JPH06254164A - 医療用チューブの製造方法 - Google Patents

医療用チューブの製造方法

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JPH06254164A
JPH06254164A JP4153793A JP4153793A JPH06254164A JP H06254164 A JPH06254164 A JP H06254164A JP 4153793 A JP4153793 A JP 4153793A JP 4153793 A JP4153793 A JP 4153793A JP H06254164 A JPH06254164 A JP H06254164A
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JP
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tube
reinforcing member
inner layer
tube body
mold
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JP4153793A
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English (en)
Inventor
Tadashi Kozai
正 香西
Toshiaki Takagi
俊明 高木
Hisao Imoto
久夫 井本
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チューブを補強する線材の巻き付けやピッチ
調整などの複雑な工程がない、簡素化した工程でキンク
のない医療用チューブを製造する。 【構成】 チューブ本体の内層を芯金上に形成する。こ
の内層および芯金を金型40Aの内層装着部41および
芯金装着部45に装着する。ポリエチレンテレフタレー
ト等の剛性の高い樹脂を、成形機からランナー44およ
びゲート43を介して補強部材形成部42に射出する。
射出された樹脂は冷却され固化し、螺旋状の補強部材が
内層の外面に形成される。その後、補強部材と補強部材
の形成されていない内層の外面にチューブ本体の外層を
形成し、補強部材が埋設されたチューブ本体を得る。こ
のチューブ本体にコネクタ等を取り付けて医療用チュー
ブを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、補強部材を有する医療
用チューブ、特に、手術時の全身麻酔や手術後の人工呼
吸管理、自律呼吸の補助、さらには長期呼吸管理等に使
用される気管内チューブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、麻酔用あるいは人工呼吸管理
に用いる気体を生体内に送り込む気管内チューブが使用
されている。図11に示すように、気管内チューブ90
は、患者92の気管93に挿入され、シリンジ等を用い
て空気をパイロットバルーン94の後部にある逆止弁9
1を介して圧入することにより、先端部のカフ95が拡
張させられて気管93内に気管を密封するように固定さ
れ、その基端に装着されたコネクタ96、蛇管97を経
て、図示しない麻酔器もしくは人工呼吸器等に接続して
使用される。また、自律呼吸の補助用、小児用あるいは
短時間の使用に用いられる、カフ95を備えない形態の
気管内チューブもあり、これらは気管を密封しない状態
で使用されるものである。
【0003】これらの気管内チューブは、患者92の気
管93への挿入時に、折れ曲がり(キンク)を生じ、チ
ューブに形成されたメインルーメンを閉塞することがあ
り、問題となっている。特に、脳や耳鼻科関連の手術を
行う場合、患者をうつぶせ等の特殊な体位とすることが
多く、そのため、前記気管内チューブのキンクが生じ易
い。そこで、補強効果を得るために、チューブ内に、螺
旋状に形成された金属製(ステンレス製)の線材を埋設
した医療用チューブが開発されている(特公平60−1
5339号)。そして、このような医療用チューブの製
造方法としては、主に以下のようなものが採用されてい
る。
【0004】[1]ディッピング法 予め成形されたチューブを芯金の上に被せるか、塗布あ
るいはディッピング等により芯金上に芯となる内側チュ
ーブを形成し、そのチューブ上に金属製の線材をブレー
ダ等の装置を用いて螺旋状に巻き付けるか、または予め
螺旋状に形成された金属線材を配置し、その後軟質ポリ
塩化ビニル、シリコーン等の液状樹脂を塗布あるいはデ
ィッピングし、加熱することにより、金属線材の埋設さ
れた医療用チューブを製造する。
【0005】[2]連続被覆法 プラスチック製または金属製の芯線上に、ディッピング
等により芯となる内側チューブを形成し、その上に金属
線材を螺旋状に連続して巻き付け、さらに樹脂を連続的
に被覆し、芯線を引き抜いて、金属線材の埋設された医
療用チューブを製造する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
製造方法には以下のような欠点があった。 [1] ディッピング法において、金属線材を内側チュ
ーブに巻き付ける場合は、線材の巻き付け始めおよび巻
き付け終りの余分な箇所を切断処理する必要があるが、
金属製の線材を切断するのは困難を伴い、さらに、巻き
付け工程自体長時間を要するため、製造に多大な労力が
必要であった。また、螺旋状の線材を被せる場合でも、
補強効果を一定とするために線材のピッチを調整し固定
する工程が必要となり、やはり製造工程の繁雑さを招い
ていた。
【0007】[2] チューブの先端を所定の形状に成
形(先端加工)するため、およびチューブの基端にコネ
クタを装着可能とするために、チューブの両端部には、
金属線材が埋設されていない部分を形成する必要があ
る。連続成形法では、金属線材が埋設されたチューブを
製品寸法に裁断してから別部材を接合するか、あるいは
金属線材を部分的に巻き付けないことにより、上記部分
を形成することになる。しかしながら、別部材を接合す
