JPH062665Y2 - 腫瘍廓清器具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は腫瘍を除去する手術の際に用いる、腫瘍の廓清
（砕いて、掻き出し、吸い取ること）を行なう腫瘍廓清
器具に関する。

［従来の技術］ 機能的下垂体腺腫の手術成績は、近年飛躍的に向上した
が、腫瘍が大きくなるにつれ、必ずしも満足できるもの
ではない。巨大腺腫〔いわゆる、ジャイアント アデノ
ーマ(giant adenoma)〕ともなれば、ブロモクリプチン
(bromocriptine)を併用しても、種々問題が残ることが
多い。

このような問題の中で、側方伸展症例の治療によっては
腫瘍摘出手術に際し、直視下での廓清とともに、側方の
ブラインド領域にも廓清を進めることが重要且つ必要と
なっている。

また、この部分には内頸動脈、神経などが多数存在する
ため、手術に当っては細心の注意が必要である。

従来、このような腫瘍摘出用の手術器具としては、第２
図に示されるような先曲り吸引管が使用されていた。
（Suction Tubes for Conventional and Microscopic N
eurosurgery,第120〜124頁，Little,Brown and Company
(Inc.),1980参照） ［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記従来の先曲り吸引管にあっては、第
３図の如く、先曲り吸引管１０では直視できる範囲Ａの
ほかに、側方ブラインド領域Ｂの廓清を進めようとして
も腫瘍廓清できる範囲が小さく、せいぜい５mm程度であ
った。そして、残った腫瘍については、開頭法あるいは
放射線療法、又一時的にブロモクリプチン等の治療を施
していた。

従って、より腫瘍廓清範囲の大きな手術器具が要請され
ている。

［問題点を解決するための手段］ そこで、本考案者は上記した従来の手術器具の問題点に
鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本考案に到達した。

即ち、本考案によれば、先曲り吸引管と、腫瘍砕掻用帯
状ブラシとからなる腫瘍廓清器具であって、該腫瘍砕掻
用帯状ブラシは、支持部と、その一端に複数の弾性繊維
を束ねて一端方向に植設してなる箒部とから形成される
とともに、前記先曲り吸引管内に往復及び回転可能に挿
入されてなる、腫瘍廓清器具が、提供される。

［実施例］ 以下、図示の実施例に基いて本考案を更に説明する。

第１図は本考案の腫瘍廓清器具の一実施例を示す説明図
である。

図において、１０は先曲り吸引管、１１は、支持部１２
の先端に弾性繊維を束ねてなる箒部１３とから形成され
る腫瘍砕掻用帯状ブラシを示している。

箒部１３は、通常合成樹脂製の弾性繊維、例えば、耐熱
性ナイロン等の繊維を複数本束ねて先端方向に向けて植
設されて構成され、その長さが通常役１０〜３０mmの範
囲、具体的には１２．５mm、１７．５mm、２２．５mmの
長さのものが好ましく使用される。

また、その弾性繊維の太さは、１本毎の太さが約０．１
〜０．５mmφであって、束ねた後の太さが約１〜３mm、
具体的には、箒部１３の長さが１２．５mmの場合には
１．２５mm、同じく１７．５mmの場合には、２mm、２
２．５mmの場合には２．５mmのものが使用される。

このような箒部１３は、腫瘍が硬い状態のものの場合に
は、硬質な材質の繊維が用いられ、一方、腫瘍が軟らか
い状況のときには、軟質な材質の繊維が用いられる。

腫瘍砕掻用帯状ブラシ１１の支持部１２は、上記箒部１
３と同様な材質のものから形成されてよく、例えば、太
さ０．２mm、長さ４０cmのナイロン糸等からなる繊維あ
るいは糸であり、箒部１３を図示しない操作部により往
復、または回転するための誘導部である。

箒部１３は支持部１２の先端にて、糸等により束ねら
れ、しかも適当な接着剤、例えばアロンアルファＡ（商
品名，三共株式会社販売、東亜合成科学工業（株）社
製）により固定されている。このように固定することに
より、箒部１３の断面形状を先曲り吸引管１０の断面形
状である円筒状とすることができる。一方接着剤のみに
よって固定した場合には、断面が扁平状となりやすく好
ましくない。

腫瘍砕掻用帯状ブラシ１１が挿入・装着される先曲り吸
引管１０は、従来使用されてきた先曲り吸引管をそのま
ま用いることができる。しかしながら、先曲り吸引管１
０が、先端の曲り具合を自在に調整できる、例えば可撓
性を有する材料、具体的には銀、錫等から構成されるこ
とが、側方のブラインド領域への廓清範囲が広がること
になり、より好ましい。

又、さらに進んで熱膨張率の異なる材料を組み合せるこ
とにより、先端の曲り具合を調整するようにしてもよ
い。

以上のような本考案の腫瘍廓清器具によると、従来約５
mmであった廓清範囲が約２５mmにも拡大し、広い領域に
伸展した腫瘍に対し、好ましく適用することができる。

尚、この腫瘍廓清器具は、ガス滅菌又はオートクレーブ
等により消毒して使用される。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案によれば、上述の通りの先
曲り吸引管と腫瘍砕掻用帯状ブラシとからなる腫瘍廓清
器具としたので、腫瘍廓清範囲が従来に比べて大きく広
がるという利点がある他、廓清する箒部は弾力性に富む
ため、安全な手術を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の腫瘍廓清器具の一実施例を示す説明
図、第２図は従来の腫瘍摘出用の手術器具の一例を示す
斜視図、第３図は腫瘍の廓清範囲を示す説明図である。 １０…先曲り吸引管、１１…腫瘍砕掻用帯状ブラシ、１
２…支持部、１３…箒部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先曲り吸引管と、腫瘍砕掻用帯状ブラシと
   からなる腫瘍廓清器具であって、該腫瘍砕掻用帯状ブラ
   シは、支持部と、その一端に複数の弾性繊維を束ねて一
   端方向に植設してなる箒部とから形成されるとともに、
   前記先曲り吸引管内に往復及び回転可能に挿入されてな
   ることを特徴とする腫瘍廓清器具。
2. 【請求項２】先曲り吸引管が、先端の曲り具合を自在に
   調整できるものからなる実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の腫瘍廓清器具。
3. 【請求項３】先曲り吸引管が、可撓性を有する材料から
   なる実用新案登録請求の範囲第１項記載の腫瘍廓清器
   具。