JPH06271461A - 皮膚刺激の少ない貼付剤 - Google Patents

皮膚刺激の少ない貼付剤

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JPH06271461A
JPH06271461A JP6013593A JP6013593A JPH06271461A JP H06271461 A JPH06271461 A JP H06271461A JP 6013593 A JP6013593 A JP 6013593A JP 6013593 A JP6013593 A JP 6013593A JP H06271461 A JPH06271461 A JP H06271461A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 経皮吸収性、徐放性に優れ、かつ皮膚カブレ
の発生を顕著に防止した貼付剤を提供する。 【構成】 水分半透過性のフイルム(a層)と、単糸の
平均直径が1〜30μmからなり、且つ目付が8〜10
0g/m2 の布帛(b層)と、薬物を含有した厚みが1
0〜100μmの粘着剤層(c層)とを必須成分とした
大きさが10〜150cm2 の貼付剤であって、水分蒸
散性が下記(イ)〜(ハ)を満足する貼付剤。(イ)貼
付剤の粘着剤層(c層)の平面方向からフイルム層(a
層)の平面方向へは1.0〜30mg/日・cm2 であ
り、(ロ)貼付剤の断面方向へは25〜180mg/日
であり、(ハ)(イ),(ロ)方向の水分蒸散性を合計
した水分蒸散性は2〜40mg/日・cm2 である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は徐放化された経皮投与用
医薬貼付剤に関し、更に詳しくは、本発明は特定の布
帛、薬物を含有する粘着剤層、及びフィルムとからな
る、低刺激性で安全性の高い、徐放性に秀れた取り扱い
やすい貼付剤に関する。
【0002】本発明は循環器系疾患、なかでも特に狭心
症、不整脈等の心疾患の予防及び改善に有用な硝酸エス
テル類含有貼付剤に関する。
【0003】本発明はまた更年期障害、骨粗鬆症、アル
ツハイマー痴呆症等の閉経後の女性に多く観察される障
害の予防、及び改善に有用なエストラジオール含有貼付
剤に関する。
【0004】本発明は、更に、術後、各種癌、心筋梗塞
症、麻酔補助、腰痛症、慢性関節リウマチ、外傷、抜歯
後等の鎮痛、特に各種癌に伴う疼痛の鎮痛に有用なブプ
レノルフィン含有貼付剤に関する。
【0005】
【従来の技術】医薬品の開発においては、優れた薬効を
もつ新規な化合物を開発することと同時に、これら新規
化合物や既に医薬品として使用されている化合物の効果
を、更に高めるために剤型を変更したり、投与形態を最
適化することが種々検討されている。 例えば、医薬品
の体内における有効持続時間のパラメーターでもある半
減期の短い医薬品の持続時間を長くするという目的か
ら、医薬品を最小有効濃度以上、最大安全濃度以下の濃
度即ち、有効血中濃度減で薬効成分が長時間に亘って人
体へ吸収されるようないわゆる徐放化製剤の開発が活発
に行われている。
【0006】徐放化製剤の一例として、軟膏、スプレー
塗布など経皮吸収用製剤がある。これらの製剤は目分量
で皮膚へ塗るため、投与量が一定せず、また衣服等に軟
膏などが付着し汚れるといった問題がある。
【0007】かかる欠点の改善策として薬物を、粘着剤
中に一定量含有させ、一定の大きさに成型したテープ
剤、貼付剤がある(例えば特開昭57―116011号
公報、特開昭58―134020号公報参照)。
【0008】テープ剤、貼付剤を用いる方法によれば、
軟膏やスプレー塗布等の方法で起る多くの問題点が解決
できる。
【0009】また薬物を経皮的に投与したときは、肝臓
で薬物の代謝を受け薬効が消失するいわゆる肝代謝を受
ける割合が経口的に投与した場合に比較して顕著に軽減
できることも判っており、したがってテープ剤、貼付剤
(以下貼付剤と称す)は薬物が経皮吸収する性質を有し
ている場合、非常に優れた薬物投与形態である。
【0010】しかしながら、かかる貼付剤が多用される
につれて従来の貼付剤についていくつかの問題があるこ
とも明らかとなってきた。
【0011】かかる問題のうち、最も発生頻度が多いの
が貼付剤を貼った患者の貼付部位に発生する皮膚カブレ
である。一般に、徐放性製剤は慢性疾患の患者に投与す
ることが多く、したがって貼付剤を繰り返し長期間に亘
って貼付するため皮膚カブレも発生し易く、しかも一度
皮膚カブレが発生するとその患部は拡大し易いという問
題がある。ある統計によると貼付剤による皮膚カブレの
発生は全患者の20〜50%である。
【0012】貼付剤の別の問題は薬物血中濃度の変動で
ある。血中濃度変動の要因は貼付剤側の要因、ヒト皮膚
側の要因、ヒト代謝機能の要因等と複雑であり、そのた
め薬物血中濃度の一定化は容易ではない。
【0013】また別の問題は取扱い性に関するものであ
る。即ち、貼付剤に皮膚カブレを軽減するために貼付剤
の支持体を出来るだけ薄くしたり、柔軟性を高くした
り、貼付剤を小さくする工夫により皮膚カブレは多少軽
減できたが、該貼付剤を患者の所定の位置に正しく貼付
するのが非常に難しいという問題も生じている。例え
ば、近年狭心症等の循環器系疾患の治療薬として硝酸エ
ステル類を有効成分とする貼付剤が広く用いられている
が、上記のような諸問題、なかでも皮膚カブレの問題が
大きく、薬物血中濃度が安定的に維持され、かつ、かか
る問題のない貼付剤が望まれている。
【0014】かかる問題は、従来副作用としての子宮癌
の発生から敬遠されていたが、経皮投与することにより
この問題を解決できることが分かり、近年女性の更年期
障害や骨粗鬆症の治療薬として脚光をあびつつあるエス
トラジオールやプロゲステロン及びその誘導体の場合も
事情は同じである。エストラジオール含有貼付剤は閉経
に伴って起る卵胞ホルモンの減少を補うものであり、治
療期間は数ケ月乃至数年に及ぶものであるから、患者の
コンプライアンスが高いこともまた必須の要件である。
特に貼付剤の場合、貼付時の違和感、皮膚カブレの発生
が最も大きな問題点であるにもかかわらず、従来の技術
ではこの点に対する配慮が不十分であった。
【0015】上述のように、従来技術においては、患者
のコンプライアンスの比較的高い経口剤の場合にはBA
(Bio Availability)が低く、副作用発生が深刻であ
り、BAが高く、薬物血中濃度も安定している経皮吸収
型貼付剤においては違和感があり、皮膚カブレが発生す
るという問題があった。
【0016】従来技術の欠点の一つである違和感を改善
するためには、貼付剤の柔軟性をできるだけ高め、その
サイズを小さくすることが望ましい。しかしながら、柔
軟性をあまりに大きくすると貼付剤の取扱いが著しく困
難となり実用性に欠けることとなる。また、貼付剤のサ
イズは薬物の吸収量即ち、薬物血中濃度と比例関係にあ
るから、必要な薬物血中の度が決まっている場合、貼付
剤のサイズを小さくするためには何らかの薬物の経皮吸
収性を高める手段が必須となる。そして、そのために薬
物の経皮吸収性を高める目的で吸収促進剤を使用する
と、かえって皮膚カブレを助長することが多いという問
題がある。一方、皮膚カブレを改善するためには、従来
から粘着剤の種類を適宜選択し、粘着剤中の残留モノマ
ーや残留溶媒を少くすることなどが検討されているが、