る方法では線材が埋設されたチューブの切断、および切
断面の平滑処理が困難であり、また、部分的に線材を巻
き付けない方法には、連続した芯線上に線材を断続的に
巻き付けること自体が技術的に難しいという問題があっ
た。
【0008】[3] 気管内チューブの場合、その使用
状態を考慮して、製造後に外力を付加しないとき(自然
状態)にチューブが湾曲するように加工し、さらに上記
の先端加工も行うため、製造工程が繁雑であった。
【0009】[4] また、チューブ自体は通常軟質ポ
リ塩化ビニル、シリコーンゴム等の軟質樹脂またはエラ
ストマーで構成されるが、これらと埋設された金属線材
との密着性が低いため、金属線材が剥離する場合があっ
た。さらに、万一歯等でチューブの外表面を損傷した場
合、埋設された金属線材が露出し、体内の組織を傷つけ
る虞れがあった。
【0010】このような金属線材の代わりに、剛性を有
するプラスチック製の線材を用いることも考えられる。
このような線材を用いればチューブの切断は容易となり
製造の労力を低減でき、かつ線材の剥離等の虞れも低減
するが、巻き付け工程やピッチの固定工程、および補強
部材が埋設されていない部分を後付けする工程を要する
点は前記金属線材と同様である。
【0011】本発明の目的は、補強部材が埋設された医
療用チューブを簡略に製造できる医療用チューブの製造
方法を提供することにある。
【0012】
【問題点を解決するための手段】このような目的は、下
記(1)の本発明により達成される。また、下記(2)
ないし(5)であるのが好ましい。
【0013】(1) 可撓性を有するチューブ本体と、
該チューブ本体の長手方向に沿って形成されたメインル
ーメンと、該メインルーメンの外周の前記チューブ本体
内に埋設された樹脂製の補強部材とを有する医療用チュ
ーブの製造方法であって、 (A)前記チューブ本体の内層を形成する第一工程 (B)前記内層の外面に前記補強部材を射出成形または
トランスファー成形により形成する第二工程 (C)前記補強部材と前記補強部材が形成されていない
前記内層の外面に前記チューブ本体の外層を形成する第
三工程 の各工程を有することを特徴とする医療用チューブの製
造方法。
【0014】(2) 前記(B)工程において、前記内
層を湾曲させた状態で前記補強部材を形成する上記
(1)に記載の医療用チューブの製造方法。
【0015】(3) 前記(C)工程において、前記外
層の形成と同時に前記チューブ本体の先端形状を形成す
る上記(1)または(2)に記載の医療用チューブの製
造方法。
【0016】(4) さらに、前記チューブ本体にイン
フレーションルーメンを形成する工程と、内部が前記イ
ンフレーションルーメンの一端部と連通する拡張、収縮
自在な拡張体を設置する工程とを有する上記(1)ない
し(3)のいずれかに記載の医療用チューブの製造方
法。
【0017】(5) 前記インフレーションルーメンの
形成は、前記(C)工程における前記外層の形成と同時
に行う上記(4)に記載の医療用チューブの製造方法。
【0018】
【発明の構成】以下、本発明の医療用チューブの製造方
法を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発
明の医療用チューブを気管内チューブに適用した場合の
構成例を示す斜視図、図2は、図1に示す気管内チュー
ブの拡大縦断面図である。
【0019】これらの図に示すように、気管内チューブ
1は、可撓性を有するチューブ本体2と、その長手方向
に沿って形成されたメインルーメン3と、このメインル
ーメン3と平行に設けられ、チューブ本体2の少なくと
も先端部付近まで延長されたインフレーションルーメン
5と、チューブ本体2の先端部付近に、チューブ本体2
の外周面を環状に囲むように設けられ、インフレーショ
ンルーメン5の一端が内部と連通する拡張・収縮自在な
拡張体であるカフ6と、インフレーション用チューブ8
を介してインフレーションルーメン5の他端と連通し、
カフ6が拡張しているかどうかを確認するためのパイロ
ットバルーン9とを有している。
【0020】チューブ本体2は、麻酔ガス、酸素ガス等
を導入するための基端21から先端22まで貫通したメ
インルーメン3を有している。チューブ本体2の先端2
2は、先端加工が施され、図2に示すように、体内への
挿入を容易なものとするために、滑らかなベベル状に形
成されている。また、チューブ本体2の基端21には、
呼吸回路に接続するためのコネクタ12が取り付けられ
ている。
【0021】図2に示すように、チューブ本体2は、そ
の全長に渡って内層23と外層24とから構成されてい
る。これら内層23および外層24は、後述する補強部
材4を埋設する状態で互いに接合し、一体となってチュ
ーブ本体2を構成している。
【0022】チューブ本体2を形成する管壁には、図2
に示すように、メインルーメン3より細いインフレーシ
ョンルーメン5が、チューブ本体2の長手方向に沿って
設けられている。このインフレーションルーメン5は、
後述するカフ6内にカフ拡張用の気体を送り込むための
ルーメンであり、カフ6内のチューブ本体2の管壁の外
面に形成された側孔(連通孔)11を介して、カフ6の
内部空間と連通している。そして、このインフレーショ
ンルーメン5は、図2に示すように先端22の近傍にお
いて閉塞されている。また、インフレーションルーメン
5は、図1に示すように、基端21付近の位置におい
て、チューブ本体2の管壁外面に形成された切欠部7を
介して、可撓性を有するインフレーション用チューブ8
と連通している。
【0023】インフレーション用チューブ8の後端部に
は、カフ6の拡張・収縮の程度を認識するための拡張・
収縮可能なパイロットバルーン9が、インフレーション
用チューブ8と連通するように設置されている。さら
に、パイロットバルーン9の後端側には、パイロットバ
ルーン9内への気体の流入は許容するが、膨張したパイ
ロットバルーン9からの気体の流出は阻止する機能を有
する逆止弁10が設置されている。この逆止弁10にシ
リンジ等を接続して空気のような気体を圧入すると、そ
の気体は、パイロットバルーン9内、インフレーション
用チューブ8内、インフレーションルーメン5および側
