JPH06264913A - 雌ねじの変形を利用した締結装置 - Google Patents
雌ねじの変形を利用した締結装置Info
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Abstract
より均一かつ確実に係合し、従ってトルクがより容易に
コントロールされ、かつ係合状態のねじ部の摩耗が最低
限に抑えられる締結装置を提供する。 【構成】 締結装置12は、その雌ねじの一部分が、直
径方向両側にある一対の型押し部17,18によって円
形の断面から楕円形の断面へと変形せしめられる。各型
押し部は、締結装置の軸線に垂直な平面から、前記ねじ
のリードに対応する角度だけ傾斜している。各型押し部
は、非変形状態の締結装置の半径より大なる半径の中央
円弧を有した顎部23,23を有する。前記顎部間の間
隙は、非変形状態の締結装置の円周と等しい外周を有す
る。型押し部の各縁部は、ねじ山形状に対して所定の高
さにあり、ねじ山の頂と整合している。型押し部の位置
は、締結装置を螺合させて停止具24に当接させ、24
から既知の距離の位置にある顎部23,23間において
締結装置を圧縮変形させることによってコントロールさ
れる。
Description
提出の米国特許出願第07/928,849号の一部継
続出願である。
ング締結装置(fastener)、すなわち、プリベイリングト
ルク(prevailing torque)締結装置の改良に関し、特に
外面の圧縮変形部、又は型押し部が締結装置のつる巻状
の雌ねじ部に追従する、変形ねじ部を有するプリベイリ
ングトルク締結装置に関する。外側の型押し部は、ねじ
山形状の所定の部分に隣合った、好ましくは、ねじ山の
頂の反対側に位置する縁部を有する。外側の型押し部
は、締結装置の半径より大なる半径を有する円弧を具え
た金型によって製作される。
の一種として、プリベイリングトルク締結装置として周
知のものがある。プリベイリングトルク締結装置におい
ては、ねじ部、全体的には雄ねじに螺合する雌ねじ部を
変形させて、締結装置の部材間の摩擦を増加させる。変
形したねじ部が非変形状態のねじ部に係合して、変形部
分が本来の非変形状態の形状に戻るように付勢される。
結装置においては、雌ねじ部の変形をもたらす外径変形
部が異なった形態を有している。略楕円形の変形部、又
は外面上に2点、3点、又は4点の型押し部が設けられ
ている。締結装置の雌ねじ部のねじ山は外側の変形部に
対応して、ねじ山自体に著しい歪みが生じるまでにな
る。
グトルク締結装置には、繰り返し着脱された時にはめ合
い部品表面に生じる損傷による問題がある。プリベイリ
ングトルク締結装置の仕様では、はめ合い部材の結合と
分離とを繰り返し行なった後での摩擦レベル、すなわ
ち、分離トルクが一定レベルでなければならないという
要件が定められている。部品間の摩擦が高いために起こ
る表面の損傷によって、所望のトルク・レベルが変化し
てしまう可能性がある。
部上に耐蝕性、又は潤滑性の被膜が施されている。プリ
ベイリングトルク締結装置のねじ部の変形によって生じ
た表面の損傷がこうした表面被膜を貫通して侵食する可
能性があり、締結装置が腐食による損傷を被ることにな
ったり、要求されるトルク基準を満たす上で締結装置の
性能がさらに低下したりする可能性がある。
ねじ部とが、より均一かつ確実に係合し、従ってトルク
がより容易にコントロールされ、かつ係合状態のねじ部
の摩耗が最低限に抑えられるプリベイリングトルク締結
装置を提供することが望ましい。
両側にある一対の型押し部によって、円形の断面形状か
ら略楕円形の断面形状に変形せしめられたねじ部分を有
する雌ねじ付きプリベイリングトルク締結装置を提供す
る。各型押し部は、本体の軸線に垂直な平面からねじの
リードに対応する角度だけ傾いている。型押し部の縁部
