JPH0626039Y2

JPH0626039Y2 - 回転電機の回転子

Info

Publication number: JPH0626039Y2
Application number: JP7034488U
Authority: JP
Inventors: 裕二大山
Original assignee: Mitsubishi Electric Corp
Current assignee: Mitsubishi Electric Corp
Priority date: 1988-05-30
Filing date: 1988-05-30
Publication date: 1994-07-06
Anticipated expiration: 2003-05-30
Also published as: JPH01180837U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］この考案は、回転電機の回転子、特に、回転子側にも回
転子コイルを有する回転電機の回転子に関するものであ
る。

［従来の技術］回転子側にも回転子コイルを備えている巻線形回転子に
おける従来の回転子鉄心の構造を示すと、例えば、東京
電機大学出版局発行の標準電気機器講座・誘導機（Ｐ７
〜Ｐ９）に示されているように、１個の円板状に打ち抜
かれたけい素鋼板を積層して構成されている。

しかしながら、大形の回転電機においては、上記打ち抜
きに使用する抜き型の製作上の制限により、例えば、第
２図、第３図及び第４図に示すように、扇形に打ち抜き
成形された薄板けい素鋼板を、一円に配列すると共に積
層して、回転子鉄心は構成されている。

図において、符号(1)は回転子鉄心であって、(1a)は打
抜きけい素鋼板からなる回転子鉄心素片、(2)は回転子
鉄心素片(1a)を回転子鉄心(1)に構成後に回転子コイル
を挿入するための所定ピッチ及び大きさの溝、(3)は各
回転子鉄心素片(1a)を結合して回転子鉄心(1)にするた
めに締付ボルトが貫通する締付ボルト穴、(4)は回転子
鉄心(1)を例えばスパイダボスに結合するためのキー
溝、(5)は回転子を通風冷却するための通風用ダクト、
(6)は回転子コイル、(7)は回転子鉄心素片(1a)を締め付
けて一体的にする回転子鉄心締付用押え板、(8)は通風
用ダクト(5)や固定子、回転子に送風する通風ファン、
(9)はスパイダボス、(10)は回転軸である。

次に上記従来の回転子の製作方法について説明する。

一般に、大口径の回転子鉄心(1)は、抜き型の製作、使
用における制限上、第２図に示すように扇形に薄板けい
素鋼板を打ち抜いて回転子鉄心素片(1a)を形成し、これ
を第３図の断面図において示すように、通風ダクト(5)
を設けながら、円筒上に積み重ねる。積み重ねられた回
転子鉄心素片(1a)は、締付ボルト用穴(3)に締付ボルト
を通し、かつ、積み重ねられた回転子鉄心素片(1a)の上
下端部に回転子鉄心締付用押え板(7)を上記締付ボルト
を貫通させて設け、この締付ボルトにより、軸心方向に
所定の面圧で締め付けて回転子鉄心(1)を構成する。

一方、回転子鉄心(1)の外周側には、回転子コイル(6)を
挿入するための溝(2)が設けられており、回転子鉄心(1)
構成後、回転子コイル(6)は、溝(2)内に挿入されると共
に、その外端部にくさびを挿入することにより溝(2)内
に固定される。

また、スパイダボス(9)と回転子鉄心(1)との間のトルク
伝達は、キー溝(4)に挿入されるキーを介して行なわれ
る。

上記のように、回転子鉄心素片(1a)は一円に配列され積
層されるが、その方法を、例えば、回転子鉄心素片積み
の1/4ラップ積みの場合を例にとって第４図に示す。

第２図に示す扇形形状の薄板けい素鋼板からなる回転子
鉄心素片(1a)はスパイダボス(9)の外周に一円に並べら
れる。第４図の例では、１０枚の扇形の回転子鉄心素片
(1a)を並べると一円になり、それぞれのセクターの割れ
位置は、符号(11)で示される太線部分になる。

次に２段目の回転子鉄心素片(1a)が、１段目の割れ位置
(11)から1/4セクター分だけずれた位置に割れ位置がく
るように一円に並べられると、符号(12)の細線で示す部
分に第２段目のセクターの割れ位置が配置される。

同様の要領で、３段目及び４段目の回転子鉄心素片(1a)
を1/4ずつずらせて積んでいくと、それぞれのセクター
の割れ位置は、符号(13)(14)で示す位置になる。

