JPH0625607B2 - 燃焼装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は燃焼に必要な空気をファンで強制給気する燃焼
装置に関するものである。

（従来の技術） 従来、湯沸器等の燃焼装置において、燃焼に必要な空気
をファンで強制給気する形式のものでは、バーナの燃焼
量に応じて適切な給気量となるようにあらかじめ設定さ
れた目標回転数にファンを制御していた。また、燃焼に
必要な空気を全て一次空気として燃料ガスと予混合する
全一次空気式の燃焼装置のように、適正な燃焼をさせる
空燃比の余裕範囲が狭いものでは、燃焼ガス温度を検出
する温度センサを設け、空燃比と、燃焼ガス温度との相
関関係に基づいて、燃焼量とは無関係に温度センサの出
力に応じてファンの回転数を制御するものが提案されて
いる。（例えば特開昭６０−１６９０１３号公報） （発明が解決しようとする課題） 前者のものでは、ファンの回転数を目標回転数に保って
も給排気抵抗の変化や給気温度の変化などによって空燃
比が変化するため全一次空気式のように空燃比余裕の小
さいものでは適正な燃焼を維持できない問題点を有して
いた。

後者のものでは、燃焼ガス温度の検出のために高温用の
温度センサを用いるからセンサ自体の応答遅れが大きい
ということもあって、燃焼量を変化させても給気量（フ
ァンの回転数）はなかなか追従せず、燃焼量の変化範囲
が大きい場合には顕著な異常燃焼に陥る問題点を有して
いた。

本発明の燃焼装置は上記従来の問題点を解決し、燃焼量
と給気量とを迅速に対応させると共に空燃比変化を補正
して適正な空燃比を保つことができ、全一次空気式にも
好適な燃焼装置の提供を目的としている。

（課題を解決するための手段） 本発明の燃焼装置は上記の目的を達成するために次のよ
うな構成としている。

バーナと、該バーナに燃焼用空気を供給するファンと、
燃焼量に応じてあらかじめ設定された目標回転数信号を
出力する回転数設定手段と、ファンの回転数を目標回転
数に制御するファンモータ制御手段とを有するものにお
いて、燃焼ガス温度を検出する温度センサと、該温度セ
ンサからの出力が設定範囲外の値のとき前記目標回転数
信号を補正する回転数補正手段を設け、温度センサの出
力の設定範囲は、ファンモータ制御手段の制御速度に応
じて可変するように構成している。

また、回転数補正手段からの補正信号を遮断する手段を
付加し、バーナの消火から再着火までの時間の長さに応
じて補正信号を遮断する時間を可変してもよい。

また、回転数補正手段からの補正信号があらかじめ設定
した上限値並びに下限値を越えないように規制する手段
を設けてもよい。

（作用） ファンの回転数は燃焼量設定信号に基づいて、燃料ガス
供給量の制御と同期して目標回転数にフィードフォワー
ド制御され、燃焼量の変化に迅速に追従すると共に、温
度センサの出力に基づいて補正制御される。この補正制
御は、温度センサ出力の最適値を基準に幅をもたせた設
定範囲を定め、温度センサの出力がこの設定範囲外の値
のときに働くので、温度センサの応答遅れによる出力値
のズレが設定範囲の幅におさまれば、ファンの回転数が
ハンチングすることはない。

そして、この設定範囲を可変する場合には、ファンモー
タ制御手段の制御速度が速いときほど設定範囲を広くす
る。

また、回転数補正手段からの補正信号は、バーナの着火
直後は遮断され、温度センサの出力が立上がって安定す
るまでの間は回転数の補正制御は全く行われない。但
し、その遮断時間は、バーナの消火から再着火までの時
間によって変化する。

また、補正制御により、増減させる回転数（補正量）
は、回転数補正手段からの補正信号があらかじめ設定し
た上限値並びに下限値を越えないように規制されるため
一定限度を越えることはない。

（実施例） 本発明の実施例を図面を参照して説明する。第５図は本
発明に係る燃焼装置（ガス湯沸器）の概略構成図であ
り、１は多数の炎孔を備えるセラミック製のプレートを
用いたバーナ、２は混合室、３は給気用のファンであ
る。ファン３から混合室２への給気路の途中にガスノズ
ル４が設けられ、ガスノズル４への燃料ガス供給路には
比例弁５を設けている。６は温度センサであり、バーナ
１の燃焼ガス炎の温度を検出し、燃焼量を変えても最適
空燃比のときの出力が略一定となるように火炎を貫通す
る位置に設けている。７は熱交換器であり、入水路８に
は流量センサ９と入水温度センサ１０とを設け、出湯路
１１には出湯温度センサ１２を設けている。１３は制御
装置、１４は湯温設定器である。