は、隣合う孔部内にあるねじ山形状の所定の一部分の正
反対側に位置する。
締結装置の外側半径と略同じ半径の円弧を有する。前記
円弧の中心から本体の軸線までの距離は、非変形状態の
本体の半径よりも小とし、かつ各円弧の角度範囲は、好
ましくは65度〜100度の範囲内の角度にわたるもの
とする。
れのねじの場合でも、各々のねじ山をつる巻線に追従さ
せた一条のものと多条のものとがある。一条ねじは単一
のねじ山形状を有しており、各々のねじ山形状が同じね
じ山に隣合う状態で締結装置の周りにつる巻状に旋回し
ている。図1に示すボルト、すなわち、植込ボルト10
のような二条ねじは一方のねじ山形状11が他方のねじ
山形状12に平行な2つのねじ山形状を有しており、前
記2つのねじ山が互いに介在し合っている。二条ねじを
用いた場合には、ねじ付き締結装置の1回転あたりの前
進距離が一条ねじの場合の2倍になる。三条ねじおよび
四条ねじも周知である。
着脱式パネル用締結装置がある。複数個の雄ねじ付き植
込ボルトが機体に固定される。着脱式パネルは、図3に
示すような中空のスリーブボルト13によって、前記植
込ボルトに固定される。こうしたスリーブボルトは、全
体的に、筒状の本体と平頭14とを有している。スリー
ブボルトの端部にある六角レンチ穴16にアレンレンチ
が差し込まれて、スリーブボルトの締め付けが行なわれ
る。
ブボルトを用いる場合は、仕様により、植込ボルトから
スリーブボルトを取り外す際に要するトルクの最低レベ
ルと最高レベルとが定められる。トルクが最低レベルを
下回っていると、締結装置が固定状態に維持されないこ
とがあり、植込ボルトから事故的に外れてしまうかもし
れない。トルクが高すぎる場合には、締結装置が過度に
変形していることになって、著しい摩耗の問題が起こり
うる。また、仕様では、雄ねじ付き植込ボルトに対する
スリーブボルトの着脱を、認定の際に少なくとも500
サイクル行なうとともに、量産品受入試験時に少なくと
も25サイクル行なって、なお所定のトルク範囲になけ
ればならないという要件も定められている。仕様によっ
ては、これ以外の試験が適用されることもある。締結装
置の表面が摩耗することにより、ねじ部のはめ合い状態
がゆるくなりすぎて、トルクが所定の最低レベル未満に
低下するかもしれない。表面の潤滑材が摩滅すると、部
品がかじる場合があり、トルク・レベルが許容不能なま
でに増加してしまう。
ある圧縮変形状態の型押し部(dieimpressions)17及び
18を明確に示すために二分割された雌ねじ付きスリー
ブボルトの部分略図を示す。各型押し部は、つる巻状に
延在する縁部19と、締結装置の軸線に平行な方向に延
在する端部21とを有している。湾曲した縁部19は、
ボルト、又はスリーブボルトの雌ねじのねじれ角αおよ
びリード角βと等しいねじれ角α及びリード角βに形成
される。型押し部の長さ、すなわち、縁部19間の距離
は、所望のトルク範囲を得るために、変形対象の雌ねじ
の山の数に応じた距離にする。
ば、1/4−28の二条ねじを有している。各型押し部
のリード角は約5.8度、ねじれ角は約84.2度とす
る。
13上に型押し部を形成させるために用いられる圧縮用
金型を示す斜視図である。一対のダイプレート22が、
従来式の圧縮変形装置内にあるダイホルダ(図示せず)
にボルト止めされる。双方向矢印に示すように、ダイプ
レートは互いに対して前後方向に移動して、スリーブボ
ルト13の斜め方向両側に係合する。各々のダイプレー
トは、円弧状の顎部(jaws)23が形成された凹部を有し
ている。円弧状の各顎部は、スリーブボルトの軸線に垂
直な平面から、スリーブボルト内のねじ山のリード角に
対応する角度βだけ傾いている。スリーブボルトの周り
にダイプレートを互いに当接させて閉鎖状態にすると、
円弧状の顎部によってスリーブボルトの両側に型押し部
が形成されることがわかる。