孔11を介してカフ6内に送り込まれ、カフ6が拡張
(膨張)する。
【0024】そして、本発明の医療用チューブの製造方
法は、チューブ本体の内層を形成する第一工程と、内層
の外面に補強部材を射出成形またはトランスファー成形
により形成する第二工程と、補強部材と補強部材が形成
されていない内層の外面にチューブ本体の外層を形成す
る第三工程との各工程を有している。以下、各工程につ
いて説明する。
【0025】チューブ本体2の内層23を形成する第一
工程は、内層23の構成材料を例えば押出成形、射出成
形、塗布、ディッピング等により成形して行うことがで
きる。内層23の構成材料としては、可撓性を有し、医
療用チューブのチューブ本体としても機能を満足するも
のであればいかなるものでもよく、例えば、軟質ポリ塩
化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタ
ン、シリコーンゴム、ポリアミドエラストマー、軟質フ
ッ素樹脂等の軟質樹脂やエラストマーが挙げられる。
【0026】図3は、内層23を射出成形する場合に用
いる金型の一例である金型30Aおよび芯金70の断面
図を示す。金型30Aは、筒状の内層形成部31と、4
つのゲート32と、ゲート32を介して内層形成部31
と連通するランナー33と、内層形成部31の両側に設
けられた芯金装着部34と、芯金装着部34の一方と連
通する開口部35とを有する割型構造となっている。内
層形成部31、ゲート32、ランナー33、芯金装着部
34および開口部35は同一平面上にあり、金型30A
はこの面で二つに分割される。
【0027】芯金装着部34は内層形成部31とほぼ同
軸状に形成され、その径は内層形成部31より小さく、
かつ芯金70と同一の断面形状となっている。これよ
り、金型30を分割し、芯金70を芯金装着部34に配
置して密閉し、型締力を加えることにより、図3に示す
ように芯金70の両端部が芯金装着部34に拘止状態で
装着され、芯金70の残りの部分は内層形成部31に配
置される。そして、芯金70と内層形成部31との間に
内層23を形成する空間が形成される。芯金70の長さ
は、芯金装着部34に支持された状態で開口部35より
その一端が突出するように、芯金装着部34の一端から
他端までの距離より長くなっている。このような長さと
することにより、この突出部分を手または機械を用いて
把持し操作することにより芯金70の芯金装着部34へ
の挿入および抜去を楽に行うことができる。
【0028】そして、内層23の射出成形は、芯金70
を芯金装着部34に配置して、金型30Aを型締力を加
えて密閉し、射出成形機のノズル(図示せず)より溶融
状態の上記樹脂をランナー33、ゲート32を介して内
層形成部31と芯金70との間の空間に射出し、冷却
後、内層23が形成された芯金70を取り出すことによ
り行われる。次に、内層23の外面に補強部材4を射出
成形またはトランスファー成形により形成する第二工程
について説明する。
【0029】射出成形により形成される補強部材4の構
成材料は、射出成形に通常用いられる熱可塑性樹脂また
は熱硬化性樹脂のうち、十分な補強効果が得られる程度
の強度を有するものであればいかなるものでもよく、例
えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブ
チレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステ
ル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等
のポリオレフィン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、
ポリウレタン、ポリオキシメチレン(POM)、フッ素
樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、
エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)、液晶ポリアリレー
ト、液晶ポリエステルカーボネート、液晶ポリアゾメチ
レン、液晶ポリエステルアミドのような液晶ポリマー等
の単体あるいは混合物が挙げられる。これらのうちで
も、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニ
ル、ポリアリレート、ポリアミドが、毒性がなく、成形
加工が容易で、安価であるという点で好ましい。
【0030】また、トランスファー成形により形成され
る補強部材4の構成材料は、トランスファー成形に通常
用いられる熱硬化性樹脂のうち、十分な補強効果が得ら
れる程度の強度を有するものであればいかなるものでも
よく、例えば、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン等の単体あるいは混合物が挙げ
られる。
【0031】また、補強部材4の好適な構成材料は、チ
ューブ本体2自体、すなわち内層23および外層24の
構成材料との関係で選択してもよい。すなわち、後述す
る先端加工等を考慮すれば、補強部材4の構成材料は、
チューブ本体2自体の構成材料と相溶性または接着性の
あるものが好ましい。このような構成材料の組み合わせ
の具体例を下記表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】このように、相溶性または接着性のある材
料との組み合わせとすれば、補強部材4の剥離がより確
実に防止される。
【0034】なお、上記した補強部材4の構成材料中に
は、例えば、硬化剤、軟化剤のような強度(剛性、硬
度)を調整するための添加剤、結合剤、安定剤、着色剤
等の種々の添加剤を配合することも差し支えない。ま
た、補強部材4の構成材料中に、X線不透過性材料で構
成されるフィラーを配合し、チューブ本体2に造影性を
持たせるようにすることも差し支えない。X線不透過性
材料としては、例えば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマ
ス、炭酸バリウム、タングステン、金、白金等が挙げら
