JPH06263197A - 地下タンクの混油検知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成で安価に地下タンクの混油を検知
することができる装置を実現する。 【構成】 地下タンク３内に貯留される燃料油４の気化
したガスを大気へ放出するための通気管１７にガスセン
サ２０を設け、このガスセンサ２０からの出力に基づい
て油種判定手段２１によって油種を判定し、タンクロー
リ１０から前記燃料油４と異なる油種の燃料油が荷降ろ
し注油されたとき、混油が生じたことをスピーカ２３に
よって報知する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、給油所の地下タンクの
混油を検知するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】給油所には、レギュラーガソリン、ハイ
オクガソリン、軽油および灯油などの油種毎に地下タン
クが埋設されており、これらの地下タンク内の燃料油が
予め定める貯留量以下に減少すると、タンクローリから
各油種毎に燃料油が荷降し注油される。このような荷降
し注油は、タンクローリに搭載されるホースを地下タン
クから立上がる注油管に接続して、地下タンク内の燃料
油の油種と一致する油種の燃料油が貯留される貯留室の
弁を手作業で選択的に開いて、その貯留室内の燃料油が
前記ホースおよび注油管を介して地下タンク内に導かれ
る。このとき、希ではあるが、誤操作によって油種違い
の燃料油が貯留された貯留室の弁が開放されてしまう場
合があり、これによって混油が生じてしまう。

【０００３】このような混油を防止するために従来で
は、前記注油管内を流れる燃料油の一部をサンプリング
し、そのサンプリングした燃料油の気化したガスをガス
センサに導いて油種を判定している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような先行技術で
は、前記注油管内からサンプリングした燃料油を気化す
るための気化室などを有するサンプリング手段を設けな
ければならないため、構成が複雑化してしまい、既存の
注油管へサンプリング手段を設けるための取付作業が繁
雑であり、コスト高になってしまうという問題がある。

【０００５】したがって本発明の目的は、簡単な構成で
安価に混油を検出することができる地下タンクの混油検
知装置を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、燃料油を貯留
する地下タンクと、前記地下タンクの上部で前記燃料油
が貯留される内部空間に連通し、地下タンク内の燃料油
の気化したガスを外部へ導いて大気へ放出する通気管
と、前記通気管を介して大気に放出されるガスが導か
れ、そのガスの種類に応じたガス検知信号を出力するガ
スセンサと、前記ガスセンサから出力されるガス検知信
号に基づいて、油種を判定する油種判定手段と、前記油
種判定手段からの出力に応答して、油種判定手段が混油
であると判定したとき、警報を発して報知する報知手段
とを含むことを特徴とする地下タンクの混油検知装置で
ある。

【０００７】

【作用】本発明に従えば、地下タンク内の燃料油の気化
したガスは通気管を介して大気へ放出され、このガスは
ガスセンサによって検出される。前記ガスセンサは検出
したガスの種類に応じたガス検知信号を出力し、油種判
定手段はガス検知信号に基づいて油種を判定し、混油で
あると判定したとき、報知手段に音または光などによっ
て警報を発生させて混油である旨を報知させる。

【０００８】このようにして通気管内を流れる燃料油の
気化したガスをガスセンサによって検出するようにした
ので、燃料油を気化させる必要がなくなり、したがって
燃料油をサンプリングして気化するためのサンプリング
室などを有するサンプリング手段を設ける必要がなくな
り、複雑な構成とすることなしに安価なコストで地下タ
ンクの混油を検知することができる。

【０００９】

【実施例】図１は、本発明の一実施例の混油検知装置を
示す全体の系統図である。給油所の地面１の下方には、
レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油および灯
油などの燃料油の油種毎に複数の地下タンク３が埋設さ
れ、各地下タンク３内の燃料油４は給油装置５に内蔵さ
れるポンプ（図示せず）によって給油管６を介して汲上
げられ、給油ホース７の先端部に接続される給油ノズル
８から給油を受けにきた車両の燃料タンク内に給油され
る。

【００１０】このような地下タンク３には、地面１から
上方へ立上がる注油管９が設けられ、タンクローリ１０
から燃料油がホース１２を介して荷降し注油される。前
記給油ホース１２の両端部は、カップリング１１，１３
によってタンクローリ１０のローリタンク１４に接続さ
れる管路１５と前記注油管９とにそれぞれ接続され、注
油管９に介在される緊急弁Ｖ１が開かれた状態で、タン
クローリ１０の管路１５に介在される元弁Ｖ２を開くこ
とによって、ローリタンク１４内の燃料油が地下タンク
３内に供給される。

