
の際、前部だけ取はずし、マンドレルのネジ山が低いか
無い剪断発熱部を露出させて掃除できるようにした。

押出機本体に固定した後部シリンダには全く触れないか
ら、マンドレル、シリンダの関係位置に狂いはなく、分
割したシリンダ前部は後部に対し、はめ合い結合してい
るから、掃除後、簡単に同芯に結合できる。

またこの考案の前部シリンダに突出部を設け、これを後
方から、つき出し機構により押出すようにしたものは、
マンドレルの剪断発熱部にくい付いた形の前部シリンダ
を、人力をかけずに容易に抜き取れるようにした。

〈実施例〉 第１図はこの考案の基本構成の一例を示す縦断面図で、
符号１は前部シリンダ、２は後部シリンダ、３はマンド
レルの剪断発熱部、４はその素材押出用スクリュー部、
５は逆流防止ネジ部、６は前後部シリンダの結合部、７
は結合した両シリンダの鍔を合わせ結合するシエルマウ
スで、その側面を第２図に示す。これは周知の構造で、
溝形断面の半円形殻を蝶番で開閉し、アイボルト８でも
って自由端を締付け固定する。

後部シリンダ２には素材入口９と、押出機本体に締付け
固定する鍔10がついているが、この鍔10を締付けてシリ
ンダ全体を片持ち支持し、シリンダ内壁とマンドレルの
各部、特に逆流防止ネジ部５との精密嵌合状態を保持す
るため、その位置決めが難しく、従来、分解掃除をたや
すく行なえなかったのである。

この考案はシリンダを分解掃除するとはいっても、シリ
ンダの先端部分の剪断発熱部３を包む前部シリンダ１だ
け抜き取るのであり、後部シリンダ２との間ははめ合い
結合にしているから、掃除によってシリンダ全体の位置
精度に支障を来たすような狂いを生じない。

スクリュー部４の残留素材は押出し成形に適した流動性
をもつものゆえ、マンドレルを空転させるだけで押出す
ことができる。なお逆流防止ネジ部５は素材入口９から
入った素材がスクリュー部４の駆動で前方へ進む際に生
じた圧力で、多少後方へ逆流しようとするのを押戻す作
用をする。従ってその外周とシリンダ内壁とは水密に近
い嵌合状態で円滑に回転しなければならない。もしこの
考案のシリンダの前後部分割位置が逆流防止ネジ部５に
かゝっておれば、掃除後、前後部シリンダをはめ合い結
合しても、シリンダ内壁がネジ部５と外周と摩擦する可
能性が大になる。

そのため、この考案は掃除が難しい剪断発熱部３を包む
前部シリンダ１だけ抜き出すにとどめたのである。

またその前部シリンダ１を抜き出す際、残渣の具合によ
っては人手では困難な場合がある。そこで、第３図に示
すように前部シリンダ１に側方への突出部12を加え、押
出機本体基台部11aにつき出し機構13を設けた。つき出
し機構13は、つき出し棒14、その後半部上面に設けたラ
ック歯14a、その棒14を水平動させる軸受15、上記ラッ
ク歯14aに噛合う歯車16、この歯車16を回す手動ハンド
ル17等で、また突出部12に着脱できる案内棒18を、軸受
15に通して、前部シリンダ１が直進するようにしてい
る。

以上、図示した実施例について説明したが、この考案の
実施態様は、その要旨の範囲内でも、実施に当たる技術
者の周知技術により多様に変化、応用し得る事はいうま
でもない。特に、前部シリンダを抜き出すためのつき出
し機構は上記実施例のほか、機械駆動、流体圧駆動等を
利用し、種々の設計が可能である。

〈考案の効果〉 この考案は従来、分解掃除はシリンダとマンドレルの相
対位置を狂わすおそれのため避けられていた押出機シリ
ンダを、剪断発熱部をもつシリンダに限り、その剪断発
熱部を包む前部シリンダだけ前方へ抜き取ることができ
るよう、シリンダを前後に分割し、はめ合い結合で一体
化する構成にしたから、後部シリンダは前部の分解掃除
と無関係に取付け精度を保ち、特に高い精密度を要する
マンドレルの逆流防止ネジ部とシリンダ内壁との嵌合に
狂いを生ずる恐れがない。

またこの考案のつき出し機構を加える事により、後部シ
リンダとはめ合い結合になっている前部シリンダを機械
的に前方へ抜き出すことができるので、マンドレルの剪
断発熱部とシリンダ内壁との間隙に残渣が残っていても
容易に抜き出し分解ができ、前部シリンダ内壁とマンド
レル前端部を露出した状態で掃除する事が可能になっ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の基本的実施例の縦断面図、第２図は
そのシエルマウスの側面図、第３図はこの考案のつき出
し機構つきのものの実施例立面図で、図中、１は前部シ
リンダ、２は後部シリンダ、６は結合部、13はつき出し
機構を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】マンドレルの後部が素材押出用スクリュー
   部になり、前部はスクリューネジ山が全く無いか、あっ
   てもごく低い剪断発熱部になった剪断発熱用押出機のシ
   リンダにおいて、 上記スクリュー部を包む後部シリンダと、上記剪断発熱
   部を包む前部シリンダとに分割されており、 上記前後部両シリンダの結合部は、はめ合い結合で、結
   合した両シリンダの鍔を合わせ結合する溝形断面の半円
   形殻を蝶番で開閉し、その自由端を締付け固定するシエ
   ルマウス付きであり、 上記前部シリンダは側方への突出部を備え、 上記後部シリンダ又は押出機本体は上記突出部を前方へ
   つき出すつき出し機構を付設している事を特徴とするゴ
   ム、樹脂類の剪断発熱用押出機のシリンダ。