JPH06268469A - 表面波装置 - Google Patents
表面波装置Info
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- JPH06268469A JPH06268469A JP6001352A JP135294A JPH06268469A JP H06268469 A JPH06268469 A JP H06268469A JP 6001352 A JP6001352 A JP 6001352A JP 135294 A JP135294 A JP 135294A JP H06268469 A JPH06268469 A JP H06268469A
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- acoustic wave
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 広帯域化を図ることができ、低い周波数のも
のを得ることができ、温度変化に対する特性の変動が生
じ難い安価なラブ波を利用した表面波装置を提供する。 【構成】 0〜30°回転YカットX伝搬LiNbO3
基板2上に少なくとも1つのIDT5を形成し、該ID
T5を覆うようにZnO薄膜6を形成してなり、上記Z
nO薄膜6の膜厚をH(ZnO)、励振されるラブ波の
波長をλとしたときにH(ZnO)/λが0.05〜2
の範囲とされている表面波装置。
のを得ることができ、温度変化に対する特性の変動が生
じ難い安価なラブ波を利用した表面波装置を提供する。 【構成】 0〜30°回転YカットX伝搬LiNbO3
基板2上に少なくとも1つのIDT5を形成し、該ID
T5を覆うようにZnO薄膜6を形成してなり、上記Z
nO薄膜6の膜厚をH(ZnO)、励振されるラブ波の
波長をλとしたときにH(ZnO)/λが0.05〜2
の範囲とされている表面波装置。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラブ波を利用した表面
波装置に関し、特に、ZnO/電極/LiNbO3 基板
の3層構造を有する表面波装置に関する。
波装置に関し、特に、ZnO/電極/LiNbO3 基板
の3層構造を有する表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、VHF/UHF帯の携帯用無線
機では、小型化、軽量化及び低消費電力化が求められて
いる。特に、この種の携帯用無線機でチャンネル選択用
として用いられている局部発振器では、多チャンネル化
に対応するために広帯域化が要求されている。従って、
上記局部発振器の重要な部品である電圧制御型発振器
(VCO)においても、小型化、軽量化、低消費電力化
及び広帯域化が強く求められている。
機では、小型化、軽量化及び低消費電力化が求められて
いる。特に、この種の携帯用無線機でチャンネル選択用
として用いられている局部発振器では、多チャンネル化
に対応するために広帯域化が要求されている。従って、
上記局部発振器の重要な部品である電圧制御型発振器
(VCO)においても、小型化、軽量化、低消費電力化
及び広帯域化が強く求められている。
【0003】ところで、弾性表面波を利用した表面波共
振子としては、従来よりレーリー波を利用したものが広
く用いられている。しかしながら、レーリー波を利用し
た表面波共振子では電気機械結合係数Kが小さく、広帯
域化を図ることが困難であった。そこで、電気機械結合
係数Kが大きく、広帯域化を実現することができる装置
として、ラブ波を利用した表面波共振子が注目されてい
る。
振子としては、従来よりレーリー波を利用したものが広
く用いられている。しかしながら、レーリー波を利用し
た表面波共振子では電気機械結合係数Kが小さく、広帯
域化を図ることが困難であった。そこで、電気機械結合
係数Kが大きく、広帯域化を実現することができる装置
として、ラブ波を利用した表面波共振子が注目されてい
る。
【0004】ラブ波を利用した従来の表面波共振子は、
YカットX伝搬のLiNbO3 基板上に、Au、Agも
しくはPtなどの薄膜からなるインターデジタルトラン
スデューサ(以下IDTと略す。)を形成した構造を有
する。この構造では、LiNbO3 基板上に該基板より
も音速の遅い金属からなる電極を形成し、上記2層構造
によりラブ波が励振されている。上記電極は、基板より
も音速の遅いものであることが必要であり、従って、電
極材料としては、上記のようにAu、AgもしくはPt
等が用いられていた。
YカットX伝搬のLiNbO3 基板上に、Au、Agも
しくはPtなどの薄膜からなるインターデジタルトラン
スデューサ(以下IDTと略す。)を形成した構造を有