端部を保持する止めピン24を有している。図4では、
ピン端部の構造を示すために、ダイプレート間において
スリーブボルトを保持する位置から外された状態にある
止めピンが破線で示されている。止めピンの端部から、
短尺の雄ねじ付きボスが延在している。波状圧縮装置を
使用する際には、停止具として作用して締結装置がそれ
以上回転できないようにする前記ピン上のショルダー部
27に締結装置の端部が係合するまで、締結装置13を
前記ボス上に螺合させる。
断面から略楕円形の断面に変形させると、ねじ部が半径
方向内側に変形するだけでなく、ねじ山の形も歪められ
る。ジョーンズの英国公開特許第1,101,669号
では、図4に、こうした波状圧縮状態の型押し部によっ
て締結装置のねじ部に生じる歪みが示されている。実質
的にねじ部の一部の部分において、ねじ山の形が回転、
又は傾斜させられる。
じの2つのフランクは、締結装置の軸線に対して垂直な
平面から約30度の角度を有している。ねじ部を変形せ
しめると、ねじの一方のフランクが前記軸線に垂直な平
面から23度、他方のフランクが前記平面から37度に
なるように、前記ねじ山の形が7度または8度傾斜せし
められるであろう。締結装置を結合させた時に、前記傾
斜したねじ山が、変形したねじ部と非変形状態のねじ部
とを密着状態に係合させる働きをする。
巻線に追従させた場合には、型押し部が厳密に円周方向
にある場合よりもねじ山の歪みが均一になるように思わ
れ、しかも締結装置相互のトルク値の変動が小さくなる
ことがわかった。しかしながら、それでもなお、トルク
値において、高品質の航空機用締結装置の場合の許容範
囲を超えうる不規則な変動があることがわかった。
は、ねじ山形状に対する型押し部の不規則な配置が原因
ではないかと考えられる。締結装置の中には、型押し部
の縁部が、締結装置内の雌ねじの谷底の反対側にあるも
のもある。また、型押し部の縁部が、雌ねじの山頂の反
対側にあるものもある。型押し部の縁部は、明らかにそ
の間のあらゆる位置にありうるのである。こうした変動
が、プリベイリングトルクにおける不規則な変動をもた
らすものと考えられる。従って、型押し部の縁部を常に
確実にねじ山形状の同じ部分の正反対側に位置させるこ
とが望ましい。これによって、締結装置相互のねじ部の
歪みは確実に同じになる。
トロールすることによって、ねじ付き締結装置にこれま
で見受けられたトルクの不規則な変動が低減されること
がわかった。特に、型押し部の縁部を締結装置の孔部内
にあるねじ山の頂の正反対側に位置させることが望まし
いことがわかった。これによって、型押し部の縁部は、
締結装置の壁部の最も厚い部分に隣合う位置にくる。
り、両方の型押し部の縁部が締結装置の両側のねじ山の
頂の正反対側に整合させた状態が容易に実現される。一
条(または何らかの奇数条)ねじの場合には、金型を互
いに整合させると、一方の型押し部の縁部がねじ山の頂
の反対側に位置し、他方の型押し部の縁部がねじの谷底
の反対側に位置することになる。こうした矛盾を解決す
る方法として、いくつかの方法がある。
チひとつ分、又は整数倍分の型押し部を製作してもよ
い。両方の型押し部の縁部をねじのフランクの中央に整
合させて、ねじの変形を対称状態に維持することもでき
る。また別な方法として、一方の顎部がピッチ3つ分の
長さを有し、かつ他方の顎部がピッチひとつ分の長さを
有するように顎部を設計してもよい。各々の顎部の「長
さ」の差がピッチひとつ分の長さである場合には、両方
の型押し部が、ねじ山形状の同じ部分、例えば、ねじ山
の頂と整合する縁部を有していてもよい。2つの顎部を
互いに半ピッチ分ずらすことによって、同様の結果が得
られる。このような実施例の場合には、両方の型押し部
が、ねじ山の頂と整合した縁部を有してもよい。
に配された状態は、図4に示す圧縮変形装置によっても
たらされる。締結装置をピンのボス26上に螺合させる