れる。
【0035】補強部材4の射出成形またはトランスファ
ー成形は、例えば図4に示す金型を用いて行うことがで
きる。図4に示す金型40Aは、上記第一工程で芯金7
0上に形成された内層23を装着可能な内層装着部41
と、螺旋状の線条である補強部材形成部42と、4つの
ゲート43と、ゲート43を介して補強部材形成部42
と連通するランナー44と、内層装着部41の両側に設
けられ、芯金70を装着可能な芯金装着部45と、芯金
装着部45の一方と連通する開口部46とを有する割型
構造となっている。内層装着部41、補強部材形成部4
2、ゲート43、ランナー44、芯金装着部45および
開口部46は同一平面上に形成され、金型40Aはこの
面で二分される。
【0036】内層装着部41は内層23の形状と一致す
る筒状に形成されている。芯金装着部45は内層形成部
31Aと同軸状に形成されており、かつ芯金70と同一
の断面形状を有している。これより、金型40Aを分割
して、芯金70上の内層23を内層装着部41に、芯金
70を芯金装着部45に配置し、型締力を加えることに
より、内層23は芯金70の上に配置された状態で内層
装着部41に拘止状態に装着されるようになっている。
このように、補強部材4の形成は、内層23の内側に芯
金70が挿入された状態で行われるため、成形機からの
溶融樹脂の流入圧力により内層23が変形してしまうこ
とがない。なお、内層23に挿入されるものは、固い棒
状物であればよいが、内層23の形成に用いた芯金70
をそのまま用いるのが好ましい。
【0037】補強部材形成部42は、内層装着部41の
周面に刻まれており、内層23を内層装着部41に装着
すると、内層23との間に補強部材4を形成するための
空間を形成する。補強部材形成部42の断面形状は、図
示のような半円状に限定されず、半楕円形や三角形、四
角形等の多角形、まゆ形等のいかなるものでもよい。ま
た、例えば楕円形、半円形、半楕円形、長方形、まゆ形
のようなチューブ本体2の長手方向に偏平な形状(以
下、偏平形状という)とし、得られる補強部材4の断面
形状を偏平形状とすれば、チューブ本体2の管壁の厚さ
をより薄くすることができる。補強部材形成部42の断
面形状が半円形(または半楕円形)の場合、その直径
(平均直径)は、用いる樹脂材料の強度によっても異な
るが、成形時の冷却過程における樹脂材料の収縮も考慮
して0.5〜2.0mm程度、特に0.5〜1.0mm
程度とするのが好ましい。
【0038】補強部材4においては、チューブ本体2の
軸に対する傾斜角度が小さいほど、補強部材4の配向方
向がチューブ本体2の軸方向に近くなるため、補強効果
が高まり、チューブ本体2の剛性(特に、曲げ剛性やね
じり剛性)が高くなる。これより、補強部材形成部42
の内層装着部41の軸に対する傾斜角度θは、形成され
る補強部材4の補強効果と、チューブ本体2の気管等へ
の挿入が良好に行われる程度の柔軟性とのバランスを考
慮して1〜20°程度、より好ましくは1〜15°程
度、さらに1〜10°程度とするのが好ましい。
【0039】また、気管内チューブの場合、補強効果を
一定とするために、補強部材形成部42のピッチを全体
にわたり一定とするが、そのピッチは1.0〜5.0m
m程度、特に2.0〜3.0mmとすることが好まし
い。芯金70は、金型30Aの場合と同様に、金型40
Aに装着された状態で開口部46より突出し、芯金70
の芯金装着部45への挿入および抜去を楽に行うことが
できるようになっている。
【0040】そして、補強部材4の射出成形は、内層2
3と芯金70を内層装着部41と芯金装着部45にそれ
ぞれ配置して、金型40Aを型締力を加えて密閉し、上
記した第一工程と同様に、射出成形機のノズル(図示せ
ず)より溶融状態の樹脂をランナー44、ゲート43を
介して内層装着部41と補強部材形成部42との間の空
間に射出し、冷却後、芯金70を取り出すことにより行
われる。
【0041】補強部材4のトランスファー成形も、補強
部材4の構成材料として上述したトランスファー成形用
熱硬化性樹脂を用いることを除いては、上記の射出成形
とほぼ同様に行われる。
【0042】図示の例では、補強部材形成部42は内層
装着部41の全長にわたって設けられているが、補強部
材形成部42を内層装着部41の端部を除いて配置した
構成としてもよい。このように構成された金型を用いて
補強部材4を形成し、さらに外層24を形成すると、チ
ューブ本体2の端部に補強部材4が埋設されていない部
分が形成される。これにより、外層形成後にチューブ本
体2の先端を加熱して所望の形状に加工する場合でも、
チューブ本体2の構成材料より高強度で融点の異なる補
強部材4が埋設されていないため、先端加工をより容易
に行うことができる。また、先端がより柔軟となるた
め、チューブ本体2を気管等の生体内へより容易に挿入
することができる。
【0043】なお、図示の例の金型を用いた場合でも、
後述する第三工程において、後述する金型50Aのよう
に構成された金型を用いれば、外層形成と同時に上記補
強部材の埋設されていない部分を形成できる。しかしな
がら、その場合、内層と外層の接合面がチューブ本体内
側の径方向に形成されるため、この接合面によりチュー
ブ本体2の強度が著しく弱くなる虞れがある場合は、本
工程である第二工程で補強部材の埋設されていない部分
を形成し、その上に外層を形成するのが好ましい。
【0044】チューブ本体の外層24を形成する第三工
程は、補強部材4と補強部材4の形成されていない内層
23の外面に、外層24の構成材料を射出成形、塗布、
ディッピング等により成形することにより行われる。外
層24の構成材料としては、上記した内層23の構成材
料と同様のものが挙げられる。
【0045】図5は、射出成形によって外層24の形成
を行う場合に用いられる金型の一例である金型50Aの
構成を示す断面図である。金型50Aは、筒状に延びる
外層形成部51と、4つのゲート52と、ゲート52を
介して内層形成部51と連通するランナー53と、外層
形成部51Aの両側に設けられ、内層23および補強部
材4が形成された芯金70を装着可能な芯金装着部54
と、芯金装着部54の一方と連通する開口部55とを有
