JPH06271380A - 導火管の点火方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ソレノイドと紙玉を組み合わせた簡便で安全な
導火管の点火方法及び点火装置を提供する。 【構成】ソレノイドを利用して紙玉に打撃を与え、導火
管に点火する点火方法及び点火装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は爆薬等の起爆及び打揚煙
火用黒色火薬や導火線、速火線などの火工品の点火に利
用する、内壁に薄い層の爆薬を被覆したチューブからな
る導火管の点火方法及び点火装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】導火管は非電気式の起爆システムの一部
として知られており、中空のプラスチックチューブの内
壁に爆薬を塗布し、一端を点火すると衝撃波が毎秒数千
メートルの速度で爆轟伝搬する火工品である。代表的な
ものとしてはニトロノ−ベル社のノネルチュ−ブがあ
る。この導火管への点火は、空包を作動することによっ
て衝撃波を作り出し、それによりチューブ内の火薬を起
爆、伝爆させる方法や、あるいは発破の作業現場におい
ては、導火管に電気雷管あるいは導爆線を密着させ、そ
の電気雷管または導爆線を起爆する事により、導火管の
内壁の火薬を起爆させる方法が取られてきた。また、ご
く簡単な方法としては、打撃を加えることによって紙玉
を点火し、導火管内の火薬を起爆する方法が知られてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の導火管への点火方法は問題が多く、例えば空包と呼ば
れる火工品を使用する場合には危険度が高いために、そ
の取扱いに高度の技術を必要とする。また、この空包を
用いた導火管の点火方法は、現在日本国においては鉄砲
刀剣類等取締法の関連により使用が困難である。次に電
気雷管を起爆する事により導火管を点火する方法は、飛
散する雷管の管体の金属片により導火管内の火薬の衝撃
波が伝播する前に導火管が損傷を受け、導火管内の火薬
が伝爆しない場合がある。また、電気雷管を使用する場
合は火薬取締法により制限を受けるため、特に打揚煙火
用にこの導火管を用いる場合には電気雷管の使用は困難
である。さらに紙雷管による導火管への点火は、その作
業性は簡便であるが作業者の手元で紙雷管を点火させて
導火管を点火するために作業者に対する危険性が高いと
いう問題と、紙雷管が発火するのと同時に大きな音を生
じる為に騒音が大きいという問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は前述の多く
の問題点を矛盾なく解決することができないか、鋭意研
究した結果、ソレノイドと組み合わせたハンマ−を用い
て紙玉を発火させる事により、これらの導火管への点火
を遠隔で行うことのできる点火方法及びその装置を発明
し、これにより前記の課題を一挙に解決できることを見
いだしたものである。この点火装置を利用することによ
り、導火管を遠隔で安全にかつ簡便に点火することが可
能となり、導火管の反対側の端部に付いている雷管及び
点火具を、安全に点火させることができる。すなわち本
発明は、（１）ソレノイドと組み合わせたハンマ−を用
いて紙玉を発火させることにより、導火管への点火を行
うことを特徴とする導火管の点火方法、（２）ソレノイ
ドと組み合わせたハンマ−と、導火管の端部と対向する
位置に紙玉を配置したことを特徴とする導火管の点火装
置、に関するものである。本発明に使用するソレノイド
は電磁石を利用したものであり、電流がコイルに流れる
ことによって磁力を作用させ、ソレノイドの可動鉄芯が
コイルに吸引させ接着するようになっており、通常市販
されているもので紙玉を確実に点火するものであれば良
い。本発明による点火装置は、このソレノイドの可動鉄
芯とステンレス等の硬質材料からなるハンマーを接続
し、電流が流れるとソレノイドの可動鉄芯が作動し、直
接紙玉に打撃を加えるか、あるいは可動鉄芯と連結して
いるＬ型連接棒を介してハンマーが紙玉に打撃を加える
ことにより、紙玉が発火し、導火管内壁の火薬が点火す
る仕組みになっている。また、この装置を複数設置する
事により、導火管を遠隔より連続的に点火する事も可能
である。本発明に使用する導火管は、末端に雷管を付け
るかあるいは点火薬を塗布する事により、爆薬の起爆あ
るいは火薬、火工品などの点火に用いられるものであ
る。 ここで用いられる雷管は一般に火薬産業で知られ
ている雷管で、かつチューブ内の火薬によって伝達され
た衝撃波、またはスパークによって雷管が起爆されるも
のであれば良い。また本発明に使用する導火管の点火具
に塗布する点火薬は、一般に火薬産業で用いられている
点火薬であればどのようなものでも良いが、通常ロダン
化鉛系点火薬、芳香族ニトロ化合物系点火薬、ジアゾ化
合物系点火薬、テトラセン系点火薬、トリシネート系点
火薬、ジルコニウム鉛丹系点火薬などが用いられる。塗
布する点火薬の量はなるべく多い方が好ましいが、経済
性や着火性から考えて３ｍｇから１ｇの範囲が望まし
く、５ｍｇから５０ｍｇの範囲がより好ましい。塗布し
た点火薬はそのままで用いても良いし、点火薬の周囲を
さらに樹脂等の皮膜で強化して用いる事もできる。