と、ショルダー部に達する位置までしか締結装置を回転
させることができない。これによって、締結装置のねじ
部を所定の位置に配することができる。円弧状の顎部と
ピン端部との距離が固定されるため、前記顎部によって
形成される型押し部は必然的に、ねじ山の形に対して固
定位置に配される。前記距離は容易に調節可能であっ
て、例えば、ねじ山の頂の正反対側といったような、ね
じ山形状の何らかの所望の所定位置に型押し部が配され
るようにすることができる。これによって、各締結装置
におけるねじ山形状の傾斜は確実に、他の締結装置にお
ける傾斜と互いに同じになる。
トルク締結装置における問題のひとつは、締結装置を再
利用した場合に表面に生じる摩耗にある。雌雄ねじ間に
おいて高圧力の接触状態がある場合に、こうした摩耗が
生じる。ねじ間の接触面積が小さいことが高圧力につな
がり、摩耗を加速させるのである。全体的に筒状の締結
装置を単純に変形させて、雌ねじの一部分が楕円形の断
面を有するようにすると、本質的に直径方向両側の2点
において、この楕円形が植込ボルト状の円形のねじ山に
係合することは明白である。こうした小さな接触面積が
摩耗を増加させる。
全体的に楕円形になるが、変形したねじ部と非変形状態
のねじ部との接触部分が、本質的に点接触になるのでは
なく、実質的に円弧状の範囲になるように、圧縮変形装
置内の円弧状の顎部を、あらかじめ入念に定められた曲
率に製作する。接触面積の増加によって、摩耗を減少さ
せることができる。
り、互いに当接して閉鎖状態になった時の顎部間の円弧
状の間隙の形状が示されている。各顎部は、円弧の中心
に対して角度θをなす中央円弧31を有している。円弧
31の曲率半径R1 は、締結装置のスリーブの外側半径
よりも大である。前記円弧の中心は、顎部間の間隙の中
心32、すなわち、締結装置の軸線(図示せず)を超え
た位置にある。従って前記円弧は、締結装置の軸線に対
しては、より大きな角度をなしている。例えば、外径
5.8mmの締結装置の場合には、好適な角度θは約7
5度であり、締結装置の軸線に対して、前記円弧は90
度を若干下回る角度をなす。
の軸線に対する前記円弧の角度は、65度〜100度で
あることが好ましい。前記角度が65度をかなり下回っ
た場合には、変形したねじ部と非変形状態のねじ部との
接触面積が減少し、摩耗が増加しうる。他方、前記角度
が約100度よりも大きいと、2つの型押し部の端部間
の角度は約80度未満に減少してしまう。スリーブボル
トの型押し部間の残りの部分により、雄ねじ付き締結装
置と係合状態にある時にスリーブボルトを開くために要
する力が過度に大きくなるであろう。トルク値が非常に
高い場合は、型押し部間の距離をこれより短くしてもよ
い。好ましくは、締結装置の軸線に対して円弧31のな
す角度を約90度とする。このような角度にすることに
よって、変形したねじ部の約半分を非変形状態のねじ部
に係合させることができ、前記ねじ部の約半分は非係合
状態となる。
る金型の開口部の形状も、円弧34とすることが好まし
い。この円弧は、締結装置の半径より小なる曲率半径R
2 を有している。従って小半径の円弧34の中心36
は、金型の開口部の中心と前記円弧との間に位置する。
このため、前記例の場合には、小半径の円弧は、自身の
中心に対して約124度の角度をなすとともに、金型の
開口部の中心(締結装置の軸線)に対して約90度の角
度をなす。
円弧31の端部にある点33は、顎部の開口部の中心3
2から、円形状の締結装置の半径と略同じ距離に位置す
ることになる。言い換えれば、締結装置の直径を有した
円を図5の図面に重ねると、前記円は4つの点33にお
いて前記略楕円形状と交わることになる。
の円弧31の半径は、顎部によって変形せしめられる締
結装置の半径よりも大である。図5に示すように、顎部