する割型構造となっている。外層形成部51、ゲート5
2、ランナー53、芯金装着部54および開口部55は
同一平面上にあり、金型50Aはこの面で二分される。
【0046】そして、金型30Aと同様に、金型50A
を分割して芯金70を芯金装着部54に配置し、型締力
を加えることにより、図6に示すように芯金70の両端
部が芯金装着部54に固定状態で装着され、芯金70の
残りの部分は外層形成部51に同軸状に配置される。そ
して、芯金70、内層23および補強部材4と内層形成
部51との間に外層24を形成する空間が形成される。
なお、外層24の射出成形を、内層23の内側に芯金7
0を挿入した状態で行うことにより、内層24および補
強部材4の変形を防止できることは上記第二工程と同様
である。
【0047】また、芯金70は、金型30Aの場合と同
様に、芯金装着部54に装着された状態で開口部55か
らその一端が突出し、この突出部分を手または機械を用
いて把持し操作することにより、芯金70の芯金装着部
54への挿入および抜去を楽に行うことができる。
【0048】そして、補強部材4の射出成形は、内層2
3および補強部材4が形成された芯金70を芯金装着部
54に配置し、金型50Aを型締力を加えて密閉した状
態で、上記した第一工程と同様に、射出成形機のノズル
(図示せず)より溶融状態の樹脂をランナー53、ゲー
ト54を介して外層装着部51に射出し、冷却後、芯金
70を取り出すことにより行われる。
【0049】外層形成部51の開口部55側は、上記し
た先端形状(ベベル形状)に対応する、丸みを帯びて滑
らかに傾斜した形状となっている。これにより、外層2
4の形成と同時にチューブ本体2の上記した先端形状
(ベベル形状)を得ることができ、製造工程の簡素化を
図ることができる。なお、外層24をディッピングによ
り形成する場合でも、上記外層形成部41と同様の内部
形状を有する型を用いることにより、外層24の形成と
同時に上記先端形状を得ることができる。すなわち、上
記の型をディッピング液で満たし、その中に内層23お
よび補強部材4が形成された芯金70を浸漬し、硬化す
ることにより、上記の先端形状を有する外層24を形成
することができる。
【0050】さらに、外層形成部51の内部には、細長
いインフレーションルーメン用チューブ80が図示のよ
うに配置されている。このインフレーションルーメン用
チューブ80は、接着剤等をその一部に付着させ、補強
部材4にその付着部分を接触させることに、補強部材4
にと接触した状態で配置されている。そして、このイン
フレーションルーメン用チューブ80の表面は、成形機
より流れ込む溶融状態の樹脂に接触して溶融し、この樹
脂と一体となって固化する。その後に、インフレーショ
ンルーメン用チューブ80の管腔が残って、チューブ本
体2のインフレーションルーメンが形成される。これに
より、外層24の射出成形と同時にインフレーションル
ーメンの形成をも行うことができ、製造工程の簡素化を
図ることができる。
【0051】なお、インフレーションルーメン用チュー
ブ80の金型50Aへの配置は、例えば、インフレーシ
ョンルーメン用チューブ80の外径を補強部材4と外層
形成部51との距離より若干大きくし、金型50Aと補
強部材4の間で接触保持させることにより行ってもよ
い。インフレーションルーメン用チューブ80の構成材
料としては、前記内層23および外層24と同様のもの
が挙げられる。インフレーションルーメン用チューブ8
0の管壁の厚さは、溶融した樹脂との接触により管腔が
潰れない程度であればよいが、0.1〜0.5mm程
度、より好ましくは0.1〜0.3mm程度であるのが
好ましい。
【0052】なお、インフレーションルーメン5の形成
は上記の方法のみならず、例えば、細径の針金(図示せ
ず)を補強部材4に沿って配置し、その一端を内層23
の端部から突出させた状態で上記と同様に外層24の射
出成形を行い、その後この針金を抜去して細径のルーメ
ンを形成し、端部を加熱あるいは充填材を用いて塞ぐこ
とにより行うこともできる。また、外層24をディッピ
ング等で形成する場合でも、細径のチューブあるいは細
径の針金を用いることにより、外層24の形成と同時に
インフレーションルーメン5の形成を行うことができ
る。
【0053】このようにして内層23、補強部材4およ
び外層24を順次形成することにより、図2に示す構成
のチューブ本体2を得ることができ、さらにカフ6、イ
ンフレーション用チューブ8およびパイロットバルーン
9の取り付けを行うことにより、図2に示す構成の医療
用チューブ1が製造される。カフ6のチューブ本体2へ
の取り付けは、予め筒状に成形された膜を側孔11を覆
うようにしてチューブ本体2の外周にかぶせ、その両端
をチューブ本体2の外周面に対し、接着剤、溶剤により
接着するか、または熱、高周波等により融着することに
より、機密的に固着する方法などにより行われる。
【0054】また、インフレーション用チューブ8のイ
ンフレーションルーメン5への取り付けは、例えば、予
め加熱したマンドレルをインフレーションルーメン5内
に挿入し、このマンドレルの抜去と同時にインフレーシ
ョン用チューブ8をインフレーションルーメン5内に挿
入し、溶剤または接着剤を用いて固着する方法などによ
り行われる。インフレーション用チューブ8の構成材料
としては、内層23および外層24と同様のものを用い
ることができる。
【0055】そして、インフレーション用チューブ8の
後端部にパイロットバルーン9および逆止弁等を常法に
より取り付け、基端21にコネクタ12を嵌入し、図1
に示す医療用チューブを製造する。パイロットバルーン
9の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
ステル、エステル−酢酸ビニル共重合体(EVA)、シ
リコーン等、またはこれらのうちの任意を混合したもの
が挙げられる。
【0056】カフ6を備えない医療用チューブを得る場
合は、第三工程においてインフレーションルーメン5を
形成しない以外は上記と同様にしてチューブ本体2を形
成し、その後、チューブ本体2の基端21にコネクタ1
2を嵌入する。