従来の回転子鉄心(1)は、上記の要領で、通風ダクト(5)
を設けながら、所定の鉄心長さまで積んで円筒構造とさ
れる。

この回転子鉄心(1)は、回転子鉄心素片(1a)を積み重ね
た後、上、下端部で回転子鉄心締付用押え板(7)を介し
て締付ボルトによって所定の面圧で締め付けて構成され
ている。

従来の回転子鉄心は、上記のように構成されているが、
電気機器が大形となって、その回転子の大きさが輸送許
容範囲を超過する場合には、輸送のために回転子を分解
する必要がある。

この輸送時の回転子の分解作業及び再組立作業を容易、
短時間化かつ高信頼性たらしむるために、第５図及び第
６図に示すように、回転子鉄心を円周方向に複数個に分
割して扇形に形成したセクター鉄心素片を積層して扇形
状にブロック化して構成したセクター鉄心(15)とし、複
数個のセクター鉄心(15)を回転子リム(16)あるいは直接
スパイダボス(9)の外周に取り付けて回転子を構成する
ことも提案されている。この場合、溝(2)内に回転子コ
イル(6)を挿入したままの状態で回転子を分割できるよ
うに、即ち分割時に溝(2)が分割されないように、各セ
クター鉄心(15)の外周部の円周方向両端部分には歯部が
位置している。このとき、回転子コイル(6)により発生
される磁束の分布が回転子の円周方向で均一になるよう
に、円周方向両端分割の歯部の歯幅は、他の歯部の歯幅
の1/2にされている。

［考案が解決しようとする課題］上記のように、複数個のセクター鉄心によって回転子鉄
心を構成する場合には、セクター鉄心の円周方向両端部
分に位置する歯部の幅は、他の歯部の幅の1/2と狭いた
めに、鉄心積層時に、十分な締付力が得られず、円周方
向両端部分の歯部相互間に隙間が生じ、セクター鉄心素
片がめくれたり、通風ダクト用のスペーサが飛び出した
りする恐れがあり、また該歯部が振動して、最悪の場合
には該歯部が疲労破壊する恐れがあるなどの欠点があ
り、この欠点を解決したいという課題を有していた。

この考案は、上記のような課題を解決するためになされ
たもので、回転子鉄心は複数個のセクター鉄心を一円に
配列することによって構成されると共に、セクター鉄心
の円周方向の両端部分に位置するセクター鉄心の歯部
も、十分な締付力が与えられている回転電機の回転子を
得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］この考案に係る回転電機の回転子、特に、回転子鉄心
は、円周方向に複数個に分割されて扇形に形成されてい
る薄鋼板から成るセクター鉄心素片を積層すると共に１
ブロックに構成されているセクター鉄心により構成さ
れ、そのセクター鉄心の円周方向両端部分に位置してい
る歯部のみの歯幅を、他の部分の歯部の歯幅の1/2より
も、幅広に構成しているものである。

［作用］この考案における回転子鉄心は、運搬のための分解、再
組立がセクター鉄心を単位として行なわれ、かつ、セク
ター鉄心の円周方向の両端部分に位置する歯部の歯幅
は、他の部分の歯部の歯幅の1/2よりも、幅広に構成さ
れているために、両端部分の歯部も十分な締付力が確保
でき、積層されているセクター鉄心素片のめくれや通風
ダクト用のスペーサの飛出し等の事故の発生もない。

［実施例］以下、この考案をその一実施例を示す図に基づいて説明
する。なお、符号(2)は従来装置と同様の回転子コイル
を挿入する溝である。

第１図に示すものは、円周方向に複数個に分割されて扇
形に形成されている薄鋼板から成るセクター鉄心素片(1
5a)を積層して扇形ブロックに構成したセクター鉄心(1
5)であり、このセクター鉄心(15)を複数個一円に配列し
て、回転子鉄心が構成される。また、符号(21)は回転子
リム(16)あるいはスパイダボスにこのセクター鉄心(15)
を固定するためのダブテイルである。

