JPH06266404A - 非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム - Google Patents

非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム

Info

Publication number
JPH06266404A
JPH06266404A JP5052667A JP5266793A JPH06266404A JP H06266404 A JPH06266404 A JP H06266404A JP 5052667 A JP5052667 A JP 5052667A JP 5266793 A JP5266793 A JP 5266793A JP H06266404 A JPH06266404 A JP H06266404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control
characteristic
output
target value
control target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5052667A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutaro Shinohara
原 和太郎 篠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP5052667A priority Critical patent/JPH06266404A/ja
Publication of JPH06266404A publication Critical patent/JPH06266404A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 非線形特性を有する制御対象1の順方向の入
出力特性を予測し、かつ逆特性あるいは実用的な条件下
での近似的な逆特性の演算が可能であるような順特性予
測手段2の他に、この順特性予測手段2に内包される特
性と制御対象1の特性とのズレを予測するように構成さ
れた補助的な特性予測手段6とを設ける。その出力に応
じて補正制御管理手段11が順特性予測手段2の考慮し
ていない非線形特性等に起因する制御量のズレ分だけ制
御目標決定手段4からの制御目標値を修正・変更するこ
とで、全体の制御精度の向上を可能とする。 【効果】 エンジニアリング負荷の少ない実用的な非線
形システム補償器の構成が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形特性を有する産
業プロセスやメカニカルシステム等を制御対象とする非
線形対象制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】プロセス制御では、制御対象であるプロ
セスを最適運転するために、上位プロセスコンピュータ
による最適化計算等により求められた、ある運転動作点
へプロセスの状態を移行させたい、という要求が生じる
ことが多い。この場合、所望動作点に対応する下位制御
系への制御目標設定値を決定する必要があるが、これま
では、この制御目標設定値とプロセス状態との関係を適
当な予測モデルとして構成し、このモデルに基づいた逆
演算を行うことで対応する制御目標設定値を求めてい
る。
【0003】しかし、多くの産業プロセスでは、制御目
標設定値とプロセス状態との関係は複雑な非線形特性を
有するため、上記のような可逆なモデルベースによる予
測ではその特性を完全には表現しきれず、そのため単純
なモデル逆演算により求められた制御目標設定値は、所
望の動作状態を十分に実現できないことが多かった。現
状では、このようなモデル誤差を補償するために、試行
錯誤的な操作により付加的な補正量を求め、これを表形
式に整理し、適宜補間・外挿して利用することで対処し
ているため、十分な補正処理を実現するためには多大な
エンジニアリング負荷を必要としている。
【0004】図16に、以上の従来技術の一般的な概念
を説明するブロック図を示す。
【0005】制御対象1は、制御すべき本質的な対象だ
けでなく、具体的なアクチュエータ等の下位制御装置を
含んだ形で定義されている。このような制御対象1に対
して、その制御目標設定値を入力、制御対象の状態を出
力とする入出力関係モデルが、厳密或いは近似的に可逆
な順特性予測手段2として求められる。この順特性予測
手段の(近似的な)逆特性を演算する制御入力演算手段
3は、比較手段10より出力される制御目標決定手段4
の出力である制御目標値と制御対象の実出力との比較結
果を入力として受け、対応する制御入力や下位制御系設
定値等を出力する。この逆特性演算は、あくまで順特性
予測手段2に基づいたものであるため、この予測モデル
がカバーしきれない制御対象1の特性は制御目標設定の
際には全く考慮されない。このため、予測モデルの誤差
が大きい場合には、このような制御方式は十分な制御性
能を実現することができないことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来の制
