JPH06243840A - ショートアークメタルハライドランプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリーン上の照度ムラの発生を防止し、高
電圧パルスに対する絶縁耐力があり、且つ外部電力供給
線の接続操作を容易にしたショートアークメタルハライ
ドランプ装置を提供する。 【構成】 両端に外部リード線２ａ，２ｂを導出したシ
ョートアークメタルハライドランプ１の一端に、外部リ
ード線２ａと接続したねじ部３ａを有する口金３を設
け、反射鏡５の底部ランプ支持孔６に前記ランプ１の口
金３を挿入固着しランプ１を反射鏡５に固定する。反射
鏡５の支持孔６と前面フランジの中間の外側表面に、反
射鏡の肉厚とほぼ等しい肉厚を有し挿通孔９を備えた端
子板受台８を一体的に形成して、ねじ部３ａの軸芯と平
行な軸芯をもつねじ孔10ｃを備えた端子板10を配置し、
ランプ１の他方の外部リード線２ｂに一端を接続した電
力供給線12の他端を挿通孔９を通して端子板10に接続す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ショートアークメタ
ルハライドランプを反射鏡に組み合わせて構成した、映
像用装置の光源などに用いられるショートアークメタル
ハライドランプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、映像用装置として、高密度ＴＦＴ
小型液晶板を用い光学系と組み合わせ、大型スクリーン
に投影して、ビデオムービー等の画像を楽しむ、いわゆ
る液晶プロジェクタが普及しつつあり、そのバックライ
トとして、稀土類金属ハロゲン化物を封入した色特性に
優れ且つ発光効率の高いショートアークタイプのメタル
ハライドランプに、放物，楕円あるいは多焦点の偶数次
関数の曲面を有する反射鏡を組み合わせたショートアー
クメタルハライドランプ装置が用いられている。

【０００３】そして、その際用いるメタルハライドラン
プは、外管を用いずに発光管のみで構成され、その殆ど
が発光管の両端に外部リード線を導出した両口タイプで
あり、反射鏡と一体に構成されている。ランプを反射鏡
と一体に構成する場合は、反射鏡の光軸とランプの管軸
とを一致させて配置する光軸配置を採用する場合が多
く、この場合、反射鏡の開口部側のランプの外部リード
線に接続される電力供給線の引き出し処理が難しくな
る。

【０００４】従来、この電力供給線の引き出し方法とし
ては、図４に示すように、反射鏡101 に設けたランプ取
り付け用支持孔102 を利用して、メタルハライドランプ
103の両方の電力供給線 104ａ， 104ｂを引き出す方法
が知られている。

【０００５】ところで、この種のランプ装置に用いられ
るショートアークメタルハライドランプは、小型化する
上で補助電極を設けることが困難であり、ランプ始動に
10KV以上の高電圧パルスを要するので、反射鏡の中央支
持孔に両方の電力供給線を挿入し引き出そうとすると、
両者の絶縁距離を大きくとらなければならず、中央支持
孔は大きくなってしまう。したがって光学上の効率を考
慮すると、反射鏡そのものを更に大きくするか、あるい
は光学的な利用効率を犠牲にして照度を低下させる方向
で対応していた。

【０００６】また、この電力供給線の取り出し方法にお
いて、絶縁強化を図るために、取り出し部分にセラミッ
クスからなる部材を用いることも考えられるので、実験
を行ってみたところ、セラミックスにより保温されるの
で、いわゆるランプのシール部の温度上昇が大きく、寿
命上大きな問題を起こすことが判明した。

【０００７】また、従来、電力供給線の絶縁距離を大き
くとるため、図５に示す構成のものが知られている。す
なわち図５において、201 はショートアークメタルハラ
イドランプで、両端には電極に接続された外部リード線
202ａ， 202ｂが設けられている。203 は熱線透過形の
コールドミラーで、その底部にはメタルハライドランプ
201 の一端が固定されている。204 はコールドミラー20
3 の開口部に取り付けられたセラミック製のリード固定
枠で、メタルハライドランプ201 の外部リード線 202ａ
と接続される導体205 が固定されており、更に該リード
固定枠204 からは外部取り出し端子206 が導出されてい
る。207 は取り付け端子固定枠で、コールドミラー203
の底部外側に固定されており、メタルハライドランプ20
1 の外部リード線 202ｂが接続された取り付け端子208
が設けられている。

【０００８】この図５に示した構成のメタルハライドラ
ンプ装置においては、両方の電力供給線の絶縁距離は確
保できるものの、このランプ装置を映像装置等に実装す
る場合、リード固定枠204 に設けた外部取り出し端子20
6 を、映像装置内で絶縁するのが著しく困難となり、し
たがって映像装置自体が大型化し問題となる。