根本的には、貼付剤の水分蒸散性や酸素、炭酸ガス等の
通気性を高めることが望ましい。しかしながら、単に水
分蒸散性や酸素等の気体透過性を高めることも貼付剤の
密封性を減少させ、結果として薬物の経皮吸収性を減少
させることがある。
【0017】かかる事情は長期療養を必要とする癌等の
鎮痛剤として使用が検討されているモルヒネ、フェンタ
ニル、ブプレノルフィン等についても同じである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、前記した従来技術の問題点を排除して、薬物血中濃
度も安定しており、違和感がなく、皮膚カブレを顕著に
改善しており、且つ取扱いやすい貼付剤を提供すること
にある。本発明のその他の目的及び利点は以下の記述か
ら明らかな通りである。
【0019】本発明に従えば、水分半透過性のフイルム
(a層)と、単糸の太さが1〜30μmからなり、且つ
目付が8〜100g/m2 の布帛(b層)と、薬物を含
有した厚みが10〜100μmの粘着剤層(c層)とを
必須成分とした大きさが10〜150cm2 の貼付剤で
あって、水分蒸散性が下記(イ)〜(ハ)を満足する貼
付剤 (イ)貼付剤の粘着剤層(c層)の平面方向からフイル
ム層(a層)の平面方向へは1.0〜30mg/日・c
2 であり、 (ロ)貼付剤の断面方向へは25〜180mg/日であ
る。 (ハ)(イ),(ロ)方向の水分蒸散性を合計した水分
蒸散性は2〜40mg/日・cm2 である。が得られ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記したように、本発明
では、布帛、薬物を含有する粘着剤層、及び水分半透過
性のフィルムを用い、それらを巧みに利用することによ
り本発明の目的を達成できることを知見し、本発明に到
達した。
【0021】即ち、貼付剤の使用において最も問題とな
る皮膚カブレを防ぐためには、少なくとも貼付剤中に製
造工程で使用する有機溶媒が残留しないか/またはほと
んど残留しないこと、使用する粘着剤の皮膚刺激性が少
いことに加えて、貼付部位が過剰に蒸れないことが重要
であり、また貼付部位に酸素が適度に供給され、皮膚生
理によって貼付部位で発生する炭酸ガスやアンモニアガ
スを透過させることが必要である。特に酸素、炭酸ガ
ス、アンモニア等の透過の困難性とも関連していると考
えられる貼付部位の過剰な蒸れを防ぐことが重要であ
る。
【0022】しかしながら貼付剤の本来の目的である薬
物を経皮的に十分な量吸収させるという点からは貼付部
位を密封して適度の蒸れを与えることが必須条件であ
り、ここに本発明の目的を達成する困難さがある。
【0023】本発明者らは、皮膚カブレの起る蒸れ状態
と薬物が経皮吸収されるために必要とされる蒸れの状態
について鋭意検討した結果、薬物の経皮吸収は貼付部位
皮膚の角質層が飽和水分率となる以上に蒸れを多くして
も(このとき余分な水分は皮膚と貼付剤の界面で液滴状
となる)速くならないこと、逆に皮膚カブレは角質層の
水分率が飽和点を越えると増大するという事実を知見し
た。このことから貼付剤として好ましい密封性とは、貼
付部位皮膚の角質層が常に飽和水分率近傍にあるように
維持せしめることであると考え、貼付部の剤型について
鋭意検討した。
【0024】このような考えで製剤を変更することによ
り従来の貼付剤の欠点を改善できる。しかし、更なる改
善が望まれている。
【0025】そこで、更に検討を進めたところ経皮吸収
性を十分なレベルで一定に保つという1つの目的から貼
付剤からの水分蒸散性を角質層の水分率を飽和させるの
にほとんど十分な量以上に高くすることはできないが、
この水分蒸散のほとんどを貼付剤の平面方向に蒸散させ
貼付剤の水分半透過性のフイルムの面を通して放出させ
るか、又はこの水分蒸散量のある部分を貼付剤の断面方
向に蒸散させ放出させるかによって、得られた貼付剤の
皮膚カブレの発生に差があることを見出したのである。
【0026】水分半透過性のフイルムはそのフイルムの
材質、フイルムの厚み等を変更することにより水分の透
過量を変えることができるが、しかしながらこの水分透
過量の変化はかかるフイルムからの酸素や炭酸ガスの透
過量の変化量と必ずしも比例関係にあるのではなく、一
般にフイルムは本発明の貼付剤に使用する粘着剤層や、
布帛に比較するとはるかに酸素や炭酸ガス等の気体を透
過しにくい。したがって、全体としての貼付剤からの水
分蒸散量は同じであっても水分蒸散量を平面方向にて高
めるときに比較して、粘着剤層や布帛からの水分蒸散量
が主体となる断面方向にて水分蒸散量を高める場合の方
が、皮膚カブレの、もう1つの要因である通気性におい
て差がでるものと考えられる。
【0027】即ち、本発明は、水分半透過性のフイルム
(a層)と、単糸の太さが1〜30μmからなり、且つ
目付が8〜100g/m2 の布帛(b層)と、薬物を含
有した厚みが10〜100μmの粘着剤層(c層)とを
必須成分とした大きさが10〜150cm2 の貼付剤で
あって、水分蒸散性が下記(イ)〜(ハ)を満足する貼
付剤 (イ)貼付剤の粘着剤層(c層)の平面方向からフイル
ム層(a層)の平面方向へは1.0〜30mg/日・c
2 であり、(ロ)貼付剤の断面方向へは25〜180
mg/日であり、(ハ)(イ),(ロ)方向の水分蒸散
性を合計した水分蒸散性は2〜40mg/日・cm2
ある。である。
【0028】驚くべきことに本発明の貼付剤によって、
かかる貼付剤を貼付した患者の置かれる外的環境や運動
状態により皮膚発汗の程度が多少変化しても、貼付部位
の皮膚角質層の水分率をほとんど同じ値に保つことがで
きたのである。
【0029】皮膚カブレを防ぐためには貼付剤中の残留
溶媒を極力少くすること、具体的には貼付剤製造の工程
で使用する全溶媒の残留量が粘着剤重量に対して100
ppm以下、好ましくは50ppm以下であることが望
ましい。貼付剤においてはこれら残留溶媒のほとんどは
粘着剤溶液から粘着剤層を作る時に残留するものである
が、粘着剤層の残留溶媒を減少する方法としては高温下
の加熱による方法、加熱下に真空吸引する方法、得られ
た粘着剤層を水、メタノール、エタノール等の溶媒で洗
浄抽出する方法等が用いられ、工業的には高温下の加熱
による方法が最も多く用いられる。しかしながら貼付剤
の粘着剤層として用いる程度の厚みを持つ粘着剤層(ポ
リマー層)から残留溶媒100ppm以下の粘着剤層を
得るためにはかなり厳しい乾燥条件を採用することが必
要である。
【0030】粘着剤層に薬物が混入されている場合は、
かかる厳しい乾燥条件を採用すると薬物の変質、分解を
伴い問題となることが多く、また薬物として蒸発性の薬
物を用いる場合には高温では薬物が蒸発するので通常の
乾燥条件より、むしろ温和な条件を採用せざるを得ず、
残留溶媒の少い安全性の高い貼付剤を得ることが困難で
ある。
【0031】しかしながら、本発明の貼付剤の場合、貼
付剤の断面方向にも通気性があるために、加熱や真空吸
引等により残留溶媒を減少させやすいという効果がある
ことも分かった。
【0032】本発明において使用する水分半透過性のフ
イルムは柔軟なフイルムであって該フイルムの水分透過
性を単独にて試験するときに37℃での水分透過量が1
〜1000mg/日・cm2 のものをいい、フイルムの
厚みが0.5〜4.9μmであるものが好ましい。特に
好ましいものは、厚みが0.5〜4.9μm、実質的に