する。この構造では、LiNbO3 基板上に該基板より
も音速の遅い金属からなる電極を形成し、上記2層構造
によりラブ波が励振されている。上記電極は、基板より
も音速の遅いものであることが必要であり、従って、電
極材料としては、上記のようにAu、AgもしくはPt
等が用いられていた。
【0005】また、上記のようにAu電極を用いたYカ
ットX伝搬のLiNbO3 を用いることにより、電気機
械結合係数Kが約58%と高められており、それによっ
て広帯域化が図られている。
ットX伝搬のLiNbO3 を用いることにより、電気機
械結合係数Kが約58%と高められており、それによっ
て広帯域化が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Au、
AgもしくはPt等の金属は非常に高価であるため、表
面波共振子のコストが高くつくという問題があった。
AgもしくはPt等の金属は非常に高価であるため、表
面波共振子のコストが高くつくという問題があった。
【0007】また、電極−LiNbO3 基板の2層構造
からなる従来のラブ波を利用した表面波共振子では、周
波数の低いものを構成することが困難であるという問題
もあった。すなわち、金属としてAuを用い、基板とし
てYカットX伝搬LiNbO 3 基板を用いたものを例に
とると、電極の膜厚をH(Au)とし、励振されるラブ
波の波長をλとしたときに、H(Au)/λが0.02
5以上でないとラブ波が励振されなかった。従って、周
波数を低めるには、電極の膜厚を厚くしなければならな
かった。そのため、低周波のものを得ようとした場合、
電極の膜厚が増加するため、サイドエッチングやエッチ
ング液のレジストと電極との間へのしみ込み等により、
所望通りのIDTのフィンガー(電極指)の幅、ひいて
は所望通りの特性を有する表面波装置を得ることが出来
なかった。
からなる従来のラブ波を利用した表面波共振子では、周
波数の低いものを構成することが困難であるという問題
もあった。すなわち、金属としてAuを用い、基板とし
てYカットX伝搬LiNbO 3 基板を用いたものを例に
とると、電極の膜厚をH(Au)とし、励振されるラブ
波の波長をλとしたときに、H(Au)/λが0.02
5以上でないとラブ波が励振されなかった。従って、周
波数を低めるには、電極の膜厚を厚くしなければならな
かった。そのため、低周波のものを得ようとした場合、
電極の膜厚が増加するため、サイドエッチングやエッチ
ング液のレジストと電極との間へのしみ込み等により、
所望通りのIDTのフィンガー(電極指)の幅、ひいて
は所望通りの特性を有する表面波装置を得ることが出来
なかった。
【0008】さらに、Au電極を用いた従来のラブ波装
置では、共振周波数の温度依存性が比較的大きく、温度
変化による特性の変動が比較的大きいという問題もあっ
た。本発明の目的は、安価な電極材料を用いて構成する
ことができ、電極の膜厚を増加させることなく、より低
い周波数で使用することができ、さらに共振周波数の温
度による変動を小さくし得る構造を備えたラブ波を利用
した表面波装置を提供することにある。
置では、共振周波数の温度依存性が比較的大きく、温度
変化による特性の変動が比較的大きいという問題もあっ
た。本発明の目的は、安価な電極材料を用いて構成する
ことができ、電極の膜厚を増加させることなく、より低
い周波数で使用することができ、さらに共振周波数の温
度による変動を小さくし得る構造を備えたラブ波を利用
した表面波装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラブ波を利用
した表面波装置に関し、0〜30°回転YカットX伝搬
のLiNbO3 基板と、前記LiNbO3 基板上に形成
された少なくとも一つのIDTと、前記IDTを覆うよ
うに形成されたZnO薄膜とを備え、ZnO薄膜の厚み
をH(ZnO)、励振されるラブ波の波長をλとした時
に、H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範囲にある
ことを特徴とする表面波装置である。
した表面波装置に関し、0〜30°回転YカットX伝搬
のLiNbO3 基板と、前記LiNbO3 基板上に形成
された少なくとも一つのIDTと、前記IDTを覆うよ
うに形成されたZnO薄膜とを備え、ZnO薄膜の厚み
をH(ZnO)、励振されるラブ波の波長をλとした時
に、H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範囲にある
ことを特徴とする表面波装置である。
【0010】また、請求項2に記載の表面波装置では、
上記IDTの電極指の幅の電極指間ピッチに対する比が
0.1〜0.7とされている。