【０００９】更にはまた、実開平２−３２６０２号に
は、図６に示すような構成のメタルハライドランプ装置
が開示されている。すなわち、303 は硝子基体に誘電体
膜を施した放物面コールドミラーで、該コールドミラー
303 の底部側のメタルハライドランプ301 の外部リード
線 302ａを口金304 に接続し、該口金304 をコールドミ
ラー303 の底部に設けた取り付け穴305 に挿入固定す
る。またコールドミラー303 の底部取り付け穴305 と開
口フランジ端のほぼ中間に、コールドミラー303 と一体
に形成した突起状端子板受台306 を設け、該端子板受台
306 に取り付けた端子板307 に、同じく該端子板受台30
6 に形成した取り出し挿通孔308 を介して、ランプ301
のミラー開口側の外部リード線 302ｂに接続した電力供
給線309 が接続されている。

【００１０】このように構成したメタルハライドランプ
装置は、絶縁距離並びにシール部温度の面で両立でき、
良好な構成である。しかし、反射鏡と組み合わせて用い
るショートアークメタルハライドランプのアーク長が短
く、且つフロストを施さないクリアな発光管表面積が大
きいと、映像装置に組み込まれてスクリーンに投影され
た場合、スクリーン上において照度ムラが発生すること
が判明した。

【００１１】この発生原因を検討したところ、コールド
ミラー303 の一部に端子板取り付け用の突起状端子板受
台306 を一体に設けることにより、図７に示すように、
受台306 に形成した取り出し挿通孔308 の周辺のミラー
内側の基体硝子面に、取り出し挿通孔308 の周辺以外の
部分に比べて凹んだ凹部310 が形成されていることが判
った。このため、取り出し挿通孔308 の面積に応じた部
分からの反射が行われないだけでなく、凹部310 の形状
が所望の反射曲面から大きく外れるため、スクリーン上
の照度が低い部分と微小面積ながら異常に明るい部分が
偏在することが判明した。

【００１２】この問題点を解決するため、本件発明者
は、先に特願平４−１７５９７９号において、図８及び
図９に示す構成のショートアークメタルハライドランプ
装置を提案した。すなわち、両端に外部リード線２ａ，
２ｂを導出したショートアークメタルハライドランプ１
の一端に、外部リード線２ａと接続した口金３を設け、
反射鏡５の底部ランプ支持孔６に前記ランプ１の口金３
を挿入固着し、ランプ１を反射鏡５に固定する。反射鏡
５の支持孔６と前面フランジの中間の外側表面に、反射
鏡５の肉厚の0.７〜1.３倍の肉厚を有し挿通孔９を備え
た端子板受台８を一体的に形成して、ハトメ11を介して
端子板10を配置し、ランプ１の他方の外部リード線２ｂ
に一端を接続した電力供給線12の他端を挿通孔９を通し
て端子板10に接続して構成したものである。なお図８，
９において、７ａ，７ｂは端子板受台８の両側に形成し
た帯状突起部であり、９ａは挿通孔９の縁欠け防止用の
テーパー部であり、10ａは端子板10の孔部を示してい
る。

【００１３】このように、端子板受台の肉厚を反射鏡基
体の周辺肉厚とほぼ等しい、周辺肉厚の0.７〜1.３倍に
することにより、端子板受台を反射鏡と一体に形成した
ことによる反射鏡内面へのひけ等の影響は殆ど現れず、
したがって取り出し挿通孔周辺の内面への凹部は発生せ
ず、実質的に照度ムラのない良好なスクリーン照度が得
られる。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先に提
案したショートアークメタルハライドランプ装置のよう
に、反射鏡５の底部と前面フランジのほぼ中間部に、反
射鏡５にほぼ直角に挿通孔９を開け、端子板10を取り付
けた場合、このランプ装置に安定器からの外部電力供給
線を組み付ける際、どのような態様にすべきか、適切で
簡便な方法がないという問題点があった。例えば、安定
器からの外部電力供給線を端子板にハンダ付けする場合
は、ランプ装置交換時に時間と手間を要するし、また端
子板に安定器接続用の外部電力供給線を予め接続してお
くことも考えられるが、この場合は外部電力供給線を固
定する部分を別途設ける必要が生じるばかりでなく、部
品点数が増え、その取り扱いが煩雑であるという問題点
がある。