を閉じることによって締結装置を変形させると、変形部
の一部分は塑性変形となり、一部分は弾性変形となる。
顎部を開いて装置から締結装置を取り出すと、変形部の
弾性部分が解放され、締結装置は円形の断面に戻ろうと
する。
がかなりの量になることもあり、顎部の間隙寸法を選定
する際には、前記スプリングバックの量を考慮に入れな
ければならない。例えば、一般的な−6の締結装置で
は、顎部の開口部は、締結装置が直径において0.5m
mもつぶされるものであってもよい。顎部を開いた時
に、締結装置が0.25mmものスプリングバックを起
こすこともある。従って締結装置の永久的な変形は、直
径において約0.25mmになるかもしれない。公差の
変動により、締結装置のバッチ間で永久的な変形の量が
変動することもあるであろう。
象の締結装置の半径よりもわずかに大きくして、変形後
に、締結装置上の型押し部が非変形状態の締結装置と略
同じ半径の面を有するようにする。しかし型押し部は、
非変形状態の締結装置の半径よりも締結装置の軸線寄り
の位置にくる。その結果、締結装置の内側において変形
したねじ部は、略本来の曲率を維持している締結装置の
軸線に向かって内方に移動した円弧部分を有することに
なる。
置がスプリングバックを起こした時に、略楕円形断面を
有する前記短軸に張った締結装置内側の前記ねじ部分
が、変形したねじ部のはめ合い相手である雄ねじの半径
と略同じ半径を有することが望ましい。これら2つのね
じ部の半径が似通っている場合、従来技術の特徴である
点接触ではなしに、大面積の接触部分が得られる。大面
積の接触部分によって、ねじ部の圧力と摩耗とが低減さ
れる。
の半径を有する前記円弧を65度〜100度の範囲内の
ものとする。これは、型押し部の形成に用いられる顎部
の間隙内における大半径の円弧の範囲に対応する。これ
によって、雄ねじと雌ねじとの接触面積が大きくなる。
の半径というのは、雄ねじ付き植込ボルトがスリーブ内
に螺合させられた後のスリーブについていうものであ
る。変形した締結装置を顎部から取り出すと、ねじ部は
実際に歪められて、植込ボルトの直径よりも小なる直径
(例えば、ピッチ径)を有している。雄ねじと雌ねじと
は、容易に結合させうるように、双方の間にノミナル・
クリアランス(nominal clearance)を有するように形成
されるものである。一般的な−6の締結装置では、直径
における前記ノミナルクリアランスは約0.15mm、
すなわち、半径において約75マイクロメートルであ
る。
植込ボルトがスリーブを変形させてその変形前の状態に
戻そうとする。植込ボルトとスリーブとの間における公
差のために、前記変形部は完全にその本来の寸法に戻る
わけではない。
の65〜100度の円弧という場合は、それに近いもの
を意味しているのであって、前記円弧のなす角度は65
〜100度であるが、前記半径は実際にはスリーブ内に
ねじ込まれた植込ボルトの半径に近くなる。前記半径は
変形したねじ部の半径よりも、略両部品間の公差の量だ
け小となっている。
が変形前の締結装置と略同じ半径の面を有するという場
合は、スリーブと植込ボルトとを結合させた後の半径を
指している。
一であることが望ましい。顎部間の開口部を、締結装置
の材料がちょうど納まる大きさにすると、均一性が高ま
る。このため、顎部間の開口部の外周が円筒状締結装置
の円周と等しくなるように円弧の形状を選定する。こう
することによって、締結装置上において顎部の間隙を閉
鎖状態にした時に、直径方向両側が軸線の方向につぶさ
れるとともに、その間の部分が外方に膨出する。
しいため、顎部の開口部がちょうど満たされ、締結装置
の外面は、顎部の開口部の形状に近い形状を有する(当
然ながら弾性変形部によるスプリングバックを受け
る)。顎部の開口部が正確に満たされることにより、締
結装置の変形がより均一なものになる。締結装置は自動