直交する2方向の強度が各々8〜85g/mm、および
実質的に直交する2方向の伸度が各々30〜150%で
あって該2方向の伸度の比が1.0〜5.0(但し、該
2方向の伸度の比が同一でない場合には小さい伸度の方
を分母とする)であるフィルムからなるフィルムを挙げ
られる。皮膚カブレを減少させるためには、まず第一に
製剤の物理的刺激を少なくすることが重要である。この
ためには使用するフィルムの厚みが小さい程刺激は減少
するので、厚みは4.9μm以下であり、4.0μm以
下、なかでも3.5μm以下がこの傾向が顕著となるの
で好ましい。一方貼付剤はヒトの皮膚に貼付して使用す
るので、ヒトの活動に伴うヒトの皮膚の伸縮運動にある
程度追随できることが必要である。あまりに極薄の場合
にはフィルムが破断したり、あるいは皮膚の伸縮運動に
ほとんど追随しない場合には皮膚刺激が大きくなったり
する。厚みを0.5μm未満に小さくしても、その物理
的刺激はあまり変わらなかったばかりか製造に不便にな
りがちであるという不都合が増大する。
【0033】貼付剤に支持体としてフィルム層を設ける
目的は貼付部位の密封性を高めて経皮吸収を促進するこ
と、粘着面を被覆して衣類や皮膚の他の場所に粘着剤が
付着するのを防止すること等のためである。フィルムの
厚みが小さくなる程密封性も小さくなり、5μm未満で
は密封性が減少する傾向にあるが、1μm以下なかでも
0.5μm未満では貼付剤として十分な密封性を得るこ
とが困難となる。
【0034】またフィルムの強度については実質的に直
交する2方向の強度が各々85g/mmを超えると、い
かに厚みが薄くても物理的刺激が十分に小さくなく、一
方、8g/mm未満であると貼付時や貼付して使用中に
製剤が破損しやすくなり、安心して使用しにくくなりが
ちである。
【0035】フィルムの伸度については、実質的に直交
する2方向の伸度が各々150%を超えると取扱い性が
悪く、一方、該伸度が30%未満では物理的刺激が大き
くなるし、貼付時の破断が起りやすくなる。
【0036】更に本発明者の検討結果によれば、該2方
向の伸度の比が1.0〜5.0(但し、各伸度が同一の
場合には小さい伸度の方を分母とする)、なかでも1.
0〜3.0であるフィルムを用いた場合は、貼付した時
の貼り心地が良いので好ましい。この比が5.0を超え
るもの、即ち、ある方向の伸度が極端に小さなフィルム
を用いた場合にあっては、その方向への皮膚の伸縮にフ
ィルムが充分追随し得ず、つっぱり感が出て貼り心地が
悪かったり、剥がれ易くなったり、破損しやすくなった
りする問題を生じ易く、適当とはいえない。
【0037】したがって、本発明のフィルムは、厚みが
0.5〜4.9μm、実質的に直交する2方向の強度が
各々8〜85g/mm、および実質的に直交する2方向
の伸度が各々30〜150%であって、該2方向の伸度
の比が1.0〜5.0(但し、各伸度が同一でない場合
には小さい伸度の方を分母とする)が好ましい。なかで
も厚みが3.5μm以下、特に0.5〜2.0μm、強
度が8〜85g/mm、および伸度が45〜150%
で、伸度の比が1.0〜3.0であるフィルムが好まし
い。
【0038】本発明でいう強度とは、日本薬局方「絆創
膏」の引張り強度測定法に従って、切断までの最大荷重
を求めそれを単位mm当りの荷重に換算したもの(g/m
m)を示し、伸度は引張る前の長さ、切断時の長さの伸
び率(%)を示す。また直交する2方向とは、いわゆる
縦方向と横方向のことをいう。
【0039】本発明においては、かかるフィルムは、さ
らに好ましくは経時安定性が良好で、しかもヒト皮膚に
貼付した場合にアレルギー反応を起こしにくい等安全性
の高いものであることが望ましい。かかるフィルムとし
てはポリエチレン,ポリプロピレンのようなポリオレフ
ィン;ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフ
タレートのようなポリエステル;ナイロン6やナイロン
66のようなポリアミド;エチレン―酢酸ビニル共重合
体等からなるフィルムを用いることができる。これらの
フィルムは単体で用いてもよく、複合したりまた積層し
て用いてもよい。
【0040】これらのフィルムのうち、ポリエステルフ
ィルムが好ましい。ポリエステルフィルムは、一般的に
熱や光に対する安定性がよく、薬物の吸着や、薬物との
相互作用が少なく、またヒトに対する安全性が高い。ポ
リエステルフィルムのなかでもポリエチレンテレフタレ
ートからなるフィルムが好ましい。
【0041】本発明においては、特にフィルムの厚みが
3.5μm以下、強度が各々8〜85g/mm、かつ伸
度が各々45〜150%である極薄フィルムを用いると
きは、貼付剤を長時間安定して貼付できる。
【0042】本発明においては前述のフィルム層として
特にポリエステルフィルムを用いるのが好ましいが、こ
のポリエステルフィルム中にはその滑り性を改良する目
的で少割合の固型微粒子を存在させることがある。しか
しながら従来、かかる固型微粒子が本発明のような貼付
剤においてどのような影響を及ぼすものであるかについ
て充分な知見はなかった。
【0043】本発明者はかかる点について鋭意検討の結
果、該ポリエステルフィルム層に存在する固型微粒子量
が0.01〜1重量%であり、その平均粒子径が0.0
1〜3.0μmであり、かつ該平均粒子径が実質的にポ
リエステルフィルムの厚みの1.5倍を超えないことが
臨床有効量の薬物を吸収させつつ、特に皮膚カブレを減
少させる点で重要であることを見出した。
【0044】このような固型微粒子としては、例えば、
(1)二酸化硅素、(2)アルミナ、(3)二酸化硅素
分を30重量%以上含有する硅酸塩、アルミノシリケート
化合物、(4)マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チ
タンから選ばれる一種以上の金属の酸化物、(5)カル
シウム、バリウムから選ばれる一種以上の金属の硫酸
塩、(6)リチウム,ナトリウム,カルシウムから選ば
れる一種以上の金属の燐酸塩、(7)カルシウム,バリ
ウム,亜鉛,マンガンから選ばれる一種以上の金属のテ
レフタル酸塩、(8)マグネシウム,カルシウム,バリ
ウム,鉄,コバルト,マンガン,ニッケル等から選ばれ
る一種以上の金属のチタン酸塩、(9)カルシウム,マ
グネシウムから選ばれる一種、(10)炭素、(11)
ガラス、(12)架橋化ポリスチレンの如き無機あるい
は有機の固体微粒子を例示できる。勿論、これらの使用
は一種又は二種以上の混合であってもよい。
【0045】かかる固型微粒子量が0.01重量%に満
たない範囲にあっては、皮膚カブレを減少させる効果が
不充分となりがちのため好ましくなく、また1重量%を
超える範囲にあっては薬物の経皮吸収性が充分満足され
なくなる場合を生じたりして貼付剤として好ましくない
場合がある。またその平均粒子径が0.01μmに満た
ない範囲のものにあっては皮膚カブレを減少させる効果
が不充分で取扱い性が充分満足されない場合があり、ま
た3.0μmを超えたりフィルムの厚みの1.5倍を超
える範囲にあっては、前述と同様に薬物の経皮吸収性が
充分満足されない場合を生ずる。これはかかる場合にあ
っては、この固型微粒子とフィルム層の間のボイド等に
起因して水分蒸散性や通気性が大きくなりすぎるためで
はないかとも考えられる。
【0046】本発明に用いる布帛は目付が8〜100g