更に、セクター鉄心(15)には、その外周に回転子コイル
(6)を挿入するための溝(2)があり、この溝(2)間で形成
される歯部(22)の内、セクター鉄心(15)の円周方向両端
の歯部(22a)は、上記のように、隣接するセクター鉄心
(15)の端の歯部(22a)と接して１個の歯部を構成するた
めに、通常、その歯幅は他の部分の歯部(22)の歯幅の1/
2に構成されるが、この実施例にあっては、セクター鉄
心の両端部分に位置する歯部(22a)の歯幅bt₂を他の部分
の歯部(22)の歯幅bt₁の1/2より幅広の構造としている。
すなわち、bt₂＞bt₁/2とすれば、図のように回転子鉄心
を分割してセクター鉄心(15)の組合せとし、そのセクタ
ー鉄心(15)をセクター鉄心素片(15a)を積層して構成し
ている場合でも、セクター鉄心の両端部の歯部(22a)で
も十分な締付力が確保でき、従って、部分的なセクター
鉄心素片(15a)のめくれや、締付力が不十分であること
により発生する通風ダクトスペーサの飛出し等の欠点も
なくなる。また、歯部(22a)が振動して、疲労破壊する
ような事故も防止される。

ここで、歯部(22a)の歯幅bt₂を1/2bt₁よりも大きくする
と、磁束の分布が回転子の円周方向である程度不均一に
なるが、締付力が大きくなることによる効果と比べる
と、その影響は小さい。但し、歯幅bt₂を必要以上に大
きくすれば電気的影響、即ち磁束分布の不均一が無視で
きなくなると共に、必要な溝数の確保が困難となるの
で、歯幅bt₂は、十分な締付力を確保しつつ、必要な溝
(2)の数を確保し、かつ電気的な影響が許容範囲内とな
るように、各機器毎に決定すればよい。また、歯幅を部
分的に変えることにより、回転子形状の円周方向の対称
性が損なわれ、回転の円滑性が損なわれることも考えら
れるが、その影響は小さく、特にセクター鉄心(15)に分
割されるような大形の機器にあっては、回転の慣性が大
きいため、殆ど問題とはならない。

なお、上記実施例では、歯部(22)(22a)はすべて締付板
により積層されているセクター鉄心を締め付ける場合を
例にとって示したが、この両端部の歯部(22a)のみ、通
しボルトを取り付けて、局部的に締め付けるようにして
もよい。この場合には、この歯部(22a)を十分に幅広と
しているために、ボルト穴を設けても、歯部の磁束密度
が異常に高くならない等の効果も期待できる。

［考案の効果］以上のように、この考案によれば、回転子鉄心が、円周
方向に複数個に分割されて構成されている複数個のセク
ター鉄心により構成され、かつ、セクター鉄心の両端部
分に位置する歯部の歯幅のみ、他の部分の歯部の歯幅の
1/2よりも幅広となるように構成しているので、運搬に
際しての分解、再組立も迅速、容易で信頼性にも富み、
また、セクター鉄心素片を１ブロック状に積層してセク
ター鉄心を構成しており、かつ、歯部において分割され
ている場合でも、両端部分の歯部も、十分な締付力を確
保でき、従って、信頼性の高い回転電機の回転子が得ら
れる効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例によるセクター鉄心を示す
斜視図、第２図は従来の回転子鉄心を構成する鉄心素片
の平面図、第３図は第２図の鉄心素片により構成した回
転子の断面図、第４図は第２図の鉄心素片の配列積層
図、第５図は従来例を改良した回転子鉄心の横断面図、
第６図は第５図の回転子鉄心の一部詳細図である。 (2)……溝、(6)……回転子コイル、(10)……回転軸、(1
5)……セクター鉄心、(15a)……セクター鉄心素片、(2
2)(22a)……歯部。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】回転軸に間接的に結合されていると共に固
定子に対して空隙を介して対向して磁気回路の一部を構
成し、かつ外周部に回転子コイルが挿入される溝とこれ
ら溝間に位置する歯部とが形成されている円筒形状の回
転子鉄心が、円周方向に複数個に分割されて扇形に形成
されている薄鋼板から成るセクター鉄心素片を軸心方向
に積層すると共に積層されたセクター鉄心素片を貫通す
る締付ボルトによって１ブロックに構成されている複数
個のセクター鉄心により構成されている回転電機の回転
子において、上記セクター鉄心の外周部の円周方向両端
部分に歯部が位置しており、これら円周方向両端部分に
位置する歯部の歯幅が、他の歯部の歯幅の1/2よりも幅
広に構成されていることを特徴とする回転電機の回転
子。