【0057】以上説明したように、本発明の医療用チュ
ーブの製造方法では、上記した第一、第二および第三工
程を順次行うことにより、医療用チューブを一本ずつ、
簡便に効率よく製造することができる。また、気管内チ
ューブでは、使用時にチューブ本体2の基端21側を所
定長さ切断除去して、チューブ本体2を症例に応じた長
さに調整することがあるが、補強部材4が従来のような
金属ではなく樹脂で構成されたものであるため、切断を
カッター等で容易に行うことができ、チューブ本体2の
切断端面の性状も良好となり、切断する長さに制限を受
けることもない。
【0058】なお、補強部材4は、図2ではその原形を
とどめた状態で示されているが、実際には外層24の形
成に伴いその全体に渡って多少変形、溶融またはチュー
ブ本体2自体の構成材料と融合した状態となっているこ
とがある。また、チューブ本体2の基端21において
は、メインルーメン3内にコネクタ12が嵌入される
が、補強部材4は、上述した樹脂で構成されているた
め、加熱により容易に変形し、メインルーメン3の内径
が拡大するので、コネクタ12の嵌入を容易かつ確実に
行うことができる。
【0059】本発明の医療用チューブの製造方法におい
ては、チューブ本体2に湾曲形状を付与することができ
る。以下、その方法について説明する。
【0060】まず、第一工程において、例えば図6に示
す金型30Bを用いて射出成形を行うことにより、内層
に湾曲形状を付与することができる。なお、金型30B
に関し、上記した金型30Aと同様の部分については同
一の符号を付して説明は省略する。図6に示す金型30
Bは、内層形成部31が図示のように湾曲した形状であ
り、開口部35を有していない点で金型30Aと相違し
ており、湾曲形状を有する芯金70を図示のように配置
できるようになっている。
【0061】そして、この金型30Bを用いた内層23
の射出成形は、上記した金型30Aと同様にして行わ
れ、これにより、内層23の形成と同時に湾曲形状を付
与することにできる。
【0062】次に、第二工程において、例えば図7に示
す金型を用いることにより、湾曲した内層23の上に補
強部材4を形成することができる。なお、金型40Bに
関し、上記した金型40Aと同様の部分については同一
符号を付して説明は省略する。金型40Bは、金型40
Aとほぼ同様の構成であるが、内層装着部41、補強部
材装着部42および芯金装着部45が図示のように湾曲
して、湾曲形状を有する内層23および芯金70を配置
可能となっている点と、開口部46を有していない点で
金型40Aと相違している。
【0063】そして、この金型40Bを用いた補強部材
4の射出成形およびトランスファー成形については、金
型40Aの場合と同様に行うことができ、これにより、
湾曲した内層23の上に補強部材4を形成することがで
きる。なお、付与する湾曲の程度が小さい場合は、内層
23を、図3に示すような自然状態で非湾曲形状とし、
これを湾曲した芯金70の上に被せることにより湾曲さ
せてから、金型40Bに装着してもよい。
【0064】次に、第三工程において、例えば図8に示
す金型50Bを用いることにより、外層24の形成と同
時に湾曲形状を付与することができる。なお、金型50
Bに関し、上記した金型50Aと同様の部分については
同一の符号を付して説明は省略する。金型50Bは、上
記した金型50Aとほぼ同様の構成であるが、外層形成
部51Bが図示のように湾曲した形状であり、開口部5
5を有していない点で金型50Bと相違し、湾曲した芯
金70が挿入された内層23および補強部材4を配置で
きるようになっている。
【0065】そして、外層24の射出成形の際は、上記
の金型50Aと同様に行うことができ、これにより、外
層24の形成と同時に湾曲形状を付与することができ
る。
【0066】外層形成部51の一端側は、金型50Aの
場合と同様の滑らかな形状を有しており、これにより、
外層24の形成と同時にチューブ本体2の先端加工を行
うことができる。
【0067】また、外層形成部51には、インフレーシ
ョンルーメン用チューブ80が図示のように配置されて
おり、上記した金型50Aの場合と同様に、外層24の
射出成形と同時にインフレーションルーメン5が形成さ
れる。
【0068】なお、付与する湾曲の程度が小さい場合
は、内層23および補強部材4を、図5に示すように自
然状態で非湾曲形状とし、これを湾曲した芯金70の上
に被せてることにより湾曲させ、外層24を形成するこ
とも可能である。しかしながら、非湾曲形状に形成して
から湾曲させることにより、内層23および補強部材4
の一部あるいは全体に張力、歪みおよび変形が生じ、こ
れにより得られた医療用チューブ1に変形、亀裂等が生
じる虞れもあるため、上述のように内層23、補強部材
4を順次湾曲形状に形成することが好ましい。
【0069】このように、本発明の医療用チューブの製
造方法によれば、特別な工程を要さずに、第三工程にお
ける外層形成と同時にチューブ本体2の湾曲形状を得る
ことができる。
【0070】補強部材4の形状は、上記のような螺旋状
に限定されず、例えば図9に示すように、同軸上に連続
する複数のリング37を連結棒38で連結した形状とす
ることもできる。以下、このような形状を得る本発明の
第二工程について説明する。
【0071】上記形状を有する補強部材36は、例えば
図10に示す金型40Cを用いて射出成形またはトラン
スファー成形することにより得ることができる。金型4
0Cは、金型40Aと異なり、補強部材形成部42は螺
旋状でなく、リング状の線条である複数のリング形成部
421と、直線状の線条である連通路422からなって
いる。リング形成部421および連通路422は、長方
形の断面形状を有しており、また、ゲート43は連通路
422上に設けられている。
【0072】成形機より射出された溶融状態の樹脂は、
ランナー44およびゲート43を介して連通路422に
流れ込み、この連通路422を経由して各リング部42
1に流れ込む。そして、この連通路422に残った樹脂
が固化して連結棒38となる。このような連通路442
を設けることにより、射出された樹脂を両端のリング形