/m2 である。本発明で布帛を用いる理由の1つは、貼
付剤の断面方向に貼付剤1枚当りの25〜180mg/
日の水分蒸散性を与えることである。布帛を用いる2つ
目の理由は柔軟で薄いフイルムを用いた貼付剤の取扱い
性を改善することである。布帛を用いる3つ目の理由は
柔軟な薄いフイルムと薬物を含有した厚みが10〜10
0μmの粘着剤層からのみなる貼付剤はわずかの応力で
破断したり、変形したりするのを防ぐことができ貼付剤
の製造が容易となることなどである。
【0047】特に理由の1つ目と2つ目は重要である。
布帛の目付が8g/m2 以下となると、後述する粘着剤
層や製造方法をいくら最適化しても目的とする断面方向
の水分蒸散性を達成することが難しくなりがちであり、
また取扱い性も十分にならない場合があり得る。
【0048】一方、布帛の目付が100g/m2 以上と
なると断面方向の水分蒸散性が大きくなりすぎるので好
ましくない。しかも、布帛の目付が100g/m2 以上
となると貼付剤の厚みが大きくなるために貼付時に貼付
剤が貼付部位から剥れて脱落(ハガレ)しやすくなる。
布帛の目付が大きくなったときのハガレの原因は、貼付
剤の端面、特に角部が衣類等にこすられて、該衣類等に
とられるためと考えられる。特に好ましい布帛の目付は
10〜60g/m2 である。
【0049】かかる布帛において、布帛を構成する繊維
の単糸の太さが重要である。一般に繊維状物は大きさは
小さいものは0.5μm以下のものから、大きいものは
1000μmを越えるものまで任意に製造可能であり、
用途により使い分けられている。
【0050】本発明者らのこれまでの検討によれば、貼
付剤に使用する場合でも、この単糸の太さは皮膚刺激に
影響することが分かっており、好ましい単糸の太さは1
〜17μmである。単糸の太さが1μm未満のときは、
本発明の貼付剤の取扱い性を確保するために布帛の目付
を8g/m2 とした場合、断面方向からの水分の蒸散性
が大きくなりすぎる傾向がみられ、またあまりに繊維が
細いために繊維切れ等が頻発し貼付剤の製造工程におい
て困難を生じる。
【0051】一方、単糸の太さが30μmより大きくな
ると、いかに布帛の目付を小さくしても、皮膚刺激が大
きくなる。特に好ましい単糸の太さの範囲は5〜25μ
mである。
【0052】本発明においては、かかる布帛は織物、編
物、不織布等の形態で用いることができるが、特に公知
の編物や不織布の構造とすることで布帛自体に伸縮性が
大きくなり、この伸縮性のためと考えられるが、同じ単
糸の糸を用いて同じ目付の織物とした場合よりも、より
皮膚刺激性が少ない。本発明においては、かかる布帛は
1つの織物、編物、不織布の構造としてもよいが、かか
る布帛を積層して用いることもできる。また使用する単
糸も異なる種類の単糸を混合して用いることもできる。
この場合、布帛を構成する単糸の大部分は上述した範囲
にあることが好ましい。
【0053】本発明においては、布帛を構成する繊維の
単糸の大部分が外周方向に貫通した孔を有する中空繊維
以外のもの、即ち中実繊維、中空繊維を用いることがで
きる。あるいは本発明においては、布帛を構成する繊維
の単糸の大部分が外周方向に貫通した孔を有する中空繊
維を用いることも経済性の課題はあるものの、本発明の
目的を達する上で好ましい態様である。かかる中空繊維
は、例えば、特開昭56―20612号公報、特開昭5
6―20613号公報、特開昭56―43420号公報
等に記載された方法によって製造することができる。
【0054】本発明に用いる繊維の材質としては、例え
ばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポ
リエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ナ
イロン6、ナイロン66などのポリアミド;ポリウレタ
ン、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル等、任意のものを選ぶことがで
きる。これらのなかでもポリエステルが好ましく、特に
ポリエチレンテレフタレートがヒトに対する安全性が高
いこと、熱、光、温度に対する安定性に優れているこ
と、薬物との相互作用がないこと、薬物溶液を中空繊維
に含浸させるとき使用する溶媒によって変性されにくい
こと等の理由から好ましい。
【0055】かかる繊維は単一で用いてもよく、2つ以
上の複数で用いてもよい。
【0056】本発明で用いる薬物の例を挙げれば、硝酸
イソソルビド、ニトログリセリンの如き冠血管拡張剤に
使用される硝酸エステル類;メントール、カンファー、
サルチル酸メチルの如きサリチル酸エステル類;エスト
ラジオール、ノルエチステロン、プロゲステロンやその
誘導体のようなホルモン剤;モルヒネ、フェンタニル、
塩酸ブプレノルフィンやその誘導体のような鎮痛剤;ク
ロニジン、ニフェジピン、カプトリルやその誘導体のよ
うな心疾患薬などを挙げることができるが、これらに限
定されるものではない。
【0057】薬物の使用量は、用いる薬物の薬理作用の
強さ、皮膚への吸収性などによって適宜決定されるが、
通常粘着剤総量に対して0.1〜20重量%である。か
かる薬物は粘着剤層中に粘着剤と相溶して存在してもよ
く、また薬効に影響しない限りにおいてはその一部が結
晶となって析出していてもよい。
【0058】1つの貼付剤に含有されるべき該薬物の量
は1μgから200mgまで任意に変えることができ
る。即ち、一般に医薬品に使用される薬物は経口や注射
剤として投与されるが、その場合に臨床的に有効となる
薬物投与量は多くの文献に示してある(例えば、医薬品
要覧第4版、薬業時報社(1988))。したがって貼
付剤の場合も、1つの貼付剤に含有されるべき薬物量は
経口剤や注射剤で使用される量から推定できる。通常は
貼付剤の場合、製剤中に残存する量が多くなるので経口
剤等に比して投与量は多くなりがちである。しかし肝代
謝の大きい硝酸薬の場合のような場合は貼付剤に使用す
る薬物量は経口剤より少なくなる場合もある。したがっ
て貼付剤1枚中の薬物量は経口剤や注射剤の1日投与量
の5分の1以上乃至10倍以下である。
【0059】本発明で使用する粘着剤としては、通常の
感圧粘着剤が用いられ、例えばシリコンゴム、ポリイソ
プレンゴム、スチレン―ブタジエン共重合ゴム、アクリ
ルゴム、天然ゴム等を主成分とするゴム系粘性組成物;
ポリビニルアルコール、エチレン―酢酸ビニル共重合の
ようなビニル系粘性組成物;シリコン系粘着剤、ポリウ
レタン弾性体、ポリエステル弾性体、ポリブタジエン弾
性体などを主成分とする粘性組成物;アクリル系樹脂等
の中から選択することができる。なかでもアクリル系樹
脂が好ましく、特に皮膚刺激性がより少く、適度の粘着
性、接着性と高度の内部集力、かつ優れた耐溶剤性とい
う観点から、(1)炭素数4以上のアルキル基の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルを少なくとも80〜9
8モル%、(2)アクリル酸及び/またはメタクリル酸
2〜20モル%を共重合したアクリル系樹脂が特に好ま
しい。炭素数4以上のアルキル基の(メタ)アクリル酸
エステルの例としては、例えばブチル(メタ)アクリレ
ート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)
アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチ
ル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレー
ト、デシル(メタ)アクリレート、2―エチルヘキシル
(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの粘着剤
は1種あるいは2種以上を複合して用いてもよい。
【0060】また、かかるアクリル系粘着剤には公知の
有機又は無機の架橋剤が0.01〜10重量%含有され
ていてもよい。
【0061】本発明においては、これらの粘着剤は薬物
の種類に応じて組合せることもでき、例えば高い相溶性
を有する粘着剤をバッキングのフイルム層の近くに設
け、薬物との相溶性はさして高くないが皮膚刺激性は少
ない粘着剤を皮膚と接触している面に用いるという組み
合わせとして、皮膚刺激性が少なく、徐放性に優れた貼
付剤とすることができる。
【0062】本発明の粘着剤層の好ましい厚みは5〜1
00μmである。粘着剤層の厚みが大きいと残留溶媒の
量が極端に高くなる傾向があるため特に好ましくは厚み
60μm以下である。逆に粘着剤層が薄くなるとヒト皮
膚に対する粘着力も低下し、貼付剤の使用時安定性が低
下することから、10μm以上が好ましい。
【0063】本発明の貼付剤の製造方法の1つ目の方法
は、フイルムと布帛を加熱下に圧力をかけて接着させて
フイルムと布帛の積層物を得、しかるのちに薬物を含有
した粘着剤溶液を積層物の布帛面の上に塗工して、乾燥
する方法である。
【0064】製造方法の2つ目の方法は、あらかじめ薬
物を含有した粘着剤溶液を離型フイルムの上に塗工して
乾燥後の厚みが10〜100μmとなる薬物含有粘着層
を得、この薬物含有粘着層を製造方法の1つ目の方法で
得たフイルムと布帛の積層物の布帛面に圧着させる方法
である。
【0065】製造方法の3つ目の方法は、あらかじめ薬
物を含有した粘着剤溶液を離型フイルムの上に塗工して
乾燥後の厚みが10〜100μmとなる薬物含有粘着層
を2層(薬物含有粘着層A、Bとする)を得る。このと
き薬物含有粘着層A、Bは異なる粘着剤を用いてもよ
く、厚みが異なってもよく、薬物の含有量が異なっても
よく、含有される薬物の種類が異なってもよく、薬物含
有粘着層A、Bのいずれか1つには実質的に薬物を含有
しなくてもよい。かくして得られた薬物含有粘着層2層
のうちの1層(A層)とフイルムを圧着し、しかるのち
該A層のフイルムを圧着していない面上に布帛を圧着し
て3層積層物(C層)を得、次にC層の布帛の自由とな
っている面上に薬物含有層(B層)を圧着してもよい。
【0066】製造方法の4つ目の方法は、製造方法の3
つ目の方法で述べた方法であるが、粘着層を作るときに
薬物を含有させるか、又は薬物を含有させないで粘着層
2層(A層、B層)を作り、これを積層して製造方法の
3つ目の方法で述べた3層積層物(C層)を得、しかる
のち、溶媒に溶解した薬物を3層積層物の布帛の上に滴
下、浸漬、接触させる等により塗工、溶媒を蒸発により
除いて、薬物を含有した3層積層物(D層)を得、この
D層の布帛の上に薬物を含有するか、含有しない粘着層
B層を圧着する方法である。かくして得られた貼付剤
は、裁断する前か後に必要に応じて加熱、真空吸引等に
より品質の均質化を図ってもよい。
【0067】同業者が容易に想定できるように製造方法
の4つ目の方法で得られたD層の布帛上に薬物を含有し
た粘着剤の溶液を塗工して加熱し溶媒を除いて直接粘着
層B層に相当する粘着層を作ることも可能である。ま
た、上述した製造方法で粘着層を多層積層することも必
要に応じて採用できる。
【0068】予想されるように、本発明の貼付剤の製造
法はこれに限定されるものではない。
【0069】本発明の貼付剤は、水分蒸散性、特に平面
方向に加えて断面方向の水分蒸散性が重要であるという
知見に基くものである。
【0070】本発明の貼付剤は、前述した水分透過性の
フイルム及び布帛からなるが、布帛は前述の通りの範囲
のものであっても目付が大きい程、一般に取扱い性はよ
くなる。また、使用する粘着層の厚みが同じで、加圧条
件が同じであれば目付が大きい程断面方向の水分蒸散性
も大きくなる。したがって取扱い性の面から布帛の目付
を決定した場合、経皮吸収性を確保しつつ断面方向の水
分蒸散性を好ましい範囲におくためには使用する粘着層
の厚みを大きくして、粘着層と布帛との圧着条件を大き
くすることが好ましい。特に粘着層を溶液に溶かした粘
着剤溶液を布帛の上に塗工する方法を採用するときは、
粘着剤が布帛の中に入り込んだ状態で粘着層が形成され
るので断面方向の水分蒸散性は、同じ厚みの粘着層を圧
着した場合より小さくなる傾向がある。
【0071】逆に、貼付時の製剤の剥れを防止するとい
う観点からは布帛は薄い方が好ましいので、得られる貼
付剤の取扱い性を損なわない範囲で目付を小さくした場
合は粘着層を薄くするか、又は/及び布帛と粘着層の加
圧接着条件を弱くするのが好ましいことになる。
【0072】得られた貼付剤の経皮吸収性は貼付剤全体
としての水分蒸散性に大きく依存しており、通常の製剤
の大きさである10〜150cm2 の場合、その値は2
〜40mg/日・cm2 である。40mg/日・cm2
より大きくなると十分な経皮吸収性が得られにくい。逆
に2mg/日・cm2 未満では皮膚刺激性の小さい製剤
とはならない。
【0073】皮膚カブレ防止という点からは水分蒸散性
は40mg/日・cm2 以上大きい程良好となる。しか
し、本発明では十分な経皮吸収性を維持しつつ、皮膚カ
ブレも減少させることを目的とするものであり、そのた
めには酸素や炭酸ガス等を粘着剤、布帛層を経て気体透
過性の比較的低いフイルムを通してフイルム上方の外表
面方向(即ち平面方向に)に水分を蒸散させ、かつ平面
方向と同等ないしそれ以上に酸素や炭酸ガス透過性のよ
い粘着剤層や布帛層に沿った貼付剤の側表面方向(即ち
断面方向に)に水分を蒸散させるのが好ましい。延伸配
向させて製造するフイルムよりも、アモルファスなポリ
マーから溶媒を除いただけの粘着剤層や、多孔な布帛が
通気性が著しく大きいことは容易に想像できることであ
る。
【0074】そこで本発明の貼付剤においては、貼付剤
の大きさが10〜150cm2 の貼付剤1枚当り平面方
向へは1.0〜30mg/日・cm2 となるように、そ
して貼付剤の大きさが10〜150cm2 の貼付剤1枚
当り断面方向の水分蒸散性が25〜180mg/日とな
るようにする。従来の貼付剤においても、皮膚刺激を少
なくするために水分蒸散性や通気性を大きくするという
考えは知られている(例えば特開平4―77419号公
報)。本発明の貼付剤においては、本発明の目的を達成
できる限りにおいてフイルム表面等に微孔あるいは切れ
目(切断線)を必要に応じた数設けることができるが、
かかる場合の本発明の貼付剤の水分蒸散性は、そのよう
な微孔ないし切れ目等がない場合のものが該水分蒸散性
を満足するものであれば良い。
【0075】本発明の貼付剤はこのような水分蒸散性を
有することによって、通気性も確保され、その結果皮膚
カブレが極めて低減化され、かつ含有されている経皮吸
収薬物の十分な経皮吸収性を確保することができる。
【0076】本発明の貼付剤を製造する際の製造条件の
うち、主要なものの1つは、フイルム状のものを積層加