【００１５】本発明は、先に提案したショートアークメ
タルハライドランプ装置における上記問題点を解消する
ためになされたもので、部品点数が少なく、ランプ装置
交換時における操作が容易となるショートアークメタル
ハライドランプ装置を提供することを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段及び作用】上記問題点を解
決するため、本発明は、硝子を基体とし誘電体多層膜を
反射材とした、球面，放物面，楕円面などの偶数次元関
数面あるいはそれらを組み合わせた反射面をもつ反射鏡
に、両端に外部リード線を導出したショートアークメタ
ルハライドランプを、前記反射鏡のほぼ焦点位置に設け
たショートアークメタルハライドランプ装置において、
前記ランプの一方の外部リード線へ接続した電力供給線
は、前記反射鏡のほぼ中央部に設けた取り出し孔に取り
付けた端子に接続すると共に、外部電力供給線が該端子
にねじ部材で取り付けられるようにし、また他方の外部
リード線へ接続した電力供給線は、前記反射鏡の中央取
り出し孔と前面フランジの中間に設けた、反射鏡基体の
周辺肉厚とほぼ等しい肉厚の端子板受台のほぼ中央部に
形成した挿通孔より取り出し、該端子板受台に設けた端
子板に接続すると共に、外部電力供給線が該端子板に前
記反射鏡中央孔に設けた端子への外部電力供給線の固定
と同一の回動方向で固定できるねじ部材で取り付けられ
るように構成するものである。

【００１７】このように構成したショートアークメタル
ハライドランプ装置において、端子板への安定器からの
外部電力供給線の接続は、反射鏡の背面より、反射鏡の
中央取り出し孔に設けた端子への外部電力供給線の取り
付け固定と同一の回動方向でねじ部材により容易に取り
付け固定することが可能となる。

【００１８】

【実施例】次に実施例について説明する。図１は、本発
明に係るショートアークメタルハライドランプ装置の一
実施例を示す斜視図であり、図８，９に示したランプ装
置と同一又は対応する部材には同一符号を付して示して
いる。図１において、１はショートアークメタルハライ
ドランプで、最大外径11mm，最大内径8.８mmで、ほぼ楕
円形をした発光部をもち、両端シール部には電極間距離
を4.５mmとした各電極に接続された外部リード線２ａ，
２ｂが設けられた発光管を備え、該発光管内には、DyＩ
₃ −NdＩ₃ −CsＩを重量比で、８：２：５としたものを
0.６mgと、HgＩ₂ を0.１mgの他に、始動補助ガスとして
のArを250 トール，バッファガスとしてのHgを10mg封入
している。そして該発光管の一端には外部リード線２ａ
に接続した口金３が設けられており、他端側の電極周辺
の外周部には、耐熱性のAl₂ Ｏ₃ −SiＯ₂ の混合物が反
射兼保温膜４として塗布形成されている。また発光管の
保温膜４の形成されていない表面は、フロスト加工を施
していないクリアな面で構成されている。

【００１９】５は直径110 mmの開口部をもち、焦点距離
13mmの、誘電体多層膜を内面に施し反射層とした硝子基
体の放物面反射鏡で、その底部にはランプ支持孔６が形
成されており、該支持孔６にはメタルハライドランプ１
の口金３を挿通し、無機質接着剤で固着し、メタルハラ
イドランプ１を反射鏡５に固定している。そして、口金
３の一端にはねじ部３ａが設けられていて、該ねじ部３
ａに一方の外部電力供給線13をナット14で締め付け接続
できるようになっている。反射鏡５の底部支持孔６と開
口フランジ縁との中間の外側表面には、高さ0.５mm，幅
約２mm，長さ13mmの２つの帯状突起部７ａ，７ｂを、端
部間約８mmの間隔で反射鏡５と一体的に設け、端子板受
台８を構成している。そして、端子板受台８の中央部に
は、図２に示すように、電力供給線引き出し用の直径３
mmの挿通孔９を形成し、該挿通孔９の反射鏡内面側に
は、縁欠け防止用の最大直径4.２mmのテーパー部９ａを
形成している。

【００２０】そして端子板受台８には、帯状突起部７
ａ，７ｂ間に、孔部10ａを備えた略コ字状に折曲した端
子板10を載置し、孔部10ａに通したハトメ11により該端
子板10を端子板受台８に固着し、メタルハライドランプ
１の他方の外部リード線２ｂに一端を接続した電力供給
線12の他端を、端子板受台８の挿通孔９及び端子板10の
孔部10ａを通して端子板10へ接続している。上記端子板
受台８は、肉厚4.５mmの反射鏡５の表面より僅か0.５mm
だけ突出形成しているので、端子板受台８の帯状突起部
７ａ，７ｂの最大肉厚は5.０mmとなり、周辺の反射鏡５
の肉厚に対して1.11倍の肉厚となっている。

【００２１】端子板10は、前記端子板受台８上に載置さ
れる載置部10-1と、該載置部10-1と連接した折曲連結部
10-2と、該折曲連結部10-2に連接した接続部10-3とから
なり、該接続部10-3には、前記電力供給線12の接続用接
続片10ｂとねじ孔10ｃとが形成されている。そして該ね
じ孔10ｃの軸芯と前記口金３に設けたねじ部３ａの軸芯
とは平行になるように、端子板10の接続部10-3は折曲連
結部10-2に対して折曲されている。