成部421に至るまで均一かつより短時間で供給するこ
とができる。
【0073】なお、連通路422の形状は、図示のよう
にリング形成部421と連通路422との連結位置が一
直線に並ぶもののみならず、リング形成部421毎に連
結位置をずらし、連通路422がリング形成部421の
両端間を非一直線に連結する構成や、あるいはリング形
成部421の一部あるいは全部に連結位置を2つ設け、
それぞれ反対側のリング形成部421と連結して、連通
路422がリング形成部421の軸方向に非連続に設け
られた構成であってもよい。また、図9に示すように補
強部材4を形成し、かつチューブ本体2を湾曲形状とす
る場合は、連通路422は湾曲の内側に設けることが好
ましい。これにより、チューブ本体2の湾曲形状をより
強力に維持することができる。
【0074】なお、本発明における医療用チューブを気
管内チューブについて説明したが、本発明の医療用チュ
ーブはこれに限定されず、例えばバルーンカテーテルの
ような拡張体を有するものや、造影用カテーテル、ガイ
ディングカテーテル等の血管カテーテル、開心術用脱送
血カテーテル等を含む医療用チューブであればいかなる
ものでもよい。
【0075】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0076】(実施例1)直径8.0mm、長さ350
mmの丸棒状のステンレス製芯金を、図3に示す構造の
金型に装着して、軟質ポリ塩化ビニルを肉厚0.2m
m、長さ300mmにわたって常法に従い射出成形し、
芯金上に内層を形成した。
【0077】次に、内層が形成された芯金を、図4に示
す構造の金型(補強部材形成部の深さ0.7mm、傾斜
角度θ;5°、ピッチ3.0mm)に装着し、上下から
型締力をかけて金型を密閉してから、ポリエチレンテレ
フタレートを常法に従い射出成形し、補強部材を内層の
外面に形成した。
【0078】さらに、補強部材の上に直径0.5mmの
針金を収縮チューブを用いて固定し、この状態で、内層
および補強部材が形成された芯金を、軟質ポリ塩化ビニ
ルのペーストレジン溶液(ペーストレジン100重量部
に対し、可塑剤であるDOPを70重量部、安定剤であ
るエポキシ化大豆油を5重量部配合)を満たした直径1
2.0mmの円筒内に浸漬し、次いで170℃、25分
間で硬化させた。
【0079】前記針金を引き抜いてインフレーションル
ーメンとし、前記ステンレス製芯金を取り外して図2に
示す構造のチューブ本体とした。このチューブ本体のサ
イズは、外径12.0mm、内径8.0mm(壁部肉厚
2.0mm)、全長400mmであり、その全長にわた
って補強部材が埋設されていた。
【0080】チューブ本体の先端を軸方向に対して斜め
に切断した後、この部分を200℃に加熱された金型内
に挿入して加熱成形による先端加工を施した。この先端
付近の補強部材は、チューブ本体の構成材料である軟質
ポリ塩化ビニルとともに溶融しており、先端縁部は丸み
を帯びた形状(アール形状)となっていた。なお、この
先端加工により、インフレーションルーメンの先端側の
内腔は閉塞した。
【0081】インフレーションルーメンの基端側に充填
材を充填して閉塞し、これにより得られたインフレーシ
ョンルーメンの先端部付近にカフとの連通孔を設け、基
端部にインフレーション用チューブの取り付け孔(切欠
部)を作製した。この取り付け孔の基端部に逆止弁を備
え、途中にポリ塩化ビニル製のパイロットバルーンを有
する軟質ポリ塩化ビニル製のインフレーション用チュー
ブを挿入し、接着剤により気密的に固着した。
【0082】一方、チューブ本体の基端を加熱して軟化
させ、コネクタを嵌入した。
【0083】さらに、金型に加熱加圧成形によりポリ塩
化ビニル製のカフ(膜厚0.2mm)を作製し、このカ
フを前記チューブ本体の先端付近に連通孔を覆うように
被せ、カフの両端を熱融着してチューブ本体に気密的に
固着し、図1に示す気管内チューブを得た。
【0084】(実施例2)実施例1と同様にして内層お
よび補強部材を形成した後、それらが形成された芯金を
図5に示す構造の金型に取り付け、さらにその外層形成
部の長手方向に、補強部材に沿って外径0.6mm、内
径0.4mmの軟質ポリ塩化ビニル製チューブを配置
し、金型を上下より型締力を加えて密閉してから、軟質
ポリ塩化ビニルを常法に従い射出成形して外層を形成し
た。
【0085】その後、前記ステンレス製芯金を取り外し
て図2に示す構造のチューブ本体とした。このチューブ
本体のサイズは、外径12.0mm、内径8.0mm
(壁部肉厚2.0mm)、全長400mmであり、その
全長にわたって補強部材が埋設されていた。また、チュ
ーブ本体の内部には両端が閉塞したインフレーションル
ーメンが形成されており、チューブ本体の先端縁部は丸
みを帯びた形状(アール形状)となっていた。
【0086】インフレーションルーメンの先端部付近に
カフとの連通孔を設け、基端部にインフレーション用チ
ューブの取り付け孔(切欠部)を作製した。この取り付
け孔の基端部に逆止弁を備え、途中にポリ塩化ビニル製
のパイロットバルーンを有する軟質ポリ塩化ビニル製の
インフレーション用チューブを挿入し、接着剤により気
密的に固着した。
【0087】一方、チューブ本体の基端を加熱して軟化
させ、コネクタを嵌入した。さらに、金型に加熱加圧成
形によりポリ塩化ビニル製のカフ(膜厚0.2mm)を
作製し、このカフを前記チューブ本体の先端付近に連通
孔を覆うように被せ、カフの両端を熱融着してチューブ
本体に気密的に固着し、図1に示す気管内チューブを得
た。
【0088】(実施例3)実施例2と同様にして内層お
よび補強部材を形成し、さらに、インフレーションルー
メン形成用のチューブを外層形成部に配置しない以外は
実施例2と同様にして外層を形成した。
【0089】その後、前記ステンレス製芯金を取り外し
て図2に示す構造のチューブ本体とした。そして、チュ
ーブ本体の基端を加熱して軟化させ、コネクタを嵌入
し、カフのない気管内チューブを得た。
【0090】(実施例4)直径8.0mm、長さ350
mmの湾曲形状を有するステンレス製芯金に、図6に示
す構造の金型を用いて、軟質ポリ塩化ビニルを肉厚0.