圧するときに使われる公知のラミネーターの加圧条件で
ある。
【0077】本発明の場合、ラミネーターに使用するロ
ールの硬さ、ロールの径、ロールを通過する速度、ロー
ルにかかるプレス圧力、ロールを通過するときの温度等
の条件を制御することにより本発明の貼付剤を得ること
ができる。
【0078】特に本発明の貼付剤の場合、通常のフイル
ムに比べれば破断しやすい薄いフイルムを用い、特定の
布帛を用い、特定の粘着剤を用いているので、それらの
材料の積層条件を最適化することにより、医薬製剤に要
求される特性の1つである特定の品質規格内にあって、
さらに品質のバラツキの少ない貼付剤、即ち、経皮吸収
性が高く、さらには皮膚刺激性が少なく、取扱い性が良
いという特性をバランスさせた上で、しかも貼付したと
きに剥離トラブル等も殆んど起らず、所定の薬物が所定
の吸収速度で吸収できるようにしたバラツキの少ない貼
付剤を提供することができる。
【0079】剥離はトラブルをなくするためにはフイル
ムと布帛の間の層間剥離力は10g/mm以上であるの
が好ましい。
【0080】本発明の貼付剤は、必要に応じてその他の
吸収促進剤、溶解助剤、拡散助剤、充填剤などを含有し
ていてもよい。本発明で用いられる吸収促進剤又は拡散
助剤としては、前記に例示したものの他に例えばラウリ
ル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナト
リウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナ
トリウム、ジオクチルスルホコハク酸塩、ポリオキシア
ルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩な
どの界面活性剤;グリセリン、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、高級
脂肪酸アルコールなどのアルコール類;ジメチルスルホ
キシド及びアルキルメチル誘導体;サリチル酸、尿素、
ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ラノリ
ン、アラントイン、スクアレン、カーボポール、ジイソ
プロピルアジペート、ピログルタミン酸ラウリルエステ
ル、ミリスチン酸イソプロピル、エチルラウレート、ニ
コチン酸メチル、ソルビトール及びドデシルピロリド
ン、メチルピロリドンのようなピロリドン誘導体、オリ
ーブ油、ヒマシ油、流動パラフィン、ワセリン、ゼラチ
ン、アミノ酸、ニコチン酸ベンジル、L―メントール、
カンファー、ドデシルアザシクロヘプタン―2―オンな
どを用いることができる。
【0081】かかる吸収促進剤又は核酸助剤は、粘着性
を損なわない範囲であればよく、粘着剤に対して0.1
〜30重量%の範囲で用いることができる。
【0082】また、貼付剤の中には、充填剤としては、
水、酸化チタン、炭酸カルシウム、石コウ、ケイ酸カル
シウム、ケイ酸アルミニウム、硅藻土、カーボンブラッ
ク、ベンガラ、各種の染顔料、流動パラフィン、ワセリ
ン、乳糖、香料、脱臭剤、着色剤、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリエステル、ポリスチレン等の合成樹脂
の粉末や成形物等が0.1〜30重量%含有されていて
もよい。
【0083】
【産業上の利用性】以上説明したように、本発明に従っ
た貼付剤は、所望の経皮吸収性(徐放性)を有しかつ皮
膚カブレの発生を顕著に防止した経皮投与用貼付剤とし
て利用することができる。また本発明に係る貼付剤は貼
付剤自体が非常に柔軟であり、皮膚刺激がほとんどな
く、また必要な密封性を維持しつつ、残留溶媒が少なく
しかも取扱い性に優れかつ安全性を高めた貼付剤として
広く利用されることになろう。
【0084】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を、さらに詳細
に説明する。実施例中の部は重量部を示し、実施例中に
出てくる特性は以下の方法で測定した。
【0085】(i)水分蒸散性の試験法 厚さ約10mmで大きさが約150mm×150mmの
ガラス板の中央部に直径40mm(面積12.56cm
2 )、深さ6mmのくぼみを作る。くぼみの中に蒸留水
3mlを入れる。
【0086】貼付剤1枚をとり離型フイルムを剥がして
粘着面が完全にくぼみを覆うように貼付剤をこのガラス
板に貼付する。このときの重量をW1 (mg)とする。
【0087】次に貼付剤を貼ったままのガラス板を37
℃の温風式恒温槽に入れ、24時間後のこのガラス板の
重量を測りW2 (mg)とする。このW1 ,W2 及び以
下のW3 ,W4 により平面方向の水分蒸散性を求める。
【0088】次に貼付剤のフイルム面(外側)に厚み約
30μmの粘着剤を用いてアルミ箔を密着して貼り合
せ、このアルミ箔で裏貼りした貼付剤の離型フイルムを
剥がして水3mlを入れたガラス板のくぼみを覆うよう
に貼り合せ、その重さW3 (mg)を測る。このものを
37℃の温風恒温槽に24時間入れたあとの重さをW4
(mg)とする。このW3 ,W4 により断面方向の水分
蒸散性を求める。
【0089】このとき水分蒸散量は以下の式により計算
するものとする。
【0090】
【数1】
【0091】なお、試験する貼付剤の大きさが50mm
×50mmより小さいときには、ガラス板の中央部のく
ぼみ直径は製剤の短い1辺の長さより約10mm小さい
ものを使用する。
【0092】また、貼付剤のフイルム(a層)に切断線
等があるときは、この切断線等のない貼付剤の部分で試
験を行うか、または切断線等を試験成績に影響しないよ
うに修復して試験するものとする。
【0093】(ii)層間剥離力の側定法 日本薬局法の「絆創膏」の粘着力試験法に準ずるものと
する。貼付剤のフイルムの外面にあらかじめ市販の布テ
ープ(例えばテラオカテープ)を接着させたのち幅20
mmの短冊状に裁断したものを試験片とする。試験片と
なった貼付剤の粘着面をフェノール樹脂板上に粘着させ
た後、フイルムと布帛との界面(層間)を約5mm程度
剥離させる。層間をわずかに剥離した試験片を粘着力試
験法に準じて試験し、層間剥離力を求める。
【0094】(iii )硝酸イソソルビドの血中濃度測定
3mlの採取血液より、血漿を分離した後、4mlのN
―ヘキサンで抽出し濃縮して、酢酸エチルを加えて10
0μlとし、GC―ECDにより定量した。
【0095】また、実施例で使用する中空繊維及び粘着
剤溶液は以下の方法で作成した。
【0096】(1)中空糸試料(1) テレフタル酸ジメチル297部、エチレングリコール2
65部、3,5―ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム53部(テレフタル酸ジメチルに対して
11.7モル%)、酢酸マンガン4水塩0.084部及
び酢酸ナトリウム3水塩1.22部を精溜塔付ガラスフ
ラスコに入れ、常法に従ってエステル交換反応を行い、
理論量のメタノールが留出した後反応生成物を精溜塔付
重縮合用フラスコに入れ、安定剤として正リン酸の56
%水溶液0.090部及び重縮合触媒として三酸化アン
チモン0.135部を加え、温度275℃で、常圧下2
0分、30mmHgの減圧下15分間反応させた後高真
空下で100分間反応させた。最終内圧は0.39mm
Hgであり、得られた共重合ポリマーの極限粘度は0.