上記IDTの電極指の幅の電極指間ピッチに対する比が
0.1〜0.7とされている。
【0011】
【作用】本願発明者は、LiNbO3 基板上に電極を形
成し、さらに該電極上にZnO薄膜を形成してなる3層
構造を利用することにより、電極の膜厚や電極材料の質
量からの厳格な制約を受けることなく、ラブ波を励振し
得ることを見い出し、本発明を成すにいたった。
成し、さらに該電極上にZnO薄膜を形成してなる3層
構造を利用することにより、電極の膜厚や電極材料の質
量からの厳格な制約を受けることなく、ラブ波を励振し
得ることを見い出し、本発明を成すにいたった。
【0012】すなわち、本発明では、上記のように0〜
30°回転YカットX伝搬のLiNbO3 基板上に、少
なくとも1つのIDTが形成されており、該IDTを覆
うようにZnO薄膜が形成されており、さらにZnO薄
膜の膜厚H(ZnO)と、励起されるラブ波の波長λと
の比H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範囲とされ
ているため、後述の実施例から明らかなように、電極の
膜厚を変動させても、確実に充分な大きさの電気機械結
合係数を有するようにラブ波を励振させることができ
る。
30°回転YカットX伝搬のLiNbO3 基板上に、少
なくとも1つのIDTが形成されており、該IDTを覆
うようにZnO薄膜が形成されており、さらにZnO薄
膜の膜厚H(ZnO)と、励起されるラブ波の波長λと
の比H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範囲とされ
ているため、後述の実施例から明らかなように、電極の
膜厚を変動させても、確実に充分な大きさの電気機械結
合係数を有するようにラブ波を励振させることができ
る。
【0013】上記H(ZnO)/λが0.05〜0.2
の範囲とされているのは、0.05未満では、ラブ波を
励振させることができないからであり、0.2を超える
と電気機械結合係数が40%以下となり、広帯域化が図
れなくなるからである。
の範囲とされているのは、0.05未満では、ラブ波を
励振させることができないからであり、0.2を超える
と電気機械結合係数が40%以下となり、広帯域化が図
れなくなるからである。
【0014】また、請求項2に記載の発明では、IDT
の電極指の幅の電極指間ピッチに対する比、すなわちメ
タライゼーション比が0.1〜0.7の範囲とされてい
るが、これは、上記メタライゼーション比が0.7を超
えると電気機械結合係数が低下し、広帯域化を図ること
ができないからである。また、下限を0.1としたの
は、0.1未満になると、製作が困難となるからであ
る。
の電極指の幅の電極指間ピッチに対する比、すなわちメ
タライゼーション比が0.1〜0.7の範囲とされてい
るが、これは、上記メタライゼーション比が0.7を超
えると電気機械結合係数が低下し、広帯域化を図ること
ができないからである。また、下限を0.1としたの
は、0.1未満になると、製作が困難となるからであ
る。
【0015】
【実施例の説明】以下、本発明の非限定的な実施例につ
き、図面を参照して説明する。図1(a)及び(b)
は、本発明の一実施例にかかる表面波装置の斜視図及び
B−B線に沿う断面図である。
き、図面を参照して説明する。図1(a)及び(b)
は、本発明の一実施例にかかる表面波装置の斜視図及び
B−B線に沿う断面図である。
【0016】表面波装置1は、ラブ波を利用した表面波
共振子である。この表面波装置1では、YカットX伝搬
のLiNbO3 基板2の上面に、互いの複数本の電極指
が間挿し合うように配置された櫛歯電極3,4からなる
IDT5が形成されている。IDT5は、本実施例で
は、Alよりなるが、該IDT5は他の金属材料、例え
ばCu、Ni等の金属材料からなるものであってもよ
い。
共振子である。この表面波装置1では、YカットX伝搬
のLiNbO3 基板2の上面に、互いの複数本の電極指
が間挿し合うように配置された櫛歯電極3,4からなる
IDT5が形成されている。IDT5は、本実施例で
は、Alよりなるが、該IDT5は他の金属材料、例え
ばCu、Ni等の金属材料からなるものであってもよ
い。
【0017】IDT5を覆うようにLiNbO3 基板2
の上にZnO薄膜6が形成されている。そして、本実施
例では、後述の実験例から明らかなように、ZnO薄膜
6の膜厚をH(ZnO)、励振されるラブ波の波長をλ
とした時に、H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範
囲とされる。
の上にZnO薄膜6が形成されている。そして、本実施
例では、後述の実験例から明らかなように、ZnO薄膜
6の膜厚をH(ZnO)、励振されるラブ波の波長をλ