御方式では、非線形特性を有する制御対象のモデリング
及びその直接的な逆特性演算の難しさから、制御仕様
上、要求される制御性能の実現のためには、多大なエン
ジニアリング負荷を要する付加的な補正処理を必要とし
ている。
【0007】本発明は、こういった従来の問題点を解決
するためになされたものであり、非線形対象に対するエ
ンジニアリング負荷の少ない実用的な制御システムの提
供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の非線形対象制御
システムは、非線形要因により複雑な挙動を示す対象を
制御対象とし、この制御対象を所望の状態へ駆動制御す
る非線形対象制御システムにおいて、上位からの運転計
画に基づいて実制御時の制御目標値を決定する制御目標
決定手段と、上記制御目標値と上記制御対象の実出力と
の整合性を検証する比較手段と、上記制御対象の入出力
特性を予測する順特性予測手段と、上記比較手段の出力
に応答し、上記順特性予測手段の特性に基づいて上記制
御対象を安定動作させるための制御入力を求める制御入
力演算手段と、上記制御対象と上記順特性予測手段との
出力誤差である順特性予測残差を補助特性として予測す
る補助特性予測手段と、修正指示に応答して、上記補助
特性予測手段が出力する予測残差と上記制御目標決定手
段が出力する制御目標値の情報とに基づき、制御性能が
改善される方向に上記制御目標値の修正を行う制御目標
値修正手段と、この補助特性予測手段が出力する予測残
差の度合いに応じて上記制御目標値修正手段へ上記修正
指示を与える補正制御管理手段とを備えていることを特
徴とする。
【0009】この非線形対象制御システムの補助特性予
測手段がニューラルネットワークにより形成される場
合、その学習システムは、制御対象と順特性予測手段と
の出力誤差を求める第1の演算手段と、この順特性予測
残差と上記ニューラルネットワークとの出力誤差を求め
る第2の演算手段と、この第2の演算手段の出力値が小
さくなる方向に上記ニューラルネットワークのパラメー
タを調整する学習管理手段とを備えていることを特徴と
している。
【0010】補助特性予測手段としては、このニューラ
ルネットワークの他、ベジェ関数、スプライン関数等を
はじめとする任意の非線形関数の近似器を用いることが
でき、制御対象に応じたフレキシブルな予測手段の構成
が可能である。
【0011】すなわち、上記補助特性予測手段が、例え
ば、非線形特性近似手段と、近似に適するように非線形
特性近似手段の入出力情報に対してスケーリングや線形
・非線形変換を行う入力情報変換手段および出力情報変
換手段、とから構成され、さらに、この入力情報変換手
段の出力とこの非線形特性近似手段の出力と順特性予測
誤差−出力情報変換手段出力間の誤差である最終予測誤
差、とを入力として受け、最終予測誤差が十分に小さく
なるように非線形特性近似手段の可変パラメータを調整
する学習管理手段を備えることを特徴とする。
【0012】また、非線形特性近似手段として、階層構
造型のニューラルネットワーク、信号のフィードバック
を許すリカレント型のニューラルネットワーク、個々の
ユニット関数の入出力特性がガウス関数的な単峰性の局
所関数であるRBFネットワーク、或いは、それらの組
み合わせたものを用いることもできるものである。
【0013】
【作用】本発明によれば、非線形特性を有する制御対象
の順方向の入出力特性を予測し、かつ逆特性あるいは実
用的な条件下での近似的な逆特性の演算が可能であるよ
うな順特性予測手段の他に、この順特性予測手段に内包
される特性と制御対象の特性とのズレを予測するように
構成された補助的な特性予測手段とを設けることによ
り、順特性予測手段が考慮していない非線形特性等に起
因する制御量のズレ分だけ制御目標値を修正・変更する
ことで、全体の制御精度の向上を可能としたものであ
る。
【0014】従来、与えられた制御対象に対する所望の
制御を実現するためには制御対象の(近似的な)逆特性
を実現する補償器が必要となるため、一般的には制御対
象の順特性をモデル化し、その順特性予測手段に対する
代数的・解析的演算処理によりその逆特性モデルを求め
ることが多い。
【0015】しかし、このような逆特性を求める演算が
可能なものは比較的簡単なモデルに限られており、複雑
な非線形特性等を取り込んだ詳細な順特性予測手段は、
たとえ構成可能でもそのままではそれを用いて所望の補
償器を求めることが非常に困難である。
【0016】そこで、本発明では、順方向特性のモデル
化においては、(近似的な)逆特性の演算が可能となる
ような従来型の順特性予測手段にさらにその残差特性を
予測する非線形モデルを付加することで予測精度を増
し、逆特性の演算に関しては、実対象からの予測ズレ量
に応じて制御目標値を修正し、この修正された仮想目標
値に到達するような操作量を従来型順特性予測手段に基
づいた逆演算を行うことで、制御性能の向上が図られ
る。以上のような補正処理プロセスは、従来制御方式を
踏襲した形で実現できるため、エンジニアリング負荷の
少ない実用的な非線形システム補償器の構成が可能とな
る。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ詳細に説明する。図1は本発明の基本的概念をブロ