402、軟化点は約200℃であった。反応終了後共重
合ポリマーを常法に従いチップ化した。
【0097】この共重合ポリマーのチップ15部と極限粘
度0.640のポリエチレンテレフタレートのチップ8
5部とをナウタ・ミキサー(細川鉄工所製)中で5分間
混合した後、窒素気流中にて110℃で2時間、更に1
50℃で7時間乾燥した後、二軸スクリュー式押出機を
用いて285℃で溶融混練してチップ化した。このチッ
プの極限粘度は0.535、軟化点は261℃であっ
た。
【0098】このチップを常法により乾燥し、紡糸口金
に巾0.05mm、径0.6mmである円形スリットの
2箇所が閉じた円弧状の開口部をもつものを使用し、常
法に従って紡糸し、外径と内径の比が2:1の中空繊維
(中空率25%)を作った。この原糸は300デニール
/24フィラメントであり、この原糸を用い常法に従っ
て延伸倍率4.2倍で延伸し、71デニール/24フィ
ラメントのマルチフィラメントを得た。本マルチフィラ
メントの単糸の太さは直径が18μmであった。このマ
ルチフィラメントをメリヤス編地になし、常法により精
練、乾燥後、1%のカセイソーダ水溶液でかつ沸騰温度
にて2時間処理してアルカリ減量率20%、吸水速度3
秒、吸水率84%の編物を得た。得られた編物を縦方向
に1.5倍引き伸ばして100℃で1分間熱をかけてヒ
ートセットして目付17g/m2の編物を得た。
【0099】得られた中空繊維は、該中空繊維断面全体
に散在し繊維方向に配列し、かつその少なくとも1部は
中空部まで連通している微細孔を有する中空繊維であっ
た。
【0100】(2)中空糸試料(2) 中空糸試料(1)の作成において得られたメリヤス編地
にアルカリ処理を行わないものであり、吸水速度は23
0秒、吸収率は38%の編物である。中空糸試料(1)
の場合と同様にしてヒートセットして得た編物の目付は
25g/m2 であった。
【0101】この中空繊維は外周方向に貫通した孔を有
さない。
【0102】(3)粘着剤溶液(1) 2―エチルヘキシルアクリレート97.5部、メタアク
リル酸2.5部、過酸化ベンゾイル1.0部及び酢酸エ
チル100部を還流冷却器、かきまぜ機を有する反応容
器に仕込み窒素雰囲気下60℃でゆっくり拡販しながら
9時間重合を続けた。重合転化率は99.9%であっ
た。
【0103】得られた重合体溶液に酢酸エチル500部
を加えて固形分濃度を約20%に調節した。
【0104】
【実施例1】固形分濃度20%の粘着剤溶液(1)50
0部に対し硝酸イソソルビド(ISDN)13部を加え
たのち、この混合液(M―1)の一部を用いてシリコー
ンコートした離型フイルムの上に乾燥後の粘着層の厚み
が15μmとなるように塗工し80℃で1分間、90℃
で1分間、130℃で2分間乾燥した。得られた粘着剤
層(粘着層a)中の酢酸エチル残存量は11ppmであ
り、ISDNの含量は2.3g/m2 であった。
【0105】さらに、混合液(M―1)の一部を用いて
シリコーンコートした離型フイルムの上に乾燥後の粘着
層の厚みが40μmとなるように塗工し、80℃で2分
間、90℃で2分間、130℃で4分間乾燥した。得ら
れた粘着剤層(粘着層b)中の酢酸エチル残存量は25
ppmであり、ISDNの含量は6.0g/m2 であっ
た。
【0106】次に厚さ2.5μm、直交する2方向の各
々の強度が35g/mm及び41g/mm、且つ伸度が
37%及び81%であり、平均粒径0.45μmの合成
シリカ0.1重量%及び平均粒径0.75μmのタルク
を0.05重量%含むポリエチレンテレフタレートフイ
ルム(PETフイルム)の1面に粘着層aを圧着してP
ETフイルムと粘着層aの積層物(積層物c)を得た。
【0107】次に積層物cの自由となっている粘着層面
に、中空糸試料(1)を圧着し、積層物(積層物d)を
得た。
【0108】次に、ロール径150mmのエチレン・プ
ロピレンテトラマー(EPT)ゴムからなるロールとロ
ール径150mmのクロムメッキした金属ロールの間で
ニップ加圧するようにしたラミネーターであり、両ロー
ル間の加圧圧力(加圧圧力P)が6kg/cm2 ・Gと
なるようにしたロール間に積層物dのPETフイルム面
(フイルム方向)がEPTゴムロールの方にあり、積層
物dの中空糸試料(1)の自由面には、粘着層bの粘着
面が圧着できるように通し、積層物dと積層物bの積層
物(積層物e)を得た。
【0109】このときロール間を通す速度(加圧速度)
は3m/分とした。また、ロール間を通すとき、粘着層
bの粘着面の他の面側には厚みが75μmのポリエチレ
ンテレフタレートからなる離型フイルムをおいて粘着面
が金属ロールに粘着しないようにした。
【0110】かくして得られた積層物eは7.1cm×
7.1cmの大きさに裁断してISDNを1枚当り40
mg含有する狭心症用の貼付剤とした。
【0111】該貼付剤について水分蒸散性を測定したと
ころ平面方向14.3mg/日・cm2 であり、断面方
向は45mg/日であり、製剤全体としての水分蒸散量
は16.7mg/日・cm2 であった。
【0112】該貼付剤を直径30mmの円形に裁断し、
平均体重1.77gの除毛したヘアレスラットの背部に
貼付し、所定時間に採血し、血漿中のISDNを測定し
た。結果を表1に示した。
【0113】
【比較例1〜4】フイルムの方向、加圧圧力Pと加圧速
度を変更した以外は実施例1に示した材料を用いて、同
じ用にして貼付剤を得、それらについて試験した結果も
表1に示した。
【0114】比較例1の貼付剤は、実施例1の製剤に比
較して硬く、ごわごわとした貼付剤であった。比較例3
と比較例4の貼付剤は貼付時間の後半においてフイルム
面と粘着層の界面が容易に剥れた。このためヒトを対象
とした臨床試験には適さないことが分かった。
【0115】
【比較例5】中空糸試料(1)の代わりに目付112g
/m2 のポリエステル編物を用いた以外は実施例1と同
じ要領で貼付剤を得、それについて試験した結果を表1
に示した。この場合は皮膚刺激は少なかったが、経皮吸
収性が悪かった。
【0116】
【比較例6】実施例1のフイルムの代わりに厚み10μ
mのポリエチレンフイルムを用いた以外は実施例1と同
じ要領で貼付剤を得、それについて試験した結果を表1
に示した。
【0117】
【比較例7】実施例1の中空糸試料(1)の代わりに目
付9g/m2 のポリエステル不織布を用いた以外は、実
施例1と同じ要領で貼付剤を得、それについて試験した
結果を表1に示した。
【0118】
【表1】
【0119】
【試験例1〜8】実施例1及び比較例1〜7に示した貼
付剤の製造法においてISDNを全く含有しない、いわ
ゆるプラセボ貼付剤を作り、大きさを3cm×3cmと
して健常人の背部に48時間貼付して皮膚刺激性、製剤
の皮膚からの脱落(ハガレ)、およびフイルムと布帛の
間の層間剥離(フイルムハガレ)を調べた結果を表2に
示した。
【0120】皮膚刺激の判定は無反応を0とし、わずか
に紅斑となったもの1、明らかな紅斑となったものを
2、丘診等が発生したものを3として10名の判定点の
合計で判定した。
【0121】
【試験例9】試験例の中空糸試料(1)の代わりに単糸
デニール35μmからなるポリエステルからなる糸を用
いて作った目付17g/m2 の織物を使って得たプラセ
ボ製剤について試験した結果も表2に示した。
【0122】
【表2】
【0123】試験例2や試験例8から断面方向の蒸散性
が減少すると皮膚カブレが大きくなることは明らかであ
る。試験例2の製剤の経皮吸収性は比較例1に示した如
く良好であることを考えれば、医療用の貼付剤が、いか
に困難なバランスを要求されているかが明らかとなる。
【0124】試験例3、4、5、6、7は皮膚刺激性は
少ないが、いずれも経皮吸収性が劣るという欠点をもっ
ている。さらに試験例6の貼付剤は布帛の目付が大きい
ため貼付中にハガレが生じやすいという重大な欠点をも
つことになる。
【0125】単糸の太さが大きくなる布帛を使った試験