第１図は本発明の基本的構成を示す制御ブロック図であ
り、燃焼量設定手段１５、前記湯温設定器１４で設定さ
れた設定温度と、入水温度センサ１０が検出する入水温
度と、流量センサ９が検出する流量とに基づいて演算す
るフィードフォワード量と、上記設定温度と出湯温度セ
ンサ１２が検出する出湯温度との偏差に基づいて演算す
るフィードバック量とを合成して燃焼量を設定し、比例
弁制御手段１６と回転数設定手段１７に出力する。比例
弁制御手段１６は燃焼量設定信号に応じて前記比例弁５
に印加する電圧もしくは電流値を制御し、回転数設定手
段１７は燃焼量設定信号に応じてあらかじめ設定されて
いる目標回転数信号を出力する。この目標回転数信号
は、温度センサ６の出力に基づいて回転数補正手段１８
が出力する補正信号によって補正され、ファンモータ制
御手段１９に入力される。ファンモータ制御手段１９は
回転数検出手段２０が検出した回転数をフィードバック
してファン３の回転数を目標回転数に制御する。

温度センサ６の出力は、回転数補正手段１８にあらかじ
め設定、記憶されている制定範囲と比較され、温度セン
サ６の出力が設定範囲外の値のときには、設定範囲内の
値となるように補正信号が出力される。すなわち、燃焼
ガス温度が適正範囲より低いときには回転数を増加、高
いときには回転数を減少させるように回転数補正手段１
８から補正信号が出力され、回転数設定手段１７から出
力される目標回転数信号を補正してファン３の回転数を
制御するのである。第６図に示すように、時間ｔ１にお
いて温度センサ６の出力が設定範囲外の値となり、時間
ｔ２で設定範囲内の値に復帰した場合、時間ｔ２におい
て回転数補正手段１８からの補正信号が変化しなくなっ
てファン３の回転数は一定となるが、温度センサ６の出
力は応答遅れのためにその後も変化する。しかし、この
出力のズレが設定範囲の幅におさまれば回転数補正手段
１８からの補正信号は変化せずファン３の回転数のハン
チングは生じない。

第２図は本発明の第１の実施例を示し、第１図の基本的
構成に加えて、ファンモータ制御手段１９の制御速度に
応じて温度センサ６の出力の設定範囲を可変設定する範
囲設定手段２１を設け、回転数補正手段１８は範囲設定
手段２１で設定された設定範囲と温度センサ６の出力と
に基づいて補正信号を出力するようにしている。

ファンモータ制御手段１９の制御速度が速い場合には第
７図に示すように設定範囲は広く設定され、時間ｔ３か
らｔ４までファン３の回転数が補正制御された後の温度
センサ６の出力変化が大きくても設定範囲を越えにくい
ようになってファン３の回転数のハンチングは一層生じ
にくくなるのである。

第３図は本発明の第２の実施例を示し、第１図の基本的
構成に加えて、回転数補正手段１８からの補正信号を遮
断する遮断手段２２を設けてあり、バーナ１の着火初期
には温度センサ６はその熱容量の大きさのために出力が
立上がって安定するまでに時間がかかるので、着火直後
の一定時間は遮断手段２２を作動させ、むやみにファン
３の回転数に補正制御がかからないようにしている。

燃焼を停止した後に短時間で再着火するような場合には
温度センサ６の温度がまだ比較的高いので出力が安定す
るまでの時間は短いから、バーナ１の消火の検知から着
火までの時間を計測し、その時間の長さに応じて遮断手
段２２の作動時間を可変設定するように構成している。
第４図は本発明の第３の実施例を示し、第１図の基本的
構成に加えて、回転数補正手段１８からの補正信号を規
制する規制手段２３を設けている。すなわち、規制手段
２３を補正信号を入力して、あらかじめ設定した上限値
並びに下限値と比較し、補正信号が上限値を越えるとき
には該上限値を、下限値を越えるときには該下限値を出
力し、回転数の補正量が一定限度を越えないようにして
いる。