ックとして示すものである。この図において、制御対象
1、順特性演算手段2、制御入力演算手段3、制御目標
決定手段4、比較手段10は、図16で示した従来例の
それと機能的に全く同等のものである。本発明で新たに
加わった主な機能は、制御目標値修正手段5、補助特性
予測手段6、及び補正制御管理手段11である。
【0018】さて、従来技術と同様に、制御目標決定手
段4より与えられた制御目標値は必要に応じて制御対象
1の出力との比較処理が比較手段10で行なわれ、その
結果が制御入力演算手段3へ渡され、制御入力演算手段
3は、対応する制御入力の計算を行う。補助特性予測手
段6は、この制御入力を制御対象1に適用したときに生
じる予測残差を予測し、この予測残差を補正制御管理手
段11と制御目標値修正手段5に送る。補正制御管理手
段11は、受け取った予測残差情報以外にも制御目標値
と制御対象1の実出力とを監視し、その状態に応じて適
宜必要な時に、目標値修正の指示のみ、あるいは修正に
必要な情報も含んだ修正指示を制御目標値修正手段5に
対して送信する。
【0019】すなわち、この補正制御管理手段11は、
最低限としては、補助特性予測手段6が出力する予測残
差の度合いに応じて制御目標値修正手段5へ修正指示を
与える機能を備えていれば良いが、制御目標値及び制御
対象1の実出力をも入力し、これらに基づいて、制御目
標値と制御対象1の出力との誤差(追従誤差)は大きい
か?、制御対象1の出力は振動的になっていないか?、
制御目標値で表わされる動作点は安定余裕の大きい動作
点か否か?等の状態を監視し、追従誤差絶対値が規定値
より大きく、制御対象1の出力が振動的でなく、かつ新
しい動作点が安定なものであるときには、目標値修正の
指示のみを送信し、制御対象1の出力が振動的で、新し
い動作点の安定余裕が小さい(すなわち、急激な制御入
力の変化が望ましくない)ときには、目標値補正量の大
きさを調整する評価係数βなどをはじめとする実際の修
正に必要な情報も含んだ修正指示を送信するようになっ
ている方が望ましい。
【0020】制御目標値修正手段5は、この指示に対し
て制御目標値と予測残差情報とを合わせて考慮し、制御
性能が向上するような制御目標値を算出する。
【0021】具体的な修正法としては様々なものが考え
られるが、後の図2に示すような形で残差予測を行った
場合には、制御目標値に予測残差を足し込んだものを修
正制御目標値とすることが簡易な方法の一つとして考え
られる。
【0022】制御目標値修正手段5の出力として最終的
に得られた修正制御目標値は再び比較手段10を通じて
制御入力演算手段3へと渡され、制御対象1に対する制
御入力や下位制御系への制御目標設定値が算出されるこ
とになる。この処理プロセスで得られた制御入力等は、
実際の制御対象1と順特性予測手段2との間に存在する
モデル誤差を考慮して決定されているため、従来例にお
ける制御目標値を直接制御対象1へ与えるときに比べ、
その制御性能は大幅に改善される。
【0023】上記の処理プロセスにおいて、補正制御管
理手段11は、十分な制御精度が得られたか或いはこれ
以上の補正処理が無効であると判断した場合に目標値補
正の中止を制御目標値修正手段5に対して行う。目標値
修正処理が有効であるかどうかの判断方法は一つに限ら
れないが、一例としては、制御誤差の大きさが順特性予
測手段2自身が有するモデル誤差の大きさと同程度にな
ったと判断された時点で、さらなる補正処理は無効であ
るとする方法等が考えられる。
【0024】ここで、補助特性予測手段6は、例えば、
図3に示したように近似対象となる非線形特性の既知核
関数等の利用や入力信号レンジの正規化(図7参照。)
等を行う入力情報変換手段7、非線形特性近似手段8、
出力のスケーリング等を行う出力情報変換手段9から構
成される。
【0025】非線形特性近似手段8としては、静的な関
数関係の近似手法として、図4に示すような階層構造型
のニューラルネットワークや、CAD・アウトラインフ
ォント技術の分野で利用されているスプライン関数、ベ
ジェ関数といったものを採用することが考えられる。
【0026】また、時系列等で代表されるダイナミクス
(動特性)を近似する手法としては、図7、8に示した
ような信号の正規化・サンプリング処理等を前処理とし
た上で、ホールド&遅延型の階層構造型ニューラルネッ
トワーク(図9)や、フィードバック結合を有するリカ
レントネットワーク(図10)、また、局所性を有する
ガウス的な単峰性関数をネットワークのユニット関数と
して用いたRBF(Radial Basis Function )ネットワ
ーク等の利用が同様に考えられる。ただし、ここに挙げ
た以外にも、任意の非線形関数近似手法の援用が可能で
ある。
【0027】図2は補助特性予測手段6をニューラルネ
ットワークによって構築する際の学習システムの構成を
示すものである。
【0028】補助特性予測手段6は制御入力演算手段3
より与えられる制御入力に対して、制御対象1の出力と
順特性予測手段2の1次予測値との誤差である予測残差
が出力されるように学習管理手段12の学習管理のもと
で構成される。残差予測誤差が十分に小さくなった段階
で、学習は終了し、補助特性予測手段6を用いた図1に
示す構成での補正処理が実現可能になる。