とした時に、H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範
囲とされる。
【0018】上記のように、H(ZnO)/λを0.0
5〜0.2の範囲とする必要があることを、以下の実験
例に基づき説明する。LiNbO3 基板2として、幅
2.0mm×長さ1.8mm×厚み0.5mmのものを
用意し、その上面に電極指間ピッチを変更させて種々の
IDT5及び膜厚を変更させて種々のZnO薄膜6を形
成し、複数種の表面波共振子を作成した。得られた表面
波共振子につき、位相速度及び電気機械結合係数Kを測
定した。結果を、図2及び図3に示す。
5〜0.2の範囲とする必要があることを、以下の実験
例に基づき説明する。LiNbO3 基板2として、幅
2.0mm×長さ1.8mm×厚み0.5mmのものを
用意し、その上面に電極指間ピッチを変更させて種々の
IDT5及び膜厚を変更させて種々のZnO薄膜6を形
成し、複数種の表面波共振子を作成した。得られた表面
波共振子につき、位相速度及び電気機械結合係数Kを測
定した。結果を、図2及び図3に示す。
【0019】図2及び図3から明らかなように、H(Z
nO)/λの比が0.05以上においてラブ波が励振さ
れていることがわかる。また、電気機械結合係数Kは、
上記比が0.05で50%以上と比較的高く、H(Zn
O)/λが大きくなるにつれて低下するが、0.2にお
いても40%以上あることがわかる。従って、本発明で
は、H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範囲とされ
ることが必要である。
nO)/λの比が0.05以上においてラブ波が励振さ
れていることがわかる。また、電気機械結合係数Kは、
上記比が0.05で50%以上と比較的高く、H(Zn
O)/λが大きくなるにつれて低下するが、0.2にお
いても40%以上あることがわかる。従って、本発明で
は、H(ZnO)/λが0.05〜0.2の範囲とされ
ることが必要である。
【0020】比較のために下記の表1に、従来のラブ波
を利用した表面波共振子、レーリー波を利用した表面波
共振子並びに、本実施例のラブ波を利用した表面波共振
子の電気機械結合係数K、周波数の温度依存性(共振周
波数をfr、共振周波数の変化量Δfrとした時に、Δ
fr/frの単位温度あたりの変化率、単位はppm)
を示す。
を利用した表面波共振子、レーリー波を利用した表面波
共振子並びに、本実施例のラブ波を利用した表面波共振
子の電気機械結合係数K、周波数の温度依存性(共振周
波数をfr、共振周波数の変化量Δfrとした時に、Δ
fr/frの単位温度あたりの変化率、単位はppm)
を示す。
【0021】
【表1】
【0022】また、比較のために、電極としてAuを用
い、基板としてYカットX伝搬のLiNbO3 基板を用
いた従来のラブ波を利用した表面波装置における位相速
度(図中、openは開放状態を、shortは短絡状
態の位相速度)及び電気機械結合係数Kと、電極の膜厚
H(Au)/λとの関係を、図9及び図10に示す。
い、基板としてYカットX伝搬のLiNbO3 基板を用
いた従来のラブ波を利用した表面波装置における位相速
度(図中、openは開放状態を、shortは短絡状
態の位相速度)及び電気機械結合係数Kと、電極の膜厚
H(Au)/λとの関係を、図9及び図10に示す。
【0023】表1、図9及び図10から明らかなよう
に、LiNbO3 基板上にAuからなる電極を形成した
従来の表面波共振子では、H(Au)/λが0.025
以上でないとラブ波が励振されないことがわかる。従っ
て、電極の膜厚を厚くしなければ低周波の表面波共振子
を得ることができなかった。
に、LiNbO3 基板上にAuからなる電極を形成した
従来の表面波共振子では、H(Au)/λが0.025
以上でないとラブ波が励振されないことがわかる。従っ
て、電極の膜厚を厚くしなければ低周波の表面波共振子
を得ることができなかった。
【0024】また、表1から明らかなように、レーリー
波を利用した従来の表面波共振子では、電気機械結合係
数Kが基板の種類に係わらず30%と小さく、従って広
帯域化を図り得ないことがわかる。
波を利用した従来の表面波共振子では、電気機械結合係
数Kが基板の種類に係わらず30%と小さく、従って広
帯域化を図り得ないことがわかる。
【0025】これに対して、本実施例の表面波共振子で
は、H(ZnO)/λが0.09の場合及び0.16の
場合の何れにおいても、電気機械結合係数Kが40%以
上と高く、広帯域化を容易に図り得ることがわかる。
は、H(ZnO)/λが0.09の場合及び0.16の
場合の何れにおいても、電気機械結合係数Kが40%以
上と高く、広帯域化を容易に図り得ることがわかる。