【００１１】前記地下タンク３にはまた、上部１６から
上方へ立上がる通気管１７が接続され、地下タンク３の
内部空間１８内に貯留される燃料油４の油面１９よりも
上方に存在する燃料油の気化したガスを外部へ導いて大
気へ開放し、前記タンクローリ１０から燃料油を円滑に
地下タンク３内へ落とし込むことができるように構成さ
れる。前記通気管１７にはガスセンサ２０が設けられ、
通気管１７内を流れる燃料油の気化したガスを検出して
そのガスの種類に応じたガス検知信号ｓ１を油種判定手
段２１に出力し、混油が生じたとき報知手段であるスピ
ーカ２３に警報音を発生させて報知するように構成され
る。なお、スピーカ２３に代えて警報ランプを点滅させ
あるいはブザーなどによって警報音を発生させるように
してもよい。

【００１２】前記油種判定手段２１は、ガスセンサ２０
からガス検知信号ｓ１を入力し、このガス検知信号ｓ１
がある特定の油種、たとえば軽油に対応した弁別レベル
を超えたとき混油であると判断して混油検知信号ｓ２を
出力する油種判定回路２４と、前記混油検知信号ｓ２の
入力によって前記スピーカ２３に警報音を発生させるた
めの報知信号ｓ３を出力するとともに、緊急弁Ｖ１を閉
鎖させるための緊急弁制御信号ｓ４を出力する制御回路
２５と、閉鎖された前記緊急弁Ｖ１を開放させ、あるい
はスピーカ２３の警報動作を停止させるための複数の操
作釦を備え、この操作釦の押圧操作によって操作信号ｓ
５を前記制御回路２５に出力する入力手段２６とを有す
る。このような油種判定手段２１は、給油所の隣地との
境界線に沿って設けられる壁などにケーシング内に収容
されて設けられている。

【００１３】前記制御回路２５は、入力手段２６からの
操作信号ｓ５を受けて緊急弁制御信号ｓ４を出力して緊
急弁Ｖ１を開放させ、また報知信号ｓ３を停止してスピ
ーカ２３の報知動作を停止させる。

【００１４】図２は、ガスセンサ２０の通気管１７への
取付状態を示す拡大断面図である。前記ガスセンサ２０
は、通気管１７の途中に接続される大略的にＵ字状のガ
ス誘導管２７に設けられる。このガス誘導管２７の一端
部２８ａは、通気管１７内を流れるガスの流過方向Ａ上
流側（図２の下方）に臨んで通気管１７内で開口し、ま
たガス誘導管２７の他端部２８ｂは流過方向Ａ下流側に
臨んで通気管１７内で開口している。通気管１７内を流
れるガスの一部は、前記一端部２８ａからガスセンサ２
０が設けられる検知空間２９内に導かれて、ガスセンサ
２０によって検出された後、他端部２８ｂから排出され
る。

【００１５】前記ガスセンサ２０は、検出されるべきガ
スを希釈する必要がない接触燃焼方式であって、白金フ
ィラメントの周囲に、白金パラジウムなどの触媒を設
け、耐久処理された検知素子に前記ガスが接触すると、
そのガスが爆発下限界以下であっても接触燃焼反応を生
起し、この反応熱によって前記検知素子の温度が上昇
し、電気抵抗が大きくなって、その電気抵抗の変化をホ
イートストーンブリッジの不平衡電圧として電流変化に
よって取出すように構成されている。

【００１６】このようにして簡単な構成で通気管１７に
ガスセンサ２０を設け、燃料油の蒸気圧によって上昇し
てきたいわば自然な流れによって導かれたガスを検出す
るようにしたので、既存の給油装置の改造が少なくてす
み、安価に本発明を実施することができる。

【００１７】図３は、混油検知動作を説明するためのフ
ローチャートである。まず、ステップｎ１で検知動作が
開始され、ステップｎ２で入力手段２６の図示しない緊
急弁Ｖ１を開放させるための押圧釦を押圧操作すると、
ステップｎ３で制御回路２５は緊急弁制御信号ｓ４を出
力して、緊急弁Ｖ１を開放させるとともに、ガスセンサ
２０に駆動電力が供給されて検知動作を開始する。この
とき、給油所内に既に到着しているタンクローリ１０か
らホース１２が下ろされ、各カップリング１１，１３に
よって管路１５および注油管９にそれぞれ接続され、作
業者が元弁Ｖ２を開放して荷降し注油動作が開始され
る。