【0029】入力情報変換手段7は、既に簡単に触れた
ように、非線形特性近似手段8による予測処理の負荷が
小さくなるように、制御入力演算手段3より与えられた
制御入力情報を制御対象1の既知構造情報等を考慮して
変換する機能を有する。例えば、制御対象1が多軸関節
駆動装置等のメカニカルシステムであり、制御入力が各
関節角度の設定値、制御すべき出力が駆動装置の効果器
位置・姿勢にそれぞれ対応すると考えた場合、駆動装置
の回転関節角度と手先位置との関係は、sin、cos
等の三角関数系が支配的であることが予想される。そこ
で、図3に示すように、回転関節角度θのみをそのまま
非線形特性近似手段8に与えるのではなく、入出力関係
に支配的な影響を及ぼすと思われるsinθ、cosθ
という関数変換情報を付加するか、或いは回転関節角に
関しては、関数変換した情報のみを与えるという形の変
換処理を行う。このような入力情報の変換を施すこと
で、非線形特性近似手段8の学習構成にかかる負荷は著
しく低減される。一般プロセス系の場合も既知の構造情
報を入力情報変換手段7に加えることで同様な効果が期
待できる。
【0030】図4には、この変換された入力情報を入力
として受け、予測残差を出力する非線形特性近似手段の
一つとして、階層構造型ニューラルネットワーク予測器
の概構成を示す。入力層における処理ユニット数は、変
換された入力情報の次元に対応し、出力層における処理
ユニット数は、予測すべき残差(状態)の次元に対応し
ている。入力層と出力層との間にある隠れ層は、その層
数および各層における処理ユニット数は、共にシステム
設計者が与える自由パラメータとなる。ニューラルネッ
トワークの学習においては、Rumelhart らによって提案
された誤差逆伝搬法(D.E.Rumelhart,G.E.Hinton & Wil
liams: Learning representations by back-propagatin
g errors, NATURE, Vol.323, No.9,pp533-536(1986)
等)をはじめとしてその改良則等各種の学習則が利用可
能である。
【0031】次にプロセス制御の静特性に着目した最適
操業への本発明の実施例を図5、6に示す。
【0032】これらのうち図5はプロセス静特性予測モ
デルをニューラルネットワークによって構築するときの
学習システムを示している。
【0033】従来のプロセス操業では、制御対象プロセ
ス101の入出力関係を何らかの予測モデルの形でモデ
リングし(これをプロセス静特性予測モデルと呼ぶ)、
このプロセス静特性予測モデル102を用いて、操業計
画部104より示された運転状態目標値を実現する最適
操作量を求めている。これに対して本発明のプロセス制
御では、プロセス静特性予測モデル102と制御対象プ
ロセス101との差(モデル誤差)をさらに予測するモ
デル誤差予測部106が設けられ、制御対象プロセス1
01への入出力データより自らを学習構成する。
【0034】このようにモデル誤差予測部106がモデ
ル誤差の予測機能を学習獲得した後、これを図6に示す
ように制御システム内へ組み込む。すなわち、まず、操
業計画部104より示された運転状態目標値yd に対す
る最適操作量が、従来技術で実現されているコンポーネ
ントである最適操作量計算部103において計算され、
さらに、この操作量を用いた場合の、実制御対象プロセ
ス101とプロセス静特性予測モデル102との間に存
するモデル誤差の予測がモデル誤差予測部106にて行
われる。操業計画調整部105では、モデル誤差を考慮
せずに最適化された運転状態目標値yd とこの予測モデ
ル誤差ΔNの両情報を考慮して、制御性能が改善される
ように運転状態目標値yd の調整を行い、その調整され
た修正運転状態目標値yd*に対して再度最適操作量の計
算を行うことで最終的な補正制御操作量uが決定され
る。
【0035】上記例題では、プロセスの静特性に基づく
最適化制御をとりあげたが、動特性を扱う場合につい
て、以下で説明する。
【0036】制御対象の非線形動特性(ダイナミクス)
を近似する手法については、既に簡単に触れたように、
図9〜11に示すような、ネットワークベースの近似手
法や、多項式近似、スプライン・ベジェ関数等による補
間技術等々を用いることができる。図9は先に説明した
図4の階層構造型ニューラルネットワークと全く等価な
ので同等な学習アルゴリズムの利用が可能である。ま
た、図10のリカレントニューラルネットワーク、図1
1のRBFネットワークについても、それぞれその学習
法に関するいくつかの解説文献(リカレントニューラル
ネットワークについては、F.J.Pineda: Generalization
of Back-Propagation to Rccurrent Neural Networks,
Vol.59,No19(1987),RBFネットワークについては、S.
Chen,S.sing radial basis functions, Vol.52.No.6(19
90) 等があげられる)が現時点で利用可能である。
【0037】このような動特性近似手段を利用した本発
明の別の利用例を図12〜15に示す。
【0038】この例では、制御対象1001の基本制御
手法として、プロセス制御系で一般的に用いられている