的に顎部の開口部の中央に位置付けられ、従って対称に
なる。
には、締結装置の機械加工を行なうにあたって、一定の
製作公差を設けなければならないことが理解されよう。
無作為に選んだ締結装置が公差域内の最大寸法を有して
いることもあれば、最小寸法を有していることもある。
締結装置が最小寸法のものであるか最大寸法のものであ
るかに関わりなく、類似のトルク値が得られる変形がプ
リベイリングトルク締結装置にもたらされることが望ま
しい。本発明の実施例において提供する製造技術を利用
して、こうした均一性を高めることができる。
いて大量の締結装置がひとつのバッチとして機械加工さ
れることもある。前記バッチ内においては、全ての締結
装置が実質的に同じ寸法を有している。例えば、これら
全部が、公差域の中央よりも若干上の直径を有している
こともある。製造される締結装置のバッチ内におけるこ
うした均一性を利用して均一な変形を得ることができ、
従って、均一なトルク値を得ることができる。
装置の円周と同じ外周を有している。前記開口部が公差
域の中央にある締結装置を対象とした外周を有するよう
に顎部を製作すると、最小寸法の締結装置の場合には顎
部間の間隙が満たされないかもしれず、かつ、最大寸法
の締結装置の場合には顎部が完全に閉鎖状態にならない
かもしれない。
の間隙を若干異ならせた組状のダイプレートを製作す
る。これを実行するには、各々の顎部の分離面37から
ごく薄い層を削り取る方法が最も簡単である。対称性を
維持するために、各々のダイプレートから小量を除去す
ることが好ましい。例えば、組状のダイプレートは、各
々の顎部からそれぞれ0、5、10、15、20、2
5、及び30マイクロメートルの量が除去された6対か
らなるものであってもよい。
前記組の一対の顎部を用いてこれらを変形せしめる。そ
の後、形成された締結装置を結合させるために要するト
ルクを測定して、所定のトルクと比較する。測定値が所
定どおりでない場合には、適宜、前記組のより大、又は
小なる一対のダイプレートを用いて、さらに数個の締結
装置を変形せしめる。これによって、所定のバッチの締
結装置に用いるべき適切な対のダイプレートを迅速に識
別することができて、バッチ内の残りの締結装置につい
ては、正確に所望の値の均一なトルク値が得られる。
部19間の距離については、まだ説明していない。前記
説明と図とに示した二条ねじにおいて、各型押し部の縁
部間の距離が一方のねじ山のピッチに等しいことが望ま
しい。言い換えれば、型押し部の一方の縁部が一方のね
じ山11の頂の反対側にある場合、型押し部の他方の縁
部は、締結装置の周りに巻かれた次の山において、同じ
ねじ山の頂に沿って配される。従って介在するねじ山1
2は、型押し部の反対側中央に位置する。締結装置が一
条ねじを有したものである場合は、各型押し部の縁部間
の距離がねじ山のピッチの2倍、又は3倍であることが
好ましい。どんな場合も、ねじ山のピッチの1〜4倍が
適切と思われる。
置をねじ付き植込ボルト10に螺合させると、最初は自
在に螺合可能である。雄ねじ付き締結装置の先頭のねじ
山が、型押し部によって変形せしめられたスリーブボル
トの雌ねじ部分に達すると、引き続き螺合させることに
よって、変形可能な部分が変形して本来の円形の形状に
戻ろうとする。その結果、結合ねじ部間に生じる摩擦
が、スリーブボルトをその場に固定させる役目を果た
す。
(すなわち1インチあたり28の山数)を有した呼び1
/4インチの締結装置となる。従来の二硫化モリブデン
の表面被膜を有した鋼製ピンをこのような締結装置に用
いた。前記のようなプリベイリングトルク締結装置とし
て、型押し部を有する状態に変形させたカドミウムメッ
キの合金鋼のスリーブボルトを、着脱サイクル500回
にわたって前記ピンに対して螺合させたところ、トルク
仕様からの逸脱は見られなかった。
が、当業者には、本発明の真の趣旨及び範囲から外れる