【００１８】このようにして地下タンク３内にタンクロ
ーリ１０から燃料油が注油されると、地下タンク３内の
燃料油４とタンクローリ１０から降ろされた燃料油とが
地下タンク３内で撹拌されて混合し、油面１９上には混
合した燃料油の気化したガスが充満する。ここで、地下
タンク３内の燃料油４が軽油であり、タンクローリ１０
から降ろされた燃料油がガソリンであるものと想定す
る。この場合、地下タンク３内において、軽油とガソリ
ンとが混合して軽油の気化したガスと、この軽油の気化
したガスよりも蒸気圧の高いガソリンが気化したガスと
の混合ガスが発生し、この混合ガスが前記通気管１７を
経てその排出口３０から大気へ排出される。このような
混合ガスが前記ガスセンサ２０によって検出され、ステ
ップｎ４で油種判定手段２１によって油種が判定され
る。前記タンクローリ１０から降ろされた燃料油がガソ
リンではなく軽油であれば混油はないものと判断されて
ステップｎ５へ移り、所定の注油量の燃料油が地下タン
ク３内に荷降しされるまでステップｎ４，ｎ５が繰返さ
れて油種が判定され続ける。

【００１９】このようにして油種が一致したままで所定
の注油量を注油し終えると、ステップｎ６へ移り、作業
者は前記入力手段２６の緊急弁Ｖ１閉鎖用の操作釦を押
圧操作するとともに、電源スイッチをオフ状態にする
と、ステップｎ７で緊急弁Ｖ１が閉鎖されるとともにガ
スセンサ２０への給電が停止され、ステップｎ８で検知
動作が終了する。

【００２０】前記ステップｎ４で油種が不一致であると
判断した場合には、ステップｎ９へ移り、制御回路２５
からの緊急弁制御信号ｓ４によって緊急弁Ｖ１が閉鎖さ
れるとともに、ガスセンサ２０への駆動電力の供給が停
止され、スピーカ２３は制御回路２５からの報知信号ｓ
３によって警報音を発生する。このような状態でステッ
プｎ１０へ移り、作業者が入力手段２６の警報音を停止
させるための操作釦を押圧操作することによって、制御
回路２５は報知信号ｓ３の出力を停止し、ステップｎ１
１でスピーカ２３の警報音の発生が停止される。その
後、地下タンク３内には軽油とガソリンとが混合した混
油が貯留されているので、その混油を回収し、油種の一
致を確かめた上で、再びステップｎ１へ移り、荷降し注
油が再開される。

【００２１】このようにして混油が発生しても、その混
油を顧客に販売してしまう前に検出することができるの
で、事故の発生を未然に防止し、安全性が向上されると
ともに、このような混油検知装置を既存の給油設備に関
連して容易かつ安価に実現することができる。

【００２２】図４は、本発明の他の実施例のガスセンサ
２０ａの取付状態を示す図である。本実施例のガスセン
サ２０ａは半導体方式であって、ＳｎＯ₂またはＺｎＯ
などの金属酸化物から成る焼結体に２つの電極が埋込ま
れてガス検出素子を構成し、このガス検出素子が還元性
ガスに接触することによって化学的に吸着を生じさせ、
素子内で自由電子の移動が行われて素子の電気伝導度が
増大し、この増加量を金属酸化物内にある白金線コイル
電極によって出力として取出すように構成されている。
このようなガスセンサ２０ａは、前記接触燃焼方式のガ
スセンサ２０に比べて高感度であるため、エジェクタ３
１に管路３３から加圧空気を供給して負圧を発生させ、
この負圧を管路３４を介して通気管１７に導いて通気管
１７内のガスを吸引し、この希釈されたガスを検出する
ようにしている。各管路３３，３４には電磁弁Ｖ３，Ｖ
４がそれぞれ介在され、一方の電磁弁Ｖ３を閉じて他方
の電磁弁Ｖ４を開くことによってガスセンサ２０ａに管
路３３を介する清浄な空気だけを供給してクリーニング
を行うことができる。また、ガスセンサ２０ａが検知動
作を行っている間は、各電磁弁Ｖ３，Ｖ４は開いた状態
とされ、これによってエジェクタ３１で生じた負圧を管
路３４を介して通気管１７内に導いて通気管１７内のガ
スを強制的に吸引し、ガスセンサ２０ａに迅速に通気管
１７内のガスを導くことができる。これらの電磁弁Ｖ
３，Ｖ４は、制御回路２５からの制御信号に応答して開
閉動作が制御される。