尚、上限値、下限値は、回転数設定手段１７が設定する
目標回転数に対する割合、例えば、目標回転数の±２０
％と設定するようにしてもよい。

（発明の効果） 本発明の燃焼装置は以下に示すようなすぐれた効果を奏
するものである。

第１に、燃焼量と給気量とを迅速に対応させることがで
きると共に、給排気抵抗の変化や給気温度の変化などに
よる空燃比の変化を補正して適正な空燃比に制御するこ
とができる。しかも応答遅れが大きい温度センサを用い
るにもかかわらず、ファンの回転数のハンチングを少な
くすることができ、安定した空燃比制御を行うことがで
き、しかもファンの回転数の制御速度に応じて温度セン
サの出力の設定範囲を可変するので、回転数の制御速度
が速くてもファンの回転数がハンチングすることを低減
でき、ファンの回転数の安定性が一層向上する。

第２に、バーナの着火直後などのように温度センサの出
力が不安定な場合には、むやみにファンの回転数を補正
制御せず、温度センサの特性に起因して給気量の安定性
をそこなうことを防止でき、しかも、コールドスター
ト、ホットスタートそれぞれに適したタイミングで補正
制御を開始できる。

第３に、温度センサの出力に基づくファンの回転数の補
正は一定限度の補正量を越えることがないので、燃焼量
に応じてあらかじめ設定した回転数から何らかの原因で
大きく離れてしまう異常な制御状態に陥ることを未然に
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の基本的構成を示す制御ブロック図、第
２図は本発明の第１の実施例を示す制御ブロック図、第
３図は本発明の第２の実施例を示す制御ブロック図、第
４図は本発明の第３の実施例を示す制御ブロック図、第
５図は本発明に係る燃焼装置の概略構成図、第６図は温
度センサの出力変化とファンの回転数制御特性の一例を
示す特性図、第７図は温度センサの出力変化とファンの
回転数制御特性の他の例を示す特性図である。 １……バーナ ３……ファン ６……温度センサ １７……回転数設定手段 １８……回転数補正手段 １９……ファンモータ制御手段 ２１……範囲設定手段 ２２……遮断手段 ２３……規制手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡 和生 兵庫県神戸市中央区明石町32番地 株式会 社ノーリツ内 (72)発明者 江上 豊彦 兵庫県神戸市中央区明石町32番地 株式会 社ノーリツ内 (72)発明者 田村 卓弘 兵庫県神戸市中央区明石町32番地 株式会 社ノーリツ内 審査官 井上 哲男 (56)参考文献 特開 昭62−266318（ＪＰ，Ａ)

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バーナと、該バーナに燃焼用空気を供給す
   るファンと、燃焼量に応じてあらかじめ設定された目標
   回転数信号を出力する回転数設定手段と、ファンの回転
   数を目標回転数に制御するファンモータ制御手段とを有
   するものにおいて、燃焼ガス温度を検出する温度センサ
   と、該温度センサからの出力が設定範囲外の値のとき前
   記目標回転数信号を補正する回転数補正手段を設け、温
   度センサの出力の設定範囲をファンモータ制御手段の制
   御速度に応じて可変するようにしたことを特徴とする燃
   焼装置。
2. 【請求項２】バーナと、該バーナに燃焼用空気を供給す
   るファンと、燃焼量に応じてあらかじめ設定された目標
   回転数信号を出力する回転数設定手段と、ファンの回転
   数を目標回転数に制御するファンモータ制御手段とを有
   するものにおいて、燃焼ガス温度を検出する温度センサ
   と、該温度センサからの出力が設定範囲外の値のとき前
   記目標回転数信号を補正する回転数補正手段と、該回転
   数補正手段からの補正信号を遮断する手段とを設け、バ
   ーナの消火から再着火までの時間の長さに応じて上記遮
   断手段の作動時間を可変するようにしたことを特徴とす
   る燃焼装置。
3. 【請求項３】バーナと、該バーナに燃焼用空気を供給す
   るファンと、燃焼量に応じてあらかじめ設定された目標
   回転数信号を出力する回転数設定手段と、ファンの回転
   数を目標回転数に制御するファンモータ制御手段とを有
   するものにおいて、燃焼ガス温度を検出する温度センサ
   と、該温度センサからの出力が設定範囲外の値のとき前
   記目標回転数信号を補正する回転数補正手段と、該回転
   数補正手段からの補正信号があらかじめ設定した上限値
   並びに下限値を越えないように規制する手段とを設けた
   ことを特徴とする燃焼装置。