【0026】また、前述した図3から明らかなように、
電極の膜厚を一定にした場合でも、ZnO薄膜の厚みが
変更されることにより電気機械結合係数の大きさが変動
するため、低周波数のものを電極の膜厚を増大させるこ
となく作製し得ることがわかる。
電極の膜厚を一定にした場合でも、ZnO薄膜の厚みが
変更されることにより電気機械結合係数の大きさが変動
するため、低周波数のものを電極の膜厚を増大させるこ
となく作製し得ることがわかる。
【0027】さらに、上記のようにして得た実施例の表
面波共振子において、電極指の対数N=25、電極指間
ピッチ4.5μm、電極指の交叉幅526μm、後述の
メタライゼーション比=0.51としたAlからなるI
DT5を形成し、ZnO薄膜の厚みを2.0μmとした
表面波共振子について、その共振周波数の温度変化率Δ
fr/frを測定した。結果を図5に示す。
面波共振子において、電極指の対数N=25、電極指間
ピッチ4.5μm、電極指の交叉幅526μm、後述の
メタライゼーション比=0.51としたAlからなるI
DT5を形成し、ZnO薄膜の厚みを2.0μmとした
表面波共振子について、その共振周波数の温度変化率Δ
fr/frを測定した。結果を図5に示す。
【0028】図5から算出されるように、本実施例の表
面波共振子では、周波数の温度による変化率TCFが−
66ppm/℃であり、従来のラブ波を利用した表面波
共振子のTCF値−112ppm/℃(表1参照)に比
べて小さく、従って共振周波数の温度依存性を小さくし
得ることがわかる。
面波共振子では、周波数の温度による変化率TCFが−
66ppm/℃であり、従来のラブ波を利用した表面波
共振子のTCF値−112ppm/℃(表1参照)に比
べて小さく、従って共振周波数の温度依存性を小さくし
得ることがわかる。
【0029】また、上記と同様のIDTを、カット角の
異なる3種類のLiNbO3 基板上に形成し、電気機械
結合係数Kと、H(ZnO)/λとの関係を調べた。結
果を図6に示す。図6において、θ=0°、15°及び
30°は、それぞれ、使用したLiNbO3 基板が、Y
カットX伝搬LiNbO3 基板、15°回転YカットX
伝搬LiNbO3 基板及び30°回転YカットX伝搬L
iNbO3 基板であることを示す。図6から明らかなよ
うに、回転角が30°までの範囲以内において、いずれ
のYカットX伝搬LiNbO3 基板を用いた場合におい
ても、H(ZnO)/λが0.05〜0.25の範囲以
内において電気機械結合係数Kが充分な大きさとなるこ
とがわかる。
異なる3種類のLiNbO3 基板上に形成し、電気機械
結合係数Kと、H(ZnO)/λとの関係を調べた。結
果を図6に示す。図6において、θ=0°、15°及び
30°は、それぞれ、使用したLiNbO3 基板が、Y
カットX伝搬LiNbO3 基板、15°回転YカットX
伝搬LiNbO3 基板及び30°回転YカットX伝搬L
iNbO3 基板であることを示す。図6から明らかなよ
うに、回転角が30°までの範囲以内において、いずれ
のYカットX伝搬LiNbO3 基板を用いた場合におい
ても、H(ZnO)/λが0.05〜0.25の範囲以
内において電気機械結合係数Kが充分な大きさとなるこ
とがわかる。
【0030】次に、IDT5におけるメタライゼーショ
ン比による電気機械結合係数の変化を実験により確かめ
た。すなわち、図7に拡大して示すように、IDT5に
おいて、電極指の幅aの電極指間ピッチbに対する比、
すなわちメタライゼーション比=a/bを変化させ、Z
nO薄膜/Al製IDT/YカットX伝搬LiNbO 3
基板からなる表面波共振子を作成し、電気機械結合係数
Kを測定した。ZnOの膜厚は、3μmとし、Alから
なるIDTの膜厚は、3000Åとした。
ン比による電気機械結合係数の変化を実験により確かめ
た。すなわち、図7に拡大して示すように、IDT5に
おいて、電極指の幅aの電極指間ピッチbに対する比、
すなわちメタライゼーション比=a/bを変化させ、Z
nO薄膜/Al製IDT/YカットX伝搬LiNbO 3
基板からなる表面波共振子を作成し、電気機械結合係数
Kを測定した。ZnOの膜厚は、3μmとし、Alから
なるIDTの膜厚は、3000Åとした。
【0031】結果を、表2及び図8に示す。比較のため
に、図8においては、従来の表面波共振子、すなわち膜
厚1.0μmからなるAu薄膜よりなるIDTをYカッ
トX伝搬のLiNbO3 上に形成した(メタライゼーシ
ョン比=0.5)従来の表面波共振子についての電気機
械結合係数Kとメタライゼーション比との関係を示し
た。
に、図8においては、従来の表面波共振子、すなわち膜
厚1.0μmからなるAu薄膜よりなるIDTをYカッ
トX伝搬のLiNbO3 上に形成した(メタライゼーシ