【０００５】本発明の点火装置による点火方法は、上述
の装置を用いて雷管叉は点火薬と反対の導火管の端部を
開放し、その端末部を紙玉に接触させるように設置され
た保持管に挿入し、電流を流す事によりソレノイドを作
動させてハンマーを介して紙玉に打撃を加え、その紙玉
を点火することによって、導火管を通してもう一方の点
火薬を発火させる点火方法である。本発明の点火装置に
使用する紙玉は、巻き玉、平玉または紙雷管と呼ばれる
玩具用のものである。通常塩素酸カリウム、赤燐、硫
黄、あるいは三硫化アンチモン等が配合された爆薬を
０．００２ｇから０．０１ｇの量を台紙に塗布し、乾燥
させ、上から薄い紙を糊貼した紙玉が用いられる。（昭
和３６年７月２１日一橋書房発行の“花火”２９６頁や
平成２年４月２５日日本産業火薬会発行の“産業火薬”
１１０頁参照）本発明の導火管の点火装置は、硬質な材
料なら使用可能であるが、ハンマ−や台座は表面が錆び
ないような適当な表面処理を施すか、ステンレスなどの
硬質材料を使用するほうがより好ましい。また、紙玉が
燃焼した時に燃焼したガスが点火装置と分離されればさ
らに望ましい。

【０００６】以下に本発明の導火管の点火装置を図面に
よりさらに具体的に説明する。図１は本発明の導火管の
点火装置の１例を示す断面図である。１はソレノイド、
２は可動鉄芯、３はＬ型連接棒、４はアーム、５はハン
マー、６は台座、７は引っ張りバネ、８は紙玉、９は導
火管保持管、１０は導火管である。導火管の雷管または
点火具の付いてない側の端末のシ−ルされている部分を
切り落として開放し、開放した導火管 １０の端末を導
火管保持管９に差し込み、その上部に紙玉８を置く。開
放した導火管１０の端末と紙玉８の距離は通常１０ｃｍ
以下、好ましくは２ｃｍ以下、より好ましくは５ｍｍ以
下に保持される。またＬ型連接棒３とアーム４はカムに
より接合しており、電流が流れて可動鉄芯２が上部に移
動するとＬ型連接棒３が回転してカムがはずれ、アーム
４の先端のハンマー５が紙玉８を強打して点火し、導火
管が点火する仕組みになっている。アーム４に付いてい
る引っ張りバネ７はなくても良いが、紙玉８の点火を確
実にする必要性から、引っ張りバネ７を取り付けてより
強く紙玉８を強打する方が望ましい。また必要に応じて
このような点火装置を２つあるいはそれ以上ならべて設
置することにより、連続的にかつ簡便に雷管または点火
具の付いた導火管を点火することもできる。

【０００７】

【作用】本発明による点火装置はソレノイドを利用した
ハンマ−で、紙玉に打撃を加える事によって末端に雷管
や点火具の付いた導火管を点火させる装置であり、爆薬
等の起爆、打揚煙火用の黒色火薬、導火線、速火線など
の火工品への点火を簡便かつ安全に行う方法を提供す
る。

【０００８】

【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。 実施例１ 導火管１０はオクト−ゲンとアルミニウム粉からなる爆
薬を、チュ−ブの内壁に １ｍ当たり２０ｍｇを被覆さ
せたチュ−ブ長が１８．０ｍのニトロノ−ベル社製のノ
ネル雷管を使用した。導火管の雷管の付いている方と反
対側の端末を開放し、これを導火管点火装置の導火管保
持管９に奥まで差し込み保持した。電源は１００Ｖ商用
電源を使用し、紙玉８は（株）エバニュ−製の競技用紙
雷管を使用した。雷管部分１１を市販の産業爆薬である
日本化薬（株）製の２号榎ダイナマイト（薬包径３０ｍ
ｍ、薬量１００ｇ）１２に挿入し、点火装置からできる
だけ遠くの場所に置いた。紙玉８を導火管点火装置の導
火管保持管９上部の凹部の所定の位置に設置し、ア−ム
４を引っ張りバネ７で引っ張った状態でハンマ−５を引
き上げ、Ｌ型連接棒３をア−ム４のカムに掛け、導火管
点火装置のセットを終了させた。導火管点火装置のスィ
ッチを入れ電流を流すとソレノイド１が作動し、Ｌ型連
接棒３が回転し、ア−ム４とのカムの接続がはずれるこ
とによってハンマ−５が紙玉８を強打して、紙玉８が着
火し導火管１０に点火した。そして、ノネル雷管１１が
起爆しダイナマイト１２が爆発した。この試験を１０回
繰り返したが１００％の確率で導火管１０に点火し、ダ
イナマイト１２が爆発した。