【００２３】図５は、本発明のさらに他の実施例の一部
の構成を示す図である。なお、本実施例は図４に示され
る実施例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付
す。本実施例では、ガスセンサ２０ａに供給されるガス
をさらに希釈するために、管路３３と管路３５とに連通
するバイパス管路３７が設けられ、このバイパス管路３
７には希釈量を調整するための絞り弁Ｖ５が介在され
る。またバイパス管路３７と前記管路３５との接続部３
８よりもガス空気の供給方向Ｂ上流側（図５の右方）に
は電磁弁Ｖ６が介在される。前記電磁弁Ｖ４を閉じて電
磁弁Ｖ６を開くことによって、ガスセンサ２０ａに清浄
な空気だけを供給してクリーニングを行うことができ
る。また、ガスセンサ２０ａが検出動作を行っている間
は、各電磁弁Ｖ４，Ｖ６はともに開いておき、前記絞り
弁Ｖ５によって希釈量を調整することができる。

【００２４】さらに本発明の他の実施例として、図１お
よび図２に示される実施例の接触燃焼方式のガスセンサ
２０を用いる場合において、このガスセンサ２０へ通気
管１７へのガスを早く供給したい場合には、図６に示さ
れるように強制吸引用のポンプ３９を設けて、通気管１
７内のガスを強制的に吸引するようにしてもよい。

【００２５】さらに本発明の他の実施例として、ガスセ
ンサ２０へのガスの供給速度に迅速化が要求されず、ま
た通気管１７の改造をさらに少なくしたい場合には、図
７に示されるように、通気管１７の上端部４０に取付け
られるカバー体４３の下方に向けて開口する前記排出口
３０に近接してガスセンサ２０を図示しない取付金具な
どを用いて設けるようにしてもよい。前記排出口３０に
はたとえば２０〜６０メッシュ程度の引火防止用金網４
４が装着されており、排出口３０がガスセンサ２０との
間隔Ｈを調整することによってガスセンサ２０に供給さ
れるガスの希釈量を調整することができる。なお、前記
接触燃焼方式のガスセンサ２０に代えて半導体方式のガ
スセンサ２０ａを用いるようにしてもよい。

【００２６】上述の実施例では、接触燃焼方式および半
導体方式のガスセンサを用いるようにしたけれども、本
発明の他の実施例として、熱線形熱伝導方式、隔膜ガル
バニ電池方式およびジルコニア方式などの各種ガスセン
サを適宜選択して用いるようにしてもよい。

【００２７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、地下タン
ク内のガスが通過する通気管に関連してガスセンサを設
けるようにしたので、構成が簡単であり、既存の給油関
連設備に大きな改造を加えることなしに容易にガスセン
サを設けることができ、安価に混油検知装置を実現する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の混油検知装置を示す全体の
系統図である。

【図２】ガスセンサ２０の通気管１７への取付状態を示
す一部の断面図である。

【図３】混油検知動作を説明するためのフローチャート
である。

【図４】本発明の他の実施例のガスセンサ２０ａを備え
る混油検知装置を示す一部の断面図である。

【図５】本発明のさらに他の実施例の混油検知装置を示
す一部の断面図である。

【図６】本発明のさらに他の実施例の混油検知装置を示
す一部の断面図である。

【図７】本発明のさらに他の実施例の混油検知装置を示
す一部の断面図である。

【符号の説明】

３ 地下タンク ４ 燃料油 ５ 給油装置 ９ 注油管 １０ タンクローリ １７ 通気管 １８ 内部空間 ２０，２０ａ ガスセンサ ２１ 油種判定手段 ２３ スピーカ Ｖ１ 緊急弁 Ｖ２ 元弁 Ｖ３，Ｖ４，Ｖ６ 電磁弁 Ｖ５ 絞り弁 ｓ１ ガス検知信号 ｓ２ 混油検知信号 ｓ３ 報知信号 ｓ４ 緊急弁制御信号 ｓ５ 操作信号

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料油を貯留する地下タンクと、 前記地下タンクの上部で前記燃料油が貯留される内部空
   間に連通し、地下タンク内の燃料油の気化したガスを外
   部へ導いて大気へ放出する通気管と、 前記通気管を介して大気に放出されるガスが導かれ、そ
   のガスの種類に応じたガス検知信号を出力するガスセン
   サと、 前記ガスセンサから出力されるガス検知信号に基づい
   て、油種を判定する油種判定手段と、 前記油種判定手段からの出力に応答して、油種判定手段
   が混油であると判定したとき、警報を発して報知する報
   知手段とを含むことを特徴とする地下タンクの混油検知
   装置。