ョン比=0.5)従来の表面波共振子についての電気機
械結合係数Kとメタライゼーション比との関係を示し
た。
【0032】
【表2】
【0033】表2及び図8から明らかなように、本実施
例の表面波共振子では、メタライゼーション比が0.1
〜0.7で40%以上の電気機械結合係数Kが得られ、
特に、メタライゼーション比が0.2〜0.7の範囲で
その値が小さくなるにつれて電気機械結合係数Kの高く
なることがわかる。
例の表面波共振子では、メタライゼーション比が0.1
〜0.7で40%以上の電気機械結合係数Kが得られ、
特に、メタライゼーション比が0.2〜0.7の範囲で
その値が小さくなるにつれて電気機械結合係数Kの高く
なることがわかる。
【0034】Au電極を用いたラブ波共振子ではメタラ
イゼーション比は0.5以上ないと励振できないが、本
発明のラブ波を利用した表面波共振子では、上記のよう
にメタライゼーション比を0.5以下としても、電気機
械結合係数Kを40%以上と大きくすることができる。
従って、メタライゼーション比を0.5以下としても、
広帯域の表面波共振子を得ることができる。また、メタ
ライゼーション比が0.1より小さくなった場合、その
製作が困難となり、また、0.7以上では電気機械結合
係数がいちじるしく低下したり、リップルが出やすくな
ったりするため、請求項2に記載の発明では、メタライ
ゼーション比は0.1〜0.7の範囲とされている。
イゼーション比は0.5以上ないと励振できないが、本
発明のラブ波を利用した表面波共振子では、上記のよう
にメタライゼーション比を0.5以下としても、電気機
械結合係数Kを40%以上と大きくすることができる。
従って、メタライゼーション比を0.5以下としても、
広帯域の表面波共振子を得ることができる。また、メタ
ライゼーション比が0.1より小さくなった場合、その
製作が困難となり、また、0.7以上では電気機械結合
係数がいちじるしく低下したり、リップルが出やすくな
ったりするため、請求項2に記載の発明では、メタライ
ゼーション比は0.1〜0.7の範囲とされている。
【0035】なお、図6において、θ=15°では、H
(ZnO)/λ=0.11付近で特性曲線が分断されて
いるが、これはH(ZnO)/λ=0.11付近でモー
ドの変換が生じているためと思われる。
(ZnO)/λ=0.11付近で特性曲線が分断されて
いるが、これはH(ZnO)/λ=0.11付近でモー
ドの変換が生じているためと思われる。
【0036】なお、前述した図2,3,6,8,9及び
10の値は、IDTの存在を考慮して有限要素法により
算出したものである。
10の値は、IDTの存在を考慮して有限要素法により
算出したものである。
【0037】本発明は、上述した表面波共振子の他、ラ
ブ波を利用した正面波フィルタ等の他の表面波装置にも
適応することができる。
ブ波を利用した正面波フィルタ等の他の表面波装置にも
適応することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、ZnO薄膜/IDT/
0〜30°回転YカットX伝搬LiNbO3 基板の3層
構造によりラブ波が励振される表面波共振子が得られ
る。しかも、この構造では、ZnOの膜厚H(ZnO)
の励振されるラブ波の波長λに対する比を0.05〜
0.2の範囲とすることにより、電気機械結合係数Kが
40%以上とされ、従って広帯域の表面波共振子を構成
することができる。のみならず、上記H(ZnO)/λ
を変更することにより、すなわち電極の膜厚を一定にし
たままで、共振周波数を異ならせることができるため、
従来のAu/YカットX伝搬LiNbO3 基板からなる
2層構造のラブ波を利用した表面波共振子では製作する
ことが困難であったより低い周波数の表面波共振子を得
ることができる。
0〜30°回転YカットX伝搬LiNbO3 基板の3層
構造によりラブ波が励振される表面波共振子が得られ
る。しかも、この構造では、ZnOの膜厚H(ZnO)
の励振されるラブ波の波長λに対する比を0.05〜
0.2の範囲とすることにより、電気機械結合係数Kが
40%以上とされ、従って広帯域の表面波共振子を構成
することができる。のみならず、上記H(ZnO)/λ
を変更することにより、すなわち電極の膜厚を一定にし
たままで、共振周波数を異ならせることができるため、
従来のAu/YカットX伝搬LiNbO3 基板からなる
2層構造のラブ波を利用した表面波共振子では製作する
ことが困難であったより低い周波数の表面波共振子を得
ることができる。
【0039】また、本発明の表面波共振子では、上述し
た実施例から明らかなように周波数特性の温度依存性が
従来のラブ波を利用した表面波共振子に比べて小さいた
め、温度変化に対して安定な表面波共振子を提供するこ