【００２２】このように構成したショートアークメタル
ハライドランプ装置において、安定器等より外部電力供
給線を接続する場合、一方の外部電力供給線13は口金３
に設けたねじ部３ａにナット14を締め付けることにより
接続され、他方の外部電力供給線15は、端子板10のねじ
孔10ｃにボルト16をねじ込むことによりワッシャ17を介
して端子板10の接続部10-3に接続される。この際、ナッ
ト14の締付回動とボルト16の締付回動は、反射鏡５の背
面の同一方向から行えるので、２本の外部電力供給線1
3，15を極めて容易な操作で締付接続できる。

【００２３】なお、この実施例の場合も、先に提案した
ものと同様に、端子板受台８の肉厚を反射鏡基体の周辺
肉厚とほぼ等しくすることにより、端子板受台８を反射
鏡５と一体に形成したことによる反射鏡内面へのひけ等
の影響は殆ど現れず、したがって取り出し挿通孔９の周
辺の内面への凹部は発生せず、実質的に照度ムラのない
良好なスクリーン照度が得られる。また電力供給線間に
は十分な絶縁距離を保つことができ、またシール部に絶
縁強化用のセラミック等を設ける必要がないので、シー
ル部の温度上昇を低減し、長寿命化を図ることができる
という効果が得られるものである。

【００２４】上記実施例では、端子板10としては、載置
部10-1，折曲連結部10-2，接続部10-3を単純に折り曲げ
て連接して構成したものを示したが、この形状のものに
限らず、例えば、図３に示すように、各部を捩じり曲げ
て連接した構成のものも用いることができ、同様の作用
効果が得られる。

【００２５】

【発明の効果】以上実施例に基づいて説明したように、
本発明によれば、電力供給線を挿通接続する端子板受台
を反射鏡と一体に形成したことによる反射鏡内面へのヒ
ケ等の影響が殆ど現れず、実質的に照度ムラのない良好
なスクリーン照度が得られる。また電力供給線間には十
分な絶縁距離を保つことができ、またシール部の温度上
昇を低減し長寿命化を図ることができると共に、ランプ
装置への外部電力供給線の接続が極めて容易な操作で行
うことができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るショートアークメタルハライドラ
ンプ装置の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１に示した実施例における端子板部分の拡大
断面図である。

【図３】端子板の他の構成例を示す斜視図である。

【図４】従来のメタルハライドランプ装置の構成例を示
す図である。

【図５】従来のメタルハライドランプ装置の他の構成例
を示す図である。

【図６】従来のメタルハライドランプ装置の更に他の構
成例を示す図である。

【図７】図６に示した従来例の端子板受台部分の拡大断
面図である。

【図８】先に提案したショートアークメタルハライドラ
ンプ装置の構成を示す図である。

【図９】図８に示したランプ装置の端子板受台部分の拡
大断面図である。

【符号の説明】

１ ショートアークメタルハライドランプ ２ａ，２ｂ 外部リード線 ３ 口金 ３ａ ねじ部 ４ 反射兼保温膜 ５ 反射鏡 ６ ランプ支持孔 ７ａ，７ｂ 帯状突起部 ８ 端子板受台 ９ 挿通孔 ９ａ テーパー部 10 端子板 10ｃ ねじ孔 11 ハトメ 12 電力供給線 13 外部電力供給線 14 ナット 15 外部電力供給線 16 ボルト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 硝子を基体とし誘電体多層膜を反射材と
   した、球面，放物面，楕円面などの偶数次元関数面ある
   いはそれらを組み合わせた反射面をもつ反射鏡に、両端
   に外部リード線を導出したショートアークメタルハライ
   ドランプを、前記反射鏡のほぼ焦点位置に設けたショー
   トアークメタルハライドランプ装置において、前記ラン
   プの一方の外部リード線へ接続した電力供給線は、前記
   反射鏡のほぼ中央部に設けた取り出し孔に取り付けた端
   子に接続すると共に、外部電力供給線が該端子にねじ部
   材で取り付けられるようにし、また他方の外部リード線
   へ接続した電力供給線は、前記反射鏡の中央取り出し孔
   と前面フランジの中間に設けた、反射鏡基体の周辺肉厚
   とほぼ等しい肉厚の端子板受台のほぼ中央部に形成した
   挿通孔より取り出し、該端子板受台に設けた端子板に接
   続すると共に、外部電力供給線が該端子板に前記反射鏡
   中央孔に設けた端子への外部電力供給線の固定と同一の
   回動方向で固定できるねじ部材で取り付けられるように
   構成したことを特徴とするショートアークメタルハライ
   ドランプ装置。