【０００９】実施例２ 実施例１と同じ構造の導火管点火装置を１０台並べて設
置した。導火管はニトロノ−ベル社製のノネルチュ−ブ
の一端をナイフで斜めに切り、開放した端部にロダン酸
塩４５％、塩素酸カリウム５５％からなる点火薬を０．
２％のニトロセルロ−スを溶解した酢酸イソアミルで練
ったものを１５ｍｇ塗布し、乾燥後さらにこの上にテナ
イトポリテレフタレ−トを薄く塗布し乾燥して皮膜を構
成させた。この点火具付きの導火管を１０式準備し、点
火薬と反対側の開放した端部を導火管点火装置の導火管
保持管９にそれぞれの奥まで差し込んで保持した。それ
ぞれの導火管を１００ｍ離れたところまで延ばし、図２
のような打揚煙火玉１３を装填した。１０式の打揚筒１
４の下部の黒色火薬の部分１５にそれぞれ１本ずつ挿入
した。１０式の導火管点火装置に実施例１と同様にそれ
ぞれ紙玉８を設置し、それぞれの点火装置のソレノイド
１に連続的に電流を流すと導火管点火装置が作動し、１
０本の導火管に連続的に点火し、導火管１０を通じて点
火玉１６が発火して黒色火薬１５に着火し、１０発の打
揚煙火玉１３が打ち揚がった。 ００１０ 実施例３ 実施例２で用いた点火具付き導火管と同じ導火管を用
い、図３に示すように点火玉１６の部分を速火線１７の
一端の芯薬部分に密着させテ−プで止め、他端を打揚煙
火玉１３を装填した打揚筒１４の下部の黒色火薬の部分
１５に挿入した。これを１０式設けてそれぞれの導火管
を延ばし、点火具と反対側の末端をナイフで切って、開
放した端部を実施例１と同様に導火管保持管９に保持し
紙玉８を設置した。それぞれの導火管点火装置に連続的
に電流を流しソレノイド１を作動させると、紙玉８がハ
ンマ−５の打撃により発火しそれぞれの導火管に点火し
た。これらの導火管を通じてそれぞれの速火線１７が燃
焼し黒色火薬１５が点火され、打揚煙火玉１３が１０発
連続的に打ち揚がった。

【００１１】

【発明の効果】本発明の点火装置による導火管への点火
方法の効果は以下の通りである。 （１）熟練を要せず誰でも簡単に点火できる。 （２）遠隔地から点火することが可能となり、極めて安
全である。 （３）点火に威力の小さい紙玉を用いるので、万が一、
紙玉が暴発しても人体に対する影響は極めて軽微です
む。 （４）紙玉を用意に入手できる為、点火装置の構成が用
意でかつ安価に導火管への点火を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の導火管の点火装置の１例を示す断面図
である。

【図２】本発明の導火管の点火装置を用いて、打揚花火
の黒色火薬に点火する実施例２の説明図である。

【図３】本発明の導火管の点火装置を用いて速火線へ点
火する実施例３の説明図である。

【符号の説明】

１．ソレノイド ２．可動鉄芯 ３．Ｌ型接続棒 ４．ア−ム ５．ハンマ− ６．台座 ７．引っ張りバネ ８．紙玉 ９．導火管保持管 １０．導火管 １１．ノネル雷管 １２．ダイナマイト １３．打揚煙火玉 １４．打揚筒 １５．黒色火薬 １６．点火玉 １７．速火線

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ソレノイドと組み合わせたハンマ−を用い
   て紙玉を発火させることにより、導火管への点火を行う
   ことを特徴とする導火管の点火方法。
2. 【請求項２】ソレノイドと組み合わせたハンマ−と、導
   火管の端部と対向する位置に紙玉を配置したことを特徴
   とする導火管の点火装置。