PIDコントローラ1003を制御入力演算手段として
とりあげ、補助特性予測手段としてはニューラルネット
残差予測モデル1006を用いている。全体の機能は既
に説明した一般実施例とほぼ同様であるが、そのうち目
標値修正装置1005と、補正制御管理装置1011の
具体的な機能構成の一例をそれぞれ図13、14に示
す。
【0039】まず、図13の目標値修正装置1005で
は、ニューラルネット残差予測モデル1006より得た
予測残差yΔに、補正制御管理装置1011より指示さ
れた評価係数βを掛け、これを目標値の補正量として基
本目標値rに足し込むことで修正目標値rを生成する。
【0040】一方、補正制御管理装置1011は、追従
誤差e(=r−y)の大きさに応じて、|e|<Δeが
成立している場合には制御性能の補正は必要ないものと
考え、β=0に設定し、|e|≧Δeの場合には、適当
な評価係数aを用いてβ=aに設定する。PIDコント
ローラで積分補償が実現されている場合には、このよう
な設定をとることで最終的な追従誤差を0にすることが
できる。また、Δeの設定に関しては既に述べたよう
に、ニューラルネット残差予測モデル1006の近似精
度と同程度の大きさに設定することが考えられる。
【0041】図15に、本実施例の制御イメージを示
す。通常の制御では、制御系は点線で示されるyの応答
をすることが期待されるが、実際には動作点の変更等に
ともなう非線形性の発現により、当初コントローラを設
計した対象モデルに比べ実質ゲインが増減するため、そ
のような所望の応答特性ではなく、図中に破線で示した
y0のような応答が観測されることがある(実質ゲイン
が低下した場合)。しかし本発明の制御手法の場合に
は、制御開始(t start)直後の追従誤差が大きい状態
では|e|≧Δeが成立するため補正動作が機能し、制
御目標値rはその予測残差を加えたrに修正される。こ
れにより、過渡応答時の速応性が改善され、制御系は実
線で示されるyの応答特性をもつ。追従誤差eが十分小
さくなったtcend 以降では、補正制御が中断されるた
め制御目標値はもともとのrへリセットされ、最終的に
PIDコントローラが有する積分補償により、追従誤差
は0へ収束する。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、制
御対象の(近似的な)逆特性演算手段を主なる補償方式
として用いている制御システムにおいて、順特性の予測
モデルの精密化を図る残差予測手段を付加するだけで、
容易に制御性能の改善を図ることができ、これまで問題
であった補正処理にかかる多大なエンジニアリング負荷
を大幅に低減することが可能となる。
【0043】また、より広範な一般システムやロボット
マニピュレータ等の対象に対しても、対応する機能を適
切に実現することが容易に適用可能であり、総合的なシ
ステム性能の改善に広く役立つことは方式構成上からも
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る非線形対象制御システ
ムの構成上の基本概念を示すブロック図。
【図2】図1に示すシステムの残差予測手段の構成及び
これを構成するニューラルネットワークの学習システム
の構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す入力情報変換の概念を説明するブロ
ック図。
【図4】階層構造型ニューラルネット予測器構成図。
【図5】プロセス静特性予測モデルを構成するニューラ
ルネットワークの学習システムの構成を示すブロック
図。
【図6】図5に示すシステムで構築した予測モデルを採
用するプロセス最適操業制御システムの構成を示すブロ
ック図。
【図7】補助特性予測手段の非線形特性近似手段におい
て採用される時系列信号正規化処理の説明図。
【図8】同じく時系列信号サンプル処理の説明図。
【図9】図7、8に示す処理を前処理とし、その後段に
置かれるホールド&遅延型動特性近似用ニューラルネッ
ト予測器の構成を示すブロック図。
【図10】同じくリカレントニューラルネット予測器の
構成を示すブロック図。
【図11】補助特性予測手段の非線形特性近似手段にお
いて動特性予測に採用されるRBF(Radial Basis Fun
ction )ネットワーク予測器の構成を示すブロック図。
【図12】本発明の一実施例である動特性制御システム
のブロック図。
【図13】上記各図に示すシステムで組込まれている目
標値修正装置の機能説明図。
【図14】同じく補正制御管理装置の機能説明図。
【図15】上記システムで達成される補正制御のイメー
ジを示す曲線図。
【図16】従来の非線形対象制御システムの構成を示す
ブロック図。
【符号の説明】
1 制御対象 2 順特性予測手段 3 制御入力演算手段 4 制御目標決定手段 5 制御目標値修正手段 6 補助特性予測手段 7 入力情報変換手段 8 非線形特性近似手段 9 出力情報変換手段 10 比較手段 11 補正制御管理手段 12 学習管理手段 101 制御対象プロセス 102 プロセス静特性予測モデル 103 最適操作量計算部 104 操業計画部 105 操業計画調整部 106 モデル誤差予測部 1001 制御対象プロセス 1003 PIDコントローラ 1004 目標値設定装置 1005 目標値修正装置 1006 ニューラルネット残差予測モデル 1010 制御量比較装置 1011 補正制御管理装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非線形要因により複雑な挙動を示す対象を