とが可能となる。
た実施例から明らかなように周波数特性の温度依存性が
従来のラブ波を利用した表面波共振子に比べて小さいた
め、温度変化に対して安定な表面波共振子を提供するこ
とが可能となる。
【0040】さらに、請求項2に記載の発明のように、
IDTを構成している電極のメタライゼーション比を
0.1〜0.7の範囲とすることにより、電気機械結合
係数Kを高めることができ、より一層広帯域の表面波装
置を実現することができる。
IDTを構成している電極のメタライゼーション比を
0.1〜0.7の範囲とすることにより、電気機械結合
係数Kを高めることができ、より一層広帯域の表面波装
置を実現することができる。
【図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施例にかか
る表面波装置の斜視図及びB−B線に沿う断面図。
る表面波装置の斜視図及びB−B線に沿う断面図。
【図2】実施例の表面波共振子のH(ZnO)/λに対
する位相速度の依存性を示す図。
する位相速度の依存性を示す図。
【図3】実施例の表面波共振子におけるH(ZnO)/
λに対する電気機械結合係数Kの依存性を示す図。
λに対する電気機械結合係数Kの依存性を示す図。
【図4】実施例の表面波共振子のインピーダンスの周波
数特性の一例を示す図。
数特性の一例を示す図。
【図5】実施例の表面波共振子における温度に対する共
振周波数の変化を示す図。
振周波数の変化を示す図。
【図6】YカットX伝搬LiNbO3 基板の回転角を変
化させた場合のH(ZnO)/λに対する電気機械結合
係数Kの依存性を示す図。
化させた場合のH(ZnO)/λに対する電気機械結合
係数Kの依存性を示す図。
【図7】メタライゼーション比を説明するための電極部
分の部分拡大平面図。
分の部分拡大平面図。
【図8】実施例の表面波共振子及び従来例の表面波共振
子のメラタイゼーション比に対する電気機械結合係数K
の依存性を示す図。
子のメラタイゼーション比に対する電気機械結合係数K
の依存性を示す図。
【図9】従来のラブ波を利用した表面波共振子のH(Z
nO)/λに対する位相速度の依存性を示す図。
nO)/λに対する位相速度の依存性を示す図。
【図10】従来のラブ波を利用した表面波共振子におけ
るH(ZnO)/λに対する電気機械結合係数Kの依存
性を示す図。
るH(ZnO)/λに対する電気機械結合係数Kの依存
性を示す図。
1…表面波装置 2…YカットX伝搬LiNbO3 基板 5…IDT 6…ZnO薄膜
Claims (2)
- 【請求項1】 ラブ波を利用した表面波装置であって、 0〜30°回転YカットX伝搬のLiNbO3 基板と、 前記LiNbO3 基板上に形成された少なくとも一つの
インターデジタルトランスデューサと、 前記インターデジタルトランスデューサを覆うように形
成されたZnO薄膜とを備え、 前記ZnO薄膜の膜厚をH(ZnO)、ラブ波の波長を
λとしたときに、H(ZnO)/λが0.05〜0.2
の範囲とされていることを特徴とする、表面波装置。 - 【請求項2】 前記インターデジタルトランスデューサ
の電極指の幅の電極指間ピッチに対する比が、0.1〜
0.7の範囲にある、請求項1に記載の表面波装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00135294A JP3196474B2 (ja) | 1993-01-14 | 1994-01-11 | 表面波装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP481593 | 1993-01-14 | ||
JP5-4815 | 1993-01-14 | ||
JP00135294A JP3196474B2 (ja) | 1993-01-14 | 1994-01-11 | 表面波装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06268469A true JPH06268469A (ja) | 1994-09-22 |
JP3196474B2 JP3196474B2 (ja) | 2001-08-06 |
Family
ID=26334559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00135294A Expired - Fee Related JP3196474B2 (ja) | 1993-01-14 | 1994-01-11 | 表面波装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3196474B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1401099A1 (en) * | 2002-04-15 | 2004-03-24 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Surface acoustic wave device, and mobile communication device and sensor both using same |