ことなしに、さまざまな変更を行なうことができ、かつ
本発明の要素を同等物に置き換えてもよいことが理解さ
れよう。例えば、雌ねじ付きナット、すなわち、前記ス
リーブボルトを含めて、あらゆる雌ねじ付きセルフロッ
キング装置に前記圧縮変形状態の型押し部を用いること
ができる。締結装置はあらゆる所望の材料によって製作
可能であり、所望の範囲のトルク値を得るために部品の
相対的な寸法を必要に応じて調節してもよいことは明白
である。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲内に
おいて、開示された具体例とは異なる態様で、実施され
うるものである。
ルトを示す図。
付きスリーブボルトの部分略図であって、図解のため
に、二分割され本のように開かれた状態を示したもの。
ルトを示す一部断面図。
型の斜視図。
金型間の開口部の平面図。
Claims (22)
- 【請求項1】 全体的に円形の孔部を有する中空体と、
前記孔部内の雌ねじ部とからなり、前記ねじ部の一部分
が、前記中空体の直径方向両側の外面上にある一対の型
押し部によって円形の断面から略楕円形の断面へと変形
させられており、前記型押し部が各々、非変形状態の前
記中空体の外側半径と略等しい半径の円弧を有するとと
もに、前記円弧から前記中空体の軸線までの距離が前記
非変形状態の中空体の半径よりも小であり、かつ前記型
押し部間にある前記中空体外面の各部分が、前記非変形
状態の中空体の半径よりも小なる半径を有する部分から
なる、締結装置。 - 【請求項2】 前記中空体の軸線に対する各円弧の角範
囲が65〜100度の範囲内にある、請求項1の締結装
置。 - 【請求項3】 前記各型押し部が、前記中空体の軸線に
対して垂直な平面から、前記孔部内のねじのリードに対
応する角度だけ傾いている、請求項1の締結装置。 - 【請求項4】 前記孔部内のねじ山形状に対して、各々
の円弧が他方の円弧と同じ位置に配される、請求項1の
締結装置。 - 【請求項5】 各型押し部の縁部が、前記型押し部に隣
接した前記孔部内のねじ山の頂の正反対側に位置する、
請求項4の締結装置。 - 【請求項6】 全体的に円形の孔部を有する中空体と、
前記孔部内の雌ねじ部とからなり、前記ねじ部の一部分
が、前記中空体の直径方向両側の外面上にある一対の型
押し部によって円形の断面から略楕円形の断面へと変形
せしめられており、前記略楕円形の断面の短軸に張った
前記ねじ部の一部分が、非変形状態のねじ部の断面と略
等しい半径の円弧を有しており、前記円弧が65〜10
0度の範囲内の角度をなす、締結装置。 - 【請求項7】 各円弧が、前記中空体の軸線に対して垂
直な平面から、前記孔部内のねじのリードに対応する角
度だけ傾いている、請求項6の締結装置。 - 【請求項8】 前記孔部内のねじ山形状に対して、前記
各々の円弧が他方の円弧と同じ位置に配される、請求項
7の締結装置。 - 【請求項9】 前記各型押し部の縁部が、前記型押し部
に隣接した前記孔部内のねじ山の頂の正反対側に位置す
る、請求項8の締結装置。 - 【請求項10】 前記各々の円弧が、前記締結装置内に
螺入する非変形状態の雄ねじ付き締結装置と同じ曲率半
径を有する、請求項6の締結装置。 - 【請求項11】 全体的に円形の孔部を有する中空体
と、 前記孔部内の雌ねじ部と、 前記中空体の直径方向両側に各々設けられた、前記ねじ
部の一部分を変形せしめるに足る外側型押し部であっ
て、各型押し部が、前記中空体の軸線に垂直な平面か
ら、前記孔部内のねじのリードに対応する角度だけ傾い
ており、その縁部が、自身に隣合う前記孔部内のねじ山
の頂の正反対側に位置する外側型押し部とからなる、締
結装置。 - 【請求項12】 複数個の締結装置において各々のトル
ク締結装置が、 全体的に円形の孔部を有する中空体と、 前記孔部内の雌ねじ部と、 前記中空体の直径方向両側に各々設けられた、前記ねじ