    制御対象とし、該制御対象を所望の状態へ駆動制御する
    非線形対象制御システムにおいて、 上位からの運転計画に基づいて実制御時の制御目標値を
    決定する制御目標決定手段と、 前記制御目標値と前記制御対象の実出力との整合性を検
    証する比較手段と、 前記制御対象の入出力特性を予測する順特性予測手段
    と、 前記比較手段の出力に応答し、前記順特性予測手段の特
    性に基づいて前記制御対象を安定動作させるための制御
    入力を求める制御入力演算手段と、 前記制御対象と前記順特性予測手段との出力誤差である
    順特性予測残差を補助特性として予測する補助特性予測
    手段と、 修正指示に応答して、前記補助特性予測手段が出力する
    予測残差と前記制御目標決定手段が出力する制御目標値
    の情報とに基づき、制御性能が改善される方向に前記制
    御目標値の修正を行う制御目標値修正手段と、 該補助特性予測手段が出力する予測残差の度合いに応じ
    て前記制御目標値修正手段へ前記修正指示を与える補正
    制御管理手段とを備えていることを特徴とする非線形対
    象制御システム。
  2. 【請求項2】請求項1記載の非線形対象制御システムの
    補助特性予測手段を形成するニューラルネットワークの
    学習システムであって、 制御対象と順特性予測手段との出力誤差を求める第1の
    演算手段と、 該順特性予測残差と前記ニューラルネットワークとの出
    力誤差を求める第2の演算手段と、 該第2の演算手段の出力値が小さくなる方向に前記ニュ
    ーラルネットワークのパラメータを調整する学習管理手
    段とを備えている非線形対象制御システム構築用ニュー
    ラルネットワークの学習システム。
JP5052667A 1993-03-12 1993-03-12 非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム Pending JPH06266404A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5052667A JPH06266404A (ja) 1993-03-12 1993-03-12 非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5052667A JPH06266404A (ja) 1993-03-12 1993-03-12 非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06266404A true JPH06266404A (ja) 1994-09-22

Family

ID=12921228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5052667A Pending JPH06266404A (ja) 1993-03-12 1993-03-12 非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06266404A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10170299A (ja) * 1996-12-10 1998-06-26 Ricoh Co Ltd 携帯型情報処理装置及び携帯型情報処理装置の場所識別方法
JP2007233634A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Hitachi Ltd 強化学習制御装置
US8095479B2 (en) 2006-02-28 2012-01-10 Hitachi, Ltd. Plant control apparatus and method having functions of determining appropriate learning constraint conditions
US11682999B2 (en) 2019-03-19 2023-06-20 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Motor control method, motor control model conversion method, motor control system, motor control model conversion system, and motor control model conversion program

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10170299A (ja) * 1996-12-10 1998-06-26 Ricoh Co Ltd 携帯型情報処理装置及び携帯型情報処理装置の場所識別方法