US6940208B2 (en) | 2001-07-24 | 2005-09-06 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Surface acoustic wave device |
JP2009284554A (ja) * | 2009-09-03 | 2009-12-03 | Hitachi Media Electoronics Co Ltd | 弾性表面波装置、通信用フィルタ及び移動通信装置 |
WO2010058544A1 (ja) * | 2008-11-18 | 2010-05-27 | 株式会社村田製作所 | チューナブルフィルタ |
-
1994
- 1994-01-11 JP JP00135294A patent/JP3196474B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6940208B2 (en) | 2001-07-24 | 2005-09-06 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Surface acoustic wave device |
US7132779B2 (en) | 2001-07-24 | 2006-11-07 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Surface acoustic wave device |
EP1401099A1 (en) * | 2002-04-15 | 2004-03-24 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Surface acoustic wave device, and mobile communication device and sensor both using same |
JP2007074754A (ja) * | 2002-04-15 | 2007-03-22 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 弾性表面波デバイスおよびそれを用いた移動体通信機器並びにセンサー |
EP1401099A4 (en) * | 2002-04-15 | 2010-06-30 | Panasonic Corp | SURFACE ACOUSTIC WAVE DEVICE, MOBILE COMMUNICATION APPARATUS, AND SENSOR ALL OF TWO WORKING THIS DEVICE |
WO2010058544A1 (ja) * | 2008-11-18 | 2010-05-27 | 株式会社村田製作所 | チューナブルフィルタ |
CN102204091A (zh) * | 2008-11-18 | 2011-09-28 | 株式会社村田制作所 | 可调滤波器 |
US8305163B2 (en) | 2008-11-18 | 2012-11-06 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Tunable filter including a surface acoustic wave resonator and a variable capacitor |
JP5120461B2 (ja) * | 2008-11-18 | 2013-01-16 | 株式会社村田製作所 | チューナブルフィルタ |
JP2009284554A (ja) * | 2009-09-03 | 2009-12-03 | Hitachi Media Electoronics Co Ltd | 弾性表面波装置、通信用フィルタ及び移動通信装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3196474B2 (ja) | 2001-08-06 |
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Date | Code | Title | Description |
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