部の一部分を変形せしめるに足る外側型押し部であっ
て、各型押し部が、前記中空体の軸線に垂直な平面か
ら、前記孔部内のねじのリードに対応する角度だけ傾い
ており、その縁部が、自身に隣合う前記孔部内のねじ山
の頂の正反対側に位置する外側型押し部とからなり、 前記締結装置が全て、前記それぞれの型押し部に隣合う
前記孔部内にあるねじ山形状の同じ予め定められた部分
の正反対側に位置する型押し部縁部を有している、複数
個の締結装置。 - 【請求項13】 締結装置本体内に円筒状孔部を形成さ
せるステップと、 前記孔部内に雌ねじ部を形成させるステップと、 圧縮変形装置内において、前記本体の端部が前記ねじ部
の角度位置を決める停止具と係合するまで、前記締結装
置本体を雄ねじ部に螺合させるステップと、 一対の金型を用いて前記本体の外面の一部分を圧縮変形
させて、前記ねじ部の一部分において全体的に楕円形の
断面を形成させるステップであって、各圧縮変形用金型
が、前記孔部の軸線に垂直な平面から、前記ねじのリー
ドに等しい角度だけ傾いた上下縁部を有しており、各圧
縮変形用金型の前記縁部が各々、前記停止具に対して高
さ固定される圧縮変形ステップとからなる、締結装置の
製造方法。 - 【請求項14】 前記圧縮変形ステップが、非変形状態
の本体外面の半径よりも大なる半径の円弧を有する金型
を用いて前記本体を圧縮変形させるステップからなり、
前記円弧の中心間距離が前記非変形状態の本体の直径を
下回るように前記圧縮変形用金型が閉じられる、請求項
11の方法。 - 【請求項15】 前記各型押し部の縁部が、前記型押し
部に隣接した前記孔部内にあるねじ山の頂の正反対側に
配される、請求項11の方法。 - 【請求項16】 締結装置本体内に円筒状孔部を形成さ
せるステップと、 前記孔部内に雌ねじ部を形成させるステップと、 一対の金型を用いて、前記金型を互いに当接させて閉鎖
状態にすることによって前記本体外面の一部分を圧縮変
形させて、前記ねじ部の一部分に全体的に楕円形の断面
を形成させるステップであって、各圧縮変形用金型が、
前記非変形状態の本体の半径よりも大なる半径の中央円
弧を有した円弧状顎部からなり、各円弧状顎部の全周
が、前記非変形状態の本体の円周の半分に等しい圧縮変
形ステップとからなる、締結装置の製造方法。 - 【請求項17】 前記各円弧状顎部が、前記孔部の軸線
に垂直な平面から、前記ねじのリードに等しい角度だけ
傾いた上下縁部を有する、請求項16の方法。 - 【請求項18】 前記各円弧状顎部が、自身に隣合う前
記孔部内にある前記ねじ山の頂の正反対側に配される、
請求項16の方法。 - 【請求項19】 締結装置本体内に円筒状孔部を形成さ
せるステップと、 前記孔部内に雌ねじ部を形成させるステップと、 一対の金型を用いて前記本体の外面の一部分を圧縮変形
させて、前記本体外面の直径方向両側に型押し部を形成
させるステップであって、各型押し部が、前記孔部の軸
線に垂直な平面から、前記ねじのリードに等しい角度だ
け傾いており、各型押し部が、65〜100度の範囲内
の角度にわたって前記本体の周りに円周的に延在する円
弧からなる圧縮変形ステップとからなる、締結装置の製
造方法。 - 【請求項20】 前記孔部内において前記ねじ部が、前
記圧縮変形用金型に対して所定の高さに配向されるステ
ップを含む、請求項19の方法。 - 【請求項21】 前記ねじ部が、自身の山頂が各圧縮変
形用金型の縁部の正反対側に位置する状態に配向され
る、請求項2の方法。 - 【請求項22】前記配向ステップが、前記本体の端部が
停止具に係合するまで、前記締結装置本体を雄ねじ部に
螺合せしめるステップからなる、請求項20の方法。
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