JP2007233634A (ja) * 2006-02-28 2007-09-13 Hitachi Ltd 強化学習制御装置
US8095479B2 (en) 2006-02-28 2012-01-10 Hitachi, Ltd. Plant control apparatus and method having functions of determining appropriate learning constraint conditions
US11682999B2 (en) 2019-03-19 2023-06-20 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Motor control method, motor control model conversion method, motor control system, motor control model conversion system, and motor control model conversion program

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ferrara et al. Control of a class of mechanical systems with uncertainties via a constructive adaptive/second order VSC approach
Tan et al. Gain scheduling: from conventional to neuro-fuzzy
Sauvée et al. Image based visual servoing through nonlinear model predictive control
Precup et al. PI-fuzzy controllers for integral plants to ensure robust stability
Doyle III An anti-windup input–output linearization scheme for SISO systems
Phan et al. Two-mode adaptive fuzzy control with approximation error estimator
Yurkovich et al. Fuzzy controller synthesis for an inverted pendulum system
Harashima et al. Tracking control of robot manipulators using sliding mode
CN112947123B (zh) 一种抑制多源干扰的外骨骼机器人跟踪控制方法和系统
JPH0883104A (ja) プラント制御装置
Chotikunnan et al. Practical design of a time-varying iterative learning control law using fuzzy logic
JPH06266404A (ja) 非線形対象制御システム及び同システム構築用ニューラルネットワークの学習システム
Huzmezan et al. Reconfiguration and scheduling in flight using quasi-LPV high-fidelity models and MBPC control
JPH0683427A (ja) 柔軟マニピュレータの作業点位置制御システム
Battistelli et al. Performance-oriented transfer for switching control
Boulkroune et al. Adaptive fuzzy controller for non-affine systems with zero dynamics
CN110994582A (zh) 一种不确定性直流微电网输出反馈模糊模型预测控制方法
CN115958596A (zh) 双冗余机械臂运动规划方法及装置、设备、存储介质
He et al. A Semiparametric Model-Based Friction Compensation Method for Multijoint Industrial Robot
Mendes et al. Variable structure position control of an industrial robotic manipulator
Joos et al. Constrained online trajectory planning for nonlinear flat SISO systems using a switched state variable filter
Zufiria et al. Neural adaptive control of non‐linear plants via a multiple inverse model approach
JPH03242703A (ja) モータ制御でのフィードフォアードゲインの学習方法
JP2980421B2 (ja) ニューラルネット・モデルを用いた制御器
JPH0272404A (ja) メンバーシップ関数決定方法