5mm、長さ300mmにわたって常法に従い射出成形
し、芯金上に内層を形成した。
【0091】次に、内層が形成された芯金を、図7に示
す構造の金型(補強部材形成部の深さ0.7mm、傾斜
角度θ;10°、ピッチ3.0mm)に装着し、上下か
ら型締力を加えて金型を密閉してから、ポリエチレンテ
レフタレートを射出成形して補強部材を内層の外面に形
成した。
【0092】さらに、内層および補強部材が形成された
芯金を、補強部材に沿って外径0.6mm、内径0.4
mmのポリ塩化ビニル製のチューブを湾曲状態に配置し
た状態で、図8に示す構造の金型に装着し、軟質ポリ塩
化ビニルを射出成形して外層を形成した。
【0093】その後、前記ステンレス製芯金を取り外し
て図2に示す構造のチューブ本体とした。このチューブ
本体のサイズは、外径12.0mm、内径8.0mm
(壁部肉厚2.0mm)、全長400mmであり、その
全長にわたって補強部材が埋設されていた。また、チュ
ーブ本体には湾曲形状が付与され、さらに、チューブ本
体の内部には両端が閉塞したインフレーションルーメン
が形成されており、チューブ本体の先端縁部は丸みを帯
びた形状(アール形状)となっていた。
【0094】インフレーションルーメンの先端部付近に
カフとの連通孔を設け、基端部にインフレーション用チ
ューブの取り付け孔(切欠部)を作製した。この取り付
け孔の基端部に逆止弁を備え、途中にポリ塩化ビニル製
のパイロットバルーンを有する軟質ポリ塩化ビニル製の
インフレーション用チューブを挿入し、接着剤により気
密的に固着した。
【0095】一方、チューブ本体の基端を加熱して軟化
させ、コネクタを嵌入した。
【0096】さらに、金型に加熱加圧成形によりポリ塩
化ビニル製のカフ(膜厚0.2mm)を作製し、このカ
フを前記チューブ本体の先端付近に連通孔を覆うように
被せ、カフの両端を熱融着してチューブ本体に気密的に
固着し、図1に示す気管内チューブを得た。
【0097】(実施例5)ポリイミド樹脂を常法に従い
トランスファー成形して補強部材を形成したことを除
き、実施例1と同様にしてチューブ本体を形成し、カフ
等の取り付けを行って図1に示す気管内チューブを製造
した。
【0098】(実施例6)ポリイミド樹脂を常法に従い
トランスファー成形して補強部材を形成したことを除
き、実施例2と同様にしてチューブ本体を形成し、カフ
等の取り付けを行って図1に示す気管内チューブを製造
した。
【0099】(実施例7)ポリイミド樹脂を常法に従い
トランスファー成形して補強部材を形成したことを除
き、実施例3と同様にしてチューブ本体を形成し、その
一端にコネクタを取り付けてカフを有さない気管内チュ
ーブを製造した。
【0100】(実施例8)ポリイミド樹脂を常法に従い
トランスファー成形して補強部材を形成したことを除き
実施例2と同様にしてチューブ本体を形成し、カフ等を
取り付けて、チューブ本体が湾曲した気管内チューブを
製造した。
【0101】(実施例9)図10に示す金型を用いて補
強部材を常法に従い射出成形したことを除き実施例2と
同様にしてチューブ本体を形成し、カフ等の取り付けを
行って図1に示す気管内チューブを製造した。
【0102】(実施例10)図10に示す金型を用いて
補強部材を常法に従いトランスファー成形したことを除
き実施例2と同様にしてチューブ本体を形成し、カフ等
の取り付けを行って図1に示す気管内チューブを製造し
た。
【0103】上記実施例1〜10の各気管内チューブに
対し、180°の屈曲を与え、またチューブの径方向に
圧迫を加えたが、いずれも、メインルーメンの閉塞は全
く生じなかった。
【0104】また、実施例2、3および6、7において
は、外層すなわちチューブ本体の形成と同時に所望の先
端形状を得ることができた。さらに、実施例4および9
については、外層すなわちチューブ本体の形成と同時に
チューブ本体の湾曲形状を得ることができた。
【0105】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の医療用チュ
ーブの製造方法によれば、補強部材を構成する線材の巻
き付けや、補強部材が埋設されてない部分の後付け等
の、繁雑な工程が不要となり、極めて簡素化した工程で
医療用チューブを製造することができる。
【0106】さらに、気管内チューブにおいて必要とさ
れる先端加工およびチューブ本体の湾曲形状の付与も外
層形成と同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気管内チューブの構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す気管内チューブの拡大縦断面図であ
る。
【図3】内層の射出成形に用いられる金型の構成例を示
す断面図である。
【図4】補強部材の成形に用いられる金型の構成例を示
す断面図である。
【図5】外層の射出成形に用いられる金型の構成例を示
す断面図である。
【図6】湾曲形状が付与された内層の射出成形に用いら
れる金型の構成例を示す断面図である。
【図7】湾曲形状が付与された内層の上に補強部材を成
形するのに用いられる金型の構成例を示す断面図であ
る。
【図8】湾曲形状が付与された外層の射出成形に用いら
れる金型の構成例を示す断面図である。
【図9】補強部材の他の構成例を示す斜視図である。
【図10】図9に示す補強部材の成形に用いられる金型
の構成例を示す断面図である。
【図11】気管内チューブの使用状態を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1 気管内チューブ 2 チューブ本体 21 基端 22 先端 23 内層 24 外層 3 メインルーメン 4 補強部材 5 インフレーションルーメン 6 カフ 36 補強部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性を有するチューブ本体と、該チュ
    ーブ本体の長手方向に沿って形成されたメインルーメン
    と、該メインルーメンの外周の前記チューブ本体内に埋
    設された樹脂製の補強部材とを有する医療用チューブの
    製造方法であって、 (A)前記チューブ本体の内層を形成する第一工程 (B)前記内層の外面に前記補強部材を射出成形または
    トランスファー成形により形成する第二工程 (C)前記補強部材と前記補強部材の形成されていない
    前記内層の外面に前記チューブ本体の外層を形成する第
    三工程の各工程を有することを特徴とする医療用チュー
    ブの製造方法。
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