例9では皮膚カブレが特に大きかった。
【0126】
【試験例10〜14】試験例9で単糸太さの影響が顕著
に出たので、目付17±1g/m2 に制限して通常のポ
リエチレンテレフタレートからなる種々の太さの単糸を
使った編物をつくり、試験例1と同じプラセボをつく
り、試験例1の要領でヒト貼付試験を行なった結果は表
3の如くであった。
【0127】
【表3】
【0128】
【実施例2】実施例1で得た粘着層a、粘着層b、PE
Tフイルムを用いて積層物cを得た。
【0129】積層物cの自由となっている粘着層面に、
単糸の平均直径18μmであって中空でないポリエチレ
ンテレフタレートからなる目付17g/m2 の編物から
なる布帛(布帛2)を圧着し積層物(積層物d2 )を得
た。
【0130】次に、ロール径150mmのエチレン・プ
ロピレンテトラマー(EPT)ゴムからなるロールとロ
ール径150mmのクロムメッキした金属ロールの間で
ニップ加圧するようにしたラミネーターであり、両ロー
ル間の加圧圧力(加圧圧力P)が6kg/cm2 ・Gと
なるようにしたロール間に積層物d2 のPETフイルム
面(フイルムの方向)がEPTゴムロームの方にあり、
積層物d2 の布帛の自由面には、粘着層bの粘着面が圧
着できるように通し、積層物d2 と積層物bの積層物
(積層物e2 )を得た。
【0131】このときロール間を通す速度(加圧速度)
は3m/分とした。また、ロール間を通すとき、粘着層
bの粘着面の他の面側には厚みが75μmのポリエチレ
ンテレフタレートからなる離型フイルムをおいて粘着面
が金属ロールに粘着しないようにした。
【0132】かくして、得られた積層物e2 は7.1c
m×7.1cmの大きさに裁断してISDNを1枚当り
40mg含有する狭心症用の貼付剤とした。
【0133】該貼付剤について水分蒸散性を測定したと
ころ平面方向14.0mg/日・cm2 であり、断面方
向は28mg/日であり、製剤全体としての水分蒸散量
は16.2mg/にち・cm2 であった。
【0134】該貼付剤を直径30mmの円形に裁断し、
平均体重17.7gの除毛したヘアレスラットの背部に
貼付し、所定時間に採血し、血漿中のISDNを測定し
た。その結果、貼付前0ng/ml、貼付1時間後82
mg/ml、貼付3時間後133ng/ml、貼付8時
間後141mg/ml、貼付24時間後106ng/m
lであった。
【0135】
【実施例3】実施例2の布帛2の代りに単糸の平均直径
7μmであり、中空でないポリエチレンテレフタレート
からなる目付34g/m2 の編物からなる布帛(布帛
3)を用いた以外は実施例2と同じ要領で7.1cm×
7.1cmの大きさをもつ、ISDNを製剤1枚当り4
0mgを含有する貼付剤を得た。
【0136】該貼付剤について水分蒸散性を測定したと
ころ平面方向14.5mg/日・cm2 であり、断面方
向68mg/日であり、製剤全体としての水分蒸散量は
19.9mg/日・cm2 であった。
【0137】該貼付剤を直径30mmの円形に裁断し、
平均体重17.7gの除毛したヘアレスラットの背部に
貼付し、所定時間に採血し、血漿中のISDNを測定し
た。その結果は貼付前0ng/ml、貼付1時間後67
mg/ml、貼付3時間後102ng/ml、貼付8時
間後93mg/ml、貼付24時間後90ng/mlで
あった。
【0138】
【試験例15〜16】実施例2及び3のプラセボ製剤を
つくり試験例1の要領で試験した結果を表4に示した。
【0139】
【表4】
【0140】試験例1(実施例1のプラセボ製剤)と試
験例15(実施例2のプラセボ製剤)の結果を比較する
と、皮膚カブレについては試験例1が良好であったが、
試験例15も許容範囲にあった。そして試験例16では
皮膚カブレについては試験例1並となった。しかしハガ
レがやや増加する傾向となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/045 ABE 9283−4C 31/125 ABE 9283−4C 31/21 ABS 9283−4C 31/40 ABU 7431−4C 31/415 ABU 7431−4C 31/445 AAH 7431−4C 31/455 ABS 7431−4C 31/485 AAH 7431−4C 31/565 AEK 7431−4C 31/57 AEJ 7431−4C AEK 7431−4C 31/60 ABE 7431−4C 45/00 ABF 8415−4C

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分半透過性のフイルム(a層)と、単
    糸の太さが1〜30μmからなり、且つ目付が8〜10
    0g/m2 の布帛(b層)と、薬物を含有した厚みが1
    0〜100μmの粘着剤層(c層)とを必須成分とした
    大きさが10〜150cm2 の貼付剤であって、水分蒸
    散性が下記(イ)〜(ハ)を満足する貼付剤。 (イ)貼付剤の粘着剤層(c層)の平面方向からフイル
    ム層(a層)の平面方向へは1.0〜30mg/日・c
    2 であり、(ロ)貼付剤の断面方向へは25〜180
    mg/日であり、(ハ)(イ),(ロ)方向の水分蒸散
    性を合計した水分蒸散性は2〜40mg/日・cm2
    ある。
  2. 【請求項2】 フイルムが厚み0.5〜4.9μmの厚
    みをもつフイルムである請求項1記載の貼付剤。
  3. 【請求項3】 フイルムの、実質的に直交する2方向の
    強度が各々8〜85g/mm、および実質的に直交する
    2方向の伸度が各々30〜150%であって該2方向の
    伸度の比が1.0〜5.0(但し、該2方向の伸度の比
    が同一でない場合には小さい伸度の方を分母とする)で
    あるフイルムからなる請求項2記載の貼付剤。
  4. 【請求項4】 フイルムがポリエステルフイルムである
    請求項4記載の貼付剤。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフイルムが (1)平均粒子径が0.001〜3.0μmで (2)該平均粒子径が実質的に該ポリエステルフイルム
    の厚みの1.5倍を越えない固形微粒子を該ポリエステ
    ルフイルムの全量に対して0.01〜1.0重量%含有
    するフイルムである請求項4記載の貼付剤。
  6. 【請求項6】 布帛が編物又は不織布である請求項1記
    載の貼付剤。
  7. 【請求項7】 編物が、その縦横方向のループの数の和
    が15〜37ケ/cmである組織を有する編物である請
    求項6記載の貼付剤。
  8. 【請求項8】 布帛を構成する繊維の大部分を占める繊
    維の単糸の平均直径が1〜30μmである請求項1記載
    の貼付剤。
  9. 【請求項9】 布帛を構成する繊維の大部分が外周方向
    に貫通した孔を有する中空繊維ではない請求項8記載の
    貼付剤。
  10. 【請求項10】 粘着剤層を構成する粘着剤の大部分が
    ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤
    のいずれか1つからなる請求項1記載の貼付剤。
  11. 【請求項11】 粘着剤層が2つ以上の層となってお
    り、それぞれの粘着剤層の大部分は同じか、又は異なる
    粘着剤から構成されている請求項1記載の貼付剤。
  12. 【請求項12】 薬物が冠血管作用薬、ホルモン剤、鎮
    痛剤、抗アレルギー薬から選ばれた少なくとも1種の薬
    物である請求項1記載の貼付剤。
  13. 【請求項13】 布帛とフイルムとの層間剥離力が10
    g/mm以上である請求項1記載の貼付剤。
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